トップ議会情報・議員の発言2010年第1回 2月定例会・予算特別委員会 議員発言 > 総括質問


2010年2月19日 本会議 中原ひろみ議員の総括質問

 「核兵器のない世界」について
 子育て支援と扶養控除縮小について
 失業者をホームレスにしない支援について
 失業者をこれ以上出さない取り組みについて
 仕事おこしと雇用拡大・持続可能な地域づくりについて
 若草町地区市街地再開発事業への貸付について
 保育政策について
 学校の適正配置計画について
 地域交通の維持・発展を願って
  再質問 ― 学校統廃合について (PDF 115KB)
  


「核兵器のない世界」について

(中原ひろみ議員)
 「核兵器のない世界」の追求は、いまや核保有国も含めた世界の圧倒的世論=市長の言葉で言えば「世界の多数派」となっています。この世界の多数派の意思に国際政治がどこまで応えることができるか、が問われるNPT再検討会議まであと二カ月となりました。
 市長は昨年の「平和宣言」で「現代に生きる私たちの世代が核兵器を廃絶しなければ次の世代への責任を果たしたことにならない」として「核兵器のない世界実現のため渾身の力を振り絞る」と宣言されましたがその思いは全く同じです。
 いま問われているのは、どうすれば人類はこの目標に到達できるのかということです。それを現実のものにするうえで日本共産党は「二つの核心をなす問題」があると考えています。
 第一は、核軍縮の部分的措置の積み重ねだけでなく、核兵器廃絶そのものを主題とした国際交渉をすみやかに開始することです。この立場は、広島市を始めとする平和市長会議が掲げる「ヒロシマ・ナガサキ議定書」と同じ立場であり、世界のNGOを初め国際政治の大勢とも合致したものです。
 しかし、核保有国の現実は決して楽観できる状況ではありません。昨年9月の国連安保理の首脳級特別会合では、核保有五カ国を含む全会一致で「核兵器のない世界のための条件を築くこと」が決議されました。しかし、その三カ月後の12月の国連総会では、マレーシア政府が提案した「核兵器禁止・廃絶条約の早期締結のための交渉開始を求める決議」が圧倒的多数の賛成で採択されましたが、核保有国でこの決議に賛成したのは、中国、インド、パキスタンであり、アメリカ、イギリス、フランスは反対しています。とりわけ、被爆国である日本政府が、棄権したことは許せないことです。
 五月のNPT再検討会議が全ての核保有国に対して、核兵器廃絶にむけての国際交渉をすみやかに開始する立場に立たせることができるかどうか、まさに国際的な世論と運動にかかっているといっても過言ではありません。こうしたNPT再検討会議の成功にむけた市長の決意についてお聞きします。

(秋葉市長)
 まず、NPT再検討会議に向けた決意についてですが、昨年4月にオバマ大統領がプラハで「核兵器のない世界」に向けた演説を行い、9月に国連安全保障理事会で核兵器廃絶決議が全会一致で採択されました。さらに、今月上旬には米国とロシアとの間で新たな戦略兵器削減条約の基本的考え方が固まるなど、世界は今、核兵器廃絶に向けて大きく動きだしています。
 そのような中で開催される本年5月のNPT再検討会議は、「核兵器のない世界」の実現に向け、大変重要な会議になると考えています。核兵器廃絶を求める世界の多数派の市民は、その力を結集して、核保有国をはじめとする各国政府が、国家の利益よりも人類の生存を最優先で考えるという政治的な意志を持ち、「核兵器のない世界」を一緒に創ろうと決意するよう、働きかけていく必要があります。
 国内外の3,500を超える都市が加盟する平和市長会議は、2020年までの核兵器廃絶に向けた具体的な道筋を示す「ヒロシマ・ナガサキ議定書」がNPT再検討会議で採択されることを目標に様々な取組を行っています。
 引き続き議定書の採択を目指すことはもちろん、NPT再検討会議が2020年までの核兵器廃絶に向けた実質的な進展をもたらすものになるよう総力を挙げて取り組んで参ります。


(中原ひろみ議員)
 第二の核心をなす問題は、「核抑止力」論から脱却することです。これまでの日本政府や、現在の民主党政府も否定していない「核の傘」つまり「核抑止」は他の国の核兵器の脅しから、自らの「安全」を守ろうという考えですが、自国の核であれ、他国の核であれ、核の脅しに頼り、核使用を前提とする点では少しも変わりありません。「核抑止力」論、「核の傘」論こそ、「核兵器のない世界」への最大の障害であり、国際社会が、とりわけ被爆国、日本がこの誤った考えから抜け出すことが強く求められます。
 秋葉市長は、一昨年の平和宣言で、「これまで都市を人質として利用してきた「核抑止」論そして「核の傘」の虚妄を暴き(中略)、核兵器による呪いから解き放ち、世界に核兵器からの自由をもたらす責任・・・」についてふれておられますが、NPT再検討会議を前にして、今こそ、日本政府に対して「核抑止力」論との決別を強く求めるべきではないでしょうか。市長のお考えをお聞かせ下さい。

(秋葉市長)
 次に「核抑止論」についてですが、核兵器は、罪のない女性や子どもたちまでも一瞬にして無差別かつ大量に殺傷するだけでなく、放射線被害という形で長年にわたって人々を苦しめる残虐で非人道的な兵器であり、いかなる理由であっても決して正当化できるものではありません。
 「核抑止論」あるいは「核の傘」といった一見無害かつ権威に縁取りされた言葉の陰に隠されているのは、核兵器が使用されれば、被害を受けるのは年だという事実です。
 罪のない子どもを含め都市の市民を人質にとることによって国際政治が動いている異常さに、私たちは慣れてしまっています。そうしたレトリックの異常さに気づき、子どもたちに明るい未来や美しい地球を引き継ぐことを最優先すべきであると考えています。
 こうした考え方のもと、本市は、日本国政府に対し、国要望や平和記念式典などの機会に「非核武装の法制化や核兵器を『作らせず、持たせず、使わせない』という新たな非核三原則の提唱」を求めるとともに、「国民的な議論により『核の傘』に頼らない安全保障体制を作り上げるよう要望しています。
 今後とも機会を捉え、日本国政府に対し、強力に要請していきます。


