トップ議会情報・議員の発言2011年第1回 2月定例会・予算特別委員会 議員発言 > 総括質問


2011年2月21日 本会議 総括質問 皆川けいし議員

 ●今回の骨格予算について
 ●オリンピック招致について
 ●西飛行場の市営化について
 ●広島駅自由通路の整備促進について
 ●高速5号線について
 ●地域経済・中小企業支援について
 ●子どもの医療費無料化について
 ●高齢者の特養ホーム増設について
 ●国保料の引き下げについて
 ●高齢者への配食サービスについて 
 ●原爆の実相解明と被爆者の援護について
 ●広島県政のあり方について
 ●最後に

 ー<再質問>ー
 ●広島西飛行場について
 ●広島駅自由通路について
 ●高速5号線について


●今回の骨格予算について 

(皆川けいし議員)
 まず最初に私は、これまで6期24年間、憲法と地方自治の根本理念である「国民、住民こそ主人公」という立場で、市民の声を市政に反映させるため頑張ってきましたが、次の選挙では県政に挑戦いたします。従って市議会での質問は私にとってこれが最後となりますが、どうぞよろしくお願い致します。
 これが最後という点では秋葉市長も同じ思いではないかと思います。今期をもって退任される秋葉市長に対して私は、先ず「長い間ご苦労様でした。」と率直に申し上げたいと思います。
 秋葉市政の3期12年間、日本共産党市議団は、「良い面は伸ばし、問題点はただす」という立場で臨んできましたが、この12年間を振り返って、秋葉市長は何よりも、被爆地ヒロシマを代表して、核兵器廃絶の国際世論を高めるために大きな貢献をされたことを高く評価するものであります。
 また、内政では、大型公共事業の見直しを始めとして、危機に直面していた市財政を立て直したことも評価するものであります。
 ところが、その秋葉市長の手による最後の新年度予算は、残念なことに市長自らのこうした功績に水をさすような重大な問題が含まれていることを看過するわけにはいきません。
 その第一は、市長の任期が満了することを踏まえた「骨格予算」といいながら、予算規模は昨年度当初予算よりも2.9%増、過去8年間で2番目の伸び率となっています。安佐南(ごみ焼却)工場の建設や生活保護費など予算が膨れた要因があったことは分かりますが、それ以外に新規事業が37事業も計上されており、その中には多額の予算を伴う事業も含まれています。これでは新市長に誰がなろうと、市長選挙で掲げた公約を実行に移す財源的保障は、ほとんど残らないのではありませんか。
 本来なら次の市長にできるだけ公約実現の財源を残してタスキを渡すのが退任する市長のとるべき態度だと思いますが、秋葉市長はその点で次の市長にどのような配慮をされたのですか。私には今期最後の市長による「骨格予算」とは、とても思いませんがいかがですか。

(財政局長)
 平成23年度(2011年度)当初予算は、4月に市長の任期が満了することを踏まえ、義務的経費や継続事業に係る経費を中心とした骨格予算として編成しました。
 骨格予算とは、法令上の概念ではなく、一般的に、首長の改選を目前に控えている場合等において、当初予算の編成に当たって、1年間の行政活動のすべてにわたって予算計上することが適当でないと判断した場合に、新規の施策等を見送り、義務的経費を中心に編成した予算のことを言います。なお、ここで言う骨格とは、予算編成の考え方であり、予算規模の多寡はあくまでも予算編成の結果に過ぎません。
 今回、具体的に当初予算に盛り込んだ経費としては、人件費、扶助費、公債費といった義務的経費のほか、既存施設の管理運営費、維持補修費、その他継続事業に係る経費が挙げられます。
 また、新規事業であっても、緊急雇用創出事業臨時特例交付金等の国の交付金・補助金を活用するなど緊急性の高い事業、県等の他団体と協議・調整の上、連携して取り組む必要がある事業、日程等の理由により年度当初から計画的に取り組む必要がある事業に係る経費については、例外的に当初予算に計上しています。
 結果的に、一般会計の当初予算規模は、前年度当初予算と比べて2.9%増となりましたが、これは、建設工事の進捗に伴う安佐南工場建替の増、経済情勢の悪化に伴う生活保護費の増、国による支給額の上積みに伴うこども手当の増、やむを得ない事情による経費の増に伴うものです。
 こうした中でも、今回の平成23年度(2011年度)当初予算編成では、財政調整基金の残高を54億円確保しており、次期市の判断の下、公約に掲げられた施策の実施などで予算の補正が必要となった場合には、基金を適切に活用することになろうかと考えています。

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●オリンピック招致について 

(皆川けいし議員)
 オリンピック招致問題では、わが党は、市民の納得と総意を基本に据えることが大前提であるという立場で、「開催計画案」に対しては開催理念にオリンピック精神を貫き堅持すべきことを指摘するとともに、市民に不安や疑問が強い財源問題では根拠がきわめて不明確であることを具体的に追求してきました。
 このわが党のとった態度は、広く市民とスポーツ関係者の思いと合致するものでした。
 そもそもオリンピック招致構想は、秋葉市長自身が発案し準備してきたものであり、いまだ議会の意思決定も、市民の意思決定もされておりません。現時点ではあくまで秋葉市長の責任に属することです。
 その市長が次の市長選挙に出馬しないということは、このオリンピック招致構想は白紙にもどったというべきであり、従って招致の賛否を問う根拠はなくなったのであり、次の新市長に委ねるべき問題でもないとわが党は考えます。
 これ以上、招致問題を引きずらず、きっぱりと白紙に戻すべきです。なぜ新年度予算に、あえて計上されたのですか。百歩譲って次の市長がオリンピックを招致したいと思えばその時点で、新市長の手で新たに予算を計上すればよいことです。この点で、秋葉市長の真意をお伺いしたい。

(市民局長)
 オリンピック招致検討は、市長個人ではなく地方公共団体である本市が組織として取り組んできたものであり、市長が次期市長選挙へ立候補しないことを表明したことをもって、白紙にもどすべきということにはなりません。
 新年度に計上しているオリンピック招致検討に係る経費135万8千円は、骨格予算として、招致するしないにかかわらず、必要となる招致検討委員会の開催やJOCとの協議等に係る旅費などの事務的経費であり、最低限必要な経費です。
 なお、次期市長が招致に取り組むことを決定した場合には、招致に係る経費は補正予算に計上することになると考えています。

