トップ議会情報・議員の発言2009年第1回2月定例会・予算特別委員会 議員発言 > 厚生関係


2009年3月5日 予算特別委員会・厚生関係 中森辰一議員の質問(大要)

保育行政について
障害者施策について
福祉医療費補助制度について
特養ホーム増設について(文書質問)


保育行政について

(中森辰一議員)
 公立保育園の民営化に向けて、さし当たって来年度、原保育園の移管先を選定するための予算が組まれているが、市としては、保護者たちに不安や疑問があれば、その解消を図るべく最大の努力をする必要がある。今後も保護者に対して説明を行い、要望も聞いていくお考えはあるか。

(こども未来企画課長)
 保育行政を行う上で、保護者との信頼関係は非常に重要なことであると考えている。従って、今後対象となった5園について、これまでも説明会を実施しているが、今後も説明会を実施し、保護者の方が思っておられる懸念を解消するために、説明会・個別相談などを実施して、丁寧に説明を行って参りたいと考えている。


(中森辰一議員)
 保育園にとって、あるいは保育にとって、保護者との関係はたいへん大切であると、答弁された訳だが、その大切にしておられる、その通りに行政を進めていくことが必要と思う。民営化というのは、保育の主体を変えていく、保育園の運営主体を変えていくということになる。たいへんな事だと思う。それ自体大きなリスクを抱えながらやっていかなければならないことだと思っている。保育園に通う子どもたちは、最長で人生最初の6年間、多くの時間を保育園で過ごすということになる。人生で最もデリケート、繊細で最も抵抗力が弱くて、その反面最も成長が早い時期だ。だから最も細心の注意を払って対処していかなければならないそういう時期だ。
 最初に民営化しようとしている原保育園の定員は116人。116人の子どもがいれば、116通りの個性がある。それぞれ違う個性を持った子どもたち、1人1人の特性を、あるいは、その注意点、対応が違うわけだから、それらを子どもたちの数だけ、それぞれ丁寧に引き継いでいかなければならない。保育のありよう、あるいは理念、こういったことも、運営主体が変われば変わる。そうなると、子どもたちがとまどってしまうということにもなる。
 東京都練馬区の区長は、「保育なんてしょせん子守りだ」と言って、民営化を進めたが、保育というのは、若い親たちの悩みを受け止め、一緒に悩みながら、子育てをしていく、奥の深いものだと思う。保育士達は、その営みを支える、高い専門性が求められる。保育園の民間移管・民営化というものは、そういう高い専門性に裏付けられた人間的な関係が深められて成り立っている保育、こういう営みを大きく変える可能性がある。だから、保護者達が民営化に対して強い不安や疑問を持ったら、それに十分に答えていく必要がある。
 保育行政というのは、保護者の保育要求に対して、法律上、保育の実施責任を負っている。保育という営みの中心はもちろん子どもであり、その保護者たちでなければならない。保護者たちの、保育が必要という要求があるからこそ、保育事業というのがある。そこを出発点にして、どのように質の高い保育をしようかと、そういう現場の保育士達の取り組みが始まっていくんだというふうに思う。そうした保護者と保育士たちが一緒になって取り組んでいく、更に、それを専門的分野で練り上げた到達点、それをできるだけ、安定して支えていくのが、保育行政に求められるということだと思う。
 原保育園の保護者は、自分の子どもを、公立である原保育園で保育を受けさせることについて、広島市と対等な契約関係にある。なおかつ、保護者の保育要求があって保育行政がある。その点で、保護者は保育行政の最も重要なパートナーだ。
 保育行政としては、原保育園が民間法人が運営する保育園に変ってしまうことについて、最低限、原保育園の保護者の同意、ないしは納得を得る必要がある。保護者の納得を得ないうちに、もう時間がないと見切り発車してしまうと、結局、保護者の信頼などいらないんだということになってしまうではないかと考える。仮に予算が通っても、この保護者たちの納得を得て次の段階に進む、この最低限の線は守るべきだが、どうか。

(子ども未来企画課長)
 今回、2年3か月前、ということで、かなりの時間がある。そうしたことで、本市としては、順次段階的に丁寧に説明を行うと共に、必要に応じ個別相談、それと今、委員からお話があったように、子どもへの影響ということを最小限に止めるということが非常に大事だと考えている。そういった取り組みの一つとして、例えば、個人面談、そうした具体な方策について、保護者の方に丁寧に説明して、保護者の理解を得られるよう努めていきたいとかんがえている。

(中森辰一議員)
 午前中の答弁の中で、3者懇談、3者協議といったようなことも出てきている。そういったような事も含めてこれから、予算が仮に通ったとして、相手先の引き受ける法人の選定、と言ったような作業に移っていく、次の段階に進んでいくわけだ。今言ったのは、その2年3ヶ月の間にいろんな段階が出てくる、そういう段階の一つ一つを、当事者である保護者達の同意・納得を前提にして進めていく必要があると言うことを、申上げたわけだ。もう一度答弁をお願いする。

(子ども未来企画課長) 
 時間をかけて保護者に説明を行う中で、保護者の方の疑問にひとつずつ丁寧にお答えしていくことによって、自ずと理解を得られていく状況になると考えている。

(中森辰一議員)
 理解・納得を得る途中で、そういう段階をどんどん進めていくということは、いけませんよということを言っている。保護者の意見がまだ積み残されている、おいてきぼりになっている。そういう状況があっても、とにかく方針通り着々とやっていくということになると、不信感と無力感しか残らない。3日に保護者たちがわずか2週間の間に7600の署名を集めて議会に出されたが、この大きな声にきちんと耳を傾けるべきだ。
 重ねて、保護者たちの納得が必要だ、それを得て次の段階に進むべきだということを指摘しておく。

