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2011年10月18日 分科会・消防上下水道関係 村上あつ子議員の質問(大要) |
●防災・避難訓練について ●津波・地震の想定について ●高潮対策について ●土砂災害の対策について ●民間施設の耐震化について ●危機管理上の課題と今後の取組について |
●防災・避難訓練について (村上あつ子議員) 東日本大震災から7か月半が経過しましたが、はじめに震災直後から支援に駆けつけておられる消防局のみなさんには心から「お疲れ様」ですと敬意を表したいと思います。 これまで経験したことがない未曾有の被害に全国民が心を痛めているところですが、それだけに災害に対する関心も高くなっていることも事実です。そこで、現行の市の防災計画の見直しをしていかなくてはいけないという立場で質問を行っていきたいと思います。 はじめに、地域ごとの防災訓練は、どの範囲で行われているのでしょうか。また、どれくらいの頻度で実施されているのかお聞きします。 (予防課長) 地域ごとの防災訓練は、小学校区を単位とした「生活避難場所運営マニュアル検証訓練」などの訓練を、昨年度27回実施しています。 また、町内会、自治会単位での防災訓練は、消火訓練や応急手当などの訓練を、昨年度133回実施しています。 (村上あつ子議員) 防災訓練には幅広く参加した方がよいと考えるが、そのための方策はどうされていますか。 (予防課長) 防災訓練の実施にあたっては、できるだけ多くの住民に参加していただくために、地域住民の方々が主体となって、地域の関係団体と連携した訓練を実施していただいております。 また、併せてAEDを活用した応急手当、降雨体験装置による降雨体験や女性消防団員による防災創作劇などのあらたな要素を取り入れ、住民の方々が興味をもって参加しやすい訓練となるよう取り組んでいます。 (村上あつ子議員) 災害はいつ、どんな時に襲ってくるかわからないわけです。今お聞きしたのは、自主防災等が主体となった地域でおこなわれている防災訓練でしたが、様々な場所で避難訓練・防災訓練を行うことは大事と考えますが、病院や事業所などはどうしているのでしょうか。 (防災課長) 消防法では、収容人員が一定規模以上の病院や事業所などの防火対象物の管理権原者は、防火管理者を選任し、その防火管理者が作成した消防計画に基づいて、火災の発生などを想定した訓練を実施することとされています。 さらに、大規模な店舗やホテルなどの防火対象物の管理権原者は、防火管理者に加え防災管理者を選任し、その防災管理者が作成した消防計画に基づいて、火災はもとより地震などの災害を想定した訓練を実施することとなっています。 (村上あつ子議員) 今、市内でどれくらいのところでそういった訓練がされているのでしょうか。 (予防課長) 具体的に防災管理者による訓練につきましては、大規模な建物でございますので、たとえばアルパークであるとか大規模百貨店であるとか、大学校とかいったところで、市内129対象がございまして、それぞれ消防計画に基づく防災訓練・地震等を想定した訓練を実施していただくこととなっております。 (村上あつ子議員) 公共施設や事業所単位で防災訓練をすることは大事なことだと考えますが、これについてはどのようにされていますか。 (防災課長) 防災訓練を実施することは非常に重要なことだと考えておりますので、今後とも地震などの災害を想定した訓練を取り入れるよう、病院や事業所の関係者に指導してまいります。 (村上あつ子議員) 東日本の震災の経験で、保育園で預かっていた子どもの被害はありませんでした。それは毎月行っている避難訓練の成果で、職員も子どもたちも落ち着いて行動ができて、しかも津波を想定した避難訓練もされており、園長先生の賢明な判断で、いつもの訓練よりもっと高いところに避難して全員無事だったというところもありました。 普段の訓練の場所にとどまっていたら波にさらわれていたということなんです。こういう判断ができるのも日頃から訓練をしていたからだと思います。つくづく普段からの防災訓練が大事だと思うわけですが、避難する際、ひとり暮らしの高齢者、自力で避難することが困難な障害者などの把握と避難体制はどうなっていますか。 (防災課長) 本市では、平成19年度に広島市災害時要援護者避難支援事業基本方針を策定し、健康福祉局が中心となり、災害時に自力で避難することが困難なひとり暮らしの高齢者や障害者などの災害時要支援者が安全かつ確実に避難できるよう、地域における情報伝達や避難誘導の仕組みづくりを進めています。 災害時要支援者の把握については、健康福祉局で抽出した対象予定者リストに基づき、民生委員・児童委員の戸別訪問による避難支援の要否などの実施調査により行っています。 