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●西飛行場の市営化について 

(皆川けいし議員)
 今後莫大な予算を伴い、しかも市民の間でも議会のなかでも十分な議論がされていない「西飛行場の市営化」と「広島駅自由通路の整備促進」、そして「高速5号線の関連予算」をなぜ、あえて当初予算に計上されたのか。
 西飛行場の問題では、わが党はこれまで安全性の確認と地元合意を抜きに、存続を議論すべきではないという態度をとってきました。今回の「西飛行場の市営化」は、まさに利便性・経済性のみから東京便を呼び込むためのものです。
 そのために、滑走路の嵩上げとターミナルビルの建設だけで90億円、それに空港周辺の開発を考えると、今後100億円以上の予算を伴う大事業です。県からの無償貸与が切れる5年後には、広大な用地買収も迫られることになります。それだけ莫大な予算を投入しても東京便が来る確証は全くありません。
 仮に東京便が来たとしても、採算がとれないことは市当局も認めています。ましてや、もし東京便が来なかった場合、一体どうするのか、その対案もありません、
 市民から見たら、いくら「将来の広島の発展のために必要」といわれても、こんな不透明な事業に何百億円もの巨費を投入することはとても納得できるものではありません。
 おたずねしますが、1、東京便が来なかった場合、西飛行場は一体どうするのか。2、現広島空港に移転した最大の理由であった西飛行場の安全性の問題について、「あり方検討委員会」ではどれくらい検討されたのか。お答えください。

(道路交通局長)
 東京便については先日、西田議員のご質問に市長が答弁しました通り、広島西飛行場を市営化する大きなメリットは、本市が主体となって広島シティ空港の活性化に取り組むことです。
 例えば、これまで割高に設定されていた航空機の着陸料の見直しや就航を促進する効果的な支援策の実施などを本市が独自に行えるようになり、また、県から独立した形で、本市が航空事業者への働きかけを行えるようになるため、東京便をはじめとする路線開設の可能性が大きく広がるものと考えております。
 また、これまで東京便を中心に航空事業者と路線展開に係る協議を行ったところ、広島シティ空港は都心にありアクセスもよいことなどから、興味を持っている航空会社があります。
 路線展開については、「広島西飛行場あり方検討委員会」からの提言にもありますように、東京路線だけではなく、成田空港や関西空港とのフィーダー路線の可能性もあると考えています。
 広島シティ空港においては、まず、チャーター便の就航などにより空港としての優位性や認知度を高めるよう、航空会社などに対して積極的なエアポートセールスを展開したいと考えています。
 東京便については、広島空港とのすみわけの下、座席数100席以下のリージョナルジェット機(旅客数が50から100名程度で必要な滑走路も短い低騒音な小型ジェット機)の就航を想定し、こうした航空機を保有又は今後導入を予定している航空会社へ、路線開設の働きかけを行ってまいります。
 東京便以外の路線については、成田空港や関西空港路線のほか、広島空港からの就航では成り立たない小需要地方路線について航空会社と協議を行いながら、路線展開の可能性を探っていきたいと考えています。
 本市としましては、できるだけ早い時期に東京便をはじめとする定期路線の就航が実現するよう全力を尽くしてまいります。
 なお、広島シティ空港は公共用空港であり、定期便以外にも、航空写真撮影やビジネスジェット等の産業航空、消防や警察などの公共航空の利用に供されており、こうした航空機の利用促進にも取り組んでまいります。
 西飛行場の安全性の問題についてですが、昨年7月に設置いたしました「広島西飛行場あり方検討委員会」は、広島西飛行場の利活用について検討することを目的として設置したものです。
 広島西飛行場については、現在、国が定める空港に関する安全基準等を順守し運営しており、市営化した後にもおいても同様に安全基準等を順守し、運営してまいります。

(皆川けいし議員)
 こうした事業は、いったん始まったらもう後戻りできません。ですから次の市長の手で、安全性の検証も含めて慎重に結論を出すべきだと思いますが、なぜ急いで新年度予算案に計上されたのかお答えください。

(道路交通局長)
 広島西飛行場については、昨年1月、広島県からヘリポート化の提案を受け、本市は、年内を目途に飛行場を市営化するかどうか検討を進めたい旨のお願いをし、県から了解をいただきました。
 これを受け、本市は、「広島西飛行場あり方検討委員会」を設置し、広島西飛行場の利活用策を検討いただくとともに、国・県・航空事業者等との協議を進めてきました。
 この結果、市営化を図ることを決定し、昨年12月末に広島県へその旨を伝え、県から了解をいただきました。
 このように、広島西飛行場の市営化の手続きは県・市合意の下に進めており、本市は、空港設置条例や管理運営に要する予算等市営化に必要な関連議案を、県は飛行場設置条例の廃止議案等をそれぞれの議会へ提出したものです。
 広島県には、広島西飛行場を市営化するか否か1年間待ってもらったことや飛行場用地の本市への無償貸し付けについてご了解いただいた経緯もあり、信義則の上からも、本市が2月議会に関連議案を提出する必要があると考えております。

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●広島駅自由通路の整備促進について 

(皆川けいし議員)
 「広島駅自由通路の整備促進」についてですが、総事業が127億円とのことですが、わずか180mの自由通路のために127億円かけるということは、1mつくるのに7,055万円、市民1人当たり1万円の負担であり、市民が知ったらビックリするような事業です。
 おたずねしますが、市内に、1mで7千万円もかけてつくった「通路」がありますか。

(道路交通局長)
 本市域内において、最近整備を行った事例では、JR矢野駅の自由通路があり、1平方メートル当たりの単価で比較すると、広島駅自由通路の方が幾分安価になります。
 なお、一般的には、駅構内に設置する自由通路の整備は、支障となる鉄道施設の移設や列車運行のない短い時間帯での施工による工事単価の割増など多くの費用がかかります。

(皆川けいし議員)
 以前は概々算で約50億円と答えていた事業費がいつの間にか127億円に膨らんだ理由は何ですか。それはいつごろの話ですか。事業費が膨らんだ理由をこれまで議会に説明しましたか。

