トップ議会情報・議員の発言2011年第6回 12月定例会 議員発言 >文教委員会・中原ひろみ議員


2011年12月14日 文教委員会 中原ひろみ議員の質問(大要)

 ●理科室へのエアコン整備について
 ●弱視学級へのエアコン整備について
 ●平和学習について



●理科室へのエアコン整備について

(中原ひろみ議員)
 理科の教諭から、特別教室にもエアコンをつけてほしいという声が届いています。理科教室では授業で様々な実験を行います。暗幕をして行う実験や、アルコールランプなどの火器を使う実験がありますが、いずれもカリキュラムが夏場に組まれており、エアコンがないため、1時間の短時間でも、その暑さは過酷な状況だという訴えです。
 市は、学校へのエアコン整備を始められたが、特別教室への整備についてはどのような方針ですか。

(教育委員会施設課長)
 理科室、音楽室、コンピューター室の特別教室があります。そのなかで理科室については整備を予定していません。


(中原ひろみ議員)
 理科室へのエアコン整備は予定していないとのことですが、実際に理科室で授業をされている現場の教師からの訴えであり、真摯に受け止めるべきです。
 理科室にはつけないという市の方針を見直す必要があります。その為には、理科の担当教諭に直接聞くなどの取り組みが必要ですが、そのお考えもないのか。

(教育委員会施設課長)
 エアコンの整備にあたっては、まず、生徒が一日の大半を過ごす、最も使用頻度の高い普通教室への整備を最優先に考えています。ただ、特別教室でも音の影響がでる音楽教室は窓を閉め切って行うため、施設整備としてエアコンを整備しています。


(中原ひろみ議員)
 理科室は、いつも使用する部屋ではないので、費用対効果が薄いのでエアコンは整備しないとおっしゃっているのだと思うが、たとえ短時間でも、必ず理科室で授業を受けるのであり、整備するのが市教育委員会としての責任だと思う。今後の検討課題として受け止めていただくよう要望します。

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●弱視学級へのエアコン整備について

(中原ひろみ議員)
 安佐中学校には昨年度から弱視特別支援学級が設置され、1人1人のこどもの課題に応じて、成長できる体制が整備されたということは、大きな前進だと評価するものです。
 弱視の子どもたちの教育環境を整えるのは、どのような条件整備が必要なのか。必要な条件整備は全て完璧に整備されたのか。

(教育委員会特別支援教育課長)
 教育環境の条件整備は、弱視特別支援学級の設置にあたっては、教室全体の照明や1人1人の机の照度を確保する、教科書等を見やすくする為の拡大機などの条件を整える事が必要だと考えます。
 平成22年度に安佐中学校に弱視特別支援教室を整備し、照明や拡大機などの整備は実施しています。


(中原ひろみ議員)
 弱視教室への必要な教育環境条件を整備されているようだが、子どもたちは10センチ以内の距離でないと読み書きができないので、夏場には自分の息で頬が赤くなり、汗で鉛筆が滑って持てないなどの実態があると、現場の教師から教室内の子どもたちの状況を聞きました。
 弱視の子どもたちは、健常児と一緒に授業も受けていますが、教科書の文字が小さい為、時間内だけではとても理解できず、教師が夏休みの長期休業のうち27日間を利用し、朝から3時間程度の補習を実施されているとのことです。
 子どもたちも先生の補習を楽しみにして、欠席せず毎日授業に参加しているようですが、朝の時間はブラスバンド部の練習もあり、弱視の子どもたちは音に敏感なため、窓を閉めざるを得ず、光を遮る暗幕も使うと、教室のなかの暑さはとても過酷で、早急にエアコン弱視教室に整備してほしいと切実な声が届いています。
 前任の校長先生からも、弱視学級へのエアコン整備の要望書が出ていると聞いていますが、市教育委員会は、この要望をどのように受け止めているのか。また、市教育委員会として、弱視の子どもたちの学習している現場に出向かれて、教育環境の実態調査をされたことがありますか。