 次に、市は、公立保育園の民営化は、効率化を実現しつつ、質の向上、つまり保育サービスを向上させるためだとしている。保育の質の向上と、親たちにとってのサービス向上とは違う。
それにしても、先ほど述べた保育の現場の専門性を高めていくことと、現状より効率化するという考え方は矛盾した考え方ではないかと思う。
 効率化というのは、要するに人件費を減らすということ。その内容はベテランを若手に替えるということ。これは、少なくともいまの最低基準に基づいて配置されている公立保育園の現場の保育士の、蓄積した経験と磨かれてきた能力がムダだということ。若いときに資格をとって就いた職能を、年齢を経ながら、悩みや葛藤を繰り返しながらその専門性を磨き、高めて、社会に貢献しその職を全うする、やがて定年を迎えるという働き方を否定する考え方ではないかと思うが、どうか。

(子ども未来企画課長)
 先ず、効率化の事であるが、やはり行政を行っていく上で、常に効率化ということは考える必要があると考えている。これまでも、公立保育園についても、様々な物品の購入であるとか、一部加配職員の嘱託化であるとか、そういうところで効率化には取り組んでいる。まず、今回の民間移管の基本的な考え方として、保育というのは、公立・私立それぞれあっても最終的には、市が最終的な責任を担っている。広島市の場合は、過去の合併などの経緯があって公立保育園の数が多いということもあるが、他都市においては私立が主体となっている所もある。そういうことから、保育サービスというのはある程度民間に主体を委ねてもいいのではないかというふうに考えている。その保育の内容については、公立・私立を問わず市が責任を持つということである。


(中森辰一議員)
 そういう説明と合わせて、公立はお金がかかるんですと説明してこられた。これは結局人件費が高いという説明だ。そうすると結局、私が指摘をしたようなことに行きつく。
 来年度予算案の中で、「保育の充実」とした予算が13億円余り組まれている。このうち今後も継続して必要で、なおかつ年々増えていくであろう予算が11億3千万円ある。その内、広島市が負担するのが9億9千万円程度になるのではないかと思う。
 今後待機児を減らす、つまり保育所に受け入れる子どもが増えていけば、もっと大きな規模でこの財源は増やす必要がある。これに対して、20か所の保育園を民間移管することで抑制できる経費は、10年後にやっと年間8億円だ。
 一般会計全体のうち8億円は0.15%程度。児童福祉費全体は417億円で一般会計の7.6%。児童福祉費に対する8億円は1.4%程度。さまざまな摩擦や軋轢(あつれき)を生み、肝心の保護者たちに不信感を広げながらも民営化を強行するメリットがあるのか。
 広島市は児童一人当たりの児童福祉費の予算額でみると、政令市の中で決して低い方ではないが、平成18年度で北九州市や福岡市と比べると児童1人当たり3万円程度少ない。1万円増やす財源は約20億円ということになるので、北九州市、福岡市に追いつこうとすれば60億円の財源が必要ということになる。
 保育所の運営のあり方は、これからの子育て支援の要だ。保育予算の枠の中で、どこかを削って別なところに回すということではなくて、決して簡単なことだとは思わないが、思い切って児童福祉の予算、保育の予算を増やす立場こそが必要ではないか。どのようにお考えか。

(子ども未来局長)
 少子化が進んでいて、これまで「新児童育成計画」に基づいて子育てを中心とする施策を充実・展開してきている。これは22年度から、次の計画を作るということで、21年度はその作業に入るわけだが、ご指摘のように、子どものための施策・予算というのは今後強化していく必要があると考えている。


(中森辰一議員)
 これは否応なく、子どもの予算は増やしていく必要がある問題だ。おそらく結構大きな規模で。ただ、そういう中で10年後に8億円、これを抑制するために、こういう不信感とか、いろいろ広げながらの行政をやっていくのは、良いことなのかどうか、改めて考えて頂きたい。

 次に、来年度予算案の中に、新たに平均勤続年数が10年以上になる民間保育園への給与費補助というがある。
 民間保育園と公立保育園の労働条件の格差を解消し、働き続ける条件を整えて民間保育園で、もっと専門性を高める条件づくりが必要だと求めてきたことに、応えていただいたことを歓迎する。しかし、補助の対象は、「平均勤続年数10年以上」の条件に該当する11箇所の保育園に限られており、甚だ不十分ではないかと思う。
 なぜ全体を対象としないのか。ポイントだけ簡潔にお答えいただきたい。

(保育課長)
 本市が私立保育園に支給している運営費における、保育士の給与の月額と公立保育園の保育士の給与月額と比較した場合に、平均勤続年数10年未満の施設については、公立保育園の給与月額を上回っている。しかしながら、平均勤続年数が10年以上の施設については、公立保育園の給与月額より低くなっていることから、平均勤続年数10年以上の私立保育園を対象とするものである。


(中森辰一議員)
 それは、補助制度を新たにやろうという理屈だと思うが、その通りにいっているのなと思う。
 今回の補助制度の予算額は3000万円弱。しかし、かつての職務奨励費は一人当たり3〜4万円になるほどの規模だったようだ。年間予算では3億7千万円程度あった。これは必要だと認めていたから実施していたのではなかったのか。これは、どういう問題があって廃止したのか。
 私は、最近の議論の中で、せめて以前の職務奨励費水準の補助が必要だと指摘してきたが、この点は考慮されなかったのか。

(保育課長)
 昭和47年度、1972年度に設けた職務奨励費については、当時、週44時間勤務の一般の職員と48時間勤務の保育園職員の勤務時間の差に対する手当として、私立保育園に支給する制度だったが、勤務時間が保育園も含め、全て40時間勤務となったことにより、経費を支給する根拠がなくなったということから、平成17年度、2005年度をもって廃止したものである。
 しかし、この制度の廃止に伴い、他の民間社会福祉施設との均衡を図る必要があるため、平成18年度、2006年度から、給与改善費として給与月額の2%の額を補助することにした。また、これに合わせて、保育園入園児童の処遇の向上を図るための私立保育園運営改善費助成制度を新設した。これらに加えて、今回、平均勤続年数が10年以上の施設に対する民間保育園運営費の加算や、保育士が研修に参加する際に研修代替職員の配置経費を助成するといった新たな支援措置を講じることにしている。これによって私立保育園保育士の処遇改善に努めて参りたい。