(道路交通局長)
 平成18年(2006年)3月の予算特別委員会において、基本設計を行う以前であり、工法等の検討がなされていないため、正確な事業費は出ませんと申し上げたうえで、他都市の事例等を参考にして概概算で50億円程度とお答えしました。
 したがって、現在お示ししている総事業費127億円は、この50億円が膨らんだものではなく、平成20年度(2008年度)にJRが行った基本設計を下に算出したものです。

(皆川けいし議員)
 JRの駅舎も市が造ることになったからというのが理由のようですが、ここはいわゆる「誘致駅」ではありません。なぜ市民の税金でJRの駅舎まで造らなくてはならないのですか。その理由を説明してください。

(道路交通局長)
 広島駅自由通路は、現在の広島駅構内の南北の改札口と各ホームを連絡する跨線橋(駅構内の線路上にかけ渡した陸橋)の位置に整備するため、この跨線橋や改札口、切符売り場などの駅施設を移転し、再整備する必要があります。
 これらの施設の機能回復工事は、広島駅自由通路の整備に合わせ、一体的に行うこととしており、再整備後には、自由通路から出入りできる橋上駅となります。
 ご質問の駅舎を造るための費用とは、自由通路を整備することにより移転が必要となる駅施設の機能回復のための補償費用ですが、これを国が策定した「自由通路の整備及び管理に関する要綱」に基づき、本市とJRがそれぞれ負担をするものです。

(皆川けいし議員)
 大体1mに7千万円もの巨額を投じて今、急いで作らなくてはならない通路なのかどうかについてこれまで市民には何の説明もされていません。一体どこでこういう構想が考えられたのか答えてください。

(道路交通局長)
 広島駅自由通路は、平成16年度(2004年度)に策定した広島市実施計画に、事業化に向けた検討を行うことを盛り込むとともに、同じ年度に策定した「ひろしま都心ビジョン」において、新都心成長点である広島駅周辺地区の主導的な取組みの一つに位置づけています。
 その後、本紙とJRが協議しながら、自由通路の位置、構造等について検討を行い、平成22年(2010年)1月には、自由通路を都市施設として都市計画策定しています。


(皆川けいし議員)
 本来なら計画段階から市民の意見を聞くべき事業です。また議会にも十分な資料を出して、議論すべき事業です。おたずねしますが、これまで議会に対して市とJRの負担区分を図面上で説明されたことがありますか。 今後、JRとの協定はいつ頃を考えておられるのですか。

(道路交通局長)
 JRとの費用負担については、図面を用いて説明していませんが、事業費約127億円のうち、約7億円は駅ビルを建替えた場合に支障となる部分の工事費として、全額JR西日本が負担し、これを除く約120億円の9割にあたる約108億円を、本市が負担する旨を昨年の9月議会で藤井議員の一般質問に対し答弁しています。
 また、費用負担等を盛り込んだJRとの協定については、平成23年度(2011年度)中に締結したいと考えています。


(皆川けいし議員)
 本来ならこれも次の市長に政策判断を委ねるべき事業です。なぜ急いで当初予算に計上されたのか。市民や議会への説明はこれまで十分されてきたと思っておられるのか。市長の認識をお伺いしたい。

(道路交通局長)
 広島駅自由通路については、平成25年度(2013年度)末に基盤整備が完了予定の二葉の里地区土地区画整理事業の関連公共施設として整備することとしており、早期に整備する必要があります。また、自由通路は、昨年度からの継続事業でもあり、当初予算に必要額を計上しているものです。
 広島駅自由通路の整備については、これまで、本会議での答弁や都市活力創造対策特別委員会での説明、また、広報紙「ひろしま市民と市政」への掲載を行っています。
 今後とも引き続き、事業の進捗に応じ、議会へ報告するとともに、市の広報紙やホームページなど様々な広報媒体を利用して、市民への情報提供に努めてまいります。

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●高速5号線について 

(皆川けいし議員)
 もうひとつ、新年度予算には高速5号線関連予算が2億6千万円組まれていますが、ご存知のように現在「広島高速5号線トンネル安全検討委員会、」でトンネルの安全性が検討されています。その結論が出るまで、5号線関連予算は凍結するのが検討委員会に諮問した行政のとるべき態度ではないのですか。それともトンネルの安全性がどうだろうと関係なく、5号線は計画通りつくるというのが市の方針なのですか。お答えください。

(道路交通局長)
 広島高速5号線については、トンネル建設について、地域住民の皆様から不安の声が多く挙がってきました。
 このため、平成21年(2009年)9月、「広島高速5号線トンネル安全検討委員会」を設置し、地域の住民生活等の安全性を確認することにし、現在、審議・検討をしていただいているところです。
 本市としては、この検討委員会からの答申を踏まえ、高速5号線の事業の進め方を適切に判断することにしています。
 こうした方針に基づき、来年度、高速5号線の予算については、検討委員会の審議・検討に必要となる調査費、二葉の里土地区画整理事業に合わせて整備する必要がある高速5号線の測道や常盤橋若草線の工事費、過年度の用地取得などに必要とした借入金の利息返済の費用などを計上したもので、トンネルを含め高速5号線の本体工事の予算は計上していません。

