トップ議会情報・議員の発言2009年第5回12月定例会 議員発言 >総務委員会・中森辰一議員


2009年12月17日 総務委員会 中森辰一議員

 補正予算のうち債務負担行為と、指定管理者の指定議案について
 一般職の職員の給与に関する条例の一部改正について
 所得税法56条廃止を求める意見書採択を求める請願について
 指定管理者制度の在り方について



補正予算のうち債務負担行為と、指定管理者の指定議案について

(中森辰一議員)
 まず指定管理者制度関係であるが、私は(公の施設は)市民にサービスを提供するための施設であるから、大前提となるのは施設が提供するサービスを低下させてはいけない、これは向上させるということがまず前提でないといけないと思う。その点で民間事業者が(指定管理者に)応募するに当っても、市民サービスがどう高められていくのか、というところを審査の第一に置くべきだと考える。その点で、今の価格水準、費用の上限額と市民サービスを高めて行くという両面から見て、現実には公益法人の方に軍配が上がるという状況があるからこそ、民間事業者が参入できないという状況になっていると思う。
その点でいえば、むしろ上限額を引き上げて行くとすれば民間事業者が参画をする可能性があるかもしれない。この指定管理者制度の目的は2つあって、市民サービスを向上させるということとコストを下げるという両面がある。指定管理者制度は決してコストを下げるだけが目的ではないと思う。その点はあとで議案外のところで議論するが、まず市に対してはこの点を強調しておきたい。
この制度の問題は後で議案外で聞くので、ここでは、基本的な点だけ聞いておきたい。
 今回の指定管理者の更新全体、公募による指定全体では、管理費総額が、これまでと比べてどれだけ違うのか。

(行政改革推進課長)
 前回の限度額と今回の限度額の比較ということで、その違いは利用料金制を導入したということがあるので、利用料金制部分を差し引いた管理経費で比較すると、前回よりも2.4%の減ということになる。


(中森辰一議員)
 前回、4年前の公募の時に、(それ以前の管理経費と比べると)かなりの額の減額になっていたと思うが、それに比べると相当減額幅が落ち着いてきたと思う。その点で、もう管理費の上限額は、とても民間の事業者が参入したいと思わないほどに低くなってきている、限界まで縮小してきているといことではないかと思う。
これ以上、縮小するとなると、今度は逆にサービスの質に影響していくということになりかねないと思うが、市の方のご認識はいかがか。

(行政改革推進課長)
 先ほど民間事業者がどれだけ導入されたかということで、全体でいえば現在の指定管理者数の民間事業者の占める比率は27.3%だったのが、今回は58.8%と増大している。こうしたことから個々の施設によって事情も異なるので、これについては管理経費がギリギリであるかどうかについては、個々の施設ごとに検討する必要があると思うし、説明会に参加したものの応募しなかった事業者にアンケート調査を行うなどして、その要因を分析して今後の上限額の設定を検討して参りたい。


(中森辰一議員)
 民間事業者が参入して、今の上限額でも十分に利益を確保する余地があるところが民間事業者が取っていくということになったのだと思う。
この委員会に付託された指定管理者の指定議案に関しては、引き続き市の外郭団体が受託することになっていて、雇用の問題は起きないが、本会議でも明らかになったように、今回の指定替えの議案全体では、雇用の問題など、改めて、大きな矛盾が出ている。こんな制度はやめるべきだと思っている。
今回、少し見直しをしておられるが、そうした小幅の見直しでは矛盾を内包したままだ。何か考えておられることがあるか。

(人事課長)
 雇用の問題については、本会議でも企画総務局長が答弁申し上げたように、今は公益法人が指定管理者候補になれなかった施設の管理に携わっている職員の処遇について検討していて、まず当該公益法人の内部で、市派遣職員の引き上げなどにより職場を確保すること、また他の公益法人等での市派遣職員の引き上げなどにより職場を確保すること、さらに新たな指定管理者に雇用を働きかけ雇用を確保することなどが考えられる。
 当該公益法人の内部で職場が確保できない場合については、企画総務局が施設管理の主観局と協議をして、他の公益法人等について調整を図る。なお、非常勤職員の場合、雇用期間が1年ということになっており、最大限の努力をするが、その結果やむを得ない場合、雇用の更新はできないこともあると考えている。
 いずれにしても、公益法人等の職員の職場の確保については市、公益法人が一体となって職場の確保をして参りたいと考えている。

(中森辰一議員)
 いま雇用ということが市の行政にとっても非常に重要な課題となっているが、この点で非常に大きな矛盾を内包した制度だと思っている。その点で制度の抜本的な見直しが必要であるということを指摘しておく。

