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2011年10月17日 分科会・文教関係 中原ひろみ議員の質問(大要)

   ●特別支援教育の充実について
   ●学校事務センターの評価について



●特別支援教育の充実について

(中原ひろみ議員)
 言葉や情緒に課題がある子どもたちが通う通級指導教室の必要性は高まっています。発達障害児の出現率は6.3%と言われており、この数値を広島市に当てはめれば約6300人、1学年に約700人の発達障害児がいる計算になる。
 平成17年には発達障害者支援法が施行され、発達障害が法律上位置付けられ、平成18年度には文部科学省通知や学校教育法施行規則の一部が改正により、通級による指導の対象に、学習障害(LD)及び注意欠陥多動性障害(ADHD)が加えられ、発達障害を持つ児童・生徒の通級による指導が法令化された。
 これらの国の新しい動きをどのように捉えて施策をつくり、どんな戦略を持ち、発達障害児にどのように目を向けていこうとされているのか、質疑を通じて検証したいと思います。
 最初に、発達障害者支援法などの国の動きに対し、市として何かアクションをおこした事業・取り組みはあるのか。広島市において発達に障害を抱えている児童・生徒は何人いるのですか。

(特別障害児支援課長)
 発達障害者支援法などの国の動きを踏まえ、広島市では平成15年度から学習障害など特別な支援を必要とする児童、生徒等の総合的な支援体制の整備を図るため、特別支援教育体制充実事業を実施し、巡回相談指導を行うとともに、平成17年度から緊急に学校生活への支援、配慮の必要な児童生徒が在籍する学校に対して、特別支援教育アシスタントの配置を行っている。
 次に学習障害など特別な教育的支援を必要とる児童生徒数は、医師の診断に基づき保護者が申し出たものと、学校が配慮を必要とすると認めたものを合わせて、小中学校においては本年度は200校、2,582名で、通常の学級に在籍する全児童生徒の2.7%となっている。


(中原ひろみ議員)
 平成15年から発達障害児への支援はスタートしているとのことだが、広島市が策定している広島市発達障害者支援体制づくりプログラムには、特別教育支援課が担当されている事業は2つしかない。
 1つは巡回指導を行う特別支援教育体制充実事業の実施、もう1つは特別支援アシスタント事業の実施のみである。これらの事業も大切ではあるが、もっと根本的に必要なことは、1人ひとり違う課題を持つ子どもたちに直接支援する「通級を増やす」「通級指導教員を増やす」という項目がない。通級の必要性を感じておられないということなのか。

(特別支援教育課長)
 情緒障害通級指導教室においては、小中学校の通常の学級に在籍する情緒障害、自閉症、学習障害、注意欠陥多動性障害のある児童生徒が、1週間に1時間から3時間程度、教室に通い個別または小集団での遊びや活動を通して、人とのかかわり方を学ぶなど、1人ひとりの課題におうじた指導を受けている。
 広島市としても通級指導教室における専門的な指導は重要であると考えており、その必要性については認識している。しかし、通級指導教室の拡充や担当教諭の増員については、本市単独で行えるものではなく、教員定数の配当権限を有する県教育委員会と協議を行う必要があり、本市のプログラムには掲載していない。


(中原ひろみ議員)
 広島市には教員を配置する権限がないから通級増設のプログラムにも項目がない、広島県に問題があるというふうに聞こえてくるが、目の前の子どもたちを支援する必要性からすれば、市の取り組みは遅れている。
 具体的な事業の中身について聞くが、平成22年度に特別支援体制充実事業として実施されている学校への巡回相談は、目標を達成し、事務事業の評価は「花まる」になっているが、何回どこの学校に誰が行き、どのように取り組まれたのか。

(特別支援教育課長)
 専門家チームによる巡回相談事業は、平成22年度には年度内に申請のあった144の幼稚園、学校に対して延べ179回の巡回相談指導を実施し、特別な教育的支援を必要とする児童生徒等への指導の充実と、総合的な校内支援体制の整備等について助言、指導を行っている。


(中原ひろみ議員)
 要請のあった学校に巡回指導するのは当然であり、発達障害児が在籍していない教諭や学校においても発達障害について学ぶことは大切であり、広島市の目標と値そのものが低いと思う。もっと積極的に発達障害への認識と指導を学ぶ取り組みが必要だ。
 ある保護者から次のような声が届いた。
 「保護者の要望があれば、校長先生の判断で子ども療育センターの保育士や広島大学にこにこルーム心理士など、外部の専門家に学校に来ていただけると聞いていたのに、校長先生がご存じでなく、せっかく市内にある専門知識・人材が活かされていない」
 実際に、校長判断で外部の専門の学校訪問が要請できるのか。校長先生にはどのように徹底されているのかお聞きする。

