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2011年10月18日 分科会・総務関係 中原ひろみ議員の質問(大要) |
●業務委託の低入札について ●指定管理者制度によるコストダウンについて |
●業務委託の低入札について (中原ひろみ議員) 広島市は様々な業務を民間業者に委託したり、指定管理者による公共サービスを提供している。今日は、委託業務や指定管理者のもとで公共サービスに携わって働く人たちが、人間らしい生活ができる当たり前の賃金が当たり前に支払われ、もらえるルールが確立ができているかということについて検証し、人間らしく働ける賃金を受け取ってこそ、質の良い公共サービスも提供できというる立場から質疑します。 まず、広島市の委託業務の件数と公募、非公募の指定管理者の件数を教えてください。 (物品契約課長) 平成22年度における年間を通じて行う業務に係る委託業務は387件。 (行政改革推進課長) 平成22年度末の指定管理者制度の指定件数はトータルで187件。公募は98件、非公募は89件となっている。 (中原ひろみ議員) 年間の業務委託は387件ということだが、ゴミ収集業務、道路の維持管理業務、清掃業務の3つの委託業務について、平成22年度の落札率はどうなっていますか。それぞれの委託件数と平均落札額と最低落札率をお聞きする。 (物品契約課長) 平成22年度の落札率は、年間を通じて行う業務のうち、廃棄物の収集運搬処理、いわゆる浄化槽の保守点検業務は入札件数が112件。そのうち70件が低入札。平均落札率は56.7%。道路・公園等維持管理業務の入札件数は39件、そのうち19件が低入札で、平均落札率は68.5%。建築物の清掃業務については、入札件数が11件、そのうち9件が低入札で、平均落札率は52.9%となっている。 (中原ひろみ議員) いずれも低い入札だが、今日の質疑で特に問題にしたいのは、ゴミ収集運搬業務の業務委託に係る入札である。ゴミ収集運搬業務の業務委託は、平成21年度と比較して平成22年度は低入札件数が26件から70件へと2.7倍に増えている。 とりわけ、家庭系固形状一般廃棄物収集運搬業務委託の入札状況を見ると、南区の「資源・有害ごみ」の落札率で、29.65%という3割にも届かないウルトラ低入札の委託が発生している。 清掃・警備・道路管理など広島市全体の12業種の業務委託の入札価格調査の実態を見ても、21年度と比べ、22年度は業務委託全体の低入札件数も67から129件へと倍のペースて増えており、この状態を是とすれば、毎年、低入札ばかり増え、ダンピングが加速している。3つの委託業務において、予定価格と落札率との差額は金額ベースではどれくらいになるのか。 (物品契約課長) ゴミ収集、道路の維持管理、警備の3つの業務につきまして、予定価格の総額は48億7100万円。それに対して契約金額は28億2900万円で、その差額は約20億4000万円となる。 (中原ひろみ議員) わずか3つの委託業務だけで、予定価格と落札額との差額は20億円にもなっている。この20億円が丸々民間事業者の契約額にはならないが、この半分の10億円が落札額に上乗せできたとしたら、委託業者の賃金に反映でき、潤った暮らしを提供できると考える。 先ほど紹介した南区の「資源・有害ゴミ」の収集運搬業務では、予定価格は約6400万円だが、落札率が29.65%のため、契約金額は1900万円、その差額は約4500万円となる。たった1社で4500万円も低い入札。このような低入札の状態が果たして正常だと言えるのか。私は異常だと思うが市の認識を聞きたい。 (物品契約課長) 昨今の厳しい経済情勢のなかで業者間での受注競争が激しくなっているものと考えている。 (中原ひろみ議員) それは答えになっていない。競争が激しくなって、異常なほどの低入札になっていることについて、市はどのように感じているのかと聞いている。何故、低入札になったかと聞いているのではない。つまり市は、このような低入札を是とされているということなのか。 目の前のゴミがなくなれば、そのゴミを収集している労働者がどんな低賃金で非人間的な労働にさらされていても関係ないと市は考えているのか。委託業務で働く人は公務の一旦を担っているのだから、公共サービスの一翼を担う人の暮らしにまで、市が心をはせることこそ必要ではないのか。 ここで少し、低入札の結果、どのような事態になっているか事例を紹介する。