災害時要支援者の避難体制については、要援護者が迅速かつ適切に避難支援が受けられるよう、あらかじめ登録した要援護者の避難を支援する者(避難支援者)や避難路などをあらかじめ整理した「避難支援プラン」を要援護者一人ひとりに対して作成し、避難が必要になった際、地域の関係団体と協力しながら、避難支援者を中心に、情報伝達、避難誘導等の避難支援を行うこととしています。 (村上あつ子議員) 昨今、隣の人がどんな人かわからない、関心がないなどといった状況があり、なかなか地域のコミュニティーがつくれないという課題があるなかで、自力で避難できない人たちへの支援体制を民生委員中心に取り組んでいるということを言われましたが、さまざまな地域の状況に応じて、消防局も連携して取り組んでいただきたいと思います。 上にもどる ●津波・地震の想定について (村上あつ子議員) 次に津波・地震についてですが、津波や地震の想定はどうなっていますか。 (災害予防担当課長) 本市の現行の地震被害想定については、平成15年度に国から東南海・南海地震に関する学術的な知見等に基づく被害想定が示されたことを受け、広島県が平成18年度に実施した「広島県地震被害想定調査」をもとに、平成19年度に「広島市地震被害想定調査」を実施しています。 その中では、本市に大きな被害が及ぶ可能性のある地震は、(1)東南海・南海地震、(2)己斐断層による地震、(3)五日市断層による地震、(4)岩国断層帯による地震、(5)安芸灘〜伊予灘の地震の5つを想定しています。 これらの地震規模はマグニチュード6.5から8.5、市域における最大震度は5強から7で、震度が最も大きいものは五日市断層による地震の7となっております。 また、これらの5つの地震のうち、海底を震源とするものは、東南海・南海地震と安芸灘〜伊予灘の地震であり、そのうち東南海地震と南海地震が同時に発生した場合において、津波が発生すると想定しています。 その内容については、津波によって潮位面が上昇する高さは市内で最大0.6メートルとなっており、津波の到達時間は、地震発生から2時間30分頃まで引き波が続いた後、数位は上昇に転じ、地震発生から約4時間後に最大水位になると想定しています。 (村上あつ子議員) 5つの地震を想定し、最大震度7の地震で、津波は60センチを想定しているということですが、東海、東南海、南海の3つが複合して大きな地震が発生し、また、津波も2メートルということも指摘されています。これら地震・津波の課題はどのように考えておられるのでしょうか。 (災害予防担当課長) 東海・東南海・南海のいわゆる三連動地震が仮に発生した場合には、現行の想定を上回る地震・津波による被害が発生することも十分考えられます。 平成19年度に本市が実施しました地震被害想定においては、東南海・南海の二連動地震しか想定していないため、今後、これに東海地震を加えた三連動地震を含めて想定を行うことが必要であると考えています。 現在、国においては、先般の中央防災会議の地震・津波対策に関する専門調査会による報告等に基づき、東海・東南海・南海地震について想定地震の設定方針の係る検討が進められていることから、本市においては、これらの内容などを踏まえたうえで、広島県等関係機関とも十分連携を図りながら、現行の地震被害想定や地域防災計画の見直しを行い、その内容を防災対策に反映させていくこととしています。 上にもどる ●高潮対策について (村上あつ子議員) 次に高潮対策についてですが、先週末、タイのバンコクでは大規模な洪水による被害が拡大しています。5か所の工業団地すべてが浸水し、日系企業310社も水に浸かったという報道もあったばかりです。 広島市においても、先月末は高潮注意報が発表されて潮位が通常の20〜30センチ高くなり、実際に浸水した地域も出ました。また、広島市は6本の河川があり、6年前には大雨によって太田川は氾濫し、大きな被害が出ました。排水能力をアップするといったことなどもこの間、対応されてきているところですが、高潮護岸の整備はほとんどが国と県の所管になっています。 護岸工事の総延長はとても長く、予算も莫大かかるという大事業です。市としては、急いで工事を進めるよう要望すべきだと考えますが、護岸対策のソフト対策として、先般作成され、配布された洪水ハザードマップをしっかり活用していくことが必要かと考えます。活用計画はどうなっていますか。 (防災課長) 洪水ハザードマップは、大雨により河川が氾濫する恐れがある場合などに、市民の安全な避難を確保するため、浸水が想定されている区域や深さのほか、避難場所や土砂災害危険箇所等を表示し、浸水時の避難場所や避難経路の確認に活用していただくとしております。 このマップには、洪水のほかに、高潮や津波による浸水想定区域図なども掲載し、本年6月〜7月に市内全戸に配布を行い、これに併せ、地域の自主防災組織等を対象とした説明会を順次開催しています。 (村上あつ子議員) このハザードマップは、はっきり言って人気がありません。「見にくい」「わかりにくい」と言われているわけですが、情報としては貴重な情報が入っていると思います。せっかく作ったものですから、しっかり活用していくことが大切だと思うわけです。細かく説明を聞き、わかれば大切にされるものですので、説明会等にも力を入れていただきたいと思います。 上にもどる ●土砂災害の対策について (村上あつ子議員) 次は、土砂災害の対策についてですが、土砂災害の被害想定はどうなっていますか。 (防災課長) 広島県の調査によると、本市域内における土石流危険渓流や急傾斜地崩壊危険箇所等の土砂災害危険箇所は6,040か所あります。 広島県では、これらの土砂災害危険箇所について、土砂災害防止法に基づき、基礎調査を実施した上で、土砂災害警戒区域等に指定しています。 指定された区域については、自主防災と行政が連携して「土砂災害警戒避難マニュアル」を策定し、避難勧告などの情報の伝達方法、避難場所や避難経路などを定め、警戒避難体制を確立しています。 また、このマニュアルの作成後は、地域住民への周知や、実際に適切な内容となっているか確認するために検証訓練を実施しています。 (村上あつ子議員) 今回の大震災を機に、大規模盛り土団地での土砂崩れの心配が大きくなっております。これについては宅地開発の方へも質問をしてきたところですが、答弁であったように、6,040か所も土砂災害危険箇所があるということで、あらためて大変なことだと思うわけです。消防局とも連携して対応をしていただきたいと考えます。どのようにお考えでしょうか。 (防災課長) 大規模盛り土団地につきましては、関係局と連携していきながら対応していきたいと考えております。 上にもどる ●民間施設の耐震化について (村上あつ子議員) 次に、民間の病院や私立の学校、幼稚園、保育園の耐震化の状況についてですが、これもそれぞれの所管局の問題になりますが、各所管において把握しているのかといえば、例えば保育園の場合、子ども未来局は民間の保育園については把握していないのが実態です。これについては問題にしているところですが、民間の施設について、所管局も把握しておく必要は当然ありますが、消防局としてもつかんでおく必要があると考えます。この点の必要性についてのお考えをお聞きします。 (防災課長) 本市の市有建物の耐震化にあたっては、区役所や消防署等の防災拠点となる施設や生活避難場所となる学校の施設を中心に進めていくため、これらの耐震化の状況は把握しておりますが、しかし、委員ご質問の私立の学校等については当局では把握しておりません。 従いまして、これにつきましては関係部局に問い合わせるなど把握に努めたいと考えております。 (村上あつ子議員) まずは、関係部局がきちんと把握してそのうえで、消防局との連携をおこなっていただきたいと思います。 上にもどる ●危機管理上の課題と今後の取組について (村上あつ子議員) 最後に、消防局として、危機管理をするにあたって課題と今後の取り組みをどのように考えているのかお聞きします。 (防災課長) 災害による被害を最小限にとどめ、被害の拡大を防止するためには、「自助」「共助」「公助」がバランスよく機能する必要があると考えています。 特に、東日本大震災では、市民の防災意識の差が生死を分けたとの指摘もあることから、市民の防災意識を向上させ、「自助」「共助」にかかる行動力をいかに高めていくかが重要な課題であり、「公助」の部分でこれを支援することが必要です。 「公助」の面では現在も、市民の防災意識を高めるために、市政出前講座や自主防災組織と連携した各種訓練、研修などに取り組んでいますが、東日本大震災で得られた教訓を踏まえ、平常時から市民が災害に備え、災害時には的確に行動できるよう、よりいっそうの意識啓発を図ってまいります。 (村上あつ子議員) 冒頭に言いましたように、本当にいま、市民の関心が高まっていると思います。こういう時だからこそ、より一層、災害を最小限の被害にとどめ、また、災害が発生した後の対応も市民の理解と協力が大変重要だと思いますので、頑張っていただきたいと思います。 今日は原発については触れませんでしたけれども、さきほどの質問で、「原子力被害については県と連携して島根県に情報の提供を求めていく」と答弁されましたが、これは非常に消極的な答弁だと思いました。 実際はもっと原発に関してお考えをお持ちだと思っていますので、現に3月12日に支援に行かれた際も放射能感知器を持って行かれているわけで、もう少し、力強い答弁を期待してことを申し添えて質問を終わります。 上にもどる |
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