(特別支援教育課長)
 特別な支援を必要とする児童生徒に適切で必要な支援を行う為に、各学校が専門的な関係機関と連携していくことは重要であると考えており、これまでも各学校が利用できる専門的な関係機関等について教育ひろしまや研修会等で周知してきており、今後も引き続き各校長に情報提供を行たいたと考えている。


(中原ひろみ議員)
 発達障害の有無を見極めたり、その後、支援の中身について、一人ひとりにカルテのような支援プログラムを作成するうえでも、市内の専門家の力を大いに活用する方策をもっと考えることが必要だ。校長先生だけでなく保護者にも情報提供されるよう求めておきます。
 さて、巡回相談や特別支援教育アシスタントなどの取り組みも必要だが、やはり発達障害児の支援を強化するには、通級指導教室の増設と専門教諭の増員が基本である。広島市内には通級教室はどれだけあるか。通級している児童生徒数と、自校通級と他校通級の子どもの人数と、全て自校で指導を受けるためには、何校にいくつの学級が必要なのか。

(特別支援教育課長)
 情緒障害通級教室は小学校で5校、7教室、69人の児童が通っている。このうち、自校通級は8人、他校通級が61人。中学校では2校、2教室を設置し、22人の生徒が通っている。このうち自校通級が1人、他校通級が21人という状況である。
 すべての子どもが自校で通級するためには、既存の設置校に加えて、小学校においては43校、43教室、中学校においては18校、18教室が必要となる。


(中原ひろみ議員)
 自校の通級教室に通うというベストな状況にするためには、小中学校合わせて61教室が必要となる。他校通級が必要な児童の場合、小学生は親の送り迎えが必要となる。しかし、週に1回か2回でも働いている親は仕事を抜けることは難しい。親の送迎ができず諦めているケースはないのか。小学生の場合、遠い子はどのくらいの距離を通っているのか。

(特別支援教育課長)
 親の送迎ができないために通級を諦めているケースはないと把握している。最も遠い学校に通っている事例として、安芸区から中区の袋町小学校の通級指導教室に通っている児童がいる。


(中原ひろみ議員)
 安芸区から中区までの距離を週に一度でも通うには、往復の時間もかなり必要となる。
 通級による指導時間は、LD児は年間に35〜280単位、週1〜8単位、 ADHDは年間10単位〜280単位を保障することになっており、本来の授業を抜けて通うのですから、近くの学校か、自校で指導を受ける事が最善だということを改めて申し上げておく。
 次に、中学校ではこの4月からは西区の中広中学校で通級教室が整備され、やっと2校になったが、昨年度までは段原中学校のみであり大変に遅れていた。
 小学生の時に通級教室に通っていた児童が、中学生になって1人で段原中学校の通級教室にきちんと通えているのか市は掴んでおられるか。また、発達障害の通級教室に在籍した児童は、小学校だけで障害による学習、生活上の困難を克服できるのか。小学校で通級教室に通っていた子どもが、中学に進学してもしっかり個別の丁寧な指導をうける必要性・重要性についてどのように考えているか。

(特別支援教育課長)
 中学校においても指導を継続する必要性のある生徒がいることから、平成21年度に段原中学校に、平成23年度に中広中学校に情緒障害通級教室を開設した。現在、小学校において通級教室に通い、卒業後、中学校で通級の必要性のある生徒は全員、段原中学校と中広中学校の通級教室に通っている。
 必要性については、小学校だけで発達障害の子ども達の課題の克服は難しいと考えており、希望がある場合には引き続き中学校でも指導をおこなっており、その必要性はあると考えている。


(中原ひろみ議員)
 中学校でも通級指導の必要性があるとの認識だが、平成21年度に国が特別支援と少人数指導のための教師を増やすという方針を出し、必要な自治体は申し出よという取り組みがされたのに、広島市は国に通級教室の増設の要望をしなかったと聞いているが、それは本当か。2,500人の発達障害児がおり、自校通級できないという遅れた状況でありながら、なぜ国に要望しなかったのか。

(特別支援教育課長)
 平成21年度当時、中学校に初めて情緒障害の指導教室の設置をしたところであり、小学校においても5校、7教室を設置していたことから、当時は既存の通級指導教室で対応できるものと判断した。


