トップ議会情報・議員の発言2009年第3回9月定例会 議員発言 >総務委員会・中森議員


2009年10月15日 総務委員会 中森辰一議員

 指定管理者制度について
 配偶者暴力相談支援センターの設置について
 所得税法56条の廃止の意見書採択を
 消費税増税に反対の意見書採択を
 嘱託職員の待遇について(消費生活センターを例に)



指定管理者制度について

(中森辰一議員)
 3点について質疑をさせていただく。まず、指定管理者の指定について、補正予算案と12件の指定議案について一括して質問する。
 ここは、総務委員会だから、この制度の基本の問題について議論しておきたい。この制度は、個々の施設の管理を引き受けた事業者に、限りなく管理費の縮減を求めるところに本質的特徴がある。この点について、どうお考えか。

(行政改革推進課長)
 指定管理者制度の目的は、公の施設の利用に関わる市民サービスの向上と、経費縮減である。そういった意味で経費縮減というのはひとつの大きな目標である。


(中森辰一議員)
 管理費の多く、施設によっては大半は人件費だと思うが、管理費の縮減は現場業務に従事している労働者の人件費の縮減につながるし、そうなると労働強化を伴いながら、給料は上がらない、場合によっては給料の引き下げも起きかねない。
 いずれにしても、この制度が続く限り、労働者の待遇の削減に歯止めがかからないこの制度(経費削減が目的である限り)は、現場の荒廃、士気の後退を招き業務の質、サービスの質向上に逆行するのではないか。矛盾を抱えた制度ではないか。
 4年間一定額で契約するため、労働者の労働条件が、4年間という期間、物価の変動など社会状況にどのような変化があろうと固定されてしまう。これは物価変動など労働者の生活条件の変化に応じて、柔軟に労使間で労働条件の改善を進めていくべきことが憲法上の要請であるが、労働者の生活向上に取り組む権利を剥奪するものだ。どうお考えか。

(行政改革推進課長)
 指定管理者制度は平成15年の法改正でできて、本誌では平成18年から本格導入しているものである。先ほども説明したが、この目的は経費の縮減と市民サービスの向上である。経費縮減という観点から言うと、効果があったわけであるが、市民サービスの向上という観点においても、開館日の拡大などから市民サービスの向上を図ってまいった。そういった観点から、指定管理者制度は円滑に運用されていると思うが、ただそれは委員がご指摘の通り、各指定管理者の中でも、その中の職員の努力があってこそということは十分に承知しているところである。 そういった観点からも、今回の指定管理料の上限額については、過度な経費削減による管理水準の低下を招かないと言ったことも含めて制度導入時に行ったような、管理経費の一律カットは行わず、これまでの管理の実態などを踏まえ、個々の施設ごとに適切に設定しているという配慮をしているところである。


(中森辰一議員)
 指定管理者事業所で働く労働者の労働条件の決め方はどのようになっているのか。

(企画総務局次長)
 指定管理者において、基本的にはどういう方をどういう条件で使うかということを決めるものであるので、市の方としてはあくまでも管理が適正になされているかどうかを今回も業務状況報告書を出さしていただいている。
 そういう形でやるということで、労働条件の基本については、委託を受けた指定管理者が決めるということが基本である。


(中森辰一議員)
 それはそうだと思うが、前提はどれだけの指定管理料で引き受けたかということになる。受ける事業者の方は、とにかく競争で受けるわけだから、とにかくまずは管理費をいかに安くして引き受けていくかということにならざるを得ないと思う。
 そういう点では、今回は配慮をされたということなので、そういったようなことにはならないのだろうと思うが、基本の問題として、制度が続く限り、コストダウンの圧力というのは指定管理者にかかり続ける。いま引き受けている事業者は、次も引き受けようと思えば、次の更新のときにはコストダウンといことを念頭に置かざるを得ないと思う。
 そういう点で、今回、非公募施設については、労働条件の引き下げにつながらないような配慮をされたと思うが、少なくとも、今後の問題だが、いま以上に労働条件引き下げにならないように配慮をしていくと受け止めていいのかどうか。

(行政改革推進課長)
 指定管理者制度の運用にあたっては、いまの委員のご指摘も大変重要な観点であるが、適正な管理水準を維持しつつ経費の縮減を図るということも制度の目的としては重要な点である。今後とも指定管理者制度の運用実績等を勘案しながら、この経費、上限額の設定の在り方は検討していきたい。