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子育て支援と扶養控除縮小について

(中原ひろみ議員)
 鳩山新政権は、高校授業料の無償化や、中学生までを対象にした子ども手当を、今年4月から支給するとしていますが、その財源を、子育て世帯の増税に求めるのでは効果は半減です。
特に、高校生部分(16歳から18歳)の特定扶養控除縮小は、すでに公立高校の授業料減免を受けている世帯、市立高校の平成20年度の実績では生徒の11.7%が減免を受け、その内478人はすでに全額免除されていますが、この世帯には、所得税・住民税だけを押しつけることになります。
 お母さんたちは、「一番お金のかかる高校生のいる家庭が増税なんてひどい」「手当とセットに扶養控除をなくすのはおかしい」と、戸惑いの声をあげています。
 子育て支援の財源は、庶民増税でなく、大企業・大資産家への行き過ぎた減税をやめることや、年間5兆円もの軍事費にメスを入れて確保すべきです。
 今回の税制改正には、所得税・住民税の年少分(16歳未満)の扶養控除の廃止もあり、実施されると、所得税は2011年分から、住民税は2012年から増税になります。
 所得税や住民税が増税になると、市民税額を基礎として算出される国民健康保険料や保育料、さらに、市民税が非課税かどうかで福祉諸制度の利用や負担額に影響します。
 広島市は地方自治体としてその影響を早急に検証し、少なくとも市民税の増税以外に影響が広がらないように、制度の利用基準や負担基準の見直しなど、必要な手立てをとる必要があります。どうされるお考えですか。

(健康福祉局長)
 国の平成22年度税制改正大綱では、「所得税、個人住民税の扶養控除等の見直しにより、これらの税額等と連動している国民健康保険料、保育料等に影響が生じることになるが、今回の税制の見直しの趣旨を踏まえ、制度の所管府省において、負担の基準の見直し、経過措置の導入など適切な措置を講じる。」とされています。
 本市としては、今後の国の動向に留意しつつ、必要に応じ、国に対して働きかけを行うなど、適切に対応してまいります。


(中原ひろみ議員)
 また今後、政府は配偶者控除や23歳以上の扶養控除の廃止も検討するとしていますが、他の多くの制度に影響を及ぼし、市民負担を増大させることはやめるよう政府に求めるべきです。どうされますか。答弁を求めます。

(こども未来局長)
 国の平成22年度税制改正大綱では、配偶者控除や23歳から69歳までの成年を対象する扶養控除の見直しについて、今後議論するとしており、国の動向を注視していきたいと考えています。
 なお、本市としては、今後、国に対しより一層の子育て支援策の充実を要望するとともに、子ども手当の財源は全額国庫負担とするよう引き続き要望してまいります。


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失業者をホームレスにしない支援について

(中原ひろみ議員) 
 昨年に続き今年も、家と仕事を失った多くの人が「派遣村」で年を越し命をつなぎました。広島市でも年末に一日だけ開設された相談会には、「働きたいのに仕事がない」「風呂に入りたい」と、70名もの労働者が相談に見えました。あるトラック運転手は家賃が払えないので、トラックで生活していると言います。貧困のひろがりは深刻化しており、人間の命の存続・暮らしを維持することが危機的な状態になっています。
 雇い止め、派遣切りされ再就職先がないまま失業給付が切れ、ホームレスになってしまう事例も発生するなど、日本は世界一の冷たい国です。一昨年、マツダを派遣切りされた労働者が、「解雇と同じなのに、『自己都合退職』」扱いとされ、三カ月間の雇用保険しか支給されないのは納得できない」と、(日本共産党)市議団に相談にこられました。この労働者は勇気を出して、国に「雇用保険の延長」を求めた結果、「サポート期間も含めて同一雇用主と算定され、雇用保険期間を180日間に延長する特定受給資格者」とする画期的な裁決が先日、下されましたが、この間、企業による社会保険料逃れなどの違法・脱法行為によって雇用保険から排除され加入していない失業者も多く、雇用保険の延長と合わせて、失業者をホームレスにしないための生活・住宅支援が、緊急かつ切実な課題です。
 厚生労働省社会・援護局は、昨年の10月30日、各自治体に対して、「緊急雇用対策」における貧困・困窮者支援のための生活保護制度の運用改善について」、続く12月25日には「失業等により生活に困窮する人々への支援の留意事項について」という通達を出し、保護申請者に可能な限り速やかな敷金等を支給することや、一時的にビジネスホテルやカプセルホテルを利用した場合の宿泊料も支給してよいとし、家のない失業者への安定的な住居の確保の観点を強めるよう求めています。
 新年度は、生活保護業務の充実を図るため、区役所生活課の職員を25人増員し、今年度も前倒しで増員されています。新しく生活保護業務に携わるケースワーカーの皆さんは、もちろんですが、すでに生活保護業務を担当されている職員も含めて、この通達の内容をきちんと徹底させ、市民の生活実態をしっかり聞き、頼りになるケースワーカーにスキルアップすることが必要ですが、そのための研修はどのようにされるのですか。

(健康福祉局長)
 各区役所生活課の生活保護を担当する新任の職員に対し、健康福祉企画課が、年度当初に研修を実施しています。
研修では、業務に必要な知識を習得させるとともに、面接の手法や心構えなどを指導しています。また、日常の業務の中で、課長や保護係長が、個別にケースワーカーを指導するとともに、保護受給者の処遇検討会等において、実践的な職場研修を行っています。
  なお、厚生労働省社会・援護局の通知の内容については、すでに各区役所生活課に周知を
図っており、新任研修においても説明を行います。


(中原ひろみ議員)
 この三年間で生活保護を開始した人は何人ですか。そのうち、失業や事業不振・倒産などを理由にした保護世帯は何世帯ですか。

(健康福祉局長)
 生活保護を開始した世帯数は、平成19年度(2007年度)は、2,232世帯、昨年度は3,029世帯、今年度は1月までの10か月間で3,629世帯です。
 そのうち、失業や事業不振・倒産を理由に保護を開始した世帯数は、平成19年度(2007年度)は137世帯で全体の約6%、昨年度は379世帯(約13%)、今年度は1月までの10か月間で523世帯(約14%)となっています。


(中原ひろみ議員)
 失業期間中の労働者で、住宅手当を受けている人は何人ですか。

(健康福祉局長)
 離職者を対象に昨年10月から始まった住宅手当については、本年1月末現在、59人に支給決定しています。


(中原ひろみ議員)
 市内のホームレスの人数と、ホームレスに、市が保証人となり住居を確保する等の支援を行う考えはないのか伺います。

(健康福祉局長)
 本市のホームレスの人数については、平成20年(2008年)1月時点では103人、昨年111人、本年は89人となっています。

 ホームレスから生活保護の申請があったときは、保護の受給要件を確認し、保護を適用できる場合は、必要に応じて保証料を支給し、住宅を確保させています。

(中原ひろみ議員)
 失業者の少なくない人が、生活保護は「高齢や病気で働けない人」しか利用できないと間違った理解から、「働ける若いうちは、生活保護は受けられない」と諦めてホームレスになっている人もいます。職を求めて多くの失業者が立ち寄るハローワーク等を通じて、生活保護の制度が正しく理解されるように市として手立てを尽くすべきだと思います。どのようにされますか。