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一般職の職員の給与に関する条例の一部改正について

(中森辰一議員)
 この際だからあえて聞いておきたいことがある。人事委員会が労働条件の在り方について勧告する制度は、憲法で保障された公務労働者の労働者としての権利を制限する代わりに設けられたものだが、その役割を改めて確認したい。

(給与課長)
 公務員の労働基本権制約の代償措置として公務員の給与、勤務条件を民間の水準と均衡させるため、中立的な第三者機関である人事委員会の客観的な調査結果に基づく勧告制度が設けられている。この勧告制度については、最大限尊重しなければならないものであると考えている。


(中森辰一議員)
 外国の公務員は、争議権も当然の権利として保障されていて、労働組合の本来の役割である労働者の生活と権利を守り拡大するために、ILOで普遍的に認められた労働者の権利が機能を果たしている。
 人事委員会の勧告はその機能の一部を肩代わりするものであるべきだと思うが、どうか。

(人事委員会事務局長)
 今、給与課長がご説明申し上げた通り、労働基本権の制約のための代償措置ということで、本市の人事委員会もそういう意味合いで勧告を行っている。

(中森辰一議員)
 労働組合をつくって、雇用主側と対等の立場で議論をたたかわして、場合によってはストライキといった手段を講じながら、労働者としての権利、生活を守り拡大していく、そういうことについて制限がされている。
現実の人事委員会の勧告は、職員の生活を切り下げる勧告もたびたび行ってきており、今回の議案も、職員の収入を減らそうという勧告に基づいて出てきている。
 職員の生活実態や、厳しい勤務の実態を調べる、あるいは労働者の訴えを聞くなどして、労働条件の改善に結び付けるといったことではなくて、単に、民間との比較でどうかということを評価しているだけだ。
 世界の流れに反して公務労働者の争議権を奪ったのは、アメリカの占領時代で、アメリカの都合で決めた、争議権を奪うということを、占領時代が終わっていまもなお、その遺物を残しているのは残念なことだ。世界の趨勢から非常に遅れている。
 人事委員会は、労働者の権利を代替する制度であるべきだがそうなっていない、そう思うが、どう受け止められるか。

(人事委員会事務局長)
 基本的には労働基本権の代償措置として、今の人事委員会の制度があるということを踏まえた上で、公務という仕事の性格上、賃金をもうけとか利潤とか、市場の原理をそのまま適用させて決めるというような性格のものではないと思う。ついては、民間の労働市場であるとか、民間の経済状況を反映している状況を調べて、それとの格差等を適用させて、公務員の給与を決めていこうというやり方は、労働基本権を制約されている中では、合理的な方法ではないかと考えている。


(中森辰一議員)
 本来は、雇用主である市当局と労働組合が対等の立場で議論をして労働条件を決めていくものであると思う。そういうことを取り上げてしまっているわけで、それを完全に代替する措置がなければいけないと思う。
今日、小泉内閣で一気に進んだ構造改革によって、市民生活が大変厳しい状況に追い込まれた。雇用の在り方が正規雇用から非正規雇用に大きく変化する一方で、不安定な雇用で職を失ったりしても、そのためのセフティーネットがあちこちが破れた状況を、NHKの特集番組でも表現していたが、非正規雇用が労働者の3分の1を超えて増え続けている。不安定な非正規雇用が増えると、それがテコになって正規雇用の労働条件が切り下げられ続け、賃金水準が下がっていく。そうしたことが原因で、国民経済は極めて脆弱な構造に変化し、アメリカ発の経済危機の波をもろに受けて日本経済は一気に落ち込んだ。今は、デフレ、賃金切り下げと物価下落の悪循環から抜け出せそうにない状況にある。
 これにストップをかけるのは、国民の暮らしを上向かせること以外にない。端的にいえば賃金を引き上げる努力を行うしかない。
 しかし、今回の議案で見られるように、民間企業と公共部門が賃金を引き下げ合っている。こんなことを繰り返していたのでは、デフレの克服はできず、財源の中心である税収もひたすら落ち込み続けるしかない。
 こういう状況について、財政当局としては、どのようにお考えか。

(財政局長)
 先ほど、人事委員会の事務局長が答弁したように、公務員の給与というのは、そういうしくみになっているので、しかるべき民間で支払われている給与に合わせるしかないというふうに思う。あとは、経済のしくみであるので、その時々を反映した賃金を公務員に反映さすことになると考える。