(中森辰一議員)
 このコストダウンの圧力というのは、とりわけ公募の施設で問題になってくると思う。今回は非公募施設だけだが、12月定例会には公募施設の指定替えの議案が出てくるかと思うが、いま言ったことについて、公募施設ではどういう考え方で対応するのか。

(行政改革推進課長)
 公募施設についても、すでに新しい指定管理者の選定にあたって公募をしていて、もう締め切ったところであるが、上限額の設定に当たっては、これまでの運用実績を勘案して設定するというやり方で、前回のような一律カットいうやり方はしていない。

(中森辰一議員)
 人件費以外の経費削減は、どうしても限界が来る。そうなれば、それ以上、目に見える規模で経費削減を進めようとすれば、どうしても人件費削減にならざるを得ない。
しかし、労働者は生きて生活し、家庭を持ち、子どもを育てて、社会生活をしている人間だ。そうした社会生活が可能になるだけの人件費コストはどうしても必要だ。
そういうどうしても必要なコストまで削りこんでいけば、現場は荒廃し、働く意欲を失い、業務の質も低下せざるを得ない。
 4年ごとに人件費の削減を求める指定管理者制度そのものが、もともと制度として矛盾を持っているものではないか。人間が行う行政サービスにはなじまない制度ではないかと思うが、広島市としてはどのようにお考えか。

(行政改革推進課長)
 指定管理者制度の目的、市民サービスの向上と経費の削減ということで、経費の削減効果もさることながら、指定管理者の努力によって、今回後ほど指定管理者の概要評価を報告するが、ほとんどの施設で利用者数は伸びているし、アンケート調査を実施してもかなりいい結果が得られている、ということで市民サービスの向上という点で大きな効果が得られているのではないかと思う。
 それは、指定管理者やそこの職員の努力によることが大きいということも十分に指摘しているので、今後ともそういった点も十分に配慮しながら指定管理者制度の円滑な運用に努めて参りたい。

(中森辰一議員)
 いま言われたように、現場の職員はもっといい市民に満足していただけるサービスをしようと努力して、成果もあるということだ。ただ単に人件費カットにつながるような経費縮減ということではなくて、そういった努力も評価をするように、今後はそっちの評価の方が主体になってくるというような考え方で、制度が続く限りは、市としてもやらざるを得ないのだと思うので、そういう立場で取り組んでいただきたい。

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配偶者暴力相談支援センターの設置について

(中森辰一議員)
 補正予算の中で、「配偶者暴力相談支援センターの設置」とある。 広島市は、ドメスティックバイオレンス、DV被害防止と被害者支援施策のための基本計画を今年度中につくることになっていて、それに先立っての取り組みで、急がれる課題に取り組んだということだと思う。
 ここでは支援も、ということになっているが、具体的にこのセンターはどういう業務を行うのか、職員体制はどうなるのか、相談・支援は通常の勤務時間帯なのか、24時間体制なのか、そういったところを、もう少し詳しく説明していただきたい。

(男女共同参画課長)
 配偶者暴力相談支援センターであるが、配偶者暴力防止法に基づいて平成14年から都道府県に設置が義務付けられていて、平成19年の同法の改正によって市町村にも設置が努力義務とされているものである。
 その業務は、被害者の相談やカウンセリング、緊急時における安全の確保のほか、被害者の自立生活促進のための情報提供や援助などを行うこととされている。
 業務体制であるが、配偶者暴力相談支援センターの業務は、その直営業務として、男女共同参画課に専任の職員1名と女性相談員、これは非常勤嘱託であるが(合わせて)3名を配置して実施することにしている。業務の実施時間は、市の勤務時間と同様に、土日祝日を除く午前8時30分から午後5時15分までを予定している。

(中森辰一議員)
 職員の体制は正規職員が1人と嘱託、カウンセラーかなと思うが、この職種、処遇はこのまま続くのか、もっと充実させるお考えがあるのかどうか。

(男女共同参画課長)
 相談員は、現在中区、東区、安佐南区に女性相談員を配置しているが、その相談員の業務を男女共同参画課に移管して配置することにしている。特に資格という形はない。
 体制については、まず早く立ち上げるということで今回補正をお願いしている。今後、業務内容についてもいろんな面で充実を検討したいと思っているので、それに応じて職員体制も検討していきたいと考えている。