(中原ひろみ議員)
 十分対応できると判断したということだが、その判断は市の勝手な都合であり、実際には送り迎えの親の苦労もあり、子ども自身にとっても、自校通級が望ましいのであり、今後は通級教室の増設をしっかり進めてほしい。
 他都市は発達障害者支援法が施行されて、通級学校を増やす計画を策定している。横浜市では、「専門性のある通級指導教室は、小学校、中学校への支援の拠点である。センター的機能が期待される」として通級教室整備5カ年計画を策定して、市内を10カ所に区切り、その区域内には最低でも1校の通級教室を整備しようとされている。
 広島市は、今後の通級指導教室の計画的な整備の必要性についてどのように認識しているのか。

(特別支援教育課長)
 今後の新たな教室の整備については、児童生徒の障害の状況や、保護者のニーズ等を踏まえ、教員定数の配置権限を有する県教育委員会と協議を行いながら検討していきたい。


(中原ひろみ議員)
 通級指導教室の重要性を市から県にしっかり訴えて、教室の整備を進めてもらいたい。少なくても、小学校は各中学校区に最低でも一校を設置する。中学校は、各区に一校の通級教室を増設する計画をつくるべき。そのような計画を立てるとなると、中学校は残り6区に必要だが、小学校においては、中学校区に通級教室がないという校区がいくつあるか。

(特別支援教育課長)
 情緒障害通級が設置されていない中学校区は57校区となる。


(中原ひろみ議員)
 小学校は中学校区に1つ、中学校は区に1つという目標を持つと、小中学校を合わせて63学級が必要となる。多くの教室数になるが、戦略的な計画を立てて実現に向けて努力してほしい。
 さて、我が子が発達に課題があるという保護者の方から聞いた話だが、「就学指導の担当教諭が、入学時に普通学級と特別支援学級のことしか保護者に説明しない。通級教室の存在を言わない」と聞いた。保護者が「通級教室に通いたい」と相談すれば、「まず通えませんよ」「情緒は一杯で空きがない」と言われたという事なのだが、なぜ通級教室を知らせようとしないのか。市は、どのような方法で通級教室の存在を知らせているのか。

(特別教育支援課長)
 そのような事実は把握していない。保護者のニーズに応えられるようにしている。広島市では各学校のホームページをはじめ、教育委員会が行っている就学相談や各療育施設が行っている就学説明会で紹介をしている。小・中学校でも校長会、幼稚園長会、保育園長会において紹介を行い、各学校から保護者への周知をしている。


(中原ひろみ議員)
 浜田市では、「こんにちはつうきゅうきょうしつです」という案内パンフレットを作成し、新学期に全ての小・中学校の新入生に配布し、通級教室の存在を知らせている。予算も多額にはかからない。特別支援教育の必要のない保護者にとっても市の教育の取り組みの一つを紹介すると言う点で効果があるし、特別支援の必要な子どもを持つ保護者にはとてもありがたい情報となる。
 ホームページだけでなく、保護者の手元に残るパンフレットなどでしっかり通級指導教室の存在を周知すべきである。広島でも検討してはどうか。

(特別支援教育課長)
 今後、検討していきたい。


(中原ひろみ議員)
 次に特別支援教育コーディネーターについて質問します。
 平成19年4月1日に文部科学省の通知がされた。「特別支援教育の推進について」で、配慮の必要な生徒について、校内委員会の機能を充実させて校内体制を整えると明記しています。
 広島市でもこの通知を踏まえ、特別支援教育コーディネーターを養成されているが、その役割と研修はどの程度されているのか。

(特別教育支援課長)
 各学校における特別教育推進のために、主に校内委員会の運営や校内研修の充実、関係諸機関と学校との連絡調整、保護者からの相談の窓口を担っている。平成23年度の特別支援教育コーディネーターの数は、幼稚園は27園に27名、小学校は142校に154名、中学校は64校に67名、高等学校8校に10名の計244校に258名となっている。
 専門性の向上を図るため、平成16年以降、発達障害のある児童生徒への理解が深まる研修を毎年5回程度、教育センターなどで行っている。今後の質の向上に努めていく。


(中原ひろみ議員)
 広島市は特別支援コーディネーターは教諭が兼務されています。そうしたなか、次のような苦情が保護者から寄せられました。担任の先生が特別支援コ―ディネーターだったので、我が子の状況を知ってほしいと担任に話しをしようとしたが、「クラブ活動の顧問で忙しいと言って話をしっかり聞いてくれない」とのことでした。
 確かに先生は多忙であり、学校現場ではこのような事が起きてしまうのかもしれないが、このような事の一つひとつが学校への不信になったり、特別支援コーディネーターの質を疑うことにつながっていく。保護者との連携・協力が必要なのに、話ができないのではコーディネーターの意味がないが、広島市はこのような状況をどのように受け止めているか。

