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2009年2月20日 本会議 村上あつ子議員の総括質問 |
雇用対策について 公的保育を守ることについて 介護保険について 後期高齢者医療制度への対応 障害者自立支援法について 地球温暖化対策とごみ減量について |
日本共産党市会議員団を代表して総括質問を行ないます。はじめに2009年度予算案について一言触れておきます。 急激な景気後退で市税収入が減収となり、厳しい財政状況であるなかにあって、小中学校へのクーラー設置、障害者施策の一定の改善や階段室型市営住宅へのエレベーターと浴槽の設置などの住宅改善等、この間の市民の要望にこたえた施策を決断されたことは大いに評価できるものです。 その上で、市民生活をよりよくしていきたいと思う立場から質問をします。 雇用対策について (村上あつ子議員) 厚生労働省の調査によれば、昨年10月から今年の3月末までに約12万5千人が職を失い、業界団体の試算では、製造業で働く派遣・請負の失業は3月末までに40万人に達するとしています。 マツダをはじめとして、市内の企業で派遣切りになった労働者は昨年末から何人なのか、その人たちは今どうなっているのか実態をお聞きします。また、今後の計画をつかんでおられるのかお聞きします。 (市民局長) 本年1月30日の広島労働局の発表によると、広島県内で昨年10月から本年3月31日までに、失業したか、あるいは失業する見込みの派遣労働者や期間工などの非正規労働者の数は3,290人となっています。また、その後のマツダの発表によると、これとは別に、3月末に、失業する見込みの非正規労働者が350人と聞いています。 失業した非正規労働者の現状については、雇用保険給付を受け求職活動をしている方や故郷へ帰られた方が多いものと考えますが、広島労働局でも調査はしておらず正確な状況は把握できておりません。把握できている範囲で申し上げますと、県内ハローワークの失業した非正規労働者のための相談窓口である就職安定コーナーにおける就職相談件数が1,252件で、そのうち36人が就職しています。 また、住宅については、県内において雇用促進住宅に142世帯、県営住宅に10世帯、本市や東広島市等の市営住宅に16世帯が入居しています。 さらに、本市で生活保護を受給している世帯は32世帯となっています。 (村上あつ子議員) 中国地方は東海地域に次いで2番目にGDPが落ち込んでいるとされていますが、マツダを震源とする地域経済への影響についてどのように認識されているのかお聞きします。 (経済局長) 日本の経済は、世界的な景気後退の影響による輸出の落ち込みに加え、設備投資、個人消費も減少するなど、内需・外需ともに急速に悪化しています。先日、内閣府から公表された平成20年(2008年)10月から12月期の国内総生産(GDP)は年率換算でマイナス12.7%と35年ぶりの大幅なダウンになりました。 本市においても、経済情勢は急速に悪化しており、基幹産業である自動車製造業については、公表されている最新の月別のデータによれば、昨年11月以降、輸出、国内生産のいずれも前年同月を下回り、12月にはその減少率が40%前後に達しています。 今後の経済情勢の見通しですが、自動車製造業の減産は、その部品を供給する中小・零細企業にも大きな影響を与えるほか、設備投資の減少や雇用環境の悪化を通じて、企業部門全体や個人消費にもマイナスの影響をもたらすため、本市の経済情勢は一段と厳しさを増すおそれがあるとと認識しています。 (村上あつ子議員) こうしたなかで今、地方自治体には労働者・市民のくらしを守るために3つの緊急対策が求められています。 一つは、派遣切りなどで職を失った労働者に対する緊急の生活・雇用支援を行なうこと。 2つ目は、大企業にこれ以上の大量解雇を行なわないよう申し入れること。 3つ目は、国に対して、労働者派遣法の抜本見直し等、働くルールが守られる法制度を求めることです。 そこで、まず第一点の失業者に対する支援策について伺います。 私ども日本共産党市会議員団は、年末・年始に3回、朝9時から11時までの間、ハローワーク前で路上での生活相談会を実施しました。 その時に寄せられた、「米を買うお金もない」「手もとに小銭しかない」などの生活実態は、派遣労働者が貯えを持つことができないほどの、飢餓的水準の低賃金で働かされ、日常的に窮迫した状態での生活を余儀なくされてきたことを物語るものでした。 ある派遣労働者は、マイナス5度の倉庫の中の深夜労働で時給1050円。寮費など引かれ手取りは12万円そこそこです。改めて派遣労働の非人道性に怒りを感じざるを得ません。これからも続く経済危機から市民生活を守る上で次の点について提案し、市のお考えを伺います。 市は、秋葉市長を本部長とする対策本部を設置され、緊急対策として臨時職員の募集を行ないました。約100人の募集に対して25人の採用と聞いていますが、応募者が少なかったことについてどう分析されていますか。 (企画総務局長) 本市では、経済危機対策の一環として、また、緊急避難的な措置として、この度の景気後退に伴う会社の業績悪化等により解雇された市民の方を対象に、市役所本庁舎や区役所等での事務補助業務や保育園での給食調理補助業務に従事する臨時職員を、昨年12月25日から約100人募集しました。 現在までに雇用した臨時職員は25人となっていますが、募集人数に比べて雇用人数が少なかった要因としては、@業務内容が募集対象者の希望に必ずしも沿うものではなかったこと、A雇用期間が2カ月間と短かったこと、B雇用前までの給料と比べて賃金が低かったこと、などが推測されます。 (村上あつ子議員) また、新年度予算の政府の交付金で587人分の雇用創出を計画されていますが、用意された職種が本当に失業者の希望に叶ったものなのか、今の状況では心配です。臨時職員の応募が少なかったことを考慮し、もし応募が少ない場合は、必要なら見直すべきだと思いますがいかがお考えでしょうか。 (市民局長) 緊急雇用創出事業交付金事業として当初予算に計上している事業は、例えば「学校運営アシスタント派遣事業」や「身近な里山林保全促進事業」など、今まで市が手掛けたっかた仕事であり、@仕事の目的や内容に魅力を感じていただけると考えられること、A現在の臨時職員の雇用期間が2カ月であるのに対して、最長6カ月と、一定の雇用期間が確保されることから、多くに方々に応募いただけるものと考えています。 (村上あつ子議員) また、こうしたつなぎではなく、自治体が解雇された人たちの仕事を作り出していくことが求められます。生活関連公共事業はじめ、保育、介護、医療、農業、環境、森林保全、などに就労できるように政策が必要です。お考えを伺います。 (市民局長) 本市では、離職を余儀なくされた非正規労働者の雇用就業機会を確保するため、当初予算において、国の交付金を活用した緊急雇用創出事業交付金事業として、「振り込め詐欺撲滅強化期間対策事業」、「在宅障害者ICT活用支援事業」、「身近な里山林保全促進事業」、「学校運営アシスタント派遣事業」など22事業、3億8,857万3千円を計上し、市民の安心・安全、福祉、森林保全、教育など様々な分野の就業機会を提供することにしています。 また、公共事業における緊急対策としては、2月補正予算において、国の地域活性化・生活対策臨時交付金を活用し、公共施設の耐震化など安心・安全な暮らしの実現を図る事業等に、10億4,490万1千円を計上しています。このほか、道路整備事業など6事業、11億1,950万円について、債務負担行為を設定し、事業の早期発注を行います。 こうした取り組みにより、一日も早い雇用創出を図ることにしています。 さらに、企業立地促進補助制度において、雇用奨励金の給付単価を増額するなど制度を拡充し、企業の集積と雇用の創出を図ることにしています。 (村上あつ子議員) 対策本部としては、年末年始の休暇中相談窓口を開設、市営住宅の斡旋、生活相談に尽力されてきましたが、それぞれどんな状況だったのかお聞きします。 (市民局長) 昨年12月27日から30日まで本庁健康福祉企画課に臨時の相談窓口を設置し、生活保護等の相談に応じ、この間、24件の相談がありました。また、同じ期間、各区役所でも相談窓口を設け、支援策の情報提供など11件の相談に応じました。 また、市営住宅の一時使用については、戸坂東浄アパート2戸と可部東原住宅5戸の計7戸について募集し,5世帯の方が入居しています。 生活保護等の相談については、昨年12月27日から本年1月30日までの間に、延べ724世帯から相談があり、そのうち81世帯が派遣労働者の世帯でした。 相談があった世帯のうち、347世帯から保護申請があり、1月30日までに256世帯の保護開始を決定しました。そのうち、32世帯が派遣労働者の世帯となっております。 (村上あつ子議員) ハローワークや公的医療機関などと連携し、住居、雇用、生活保護、貸付、市民税や保険料の減免、健康相談などそこに行けば全ての相談が解決できる総合相談窓口を本庁の一階や区役所に開設して、離職をよぎなくされた市民への支援体制を充実するお考えはありませんか。 (市民局長) 市民からの福祉や税金等に関する各種の相談については、内容が専門的で非常に多岐にわたるため、それぞれの部署で責任を持って対応することが基本であり、現時点では、総合相談窓口を設置する考えはありません。 景気の後退や雇用情勢の悪化などにより生活等に困っている市民が適切に相談が受けられるよう、@本市が実施している主な支援策と担当部署を、広報紙「市民と市政」に掲載したり、チラシにして、ハローワークや区役所窓口等で配布するとともに、A関係するすべての支援策の名称、概要、担当部署を一覧にして、ホームページに掲載するなどして、市民への周知に努めています。 (村上あつ子議員) 急増している生活保護申請者に懇切丁寧に対応できるように、ケースワーカーを大幅に増員すべきだと考えますがどうですか。 (健康福祉局長) 昨日、沖議員のご質問にお答えしましたとおり、生活保護のケースワーカーの配置については、生活保護世帯の増加に対応するため、平成18年度(2006年度)から平成20年度(2008年度)までの3年間で、8名と嘱託職員3名の増員を行いました。 来年度は、5名の増員を行う予定としており、平成21年(2009年)1月現在の世帯数を基に計算すると、ケースワーカー1名が約96世帯を担当することになります。 ケースワーカーは、社会福祉法第16条の規定により、生活保護世帯80世帯に1名を標準として配置するよう定められております。 今後とも、関係部局と協議し、少しでも標準数に近い配置ができるよう努力してまいります。 (村上あつ子議員) あらためて、市内の民間企業に「雇用の確保に努力してもらいたい」旨の申し入れをしていただきたいと思いますがどうされますか。 (市民局長) 本市では、昨年12月19日、24日及び25日に、広島労働局、広島県等と共同で、広島県商工会議所連合会、広島県商工会連合会等6つの経済団体に対して、求人の確保と雇用の維持、採用内定取消しの防止を求める要請を行い、併せて、傘下の事業主等への周知について依頼しました。 (村上あつ子議員) 第二に、これ以上の大量解雇をしないように、マツダに申し入れる点についてです。 今国会でのわが党の志位委員長の質問を通じて明らかになったように、大企業には雇用を維持する体力があり、今、大量解雇を行わなければ経営破たんに陥るといったような「万策尽きたやむを得ない」状態ではありません。 マツダもつい最近まで空前の黒字を誇っていたではありませんか。そのお金は一体どこにいったのか。 この10年、派遣労働者を大量に働かせながら内部留保を約4400億円までに急膨張させ、株主への配当を増やし続けてきました。この巨額の内部留保のわずか1.6%を取り崩すだけで、マツダがすでに解雇した1600人とこれから解雇しようとする500人、合わせて2100人の雇用を守ることができます。 麻生首相も「いまあわてて首切りをしている企業も目立つ。頑張れるところもあるのではないか」と答弁しています。マツダがやっていることは、5億円の別荘があり、1億円の株券を持っている資産家が、「手元に今現金がないから」とお手伝いさんを解雇するのと同じことです。 マツダ車を前倒し購入するのなら、なおさら、今後大量解雇だけは思いとどまるよう、マツダ本社に申し入れるべきではありませんか。答弁を求めます。 (市民局長) マツダからは、雇用情勢について、随時、説明を受けるようにしています。今後とも、経済団体を通じるなどあらゆる機会を捉えて、雇用の維持等を要請していきたいと考えています。 上にもどる 公的保育を守ることについて (村上あつ子議員) 厚生労働省、社会保障審議会少子化対策特別部会が、「次世代育成支援のための新たな制度体系の設計に向けて」検討をすすめています。 この「新たな保育の仕組み」は市町村の保育の実施責任をなくし、保育園と保護者の自己責任による直接契約としようとするものですが、これは小泉内閣以来すすめてきた、すでに破綻している構造改革を保育の分野に持ち込み、国や自治体の責任をなくし子どもを「企業」のもうけの道具にしようとするものです。 「新制度案」が実行されると、子ども・保護者・保育園はどうなるのでしょうか。まず、入所です。今の制度では、保護者は自治体に入所申し込みをし、自治体から入所決定通知をもらって入園しています。新保育制度に変れば、保護者は自分で保育園を探し、入所を申し込み、個々の保育園が入所を決めます。つまり、自治体は関与せず、保護者と保育園の直接契約となります。 保育料は保育時間に応じて保護者が直接保育園に支払うことになります。保育時間は、保護者の勤務時間プラス通勤時間で、その子の「要保育度」として自治体が認定します。 今は、保護者の勤務時間に関係なく子どもたちは朝から夕方まで保育園で生活していますが、新制度になると、保護者の勤務時間ギリギリにしか預けられなくなるので、子どもの登園・降園の時間はバラバラ。そうなると、子ども同士がしっかり関わり合うなかで生活のルールを身につけて欲しいと保育士が願っても、集団保育は困難になってきます。これで子どもの健全な発達を保障することになるのでしょうか。 保育料は利用する保育時間に関わりなく保護者の所得に応じた負担であったものが、預ける時間に応じた料金、負担つまり「応益負担」になるわけですから長時間預けなければならない場合、所得が低い家庭でも負担が大きくなります。 つまり介護保険と同じように、利用する時間単位で保育料が決まるわけですから、お金がかかるということで家に閉じ込めて仕事に行くような状況がうまれないとも限りません。保護者の経済力によって子どもの育ちに格差が広がってはいけません。 また、個々の保育園も、保育料を収入にして経営のやりくりをしなくてはいけませんから、できるだけ人件費を抑え、非正規を増やそうとするでしょうし、所得の低い世帯の子どもが入所を拒否される可能性も高くなります。保育士の待遇は保育の質に直結します。非正規など不安定雇用が増えれば質の低下は免れません。 自治体は、「要保育度」の認定をおこなうことになっていますが、保育の実施責任は負わず、待機児童を把握できない仕組みとなり、私立保育園でトラブルや事故がおきても自治体が責任を負う仕組みになっていません。 この新制度案は先日、保育関係団体に報告されましたが、会合では猛反発の声が集中し難航が予想されます。いずれにしても児童福祉法を改正して、介護保険法や障害者自立支援法と同じように応益負担制度を保育園に持ち込もうとする政府の狙いは明らかです。 このような公的保育制度を崩し、子どもや保護者の権利、保育士の人間らしく働く権利を侵害する「新保育制度」のもとでは、市がこれまで繰り返し主張してきた保育の水準を高めていくことにはならないのではないでしょうか。 (こども未来局長) 国の社会保障審議会少子化特別部会において、現在、これからの保育制度のあり方について検討が行われています。 この中では、保育園においてすべての子育て家庭の子どもを受け入れることを前提に、その運営方法について3通りの見直し案が示されており、@現行制度を基本的に維持する案、 A保育の必要性や量を市町村が判断し、これに基づき保護者が施設と契約して利用する案、 B施設の利用方法や利用料に市場原理を導入する案について議論が行われています。 本市としては、すべての子どもの健やかな育ちの支援を行うため、保育サービスの量的拡大や質の向上を図ることは重要であると認識しており、今後、これからの保育制度のあり方についての国の検討状況を注視しながら、他の政令指定都市とも連携し、必要に応じ国に対して要望するなど適切に対応していきたいと考えています。 (村上あつ子議員) 市が広島の未来を担う子どもたちに責任を持つというのであれば、ますます公立保育園の役割が重要になってくると考えます。見解をお聞きします。 (こども未来局長) 保育園の果たすべき役割・目的は、公立と私立とで違いはありません。保育の実施は、児童福祉法に基づき自治体に課せられた責務です。最も重要なことは、公私に関わらず、市内のすべての保育園で質の高い保育を子どもたちに提供する体制を整備することであると考えています。 (村上あつ子議員) 広島市がこれから進めたいと考えている公立保育園の民間移管も、保育の予算を削りたいという点では、政府と同じ方向を向いていると言わねばなりません。その民間移管をいよいよ導入するということで、1月21日、市は突然2014年までに廃止を予定する公立保育園の5つの園名を発表しました。保護者から「寝耳に水」と怒りの声が沸き起こっています。これまでの議論を踏まえいくつかお伺いします。 突然の該当園の発表は、市が自らつくった「ガイドライン」の2年3ヶ月前を守っていません。どう説明されますか。 (こども未来局長) 民間移管の対象園の公表を移管実施の2年3か月前までに行うことにしているのは、「公立保育園の民間移管に関するガイドライン」に記載しているように、4月当初の入園申込受付を毎年 1月に行っていることから、新規入園申込者が保育園を選択する際の参考にできるようにするためです。 本年度の入園申込受付は2月13日までとなっており、1月21日に公表した移管予定園名を踏まえ、入園申込者に保育園を選択していただいたものと考えています。また、それまでに移管予定保育園の入園申込をされた保護者については、希望する園の変更ができるよう個別に連絡をいたしました。 このため、1月21日の移管予定園名の公表により、ガイドラインで2年3カ月前に公表することにした目的は達せられていると考えています。 (村上あつ子議員) 公立保育園の民間移管にあたって、86の公立保育園から「白紙撤回を求める要望書」が出されました。市は、保護者の理解を得ることが条件だと保育園ごとに説明会をしてきましたが、説明会を行なった園も含め、1園もこの要望書は撤回されていません。さらに言えば、5つの該当園は(移管予定)園名の公表までに保護者説明会は一度も行なわれていません。5つの園の説明会は移管を前提とした説明会となります。 当局は、「現段階で保護者の理解を得ているとは認識していない」と言いながら、移管を前提として既成事実を重ねています。こんなやり方で本当に理解を得られるとお考えなのでしょうか。お答えください。 (こども未来局長) 保育園の民間移管は、本市の保育施策の中・長期的な方針として策定した「保育園のあり方について」の中に盛り込んだものです。 この「保育園のあり方について」の策定に当たっては、「保護者の意見を聴く会」などを実施したうえで、いただいたご意見を踏まえて、昨年5月に最終とりまとめ案を作成しました。その後、この中で示した本市の考え方について、保護者と行政との共通理解を図るため、私立保育園の保育内容を紹介したリーフレットなどをすべての保護者に配布するとともに、保護者会の要望に応じて、これまで26の保育園で保護者説明会を実施してきました。 なお、移管対象となった5園については、園名の公表後、民間移管の必要性や移管予定園の選定理由などについて、これまでに3園で保護者説明会を実施しました。 今後も、保護者の皆さんの不安や懸念を解消するために、保護者説明会や個別相談の実施を通じて丁寧な説明を行っていきたいと考えています。 (村上あつ子議員) 新年度予算には公立保育園の廃止を前提とした予算が計上されています。しかし、条例改正もせず、「廃止」も正式に決まってもいないのに、廃止を前提とした予算を計上することは議会軽視であり、本末転倒ではありませんか。 (こども未来局長) 公立保育園の民間移管については、「保育園のあり方について」や「公立保育園の民間移管に関するガイドライン」など、これまでに節目節目で議会に対して説明を行い、ご意見をお聴きしています。 民間移管の実施に当たっては、保護者への十分な説明や事業者の選定などの諸準備を行い、事業者の決定など公立保育園の廃止に向けての条件が整った段階で保育園条例の改正案を提出し、議会の判断を仰ぐことが適切であると考えています。そのため、事前準備に係る経費を来年度予算案に計上しているものです。 (村上あつ子議員) これまで、公立と私立の平均勤続年数の違いを問題にしてきましたが、どのように改善しようとされていますか。 (子ども未来局) 私立保育園のさらなる質の向上を図るためには、質の高い人材を安定的に確保することが課題となっていることから、私立保育園が雇用する職員について、より長い期間継続して勤務できる環境を整えるため、職員の平均勤続年数が10年以上となる施設を対象に、保育園運営費への加算を本市独自で行いたいと考えており、これに要する経費を来年度予算案に計上しています。 (村上あつ子議員) 公立保育園の老朽化した園舎の建替えについてですが、一般財源化された施設整備費は「補助金」という名目ではなくなったものの「地方交付税」で引き続き国から措置されているということで間違いありませんか。簡潔にお答えください。 (こども未来局長) 公立保育園の建替えに対する国の補助は、平成17年度(2005年度)をもって廃止されています。このため、現在、公立保育園を建て替えるに当たっては、従来の国庫補助金相当額について記債を行った場合、その元利償還金について、地方交付税として措置されることになっています。 