(中森辰一議員)
 処遇改善に本当につながるかどうかが問題なわけである。この間、民営化問題の議論の中で指摘してきた実態は、公立の勤続年数が20年あるのに対して、民間の平均は5年もないということであった。こうした民間の実態は問題だという市の認識から、今回の給与費補助が予算化されたものと受け止めたが、そのとおりか。

(保育課長)
 そのとおりである。


(中森辰一議員)
 そうであるなら、現状の平均勤続年数が各保育園で引き上げられる力になるような補助制度にしないと意味がないことになる。
 平均勤続年数10年以上だけを対象とするのは妥当なのかどうか。今回の補助金制度で、70余りの民間保育園全体のそれぞれで、平均勤続年数が上がっていくとお考えか。つまり、今の現状が改善されるとお考えか。

(保育課長)
 保育園運営費における保育士の給与月額の基準は、国家公務員福祉職の概ね5年目の本俸額19万5228円となっている。これに加えて、公私施設間の職員の給与格差を是正するための民間施設給与改善費制度が設けられている。これらにより、10年未満施設についても、公務員の給料に近づけることは出来ると考えている。


(中森辰一議員)
 そうは言っても現実に、民間保育園の平均勤続年数が5年程度しかない。市は、保育の質は勤続年数ではないと言っていたが、今の状態は問題だと考えたから、今回の補助制度を実施することにした。
 しかし、今回の補助制度の対象となるのは、あくまでも平均勤続年数が10年以上。平均が10年に満たない保育園、肝心の勤続年数を引き上げる必要がある方の保育園には適用されない。現状で、平均が10年に満たない保育園は、何もしなくても、平均勤続年数が引き上げられるのか。
 先ほどの答弁は数字上はそうかもしれないが、現実の保育園運営の中ではそうなってない。だから、今の現状があるということではないか。今回の措置で、10年未満のところの平均勤続年数が引き上げられるというふうにお考えか

(子ども未来局長)
 課長が答弁したのは、私立保育園の運営費の中に見込んでいる人件費、その中に給料、いわゆる本俸は国家公務員の5年程度の定額の金額であるが、平均勤続年数、施設単位に、勤続年数によって3年までは2%加算、4・5・6年は6%、7・8・9年は8%、10年以上は一律10%、こういう加算の制度があって、これが10年以上は一律10%であるということである。やはり、人件費が伸びていくと経営の負担になるので、10年以上がなかなか、運営費が増えない仕組みになっているので、その10年以上が職員の定着が図れていないではなかろうか。ということで、その10年以上のところを、今回の制度で加算出来るような仕組みにしたわけである。10年まで伸びても更に次ぎの段階で市の方が支援する。こういう仕組みを導入したので、そういった定着インセンティブ(=動機付け)にはなるというふうに考えている。


(中森辰一議員)
 平均勤続年数が短いのは、いろいろ理由があるだろうが、人件費の確保がなかなか難しいから、勤続年数が増えても給与水準を引き上げられない、だから、給与費の補助をしようということになったのではないのか、というのが私の受け止めだ。
 いまの条件の中で平均が10年以上のところは、他よりも長く働き続ける条件をつくってこられた、その努力は本当に大変だったと思うので、補助をして経営を応援するのは大変結構だと思う。
 しかし、そこまでいっていないところがたくさんある。そこをどうするかということで、我々はいろいろと訴えてきた。そこをどうするかという政策目的を考えると、今回の制度が本当に力になるのかな、と思う。言われるような理屈どおりになっていないから、今のような格差が存在しているのではないか。
 別の角度から聞くが、保育施設は建て替えが必要で、民間保育園はその建設費用を積み立てる必要がある。現状は、どのようにしてその資金を確保しているか。

(子ども未来企画課長)
 毎年毎年の運営費の中から一定額を積み立てるという方法もあるし様々である。

(中森辰一議員)
 国が保育園の運営費を支出しているが、それだけでは足りないから市が上乗せをしている。その国と市の運営費総額のうち、人件費分とその他管理費等の分として支払われている金額との比率はどうなっているか。

(保育課長)
 本市が、私立保育園に支給している運営費に対する人件費の割合は81.4%である。

(中森辰一議員)
 全体の運営費のうちで人件費分として支払われているのは81%あるが、実際の人件費率は平均74%になっている。現実は、名目どおりになっていない。国の基準もそうならなくていいということになっていると思う。
 ある民間保育園で伺うと、人件費率は75%だと答えられた。これに対して、まわりからは人件費率が高すぎる、70%にしないと建て替え費用はつくれないと言われてきたそうだ。しかし、75%は維持しないと低い労働条件でも、それも確保できない。通常は、70%程度にしないと建て替えのための自己資金をつくるのは難しい。だから足りない5%分は、保護者会も協力して頻繁にバザーを行って資金の応援をしている。これが現状だ。そうやって、なんとか積み立てができている。それでも、平均勤続年数を聞くと10年にはいっていない。
 国と市が「人件費分です」と支払ったお金を、そのまま人件費に回すことができない、構造的な問題がある。民間保育園の経営のあり方の問題以前に、この構造的な問題を打開することが、保育士の労働条件改善の議論をするときの前提条件だと考えるが、どうか。