(教育委員会特別支援教育課長)
 指導主事が学校を訪問し、教室の状況を把握しています。
 校長先生からの要望については、平成23年3月に学校長からの相談を受けました。その後、3月7日に学校を訪問し、対応について協議しました。その際、今後夏に向けて教室環境や生徒の実態を把握したうえで、必要な対応を検討していきたいと回答しました。
 平成23年5月に、指導主事が学校を訪問し、教室環境や生徒の実態調査を行い、学校長と協議のうえ、冷風機で対応することにしました。


(中原ひろみ議員)
 移動式の冷風機で対応されているということですが、実際に補習をされている教師の方にお聞きすると、冷風機は確かに冷たい風が出て、「無い」よりはいいが、後ろから温風が出てくるため、部屋全体は暑さが増すという話も聞きました。
 先生によると、弱視の子どもの中には、汗をかかないような配慮が必要なケースがあり、冷風機でなくエアコンが必要だと訴えられました。
 校長先生からは、コンピュータールームなどエアコンが整備されている教室で補習をしたらどうかと提案いただいているが、教科書に10センチ以内まで顔を近づけるため、斜面台がないと肩の筋肉に負担がかかり、新たな病気の原因になりかねないということもお聞きした。
 弱視の子どもたちの教育環境整備には、拡大機と同様にエアコンが不可欠だということであり、来年の夏にはエアコン整備がされるようにしてもらいたいがどうですか。

(教育委員会特別支援教育課長)
 来年の夏に現場に出向き、温度調査も行い、適切な対応をします。


(中原ひろみ議員)
 弱視の教室は普通教室の半分程度の広さだと聞いています。そうなると、家庭用のエアコンでも涼しい環境を整えられるのではないでしょうか。
 特別支援学級には整備してあるエアコンが、弱視教室には無いというのは教育環境の格差があると言う点でも問題です。是非、来夏には単独にでも整備してもらいたい。

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●平和学習について

(中原ひろみ議員)
 市教育委員会が、小・中・高校生と大学生を対象に実施した「平和意識調査」の概要版を見ると、原爆が投下された日時である「8月6日8時15分」と回答できた小学生は66%、中学生は80%、高校生は82%だったが、原爆投下の年を答えられた割合は、小学生では33%、中学生では55%、高校生でも66%ぐらいに下がっている。
 原爆投下の年月日と時刻がわからない子どもが広島市で増えているという衝撃的な結果になっているが、平和に関する意識調査の結果を市教育委員会は、どのように受け止めていますか。

(教育委員会指導第二課長)
 平成22年度に「児童生徒等の平和に関する意識調査」を実施した結果をうけ、児童生徒の被爆に関する知識が十分に身についていない傾向が伺われており、このことは課題であると受け止めています。


(中原ひろみ議員)
 広島の子どもたちの平和知識が不十分だとの認識をもっておられるということだが、16年前の1995年当時の回答率は、中学生で74%、今よりもずいぶん高い回答率だった。年が進むにつれて正しい原爆投下の知識が薄らいできていると言う状況です。
 なぜ、このようになっているのか。教育委員会の平和学習に対する姿勢に課題があるのではないかと思うが、教育委員会として、学校における平和学習のあり方についてどのように分析されているか。

(教育委員会指導第二課長)
 学校の取り組みについては、各学校から取り組みについての聞き取り調査を行いました。その結果、平和教育の指導方法や内容が、必ずしも体系化されていない実態があり、これが原因の一つだと考えています。


(中原ひろみ議員)
「体系化されていない」と一言でおっしゃたが、改めて確認したい。今回の「事務事業の見直し」で、今年度で廃刊になる「平和宣言を読む」については、学校での平和教育に活用されてきたのか。
 また、「学校における平和教育の実施状況について」という報告によると、小学1年生から高校3年生までの12年間に、子どもたちが受ける平和教育の時間数は、小学1年生では年間3.8時間、6年生が一番多くて10時間、高校生になると2時間程度という状況がある。
 1人の広島の子どもが高校生を卒業するまでに受ける平和教育の時間は60時間という実態となっている。12年間で60時間の平和教育というのは十分とは言えません。学校には様々なやるべき課題があり、平和教育は削られる対象にならざるを得なかったのではと思うが、その辺の分析はどのようにされているか。