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●地域経済・中小企業支援について 

(皆川けいし議員)
 次に今後の市政について市当局にお伺いします。
 新しい市長が誰になろうと、「住民福祉の向上」に寄与することが地方自治体の第一の使命であることに変わりはありません。
 その点で私は今、広島市民の福祉の向上にとって、市政に求められていることは何かという立場から3つの柱についてお伺いします。
 まず1つめの柱は、今こそ地域経済を元気にする本腰を入れた取り組みを進めるべきだという点です。言うまでもなく広島の地域経済の主役は、中小企業です。マツダや三菱ではありません。経済の閉塞状況といわれるもとで、その中小企業が元気にならないと、雇用も伸びず、賃金も上がらず、広島の経済も元気になりません。
 そのために、日本共産党市議団は早くから中小企業の実態調査と「中小企業振興条例」をつくることを求めてきましたが、新年度予算でやっと「中小企業経営実態調査」の予算が計上されました。 遅きに失したとはいえ、これは非常にいいことですが、しかし、アルバイトに頼むようなことではありません。本来なら東大阪市がやったように市の職員が自ら出向いて、しっかりと中小企業の皆さんの願いに耳を傾けるべきです。
 今、日本は異常な「賃下げ社会」となっています。民間の賃金はピーク時の1997年と比較して年収で19万円、総額で30兆円も減っています。年収200万円以下のいわゆる「働く貧困層」は1,100万人まで増えました。日本社会を覆っている閉塞状況の根底にはこの異常な「賃下げ社会」が横たわっています。ここから抜け出さないと、この閉塞状況は絶対になくなりません。なぜこういう社会になったのか。ごくひと握りの大企業への富の蓄積、一方で働く貧困層の拡大という二極化に歯止めがかかっていないからです。
 大企業が内部に溜め込んだ巨大な資金が社会に還流されていないことが、GDPの6割を占める家計消費と内需を冷え込ませ、日本経済の成長を止めています。「大企業が栄えたら、経済は成長し、国民の暮らしはよくなる」どころか、大企業はもうけをため込むばかり、国民は貧しくなるばかりです。
 これまで地方自治体でも、政府のかけ声に乗って「大企業を呼び込めば地域も潤う」という「呼び込み型開発」が行われてきましたが、これも間違いだったことは、広島県がこれまで進めてきた「臨空タウン」計画の失敗が証明しています。
 経済の閉塞状況を打ち破るためには、今こそ政治の力で、総合的な賃上げ対策を図ることと、大企業の資金を社会に還流させる方策をとることが待ったなしです。同時に、地域にあっては、これまでの「呼び込み型」開発から、その地域に現にある力を育て、伸ばし、それによって雇用と消費を増やし、さらに力をつける振興策、いわば、「内発型」「循環型」の地域振興策に取り組むことです。
 そのために、中小企業を応援して自治体が自ら「仕事を作り出す」ために取り組み始めた施策のひとつが「住宅リフォーム助成制度」です。これは、住民が、自宅の(例えば屋根、台所まわり、窓枠、ドアなど)を改修する場合、地元の業者に頼めば、工事費の一部を自治体が補助するという制度です。実際、これに取組んでいるところ、例えば県内でも三次市などでは、市民から申込みが殺到して、大工さん、左官さん、内装、配管、電気、上下水道、畳、フスマ、瓦など、様々な業種に仕事が回り、市民にも業者にも喜ばれ、経済波及効果は予算の10倍以上にもなって、地域の経済に活力を与えています。これこそ投資したお金がその地域におちて循環する「循環型」の経済対策です。
 今、不景気の下で、中小企業にとっては「一にも仕事、二にも仕事、三にも仕事」といわれるように「仕事がほしい」のです。広島県も廿日市市も、新年度からこの住宅リフォーム助成制度をスタートさせる予定ときいております。
 ところが、広島市ではこれまで、この「住宅リフォーム助成制度」について経済局も都市整備局も担当の狭い枠にとらわれてこうした思い切った施策が打てておりません。縦割り行政の弊害がここにも表れています。今後、「地域経済と雇用拡大」についてのクロスセクションを早急に立ち上げて、こうしたダイナミックな施策を展開されることを強く求めておきます。
 この点に関連してひとこと申し上げておきたいのは、現在、広島市が実施している「企業立地促進助成金」についてです。これは全市域を対象に企業が新たに又は移転して立地しようとする場合、その設備投資や税金、労働者の賃金を補助する制度ですが、その実績(4年間で19件、16億8千万円)を見たらその8割方が西風新都に進出した企業への補助となっています。又、これによる新規雇用は358人となっています。
 こういう制度が全く必要ないとは言いませんが、特別の条件を満たす、ごく一握りの企業にだけ年間5億円〜7億円もの補助金を出しながら、地域で頑張っている地場の企業には厳しい融資制度以外、何もないというのは、不公平だと思います。
 しかも4年間で16億8千万円投入して新規雇用が358人ということは、雇用を一人増やすのに税金が470万円かかっているということです。しかもそれは、全額会社に払われるのであって、労働者に還元される保証はありません。さらに問題なのは、この補助金は最長で5年間出されますが、その後、その会社が経営が思わしくなくなって倒産したとしてもつぎ込んだ補助金は1円も返ってきません。
 また、西風新都と駅周辺地域だけは大型スーパーの出店も補助の対象になっており、現に、駅北口再開発ビルにオープンした大型スーパーがこの補助金を申請しているとのことですが、これはちょっとやりすぎではありませんか。これがもしOKなら、これから駅周辺開発に進出してくる企業には、どんどん補助金を出さなくてはならなくなり、お金がいくらあっても足りなくなります。しかもその企業がつぶれてもなにも返ってこないということになります。これこそ、将来に責任を負わない「呼び込み型開発」のひとつだと言わざるを得ません。
 そこでこうした将来のリスクを解消するために次のような見直しを提案します。まずは、この補助制度の対象地域を西風新都に限定すること。次に、投入した補助金のリスクを担保する方策を考えること。そして、そこで働く労働者の待遇改善につながる制度にすることです。以上の点から見直す必要があると思いますが当局の見解をお答えください。

(経済局長)
 企業立地促進補助金は、本市への企業立地を進めるとともに、本市からの企業の流失を防止することを目的としています。そのため、対象企業については、多種多様なニーズに応えることができるよう、企業の受け皿を特定の地域に限定するのはなく、全市域を対象としています。
 立地企業に対する補助率については、「官民一体」となって都市づくりを推進している「西風新都」と、本市の中枢性向上を図るため、都市再生緊急整備地域に指定して街づくりに取り組んでいる「広島駅周辺地域」を、重点的に企業の集積を図る地域と位置づけ、他の市域より優遇する制度としています。
 これらの結果、この4年間の補助実績19件、市内企業の市内への移転に対する補助が13件となっており、この他、市内企業の新規立地を含めますと、市内企業に対するものは16件となっております。
 次に、補助金の交付にあたっては、まず、各分野の専門家で構成する「広島市企業立地補助検討委員会」において、企業の財務内容や事業計画等を審査し、その意見を踏まえて補助対象事業を指定すること、そして、操業開始から1年間の実績を確認した後にはじめて補助金の交付申請を受け付けること、さらに、年度ごとに操業実績や財務状況等を確認したうえで、投下資本額に対する補助金を5年の分割で交付することといった手続きを踏むことにより、リスクの回避を図っています。
 また、雇用奨励金につきましては、短期の臨時社員や派遣社員などの非正規労働者ではなく、直接雇用の常用労働者に限って支給対象としており、事業者に常用労働者の確保を促すという点で、雇用環境の改善に役立っているものと考えています。
 補助金の交付開始から4年が経過し、これまでに19社がこの制度を活用しており、補助制度の目的に沿った成果が得られています。 今後とも企業のニーズや本市の財政状況を勘案しながら、よりよい制度となるよう工夫していきたいと考えています。