(健康福祉局長)
 生活に困窮している人に対して、生活保護制度を知る機会が身近にあることが、重要であると考えています。
 このため、ハローワークでは、生活保護制度を紹介したパンフレットを置き、必要に応じて、福祉事務所の窓口を紹介していただいています。
 また、本市では、生活困窮による電気やガスの料金滞納者に対して、各種支援策や相談窓口を紹介したチラシを、電気やガス会社の窓口で配付していただくようお願いしています。
 今後とも、ハローワークなどと連携しながら、生活保護制度の周知を図ってまいります。


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失業者をこれ以上出さない取り組みについて

(中原ひろみ議員)
 現在、自動車産業はエコカー減税・補助金など、政府の「景気対策」で増産となっていますが、この増産を、またもや非正規雇用で支えようとしています。
 マツダ(株)は昨年、労働者派遣法違反を指摘され、派遣労働者100人を直接雇用しましたが、この労働者は期間の定めのある期間工です。「雇用契約満了」ということで雇止めとなる可能性があります。鳩山首相は、「いくらたっても正社員になれない、これは悲劇」「できるかぎり正社員的な状況で待遇を改善しながら雇ってもらうよう望みたい」と述べ、企業・経済界に申し入れると約束しています。
 市も、マツダに対し、これ以上の失業者を出さず、正規雇用に転換し雇用を守るように申し入れるべきです。どうされますか。

(市民局長)
 マツダとは、これまで必要な都度、情報交換を行っており、一昨年9月のリーマンショック以降、数度にわたり雇用の安定について申し入れています。
 最近では、昨年9月に雇用の安定に努力するなど適切に対応していただきたい旨の申し入れを行い、また、今月15日に、引き続き雇用の安定を図るよう申し入れを行いました。
 今後とも情報交換を継続するとともに、申し入れについても、状況に応じて適切に行ってまいりたいと考えています。


(中原ひろみ議員)
 新政権は、製造業の派遣や登録型の派遣、一番不安定な派遣を原則禁止するとしていますが、実施時期を3年・5年と先延ばし、一年以上の雇用が見込まれる製造業への常用型派遣は、禁止の例外にするとしています。これでは「抜け穴」にしかなりません。
 使い捨て雇用にストップをかけ、低賃金、不安定雇用を解消するには、労働者派遣法を早急に抜本改正することが必要です。国に早期の見直しを求める考えはありませんか。
 さらに、派遣労働者の正社員化と、最低賃金の引き上げなどにより労働者が安心して働き暮らせる「ルールある経済社会」の必要性について市長の認識を伺います。

(市民局長)
 派遣労働については、国において、本年3月に登録型派遣や製造業務派遣の原則禁止などを内容とする労働者派遣法の改正案が国会に提出される予定であり、また、最低賃金については、今後国において引き上げの課題等について検討されることになっています。
 こうしたことから、派遣労働や最低賃金の見直しが進められるものと考えられ、本市としては、労働者派遣法改正案の国会審議等、今後の動向を注視してまいりたいと考えています。

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仕事おこしと雇用拡大・持続可能な地域づくりについて

(中原ひろみ議員)
 マツダで派遣切りされたある労働者は、30回以上もハローワークに通ったが、仕事がなく自殺を考えたと言います。また、夫婦ともに派遣切りされた世帯では、夫婦とも仕事がみつからず、精神的に追い詰められ、メンタルクリニックに通院する事態にまでなっています。「働きたいのに働く場所がない」という社会が、人間性を深く傷つけ、生きる希望さえ奪っています。雇用拡大は急務、かつ不可欠な課題です。
 まず、大企業にこれまで溜め込んできた巨額の内部留保(埋蔵金)を使い、雇用維持・雇用拡大の社会的責任をはたさせることが不可欠です。市として大企業に雇用拡大を申しいれるお考えはありませんか。

(市民局長)
 景気は一部に持ち直しの動きが見られますが、雇用情勢は、昨年12月の県内の有効求人倍率が0.55倍と低い水準に止まっており、完全失業率も高止まりするなど、依然として厳しい状況にあります。
 本市としては、このような厳しい雇用情勢を踏まえ、昨年12月、広島商工会議所等の6つの経済団体に対して、求人の確保及び従業員の雇用維持について要請を行い、会員企業への周知を依頼しました。
 今後とも、経済団体を通じるなど機会を捉えて、企業に対し、求人の確保等を要請していきたいと考えています。


(中原ひろみ議員)
 さらに、行政が率先して公的就労を大胆に確保すべきです。指定管理者制度の導入前と比較して、この五年間に公共サービスを担う分野で、正規職員と臨時・嘱託などの非正規職員数はどのように変化していますか。削減された人件費はいくらになりますか。

(企画総務課長)
 本市の正規職員は、平成17年度(2005年度)に12,067人であったものが、平成21年度(2009年度)には11,790人となり、277人の減となっています。また、公益的法人のプロパー職員は、平成17年度(2005年度)に1,573人であったものが、平成21年度(2009年度)には1,498人となり、75人の減となっています。
 次に、非常勤職員と臨時職員を合わせた非正規職員についてですが、本市の非正規職員は、平成17年度(2005年度)に、3,467人であったものが、平成21年度(2009年度)には4,358人となり、891人の増となっています。また、公益的法人等の非正規職員は、平成17年度(2005年度)に867人であったものが、平成21年度(2009年度)には1,013人となり、146人の増となっています。
 本市及び公益的法人等を合わせた人件費を平均給与等を基に算定すると、平成21年度(2009年度)は、平成17年度(2,005年度)に比べ、約7億円の減となっています。


(中原ひろみ議員)
 嘱託・臨時などの不安定雇用でなく、正規雇用へと転換し、公共職場のワーキングプアをなくすべきですが、その必要性について市の認識をお聞きします。

(企画総務局長)
 本市における非常勤職員の任用は、専門的な知識・経験が必要な業務等で、勤務時間がおおむね週30時間で対応可能なものなどについて、また、臨時職員の任用は、軽易な事務や作業等の補助的業務などについて行っています。
 こうした中、生活保護世帯数の増加など増大する行政ニーズへの対応や、教員、消防、医療技術職など一定数の職員配置を必要とする職種の要員の確保を図るため、毎年度、正規職員の採用を行っています。
 今後とも、厳しい財政状況が続くことが予想される中、多様な雇用形態の職員を組み合わせながら、複雑かつ多様化する行政需要に対応できる効率的・効果的な執行体制の整備に努めてまいります。


