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2009年10月16日 本会議 議案討論 中森辰一議員 |
補正予算案(111号議案)の修正案について 緊急経済対策について 保育園増設 児童養護施設 新幹線口地区再開発事業会社への補助 配偶者暴力相談支援センターの設置 認知症高齢者のグループホームへのスプリンクラー設置補助 文化交流施設条例について(120号議案) 指定管理者の指定(129号議案など公の施設の指定管理者を指定する議案) 契約の締結(段原中学校建設工事)(175号議案) |
日本共産党市会議員団を代表して、上程された議案についての討論を行います。 第111号議案の修正案には反対し、原案に意見を付して賛成します。また、第120号議案、第129号議案をはじめとする指定管理者の指定議案、第175号議案は意見を付して賛成とします。他の議案は賛成です。 以下、議案ごとに意見を述べます。 補正予算案(111号議案)の修正案について(球場跡地利用) 最初に、第111号議案、補正予算案の修正案についてですが、旧市民球場跡地の利用計画の具体的な検討のための予算を削除するものです。 これは、鳥瞰図作成費用80万円を認めたこと以外は、3月に今年度当初予算の議決で同じ事業予算が同じ理由で削除修正されたのと同じことの繰り返しです。私ども日本共産党市議団はその際に、修正案に対して「周辺関係者等の理解が得られていない」というのは、これまでの跡地利用についての時間をかけた議論を踏まえないものだと批判しました。 これまで長い時間をかけて行政も議会も周辺関係者も議論を重ねてきた、そうした積み重ねの上で市民にもさらに議論してもらえるようなより具体的な内容について検討を進めるための予算が組まれたものです。 現球場跡地については、これまでの議論の積み重ねの結果を尊重し、市民にも積極的に情報公開しながら、必要ならさらに周辺関係者の皆さんの意見も聞きながら、より具体的な検討を進めていただければよいと考えます。 よって第111号議案に対する修正案には反対です。 上にもどる 補正予算案(111号議案)について 緊急経済対策について 次に、意見を付して賛成の議案についてそれぞれ意見を述べます。 はじめに第111号議案、一般会計の補正予算案ですが、6つの予算項目について意見を述べます。 まず、緊急雇用対策ということで、およそ9000万円の予算で臨時職員を雇用するというものがあります。新たな雇用人数は合わせて119人ということですが、雇用期間が極めて短期で1カ月から5カ月程度というものです。雇用情勢はなお厳しくなるばかりで、簡単に仕事が見つかる状況ではない中で、この程度の雇用対策では極めて不十分というほかはありません。 政府が決めた基準が問題だということですが、1回更新で2年間程度は仕事につければ、生活も落ち着くのではないかと思います。そういうことができるように市としても取り組んでいただけるよう要請します。 上にもどる 保育園の増設など 次に、民間保育園の増設や増改築などがあります。このことで635人分の定員が増えて、待機児の問題で相当前進できることは、大いに評価するものです。ただし、今回改築しようとする民間保育園の施設よりも老朽化が進んでいる公立保育園の施設があり、それが後回しになっているのは、順序から言って納得できないものです。 今回活用する国の財源が公立保育園に使えないものではないだけに、老朽化が一番進んでいる公立保育園を加えるべきだったと考えます。民間移管の対象園だというのが理由でしょうが、当事者たちの理解は得られないでしょう。市の取り組み方として問題ありだということを指摘しておきます。 上にもどる 児童養護施設 次に、児童養護施設の安全対策のための備品購入や、生活環境改善のための施設改修などの補助があります。入所する子どもたちの環境が改善することで大いに賛成ですが、児童養護施設について、2点だけ取り組みを求めておきます。 児童養護施設は、近年の虐待事例の増加で、市内の定員では足りない状況が続いていると思います。定員を増やすための検討が急がれているのではないかと思います。この点の検討をされるよう求めます。 また、虐待を受けた子どもの入所がかなり増えている中で、心理的なケアを行う心理療法士が導入されています。児童養護施設にいる子どもたちは、虐待を受けて入所しているのでなくても、もともと、親から離れて集団で暮らさなければならない状態に置かれたというだけで、心に重い傷を負っています。つまり本来は、入所しているすべての子どもたちが、心理的ケアの対象です。虐待を受けた子どもたちに対応するというだけではなくて、入所しているすべての子どもたちを対象にできるように、心理療法士の手厚い配置に取り組まれるよう要望します。 上にもどる 新幹線口地区再開発事業会社への補助 次に、国の経済危機対策として、若草町地区市街地再開発事業の事業会社に13億5010万円を補助しようとする予算があります。この補助額は今回の緊急経済対策の補正予算額の28%を占めているたいへん大きな補助です。しかも、すでに今年3月に6000万円の補助が決定し、来年度も2億4千万円の補助が行われる予定になっています。あわせると16億5千万円にもなります。 問題は、高層ビルなどをつくって大きな儲けを上げようと事業を立ち上げた、大和システム株式会社などの民間会社に、このような巨額の税金を差し上げる公共性があるのかということです。 建設資材の高騰や急激な不動産市況の冷え込みで、市街地再開発事業の着工や完成が困難になるのではないかと心配して、これらの再開発事業が着実に進められるように、国が税金をつぎ込んでやろうというものです。 確かに資材高騰で建設コストが増加していますし、不動産市況も低迷しています。 公共が関わっている再開発事業は公共性があるというのでしょう。しかし、そのためにすでに市も国も必要だと見積もった支援をしています。何より、大和システム株式会社などの企業が、様々な見通しを検討したうえで、自分たちの判断で事業を行う決定をしたわけです。