(皆川けいし議員)
 この他にも、地場の中小企業の仕事と雇用を守る上で、小規模修繕契約希望者登録制度の発注率の引き上げと更なる改善に力を入れること。幼稚園・小・中学校への空調設備と耐震工事の発注を十年計画ではなく、優先的に前倒し発注して地元業者に仕事が廻るようにして、1日も早く子ども達が猛暑から解放されるようにすることを求めます。当局の答弁を求めます。

(財政局長)
 本市では、小規模修繕を効率的に発注するために、施設の修繕契約のうち、予定価格が50万円未満で、壁のひび割れ補修、雨漏りの応急措置、土間やタイルの修繕など内容が簡易でかつ履行確保が容易で、機能回復を目的とするものを対象に、小規模修繕契約希望者登録制度を設けています。
 この制度の活用については、これまでも各局、区役所及び教育委員会等に対して、3年に一度の登録替えや年2回の追加申請時に通知しているほか、年度当初の予算執行依命通達などにより周知しています。
 小規模修繕対象件数に対する割合、いわゆる発注率については、制度を制定した平成17年度(2005年度)の7.5%に対して、平成21年度(2009年度)が13.1%で、5.6%伸びています。また、小規模修繕対象金額に対する割合についても、平成17年度(2005年度)の6.8%に対して平成21年度(2009年度)が14.5%で、7.7%伸びています。
 緊急に修繕する必要がある場合や特殊設備を修繕する場合は、当該施設を熟知している業者又は専門業者に発注することもありますが、引き続き、この制度に該当するものは、登録業者を活用するよう、各局、区役所及び教育委員会等に対して、機会ある毎に周知してまいります。
 次に、制度の拡大についてですが、この制度があくまで競争入札参加資格者登録制度の例外的な制度であること、技術職員でなくても容易に履行確認ができる小規模な修繕を対象としていることから、慎重に検討する必要があると考えています。
 なお、追加申請の回数を増やすことについては、建設工事や建設コンサルタント業務と同様の年4回に増やすことを検討したいと考えています。

(教育長)
 幼稚園・小・中学校への空調設備の整備と耐震補強工事については、平成30年度(2018年度)までに完了するよう取り組んでいます。また、空調設備整備や耐震補強工事の前倒しについては、これまでも国の補正予算を活用し、平成21年度(2009年度)6月補正や本会議に上程しております。平成22年度(2010年度)2月補正予算に関連経費を計上し、取り組んできました。
 今後も、こうした国の予算の動向や本市の財政状況を踏まえながら、計画的に進めて行くことにしています。


(皆川けいし議員)
 また、広島市が発注する事業での「官制ワーキングプア」をなくすために、川崎市が導入したような「公契約条例」を早急に制定されることを求めるものです。

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●子どもの医療費無料化について 

(皆川けいし議員)
 第2の柱は市民福祉の更なる充実についてです。
 まず「子育て支援」についてですが、新年度予算で「子ども手当て」支給に277億円が組まれていますが、これには、子どものいる家庭からも「ありがたいとは思うけど、それよりも、もっと保育所を増やすお金に使ってほしい」「子どもの医療費をせめて小学校を終わるまで無料にしてほしい」という声が少なからずあります。 
 子どもの医療費無料化については、わが党市議団はこれまで再三にわたって、その拡充を求めてきましたが、本来、これは国をあげて取り組むべき施策です。広島市では、今やっと就学前まで無料になりましたが、これは他の政令市と比べても、又県内の市町と比べても、非常に遅れています。
 他所から転勤してきた若いお母さん方がまず口にするのは「広島市はどうしてこんなに遅れているんですか」という驚きです。せめて子どもの医療費くらいは、他都市よりも進んだ制度にしようではありませんか。小学校卒業まで無料化するには一体いくらの財源があればできるのかも含めて当局のお考えをお聞かせください。

(健康福祉局長)
 子どもを対象にした医療費補助の対象年齢を小学校卒業まで拡大した場合には、入院、通院あわせて、新たに20億円程度の経費が必要になると見込んでいます。
 少子化が急速に進む中で、子どもが健やかに生まれ育つ環境づくりを推進していくことは、本市における重要な課題であると認識しており、国・県の動向や、本市の財政状況等を考慮しながら、対象年齢の拡大等に取り組んでいきたいと考えています。

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●高齢者の特養ホーム増設について 

(皆川けいし議員)
 もう一つは高齢者の特養ホームの増設についてです。
 介護保険制度が始まって十年以上が経ちました。様々な問題がありますが、とりわけ特養ホームの待機者は1999年には1,228人でした。ところが十年後の2009年には4,609人に、実に3.8倍に膨れ上がっています。
 その間、高齢者をめぐる様々な悲惨な出来事が多発するようになりました。つい最近も認知症の妻を殺して自分も死ぬという心中事件がありました。その原因は高齢化の進行もありますが、お年寄りが「終の棲家」として安心して入居できる老人ホームが圧倒的に不足していることが追い討ちをかけていることは明らかです。
 国の補助金の打ち切りが最大の原因ですが、だからといって自治体が手をこまねいているわけにもいきません。広島市として、何とかしようと頑張っていることはよく知っていますが、一体いつになったら解消できるとお考えでしょうか。その目標に向けてどのような計画を考えておられるのか、お答えください。

(健康福祉局長)
 特別養護老人ホームの入所待機者の解消に向けた取組として、「「広島市高齢者施策推進プラン」に 基づき、計画期間である平成21年度(2009年度)からの3年間で360人分の整備を行うことに加え、国の経済危機対策の一環として、120人分の緊急整備を追加で行うこととし、合わせて480人分の整備を進めています。
 今後も、特別養護老人ホームの施設整備については、計画的に進めることが必要であると考えており、平成24年度(2012年度)からの3年間の高齢者施策推進プランを策定していく中で、入所待機者ができるだけ早期に入所できるよう検討していきたいと考えています。