(子ども未来企画課長)
 積立のことであるが、保育園の規模によって、自己資金はどれくらいいるかということがあるが、仮に定員180名くらいの園であると、過去の事例によると、自己資金的には3000万円から4000万円くらいである。鉄筋コンクリートの場合は、法定の耐用年数47年という状況で、いわゆる単年度あたりで言うと、100万円以下という割合であって、比率的にはおよそ年間運営費の1%くらいではないかと考えている。従って、いまの実際に支給している人件費の割合と実際の施設側の人件費の割合の比率が大きく異なる、これは、例えば他の要因、施設が将来の経営上の、色んな不安な面で繰越金を多く積み立てる、そういった要因もかなりあるのではないかというふうに考えている。


(中森辰一議員)
 現実には、そういうようなことにならない。だから、5%分は保護者会が協力しないと積立ができないという実態がある。こういう現実の中で、市内の保育現場を何とかしなければならない、ということになると思う。そのためには、現実から出発してどうしたらいいかということを考えるべきだ。結婚して子どもが出来ても働き続けることが出来るような、条件作りの支援も必要である。
 実際に、市の補助金が、実際にそのまま保育士の給料引き上げになることが担保できるしくみと合わせて、すべての保育園の保育士を対象に補助金を出すことが必要だ。そうして初めて、保育士の給与の引き上げ、労働条件の改善に実際につながっていくというふうに思う。どうしてそういうことをお考えにならないのかと思うがどうか。

(保育課長)
 ご指摘のように、今までは平均勤続年数10年未満の施設において、給与が公務員給与より低かったということは事実である。これは園運営、私立保育園にとりまして、将来の人件費が不足する事態、先ほどご指摘の建替え等のための資金、そういった将来的に必要なものを考えて、積立金・繰越金にあてられていたものと考えている。平成19年度の決算をみてみると、単年度で1施設あたり平均で600万円程度の積立金・繰越金にあてている実態がある。
 この度、平均勤続年数が10年以上となる保育園を対象に新たな助成を本市単独で行うことに合わせて、本年度からは改築等の際における福祉医療機構からの借り受けの枠が拡がったので、将来の不測の事態に対応するための積立金等は、従来に比べ多くを必要としなくなっていると言える。こうしたことをふまえて今後、各私立保育園に対して、保育士の給与改善により一層取り組むよう要請していきたいと考えている。


(中森辰一議員)
 行政としてお金がどういう風に使われていっているのか、そういうことを聞き取りもして調査をしていくことが必要だというふうに思うし、それに基づいて相談・指導やっていくことも必要だと思うけれども、私が例に挙げた所というのは、多くの保護者たちに支えられながら保育園を運営しているそういうところである。法人といっても個人がやっているところではない。お金のやりとりも透明にしているところでもそういう実態もあるということをよく考えていただきたい。
 以前に訪問して、実情を聞いた民間保育園の事務長さんは、“以前あった職務奨励費はたいへん助かっていた。1人当たり3万円以上になっていたが、あれがなくなって、やむを得ず保育士たちに事情を説明して、給料を下げた”、と言っておられた。
 いろいろ、補完する措置をとったと言われたが、結局あれ(職務奨励費の廃止)が原因になって、労働条件を引き下げざるを得ないということになっている。こういう状況をよくみて、公私の労働条件の大きな格差を埋めていくと言うことを広島市行政として取り組んでいく必要があると思う。
 本給に対して2%補助するこういう事をやっているが、これだけでは、以前の労働条件を下げざるを得ないという実態がある、もう一度そこの実状に見合って、1人1人の保育士に直接補助が出来る、今は本給プラス2%となっている。そういったような形、それがきちんとやられるかどうかも含めて、引き上げていく取り組みが必要だと思っています。その事もぜひ検討していただきたい。いかがか。

(子ども未来局長)
 私立保育園のみならず、福祉の職場に働いておられる皆さんの給与というのは、非常に大切なものである。委員、今ご指摘頂いたように、職員が定着できる給与制度・給与体系になるように、私ども、施設側ともよく調査・協議をして、どのようなことが出来るのか、課題として受け止めたい。


(中森辰一議員)
 障害のある人達のためのいろんな施設も、本当に劣悪な状況があるわけだが、こういうところも含めて是非、改善の為にとりくんでいただきたい。
 もう一点、積み立てという問題だが、実態は保育士たちの給料にしわ寄せせざるを得ないような状況が現実にはあると言った。これが現実だ。そうすると、保育士の給料に行くべき費用を、施設の建て替え費用の積み立てに回さざるを得ない状況がある。
 (民間移管で)公立保育園を民間法人に引き受けてもらって、そこの老朽化した施設を建て替えてもらうというのは、結局、保育士の人件費へのしわ寄せの上に成り立っている議論だということだ。
 本来は保育士の人件費として使われるべき費用で、老朽化した公立保育園の施設を建て替えてもらおうということになる。そんなことは考えなかったかもしれないが、結局はそういうことになる。(民間移管について)そういう理由は、もう説明をしないでいただきたい。

(子ども未来企画課長)
 保育園の民間移管は、民間移管に生じた財源と保育園運営全般に民間の良さが主体的に発揮できるという意味での民間活力を活用し、待機児解消や多様な保育サービスの充実など、保育サービスのより一層の充実を図るためにおこなうものであって、施設の建て替えを民間で行うことを主な理由としているものではない。  
 さきほど答弁したように、私立保育園に支払う運営費についは、適切な児童処遇や職員配置など施設運営が適切に確保されていることを条件に、長期的な安定した施設経営を確保するための積立を行うことは認めている。また、施設整備についは、国の方で、民間の管理費加算というのがある。これは2%の加算である。従前から、こういった施設整備・借入金の償還に充てることを前提としたようなものがある。さきほど、答弁したように、現状の自己資金の割合でいくと、おおよそ、それ位の範囲の中で収まるものではないかと考えている。