(教育委員会指導第二課長)
 道徳の時間、総合的な学習の時間を使い、平和学習を実施しています。校長先生からの聞き取り調査によると、小学校と中学校で教材が重複していると言う声がありました。義務教育課程のなかで、指導方法や教材を発達段階に応じたものにしてほしいとの意見があったので、見直しを検討しています。


(中原ひろみ議員)
 平和教育の教材を見直すということだが、中国新聞の記事によると「平和教育のプログラム」を策定中と報じている。具体的にどのような方針で新しい平和教材を作られているのか教えてほしい。

(教育委員会指導第一課長)
 平和プログラムの策定方針は、12年間を見通した4つの基本方針に従い、平和プログラムを策定しています。
 1つ目は、学習指導要領に基づき、小学校から高等学校まで発達に即した目標及び主な内容を設定し、各教科等に関連付けたテキストを策定すること。
 2つ目は、原爆の惨禍の事実にとどまることなく、市民が平和への願いや希望を持ち、生活を営み、広島市の復興に寄与してきた事実を合わせた内容とすること。
 3つ目は、体験的な学習や基礎的、基本的な知識、技能を活用した学習、児童生徒の興味関心を生かした自主的、自発的な学習を重視すること。
 4つ目は、持続可能な社会の実現に係る学習として、小学校ではよりよい社会の形成に参画する能力の基礎を培う活動、中・高等学校では国際社会の諸課題を探求する活動を重視すること―などの基本方針で策定しています。
 内容は、発達段階において4つのプログラムで構成しています。現在教材を開発中ですが、小学校の1年生から3年生までのプログラム1では、絵本や読み物を通して、被爆当時の様子や人々の気持ち、命の大切さについて学ぶ内容、小学4年生から6年生までのプログラム2では、読み物や写真などの資料を通して、郷土の発展に努めてきた人々の復興への思いや願いについて考える内容、中学校におけるプログラム3では、写真や統計などの資料を通して被爆の実相について理解するとともに、世界平和に係る諸問題について考える内容、高等学校におけるプログラム4では、写真や映像などの資料を通して被爆の実相を科学的に理解するとともに平和な世界を実現するための役割について考える内容と、それぞれの発達段階に即したものになるよう鋭意検討を進めています。


(中原ひろみ議員)
 製作中の教材が良いものになるように期待していますが、良い教材ができたとしても、ヒロシマの被爆の実相だけでなく、原爆投下を過去の出来事にしない、今に生きる平和教育にするには、大所高所から語る教師の力量が問われます。
 福島原発事故が発生し、放射能の危険性を学びたいという大勢の人が、改めてヒロシマを学び直そうとしているなか、被爆地ヒロシマの子どもたちの平和教育の内容と教師の力量は、全国をリードすることが期待されています。平和教育に関する教師の研修はどのようにされるのか。

(教育委員会指導第一課長)
 現在も教育センターを含めて平和教育に関する研修講座等を行っています。平和教育プログラムを策定したのちには、プログラムの内容についての研修が必要になると考えています。教師にわかりやすい指導方法を書いた手引書をプログラムのテキストと合わせて策定します。


(中原ひろみ議員)
 研修や指導手引書による先生方の指導力の向上にも期待するところですが、「平和宣言」を見ると原爆を投下したアメリカに対する戦争責任を問う文言がありません。また、福島原発事故で避難されてきた方からの率直な疑問でもあるのですが、資料館の展示には「内部被爆」の問題が解説されたコーナーがありません。
 内部被爆については、原爆認定訴訟で国が連敗しながらも未だに認めていないというなかで、内部被爆の展示や解説は難しいのかもしれませんが、被爆地ヒロシマとして被爆者が抱えている課題、未だに解決されていない黒い雨の問題、内部被爆の怖さについても、しっかり学び理解していただく取り組みも教師の側から始めてもらいたい。
 加えて、教師集団の研修や子どもたちへの平和学習に活用してはいかがかと思い一冊の本を紹介します。「原爆の子をうけついで」という11月30日に発刊されたばかりの本ですが、被爆者の手記や子どもたちの平和への思いを短歌にしたものが掲載されています。子どもたちの平和に対する率直な思いが述べられており、改めて子どもたちの力を感じたところです。是非、平和学習や研修のテーマのひとつとして活用されてはどうかと提案しておきます。

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