(中森辰一議員)
 正規1名というのは管理的な立場になるんだろうなと思うが、通常の業務時間帯を開けて相談にあたるということだ。そういう点でこれから業務的には多忙になっていくのではないかと思うが、その点で、嘱託で2名というのは心もとないなと思う。
 職員は使命感を持って取り組む必要があるし、そういう職員は正規職員で対応してもらいたい。そういう状況に応じて、相談員を着実に増やしていくという方向もきちんと持っておく必要があるのではないかと思う。
 現状での広島市の相談と支援の体制はどうなっているのか。民間の機関もあるので、それらを含めて説明をしていただきたい。

(男女共同参画課長)
 広島市内で民間シェルターが1か所ある。そちらの方に広島市の方から電話相談をお願いしているし、行き場がなくて困っている被害者の受け入れといったこともしていただいている。

(中森辰一議員)
 広島市内で、どれくらい件数があるのか。市内で発生するのもあるし、市外から支援を求めてくるのもあると思うが、それぞれどういう状況か。

(男女共同参画課長)
 DVに関わる広島市における相談件数は、平成16年度で634件であったが、平成20年度は936件ということで、大変増加の傾向にある。

(中森辰一議員)
 急速に増えている。936件もあって、民間シェルターが1か所、市も相談に乗ってきたんだろうが、ここだけしか支援するところがなかったというのは、大変な状況だったと思う。
 昨年行われた内閣府の調査では、結婚したことがある場合で、命の危険を感じたという女性が4.4%、20代、30代で交際相手の暴力で命の危険を感じたという女性が3%に上っている。
 これはたいへんな数字で、日ごろ、我々の眼にはなかなか見えにくいが、女性の30人から25人に1人が、男性からの暴力で命の危険にさらされていたということになる。DV防止と被害者支援の課題はたいへん大きいし、たいへん急がれるということだと思う。それにふさわしい支援体制が必要だと思うが、いかがか。

(男女共同参画課長)
 先ほども答弁したように、DV被害者の相談は増加の傾向にある。こうした方々の保護、自立への支援について、市民のニーズに応えるべく、引き続き体制も含めて充実を検討していきたいと考えている。


(中森辰一議員)
 そこで、先ほど相談受け入れをシェルター1か所でやっていただいているという答弁があったが、DVの被害者支援は、暴力からの保護が第1歩であるし極めて重要だと思うが、広島市内と広島県内で、シェルターは何ヶ所あるか。何人程度収容できるのか。現状でシェルターは足りてるのかどうか。

(男女共同参画課長)
 先ほどの1か所は市内である。それから足りてるかどうかということであるが、現在そのシェルターでは2世帯分の部屋を確保している。ニーズとしては、基本的に被害者の一時保護は県が担うわけであるが、県からの委託をこのシェルターが受けて受け入れを行うということもあるが、そういうことも含めて部屋数としては充足していると聞いている。

(中森辰一議員)
 充足しているという認識なんですね。これは民間であって、県や市が設置したものではないが、この保護という課題について、広島市は今後どのようにしていこうとお考えか。

(男女共同参画課長)
 被害者の一時保護については、配偶者暴力防止法の規定によって都道府県が設置する婦人相談所が行うということになっている。市の配偶者暴力相談支援センターにおいては、緊急時における被害者の安全を確保するために、県の婦人相談所、県警などと連携した被害者に対する同行支援などを実施することにしている。
 また今後については、県の婦人相談所につなげるまでの、宿泊などの緊急的な保護について、今後県警など関係機関と協議検討を行うことにしている。


(中森辰一議員)
 協議検討をしていく必要があるということなので、充足していると言われたが、これで足りてる、十分だというお考えではないということではないかと思うが、それでいいか。

(男女共同参画課長)
 規模的には現在充足している状況であるが、例えば、夕方あたりに被害者が逃げてこられて、すぐに県で保護できない、どこに泊まればいいかと、そういった時に責任を持ってそういった場合に市の方でそうした場所を、民間シェルターなども活用してそういったシステムを、ニーズとか関係機関と役割分担とか連携とかを今後よく協議しながら検討していきたいということである。