(中森辰一議員)
 運営費の中の81%がきちんと人件費に回るように、そういうふうに行政としてはやっていただきたい。それが民間の労働条件を大きく改善していく前提条件だと思う。そういうふうにするにはどうしたらいいかを考えてもらいたい。主な理由ではありませんと言われたけれど、理由そのものから、除いていただきたい、言った。このことはきちんとしていただきたい。

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障害者施策について

(中森辰一議員)
 障害者施策について、子どもに関する課題と、視覚障害者の方の要望について提起しておきたいと思う。
 まず、子どもの問題。広島市として、子どもの権利条例をつくろうと取り組んでおられるが、私たちは大いに賛成だ。
 先ほど教育の義務ということがあった。憲法には、国民が子どもに教育を受けさせる義務を負っていると書いてある。その裏返しで言えば、子どもたちは教育を受ける権利がある。国民の代表は国だから、国がその権利をきちんと保障する義務を負う、ということになる。
 ただ、広島市民の多くが、子どもの権利条約の内容を知り、条例制定の意義を認め、みんなで子どもの権利を尊重し守っていこうという機運が高まることが必要だとおもう。そういうことを踏まえて取り組んでいただきたいことを、まず申し上げておく。

 他方で、広島市行政としては、現状での、一人一人の子供たちの権利の実態をよく見て、その権利の一つ一つを守るために積極的に行動する必要があると考える。その立場から、障害のある子どもたちの置かれた状況は、次の基本構想の課題に掲げられた、「平和都市」の意味の内容に関わる課題でもあると考える。

2月の総括質問と厚生委員会の議論で、私たちが空気を吸って生きているように、障害のある人々にとって、人間として日常生活を送る上で欠かせないサービスの提供を受けることは、個々の障害者の私的な利益ではないこと、またそれは、法律があるから権利があるというものでもなく、人間として当然に生きていく上で、平等に与えられた権利であること、そういう立場を共有することができたと思う。
 その到達点に立って、2つの課題について検討を求める。

 ひとつは、昨年12月の厚生委員会で、私の質問に対して、障害のある子供たちが療育を受けること、障害があることが分かって、人間としてより豊かに発達・成長し、よりよく生きていくために、特別に配慮されたプログラムによる養護、訓練を受けることは、そうした子どもたちの人間としての権利である、という趣旨の答弁をいただいた。
 この療育を受けるということは、その子どもにとって、他の子どもたちとは違う特別の私的な利益を得ることではない。
 子どもは、小学校に入学すると障害のあるなしにかかわらず、無償で発達・成長に向けた教育を受ける。必要な療育を受けることは、障害のある子供たちには、義務教育と同じように、平等に保障される必要がある。この点を、再度確認しておく。

(障害自立支援課長)
 本会議で答弁したように、障害児を含む障害者が法に基づく必要なサービスの提供を受けることは、障害者の権利であって、障害者が特別な利益を受けることではない、と考えている。

(中森辰一議員)
 私が伺ったのは、その認識の上で、療育を受けることは、子どもたちに私達が平等に保障しなくてはいけないんじゃないかということを申上げた。

(障害自立支援課長)
 無償で保障されるべきではないかというご質問である。障害者自立支援法の施行に伴い、児童福祉法が改正されて、平成18年10月から障害児施設については、従来の措置制度から契約制度に移行した。これに伴い利用者負担は、所得に着目した応能負担から1割の定率負担と所得に応じた月額負担上限額の設定というサービス料と所得に着目した負担に変更された。
 その後、特別対策緊急措置が講じられ、利用者負担については、軽減措置が拡大されているが、本市としては障害児が適切な療育を受けることは、大切なことと認識しており、障害児の施設の利用について独自の利用者負担軽減措置を講じている。
 しかしながら、保護者には依然として、負担感が強いことから、指定都市市長会などあらゆる機会を通じて、国にたいして更なる、利用者負担の見直しについて要望していきたいと考えている

(中森辰一議員)
 本会議で述べたことを繰り返されたわけだが、私はそういうことを聞いたのではない。私たちの社会として、障害のある子どもたちに平等に療育を保障する必要があるのでないかということを聞いたわけだ。
 療育は無償であるべきだと考えている。しかし、現実はそうなっていない。所得が多い少ないに関わらず、障害のある小さい子どもを抱えた親たちは、障害のある子どもであるがゆえに、日ごろから物心両面のいろんな負担をしている。それにもかかわらず、行政が関わって行っている療育においてまで、どうして負担があるのか、私はそれが疑問だ。
 結局、負担をさせると言うことは、障害のある子どもに責任がある、障害児を生んだ親に責任があると言っていることと等しい。
 小中学校は、親の所得の多い少ないにかかわらず、無償ということになっている。しかし、なぜ療育は無償ではないのか。先ほど、自立支援法の説明をされが、広島市はどう考えているかをお聞きした。

(健康福祉局長)
 障害者についても、そういった施設においてサービスを提供するというのを保障するというのが、行政としての責任であるし、役割である。そういったサービスを提供するにあたって、その費用をどうするかということは、必ずしも必要な体制を確保するということとは違うのではないか(と思う)。

(中森辰一議員)
 もう一度聞く。障害のある子どもに、無償でないということは、あなたは障害があるからあなたに責任があるよと言っているのと等しい。しかも、子どもに対して。どうしてそういうところに負担という問題が生じてくるのか、私は非常に疑問に思っている。
 サービスと言われたけれども、これは人間として、社会の一員として、豊かな人生をおくるための基礎づくりを行うということだ。これは決して、アメニティサービス(特別な快適さの提供)ではない。まさに義務教育と同じ、生きる力をつけることだ。
 子どもたちにとっての、まさに基本的人権の一つであって、日本社会が保障しなければならないことだ。当然国がやるべきことだ。麻生首相は最近、世界第2位の経済大国です、ということを誇っているが、この程度のこともできていない。本当に情けない話だと思う。
 しかし、国の施策が、未だそういう水準になっていないのであれば、障害者自立支援法施行のときに、広島市が全国に先駆けて負担軽減措置を決断したように、大きなお金がかかるわけではない、広島市がまず先駆けて、療育は無償にしようという決断ができないのか。障害のある子どもたちに対する、広島市の姿勢としてどうなのか。いかがか。