(中森辰一議員)
 大企業を含めてあらゆる企業や公共部門が、それぞれ雇用を支え、賃金水準を支えるように努力しなければならない局面だと思う。ところが、市民や中小企業がデフレであえいでいる中で、体力のある大企業が率先して賃金を切り下げ、それに合わせるように公共部門、とりわけ大量の職員を抱えているから地域経済に与える影響も大きい広島市も賃金を切り下げるということでは、みんなでデフレに突き進もうと言っているようなものだ。
 今回の切り下げで、職員の平均賃金が年収で16万円程度減額になるが、今回を合わせて、この数年で職員の平均賃金が本俸で年額80万円も減額されることになると聞いた。 もうこんなに切り下げを重ねている。
 広島市みずからデフレを促進するようなことだということをよく踏まえて、慎重に考えるべきだということを指摘しておく。

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所得税法56条廃止を求める意見書採択を求める請願

(中森辰一議員)
 所得税法56条を廃止するよう求める意見書を出してほしいという請願について、紹介者として発言しておきたい。
 今議会にあたって、改めて請願者が各会派を回られて、資料も提供された。その中で2点を紹介して、この所得税法56条廃止の必要性を訴えたい。
 ひとつは、交通事故にあって、休業補償を受けようとした時に、矛盾した状況が現れているということである。自分は専業主婦だと申告すると、日額で5200円の補償が出るのに、夫が営む事業に専業で働いていると言うと、配偶者の専従者控除額86万円を365日で割った日額2356円しか出ない。成人した息子や娘が、家族で父親が営む事業に専業で働いていると言うと、家族の専従者控除額50万円を365日で割った日額1369円しか補償が出ない。一人前に働いて事業を支えているのに、一人前の収入があるとみなされない実態がこういうところにも現われている。法律の名で、重大な人権侵害、自立した人間と見ない差別的な扱いをしている。
 もうひとつは、こうした制度の考え方は、明治憲法時代の、税金は戸主が払うもので、その家族は自立した人間と認めない、家族の全員が身を粉にして働いていても、それで得た所得はすべて戸主のものと扱う、そういう考え方が、戦後の日本国憲法の時代になっても改定されずに、男女共同参画を推進する今日に至るまで、そのままになっているものだということである。
 妻も、一人前の大人になって働いている他の家族も、戸主の従属物だという考え方、だから給料を払うのはけしからん、給料を払っても経費とは認めないという所得税法56条は、一人ひとりの人間の尊厳や人格を認める憲法とは相いれないものである。
 こんな条項が法律として罷り通っていること自体、国際的に恥ずかしいことだと言わねばならない。この法律で不利益を被っている請願者の要請にぜひお応えいただきたい。

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指定管理者制度の在り方について

(中森辰一議員)
指定管理者制度そのものの在り方について議論をしておきたい。まず、公募するにあたっての条件の問題がある。
 今回、駐車場の指定替えで、都市整備公社が民間企業に替わるところや、民間企業から別の民間企業に替わるところが出てきた。いずれも、従来の人を配置して管理するやり方に対して機械で管理するやり方の方が勝ったということだ。
 機械の償却費の問題があるが、人を配置するよりもコストが低いということだが、サービス面などでは点数が高いのに、コスト面だけで逆転しているという点は、指定管理者制度の趣旨からいって納得いかないことではないかと思うが、いかがか。

(行政改革推進課長)
 2003年の地方自治法の改正により導入された指定管理者制度は、公の施設の管理主体を民間事業者にも広げ、市民サービスの向上と経費の縮減を図ることを目的としている制度である。民間事業者から一定の管理水準を維持したうえで、新たな管理手法が提案されることは指定管理者制度の目的に沿ったものであると考えている。

(中森辰一議員)
 人件費より機械を使う方がコストが低いことは初めからわかっていること。そこは競争にはならない。従来の指定管理者が負けてしまうことは分かっている、つまり、そこで働いていた人たちの職を奪ってしまうことがわかっていることを、なぜやるのかという疑問がわく。
公募で指定替えを行うことで、いま働いている従業員の首を切るということを、市が制度執行の名のもとにやったということだが、どうお考えか。

(行政改革推進課長)
 指定管理者制度は公の施設の管理で、市民サービスの向上と経費の縮減を図ることを目的とした制度である。指定管理者の指定に当っては施設の性質上、専門的知識や豊富な経験を有する職員等によって、継続的安定的な行政サービスを提供することが必要な施設など、非公募とすべき理由があるものを除いて、公募により行っているものであって、今回そういった考えで公募を行ったものである。


(中森辰一議員)
 今日の議論の導入部分をやっているわけだが、少なくとも、いま働いている従業員の首を切ることが確実でないやり方、公募の条件に、人を機械に置き換えるやり方はしないことを入れるということをするべきではないのか。従来の指定管理者は人を抱えていることが分かっているわけだから、そういう条件を入れないと公平な入札にならないのではないか。

(行政改革推進課長)
 前回、路上駐車場については公募で行って数社程度の応募があった。その中で友人指揮の都市整備公社が勝っているということもあるので、今回、明らかに結果が見えていたということはないのではないかと思っている。今回は、都市整備公社の提案を上回る提案があってそちらに決まったということであると考えている。