その上は、予定された公共支援の枠組み以外は、それこそ自己責任だと言わねばなりません。まして、大和システムなどの企業は体力もある大企業です。 しかも、資材高騰などによる事業費の増加分は10億円程度だと、事業者がみずから明らかにしており、それを大幅に上回る補助を出そうというのは、明らかな大企業へのばらまきというほかありません。 全額が国の補助金だとしても我々の税金です。このような大企業への思いやりは必要ありません。今新政権が、ムダ遣いはないかと、財源の確保に必死になっています。国に対して、来年度予定されている補助は中止するように要請するべきです。 上にもどる 配偶者暴力相談支援センターの設置 次に、配偶者暴力相談支援センターを設置しようとする予算があります。ドメスティックバイオレンス、DVについては広島市が、「DV被害防止と被害者支援施策のための基本計画」を来年度からのスタートに向けて策定中ですが、先行しての取り組みは大いに評価します。 質疑の中で、相談件数が急速に増えていることがわかりました。最近の内閣府の調査では、女性の25人から30人に1人が、DVで命の危険を感じたという経験をしていることになっています。そうすると、相談にきているのはまだ一部だということです。 今後、いっそう相談件数は増えていくし、緊急に保護が必要な例も増えていくと考えなければなりません。 しかし、広島市内では民間のシェルターが1ヶ所撤退し、民間が運営するシェルターが1か所、2世帯分しかない状況です。行政の責任で急いでシェルターを設置する必要があります。また、新しく設置されるセンターの相談は嘱託職員が2名で対応することになっていますが、この体制も今後充実していく考え方が必要です。 人口60万人の鳥取県は、今年度、DV対策の事業で6300万円の予算を組んでいます。基本計画がスタートする来年度には、鳥取県の取り組みも参考にして、人口で2倍にもなる広島市にふさわしい事業を計画し、予算を計上されるよう期待します。 上にもどる 認知症高齢者のグループホームへのスプリンクラー設置補助 補正予算の最後は、認知省高齢者のグループホームにスプリンクラーを設置するための補助制度をつくることについてです。 消防法の改正で延べ面積275平方メートルを超える施設には3年以内にスプリンクラーを設置することが義務付けられました。これらの義務付けられた施設に補助金を出して、スプリンクラーの設置を進めようというものです。 入所している高齢者はいずれも認知症で、自ら判断して避難することが困難な人たちです。火災が起きれば逃げ遅れる可能性が極めて大きい施設だけに、スプリンクラーはどうしても必要な設備です。ただし、この必要性は、275平方メートル以上の施設だけではありません。この基準の広さを下回る施設にもそれぞれ数名の認知症の方がおられるわけで、そういうところはなくてもいいということにならず、これらの施設にもスプリンクラーが必要です。 基準以下の施設は22か所あるそうですが、これらもスプリンクラー設置が促進されるように、補助金を出す制度を適用するべきです。命の重さを施設の広さで量るわけにはいきません。是非、前向きに検討されるよう求めます。 上にもどる 文化交流施設条例について(120号議案) 次に、第120号議案、文化交流施設条例についてです。厚生年金会館を市が引き取って運営しようとする条例です。この施設は多方面から存続を求められてきた、広島市にとって重要な文化施設です。これを広島市が引き取って存続させることには賛成ですが、これまでの広島市が運営する施設とは利用申し込みのあり方が違っています。これまでの市のやり方を踏襲するだけだと、これまで定例的に利用してきた団体などが場合によっては利用できない事態、そのために、毎年この会場を使って催しを定期開催することができなくなることが考えられます。ぜひ、そういった点に配慮した運営をされるよう求めておきます。 上にもどる 指定管理者の指定(129号議案など公の施設の指定管理者を指定する議案) 次は、第129号議案をはじめとする、公の施設のうち、非公募によって指定する施設の指定管理者を決める議案についてです。 質疑を行う中で、一定の配慮が行われたことがわかりましたが、人件費を除く経費の削減はもう限界だと思います。その上さらに運営経費を目に見えて削減しようとすれば必ず人件費の削減となり、がんばってサービス向上の成果も上げてこられた現場職員にいっそうの労働強化を押しつけたり、給与を切り下げることにならざるを得ません。 それは、現場を荒廃させ、働く意欲を失わせ、業務の質を落としてしまうことになりかねません。現場で働く人たちを人間として大事にする思想が必要だと思います。 4年ごとに人件費の削減を求めることになる指定管理者制度そのものが、もともと非人間的な制度であり、人間が行う公共部門にはなじまないものだと考えます。こんな制度は廃止するよう国に求めていただくよう求めます。同時に、そうした制度であるということをよく踏まえて、この制度を運用されるように求めておきます。 上にもどる 契約の締結(段原中学校建設工事)(175号議案) 最後は、第175号議案、段原中学校の建設工事の請負契約についてです。 請負契約を行うこと事態は問題ありませんが、今回も低入札で落札しています。予定価格に対して68.6%というのは極めて低いと思います。懸念があるのは、実際に現場で公共工事を担って働いている下請け、孫請けの業者が赤字で請けることや、そのために労働者の労働条件が劣悪な状態に置かれるのではないかということです。せっかく市民の税金で実施される公共事業で、末端の業者の経営を一層困難に追い込んだり、ワーキングプアを増やしていくとしたら、市の政策の方向とも矛盾します。 そうしたことがないように、市当局は公共事業の発注者として、今回契約者となる元請け会社を厳しく指導・監督されるよう求めておきます。 上にもどる |
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