(中森辰一議員)
 実際に命の危険があった場合は、きちんと暴力から守っておくと、そういう状態で法的措置をとることがあった場合に、一時保護とは言いながら相当な期間を要することもありえる、それは当然、子どもを連れているかもしれない、教育問題なども含めて、行政として責任を持って取り組みをしていくということが必要ではないかと思うが、残念ながら広島では公共でこれを設置するというところまではいってなくて、民間にお願いをしているというのが現状だと思う。
 民間の運営がスムーズにいっているのかということもよくわからないが、すでに広島市内で設置されていたシェルターが、7年間やっておられたようだが、民間にお任せということではとても耐えられないということで撤退をされたと聞いているわけだが、こういう状況というのは非常に残念なことだと思う。
 このシェルターを公共で設置したところがあると思うがご存じか。

(男女共同参画課長)
 存じていない。

(中森辰一議員)
 千葉県の野田市が公設民営でやっている。行政が責任を持って取り組んでいく課題だと思うし、このシェルターを行政の責任で設置をしていくというのは、これは基本計画の柱にしてもいいくらいの課題ではないかと思うが、これについてはお考えはあるか。

(男女共同参画課長)
 現在、広島市でもシェルターに対する補助制度を持っている。従来は2分の1の補助を建物の賃料とかの固定的な経費については10割の補助に拡充を行ってきている。
 先ほど申し上げた配偶者暴力相談支援センターの業務を充実していく中で、緊急一時保護の検討もしようと思っている。こうした取り組みについて、今後シェルター等と協議を行っていく中で、そうしたことも一つの案として今後検討していきたいと考えている。

(中森辰一議員)
 広島では保護できないので、鳥取県などにいってもらうようなことになっていると聞いている。DV被害者を守る施策について行政の責任をはっきりさせて、行政の責任でシェルターを設置をしていく。千葉県野田市で公設民営でやっている。そういうところもぜひ見ていただきたい。
 今回は当座の予算だと思うが、今年度中につくる計画がスタートする来年度予算には、その計画が反映されることになるのか。

(男女共同参画課長)
 まだ予算については検討中であるのでこの場では(言えない)。


(中森辰一議員)
 せっかく計画が来年度からスタートするわけだから、そのスタートに合わせて当然、予算組みを考えていかなければならないと思う。
 人口60万人の鳥取県では、今年度、相談支援のための様々な事業に総額で6,300万円の予算が組まれている。これが、多いのか少ないのは評価は分からないが、人口でいえば広島市の方が2倍多い。そういう広島市でどういった予算が組まれることになるのかは、評価の対象になると思う。
 女性に対するDVの問題は、子どもにも関わりがあることで、子ども未来局などともよく相談していただいて、平和都市広島にふさわしい計画と予算が立てられるよう期待する。

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所得税法56条の廃止の意見書を

(中森辰一議員)
 請願第8号の紹介議員になっているので、この問題について少し説明をさせていただきたいと思う。
 前回の総務委員会で、局長から法律はこうなっていますという説明があったが、その法律が問題だという提起が行われている。
 前回説明された、所得税法第37条にあるように、現在の所得課税の、個人単位に課税するという原則からはずれて、例外規定のようにして、自営業者には世帯を単位に課税することにしている、所得税法第56条自体が時代遅れで、そのために、事業主の家族、配偶者や子ども、場合によっては父母なども、いくら働いてその事業の成果に貢献していても、事業主のわずかな控除の対象にしかなっていない。
 これでは、1人の人格として一生懸命働いても所得がないことになっていて、自立が保障されていないではないか、こういう問題である。 現実問題として、事業主の所得に対して不当に高額の所得課税が行われて、働いてくれている家族に対して、必要な給与を支払うことが妨げられているという問題である。
 これは、租税回避防止策という、自営業者をまったく信用しない考え方の下で運用されているということ以外に、男女共同参画という時代の要請にも逆行したもので、早急な改善が必要な課題だと考えている。
 そこで、一点だけ聞いておきたいが、男女共同参画を推進する側として、この問題はどのようにお考えか。

(男女共同参画課長)
 所得税法56条廃止のことについて、男女共同参画の視点からどうかということについて、明確にお答えできないが、家庭で働いている女性が一人の人格として大事にされるということは大事な取り組みだと思っているので、そうした観点から今後とも考えていきたいと思っている。

