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2010年12月13日 本会議 一般質問 村上あつ子議員 |
日本農業を破壊するTPPについて 事務事業の見直しについて 高すぎる国保料の問題について 子どもの医療費の助成拡大について 有害鳥獣対策について 2020年オリンピック招致について 地盤沈下とトンネル安全検討委員会について 出島廃棄物処分場について 南道路建設と江波のまちづくりについて |
日本農業を破壊するTPPについて (村上あつ子議員) 管首相が10月の所信表明演説で唐突に打ち出したTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)参加によって、「日本の食料が危ない」と農業関係者だけでなく消費者の間でも大きな衝撃が走っています。 農業分野の関税が完全撤廃されれば、日本経済への影響はどうなるのか。農水省の試算では、「食料自給率は40%から13%へ低下、農業の多面的機能は、3兆7千億円程度減少、350万人程度の就業機会の減少」となるなど、日本経済と農業への影響はすさまじいものです。 管首相は、TPP参加は明治維新と戦後改革に次ぐ「第三の開国」だと言って、あたかも日本の貿易は農水産物を中心に、まるで江戸時代の鎖国状態のようなことを言っていますが、日本の農産物の平均関税率は11.7%であるのに対し、韓国62.2%、メキシコ42.9%、EU19.5%と、鎖国どころか日本はすでに十分すぎるほど開かれています。 輸入自由化を行い、価格も流通も市場任せにしてきたからこそ、農業だけでは食べていけない国になってしまったのです。TPP参加はそれに追い打ちをかけ、「崖っぷちに立った人を突き落とす」ようなものです。 今日、地球規模で食糧不足が大問題になり、金さえ出せば外国から食糧が買える時代は過去のものになりつつあります。こういうなかで国民は食料自給をどう考えているのか。内閣府の世論調査では「食料自給率を高めるべき」「どちらかと言えば高めるべき」と9割の人が答え、「外国産の方が安い場合は輸入食品の方がよい」と答えた人は5.4%にすぎなかったという結果です。大多数の国民は「安全で安心な食料は日本の大地から」と思っています。 この時期に、アメリカや輸出大企業の利益のために日本農業を潰し、食料主権を投げ捨てるような政治は認めるわけにはいきません。このようなTPPに、中国5県で唯一賛成を表明した湯崎知事の見識も問われます。 政府に対して、TPP参加をやめるよう、広島市として強く申し入れるべきだと思いますが、市長の見解を求めます。 (経済局長) 環太平洋パートナーシップ協定(TPP)は、アジア・太平洋での自由貿易圏を構築するための協定で、関税を10年以内に撤廃することを原則としています。 経済産業省の試算によれば、TPPに参加しなければ、工業製品等の貿易に損失が生じるとされています。一方、農林水産省では、TPPに参加した場合に、米や牛肉などの主要農産物19品目において生産額の減少が大きいと試算されています。 農業は、人間の基本的な営みのひとつとして欠かせないものであり、食料の安定供給はもとより、国土や自然環境の保全、良好な景観の形成、文化の継承といった多面的な機能を持っています。 こうしたことから、本市においても、農業の振興と農村の活性化に積極的に取り組んでいるところです。 国がTPPに関して関係国との協議をすすめるに当たっては、農業経営や農業が果たしている多面的機能に与える影響にも配慮するとともに、十分な国民的議論を経て方針を決定することが必要と考えます。 (村上あつ子議員) また、TPPは農業だけにとどまらず、公共事業入札、労働市場の開放まで含まれており、広島の地域経済にも大きな影響は避けられないと思いますが、農業を含めて一体どれくらいの影響があると試算されているのかお答えください。 (経済局長) TPP参加による本市の影響額は、農林水産業だけでなく他産業への影響など複雑な要素を踏まえて予測する必要があります。しかしながら、本市の全産業を対象としたような予測方法はなく、影響額の試算は非常に難しいと考えています。 上にもどる 事務事業の見直しについて (村上あつ子議員) 事務事業見直し等検討委員会によって、約3か月あまりかけて50事業に対する検討報告書が先般発表されました。それによると、50事業のうち「実施」が37、「廃止」が6、「民間企業等へ移管」が3、「その他」が4となっています。 私どもは、この検討委員会を傍聴しまして、いろいろと問題はありますが、しかし、国や県の「事業仕分け」のように「初めに削減ありきで予算をバッサリ削っていく」という乱暴なやり方でなく、事業の必要性も踏まえて、概ね妥当な方向性が示されたものと受け止めています。 問題は、この検討結果を各担当局がどうふまえて、来年度以降の予算に反映していくかということです。この点についての市の基本的な考えと、いくつかの事業について担当局の考えをお尋ねします。 まず、福祉・医療関係では、「改善を図る」とされた「ひとり暮らし高齢者あんしん電話設置」「重度障害者福祉タクシー利用助成」「病院内保育施設の運営」、そして「拡充を図る」とされた「高齢者配食サービス」の4事業についての今後の考えをお聞かせください。 (健康福祉局長) 事務事業見直し等検討委員会から「改善を図る」と評価された事務事業のうち、緊急時に発信機を押すと近隣の協力員や消防局に通報する「ひとり暮らし高齢者あんしん電話設置」については、内容を充実してニーズに応えるべきという意見が出されました。 本市としては、24時間体制での健康相談や定期的な安否確認を行うことにより、内容の充実を図るよう検討していきたいと考えています。 次に、「重度障害者福祉タクシー利用助成」については、このまま継続することが適当である、自家用車利用へのガソリン代の助成についても可能な限り実施に移すことが望ましいといった意見が出されました。 