(特別支援教育課長)
 特別支援コーディネーターがその役割を果たし、保護者の気持ちを理解し、一人ひとりの子どもの実態に応じたきめ細かな指導に努めてまいりたい。なによりも資質向上が重要だと感じている。


(中原ひろみ議員)
 資質の向上が重要であることは言うまでもない。「資質の向上が重要」だと言葉で言うのは簡単だが、片手間でやる分野ではない。市はコーディネーターの人数を増やされているが、保護者からは「人数が増えても専門的な知識を持たない人では、何人増えても意味がない」との声もある。
 午前中も臨時教師の質を問う質疑があったが、教育は臨時でやるべきものではない。山口県では、50人を県内で地域を決めて責任をもって支援する体制をとっています。
 発達障害者支援法が整備されたということは、発達障害児への支援が重要だと国が認めたということであり、他県や他都市の先進例も学びながら、広島市としても特別支援コーディネーターの専門性を向上させることを正面から捉えて努力してほしい。
 最後に特別支援学校での発達障害児への試験方法についてお聞きします。
 平成19年4月1日付けで文部科学省から「特別支援教育の推進について」という通知がされ、発達障害児の場合、中学校や高校入試のさいに、静かな場所でゆっくり聞く、出題方法の工夫など配慮が必要だとしている。そうでないと正しい能力が評価できないとされているが、広島市の中学校の試験等において、発達障害児に対する配慮はどうなっているか。

(指導第一課長)
 中間試験などでの配慮については、中学校においては一人ひとりの障害の状況等を十分に把握し、テストの公平性は維持したうえで適切な配慮を行うことが必要だと考えている。
 各学校においては校長、教科担当者、特別支援コーディネーターが連携を図って発達障害のある生徒一人ひとりの教育的なニーズを的確に把握し、日頃から教育支援の充実を図るとともに、中間試験などにおいては、例えば、時間を延長する、別室での試験を実施したりなどの配慮を行うようにしている。

(指導第二課長)
 高等学校の入試についての配慮については。障害のある生徒の受験にあたって、当該志願者の状況等を考慮して、必要があれば特別な措置をとることにしている。そのため、中学校校長会、中学校教頭会、進路指導研修会、入学者選抜の事務手続き説明会において繰り返し説明し、特別措置の徹底を図っている。
 各中学校では、進路説明会や個人懇談会において受験に際しての特別措置について保護者や生徒への周知に努めている。


(中原ひろみ議員)
 受験時に特別措置ができるということですから、通級指導教室の存在をはじめ、そのことを保護者に周知すべきだがどうか。

(特別支援教育課長)
 保護者や市民に知らせていくということは大変に重要だと考える。今後ともいろんな情報提供をしてまいりたい。



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●学校事務センターの評価について

(中原ひろみ議員)
 平成22年9月から安佐南区をモデルとして学校事務センターが設置されている。学校事務センターの目的は何か。事務センターと学校事務職員の仕事の仕分けはどうなっているのか。市費事務職員が学校現場から引き抜かれたということだが、学校の事務職員の総人数と身分はどうなったのか。

(総務課長)
 学校事務センターは、学校事務の効率化と負担軽減を図ることを目的として、安佐南区に先行的に実施したものである。センターでは安佐南区の小中学校で行っている事務の一部、教育委員会事務局で行っている事務の一部を集約移管し、県費教職員の旅費の入力事務、備品購入事務、施設修繕事務などの学校事務をセンターで集中的に処理している。
 また、学校に対する支援指導、学校事務職員を対象とした実務研修の実施、消耗品の共同購入等についても事務センターで検討している。職員の数は、安佐南区内の小中学校の標準法で配置している事務に対して、加配している市費の事務職員の18人を臨時職員にし、安佐南区事務センターに11名を配置した。