(中原ひろみ議員)
 4月から、26箇所の路上駐車場等の指定管理者から外れた都市整備公社では、39人の臨時職員が解雇となり、仕事を失います。この39人の臨時職員の皆さんは、全員の再就職に市が責任をもつべきだと、2月1日に組合を結成されました。自治体が自ら導入した制度によって働く者を路頭に迷わせることはあってはならないことです。数年ごとの解雇と失業者をつくりだしていく指定管理者制度は止め、公的職場の雇用破壊に歯止めをかける事が必要です。公共職場で解雇者を出すことに市は責任を感じないのですか。全員の再就職にきちんと責任をもつべきですが、どうされるのですか。

(都市整備局長)
 臨時職員は現在39人おり、その平均年齢は64歳を超えています。また、この臨時職員は、雇用契約上、雇用期間が1年以内で、かつ雇用期間の満了をもって退職することになっています。
 来年度は、都市整備公社内で配置できる業務がないことから、これらの臨時職員は雇用ができなくなりました。
 このため、これらの臨時職員の再就職についても、できる限りの支援を行うことが必要と考え、本市と都市整備公社が連携して支援に努めています。
具体的には、
@新たな指定管理者に対する雇用の働きかけ
A失業予定者に再就職のあっせんを行う財団法人産業雇用安定センターへの登録の支援
B広島市や他の公益法人の臨時職員等の求人情報の提供を行っています。
臨時職員の再就職先の確保については、都市整備公社と連携して3月末まで、できるだけの
努力をしてまいりますが、全員の雇用の確保は困難と考えています。


(中原ひろみ議員)
 民間投資が冷え込んでいるときだからこそ、公共事業だけでなく、地域の仕事起こしを誘発させ、地域にお金が落ち、循環する経済にする必要性が高まっています。
 そのためには、全国19都道府県・83自治体で実施され、予算の14倍から20倍の経済波及効果が証明されている「住宅リフォーム補助制度」の創設に踏み出す時です。先進地の取り組みを調査されたことはありますか。

(都市整備局長)
  他都市の住宅リフォームの補助制度についてですが、ご質問のリフォーム全般を対象として補助制度がある自治体は、全国で80団体程度を把握しています。
  広島県内では三次市が、住宅・店舗リフオーム資金助成を商工会議所に委託して実施しています。
 また、政令指定都市においては、本市と同様に、耐震化、省エネルギー化、バリアフリー化など特定の目的を持った補助制度があります。


(中原ひろみ議員)
 耐震や太陽光発電補助制度だけでなく、どのようなリフォームでも補助対象にすることで、内装・外壁・畳・襖など多くの業種・業者の仕事と雇用を生み出す、住宅リフォーム制度を実施する考えはありませんか。

(都市整備局長)
 議員ご提案の一般的な住宅リフオームを対象とした補助制度の創設については、特定業種への支援を目的とした制度では業種間の公平性の問題もあることから、厳しい財政状況の中で、本市が行う施策としては必ずしも優先度が高いとは言えないものと考えています。


(中原ひろみ議員)
 耐震改修補助・太陽光発電補助制度の実績と合わせて、国の緊急雇用創出事業、ふるさと雇用再生特別基金事業による雇用実績とその評価についてもお聞きしておきます。

(都市整備局長)
 本市においては、住宅の耐震化を促進するため、耐震診断及び耐震改修工事に対する補助を実施しており、平成20年度(2008年度)の実績は、耐震診断が27件、耐震改修工事が9件です。
 次に、住宅環境性能を向上させるため、太陽光発電システムの設置、断熱構造化工事などに対する補助を実施しており、平成20年度(2008年度)の実績は487件です。
 また、日常生活を営む上で支障がある高齢者や障害者の利便の向上等を図るため、住宅のバリアフリー改修工事に対する補助を実施しており、平成20年度(2008年度)の実績は566件です。
 さらに、こうした補助制度に加えて、「住まいのアドバイザー」の派遣や、建築士、弁護士による住宅相談などを行っています。
 これらの取組については、今後とも、各制度の利用実態や市民ニーズ等を踏まえながら、適切に見直していきたいと考えています。


(市民局長)
  緊急雇用創出事業については、本年度33事業を予算計上し、675人の雇用予定に対し、本年2月16日現在で474人を雇用しています。
 なお、「学校図書館活性化推進事業」については、3月から事業を開始し、201人の雇用を予定しています。
 また、ふるさと雇用再生特別交付金事業については、本年度12事業を予算計上し、51人の雇用予定に対し、本年2月16日現在で46人を雇用しており、残りの人数についても年度内に雇用する予定です。
 両事業とも計画通りの雇用実績を挙げており、来年度以降も、これらの事業を十分に活用し、雇用機会の創出に努めていきたいと考えています。


(中原ひろみ議員)
 さらに、新たな雇用創出にむけて、林業の役割(潜在力)を見直す必要があります。日本は、国土の7割を森林が占める森の国です。広島県は面積に占める森林の割合が全国で二番目に高く、広島市は面積の67%が森林で19政令市中では4番目です。ドイツでは自動車産業の二倍近い雇用を林業が生み出しており、限界集落はありません。林業はすそ野が広い産業ですが、輸入木材に押され、林業はなりたたず山の荒廃は深刻です。今こそ、林業を地場産業・基幹産業として位置付け、山をよみがえらせる政策が必要です。森林を守る事は日本の国土を守ることにとどまらず、地球温暖化防止・地球環境保全という人類的な課題にも貢献します。
 市としても国・県とともに林業に責任をもち、林業での雇用を大胆に広げるべきではないでしょうか。認識をお聞きします。
 林業は、収穫までに50年以上かかる地味な仕事です。山を守り育てる技能や技術の継承がすすめられるように研修システムの確立・林業就業者の確保と生活支援をすべきではないですか。
 採算が合えば山にはどんどん手が入っていくでしょう。広島県は、県内木材を使った住宅を建てると50万円を上限に補助する制度を実施しています。市も、国産材をつかった住宅建設を進める融資・補助制度や公共工事で国産材使用の数値目標を決めるなどの国産材の需要を増やす政策が必要ですが、考えはありませんか。