上にもどる 介護保険について (村上あつ子議員) 介護保険に関していくつか質問します。 財団法人介護労働安定センターの調査では、介護従事者の平均賃金は全産業平均の64%でしかなく、およそ10万円も下回っています。離職率は2割に及び、その8割以上が3年未満で離職しています。平均勤続年数は3.1年で定着率の低さが伺えます。 日本共産党市議団が昨年実施した介護保険事業者に対するアンケートでは、介護報酬削減による経営困難にどのように対応したかについて、少なくとも3割の事業者が労働条件へのしわ寄せをしていると答えています。 その一方で、職員採用への応募数が募集人数に足りない事業所が半数に上っています。経営困難と人材確保の困難が同時に起きている実態が見え、処遇改善は「待ったなし」です。 政府は来年度から介護報酬を3%引き上げる、これで介護従事者1人当たり2万円の給与引き上げにつながると打ち出しました。しかし、今回の3%という数字は、過去2回のマイナス改定分を取り戻せない水準だと日本医師会も表明しているところです。 提案ですが、市は特養ホームなどへの給与改善対策として、基本給の2%を補助していますが、政府の報酬改定では問題解決には程遠いため、2%を引き上げた上で、介護事業所全体に対して市として、補助を行ってはどうでしょうか。お考えを伺います。 (健康福祉局長) 介護従事者の処遇改善については、国が適切な介護報酬を設定し、各事業者がその介護報酬により対応することが基本であると考えています。 本市においては、特別養護老人ホーム等の入所施設の職員を定着させるため、社会福祉法人が職員に対して給与改善手当を支払った場合には、補助(39法人 145事業所 2,329人)を行っています。 ご提案の補助率を上げることや社会福祉法人以外のものが経営する事業所も補助対象とすることは、本市の厳しい財政状況からみて困難です。 なお、平成21年度(2009年度)から、職員のキャリアアップを促進するため、介護福祉士等の資格取得費用への補助制度等を新設する一方で、給与改善費補助の対象職種の見直しを行うこととしています。 (村上あつ子議員) 次に、市内の特養ホームの定員は2800人です。これに対して待機者数は4000人に及び、自宅で待っておられる方だけでも2500人を超えています。介護保険の在宅サービスは家族の介護力を前提としており、家族介護が限界になったとき、ただちに施設に切り替えられるようにしておく必要がありますが、そうなっていません。こうした状況を改善し要介護者が安心して暮らせるには、施設の受入数を抜本的に増やす必要があります。 来年度からの高齢者施策推進プランでは、要介護4,5に対応できるものとして、国の基準より多い360床を増設することにしていますが、入所できるすべての待機者に対応すべきです。少なくとも在宅で待っている2500人に対応した待機者対策が必要です。納得できるお考えを伺います。 (健康福祉局長) この2月に策定した高齢者施策推進プランでは、介護が必要な状況になっても、安心してできるだけ自立した生活が送れるよう、介護サービス基盤の計画的な整備を行うこととしています。 具体的には、介護度の高い要介護認定者や増加する認知症高齢者への対応等を考慮して、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)及び認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の整備に重点を置き、平成21年度(2009年度)から平成23年度(2011年度)までの間に、施設定員数360人分の特別養護老人ホームを整備するとともに、認知症対応型共同生活介護グループホーム504人分の整備を計画しています。 特別養護老人ホームへの入所については、特別養護老人ホーム入所指針に基づき、必要度の高い方から入所していただいており、新たに入所される方の数は年間およそ500人から600 人です。 昨年10月1日現在の市内の特別養護老人ホームの入所待機者のうち、在宅で要介護4以上の方は436人ですから、入所待機者のうち必要度の高い方には入所していただくことが可能だと考えています。 今回の特別養護老人ホームや認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の整備により、入所が必要な要介護認定者の増加に対応でき、待機状態の緩和にも寄与するものと考えています。 また、在宅生活を支援するため、住居サービスや地域密着型サービスの充実、高齢者に配慮した住宅の確保などにも努めてまいりたいと考えています。 上にもどる 後期高齢者医療制度への対応について (村上あつ子議員) 後期高齢者医療制度が始まって1年になろうとしています。制度に対する国民的な強い反発に押されるように、政府は一時的な保険料軽減制度を打ち出しました。 しかし、案じていた通り、年金からの保険料天引きを受けない、低所得者を中心とした普通徴収者の滞納が固定化しつつあります。 法律上は1年以上の滞納者に対して資格証明書を出すことになっています。しかし、広島市は資格証明書になった方が命を落とすという苦い経験があり、国保の資格証明書の発行は限りなくゼロに近い状態になっています。 後期高齢者医療制度の場合、加入者の9割近くが医療を受けており、資格証明書が命を奪う可能性は、国保よりはるかに高いと考えます。もともと75歳以上の高齢者には資格証明書は出されていませんでした。