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2011年12月15日 総務委員会 中原ひろみ議員の質問(大要) |
●平和問題懇話会の廃止について ●「平和宣言を読む」の作成配付の廃止について |
●平和問題懇話会の廃止について (中原ひろみ議員) 事務事業の見直しで、平和問題懇話会の解体並びに「平和宣言を読む」の作成配布を、今年度をもって廃止するという見直しの方向を示されました。これを見まして、改めてその世界が期待するカタカナのヒロシマの役割が、こういう事業の見直しによって質の低下につながってはこないのかというふうに危惧するものですから、改めて、そのへんの不安が払拭できるようなご回答を期待して質問させていただきたいと思います。 最初に平和問題懇話会の開催についてですが、これはいつぐらいから、どんな目的で始まって、前秋葉時代には、この平和宣言が成文化されるまでにどのような手順で作られていったのか、その中で懇話会はどういう役割を果たしたのか、ちょっと教えてください。 (平和推進課長) 平和問題懇話会につきましては、まず目的がですね、平和宣言に盛り込むべき内容を中心にしまして、各界の有識者から幅広い意見を聴取するということで、平成10年度から昨年度まで実施しております。 東京と広島で各1回会議を開きまして、いろんな意見をいただきまして、そのうえでこの平和問題懇話会でいただいた様々な意見を基にしまして、事務局と協議のうえで市長が平和宣言を起草するという形で作成しておるところでございます。 (中原ひろみ議員) 各界からの幅広い意見、そのための懇話会ということで理解しましたが、例えば、今年度はもうやってらっしゃらないようですが、22年度の学識経験者の方というのは具体的に肩書きとしてはどのような方だったんでしょうか。 (平和推進課長) 東京と広島で1回ずつやっておりまして、東京のほうでは、大学教授の方、作家、評論家、作曲家そういった方です。 それから、広島におきましては被爆者支援団体の代表の方、それから、やはり作家、イラストレーター、それから被爆者の方といったことで構成しております。 (中原ひろみ議員) 非常に幅広いというふうに思うわけですけれども、今年は懇話会が無い、被爆体験談を公募して選定委員会で選定したということのようですが、今年度は松井新市長のもとで、どのようにして平和宣言が作られていったのか、今までとの違いを説明願えますか。 (平和推進課長) まず、共通なところから言わせてもらいますと、最終的に市長自身が起草するというところは同じでございます。 それから今年は平和宣言の中に被爆体験談を募集するということで、被爆体験談を選定するための選定委員会を設置しました。この委員の中には被爆者でありますとか平和記念資料館長、それから原爆に関する文筆家、映像作家、それから報道関係者等々10人の委員で構成いたしまして、そこでの被爆体験の選定、それからいろんな作成に関する意見をいただきまして、それを集約する形でそれを踏まえて市長が起草しておるところです。 (中原ひろみ議員) やはり10人の選定委員の方から意見を聞かれたということですけれども、この見直し効果で24年度には48万2千円減額になるんだというふうに書いてありますが、やはり10人の選定委員の方にお願いするのであれば、これは丸々減額というふうにはならないと思うわけですが、この10人の選定委員の方々は無償でご協力いただいてるんですか。 (平和推進課長) この被爆体験選定委員会、今年初めて設置致しまして、これは謝金や諸費用を払っておりますが、その予算が19万3千円となっております。 (中原ひろみ議員) やはり選定委員さんたちの意見を聞くための費用が要るということですね。分かりました。 それで、市長自身が意見を述べるというのは、これは何でも主体性が要りますから必要だと思いますけれども、とりわけ広島、長崎と、同じ年に1回、8月6日と8月9日にそれぞれの被爆地の市長が世界に向けて平和の思い、核廃絶の思いを発信するわけです。他の都市には絶対に「言いたい」「やりたい」と思ってもできない、広島市長、長崎市長ならではの役割であります。 そういう意味からすると、大変重要な役割、宣言の中身も大変吟味が要るというふうに思うわけで、市長自身がまずお考えがあって、そしていろんな選定委員会の皆さんの意見を聞く、こういう被爆体験も募集してそれも生かすという、これは基本でありますけれども、被爆をした1945年8月6日、これはもうその一瞬のことでありますけれども、その時に受けた惨劇、そしてそれから今日に至る核廃絶の被爆者の願い、運動、そして今新たに、今年であれば福島原発の事故が起きて、それぞれの年によっていろいろ世界の情勢も変わる。