本市としても、外出に際し自家用車しか利用できない重度障害者への支援の必要性は認識しており、今後、ガソリン代の助成について、既に実施している他都市の状況等を参考にしながら検討していきたいと考えています。 また、「拡充を図る」と評価された「高齢者配食サービス」については、平日に加え、土・日・祝日等も食事の配達及び安否確認が必要であるとの意見が出されました。 本市としても、配食サービスを継続的に提供して高齢者の自立と生活の質を確保することが重要であると認識しており、今後、これらの意見を踏まえ、厳しい財政状況を考慮しつつ、どのような対応ができるか検討していきたいと考えています。 (病院事業局事務局長) 看護師等医療スタッフのワーク・ライフ・バランスを進めるとともに、市民に安全で安心な医療を提供し続けるためには、医療スタッフが出産、育児等により退職することなく仕事を続けながら、子育てができる環境を整えることが大切であり、院内保育事業についても充実に努めていく必要があります。 事務事業見直し等検討委員会では、院内保育事業について、利用が低迷する一方で、夜間保育、病児保育、年長保育などの柔軟な保育の実施についてのニーズが高まってきていることを踏まえ、「改善を図る」と評価されました。 このため、今後病院内に子育て中の職員も交えた検討委員会を設置し、利用見込、必要な施設・設備、運営体制等について検討したいと考えています。 (村上あつ子議員) 教育関係で「改善を図る」とされた「就学援助」「中学校給食デリバリー」について、それぞれどう考えておられるのかお答えください。 (教育長) 就学援助についてですが、事務事業見直し等検討委員会において出された主な意見としては、制度面について、現行どおりとすることや拡充を図ることという意見がありました。また、事務手続き面については、手書きによる事務を改善すべきという意見が出され、委員会の結論としては、「改善を図る」とされました。 本市としては、委員会の意見を踏まえ、手処理しているものを電算化することにより事務の効率化を図るよう検討していきたいと考えています。 また、就学援助制度については、厳しい財政状況ではありますが、引き続き経済的な理由により児 童生徒の就学が困難にならないよう、現行制度の維持に努めていきたいと考えています。 中学校給食デリバリーについては、事務事業見直し等検討委員会から自校調理への切り替え、保温式ワゴンの導入、献立の作成や材料調達を含めた業務全体を民間へ委託するなどの多様な意見が出され、委員会の結論としては、「改善を図る」とされました。 本市としても、中学校給食デリバリーの充実については、重要であると認識しており、今後、これら 様々な意見を踏まえ、厳しい財政状況を考慮しつつ、どのような対応ができるか研究していきたいと考えています。 (村上あつ子議員) こうした事務事業見直しの検討は今後も行いたいとのことですが、もし、そうされるのなら、委員会構成や審議の進め方について、これまで提案してきたように、市民委員を増やした市民参加型にし、サービスを利用している市民意見の聴取や現場視察などを取りいれ、十分な検討時間が保障される委員会になるよう検討していただきたいと思いますがいかがお考えですか。 (企画総務局長) 事務事業見直し等検討委員会の委員数は10人であり、このうち2人が市民委員です。委員の任期は2年であり、少なくとも来年度は、現在選任している委員の皆さんで取り組んでいただきたいと考えています。 また、サービスを利用している市民の意見を聞くことや現場視察をすること等については、来年度委員の皆さんにお諮りし、対応を検討したいと考えています。 上にもどる 高すぎる国保料の問題について (村上あつ子議員) 国民健康保険料の引き下げは、いま市民の切実な要求となっています。 国保制度は、退職者、無職者、低所得者の加入が多く、事業主の負担を予定しない制度であり、もともと加入者が支払う保険料だけでは成り立たないものとして制度がつくられています。 ところが、1984年以来、国庫負担がどんどん削減されてきました。2005年、2006年度にも、「三位一体改革」と称して国庫負担が減らされ、かつては、国保財政の全体の半分を占めていた国庫負担が、2008年度には、24.1%までに切り下げられ、世帯当たりの保険料負担は年々上がり続けています。 広島市が「標準家庭」とする4人世帯で、10年前と比較して何と12万5千円も保険料が増えています。年間所得が250万未満の世帯では、所得の一割を超える負担となっている実態があります。 また、構造改革や大企業財界によるリストラを反映して、加入者の中で、失業者など低所得者の割合が増加しており、無職者が半数を超えています。このため、保険料を払えない人が急増しています。 広島市は他市に先駆けて、保険料滞納者に対して不当な保険証の取り上げになる資格証の発行をゼロにしました。しかし、この間、滞納者の資産調査を徹底し、取り立てや差し押さえの強化が加速しています。 そもそも滞納は、生活を圧迫する高い保険料に問題があります。お伺いしますが、この5年間の差し押さえ件数はどうなっていますか。 (健康福祉局長) 国民健康保険料の滞納者に対する、この5年間の差し押さえ件数は、平成17年度(2005年度)が84件、平成18年度(2006年度)が126件、平成19年度が(2007年度)が337件、平成20年度(2008年度)が527件、平成21年度(2009年度)が722件となっています。 保険料収納率の低下などにより、国民健康保険の事業運営は大変厳しい状況になっており、歳入の確保と被保険者の負担の公平を図る観点から、納付に誠意のない滞納者には、引き続き、滞納処分を積極的に実施していく必要があると考えています。 (村上あつ子議員) 支払える国保料にするためには、国や県の負担割合を増やすこと、市の独自減免制度を拡充すること、自治体の収納率による交付金減額を止めさせることが求められます。これにどう取り組むのか当局の認識をお伺いします。 (健康福祉局長) 国民健康保険は無職者や低所得者の加入割合が高く、その財政基盤は極めて脆弱です。 