(中森辰一議員)
 全国女性税理士連盟が、平成17年8月付けで政府に提出した要望書では、「今日、女性の社会進出は目覚しく、経済的に自立するものも急増している。最近では、各々独立した事業者である配偶者間の対価の支払いをめぐる裁判も提起され、制定当時には想定できなかったケースも出現している。
 社会が大きく変貌する中、同一生計であるというだけで、親族に支払う対価の経費性を一切認めない本規定は、もはや経済の実情にそぐわないものとなっており、課税上、新たな不公平を生じる結果となっている。
 同一生計親族に支払う対価については、その適正な金額を必要経費とすることが、所得税法の本則、第37条から言っても正しく、また対価の支払いを受ける側も所得とすることが相当である。
 対価を支払う根拠となる事実があり、適正な対価が支払われている限り、租税回避行為に該当する余地はない。」
 として、所得税法第56条の廃止を求めている。
 ここに、基本的な議論が示されているわけだが、そもそもの法律の原則に則って、法改正をしてもらいたい、そのための意見書を出してほしいというのが請願の趣旨である。
 是非、採択に向けた審議をお願いする。

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消費税増税に反対の意見書を

(中森辰一議員)
 請願第17号、消費税増税に反対する意見書の提出を求める請願も、私が紹介議員になっているので、意見を述べさせていただく。
 消費税は、どのような所得の人も、所得の高い人も、低い人も、所得のない人も、生きていくためには、同じ税率で、どうしても払わざるを得ない税金である。ひと言で言えば、これが最大の特徴である。
 税金は、収入の状況、つまり生活の状況に応じて、収入と生活との関係でより余裕のある人にその余裕の度合いに応じて、負担してもらって、集めた税金を国民の暮らしの安定や社会の安定のために使う、社会の所得再配分の機能の土台である。
 そのために、例えば所得税では、かつて10%から70%といった累進税率を設けていた。ところが、20年前、1989年に国民への約束を裏切って強行採決で消費税が導入されたことで、従来の累進税率が実質的に緩和され、さらに、消費税導入を前後する時期から一貫して最高税率が引き下げられて、税率の平準化が進められてきた。
 消費税は、同じ負担率だ、だから公平だと捉えられる向きもあるが、収入に対する消費税の負担率では、所得が少ないほど負担率が高く、所得が多ければ多いほど負担率が低くなる。所得が少ない人ほど、生きていくために、収入のほとんどを消費税のかかるところに消費する。だから、収入額に対する消費税の負担率は限りなく5%に近づく。
 しかし、所得が高ければ高いほど、所得のうち消費税がかかるものへの消費額の割合が低くなる、つまり収入総額に対する消費税の負担率は限りなくゼロに近づく。
 見逃すことができないのは、消費税導入後も、一貫して(所得税の)最高税率が引き下げられてきたことである。最高税率が引き下げられればその分税収が減少するが、結局のところ消費税収が、その穴埋めに使われた。所得再配分の機能が弱まってしまった。直接的な言い方をすれば、毎日ギリギリの暮らしをしている人から集めた税金で、何ら生活に困らない高額所得の人の手取り所得を増やしてやったということである。
 同じ期間に、法人税率の引き下げも行われ、研究開発減税や証券優遇税制など、大企業、高額所得者の特別な減税政策が行われ、これらによる減収も実態として消費税収が穴埋めしてきた。
 消費税は高齢者福祉に必要だなどと、国民の暮らしに使うかのように、導入当時の政権も、税率引き上げ当時の政権も説明したが、この20年間の法人税収の減収分が、同じ期間の消費税収の9割方を占めていることを見れば、まったくのウソ偽りであったことが明らかである。事実、介護保険制度をつくって、国民に新たな負担を押し付け、とりわけ高齢者の負担が大きくなったし、高齢者の医療制度でも、次々と負担が増やされてきた。
 消費税は高齢者のためにはほとんど使われず、大企業と高額所得者の所得を増やすために使われたと考えるほかない。まさに、請願者が指摘しているように、消費税は、所得と生活の格差をいっそう拡大する役割を果たしてきたわけである。
 このような消費税が、さらに増税されれば、ますます格差を拡大し、国民の暮らしを圧迫し、市民生活に依拠している地域経済もいっそう困難に陥ることになる。
 新政権に就いた民主党は、4年後には消費税率引き上げもありうるとの立場である。新政権に対して、消費税率引き上げをしないよう求める意見書提出は必要なことだと考える。
 ぜひ、採択に向けご審議いただけるようお願いする。

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嘱託職員の待遇について(消費生活センターを例に)