8月6日だけを述べればいいということになりません。 その時その時の1年を通じて、広島が言わなきゃいけないこと、もちろん市長が言いたいこともあるでしょうが、やはり1人の思いには限界があります。やはり有識者の声を聞く、このことは避けて通れないと思うんですが、長崎のほうは起草委員会というのがあって、ここは20人ぐらいでいろいろ毎年、もう原文から20人で作り上げるという、少し広島と形が違います。 広島の場合は市長の思いがあって、それに有識者の意見、選定委員会の意見がついてくるということのようですけれども、この長崎のような起草委員会のやり方がいいっていうのを、私は時おり、被爆者団体から聞いたりもしてきたんですが、今回の見直しのなかで、長崎市のようにやってみてはどうかというようなご意見は検討されなかったんでしょうか。 (平和推進課長) 本市の場合はですね、事務的な検討などは既にやっておるところなんですけれども、市長自身が起草する方式をとっております。長崎市の場合は起草委員会の方式をとっております。 この考え方といいますのは、それぞれの長所短所があるということで、本市の場合は、その長崎はたくさんの委員の方がいるとおっしゃいましたけれども、様々な意見を盛り込む形になる。それと同時に焦点が絞りにくいというデメリットもあります。 本市の場合は、その宣言で訴えたいことがより明確になるようにということで、歴代ずっとそういうやり方をやっていまして、これまでは平和問題懇話会でいただいた意見、今年度は被爆体験談選定委員会の意見、それを踏まえたうえで市長自身が起草する形をとりたいということで判断したところでございます。 (中原ひろみ議員) 広島のほうが訴えたいことが明確になるというようなことがありまして、一長一短あるということで、どちらが良くてどちらが悪いっていうようなことを言うつもりはないんですよ。 しかし、例えばですね、今回の平和宣言、私も大変関心を持って聞いたわけですが、ちょうど8月6日の式典が終わりまして、次のいろんな団体が8月6日の記念式典するわけですが、そこへ行こうとしていたら目の前を歩いている40代のご婦人が二人、「今年の市長のはちょっと・・・」と物足りなかったニュアンスのことが聞こえてまいりました。 私もそう思っておりましたので、それはなぜかなと私自身分析しますと、やはり先ほど市長自身が起草されるというのがありました。訴えたいことが言える、市長が訴えたいことが言えるというのがありましたけれども、あまりにも他人事のように私には聞こえました。 例えば、原発問題にしても「原発に反対する人々がいる」と、こう遠くでなんかそういう人がいるなあっていうのを眺めてる感じですよね。また一方では「再生可能エネルギーを訴える人々がいる」と、またこれも眺めてる。もっと被爆地広島として、福島が繰り返されてしまった、広島、長崎を繰り返さないと願ってきた広島が、広島が繰り返したわけじゃありませんが、願ってきた広島として福島が繰り返されてしまったことについての、もっと市長としての熱い思いを語ってほしかったなというふうに思うわけです。 そういう意味でも、やはり市長の思いがあるというのは当然ですけれども、それがないとやる意味も無いわけですが、やはり今後の懇話会がありませんけど、選定委員会では被爆体験ももちろん大事です。でも、これに頼らずにもっと、その時その時の世界の情勢、国内の情勢をしっかり受け止めてもらって、リードしていただくような、核兵器廃絶、また内部被曝の解明も不十分で出来ておりません。こういう所はやはり被爆地広島として、長崎とともに内部被曝などの問題も解明するような、もっと積極的、果敢に挑戦するようなそういう中身にしていただきたいというふうに思いますが、その点のお考えはどうでしょうか。 (平和推進課長) 平和宣言というものを、市長以下わたくしどもの認識としましては、やはり被爆体験をもっと広島市民を代表してですね、広島市長自身がその時々の時代認識を踏まえながら、広島の「世界恒久平和の願い」ですとか「決意」を凝縮して国内外にアピールするものだと認識しております。 こういう考え方を持っておりますので、当然これまでの宣言で言ってきたようなことも踏まえたうえで、その時々にあったような内容を含めて、よりアピール力のある平和宣言というものを、来年度の形は未定ですけれども、先ほど言いました被爆体験談選定委員会等の意見も踏まえて、より幅広い意見も踏まえて作成するように取り組んでいきたいというふうには思っております。 (中原ひろみ議員) 被爆体験も重要ですから、それはもう大切に伝えていかなきゃいけませんが、やはり時代に応じた言わなきゃいけないこと、ぜひしっかり主体的に主張していただく宣言にしていただきたいと思います。 上にもどる ●「平和宣言を読む」の作成配付の廃止について (中原ひろみ議員) それから「平和宣言を読む」というのも無くなりました。