(健康福祉局長)
 サービスの提供をするにあたって実際に負担があることが、実際にサービスの提供をうけることに支障があることはまずい。従って、負担があることがサービスを制限することになってはまずい、こういった部分で必要な措置をしていきたい。また、今後も国に要望をして、実態を踏まえて、そうした負担がサービスを受ける事を制限するようなことにならないようなことで努力をしていきたい。

(中森辰一議員)
 基本的人権というのは、憲法に書いてある。子どもが生きる力をつけていく、これは、社会が基本的人権の一つとしてそれを保障しなければいけないと私は思う。国が問題だが、広島市としては、最初に申上げたが、広島市の平和都市の有りようとして、これくらいは無償にしていく、(ということを)先ず始めたらどうかと思う。ぜひ前向きに検討をお願いしたい。資料によって計算したところでは、1300万円くらいで実現できると思うので、ぜひやっていただきたい。

 もうひとつは、子どもたちの補装具の問題。
 実はこの問題は、昨年、一昨年と12月の厚生委員会で、2年続けて取り上げたが、前進していない問題だ。舗装具は、足につけるものや、姿勢を支えるもの、車イスや歩行器、あるいは難聴児が使う補聴器などいろいろあるが、いずれも障害のある子供たちにとって不可欠なものだ。日常生活に必要だというだけでなく、療育とセットで、能力を高める訓練に欠かせないものだ。まさに、子どもたちにとって空気を吸うように、人間として成長・発達し、生きていく上でも欠かせないものだ。この点の認識を、まず確認しておきたい。

(障害自立支援課長)
 委員ご指摘の通り、障害のある子どもたちにとって、補装具は発達していく上で欠かせないものであると考えている。


(中森辰一議員)
 しかし、ここにも負担というものが存在する。自立支援法では原則1割負担で、親の所得によって上限が設けられている。特に低所得・生活保護の場合は、負担が免除されるが、そこそこの所得以上は負担がある。
 多くの親たちは、自分たちの生活を犠牲にしてでも、わが子のために必要なものは与えたいと思っているが、それでも親の負担能力によって、必要なもの、必要な時期が犠牲になることはあり得る。だからこそ、親たちはなんとかして欲しいと、毎年要望を重ねておられる。こうした状況は。子どもたちの、より豊かな成長・発達を願う立場からは問題ではないかと思う。
 これは、「応益負担」とか「応能負担」とかとは関係のないことだ。子どもたちの発達のために欠かせないものだ。ところがなぜ、特別な負担があるのか。こういう問題だ。障害のない子どもであれば、こういう負担は一切ない。障害のある子どもだけ特別な負担が出てくる。おかしいではないかと思う。いかがか。

(障害自立支援課長)
 補装具の利用者負担については、障害者自立支援法の施行に伴い所得に応じて補装具費用の最大1割まで負担することに変更された。これにより利用者の大半を占める低所得者の負担が増えることになるため、本市では利用者負担の上限月額を、国基準の1/4の額に引き下げる独自の助成措置を実施している。しかしながら障害児の場合は、成長に合わせて補装具を何度か作成する必要があり、保護者には依然として負担感が強いことから、指定都市市長会などあらゆる機会を通じて、国に対し利用者負担の見直しについて要望していきたいと考えている。

(中森辰一議員)
 問題点を3つだけ整理して申上げる。
 一つは、療育の問題と同じような性質の問題だということ。障害児として生まれてきた子どもたちには何ら責任はない。何ら責任が無いのに、自分が生きていくために、特別な負担が生じてきている。これは、子どもたちが負担するのでなく、親たちが負担するのだけれども、親たちが負担をするということは、それによって、子どもたちに、場合によっては受けられるものが違ってくる可能性が出てくるかもしれない。そういう事を考える必要があるということ。
 二つ目は、公的負担の範囲が限られていて、オプション、先ほど子どもたちの為には出来るだけのことをしてやりたい、これが親だと言ったが、現状は、子ども達のためにこれが必要だと思って、オプションをつける、これはオプションだから、自立支援法の対象にはならなくて、全額自己負担ということになる。こういうものは、公費負担の対象に入れるべきであるということ。
 三つ目は、障害手帳が交付されない程度でも、その子の発達のために必要な補装具は、公費で支給すべきではないか。例で申上げてきたのは、難聴の子どもだ。難聴の子どもは、たとえ、障害手帳が交付される以前の段階、軽い状況であっても、補聴器は必要である。それがないと、発達をきちんと保障することが出来ない。だから、親は30万円も40万円もしても、自己負担で実際は与えている。しかし、これ自体がやはり問題じゃないのかと、保護者たちから、何とかならないかと強い要望が毎年挙げられている。やはり、いまの現状はおかしいと思う、改善する必要があると思っている。
 障害児を持つ親だけが特別な負担をしなくてもいい、そういう取り組みをしていただきたいと思う。もう少し、自立支援法の仕組みについて、国に言います、だけでなく、広島市でどういう取り組みをしていくのか、前向きに取り組んでいくのかどうなのか、負担軽減出来るように広島市として何とかしたいと考えないのか。この点をもう一度お願いする。

(障害自立支援課長)
 全般的な負担については、先ほど、局長が答弁したとおりであるが、いずれにしても、低所得の方に対しての負担軽減というのは、引き続き求めていきたいと思っている。
 それから、2点ほど例示があったが、必要なオプションについては、これは、特例補装具として認められる場合があるので、それを積極的に活用していただきたいと思う。
 手帳の無い子の補聴器についてであるが、委員ご指摘のように、補装具である補聴器は、手帳の交付を受けた者で、補聴器が必要と判断された場合に支給対象としている。しかしながら、中程度の聴覚障害児であっても、言語発達に遅れをきたすということから、必要であると伺っている。委員ご指摘の点については、聴覚障害児の通う施設での実態を調査をし、課題を把握して、市としての必要な対応をして参りたいと思っている。