後期高齢者医療制度で大きく後退したわけですが、市としては、国保と同様に資格証明書が発行されないように取り組む必要があります。お考えを伺います。 (健康福祉局長) 後期高齢者医療制度では、「高齢者の医療の確保に関する法律」等に基づき、保険料を納付できない特別な事情がない場合には、滞納発生後1年を経過した被保険者に対し、後期高齢者医療広域連合が、被保険者証の返還を求め、資格証明書を交付することになっています。 また、これについて国は、昨年6月に行った後期高齢者医療制度の見直しの中で、「資格証明書の運用に当たっては、相当な収入があるにもかかわらず、保険料を納めない悪質な滞納者に限って適用する。」との方針を示しています。 そのため、広島県後期高齢者医療広域連合においても、この方針を踏まえ、県内各市町と十分に協議した上で、資格証明書の交付に係る統一的な運用基準を定めていくことになります。 こうしたことから、これまで本市は、資格証明書を機械的に交付するのではなく、本市の国民健康保険制度における取扱にならい、被保険者の収入や生活の状況などを十分に考慮した基準とするよう、広域連合に申し入れてきており、引き続き、本市の考え方を、広域連合に伝えてまいります。 上にもどる 障害者自立支援法について (村上あつ子議員) 次は、障害者施策です。 障害者自立支援法が始まって3年経ち、政府は事業者の報酬を5%引き上げるなど若干の見直しを行いました。 強い批判にさらされた政府が、広島市をはじめとする地方自治体の独自施策に引っ張られるようにして一定の負担軽減措置を行ったことで、当事者たちはとりあえず一息ついた状況です。 しかし、日常生活に不可欠なサービスを障害者当人の私的な利益だとして負担を課す「応益負担」の原則はそのままです。 障害者にとって空気を吸うのと同じように、人間として生きていくために不可欠のサービスを受けることが、個々の障害者の利益だという政府の考えに、昨年12月の厚生委員会で当局から「利益ではない」との答弁がありましたが、改めて確認します。明確に広島市の立場を明らかにしてください。 (健康福祉局長) 障害者自立支援法は、障害者及び障害児がその有する能力及び適性に応じ、自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう、必要な障害福祉サービスに係るその他の支援を行い、もって障害者及び障害児の福祉の増進を図るとともに、障害の有無にかかわらず国民が相互に人格と個性を尊重し、安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与することを目的としています。 この法に関し、これまで国から「サービスを受けることが障害者の利益である」という考え方を示されたことはなく、本市としては、法に基づくサービスを受けることは障害者の権利であって、障害者の権利であって、障害者が特別な利益を受けるということではないと考えています。 (村上あつ子議員) そもそも、障害者にとって日常生活に欠かせないサービスは私的な利益ではないという立場ならば、負担なしにするべきだと考えますがどうでしょうか。 (健康福祉局長) 障害者自立支援法の施行により、各サービスに係る費用の9割以上を公費で負担する一方、所得に応じて最大1割まで利用者が負担することになりました。 これにより、サービス利用者の大半を占める低所得者の負担が増えることになるため、本市では、法施行時から独自の軽減措置を実施しましたが、その後を追うように国においては、平成19年(2007年)4月からの特別対策、平成20年(2008年)7月からの緊急措置と2度にわたり利用者負担の軽減措置が講じられ、これらの措置は平成21年度(2009年度)以降も継続されることになっています。 しかし、障害者には依然として負担感が強いことから、国の責任において、低所得者等に一層配慮した恒久的な負担軽減策を講じるよう、指定都市市長会などあらゆる機会を通じて要望していきたいと考えています。 (村上あつ子議員) 次に、障害者福祉の現場でも、劣悪な労働条件の中で、障害者福祉の仕事にやりがいを持って飛び込んできた人たちが、展望を失って去って行かざるを得ない実態があります。ここでも労働条件の抜本的な改善は待ったなしです。実態は介護サービスの現場以上に深刻です。 政府は事業者への報酬を5%引き上げることにしていますが、これで、現場でサービスを行う労働者の給与を始めとした労働条件を、抜本的に改善できるものになるのかどうか、市としてのお考えを伺います。 (健康福祉局長) 障害福祉サービスを提供する事業者への報酬については、その額が低く人材確保が難しくなっていると認識しています。 これまで、指定都市市長会などあらゆる機会を通じて、報酬単価の抜本的な改善を図るよう要望を続けるとともに、従前から本市独自の措置により、社会福祉法人に対して職員給与の2%に当たる給与改善手当を補助しています。 (村上あつ子議員) 必要な障害者サービスが安定して提供されるために、受け入れ体制が十分あることと従事者の体制が整っていることが必要です。日本障害者協議会は、少なくとも全産業平均に匹敵する賃金を保証でき、8割は正規雇用できる水準が必要だとしていますが、5%程度の改定ではこの水準には遠く及ばないと考えます。 質の高い障害者サービスの確保は行政の責任です。労働条件の改善に、市としても主体的に取り組む必要がありますが、どのような取り組みをされるのかお考えを伺います。 (健康福祉局長) 国においては、平成21年(2009年)4月から障害福祉サービスの報酬を5.1%引き上げることになりましたが、その効果を見極めたうえで必要な対応を検討していきたいと考えています。 (村上あつ子議員) 次に、どうしても必要だということで、市が支援して観音新町に建設が進められている重度知的障害者のケアホームは、最低限の人件費の見込みに対して自立支援法による報酬額がはるかに低いため、最初から運営困難だとされています。健全に運営されるために、市独自の十分な財政支援が必要ですが、どうされるお考えか答弁を求めます。 (健康福祉局長) ケアホームは、障害者が住み慣れた地域において、自立した生活を営みながら安心して暮らす上で重要な施設であると考えており、本市独自の支援として民間社会福祉法人がケアホームなどを整備する際には、初期施設整備費を軽減するため、市が保有する未利用の土地や建物を貸与しています。 議員ご指摘の観音新町のケアホームにも土地を貸与していますが、事業者からも運営あたり財政的に厳しいことや人材確保が難しいということは伺っています。 本市としては、あらゆる機会を通じて報酬の引き上げ等を国に要望してきた結果、平成21年(2009年)4月から報酬の5.1%引上げや新たに備品購入等の助成を行うことになりました。こうした措置の結果を見極めた上で、さらにどのような課題があるかを把握し、市として必要な対応を検討していきます。 (村上あつ子議員) この問題の最後に、雇用について提案します。今回の景気悪化の中で、障害者雇用が一番の犠牲になっています。 ハローワークに行っても新たな仕事を見つけるのはなかなか困難です。市が来年度の緊急雇用創出事業での臨時職員の採用を予定されていますが、障害者の雇用に配慮されたものになっていません。 市はこれまで障害者の雇用拡大に努力して来られたところですが、今回の金融不況の中での障害者雇用の実態に配慮し、外郭団体も含めて、広島市独自の雇用枠を拡大する施策を求めます。 上にもどる 地球温暖化対策とごみ減量について (村上あつ子議員) 市はこの間、ゼロエミッションシテイを目指し、110万人のごみゼロ宣言や地球温暖化対策でCO2削減をめざすカーボンマイナス70を掲げるなど積極的に環境政策を打ち出しています。ごみ減量についても6種類分別から8種類分別と市民の協力を得ながら、政令市の中でも一人当たりのごみ排出量は一番少なく他都市からも評価されているところです。 一方、市は減量プログラムの減量目標がこのままでは達成が困難であるとして、家庭ごみの有料化をしようとしましたが、経済情勢の悪化を理由に当面、有料化は見送られました。 あらためて、有料化に頼らずゴミ減量に真剣に取り組んでいくべきだと考え、いくつかお伺いします。 私ども市議団は今年1月に、市内4万世帯に家庭ごみ有料化について賛否を問い、その理由を聞く緊急アンケート調査をおこないました。3週間の期間に2400通を超える回答があり、現段階で有料化に反対が75.2%、賛成11.6%、分からないは12.3%という集計結果です。反対とした理由で一番多かったのが「有料化になれば不法投棄が増える」との回答であり、「ごみ処理は税金でまかなうべき」というのとあわせれば約5割を占めます。 また、「ごみ減量のために市がやるべきことは何か」という質問に対しては、一番多かったのが、「過剰包装を止めるよう、生産者や企業、小売店へ指導する」です。2番目は「分別の徹底指導」。3番目は「不法投棄対策」。4番目は「生ごみの堆肥化飼料化、雑紙などの資源化の徹底指導」という順で、まだまだやるべき課題があることを示しています。 例えば、はがき大の紙も資源ごみに出せることを知らない人が36%もあることもアンケートでわかり、8種類分別も習慣化されているとはいえません。ある自治体では転入届の際、15分程度の時間を取ってごみ分別の説明を行なっています。市民への周知徹底も工夫が求められます。どうされますか。 私たちは、可燃ごみの3割が生ごみという実態を踏まえ、各家庭にコンポストの普及を訴えてきましたが、新年度予算に生ごみ処理機の購入補助を新設されたことは大歓迎です。さらに、広く普及する方法として市民農園の利用者に体験してもらうことをおこなってはどうでしょうか。お答えください。 (市長) 世界人口の大半が暮らしている都市では、居住者が世界の天然資源の75%を消費し、廃棄物の大半を生み出しており、地球環境に巨大な影響を及ぼしています。この問題解決のためには、既存の社会システムから脱却し、資源とエネルギーの大量消費に依存しない新しい循環型の社会を構築していくことが求められています。 本市は、昭和50年(1975年)にごみ非常事態宣言を発し、翌年から全国に先駆けて5種類分別収集した結果、市民の皆さんの協力のもとで、ごみの減量、リサイクルに大きな成果を挙げてきました。 平成16年度(2004年度)には、ごみを可能な限りゼロに近づけ、環境への負荷を低減するゼロエミッションシティへと転換するため、具体的な目標を掲げた減量プログラムを策定しました。 主な取り組みとしては、家庭ごみの8種類分別、事業ごみ有料指定袋制度など、様々な施策を実施し、市民、事業者とともに、ごみの減量とリサイクルの推進に取り組んでまいりました。 その結果、市民1人1日当たりのごみ量は、政令市の中で最も少ない都市になっています。 ごみの減量をさらに進めるため、家庭ごみの処理の有料化についても、廃棄物処理事業審議会で十分議論していただき、昨年12月に、同審議会から有効かつ必要な施策であるとの答申をいただきました。 