(中森辰一議員)
 広島市や外郭団体では正規職員以外に嘱託職員、非常勤職員がたくさん働いて、公務を支えている。こうした非正規職員のなかで、今回は嘱託職員の給与のあり方について、主に、消費生活センターを例に議論し要望したいと思う。
 一般的に職員の給与はベースアップを別にして年々増えていくしくみになっているが、なぜそういうしくみにしているのか、確認しておく。基本点だけ簡潔に。

(給与課長)
 そういうルールについては、年々の業務の習熟、職務遂行能力の向上、勤続奨励の効果などの形で昇給の形になっている。

(中森辰一議員)
 以前からの年功型の体系になっていると思うが、職員が結婚し子どもを育てていく、そうした社会的条件に変化に沿って生活費が増えていくことに対応したものだと思う。また、長く勤務することでベテランとなり、より高い能力を発揮できるようになることを評価したり、よりよい仕事をしようという意識付けにもつながることを期待したものだと思う。こうした社会的条件を考慮することや給与条件の意義は、基本的に正規職員でも非正規職員でも変わらないと考える必要がある。
 消費生活センターの現場は、職員名簿を見ると12名の嘱託職員が担当している。現場の相談活動は嘱託職員だけでやっているのか。

(消費生活センター所長)
 現在、消費生活センターの相談業務については、基本的には生活相談員が中心になってい対応している。ただ、勤務時間との関係で、一般職が対応する場合もある。

(中森辰一議員)
 12名の嘱託職員がいるということは、それだけの体制が必要だということだと思うがそうか。

(消費生活センター所長)
 その通りである。

(中森辰一議員)
 こうした嘱託職員の体制をはじめて何年になるのか。また、今後もこれだけの規模の体制が必要だとお考えか。

(消費生活センター所長)
 相談員で一番長く勤務している方は、この9月末現在で30年と4カ月であって、消費生活関係の相談は、この近年インターネットや携帯電話、国際化等を反映して非常に複雑多様化しているということがあって、専門的高度な相談になっているという関係から、できるだけそういった相談員のノウハウを活かしてもらって、市民の相談に乗るという面では経験の蓄積が必要ではなかろうかと思っている。


(中森辰一議員)
 将来も含めて相談業務というのは高度化していく。専門的になってきているということであるので、こういった体制が必要だということだ。
 人事担当に伺うが、嘱託職員の導入はどういう場合に行われるのか。

(人事課長)
 基本的には非常勤職員は、専門的な知識、経験が必要な業務などで、勤務時間が週30時間程度で対応可能なものについて、雇用している。

(中森辰一議員)
 恒常的な業務であって、しかも12名もの嘱託職員を導入しなければならないほどの人員体制が必要な部署である。しかも、極めて公共性の高い業務である。一般的に、そういう部署には、責任の問題もあると思うし、当然正規職員を配置するべきではないかと思うが、どういうお考えか。
 この消費生活センターは、嘱託職員で間に合わせる部署ではないと思うが、なぜ嘱託職員のままでやっているのか。正規職員に置き換えていくお考えはないのか。

(人事課長)
 基本的な考え方をまず申し上げるが、本市では財政状況が大変厳しいということで、義務的経費である人件費の削減は不可欠であると考えている。その中で最小の経費で最大の効果を上げるということを念頭に置いて、事務事業の見直しなどによって職員数の削減に取り組んでいるところである。
 こうした中で、非常勤職員のことだが、専門的な知識、経験を持って、週30時間程度と申し上げたが、こういう方々も非常に正規職員と同様に行政運営において重要な役割を担っておられると考えている。しかし、厳しい財政状況の中で職員数を削減している、そして人件費を削減するという方向は今後も変わりがないと思うので、そういう中で適切な執行体制の確保に努めていきたいと考えている。

(中森辰一議員)
 もっと非正規の職員が増えていくのではないかと感じさせるような答弁だったと思うが、相談を受けてアドバイスをしていく、場合によってはその解決のために何らかの手を一緒に打っていくこともあるかもしれない。そういう点では非常に専門的であるし、責任を伴う部署だと思う。この業務が少なくとも今の我々の社会の中でなくなることは考えられないと思う。
 ここで非常に専門的な仕事をしてもらっている、そのことが正規職員にしないという理由には当然ならない。実際に相談業務を行っている時間帯以外のところでも、さまざまな事務的な手続きであったり作業であったり、そういう仕事もあると思うので、これは正規職員に置き換えていく条件は十分にあるのではないかと思う。
 嘱託職員と正規職員は、給与のあり方がまったく違う。正規職員は、役職による違いもあるが、基本的に毎年ベースアップする賃金体系になっている。
 しかし、嘱託職員は、1年契約でそれを更新するやり方になっているので、基本的に給与が上がることはない。消費生活センターは相談員という専門職だが、30年勤続した場合、20年の場合、10年の場合、5年の場合、それぞれ月収でどの程度違いがあるか。