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●国保料の引き下げについて 

(皆川けいし議員)
 次に国保料の引き下げについてです。新年度も国保料が3.2%引き上げになります。引き上げ額だけで約7億円です。これ以外にも介護納付金9.8%、後期高齢者支援金4.2%の引き上げとなっています。
 広島市が他都市にさきがけて「資格証明書」の機械的な発行をやめたことは評価しますが、こんなに毎年引き上げを続けたら払えなくなる人が増えるのは当然で、滞納整理にいくら人をつぎ込んでも根本的解決にはなりません。
 国民健康保険は、市民の命にかかわる大切な制度です。この制度を守るために、市としてどういう方策を考えておられるのかお答えください。

(健康福祉局長)
 国民健康保険は、財政基盤が脆弱なうえ、医療費の増加により、保険者と被保険者の負担は過重なものなっています。
 そのため、国に対し、負担の公平化や制度の安定化を図るため、医療保険制度の一本化を行うなど、持続可能な制度の構築に向けた改革を早急に行うよう求めるとともに、当面、国庫負担率の引き上げを含む所要の財政措置を講ずるよう要望しています。
 今後とも、国民健康保険事業を健全に運営していくため、他都市と連携し、国に対して適宜適切な要望を行ってまいります。

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●高齢者への配食サービスについて 

(皆川けいし議員)
 昨年行われた「事務事業見直し検討委員会」では、この(配食サービス)事業を土日も実施し、充実するように答申されたはずですが、新年度予算ではこの答申が反映されていません。
 先日も中区で配食サービスを受けているお年寄りの孤独死が発見されました。配食業者が金曜日に届けた時は元気な様子だったのが月曜日に行った時すでに亡くなっていたというのです。もし土・日も配食サービスが行われていたら、もっと早く安否確認ができたはずです。
 業者にとっては自費契約で土・日もやっている業者もいますから、市があと二日分の予算を上乗せすればいつでもできるはずです。そのためにいくらの予算がいるのかも含め、今後のこの事業の拡充について市当局の考えをお聞かせください。

(健康福祉局長)
 高齢者配食サービスは、ひとり暮らしの虚弱な高齢者等に、本市が委託した配食サービス事業者が昼食又は夕食を定期的に提供するとともに利用者の安否を確認する事業で、月曜日から金曜日までの週5日実施しています。
 平日に加え、土・日も実施するためには、新たに配達・安否確認のための経費が必要となり、仮に、現行の委託料単価で、現在、利用している方全員に提供する場合は約8,500万円の経費が必要になります。また、対応できる事業者の確保や委託料単価の設定など検討すべき課題もあります。
 しかしながら、利用者に対するアンケート結果から土・日も一定のニーズがあること、配食サービスを継続的に提供して高齢者の生活の質を確保することが重要であることから、今後、厳しい財政状況を考慮しつつ、どのような対応ができるか検討していきたいと考えています。

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●原爆の実相解明と被爆者の援護について 

(皆川けいし議員)
 たった一発の原爆が人類にどれだけ深刻な影響を与えたのか、いまだ未解明の問題が沢山残されています。その中の一つが「黒い雨」の問題です。
 「黒い雨」が楕円型に降ったなどという、まったく非科学的な考えがいまだに国の方針となっていることは、被爆地の名において絶対に認められないことです。
 この問題は県・市の努力によって、可能な限りの科学的、医学的検証の結果、新たな地域指定の拡大が今、国の「検討会」に委ねられています。高齢化している黒い雨降雨地域の被爆者の皆さんは「これが最後のチャンス」とその議論を固唾を呑んで見守っています。
 被災地の住民団体の皆さんは、この検討会の顔ぶれから、このまま何もせず、じっと待っていたら厚労省の旧来の見解で、結論が出されるのではと懸念をもっています。しかし、もうこれ以上、期待が裏切られることがあってはなりません。
 数年前かつて長崎県と長崎市及び被爆者団体は、被爆地域の拡大を実現するために一丸となって、東京に乗り込んで、全国会議員にも呼びかけ、大規模な「長崎原爆被爆シンポジュウム」を開いて、政府を動かす、一大運動を展開しました。
 長年の政府の固い殻を突き動かすには、今こそ広島も長崎の取り組みを上回るような一大運動に立ち上がるべきだと思います。そういう取り組みについて、ぜひ、県や黒い雨関係団体と話し合うことを提案します。当局の決意の程をお聞かせ下さい。

(健康福祉局長)
 本市は、昨年7月、広島県や関係市町とともに、黒い雨の降雨地域全域を第一種健康診断特例区に指定するよう、厚生労働大臣を始めとし、衆参両院の厚生労働委員会の委員や地元選出の国会議員に対して要望いたしました。
 これを契機に、国会でこの問題が取り上げられ、昨年12月には、厚生労働省が「原爆体験者等健康意識調査報告書等に関する検討会」を設置し、本市が取りまとめた調査結果の科学的な検証を開始しました。
 本市としては、今後、国の動向を注視しつつ、被爆地域の拡大に向け、機会を捉えて世論に働きかけていく所存であり、議員ご提案の広島県や関係市町、対象地域の住民などと協力して要望活動を行うことについても検討していきたいと考えています。