これは22年度のこれが最後の「平和宣言を読む」になるんでしょうか。 中身を分かりやすいものにしたから、もうこれは作らないということですけれども、この「平和宣言を読む」は中学校2〜3年生と高等学校の生徒さんとその教員に配付されてきたというふうに書かれていますけれども、配付してきたということは、これの活用がどうなったかということは、その後、市として調査をされたうえで廃止ということになったのかどうか、そのへんの活用状況はどの様になっていますか。 (平和推進課長) 近いところで市立の中高等学校を対象に、昨年度配付しました「平和宣言を読む」、これの利用実績を調査致しまして、回答がありました59校のうち49校が生徒に配付しておりました。そのうち5校が授業等で平和学習に活用している、そういう状況でした。 (中原ひろみ議員) 全校で活用されていないということは随分残念ですけれども、活用している学校もあるということですね。教育委員会でも昨日聞きましたら「あまり活用していません」みたいになんかガクッとくる答弁でしたけれども、それはそれで問題があろうかと思います。 この「平和宣言」、大変薄いものですけれども、読もうと思えばかなりその気にならないと、なかなか読み応えのある重い中身ですから、サッと読むっていうのはなかなか難しいと思うんです。 毎年毎年の平和宣言は市長が読み上げられる。みやすいからもう解説書は作らないということではなくて、みやすくても難しくてもですね、とにかくその8月6日に広島市長が読んだ平和宣言を、やはりこういうふうに読んだ背景にはこういうことがあったのだと、キチッと明記して残しておくことが必要じゃないかと思うわけです。 それは例えば半世紀、被爆百周年はいつかということもありましたけれども、そういう四半世紀、半世紀後に広島の歴史を語るうえで、8月6日の平和宣言は大きく後世に残るひとつのものだと思います。被爆の体験記と同じ価値があるんじゃないかと思うわけです。 そういう意味からすれば、分かりやすくなったから解説書は要らないっていうんじゃなくて、やはり分かりやすくても、その言葉を、そういう主張をしたその背景について、やはりその時その時にピチッとまとめておくということが必要じゃないかと思いますが、その点のお考えは無いんでしょうか。 (平和推進課長) 冊子のこの平和宣言云々に付きましては、そもそも内容が難解だということで、学校への配付用を想定しておりました。そういう意味では今年の平和宣言から被爆体験談を含めまして、聞く人に共感してもらえるように易しい言葉、理解しやすい表現ということで致しましたので、解説の必要性が低くなったため取りやめることにしています。 補足ですけれども、先ほど「調査をした」と言いましたけれども、これに併せまして今年の平和宣言、これ実は今年からは平和宣言そのものを学校に配付しております。これの利用状況を確認致しますと、実際に授業で活用したという学校が14校ありましたので、これは実際にこちらの方がよく活用されていると思われます。それらを総合的に考えまして、これは取りやめていいのではないかと考えております。 (中原ひろみ議員) みやすい言葉になって活用し易くなったということは勿論あるんでしょう。しかし先ほど、繰り返しになりますけれども、今日、明日の広島じゃなくて30年、40年、50年後の広島の、私たちはもう生きておりませんけれども、その未来の広島の人たちに広島を語る場合に、ひとつの大きな材料、資料になるということは間違いないというふうに思いますので、ぜひ解説書を、全部に配れとは言いませんけど、やはり作って置いておくということは必要かと思います。 そういうことも全く必要無いと思われますか。私は作って配れと言ってるんじゃなくて、一冊でもいいから重要保管文書として残しておくことが、広島の歴史を紐解くうえで意義があるんじゃないかと申し上げたいんですが、その点はどうですか。 (平和推進課長) この中に盛り込まれているエッセンスで言いますと、「平和宣言」でありますとか「子ども平和への誓い」でありますとか、過去の年表でありますとか、そういったものがありますけれども、ここの部分につきましては可能な限りホ−ムページに残していくようなことをやっていきたいと思っております。 (中原ひろみ議員) とにかく形はどうであれ、広島の果たす役割は変わりません。そしてやはり福島のようなことがありますので、その役割は今まで以上に重要になろうかと思いますので、ぜひ毎年来る8月6日、いい中身に、本当に心に響く平和宣言にしていただきたいということを申し上げて終わります。 上にもどる |
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