(給与課長)
 相談員の報酬月額と行政職の職員の給与月額を比較すると、勤続30年で、月額で19万8千円、20年で13万1千円、10年で4万6千円、5年で1万3千円、それぞれ行政職のほうが高くなっている。
 こうした状況ではあるが、消費生活相談員の勤務時間は、正規職員の勤務時間の約4分の3であるので、消費生活相談員の報酬月額と行政職の給料月額に4分の3をかけたものと比較すると、勤続30年で10万6千円、20年で5万6千円、行政職の職員のほうが高くなっているが、10年では7千円、5年では3万1千円、逆に消費生活相談員のほうが高くなっている。


(中森辰一議員)
 時間単価で言うと、逆転が出てくることも年数によってはあるということだが、実際にはそれで生活をしているわけで、今どれだけの収入になっているかが問題になってくると思う。今、正規職員に置き換えていくができるなら、それなりの給与体系になってくるので、矛盾が生じるということはない。
 多くの場合、嘱託の業務は専門性を求められる部署が多いということだと思う。専門性を培いながら長く勤めて頑張って職務に努めてこられた職員に対して、ほとんど給与が増えないというあり方というのは、大変申し訳ないことだと思う。
 長年にわたって現場で相談員の業務に従事してこられたベテランが、ワーキングプアに近い状態でいいんだろうか、市民の暮らしと権利を守る部署であるから、現場の人々の熱意だけで支えられている状態は、これでいいんだろうかと思うがいかがか。

(給与課長)
 非常勤職員の報酬については、職務内容や非常勤職員間の報酬のバランス、他の政令指定都市の類似の職との均衡などを考慮して定めている。非常勤職員の勤務条件については、労働組合を通じた非常勤職員との協議の結果として決定しており、これまでの間、報酬や交通費、休暇制度等において、一定の改善を図っている。
 今後とも、適切な勤務条件の設定に意を用いて参りたいと考えている。

(中森辰一議員)
 消費生活センターを例に挙げると、恒常的に業務があって、長期に雇用されてがんばっておられる。しかし、今でも正規職員との大きな給与格差が放置されている。しかも、年数が増えるほどその格差が広がっているというのは、同じように市の職員として責任を負って仕事をしている職員に対する差別的な扱いになっているのではないかと思う。
 もう一度、この点についてお考えがあれば伺いたい。

(給与課長)
 非常勤職員の報酬については、報酬設定時の職務内容が変われば、変更後の職務内容に応じて報酬を定めるということになる。たとえば、消費生活相談員の報酬についても、近年の相談内容の変化などを考慮して、本年度から月額の引き上げを行っている。
 そういった点を踏まえて、今後とも適切な勤務条件の設定に意を用いて参りたいと考えている。

(中森辰一議員)
 若干の改善をしているというのは評価したいと思う。
 そこで、人を雇うときは正規職員が当たり前だと思う。非正規というのは本当にやむを得ない場合、臨時的な場合に限るべきだと考えている。それで、一つは、現在の嘱託の方を正規職員に採用できるのかどうか分からないが、一定の年数をかけて、新しく必要なところから正規職員にしていく。新たに非常勤職員を雇用するのではなくて、こういった形で徐々に正規職員に置き換えていくことを考えるべきではないか。
 もう一つは、毎年雇用契約を更新するとは言え、継続して長年に渡って同じ業務を行い、一定の責任も自覚している。長く努めればその仕事に愛着もわき、いい仕事をしようとがんばる、そうした意欲が持てるような労働条件にするべきだと考える。
 嘱託職員も勤続年数に応じて、一律にはいかないと思うが、正規職員に準じた給与引き上げの仕組みをつくるべきではないかと思う。以上、2点を提案するが、いかがか。

