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2009年10月15日 厚生委員会 藤井とし子議員

 黒い雨 被爆実態調査第2次の健康意識調査中間報告について



黒い雨 被爆実態調査第2次の健康意識調査中間報告について

(藤井とし子議員)
 黒い雨の問題は1976年に「黒い雨の大雨降雨地域」が健康診断受診者症交付地域に指定されました。この地域指定に対して、その周辺地域の被害者から、「自分たちのところも大雨だった」「厚生省の資料では雨が降っていないところでも実際には降っている」「大雨と小雨で区別するのはおかしい」というたくさんの意見や証言が出され運動が広がってきました。62年経ってもこの事実が認められず悔しい思いをされています。私が住んでいる安佐南区の高取地区は大雨区域だが隣の上安、相田地域は小雨地域となり対象地域になっていません。今回、2度目の被爆の実態調査が行われ、中間報告がまとめられました。その内容と今後について以下質問させていただきます。

 平成14年度に原子爆弾実態調査を実施し、今回、第二次調査として原爆体験者等健康意識調査を実施していますが、第一次と第二次の違いと、今回実施した調査が具体的にどういったものだったのかお答えください。

(調査課長)
 前回の調査は、原爆被害の実態を心理面への影響という側面から解明することを目的に、平成14年度に約一万人を対象としてアンケート調査を実施したものでございます。調査の結果、何らかの原爆体験を持っていることが、精神的影響を生じさせている可能性が示唆をされました。これを踏まえまして、今回の調査では、原爆体験者の心身への影響を国際的に認められている評価方法を用いて、科学的に検証することを目的として前回よりも調査対象を広げ、また調査方法についてもアンケート調査に加えまして面談調査も実施したものでございます。具体的には今回の調査ではまず基本調査として市内及び周辺2町の約3万7千人を対象にアンケートを実施いたしました。また基本調査回答者の中から抽出しました約900人を対象として、昨年11月から今年3月末まで面談調査を実施したものでございます。この調査では原爆体験者の精神健康上の影響だけでなく身体的な影響や黒い雨の降雨状況等にも質問しており、基本調査の有効回答率は74%に当たる約2万7千人ということで非常に多くの方にご協力いただいたところです以上です。


(藤井とし子議員) 
 以前よりも規模も大きく、面談や聞き取り調査を行い身体的な状況も聞くということ、科学的な解析もされるということですが、今年の7月に中間報告が取りまとめられていますが、そのポイントはどんなものなのか簡潔にお答えください。

(調査課長)
 今年7月6日に開催された原子爆弾被爆実態調査研究会では、主に基本調査をもとにした原爆体験者の精神的影響について検証した結果と面談調査をもとにした黒い雨の体験についての集計結果が第一次解析結果として発表されたところでございます。その主な内容は現在においても被爆者と黒い雨体験者、これは第一種健康診断特例区域となっている指定区域いわゆる宇田大雨地域のことでございます。それと特例区域になっていない未指定地域を問わず、いずれも精神健康面が不良であったこと、さらには未指定地域の黒い雨体験者が被爆者や指定区域の黒い雨体験者に比べ、全般的に精神健康面が不良であることが示唆されたこと、これらの結果に影響を与えた要因は、放射線による健康不安と差別偏見体験であり、とくに放射線による健康不安は、被爆者や黒い雨体験者の4割から5割が有していたこと。また黒い雨については指定地域は92%、未指定地域は83%の方が直接あった体験を有していたこと。こういったことが一次解析の主な結果だったと考えております。


(藤井とし子議員)
 中間報告では、黒い雨を体験された方のうち、未指定地域の方の精神健康度が不良とのことですが、その未指定地域にいた方が、現在何人くらいおられると推計していますか。

(調査課長)
 黒い雨未指定地域の対象者につきましてはその降雨範囲がいまだに特定できていないことがあります。それと黒い雨の降雨時間に地域差がありまして、その間にかなりの人の移動が考えられることがあります。従いまして、対象者の人数把握は困難な状況にございます。そうしたなかでかなり大雑把な推計でございますが、黒い雨の未指定地域で市内の宇多小雨地域にいた人で、現在も生存していると思われるのは3000人ぐらいではないかと考えております。

(藤井とし子議員)
 精神面だけではなく実際に今後は、他の個別面談調査等の結果の解析もされると思いますが、最終報告がどういう内容と時期か見通しをお答えください。
 
(調査課長)
 今回の調査では原爆体験者の精神上の影響評価だけではなく身体的な影響や黒い雨の降雨状況等も質問させていただいております。こうした内容や面談調査をもとにPTSD心的ストレス障害の有病率などについて現在詳細な解析作業を進めております。最終的な調査結果につきましては今年度内には取りまとめたいと考えております。

(藤井とし子議員)
 今年度内にはということですが、私の知っている方でもすでになくなられた方もいらっしゃいます。非常に病気を抱えておられる方とかたくさんいらっしゃいます。もう高齢化されていますし、早く認めてほしいという声もたくさん聞いております。
 3月にはまとめられるということですが、原爆放射線被害については、原爆症認定訴訟のなかでも「内部被爆」などの新しい知見も明らかになっています。政権も変わったこの時期ぜひ、最終報告を取りまとめた後に、被爆地域の拡大に向けて、国に強く働きかけてほしいと思いますが、市としてどのようにするお考えかお答えください。
  
(調査課長)
 これまで国は地域拡大については科学的合理的な根拠が必要であるとしております。ハードルは高いと思いますが、現在解析を進めているPTSD有病率や黒い雨の体験状況の健康状況の調査結果、これに加えて積極的に情報収集に勤めております。放射性降下物等の新たな知見も踏まえまして、来年度、国に対して強く働きかけて行きたいと考えております。

(藤井とし子議員)
 ぜひ本当に後がないといった思いで強く国に働きかけてください。以上で終わります。

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