この答申を踏まえ有料化の検討を行ってきましたが、有料化する前に指定袋によるごみ減量を進めてはどうかなどの議会でいただいたご意見や、昨今の経済情勢の変化、今後のごみ排出量の見込みなどを総合的に勘案した結果、まずは、市民、事業者、行政が一体となった全市的な運動としてごみ減量を進めていくことが重要であると考え、その方向で取り組むことにしました。 こうした考えのもとで、平成21年度(2009年度)から平成25年度(2013年度)までを期間とする、次期減量プログラムを本年度中に策定します。プログラムでは、5種類分別収集開始以降、1人1日当たりのごみ量が最も少なかった昭和60年度(1985年度)の765gを目標に掲げます。 その達成のための具体的な取り組みとして、来年度からの市内の全ての町内会、自治会を対象に、地球温暖化対策やごみの分別、減量について一層の協力を呼びかけ、町内会、自治会を主体とした行動を促進するため、「110万人のエコ講座」を実施します。こうした環境問題への取組を通じて、新たな地域の交流が生まれる効果にも期待しています。 また、生ごみの減量を進めるため、生ごみ処理機等の補助制度を新設します。これにより生ごみが減少できるとともに、できた堆肥は野菜作り等に活用していただくことで、食の循環を図っていきます。 市民にとっては、野菜や堆肥の購入費用の節約にもなるため、市民農園や市民菜園の利用者はもとより、多くの市民を対象に、生ごみリサイクル講習会を開催するなど、積極的なPRや支援に努めていきます。 レジ袋削減については、昨年4月から安佐南区の一部で取り組み、10月には安佐南区の全域に、続いて、本年2月からは安佐北区高陽地区にも拡大して実施しています。この取組を進め、早期に全市に拡大してまいります。 こうした市民や事業者と一体となった施策を積極的に展開し、全国のモデルとなる環境先進都市を目指したいと考えています。 (村上あつ子議員) もう一つの問題は、有料化でごみが減るのかということです。すでに家庭ごみを有料化した自治体は全国で半数を超えるといいますが、ほとんどの自治体で有料化直後は一時的に減るがその後増加に転じるいわゆるリバウンドがおきていることは、様々な調査研究の結果でも指摘されています。 私たちが行ったアンケートでも73%の人が「有料にしても減らない」「一時的に減るがまた戻る」と答えています。有料化をすでに行っている自治体でのリバウンドについて調査を行われたのか、どのような結果であったのかお答えください。 (環境局長) 平成19年度(2007年度)の環境省による一般廃棄物処理実態調査の結果では、国内の57.3%の市町村が家庭ごみの処理の有料化を実施しています。 政令指定都市の中で有料化を実施している北九州市、福岡市、京都市について、有料化を実施した前後の排出量を比較してみますと、北九州市で20.9%の減、福岡市で10.9%の減、京都市で16.8%の減となっており、大きな減量効果が表れています。各都市とも実施後まだ2、3年間の経過であり、現時点では特にリバウンドは見受けられません。 また、全国88都市の減量効果の調査結果が廃棄物の専門誌に掲載されていますが、それによりますと、実施5年目の年度においても、ごみ量が減少した都市が86%、一方、増加した都市が14%あり、若干のリバウンド傾向が認められるものの、大部分の都市では減量効果が維持されていると評価されています。 リバウンドについては、これまでのところ詳細なデータは出ていないのが現状であり、引き続き各都市の状況を調査していきたいと考えています。 (村上あつ子議員) ごみ処理経費の増大の要因は、収集費用より焼却処理費や埋め立て処理費の急増です。新年度予算には玖谷埋立地の拡張整備費が計上され、さらに次の埋立て候補地の整備を始める予算も計上しています。 市はごみ減量を言いながらも埋立地を拡大し、過大な焼却施設をつくり、そのための建設費や維持費でごみ処理経費を膨らませています。 私ども市議団はこれまでも、ゴミ処理行政に対しては「焼却しない」「埋め立てない」ことを目指す徳島県の上勝町などのゼロウエスト宣言に習うべきだと主張してきました。焼却する限り、焼却炉の建設や建替え、ダイオキシンなど含む焼却灰の埋め立て施設の建設やリサイクルに多額の経費をかけ続けることになります。「サーマルリサイクル」という口実で事業系のプラスチックを焼却する方針は見直すべきです。 この際、次期広島市の基本構想、基本計画に脱焼却、脱埋め立てを目指す姿勢をはっきり示されるべきだと考えます。お考えを伺います。 (環境局長) 本市は、循環型社会の形成に向け、ゼロエミッションシティ広島の実現を目指して市民、事業者の協力により、ごみの減量とリサイクルに取り組んできました。 まず、ごみの発生を極力抑制し、そして発生するごみは経済的、技術的に可能な限り再使用、再生利用するという考えのもとで確実にその成果を挙げてきましたが、なおごみとして最終的に排出されるものは適正に焼却や埋立処分を行わなければならず、そのためには安佐南工場の建替えや玖谷埋立地の拡張など処理施設の整備も必要です。 ご指摘の脱焼却、脱埋立は、本市の目指すこのゼロエミッションシティ広島の実現と、同じ考え方であると認識しています。 ゼロエミッションを推進し、さらにごみ量が削減できれば、将来の焼却施設や埋立地を減量後のごみ量に見合う規模で計画できます。 次期広島市基本構想、基本計画においてもゼロエミッションシティ広島の推進を明確に打ち出し、循環型社会の形成を目指します。 上にもどる |
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