(経済局長)
 林業は、植林から伐採、加工、流通まで、裾野が広く、雇用拡大にも効果的であることから、その振興を図ることが重要であると考えています。
 また、森林は、国土保全や水源かん養、二酸化炭素吸収による地球温暖化防止などの公益的機能を有しており、森林から供給される木材の利用拡大が、環境面からも求められています。
 本市では、平成21年度(2009年度)において、森林の造成や、間伐の推進など約950ha の森林整備事業を実施し、年間延べ約1万4,500人(実人員:新規雇用17人を含む107人)の雇用を確保しました。
 また、国においては、昨年12月に我が国の森林・林業を早急に再生していくための指針となる「森林・林業再生プラン」を策定しました。
 このプランの中で、林業就労者の確保策として、森林所有者に対し効率的な森林整備の方法を提案する「森林施業プランナー」や、森林・林業の専門的な知識を有する現場技術者の育成を推進することにしています。
 また、国産材の需要を掘り起こす方策として、学校、庁舎などの公共建築物への国産材利用の義務化、民間住宅への地域材利用の推進、既存の補助制度や予算の見直しなどを図ることにしています。
 これらの施策の推進により、現在の24%の木材自給率を今後10年で50%に引き上げることにしています。
 今後、こうした国の制度を踏まえ、県や森林組合とも連携しながら、林業の振興に取り組んでまいります。


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若草町地区市街地再開発事業への貸付について

(中原ひろみ議員)
 金融危機に伴い、保留床取得予定者(米国系不動産ファンド)が、資金調達が困難になったとして、再開発ビル保留床売買予約契約を1月13日付けで解除し撤退しました。市は、新たに民間事業者が設立した「保留床管理法人」に、市の開発事業基金20億円に加え、国の都市開発資金20億円を借りて総額40億円を貸付けるとしていますが、大和システムを中心した若草地区市街地再開発事業者には、国の経済対策により新年度に2億4,000万円、今年度にも約13億円もの補助金が支給されています。この総額16億円もの巨額の補助金は税金です。税金で支援を受けたうえに、今度は無利子貸付けで、返済期間は25年、最初の10年間は返済猶予というのは、あまりにも大企業支援に偏った税金の使い方です。一部の大企業への度重なる支援は、市民感情からいっても納得できないものです。
 なぜ、銀行から借りないのですか。銀行が貸さないのは破たんの可能性があるということではないのですか。貸付額40億円の根拠と民間事業者に市が貸し付る理由を教えてください。

(都市活性化局長)
(1)貸付額40億円の根拠と貸し付け理由について
  若草地区市街地再開発事業の貸付金は、一昨年のサブプライムローン問題に端を発した世界的な金融危機を背景として、当初予定していた米国系不動産ファンドへのホテル・ビジネス棟の処分が困難になったため、施行者自らが新たに設立した保留床管理法人の資金調達を支援するものです。
 この管理法人には、施工主体である大和システム株式会社が出資するほか、財団法人民間都市開発推進機構と民間金融機関が出資及び融資を行う計画です。
 施行者では、民間からの資金調達にできる限り努めましたが、当初予定していなかった内装工事費等が新たに負担となることから、結果的に、保留床取得資金約122億円のうち不足する40億円について、国の制度を活用した支援の要請が、本市に対してあったものです。
 本事業は、都市計画決定された法定再開発事業であり、本市の陸の玄関である広島駅周辺地区の活性化を図るための重要な事業であることから、予定どおり完成を図る必要があります。また、本事業の成否は、B・Cブロックや二葉の里地区など、本市の今後の都市づくりに、極めて大きい影響があります。
 このため、本市として、保留床取得資金貸付金の予算案を計上したものです。


(中原ひろみ議員)
 返済がきちんと履行できるという確証はあるのですか。返済できない事態になった場合に、市が肩代わりして国に返済することにならないのですか。

(都市活性化局長)
 保留床管理法人は、再開発ビルの完成後、ホテル・ビジネス棟の賃貸収入から借入金の返済を行う計画です。この事業計画については、本市として確認するとともに、融資を行う金融機関にも妥当性を確認しており、実現可能な内容であると考えています。

(中原ひろみ議員)
 キーテナントである高級外資ホテルは、床を買い取らず、借りてホテル経営をするとしていますが、これは、いつでも撤退できるということではないのですか。契約解消時の違約金は払われたのですか。

(都市活性化局長)
 施工者からは、出店予定の外資系ホテルと長期の運営委託契約について概ね合意に至っており、ホテルは年内の開業予定と聞いています。
 なお、外資系ファンドから施工者への違約金はないと聞いています。


(中原ひろみ議員)
 保留床管理法人が取得するホテル・ビジネス棟の床面積と業務内容、この法人はどこが責任を持つのかお聞きしておきます。

(都市活性化局長)
 保留床管理法人は、ホテル・ビジネス棟のうち、広島市の権利床である地下駐輪場を除く、約4万6千平方メートルを取得します。
 この管理法人は、ホテル・ビジネス棟の所有者として再開発ビルを管理するとともに、賃貸収入により借入金の返済をすることが主な業務内容です。
 運営については、再開発の事業主体で、最大の出資者でもある大和システム株式会社が中心となって、その責任を持つことになります。


(中原ひろみ議員)
 同じ貸し付けるなら、長引く不況で、苦しんでいる中小零細企業にこそ無利子貸付や補助金を出すべきです。地域経済を担っているのは中小零細企業です。商売を続けるために資金は必要ですが、中小企業の多くは、「借りても、たちまち返済の目処が立たない」ことから「借金はできない」と、廃業や破産を選択する業者もあります。
 国の緊急保証(セーフネット)を活用して「新たな借入れをしたい」「複数の借入れを一本にしたい」という業者もありますが、「返済の遅れ、税の滞納、赤字決算」などを理由に借りられないというのが実情です。
 新年度は中小企業への貸付枠を拡大されましたが、求められているのは貸付金の返済猶予や無利子での貸付け、返済期間の延長です。市の考えをお聞きします。

(経済局長)
 本市では、一昨年秋からの急激な景気後退の中、市内中小企業の資金繰りの円滑化を図るため、昨年7月から0.1〜0.3%の金利の引下げを行うとともに、95億円の補正予算を講じ、融資枠を約943億円に拡大しました。さらに、新年度当初予算案では、融資枠を1,024億5,860万円に拡大することとしています。
 また、中小企業金融円滑化法が昨年12月4日に施行されたことから、本市中小企業融資制度についても返済猶予や返済期間の延長などの条件変更ができるよう規定を改正するとともに、取扱金融機関及び信用保証協会に対し、経営の実情に配慮したきめ細かな対応を要請いたしました。今後とも金融機関及び信用保証協会と連携し、中小企業の金融の円滑化に努めていきます。
 金利については、昨年7月に引下げを行っており、当面は景気動向等を見守っていきたいと考えています。