(中森辰一議員)
 聴覚障害の子どもの数は決して多くない。人数は少ないと思うので、これだけでも実現しようと思ったら、わずかな予算で済むと思う。1段階づつでもいいので、着実に前進させていくような取り組みをしていただきたい。最初に申上げた療育の問題でも、これは、子どもたちに社会がどう対応していくか、どういう姿勢で見ているかに関わる問題だと思う。だから、広島市として全国に先駆けて、広島市に生まれた子どもは、障害があっても、何の負担もなく、ちゃんとした療育を受けることが出来る、必要な補装具を提供されることが出来る、そういう街にしていきたいと私は思う。是非取り組んでいただきたい。
 もう一つ、視覚障害の方たちの要望がある。いま広島市では、視覚障害の方に市が発行する通知書などの文書を郵便で送る際には、その封筒に点字で広島市から届けたものであることが分かるように表示している。しかし、それだけではどういう文書が届いたのか分からない。
封筒の中身はすべて普通の文字で書かれているので、目の見えない人たちにはどういう内容かはわからない。だから、誰かに頼んで読んでもらう必要がある。誰かに読んでもらうわけだから、すぐ隣に家族がいれば読んでもらえるが、そうでない場合は、わざわざ来てもらってお願いして読んでいただく必要がある。急いで読んでもらうべきものか、場合によっては何日か後でもいいものか、判断ができない。
 期限のある手続きを求める文書の場合もあれば、日時を指定した案内の場合もある。そういったことが分かるような表示を封筒に点字で表示することはできると思う。ぜひやっていただきたいが、いかがか。

(障害福祉課長)
 ご提案のような点字を、広島市という形で封筒の表に貼っておる方法に加えて、郵便物の内容を説明する点字シールを、封筒に貼るということにした場合には、発送する文書毎に、個別に点字シールを作成する必要がある。点字では、いわゆるカナ表記しかできないので、シールが非常に長くなり、スペース的に貼る事が非常に難しくなるケースなどが発生することが予想される。このため、その方法等について、視覚障害者の団体等と今後協議し、検討を行なっていきたいと思う。また、視覚障害者の中には、中途失明された方など、点字が読めない方もいらっしゃるので、音声による情報提供の拡大についても合わせて進めて参りたいと考えている。

(中森辰一議員)
 これはずいぶん以前からの要望だと思うが、視覚障害の方の人数は、そんなに多くはないので、多少手間でも、これは、是非前進をさせていただきたい。この課題は前向きにやっていただきたいと思います。スペースがないのであれば、多少封筒を大きくしてでもやっていくべきではないかと思う。
 これは私の提案だが、いま広島市では、障害のある方々の生活がより豊かになるように、ということも含めてICTの活用を推進するとしている。一定の範囲で、文字を音声に転換することは可能であると思うので、たとえばパソコンなどの再生機器を使って音声表示できるメディアに、市が送付する文書の内容を音声ファイルにして、その文書に同封するといったこともできると思う。内容によってはメディアだけでもいいのではないかと思う。
 CD−ROMなら、非常に安価にできると思うし、充分実現可能だと思うので、できるだけ早く健闘していただきたい。もう一度答弁を求める。

(障害福祉課長)
 視覚障害者の方に、音声で文書の内容をお伝えする方法としては、現在、切手サイズのコードで約800文字分の音声情報を収録できますSPコードというものがある。このコードを例えば、「福祉のしおり」など市の発行する障害者用の資料とか関係書類にこのコードを掲載して、関係部署に対して、SPコードの作成・使用方法等についても研修を行なうなど普及を図っている。また、このほか、文章をスキャナーで取り込んで音声で読み上げる専用の機器といったものも開発されている。お知らせする内容によっては、文書に限らず、電子データにより音声情報を伝える方法なども考えられるので、このような技術の活用について、引き続き検討をしていきたいと考えている。ご指摘のようにICTの進歩には非常にめざましいものがあるので、より簡単に音声で内容が分かる方法について今後とも研究を続けて参りたい。

(中森辰一議員)
 出来るだけ、自分で、人にお願いしなくても中身が分かるそういうものを考えていただきたい。

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福祉医療費補助制度について

(中森辰一議員)
 昨年も議論したと思うが、県が、(乳幼児医療費補助制度、重度障害者医療費補助制度、ひとり親家庭医療費補助制度の)3つの福祉医療制度の財源を、広島市には出さないとしている問題が解決していない。1点だけ聞いておく。
 来年度は、市と県が違う予算を組んでいる。これに、どう対応するかは、ここでの課題ではないので、聞かないが、市民団体などが何度か、県に対してきちんと財源を出すように要請している。先月26日にも県に対して要請が行われた。
 市は、来年度からこの制度を少し拡充することにしている。拡充が必要だという市のお考えが示されたものだと受け止めている。
制度の後退を招きかねない、広島市民を広島県民だと認めないに等しい、県の横暴を到底認めるわけにはいかないが、仮に、県が横暴を押し通したとしても、市として今の制度を後退させないという立場を、再度、明確にお示しいただきたい。

(保険年金課長)
 先ほど来からの議論に通じることだと思うが、本市においては、重度心身障害者や乳幼児など、いわゆる社会的弱者の立場にたって、施策を展開していくことが必要だと考えている。そのため、この福祉医療費補助については、平成21年度、2009年度予算にも、従来通りの支援策を盛り込んでいる。今、拡充と申された部分については、乳幼児医療補助につきまして、発達障害児を対象に加えたということである。財政負担の厳しい中であるが、そういった取り組みもやっていきたいと思う。今後とも、県の一方的で、また理不尽な要求によりこうした方々の負担の増える事の無いよう取り組んで行く。