そのため、国に対しては、全国市長会や大都市民生主管局長会議等を通じて、国庫負担率の引き下げや保険料の収納率による普通調整交付金の減額措置の廃止などを要望しており、今後とも、他都市と連携し、国や県への要望を行ってまいります。 また、市独自減免制度の拡充についてのご提案ですが、低所得世帯の保険料軽減対策としては、保険料負担を緩和することを目的に、一定所得以下の世帯を対象として、保険料のうち、均等割及び平等割の7割、5割又は2割を軽減する制度を設けています。 さらに、失業等による所得減少者のように、前年の所得に基づく保険料額では納付が困難な世帯を救済することを目的に、減免制度を設けています。 具体的には、一定所得以下の世帯で、失業や事業の休廃止により、当該年度所得見込み額が前年の所得額に比べて3割以上減少している世帯や、病気や借金などに係る一時的な支出見込み額が、前年の所得額の3割以上ある世帯を減免対象としています。 引き続き、軽減制度と減免制度の適切な運用により対応していきたいと考えています。 上にもどる 子どもの医療費の助成拡大について (村上あつ子議員) 岡山県の高梁市では今年10月から「こどもの医療費窓口無料化」を高校卒業まで拡大することが実現し、多くのお母さん方から喜びの声が上がっています。 児童福祉法第2条では、「国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う」と規定しており、児童福祉法の対象は18歳未満です。 医療費無料化は、安心して産み育てられる社会への課題です。内閣府の少子社会対策に関する子育て女性への意識調査では、「少子化対策として重要であると考えているもの」という設問に対して、経済的支援が69、9%と断トツトップで、経済的支援措置について望ましいものを聞いたところ、医療費の無料化を挙げた女性が45,8%に上っています。 子どもを産み育てられる社会の確立が求められているにもかかわらず、医療でも、家族関係の公的支出でも、日本はOECD加盟国の中でも最低の水準です。国は、少なくとも、医療の分野では、就学前までの医療費の無料化を実施し、家族手当、出産、育児休業、就学前教育・保育などの公的支出を増やすべきです。 広島市は発達障害児については小学2年生まで無料としましたが、基本的には補助対象は就学前までであり、しかも、初診で500円の負担があり、完全な無料化ではありません。広島県下の助成制度を見てみますと、入院・通院ともに小学6年生までというところは、実に6市2町で、うち1市2町は中学3年生まで実施しています。 子どもの貧困対策を第一に掲げる広島市であるなら、当然、対象年齢の思い切った引き上げに取り組むべきです。経済的格差が命の格差を生むようなことがあってはなりません。せめて、小学校卒業まで入院も通院も所得制限なしの無料にしていただきたいと考えますがどのようにお考えでしょうか。 (健康福祉局長) 子どもを対象にした医療費補助制度については、本市は、これまでも段階的に対象年齢の拡大、所得制限の緩和に取り組んできており、昨年10月からは、小学校1・2年の発達障害のある児童を補助対象に加えました。 少子化が急速に進む中で、子どもが健やかに生まれ育つ環境づくりを推進していくことは、本市における重要な課題であると認識しています。 子どもの医療費無料化については、これまでも全国市長会を通じて国に対して要望していますが、本市としても、国・県の動向や、本市の財政状況等を考慮しながら、対象年齢の拡大等に取り組んでいきたいと考えています。 上にもどる 有害鳥獣対策について (村上あつ子議員) 広島県の有害鳥獣被害額は全国で7位、なかでもイノシシ被害は第1位です。最近は、シカによる被害も無視できなくなっています。 私は、先の9月議会で農業者への「箱わな」の貸し出しや防除施設への助成の拡大など、本腰を入れた対策を求めたところですが、あらためて新年度予算に反映されるよう求めます。 広島市が農家を対象に行ったアンケートでは、規模縮小の理由の17%が「鳥獣被害」となっており、このままでは零細農家の経営が鳥獣被害にとどめを刺される危険があります。 ある方は、シカが出て畑の作物を食べて困ると、「何とかしてほしい」と区役所に申し出たところ、「人間が食べる野菜のまわりにシカ用の野菜を植えなさい」と言われたそうです。ある団地の民家の庭先に毎晩のようにイノシシが出て、プランターをひっくり返す、それを住人が元に戻す、この繰り返しで腰を痛めたという年配の方、また、自宅の裏山に柵を設置したけれど自力では限界があるなどなど、農家に限らずあちこちでイノシシなどの出没で苦情を聞きます。 国もこれ以上放置できないと、新年度予算で鳥獣被害対策の補助金を大幅に増やすとしています。国の交付金を積極的に活用して、市として抜本的対策を講じていただきたいと思いますが、今後どのように有害鳥獣対策を進めていこうとされるのかお伺います。 (市長) 農業は、人間の基本的な営みの一つとして欠かせないものであり、食料の安定供給はもとより、国土や自然環境の保全、良好な景観の形成、文化の継承といった多面的な機能を持っています。このことから、本市では、市民の農業参画を含めた多様な担い手の育成に重点的に取組み、市民へ新鮮で安全・安心な農産物を供給するなど、ひろしま市民の「食」を支える農業・農村の振興を図っています。 しかしながら、都市化の進展や荒廃農地の増加などにより、野生鳥獣の生息環境が変化し、イノシシやシカなどによる農産物の被害が増加しています。野生鳥獣による農産物被害は、農業者が丹精込めて作った農産物が、まさにこれから収穫・出荷という時に起こることが多く、収穫の喜びや販売収益を根こそぎ奪い去るだけでなく、農業者にとっては、身を切られるほどの痛手となり、ひいては耕作放棄へとつながる原因となっています。 このため、本市では、有害鳥獣対策として、農業者の電気柵等による防除と猟友会による駆除の両面から対策を実施しています。 