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●広島県政のあり方について 

(皆川けいし議員)
 最後に、広島県政のあり方に対する、市当局の認識をおたずねします。
 私が今回、県会議員に立候補するのは、117万市民の願いが、県政であまりにもなおざりにされているからです。
 四年前、県が突然、それまで行ってきた重度心身障害者医療費補助、ひとり親家庭医療費補助、乳幼児医療費補助の三つの医療費補助を広島市に限って打切ると通告してきたことは、私たちの記憶に新しいところです。
 地方自治体の意向も聞かず、いきなり打ち切りを押しつけるという、この理不尽な県のやり方に対して、当時市長も議会もあげて、抗議と撤回を求め、昨年1月の県・市トップ会談で、この問題はやっと白紙にもどさせることができましたが、当時、私が情けないと思ったのは、広島市から25人も県会議員が出ていながら、その中で誰一人、このような理不尽な県の予算に反対する議員がいなかったことです。
 こういう時こそ、市民の福祉を守るために体を張ってがんばってくれるのが、広島市民から選ばれた県会議員の仕事ではないのか、こういうことだから、いつまでたっても広島市は県からなめられているんではないかと強く思いました。
 地方自治法第二条五項では、都道府県の仕事として、(1)広域にわたるもの (2)市町村の連絡調整に関すること (3)その規模又は性質において一般の市町村が処理することが適当でないもの―となっております。
 私は、この三つ目の「市町村の事務を補完する仕事」つまり、「市町村を応援して住民サービスの向上に努める」仕事が広島県の場合、非常になおざりにされていると思います。
 例えば、学校の耐震化はマスコミでも取上げられたように、広島県は全国で下から二番目、同じく広島市も北九州市に次いで下から二番目です。
 平成20年に学校耐震化に対する国の緊急措置を強めるために特別措置法が改正されました。このとき、文科省は、この法律に基づいて国庫補助率を三年間に限り大幅に嵩上げするとともに「学校耐震化を加速するよう」にわざわざ全県に通達を出しています。ところがこの時、広島県も広島市も出遅れてしまい、全国で下から二番目という不名誉な状態となっています。学校への空調設備の整備についても同じことがいえます。
 国は交付金を出して促進しているのに、県はそれを下に降ろすだけで、県の補助金は1円も出していません。大きな予算を伴う事業です。県が補助金を上乗せすれば、耐震化もエアコンも10年もかからずに促進できるはずです。
 おたずねしますが、学校耐震化に対して、市町村に補助を出している県が全国でどれ位あるのかお答え下さい。広島市としても県に対して補助を求めるべきだと思いますが、いかかですか。

(教育長)
 本市の小中学校の空調設備整備等学校施設整備は、国から安全・安心な学校づくり交付金等の交付をうけて実施しています。
 学校耐震化について市町村への補助制度等を設けている都道府県は平成21年度(2009年度)末現在、13都県で、そのうち11都県が補助金制度を、5県が貸付金の制度を設けています。
 広島県には、県内市町が行う学校施設整備に対する補助金等の制度はありませんが、他県では事例があることから、今後、広島県と協議をしてみたいと思います。

(皆川けいし議員)
 もう一つ例をあげますと、「信号機の設置」についてです。私たち市会議員のところには、「信号機をつけてほしい」という要望がよく寄せられます。ところがいつまで待ってもつかない。調べてみると、なんと、平成5年4月から22年3月までの17年間に広島市から県に対して346か所の設置要望を出しているのに設置されたのはわずか85か所、年間でたったの5か所です。中央署管内でも年に1基付くかどうかの予算しか組まれていないというのです。
 広島市内で信号機のない交差点での事故は平成21年で2,278件、うち死者4人、傷者2,643人も出ているのに、信号機がつかない状態がいつまでも放置されているのです。一体市民の安全を県はどう考えているのかと云いたい。有害鳥獣対策についても、これだけ被害が深刻になっているのに、かつて市町村に出していた県の補助金は打ち切られたままです。
 このように市町に対する県の怠慢はあげたらキリがありません。県が市町に対してやるべきことをちゃんとやってくれたら、広島市の仕事ももっとやりやすくなるし、それだけ、市民サービスも前進することは間違いありません。
 広島市民も県民の一人です。ちゃんと県民税を払っているわけですから、広島市としてもっと堂々と、云うべきことは云ったらどうですか。この点についての市当局の見解とこれまでの対応についてお答え下さい。

(市長)
 広島県と広島市は、共通の課題や相互に関連する課題の解決に向けて、日頃から意思の疎通を図り、県民・市民の福祉の増進と地域の発展に取り組む必要があります。
 議員ご指摘の福祉医療費補助の問題については、平成18年(2006年度)に、県から突然、平成19年度(2007年度)以降、補助率を段階的に削減し、平成22年度(2010年度)には全廃するとの一方的な通告がありました。これに対し市は、補助金の削減を中止するよう幾度となく事務レベルで県に申入れ、当時の藤田知事に対し、私から直接強硬な申し入れを行いました。その結果、平成19年度(2007年度)分については補助率が元に戻され、平成21年度(2009年度)分以降は、改めて協議することになりました。しかし、その後県・市間で合意のないまま、補助率を引き下げた額が予算計上され、県・市間の懸案事項となっていました。
 こうした中、湯ア知事就任後の昨年1月27日に、福祉医療費補助の問題について協議するため、知事・市長会議を開催しました。協議の結果、福祉医療費補助については、平成18年度(2006年度)に一方的に打ち出された県の方針がいったん撤回されることになりました。さらに、本年1月26日に開催された知事・市長会議の場において、本来あるべき姿として他の市や町と同じ補助率にするよう県に要望を行ないました。
 また、昨年12月9日には、平成16年度(2004年度)以降県の受取拒否により途絶えていた「主要事業等に関する広島県への要望」を復活させました。 この中では、信号機の設置をはじめ、ひとり親家庭等に対する医療費助成の充実や単県補助金の補助率の引上げなど20の要望項目を掲げ、私から直接知事に要望書を手渡しました。
 さらに、議員ご指摘の学校の耐震化についても、昨年10月20日に開催された県市町行政懇談会において、広島県市長会として県に要望書を提出しました。
 このように、県・市間の様々な協議調整の場等を通じ、本市は県に対し適宜必要な意見や考え方を述べています。今後とも、市域における県政が充実し、市民福祉の増進が図られるよう、適切に対応したいと思います。

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●最後に

(皆川けいし議員)
 私は、この場を借りて、すでに退職された方もふくめて市職員のみなさんにお礼の言葉を述べさせていただきます。
 はじめに申し上げたように私は、このたび県議会に挑戦するために全力をあげているところです。
 市職員の皆様には、24年の長きにわたり大変お世話になりました。心から感謝申し上げます。 時には、きつい言葉もあったかも知れませんが、憲法を守り、住民の福祉の向上に奉仕するという意味では、皆さんと一緒に力を合わせて頑張ってきたと自負しております。
 いま、公務員は働かないで高給をもらっているというような公務員バッシングの攻撃や官製ワーキングプアといわれる非正規職員の皆さんの低い待遇などは許せません。
 それぞれの分野で研鑚を重ね、住民全体の奉仕者としてご苦労されているみなさんの働きが正当に評価されるように、私は今後ともみなさんと力を合わせてがんばります。
 長い間、本当にお世話になったことへの感謝の気持ちを述べて、私の最後の質問といたします。ありがとうございました。