(人事部長)
 1点目の提案については、基本的に職員の採用方法は、地方公務員法において、原則として競争試験の方法により採用するしかないので、非正規職員を試験によらず正規職員に採用することは困難であると考えている。
 勤務条件の点であるが、長年勤務すれば正規職員と同様に給料が上がっていくようなシステムにするべきではないかということだが、常時業務はあるわけだが、非常勤の職員を採用して執行体制を確保している意味合いというのは、先ほど人事課長からも答弁したように、引き続きそういった体制で執行体制を確保していく必要があると現時点では思っている。その中で、勤務条件の改善というのは、わずかであるが改善を図ってきているので、引き続きそういう面でできる限りの改善はしていきたいと考えているし、そういうことを通じて非正規職員のやりがい等に結び付けていきたいと考えている。


(中森辰一議員)
 1点目であるが、正規職員を雇用するときには当然公募して競争試験をして採用することになる。そういう形をとって採用した職員に順次置き換えていく、ということで最終的には何年かかるかわからないが、そこの専門的で恒常的に仕事をある、そういうところのあり方を正規職員でやっていくことに変えていくことはできないのかということを言った。その点について、もう一度答弁を求める。

(人事部長)
 これはまた、最初の話に戻っていくが、職員を確保して効率的な執行体制を確保していくという考えから、専門的な知識が必要でなおかつ30時間程度で業務が執行できるものについては、昨今の厳しい財政状況等も踏まえながら、こういった非常勤職員の方を活用して、効率的な事務執行に当たっていくということであるので、今のところはそういった考えを持っていない。

(中森辰一議員)
 将来とも専門的な業務としてやっていく必要があるところが、専門的な業務だから嘱託職員でやっていくという話にはならない。
 いずれにしても、結局は財政の問題であったり、職員を削減していかなければならない、そういう都合があるからという話なんだろうと思う。これは、ここの職場の人には犠牲になってもらうしかないという話だと思う。
 二つ目の問題だが、実際には1年雇用で更新を繰り返していくんだが、給与を年々引き上げていくというシステムを持っている自治体はないのかといえば、実際にはある。私が知りえたところでは4つの自治体があった。
 大阪府の吹田市では、例えば学童保育指導員の場合、これは1週間の労働時間が25時間50分だが、1年目の月額給与が16万4千円で、25年目になると34万円になる。
 1日8時間の労働時間のうち4分の3の労働時間の嘱託職員で、概ねの数字だが、10年で6万円上がり、25年で15万円上がる。職種ごとに25年目までの給与表があって、勤務状況が悪くなければ翌年の雇用契約で1つ上の給与を適用して契約する。
 西宮市では、嘱託職員の場合、職種ごとの給与表があって、勤務年数が1年増すごとに1500円ずつ積み増しするようになっている。臨時職員も同様の仕組みで給与が上がるようになっている。
 墨田区の場合は、職種ごとや専門性の高さの水準ごとに級を設け、年齢段階を12に区分し、要するに更新を繰り返して勤続が長くなれば、12段階で給与が増えるしくみになっている。守口市でも更新ごとに一定額を上乗せする方式を採用している。
 要するに、事例は全国をみるとあるわけである。いずれも、雇用期間は1年間で、更新して新たな雇用契約を結ぶ際に、それぞれの段階ごとの給与額を新たに適用している。
 墨田区の場合は少し考え方が違うように思うが、これらは、当人の経験や実績を評価して、それぞれの段階の給与額を適用する考え方だと思う。
 そういうことが現実にできているわけで、広島市でできないことではない。いかがか。

(給与課長)
 非常勤職員の報酬については、本来一般職の職員とは異なり、一定の経験を持っていることを前提に同じ業務を委嘱していることを踏まえて、その額を設定している。また、年度を単位とした委嘱の形態になっているので、基本的には昇給の制度はなじまないと考えている。

(中森辰一議員)
 先ほど、年数によってはむしろ逆転するところもあると言っていたが、現実に20年、30年と勤めている方がおられる。このことを考えると、そういうことを前提にした仕組みを考えていくべきではないかと思う。
 10働いても、30年働いても、ほとんど1年目と給料が変わらない。正規職員と比べると、年収がだいぶ違う。それでは働いている人は報われない。
 嘱託職員も、それ以外の非正規職員も、正規職員と同じ市の職員として、経験も蓄積し能力も高めながらがんばっておられる。そういうことをきちんと評価し、いっそうやる気を高めるために、紹介した例を参考にして、こうした嘱託職員の実績にふさわしい処遇ができるように取り組んでいただきたい。強く、要望しておく。

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