このように、農業者や猟友会のご協力のもと、年間捕獲頭数については、5年前と比較すると平成21年度(2009年度)には、イノシシを1.3倍にあたる1,107頭、シカを1.7倍にあたる640頭、駆除しました。 しかしながら、被害は依然として減少せず、農業者から被害報告も多数寄せられています。高齢者や人口減少が進んでいる地域では、農業者による防除では限界があり、被害を減らしていくためには、今後、駆除を強化していくことが必要であると考えています。 このような中、本年9月に、農業者の代表である広島市農業委員会と広島県猟友会広島連絡協議会との間で、駆除体制の強化を目指した協議が行われました。その結果、農業者と猟友会が、有害鳥獣の出没情報を共有することや、箱わな捕獲を農業者が新たに実施することなど、駆除活動を協力して行っていくことで合意がなされました。 この合意は、本市の有害鳥獣対策を実施する上で、大きな推進力となるものと考えています。この結果を踏まえ、農業者と猟友会のご協力をいただきながら、有害鳥獣対策の一層の強化に取組み、被害の軽減に努めてまいります。 (経済局長) 国においては 平成20年度(2008年度)から、市町による有害鳥獣対策の取組を総合的に支援する事業として、鳥獣被害防止総合対策交付金事業を実施しています。 本市では、今年度、この事業の採択を受け、捕獲道具である箱わなを購入し、猟友会の駆除班(14班)に配備することにしており、来年度以降も引き続きこの事業を活用し駆除の強化を図りたいと考えています。 上にもどる 2020年オリンピック招致について (村上あつ子議員) 2020年オリンピックを広島に招致しようということについて伺います。 まず、開催理念についてです。基本計画では、オリンピックムーブメントを通じて核兵器廃絶の世論を高めるための発信を進めるとしています。しかし、オリンピックの花形競技である陸上競技の地元競技団体は、オリンピックはスポーツの祭典であり政治に利用されるべきではないと批判しておられます。これは、純粋にスポーツで交流を深め拡げようという考え方からのことだと思います。 オリンピックは世界中から集まる選手や観客がスポーツを通じて交流し、国と国との垣根を越えて互いに仲良くなり、親しみを持ち合うようになり、そこから平和な関係づくりの土台をつくっていこうというものだと思います。そのためには、参加しにくい条件をつくらないことが必要です。オリンピック選手は、国の代表として送り出されてきます。 国連総会での核兵器廃絶決議には、いまなお反対する国や棄権する国があります。私たちも1日も早い核兵器廃絶のために行動してきました。仮に、財政問題をはじめ様々な問題が解決し、広島でオリンピックが開催できることになれば、世界中から大勢の人々が被爆地に集まり、被爆の実相とヒロシマの願いに触れ、核兵器廃絶の世論を高めるのに大きな力になりうると思います。 しかしそれは、純粋に世界最高のスポーツイベントとして開催するオリンピックだからこそではないかと思います。初めから開催理念に「核兵器廃絶」の課題を書き入れることとは違うことだと考えます。核兵器廃絶は人類的な課題ですが、すべての国の意見が一致している課題ではないのです。 そういう課題を前提としたものとなれば、選手派遣をためらう国が出てこないとも限りません。それでは、スポーツで交流するという目的を損なうことになるのではないでしょうか。この点について、改めて市長のお考えを伺います。 (市民局長) 本市は、2020年までの核兵器廃絶の実現に向け、様々な取り組みを行っています。この核兵器廃絶実現の年に、被爆地広島で「平和の祭典」としてオリンピックを開催することには、世界史的な意義があることから、2020年のオリンピック招致開催について、検討を行うことにしたものです。 本市が目指すオリンピックは、「人間の尊厳保持に重きを置く、平和な社会を推進することにある」とのオリンピズムの目的に沿った「スポーツと平和の祭典」として開催しようとするものであり、核兵器廃絶を目的として開催を検討しているものではありません。 (村上あつ子議員) 10月の集中審議の時は、国内の各競技団体に説明して、この計画ではだめだという競技団体はなかったと答弁されました。しかし、新聞記事によれば、広島のことが分かっている地元の競技団体の中で9団体が、競技施設の立地や競技施設のあり方について問題ありとしています。 財政計画では、国際競技連盟に改善を要求された場合の経費は見込まれていないということですが、地元が指摘したように競技施設のあり方に変更があれば、当然経費が増えていくことになります。 また、交通インフラの整備は一切やらないとしていることに対して、9団体から批判の意見が出ています。実際に競技にかかわる団体からそうした指摘を受けて、無視できるのでしょうか。私たちも、メイン会場にかかわるアストラムラインの延伸や駅舎の整備などは実際には避けられないのではないかと考えています。 オリンピックの観客は地理に不案内の県外の人が圧倒的多数ですし、何よりも外国から多数の人々が集まるイベントです。しかも、若い人だけでなく高齢者も多いでしょうし、障害のある方も多いはずです。有名歌手のコンサートに集まった若い人たちでうまくいったからと言っても説得力はありません。障害のある人たちということでは、パラリンピックも行われるのに現状の街のあり方で本当に十分だと言えるのでしょうか。 一昨年夏に、ある障害者団体の全国大会が広島で開催されました。準備をしてきた事務局が一番苦労したのが交通アクセスで、ハンディのある人が宿泊できる施設も足らず大変だったと聞いています。オリンピックとなれば規模は数倍になるわけですから「本当に広島で開催できるのか」という声があるのは当然です。 さらに新聞記事によると、カヌーとセーリングの競技団体はいずれも漁業補償の問題も指摘されています。これはおそらく財政計画には盛り込まれていないのではないでしょうか。 こうしたことを踏まえれば、とても市の負担は52億円では収まらないのではないでしょうか。以上に述べたことについて、財政計画も含めてどのようにお考えか伺います。 (市民局長) 先日、森本議員の質問に対してお答えしたように、中央の競技団体との協議の結果、競技会場の計画は、現段階で、総じて、問題はないという見解でした。地元の46競技団体にも個別説明を行い、意見等を伺っており、今後の参考にしたいと考えています。 基本計画(案)に記載している交通インフラは、既存のものだけでなく、本年7月に策定した「広島市総合交通戦略」に掲げている、平成29年度(2017年度)までの整備プログラムに盛り込まれた道路や西風新都の開発にあわせて整備を行う道路などを含んでおり、これらはオリンピックの有無に関係なく、整備される予定のものです。 オリンピックの開催にあたっては、市民等の協力を得て、マイカー使用の自粛、公共交通機関の利用促進を図るとともに、交通規制を実施するなど、長野オリンピックで実際に行われた交通施策も参考にして、円滑な交通処理を行いたいと考えています。 なお、メインスタジアムである広島ビックアーチについては、既存のアストラムライン、シャトルバス及び九州等遠方からのツアーバスなどを利用するとともに、周辺の交通規制などを行うことにより、交通処理は可能であると考えています。 高齢者や障害者への配慮については、引き続き、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」等の基準に基づいた街づくりを進めることはもちろんのこと、オリンピックに関連する施設整備は、バリアフリーに十分配慮した計画としています。 このように議員ご指摘の事項については、様々な創意工夫のもと対処できると考えており、現段階では、事業費の変更は必要ないと考えています。今後の説明等においても、意見や提案があった場合には、そういった声にも耳を傾け、創意工夫により対処していきたいと考えています。 (村上あつ子議員) 11月初めに行われた中国新聞の世論調査によれば、オリンピックに反対の世論が44.5%となっていました。賛成はわずか27%です。東京は6割が賛成でしたが、それでも立候補都市の中で最低だとして落選しました。 世論調査では、説明が不十分だという意見が圧倒的多数です。市が実施した説明会に参加した市民は延べで600人余りです。市長は結論を来年に先延ばしするお考えのようですが、市長が立候補を決める前提はあくまでも市民が賛成し応援してくれる、積極的に協力してくれることだと考えます。市民の合意は絶対条件だと考えますが、市民の合意をどのように量るお考えか伺います。 (市民局長) オリンピックの招致開催の方針決定に当たっては、本市が目指すオリンピックの意義・内容について、市民の皆さんに理解していただいた上で判断していただくことが重要であると考えています。 このため、年内を目処としていた方針決定を延ばすことについて、支障がないとの意向がJOCから 示されたことから、今後も引き続き様々な機会をとらえて時間をかけて丁寧に市民の皆さんに説明し、市民意見の把握に努めながら、理解と賛同を得る努力をしたいと考えています。 議員御指摘の市民合意という点に関しては、こうした努力を積み重ねていく中で、市民の皆さんとのやり取り等をふまえ、見極めていきたいと考えています。 −(再質問)ー (村上あつ子議員) オリンピック招致について、立候補の意思表示を来年に延ばされましたが、立候補するとなれば、議会に対してJOCへの提出書類の作成費用が提案される時期は、新年度予算になるのかどうかお聞きします。 (市民局長) オリンピック招致の関係で、JOCへの提出等でありますけれども、まだJOCから提出する具体的な内容、或いはスケジュールというのが示されていませんので、そういった作業の予算が、新年度予算になるか、補正でやるか、今のところは判断つきかねております。 上にもどる 地盤沈下とトンネル安全検討委員会について (村上あつ子議員) 11月14日、広島高速5号線トンネル安全検討委員会が開催されました。5回目となるこの日の検討委員会では、二葉山トンネル掘削による住民生活の安全確保を科学的に検証するための植生と地質の追加調査の項目がほぼ確認されました。 一方、毎回の委員会を傍聴されている住民の方から、追加ボーリング調査について「協力しかねる」との意見が寄せられています。なぜ住民はボーリング調査に応じられないと主張されているのでしょうか。それは、委員会発足前から福木トンネルの地盤沈下について検討委員会の中できちんと検証してほしいという住民の声を無視した委員会運営がされてきていることが主要な要因です。 福木トンネルでボーリング調査も行い、環境影響評価も行い、地盤の緩みを15ミリと予測していましたが、結果はその10倍以上の180ミリを超える大規模な沈下が起こりました。二葉山トンネルで同じようなことを繰り返さないためには、福木トンネルでの影響評価、科学的評価は問題なかったのか、どういう点が問題だったのかなど検証することは当然であり、それを住民が望んでいることも納得できます。委員の先生のなかからも二度と同じようなことを繰り返さないためにきちんとした検証をすべきとの意見が再三出ています。 旧国鉄が実施したトンネル建設にかかわってこられたトンネル技術一筋というある委員の方は、「何であのような沈下が起きたのだろう」といろいろ地形図を調べてみたところ、「こんなところだったら沈下するのは当たり前だ」と思ったと言われるのです。それは、1947年米軍が撮った空中写真で、これを見る人が見れば、トンネル南側にある呉婆々宇山を源とする水系の谷がつくった扇状地の直下にトンネルを掘れば当然大量の水は出てくることはわかるということです。 福木トンネルの地盤沈下は明らかに人災というべき「事故」です。高速道路公社は、福木トンネルについては学識経験者も入った「安芸府中トンネル技術検討委員会」において地表面沈下のメカニズムの検討を行っているとして「検証」はすんでいるとの説明を繰り返しています。 しかし、その「委員会」は非公開であり、今になっても、「安全検討委員会」に具体的な沈下図や「技術検討委員会」の報告書は提出されておらず、馬木地域の実際の沈下データの報告もありません。