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―<再質問>―

広島西飛行場について

(皆川けいし議員)
 骨格予算については色々ありましたが、常識から見て次の市長さんが執行される予算であることは間違いないわけで、秋葉市長さんができるのは予算の決定権だけです。
 執行権は次の市長が行うことを考えたら重大な政策判断を要するような大きな事業はできるだけ新市長に委ねるというスタンスでのぞむのが当然ではないかと思います。その点で、西飛行場の問題でおたずねします。
 先日の質疑でもありましたが、5年後にはあそこの土地は県からの買い上げ、あるいは等価交換、そういうことが迫られますが、そうした場合、西飛行場はどれくらいと考えておられるのか、その他にもかかってきますが、それについて教えてください。
 もう一つは信義則だというご答弁がありましたが、県の条例案と市の条例案を見てみますと、県の飛行場を廃止する条例案にはこう書いてあります。この条例は公布の日から6月を経過した前日までに広島市において新飛行場の設置及び管理に関する条例が施行されない場合は廃止するものである。
 いいですか、6月を経過した日の前日、5月31日までに広島市において市営飛行場の設置及び管理に関する条例が施行されない場合は廃止するものということになっています。ですから、今議会に提案された広島西飛行場条例の一番最後には、この条例は公布の日から起算して6か月を超えない範囲において規則で定める日からということになっています。ということは、今回の議会でどうしても通さないといけないことはないと思います。
 あくまでも新しい市長が決まって、その下で6月までに決めればいいわけです。そういうことがある程度想定されることから、わざわざ県の廃止条例にはこういうことが明記されているのではないですか。その点をおたずねします。

(道路交通局長)
 まず飛行場の土地代ですが、これは西田議員にもご答弁しましたように、県が試算しています路線価で100億円と聞いています。
それから信義則のお話しですが、県も市も基本的には組織として決定した方針に基づいて進めているということでございます。そういった意味で、ぜひ今回の議案について可決していただきたいと思っております。

(皆川けいし議員)
 西飛行場の問題ですが、湯ア知事が新聞に対してこういう言い方をしています。新市長が市営空港の方針を変えるのであれば選挙直後の早々にやっていただきたい。そうしないと南道路との関係でスケジュールがタイトに(厳しく)なるという趣旨のことを各紙に報道されています。
 ということは新しい市長が早々に方針を決めた後、こういうことをおっしゃって、そういう点からしましたら、今度の予算議会が済んで、次の新しい市長が決まって、その市長の手で西飛行場をどうするかというのは時間的にまだ(余裕が)あると私は思います。
 あえて今後の予算にどうしても計上しないと間に合わないということではないという気がしますのでこの点はもう一度確認させて下さい。

(道路交通局長)
 新市長の方針が変わればという話ですが、昨年1月に県知事からヘリポートの提案がありました。その前提としましては、九州新幹線が3月に開通になるという中で定期路線が廃止になるということを前提としたもので、広島西飛行場としての管理運営は22年度までしかしないという前提であったかと思います。
 そういう意味で言えば、23年度からどういった体制でやるかということを事務的にはそういう同意をして今回の当初予算でお願いしているということでございます。新市長がそういった方針転換ということであれば、これまでの経緯をきちっと説明した上で対応したいと考えております。

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―<再質問>―

広島駅自由通路について

(皆川けいし議員) 
 自由通路の問題ですが、同じく岡山駅が同様な自由通路と駅舎をつくってオープンしています。この岡山駅の場合はJRの負担割合はいくらだったかお答えください。

(道路交通局長)
 岡山駅のJRの負担についてですけども、橋上駅の事業費は全体で88億円ほどでございます。JRの負担は約20億円と聞いております。ただ、これは先ほど説明しましたように21年の6月に国が自由通路の整備及び管理に関する要綱をつくっておりますが、それ以前のことです。
 この20億円の中には機能向上分も入っていますので、本市のケースとの比較ということにはなりません。この20億円を単純に比率で表しますと約23%ですので、本市の場合はこの要綱に基づきまして10%ということで負担を決めています。これはもちろんJRが当然負担すべき機能向上分を除いた額ですので、比較になる数字ではないのですが、参考までに岡山の事例はこういうことになっております。

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―<再質問>―

高速5号線について

(皆川けいし議員)
 高速5号線については、これは区画整理のために必要だという説明がありましたが、あの区画整理の図面を見ましたら、トンネルが出てくるところ、場所、それを特定して、それを基にした区画整理になっています。ですから、トンネルの入り口を前提にした事業であるというふうに思うのですが、どう考えておられますか。
 それから、いろんな可能性がまだあるわけなんです。このルートを通ったら危ないけど、こっちだったら大丈夫というのも中にあるかもしれません。出口が変わってくるわけです。それでもこの区画整理の計画案は関係なしにやるというお考えなんでしょうか。お答えいただきたい。

(道路交通局長)
 5号線につきましては、今計画決定されている、今回の予算でいえば、本体に関係ない側道部分、こういったところの工事をすることになっていますが、区画整理は側道を前提に計画されているということでございます。以上でございます。

(皆川けいし議員)
 今の5号線の部分は、これは誰が考えてもトンネルの入り口はここという図面に基づいた区画整理になっているわけですから、その点については、否定も肯定もされませんでした。トンネルの出口を前提とした計画だというふうに受け止めてよろしいんですね。それでは、今の安全検討委員会の結論には縛れられないと、市の方は考えているというふうに受け止めてよろしいんですか。

(道路交通局長)
 5号線ですけども、安全検討委員会につきましては、この安全検討委員会の結果が出れば、当然それに基づいた事業の見直しということは出てきます。先ほど答弁しましたのは、現時点での都市計画決定されている道路を想定して、今、側道の部分ですね、これを区画整理に合わせてやるということで、今、事業がすすめられております。

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トップ議会情報・議員の発言2010年第1回 2月定例会・予算特別委員会 議員発言 > 総括質問
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