(中原ひろみ議員)
 過去3年間の中小企業への貸付額と貸付件数実績も教えてください。

(経済局長)
 本市中小企業融資制度によるこれまでの新規貸出件数及び金額は、平成18年度(2006年度)が5,570件、303億8,900万円、平成19年度(2007年度)が7,795件、428億3,500万円、平成20年度(2008年度)が8,628件、484億6,700万円となっています。
 また、本年度は、12月末現在で、6,344件、350億100万円となっています。


(中原ひろみ議員)
 40億円が一般財源とした場合、例えば保育園の耐震診断や建て替えに使うとすれば、どの程度できるのか、併せてお聞きしておきます。

(都市活性化局長)
 なお、保育園の耐震診断のご質問がありましたが、今回、計上した予算は、国の制度を活用した再開発支援事業支援のための貸付金であり、ホテル・ビジネス棟の保留床管理法人から返済されるものです。

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保育政策について

(中原ひろみ議員)
 先の総選挙では「子どもの貧困」「子育て困難」をどう解決していくのかが争点となりました。なかでも、保育所入所待機児童の解消が急がれる問題となり新政権は、「保育所の増設、質の高い保育の確保、待機児解消に努める」と掲げられました。しかし、新政権が進めているのは、地域主権を口実にした、保育所の最低基準の廃止・緩和、保育所運営費負担金の見直しなど事態の打開と逆行する動きです。また政府の構造改革特別区域推進本部は、公立・私立の保育所の3歳児以上の給食を外部から搬入し、どの自治体でも認めるよう規制緩和する方針を決定しようとしています。
 最低基準は「児童の身体、精神的及び社会的な発展のために必要な生活水準を確保するもの」であり、これ以上引き下げられない基準だと考えますが市はどのようなな認識ですか。

(こども未来局長)
 保育園の最低基準については、入園児童が明るくて衛生的な環境において心身ともに健やかに育成されることを保障するものであり、保育の質を支える重要な要素であると認識しています。
 また、最低基準の内容については、これまでも政令指定都市市長会でも議論されており、「国が定める児童福祉施設の設備及び運営の基準は、ナショナルミニマムとして必要な、子どもの人権、安全等に直接関わる基本的事項に限定し、その他の事項については、地方の実情に応じて設定できるようにすること」との要望を国に対して行っており、本市としても同様の考えであります。


(中原ひろみ議員)
 最低基準の廃止・緩和は、今以上の詰め込み保育や、保育予算の減額につながるのではと危惧します。公立・私立の子ども一人当たりの面積は最低基準を満たしていますか。2004年度から公立保育園の運営費が一般財源化されていますが、2003年度と昨年度の児童一人当たりの施設運営費を公立・私立それぞれについてお答えください。

(こども未来局長)
 本市の公立・私立の認可保育園においては、国の定めた最低基準における児童1人当たりの面積基準はすべて満たしています。
 また、児童一人当たりの月額の保育園運営費は、当初予算ベースで、公立保育園では、平成15年度(2003年度)は、約9万1千円、平成20年度(2008年度)は、約9万円となっています。
 私立保育園では、平成15年度(2003年度)は、約7万4千円、平成20年度(2008年度)は、約7万1千円となっています。


(中原ひろみ議員)
 新年度は、保育園の調理体制の見直しで正規職員を9人減員しますが、これは、いつでも給食を外部委託する準備なのですか。園内で調理する給食の重要性についてどうお考えですか。今後も給食を維持・拡充されるのかお聞きします。

(こども未来局長)
 今回の調理体制の見直しは、給食に従事する調理員の総時間数を増やすことにより、衛生管理の強化と業務体制の充実を図ることを目的としており、平成10年度(1998年度)から導入している嘱託調理員の配置拡充の一環として行うものです。
 保育園における給食の提供は、子どもの心身の健全な発育・発達を促すとともに、望ましい食習慣を養うことにより、生涯にわたって
健康の保持増進を図るために重要なものだと認識しています。今後も、新保育所保育指針を踏まえて保育園給食を実施していきます。


(中原ひろみ議員)
 保育現場の実態を聞くと、父母の長時間労働の影響をうけ、夜更かしや朝食抜きで登園してくる子どもが増え、過酷な雇用状況が子育てを困難にしているといいます。そうした状況にある子ども達を、豊かに育てるうえで、保育園の役割は一段と大きくなっています。しかし、この子どもの発達に責任を持つべき保育士は、公立では54%が非正規保育士です。公立保育園は正規保育士を減らし、その穴埋めに、非正規の保育士によって支えられている状況です。行政がこれ以上ワーキングプアを増やして良いのでしょうか。保育の質の維持向上と非正規職員への抜本的な処遇改善が必要ではありませんか。

(こども未来局長)
 保育園における通常の保育は11時間であり、その後の延長保育の時間も合わせると12時間以上にもなります。また、障害児の受け入れや定員超過入所、育児休業や年休等への対応などから、様々な勤務形態の保育士が必要となっています。
 これらに対応するため、公立保育園では8時間勤務の正規保育士、6時間勤務の嘱託保育士、4時間から8時間勤務の臨時保育士の組み合わせによって、最低基準を維持し保育を実施しているところです。
 また、正規保育士はもとより、嘱託保育士や臨時保育士も対象とした研修を計画的に実施することにより、保育の質を維持し、向上させるとともに、嘱託・臨時職員の勤務条件等の処遇改善にも努めていきたいと考えています。


(中原ひろみ議員)
 つぎに、公立保育園の廃止・民営化についてお聞きします。 市は、2011年度から順次民営化するとした5つの保育園に加えて、2016年度から民営化する新たな4つの保育園名を公表し、保護者に説明会を実施されています。ある保護者説明会で、市は「民営化へのガイドラインは議会や議員の承認を得て決まるのもではない」とし、「4月1日としていた移管開始日を、状況の変化があったという理由で、移管開始日は4月1日に固定しない」と説明されています。
 ガイドラインは、市が自ら決めて公表し、議会に説明、報告されたものであり、市の責任ある指針です。都合良く修正されるガイドラインでは信用できません。議会で、丁寧な説明がされるべきです。市にとってガイドラインはどのような位置付けなのか伺います。
 一体どういう状況の変化があって移管日を勝手に変更されたのですか今後も変更されるのですか。