1年以上前の事ではあるが、市民から、時間内にゴミ収集がされていないと苦情が届いた。中区の環境事業所が委託業者を呼んで話を聞くと、業者が目の前で倒れた。この真相は、受託業者が低入札のためコスト削減を強いられ、安い賃金で素人を雇い入れてゴミ収集運搬業務を行ったため、担当する区内・地域のゴミステーションの場所や交通規制などの道路事情がわからず、時間内に収集できなかった。 一方、ゴミ収集運搬に従事している労働者は、何とか時間内にゴミ収集をしようと昼ご飯も食べず飲まず食わずで働いたために倒れてしまった。このような事例は、異常な低入札が、市民サービス低下と公共サービスに従事する労働者の健康被害にもつながっているということを示している。 各区にどれくらいのゴミステーションがあるのか調べました。中区と東区合わせて14,507か所、一番少ない区は安芸区で1,957か所、南区は13,225か所、区単位では最も南区がゴミステーションが多い。にもかかわらず、一番の低入札となっている。私は心が痛む。「競争の結果だから業務委託は安くて当然」にしてはならない。法律でも、不適正で遂行できない価格であってはならないとされています。 低入札だと1人当たりの人件費が、確実に賃金として支払えているのか疑問である。昨年の決算で取り上げた警備業務は、一日・1人一万円で積算されると聞いた。一時間当たりでは1200円という勘定になるが、入札率を人件費の積算単価に乗じた場合、少なくても落札率が60%以下では最低賃金以下になってしまう。広島県の最低賃金は710円のぎりぎりである。60%でも最賃のぎりぎりなのに、30%という低入札ではまともに賃金が支払えていないと思わざるを得ない。 市は、これまでの議会での質問に対し、労働者への賃金支払い状況確認を検討すると答弁されているが、その後どのようにされているのか。 (物品契約課長) 業務従事者への賃金の支払い状況の確認については、今年度の委託業務から低入札価格調査を強化している。低入札案件について事前に業務従事者の配置計画や支払賃金の計画書の提出を求めた上で、契約を締結している。 今後、業務完了時には業務従事者の配置計画や支払賃金報告書の提出、賃金台帳などの支払い賃金が確認できる資料の提出を求めることにより、賃金の支払い状況を問確認することにしている。 (中原ひろみ議員) 今年度から業務完了後に賃金の適正な支払いが履行されているかどうか確認されるということだが、業務の完了後まで待たなくても、毎月、支払われている賃金の状況はすぐに把握できると思う。 従事する労働者の際限ない賃下げにブレーキをかけるためにも、最低制限価格の導入などにより、これ以上の低入札に歯止めがかる、入札時の取り組みが必要ではないか。業務委託の入札において最低制限価格制度の導入は無理なのか。 (物品契約課長) 契約の適正な履行と公正な取引を確保するために、低入札価格調査制度を導入してきた。そのため、厳しい経済環境のもと以前として落札率が低下するなど激しい事業間の競争が続いている。 そのため、現在、低入札の状況、適正な業務の履行の確保などについて業種ごとに点検を行い、総合的に見てどのような措置が必要かどうか検討しているところである。今後、こうした点検、見直しを踏まえ、今年度末に予定している平成24年度の業務委託については、新しい入札制度を導入していきたいと考えている。 (中原ひろみ議員) 平成24年度からは業務委託について新しい入札制度を導入されるということなので、低入札に歯止めがかかることを期待しておきます。 上にもどる ●指定管理者制度によるコストダウンについて (中原ひろみ議員) 続いて指定管理者について伺います。 指定管理者制度の基本的な指定期間は4年です。公募を続ければ指定替えが行われるたびに、市民サービスを提供する職場で、新たな失業者を生み出すことになる。駐車場の指定替えでは、都市整備公社から民間企業に替わり、市が働いていた人たちの首を切ったという事態にもなった。期限付きの雇用である限り、非正規で雇用せざるを得ず、指定管理者という制度のしくみそのものが不安定雇用を広げる一因になっている。 そうしたなか、2010年12月28日付で、「指定管理者制度の運用について」という総務省自治行政局長の通達が出されていますし、片山総務大臣の記者会見もありました。この通達と記者会見にもとづいて質疑します。 広島市では2006年から指定管理者制度が導入され、二度目の選定がされたが、初回と二度目の指定管理者の選定により、削減したコストを教えてください。 (行政改革推進課長) 指定管理者制度を導入した当初の指定期間、平成18年度から平成21年度までの間、平成17年度との比較では、単年度で約20億円の削減になった。平成22年度からの指定期間については、見込み額でいうと単年度で約3億円の削減が見込まれている。 (中原ひろみ議員) スタート時には単年度で20億円、指定替えで3億円の大幅な削減がされたということだが、指定替えの度にコスト削減することはもう限界だと思う。片山総務大臣は、「単なるコストカットのツールとして使う事は理解不足だ」「指定管理者制度の一番の目的は、住民サービスの向上である」と会見で話されている。 具体的に指定管理者のサービスの状況を見ると、確かに公共サービスの向上のために努力がされている。例えば森林公園では、夏休みの期間中に開園日の拡大や開園時間を延長するなどしてサービス向上に努力されている。しかし、4年間の契約で契約金額がコンクリートされているので、年度途中で拡大された新たなサービス提供のための人件費である早出や残業代が保障されているのかと疑問がわく。 市は指定管理者制度のもとで働く労働者の賃金が適正に支払われているか把握されているか。 (行政改革推進課長) 指定管理者が民間事業者の場合の従業員の労働条件については、平成19年に調査したことがある。その時点では、労働関係法令は遵守されていた。 (中原ひろみ議員) 平成19年度からすでに4年が経過している。この間には指定替えがあり、指定管理者が変わった施設も少なくない。例えば、イベントの受付開始時間を一時間早めたという指定管理者があるが、この早出の一時間の賃金はどうなのか、また、中小企業会館では、要望があれば日曜日も開館するサービス拡大がされている。このような新たなサービスを提供している指定管理者で働く人に、適正な賃金保障がされているのか適宜、調査すべだがどうか。 (行政改革推進課長) 労働関係法令の順守については、平成22年度、第二回目の指定替えで、指定管理者との基本協定書のなかに条項を追加した。労働基準法、最低賃金法、その他労働者の使用に関する関係法令を順守する事という文言を明記し、指定管理者に労働関係法令の順守と徹底を図っている。 調査については、従業員の労働条件は基本的には法令の範囲内で指定管理者の裁量に委ねられるものと考えている。しかし本市としては、確実に関係法令が守られるようにするためにという事で、基本協定書の改定を行っている。これまで、労働関係法令違反の事例は発生していないので、定期的な調査は考えていない。 (中原ひろみ議員) 現在のところ、関係法令は守られているということのようだが、今後とも働く人の労働条件が悪化することのないようしてほしい。 また昨日は、県の緑化センターで木製の手すりが折れて高齢者が3メートルも落下したという事故がありました。西区の業者が指定管理を受けていたようですが、この業者は過去においては広島市の竜王公園などの指定管理者にもなっていたようです。 施設の安全性確保は基本的に必要な経費です。削減してはなりません。コスト削減で安全性が脅かされるようではサービス向上にはなりません。今後の指定替えにおいて、施設の安全確保ができる経費が確保されているか、無理な経費節減がされていないかという視点からも指定管理の経費の見直しが必要ではないか。 (行政改革推進課長) 施設の安全確認については、9月の常任委員会において指定管理者の業務の実施状況について報告している。いずれの施設も適正に管理されている。今後のコスト削減については、当初の指定期間平成18年から21年の間で相当なコストが削減されたと考えている。 さらに大幅な経費削減を図ることになれば、サービス低下や安全性へのおそれがでてくるので、平成22年度からの指定替えでは一律のカットではなく、管理経費のこれまでの実態、業務量の見込みなどを踏まえて、それぞれの指定管理の上限額を設定している。 (中原ひろみ議員) 指定管理のコスト削減も限界に聞いているということだ。限界値を維持すると緑化センターのような事故につながりかねない。現代美術館からは学芸員の確保、スポーツセンターからは指導員の確保など社会教育に携わる指定管理において専門職が採用により中長期的な計画が立てられるようにしてほしいとの声も届いています。指定管理者のサービス向上が保障できる契約金額にしてもらうことを求めておきます。 上にもどる |
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