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特養ホーム増設について(文書質問)

(中森辰一議員) 本会議で特養ホームの待機者について、2800人の定員に対して4000人も待っているが、今の入所者のうち年に500人から600人が死亡などで退所していることにより、要介護4と5の人のうち在宅で待っている430人程度には対応可能と答弁された。
 こうした中で、来年度から3ヵ年で360人分の増設をする計画だが、それで充分か疑問である。たとえば要介護3の方は寝たきりではないが常時介護を要する状態ということだと考える。この方たちで在宅で待機となっている方はどれだけおられるか伺う。

(市答弁) 
 平成20年(2008年)10月1日現在の特別養護老人ホームへの入所待機者のうち、要介護3で在宅で生活されている方は568人である。

(中森辰一議員)
 また、この方たちも家庭の介護力に問題があるから入所を申し込んでいるが、現状ではいくら待っても順番が来ない状況を無視することになっていると考えるが、この方たちは特養ホームに入れなくてもいいとお考えかお答えいただきたい。

(市答弁)
 今回策定した高齢者施策推進プランでは、要介護認定者の増加等を考慮して、特別養護老人ホームだけでなく認知症対応型共同生活介護(グループホーム)や老人保健施設も整備することとしている(今後3年間の整備数:合計で1014人分)。
 これらの施設等の整備により、入所が必要な要介護認定者の増加に対応でき、特別養護老人ホームの待機状態の緩和に寄与するものと考えている。
 今後も、要介護3であっても、本人及び介護者の状況、居住環境等により入所が必要な方が特別養護老人ホーム等の施設に、これまで以上に入所できるように努めていきたいと考えている。


(中森辰一議員)
 次に、介護保険ができて在宅サービスは増えたが、施設、特に特養ホームの不足は年々深刻化し、高齢化の進行よりも早い勢いで待機者が増え続けてきた。これは高齢者が増えてきたからだけではなく、家族のあり方の変化ともあいまって介護保険の在宅サービスでは必要な介護を賄いきれないことが多いからだと考える。制度が最初から家族の介護力を当てにしていて、介護力が弱いとサービスが足りなくなり、生活が成り立たないため施設入所を考えざるを得ないが簡単には入所できない。そういう中で家族が仕事を続けられない状態になる例も多い。
介護度の重い方から優先的に入れるという政策以降、要介護3の方はより介護度の重い方が優先されるため順番が来ない。また、要介護4・5なら1年後には入所できる状況だというが、1年待たねばならない状態自体が問題である。
 過日の新聞報道で、介護に行き詰まって殺人事件を引き起こす事例が増えているとあったし、NHKの番組では、認知症の妻が認知症で寝たきりの夫を介護していた中で、意識しない間に死亡させてしまったという事例を報告していた。家族の介護を前提にしているいまのシステムの最大の矛盾が悲劇となって現われている。
 介護保険は保険であるから、必要な時に必要なサービスが提供できなければいけないのに、それができていないから本当の保険システムになっていない。保険料は強制的に徴収されるが必要なサービスが提供されない、言わば詐欺のような状況が続いている。そういうなかで悲劇さえ次々と起きている。
 早くこういう状態を抜け出して、本当の保険システムを作り上げる必要がある。広島市はどのようにどのようにお考えか伺う。

(市答弁)
 介護保険法において、市町村は、国が定めた「介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するための基本的な指針」に即して介護保険事業計画を定めることとされ、特別養護老人ホームなどの施設サービスに整備については、この基本指針において、要介護認定者数に応じて定めるよう規定されている。
 本市としては、国が定める基本指針に基づき介護保険事業計画を策定し、特別養護老人ホームなどの整備を計画的に進めているところである。
 介護保険は、介護が必要な状態となっても、できる限り、自立した日常生活を営めるよう、居宅サービスや施設サービスなど、要介護者にとって必要なサービスを総合的に提供する仕組みであり、本市としても、できる限り、要介護者がそのニーズや状態に応じて必要な介護サービスが受けられるよう、引き続き、計画的な施設整備に努めるとともに、地域密着型サービスを含め在宅サービスの充実も図っていきたいと考えている。


(中森辰一議員)
 次に、政府の療養病床の削減方針に対応するために、広島県でも各医療機関などの意向調査が行われている。その調査結果の広島市内分によると、現状の療養病床4012床のうち、回復期リハビリテーション病床267床が削減対象からはずれ、残りのうち医療療養病床として2279床が残る。424床が回復期リハ病床に、138床が一般病床に転換する。老人保健施設に1180床、グループホームに9床が転換、54床が廃止となっている。
 結局、全部満床だと仮定すると、療養病床を出なければならない1466人に対して、受け皿となり得るのは老人保健施設転換分1180床とグループホーム転換分9床の合わせて1189人分である。残りの277人分の受け皿がなく、現状では在宅しかないということになる。これらは特養ホームの待機者となる可能性が高い。
 一方、老人保健施設はとりあえずの受け皿となり得ても、特養ホームと違って中間施設である。老人保健施設がそのまま肩代わりとはならないのではないかと考える。そういう意味でも、特養ホームの一層の増設が急がれるのである。
 差し当たって、来年度からの計画にある360人分は早く実現させ、前倒しで次の上乗せを図るような取り組みを求めるものであるが、お考えを伺う。

(市答弁)
 今回の予算に平成21年度(2009年度)からの3年間に予定している定員総数360人分の特別養護老人ホーム整備補助について、債務負担行為の設定を提案している。
 まずは、この360人分の特別養護老人ホームの早期整備に努めていく。


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トップ議会情報・議員の発言2009年第1回2月定例会・予算特別委員会 議員発言 > 厚生関係
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