さらに、今起きている周辺地域での沈下についても「トンネルとは関係ない」として地質調査などしようとしていません。 また、福木トンネルより5年早く開通した高速4号線西風トンネル工事においても地盤沈下が生じ、住民が被害を訴えておられますが、公社は学識経験者の意見も聞かず、調査もせず、「トンネルとの因果関係は認められない」と突き放し、住民との溝は深まりばかりです。 「安全検討委員会」において、二葉山トンネルの追加調査を円滑に実施し、科学的検証がおこなわれるためにも、住民との信頼関係を取り戻すことは最重要課題です。そのためには福木トンネル・西風トンネルにおける大規模な地盤沈下の科学的検証は必須です。当局の見解を伺います。委員会運営を円滑にすすめていくためにも納得のいく答弁を求めます。 (道路交通局長) 高速1号線の「福木トンネル」建設における地表面沈下については、平成15年(2003年)5月に設 置した学識経験者、請負業者等で構成する「安芸府中トンネル技術検討委員会」において、沈下のメカニズムは解明されています。 このことについて、「福木トンネル」で地表面沈下を引き起こした馬木地区の住民の方がたにも平成19年(2007年)7月から11月にかけて地元説明会を3回開催しています。 また、「西風トンネル」については、トンネル工事に伴い家屋等の損傷の申出があったため、広島高速道路公社において、現地測量や地質・建築基礎などの専門家の意見聴衆、申出者への聞き取り調査を実施し、その結果、トンネル工事との因果関係はないと判断し、昨年6月、申出者に個別に説明しています (村上あつ子議員) また、補償問題についてですが、高速道路公社の説明では、福木トンネル関係では8割を超える方と補償契約を終えているとのことですが、事前調査の対象外とされていた地域の方に対して、公社は地質や地下水の調査もせず、「トンネル工事と因果関係は認められない」と切り捨てています。 しかし、この地盤沈下は前述の委員の方が指摘されたように起こるべくして起きた「事故」です。トンネル工事で地下水が枯れた頃から家が傾いていることをどう説明されるのでしょうか。トンネルとの因果関係がないとすれば、被害を申告している家屋被害の原因は何なのか、関係住民を集めて納得のいく説明会を開くべきです。また、西風トンネル被害住民に対してどう対応されるのか答弁を求めます。 (道路交通局長) 「福木トンネル」の建設工事に伴う地表面沈下により家屋等に被害が生じたとして申出された方がたに対しては、公社において、被害の発生状況等の聞き取り調査や家屋等の調査を行い、トンネル工事との因果関係の有無について慎重に判断してきました。 その結果、トンネル工事との因果関係が認められた方については順次家屋等の補償を行ってきており、現在までに9割近くの方がたと補償契約を締結しました。また、因果関係が認められなかった方については、個別に判定方法やその結果などを説明してきており、今後も誠意を持って対応したいとしています。 また、西風トンネルについては、先程説明しましたように申出者に対し調査結果などについて個別に説明しています。 上にもどる 出島廃棄物処分場について (村上あつ子議員) 2002年に開始された地元説明会で、広島県は、「五日市に積み出し基地を建設し、そこから一日に一便、船に廃棄物を積んで出島に運び、埋め立てる」「宇品・出島地区は交通騒音が環境基準を未達成なので陸上でなく海上搬入にした」との説明を繰り返し、3万人を超える反対署名を押しきって、2003年(平成15年)6月、海路搬入を前提にして出島処分場建設の協定書は結ばれました。 あれから7年間、出島協議会では「海から運ばれた産業廃棄物を、いかに安全に埋め立てるのか」と安全性を最優先にした議論がされてきました。また、「五日市の積み出し基地建設はできるのか」と繰り返し質問が出され、その都度、県は「大丈夫」と説明されてきました。 しかし、9月17日、湯ア知事は経費削減と新しい道路建設がすすんだことを理由に、産業廃棄物の搬入方法を海上から陸上搬入にすることを検討したいと、突然、地元協議会に説明されました。陸路への変更は、出島処分場の建設に合意してきた協定書の内容を覆すものですし、これまでの地元の真剣な議論を全て水の泡にするものです。 五日市では反対の声が多く、いまなお説明会さえできない状態と聞いています。結局、五日市の合意がとれないので陸上搬送に変更せざるを得ないというのが事の真相ではありませんか。そのことに一言も触れないまま、「採算性」とか「新しい道路建設が進んだため」というごまかしは「住民軽視」「県民だまし」であり通用しません。陸路への変更にあたっては、まず宇品・出島地区の住民に謝罪すべきです。 伺いますが、市は五日市の合意の状況について知っておられたのですか。五日市の合意がないまま事業が進められてきたことについて、どのようにお考えですか。 (環境局長) 出島廃棄物処分場については、現在、事業主体である県が、廃棄物の搬入方法について、海上搬入から陸上搬入に変更する方向で、事業計画の見直しを行っています。 これまで海上運搬を前提とした積出施設に係る五日市の地元住民の合意については、県から、「地元説明会の開催などにより、事業計画について理解を得るよう努めているが、未だ理解を得るに至っていない。引き続き理解を得るよう努力する。」と報告を受けていました。その際本市は、県に対して地元住民の意見・要望等を真摯に受け止め、誠意をもって対応するよう繰り返し指導してきました。 こうした中、本年9月、県知事が宇品・出島地区及び五日市地区の現地を視察して、地元代表の意見を聞かれ、また、廃棄物埋立量の減少等の状況変化を踏まえて、事業計画の見直しが進められることになったものです。 引き続き、本市としては県に対し、地域住民の理解を得ながら事業を進めるよう、指導していきます。 (村上あつ子議員) 陸路への変更にあたっては、輸送ルートや搬入時の粉塵飛散防止の対策だけでなく、輸送ルート周辺に暮らしている住民に地域ごとに説明会を行い、陸上輸送の合意をとることが最低限の条件です。