(こども未来局長)
 「公立保育園の民間移管に関するガイドライン」は、民間移管についての本市の基本的な考え方や民間移管を円滑に行っていく上での指針としてまとめたものです。
 民間移管の対象となる園においては、ガイドラインを基本とし、保護者の意見や要望を取り入れながら民間移管を実施していくと定めており、保護者と話し合いを行う中で、各保育園の実情に応じて内容の変更を行うなど、柔軟に対応する必要があると考えています。
 移管の実施日については、ガイドラインでは、円滑な移管を行うため各年度の4月1日としていますが、移管予定園の保護者との話し合いの中で、子どもへの影響を考慮し、他の日に移管することはできないかとの提案があり、保護者との協議により決定することが旨の説明を行っています。


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学校の適正配置計画について

(中原ひろみ議員)
 広島市は、1月21日に、小学校24校、中学校6校を適正配置検討対象校とし、計画策定から5年を目途に小学校5校を統合する素案を公表しました。
 この計画素案は、学級数が少ないかどうか、受け入れ校に子どもが収まるかどうかという、施設規模を「モノサシ」にした機械的な基準で選ばれたものです。この5校の学校現場、保護者や地域の意見は一度も聞かない拙速な公表でした。
 市教育委員会は、「小規模学校は児童生徒が相互に刺激し合い、切磋琢磨する機会が少なく、生徒の多様な要望に十分応えられない」と、一面的な課題だけを強調し、小規模校では教育効果が上がらないとしています。しかし、統廃合の対象となっている5校に出向き、学校現場の実態を聞けば、少人数によるきめ細かい指導により、基礎基本の学力も優れており、しかも地域と一体となった運動会・もちつきなど、豊かな年間行事の取り組みを通じて、地域住民とのふれあいが子どもの社会性をはぐくみ、不登校児もいじめもゼロという教育実践がされていることに感動しました。
 国連の世界保健機関は、「人間的な関係に基づいた個性的教育を可能にするためには、小さい規模を保つことが望ましい」としています。学力世界1のフィンランドは100人規模です。どんな小さな村に生まれても、その地域で教育を受ける「教育の質」と「教育の平等」を重視し、国が教育を保障する事に責任を持っています。
 世界は小さな学校が主流であり、大規模校の解消こそ急がれます。小規模校をなくすことは世界の流れに逆行するものです。そこでお聞きします。
 突然の統廃合の公表で、地域や保護者、子ども達の間に大変な不安が広がりました。学校がなくされようとしていることを知り「涙ぐむ子どもたち」の存在をご存じですか。事前に学校や地域の実態調査もせず、子どもの意見を聞かず、教育委員会の一方的な方針で公表されたのは何故ですか。

(教育長)
 適正配置の検討に当たっては、平成20年(2008年)7月に、学識経験者、地域団体関係者のほか、公募による市民委員も含めた計13名で構成する「広島市立学校適正配置等のあり方に関する検討協力者会議」を設置し、望ましい学校規模や実施手法等について検討してきました。
 この検討協力者会議では、市民アンケートにより幅広く意見を聴いたうえで検討が行われ、平成21年(2009年)3月に、報告書が本市に提出されました。
 教育委員会では、この報告書を踏まえ、一定の基準に該当する学校について、適正配置の4つの実施手法を検討したうえで、平成22年(2010年)1月に、具体的な学校名を入れた素案を取りまとめました。
 この素案の公表については、まず議会に報告したうえで、直ちに市のホームページに掲載し、、その後、地元への説明を順次行い、ご意見やご要望をお聴きしていくことにしたものです。


(中原ひろみ議員)
 学校を廃止し、遠くの学校に通うことを、子ども達は希望していません。子どもの意見はいつ、どのように聞かれるのですか。

(教育長)
 子どもの意見を聴くことについては、学校とも協議し、検討したいと考えています。


(中原ひろみ議員)
 学校規模で、小学校11学級以下、中学校8学級以下は、統廃合の対象としていますが、これは教育的に検証された基準なのですか。この基準の根拠は何ですか。

(教育長)
 小・中学校の学級数については、学校教育法施行規則(昭和22年文部省令第11号)において「12学級以上18学級以下を標準とする。」と規定しています。
 また、市民アンケートの結果、望ましい学級数は、小学校では、回答者全体の62.4%が「1学年当たり2〜3学級」を、28.7%が「1学年当たり4〜5学級」を、2.4%が「1学年当たり1学級」を選択し、中学校では、回答者全体の63.6%が「1学年当たり4〜6学級」を、25.9%が「1学年当たり2〜3学級」を、0.9%が「1学年当たり1学級」を選択しています。
 検討協力者会議では、この法的基準や市民アンケートなど多様な観点から検討が行われ、学校の適正規模として、学級数は「小学校で1学年当たり2学級以上(1学校当たり12学級以上)」、「中学校で1学年当たり3学級以上(1学校当たり9学級以上)」、児童生徒数は「小学校、中学校ともに1学級当たり30人程度」とすることが望ましいという考え方が示されました。 
 学校生活において、学級は学習や生活の基盤となる集団であり、その中で様々な役割や体験をさせ、互いに切磋琢磨させることは、教育指導上極めて重要であると考えています。
 特に、児童生徒のコミュニケーション能力の向上のためには、多くの児童生徒や教員とのふれあいの機会を持たせることが重要であり、そのために一定の学校規模を確保することが必要であると考えています。 
 また、クラス替えは、児童生徒同士や教員との新たな出会いを通して、新しい人間関係を構築する力を育てるよい機会であり、小学校では、少なくともクラス替えが可能となる、1学年当たり2学級以上が望ましいと考えています。
 また、中学校では、生徒の発達段階を踏まえると、小学校時代よりもさらに多くの生徒との関わりを通じて、多様な価値観にふれさせることや、切磋琢磨させることが必要であるため、1学年当たり3学級以上が望ましいと考えています。

(中原ひろみ議員)
 統廃合で、いくらのコスト削減になるのですか。

(教育長)
 学校統合によるコスト削減額については、統合によって減員となる教職員等の給与や光熱水費などの維持管理費の削減が見込まれ、新たに必要となるスクールバスの運行経費等を加えたとしても、5校全体で年間3億9千万円程度、県費負担分を除いたし市費負担分に限っても、年間8千万円程度の削減になると試算しています。


(中原ひろみ議員)
 この基準でいけば、全国では5割から6割・広島市では2割から3割が適正規模以下の学校になりますが、これらの学校は教育効果がでない学校という認識を持っておられるのですか。市が教育に必要とする切磋琢磨とは競争ですか。