(中原ひろみ議員)
 市費の事務職員11名を事務センターに集め、引き抜いたあとは臨時に換えられた。7名は市内の学校で吸収したと言う事だと理解している。課題を検証するという名目で安佐南区にモデル開設されたのだから、課題をしっかり検証すべきという意味から質疑させてもらう。
 開設から一年が経過し、現場からは様々な問題点が伝えられている。連絡調整会議のメンバーが実施されたアンケートに寄せられた具体的な声を紹介し、課題を指摘していきたい。
 最初の問題は、臨時には業務に限界があるという課題です。午前中の質疑でも「臨時教員は研修が無い」という発言がありましたが、臨時の事務職員も研修が無いのです。研修が無いということは責任が無いということ。責任が無いということは、責任のある仕事は任せられないということなのです。責任がある仕事は誰がやるかというと、県費事務職員の正規職員が一手にやらざるを得ない。
 実際に現場でどんな事が負担になっているかというと、臨時職員は、公務の外出先で事故に遭った場合、市が責任を持てず保障できないので、外に出かける仕事はしてはいけないという外出禁止令があると聞く。そのため、正規の事務職員が、給食代の未収金を銀行に振り込む事務で外出しなければならない。
 期日までに全ての児童・生徒が給食代を持参すれば、一括入金できるのだが、期日を超えて納入された給食代は、いつまでも手元に保管できないので、集まった金額を週に2回のペースで銀行に納めている。
 この時の作業は個人ごとに振り込みをしなければならず、この作業に時間がかかる。この業務は臨時職員に行っていただきたいが、外に出かけられないという制約に困っている。
 次の問題点は、旅費の支給事務が二度手間になっているという点です。
 事務センターが旅費の管理をしていますが、時間がかかりすぎている。具体例として、10月分出張計画書を11月初めに事務センターに提出したが、実際の旅費が支給できたのは2月の初めという状況だったという事例が発生しています。
 出張計画書に基づいて入力したものに、仮に入力ミスがあっても検証不能となりやすいことや、旅費が教師の研修を保障する経費であり、学校において執行状況を常時把握できない状況では、有効な計画は組めない。旅費の執行状態を掴み、来年度予算を学校が把握するには、自校でも旅費のシステム入力をしなければならず、センターと学校の双方が入力するいう二度手間になっている。何のために旅費をセンターで入力しているのか無意味だという声です。
 次は、事務センターでの設備修繕事務は、急を要する現場修繕に間に合わないと言う課題です。これまでは30万円未満の修繕について校長裁量で業者の選定と契約をしていたが、事務センターが行うことになり、緊急を要する修繕の場合、センターでの対応が間に合わず、従来どおり学校で修繕する事例が発生している。
 迅速な対応が求められる学校にとっては、事務センターを通すことに意味はあまりないということもあるのですが、このような問題点があることを市は課題として認識されているか。

(総務課長)
 学校事務センターの課題として、まず旅費の入力は、県費の旅費の入力事務を学校事務センターで集約している。一部、県外出張は学校現場で行っている。入力事務がセンター設置当初に旅費の入力が遅れたということで、直ちに分担を調整し、その事態には対応している。いろんな課題があるということは現場から声を聞いている。
 一方で、センターの設置により県費事務職員の膨大な旅費の入力事務、備品購入事務の集約により、学校現場の負担が軽減されたという声もある。予算の効率的な執行が図られたと言う声もある。学校事務職員で構成する地区連絡調整会議により情報の共有化、事務の適正化の検討、実務研修の実施により必要な知識の習得が図られたという声もある。職員の資質向上の面でも一定の成果が上がっていると認識している。 紹介された課題については、事務処理方法の改善、制度の見直しについて検討している。


(中原ひろみ議員)
 事務センター開設で、改善された面もあるが、学校の負担軽減、学校の自立性の拡大を図るという制度の目的からすれば、課題は大きいといえる。連絡調整会議のメンバーが実施されたアンケートでは、「事務センターができて学校の負担軽減になったか」という質問に対して、「実務負担が軽減し仕事がやりやすい」と答えた人はゼロ。
 一方、「前より負担増となった」という答えが12人となっている。このアンケートの対象数が96人で、回答が寄せられたのは22名程度ですが、それでもこのアンケート結果から方向性は見えてくる。市教委の思いに反して、「負担が減った」と回答した人がいなかったという点は衝撃的だと思う。
 財務会計システムなど、平成25年度はシステムの改革の変わり目となっている。市は25年度には全市に展開するとしているようだが、拙速に結論をださず、事務センターの課題や、小中学校の現場の実態をしっかり把握して慎重に進めていただきたい。 また、学校現場で活用されてきた小規模修繕契約希望者登録制度の活用が事務センターになると、小回りが利かなくなり利用が難しくならないのかと心配の声もあるがどうか。

(総務課長)
 小規模修繕希望者登録制度については、事務センターで設備修繕事務を行うようになっても活用数は増えており、引き続き制度の利用を図る。様々な現場の声を聞いて進めていきたい。


(中原ひろみ議員)
 市費の事務職員を引き上げて臨時に置き換え、人件費を1800万円削減できたことが最大の目的だったいうことのないように、現場の負担軽減がされているかしっかり検証してほしい。検証もないまま全市に拡大することはやめてほしい。


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