協議会委員への説明だけでは、陸上輸送への変更が合意されたことにはならないと考えます。市のお考えをお聞きするとともに、県に対してどのように指導されるのかお聞きします。 (環境局長) 今回の事業計画の見直しについて、県知事は、本年9月の県議会において、「住民の皆様と、検討作業の途中経過を共有するなどして、地元と一体になった計画づくりを進める。」と答弁されています。 また、現在、地元や県・市で構成する「広島県出島処分場事業連絡調整協議会」で見直し計画案を協議しているところですが、この協議会において、県は、「協議会委員への説明だけで見直し計画を決定するものではない。必要な環境保全上の措置などの検証結果について意見を聞き、来年1月には事業計画の見直し案を取りまとめたい。最終的には、地元住民説明会を開催し、住民意見を聞いたうえで、来年3月中に見直し計画を決定したい。」と説明しています。 本市は、事業計画の見直しにあたっては、廃棄物の搬入を陸上搬入に変更することが、周辺環境にどのような影響を与えるのかを検証し、周辺生活環境の保全に万全を期することが非常に重要であると認識しています。 また、見直し計画の策定にあたっては、地域住民の理解を得ながら進めていくべきと考えており、本年10月27日の県知事・市長会談において、こうした考え方に沿った取り組みを、市長から県知事に要請しました。 このことから、廃棄物の搬入方法の変更に伴う協定書の結び直しについては、この協議会の場で協議されることになります。 (村上あつ子議員) 産業廃棄物処理場の許可権者である広島市も、あくまで海路搬入を前提とした環境評価により許可されてきたはずです。環境影響評価の判断基準となった基本的な事項が変更されるのですから、当然、環境影響評価をやり直し、協定書は結び直す必要があると考えますがいかがお考えですか。 (環境局長) 環境影響評価は、事業の実施に当たり、予め事業者自らがその影響について調査、予測、評価を行うことにより、事業に伴う環境への影響を可能な限り回避、低減するよう事業者に求めるものです。 本事業のように既に事業着手している事業については、環境影響評価条例では、事業着手前の一連の環境影響評価を再度行うことにはなっていませんが、市長は、事業者に対して、必要な環境影響評価やその他必要な事項の報告又は資料の提出を求めることができることとなっています。 ご懸念は、陸上運搬への変更で、周辺道路の交通量が増加し、大気、騒音、振動などの周辺環境が悪化するのではないかということかと思います。 本市では、広島県に対して、事業計画の見直し作業と並行して、本市への協議を行うよう申し入れています。 また、現在、県は環境調査を行うなど、事業見直しの検証作業を行っていますが、今後、協議会による協議を経て、事業見直し案が整い、それを前提として環境保全上の措置が必要な場合は、本市としても適切に対処してまいりたいと考えています。 次に、協定書の結ぶ直しについてですが、地元住民と県は、平成15年(2003年)6月に「出島地区廃棄物処分場環境保全基本協定書」を締結しています。 この協定書には、「この協定に定めのない事項で必要があるとき、この協定に定める事項について疑義が生じたとき、又はこの協定を改定する必要が生じたときは、その都度協議会において協議するものとする。」と規定されています。 このことから、廃棄物の搬入方法の変更に伴う協定書の結び直しについては、この協議会の場で協議されることになります。 (村上あつ子議員) 環境影響評価について県は、陸路に変更するための騒音調査は一日のみ実施すればよいとしていますが、2002年(平成14年)の環境影響評価書では、騒音調査は夏と冬の2シーズンで実施しています。陸路への是非を判断するには、少なくとも年間を通じた調査が必要です。わずか一日の調査で年間を通じた影響評価ができるのか。この点についても市のお考えを伺います。 (環境局長) 運搬車両による大気質や騒音への影響を評価する際の環境調査は、環境省の廃棄物処理施設生活環境影響調査指針などに基づいて行うこととされています。こうした指針などによれば、環境調査は、調査地域における環境影響を予測・評価するために必要な情報を適切かつ効果的に把握できる期間、時期等に行うこととされており、一律に1年間を通じた調査が必要とはされていません。 この度、県が実施した環境調査は、大気については11月に2週間、騒音については、平日の1日間測定しており、これは、先ほどの環境省の指針に沿った調査となっています。 また、県は、搬入ルート周辺における交通騒音調査等の実施計画について、出島処分場事業連絡調整協議会で事前に説明を行い、地元住民の意見を聴いて環境調査を実施しました。 調査結果については、今月2日に開催された協議会において中間報告があり、今月末に開催予定の次回の協議会において、専門家による検討結果を含めた正式な評価結果が報告される予定です。 なお、この評価結果については、引き続き協議会において議論されるものと考えています。 (村上あつ子議員) 県は、「陸路にすれば積み出し基地や受け入れ基地の建設費、運搬船の支出が不用となるので、安い使用料で廃棄物を処理できる。地元の強い願いである「埋め立て期間10年」を守るには、手数料を安くして全県下から廃棄物を受け入れなくては採算が合わない」としています。 廃棄物の埋め立て量は、1999年(平成11年)と比較して4分の1にまで減っています。2004年(平成16年)には、広島市公共事業見直し委員会が廃棄物が減少している事実にもとづいて、規模縮小を含めて「いったん中止」と結論づけました。 しかし、県は市の指摘を無視して、埋め立て規模を縮小もせずに放置し、今度は、廃棄物が減ったから満杯にするために広域からごみをかき集めてくるというのは、あまりにも身勝手な言い分ではないでしょうか。 伺いますが、陸路にすると、どのくらい安くなるのですか。廃棄物の搬入地域を県西部にとどまらず県全域から受け入れることは、産業廃棄物の排出者責任を曖昧にし、ゼロエミッションに逆行すると思いますがいかがお考えですか。 (環境局長) 廃棄物を陸上搬入に変更した場合における処分手数料の額や受入対象区域については、県から、「現在、検討中である。」と聞いています。 廃棄物処理法には、事業者の責務として、廃棄物を適正に処理すること及び廃棄物の減量に努めること、並びに地方公共団体の施策に協力しなければならないことが明記されており、受入対象区域を変更した場合でも、この責務がなくなることはありません。 県では、廃棄物処理法に基づいて廃棄物の減量その他その適正な処理に関して定める「広島県廃棄物処理計画」に従って、産業廃棄物の発生抑制や資源化の促進に取り組まれます。 こうしたことから、受入対象区域を拡大することが、排出者責任を曖昧にし、ゼロエミッションに逆行することに繋がるものではないと考えています。 (村上あつ子議員) また、埋め立て量に関係なく、10年が経過した時点で処分場を閉鎖するうに県に求めるべきですがどのようにされるお考えですか。 (環境局長) 出島廃棄物処分場における廃棄物の受け入れ計画期間については、「出島地区廃棄物処分場環境保全基本協定書」において、「受入開始から10年間とする。」と明記されています。 県知事は、本年9月の県議会において、「受け入れ期間については、10年と考えており、今後、これを確実に実行できる方策について、地元と協議をして参りたいと考えている。」と答弁されています。 こうしたことから、本市としては、この協定が守られるものと認識しています。 (村上あつ子議員) 県の説明では、10トンの産業廃棄物トラックで、一日に115台が出島処分場に来るとしています。市が計画している特別支援学校は廃棄物トラックが集中する場所に建設されることになります。子どもたちが学校にいる間、実に4分間に1台のトラックが行き来することになります。すでに保護者から、子どもたちの健康や安全に不安があるとの声が出ています。市として、どのような対応をされるのかお聞きします。 (教育長) 出島廃棄物処分場の搬入方式の見直しに伴う搬入ルートについては未確定ですが、搬入トラックの交通量は1日115台と想定されており、このトラックが仮に移転後の広島特別支援学校の近辺を通行するとしても、国道2号に近接している現在地の周辺交通量に比べれば、はるかに少ない台数であり、学校運営に支障をきたすものではないと考えています。 県は廃棄物処分場事業の見直しにあたっては、環境保全上の措置に万全を尽くした計画を策定するとしており、教育委員会としては、今後とも適宜情報を得ながら、必要に応じ、関係部局と連携して学校運営に支障をきたす計画とならないよう県と協議してまいります。 なお、県からは、学校等から要請があれば説明に赴く用意があると聞いています。 上にもどる 南道路建設と江波のまちづくりについて (村上あつ子議員) 10年以上にわたって、“江波のまちを壊す”と地域ぐるみの反対運動がおこった南道路が、いよいよ年内にも工事着工されようとしています。 住民の中には、高速道路の江波ランプができれば、少しは地元に恩恵を受けるのではと、かすかな期待もありましたが、これも、その後の計画見直しによって見事に裏切られ、江波地域はただ高速道路が通過するだけとなったことに新たな怒りも広がっています。 地元では工事着工前にあたり、住民説明会が開かれましたが、どの説明会でも、今後のまちづくりや日常生活への影響がどうなるのか不安の声が数多く出されました。 これまで長きにわたって反対住民の声を無視して計画を強引に進めてきた、国・県・市が、今後、江波のまちづくりにどのように責任を持つのかが問われます。 そこでお伺いします。市は、長年住み慣れた土地を追われていった方々や残された住民の気持ちを、どのように受け止めて今後の江波のまちづくりを進めようとされるのか。基本的な姿勢をお答えください。 (道路交通局長) 江波は、原爆による大きな被害をまぬがれ、古くからの街並みが残った歴史ある地区であり、この地区を離れざるを得なかった方がたの残念な思いや、道路整備による歴史、文化、コミュニティーへの影響に対する不安な思いを、地元住民の方がたが持たれていることは、これまでの協議を通して痛感しています。 江波地区のまちづくりについての話し合いは、これまで、町内会等の各種団体や広島南道路の地権者で組織された、広島南道路対策江波地区委員会を窓口に行ってきましたが、大きな進展はありませでした。 現在は、江波地区の用地買収が面積ベースで9割を超える状況となり、江波連合町内会を中心として、新たに協議組織を立ち上げる機運が高まっており、本年11月25日に、関係10町内会などから選出された地元代表者の方がたと国、市、公社とで「江波地区まちづくり連協議会(仮称)準備会」を開催し、今年度内を目途に連絡協議会を設置することになっています。 今後は、この連絡協議会の中で十分な話し合いをさせていただき、行政と地元が一体となり、まちづくりを進めていきたいと考えています。 (村上あつ子議員) また、説明会を通じて「関連した生活道路の整備」「高齢者・障がい者・子どもが安心して渡れる横断歩道に」「まちの活性化のために地元のカキを生かした“道の駅”や“郷土資料館”“コミュニティセンター”などを設置してほしい」「工事中の騒音や交通の不便が心配だ」等々の要望も出されています。こうした具体的な要望に今後どのように応えていかれるのか。 江波の総合的なまちづくりを進めるために、市としても道路交通局任せでなく、必要な体制もとって対応すべきだと思いますが当局のご見解を伺います。 (道路交通局長) 地元から出されている要望には、道路の拡幅、郷土資料館の設置などのハード整備や、江波の魅力づくりによる地域の活性化などのソフト面があります。このため、連絡協議会の中に2つの部会を設置し、選定された地元代表者と具体的な協議を行いたいと考えています。また、本会の協議にあたっては、まちづくりや都市計画など、本市の関係部局に協力を求めていきたいと考えています。 上にもどる |
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