(教育長)
 小規模校においては、個に応じた決め細かな教育を行うことができる、また、子どもたちの相互理解が深まり、安心感が得やすいなどのメリットがあることは認識しています。
 その一方で、集団が小さいことで相互に刺激し合い、切磋琢磨する機会が少ない、また、運動会や学習発表会などの学校行事において集団として取組が難しいなどの課題もあります。
 将来の社会を担う力を子どもたちが育んでいくためには、狭い人間関係の中だけではなく、多様な見方や考え方を持つ児童生徒との交流や競争、クラブ活動など様々な体験を通じて、その可能性を伸ばしていくことが必要であると考えています。このような状況を切磋琢磨と表現したものです。


(中原ひろみ議員)
 教育は中身が大切です。小規模をデメリットというならば、そのデメリットをメリットにする努力がされています。教育委員会はこの努力をご存じですか。小規模校に対する教育委員会の評価と、過疎地域での学校の役割について伺います。

(教育長)
 小規模校においては、集団が小さいことによる教育面でのデメリットがありますが、学校や地域の方が学校行事や地域行事で連携するなど、まちぐるみでそれを補う努力をされており、こうした地域や学校の取組は高く評価しています。
 また、学校は地域と深く結びつき、地域活動の拠点になるとともに、災害時の避難場所やスポーツ活動の場としても利用されており、地域にとって大きな役割を果たしているものと考えます。


(中原ひろみ議員)
 学校が地域からなくなれば、地域の力も崩れていかざるを得ませんが、市教委はどのようにお考えですか。学校は「地域の文化センター」として、さまざまな文化や生活の中心的施設として根づいています。地域の「核」である学校をなくした後のまちづくりはどうされるのですか。
 平成20年、3月末に廃校となった日浦西小学校のある毛木地区では、学校が廃止となり若い世帯が移転され地域の希望を奪っています。過疎地域にとって、若い世代がふるさとに帰ってくることをどんなに待ち望んでいることでしょうか。市はクロスセクションで、限界集落をつくらないためにと、地域活性化対策を進めていますが、これらの取り組みを市教育委員会はご存知ですか。学校の廃止は、それらの取り組みに水をかけるものです。行政施策が矛盾していませんか。市の見解をお聞きします。

(教育長)
 学校が統合されたとしても地域団体や地域活動の単位まで自動的に統合されるものではありませんが、学校統合により地域活動などが停滞しないよう、また、統合した場合の学校施設の跡利用などについても、地域の皆様のご意見やご要望をお聴きしながら、関係部局も含め、協議・検討していきたいと考えています。
 学校統合は地域の活性化に関わりますので、地域の活性化や将来ビジョンなどについても、広くご意見ご提案をいただきながら、地域振興の担当部局と連携して、取り組んでまいります。


(中原ひろみ議員)
 文科省が1973年に出した『公立小中学校』の統廃合に関する通達には、「学校の地域的意義を大切にする。住民合意を大切にし、無理な学校統廃合は禁止する。小規模校の良さを尊重する」とあります。この原則は尊重すべきものですがどうお考えですか。この通達を尊重するなら、統合ありきでなく、学校存続も選択肢に入れた地域との十分な話し合いを保障し、住民合意が難しい場合は「見直し」「変更もあり得る」と考えますがいかがですか。

(教育長)
 この素案については、現在、広島市ホームページに掲載し、広く市民の皆様からご意見を伺うとともに、対象地域の代表者の方などとの協議を始めています。
 今後は、将来の社会を担う子どもたちに、どういった教育環境を提供すべきかという観点から議論を進めるとともに、関係する学区の保護者、地域団体、地域住民の皆様のご意見やご要望をお聴きしながら、取り組んでまいります。


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地域交通の維持・発展を願って

(中原ひろみ議員)
 乗合タクシーによる地域生活交通の実験運行中である黄金山・大河・本浦地区に(日本共産党)市議団でアンケート調査をおこないました。回答のあった全ての意見が、乗合タクシー継続を求めるものでした。意見の多くは、「市が効率だけで判断せず、急な坂道が続く地理条件の厳しい地域への支援を続けてほしい」というものです。
 喜びの意見がたくさんありました。「急な坂道が苦だったが楽になった」「乗合タクシーの中で、住民同士の話がはずみコミュニティーの場になっている」「出不精だったが出かけることが増え明るくなった」などです。また、料金が高い、土日の運行やバス停場所や時刻表を、わかりやすくしてほしいとの意見もありました。
 この間、路線や乗降方法の見直しにより、利用者を増やす努力がされてきました。今後も地域の利用者を増やすための知恵や工夫が必要ですが、その一つとして、丹那地区への乗り入れや、市が交付している「高齢者公共交通機関利用助成」を乗り合いタクシーにも利用できないでしょうか。

(道路交通局長)
 黄金山地区乗合タクシーについては、実験運行開始後、地域住民、交通事業者及び本市で構成する黄金山地区生活交通支援協議会において、利便性を向上させるため、アンケート調査を実施し、その結果を基に、運行計画の見直しについて検討しました。その中で、黄金山南側の丹名地区への乗り入れについては、走行距離が延びるため、目的地までの所要時間が長くなることや、増便を望む声に応えられなくなることなどから、実施を見送っています。


(中原ひろみ議員)
 アンケートからもわかるように、乗合タクシーは地域に不可欠なものになっています。実験期間の終了時に「存続を求める」地域の声にこたえて、引き続き支援するお考えはありませんか。

(道路交通局長)
 実験運行の最大の目的は、1年間の支援期間中に地域の実情に即した運行形態や運行規模を見い出し、継続可能な生活交通を確保することです。乗合タクシーでは継続が困難であると思われる場合には、残りの支援期間はチャーター方式など他の形態により実験運行を実施し、継続可能な運行を実現したいと考えています。
 実験運行後は、財政的な支援を継続することは考えていませんが、地域が主体となって実施していける方策について、引き続き、地域の方々とも検討してまいります。

(健康福祉局長)
 「高齢者公共交通機関利用助成」は、広島市内に住所を有する70歳以上の高齢者に、バス・アストラムライン・電車共通カードなど公共交通機関の利用券8種類の中から高齢者が希望する者を交付する制度です。
 8種類の利用券の中には、矢口地区・山本地区の乗合タクシー回数券が含まれています。
 黄金山地区の乗合タクシーは、予定されている実験運行期間が最長でも本年9月までであることから、現時点では、利用期間が9月から始まる利用券にこの地区の乗合タクシー回数券を加えることはできません。
 今後、運行期間の延長が検討される場合には、事業者と協議を行います。


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トップ議会情報・議員の発言2010年第1回 2月定例会・予算特別委員会 議員発言 > 総括質問
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