(中森辰一議員)
 かなり数字(金額)の違いがある。倍ぐらい違う。これは一般的に言って機械の償却がどれくらいになるかは分かっていると思う。それと人を使うやり方とがいったい競争になるのかどうか、ということは最初から自明の理として明らかだったのではないかと思う。

(行政改革推進課長)
 繰り返しの答弁になるが、1回目は5社程度あったが都市整備公社がとっている。その当時から機械式の駐車場は非常にあったと思うので、必ずしも結論が見えていた競争ではなかったと思う。


(中森辰一議員)
 民間同士(の競争)でも、人を置いていたところから機械式のところに変わるわけだ。駐車場に関しては機械化が流れなのかもしれないが、そういうことを市としては見越しておくべきではなかったかと思う。現実に今回、明らかな形で機械でやる方が勝っているわけだ。そういうことは分かっていたことではないかと私は思う。
そういう点で市の行政として結局首を切るような制度になってしまっていると思う。これはどう考えてもおかしいと思う。この制度を公募でどうしてもやるのであれば、その人たち(首を切られた人たち)の後々の処遇をどうするのかということもきちんと準備をしてから(公募を)やるということをやるべきではなかったかと思う。それは考えなかったということだ。
 いずれにしても、この制度は、いま一番深刻な社会問題になっている雇用という点で、大きな矛盾をかかえているということだ。
 今回の指定管理者の変更により、そこの業務に従事していた大勢の外郭団体、公益法人の職員が仕事を失う。本会議の答弁によれば、正規職員が5人、非常勤職員が39人ということだった。
市の外郭団体は、市が市の政策を推進するためにつくった団体だ。これらの団体の運営に市は深く関与し、市が業務を委託し、市の業務を恒常的に受託する前提で、これらの団体が職員を確保し業務を担ってきた。
そういう中にあって、市の意志で指定管理者制度を導入し、市の意志で多くの施設の指定管理者を公募することにした。言わば市の政策で雇用され仕事をしてきた人達の人生を、市の政策で振り回している状況になっている。そういうことを踏まえると、そうした職員の行き場を必ず確保する責任が、指定管理者制度を導入しただけではなく、公募制を導入した広島市にあるはずだ。改めて確認する。

(企画総務局長)
 ただいまのご指摘であるが、指定管理者制度の目的は委員も重々ご承知のことだと思っているが、雇用の問題であるが、ご懸念の点は、指定管理者が公益法人であろうと民間事業者であろうと、公募により指定管理者を選定しようとする場合、制度そのものに内在する問題だと思う。
 それで、目的は市民サービスの向上と経費の縮減ということがある。したがって、その両方を目指していかねばならないが、経費の縮減という点ではサービスが維持向上されながら縮減を図るということが求められる。それで、平成18年度に指定管理者制度を導入した時に、都市整備公社において駐車場の管理が民間に変わったということがあったが、その時は公社の中での移動であるとか、他の公益法人等での移動であるとかということで、雇用は確保している。午前中、人事課長が答弁したように、このたびも精いっぱい雇用の確保については努力していくということであるので、ご懸念のことが基本的にはないように各施設の主管局が努力すると思うし、私ども企画総務局も必要に応じて調整を図りたいと思っている。


(中森辰一議員)
 4年前の時は、職員の職の確保についてあらゆる努力をして、それでも職場が確保できないときは解雇もやむなしという答弁をしておられた。
 その後、議会からの再度の追及もあって、この方針は基本的には変更された。その結果が、先日の本会議の答弁であったと思う。その点では、ここでは5人のプロパーの職員に関しては、市が責任をもって新たな職場を確保すると、改めて理解をするわけだが、問題は、39人の非常勤職員。本会議の答弁では、最大限の努力をしても新たな職場が確保できない場合は、雇用の更新ができなくてもやむを得ないということになっている。
 最大限の努力と言っているが、該当の職員は、安心して市に任せて年度末まで仕事にまい進していていいと受け止めていいのか、その点について再度確認する。

(企画総務局長)
 100%安心していいのかと言われると、それは100%安心できると言いかねるところがある。それは、本会議でも申し上げたが、雇用期間の制約ということがあるので、そういう制約のもとでということを考えなければならない。ただ、前回の時の非常勤職員の処遇であるが、この時もいろんな団体内での移動など、いろんな手立てをして雇用は基本的には確保されたと記憶しているので、このたびも、施設管理の主管局でまずは精いっぱい努力するということで、雇用の確保に努めるということであろうと思う。

(中森辰一議員)
 この39人はどういった年齢層か。

(人事課長)
 詳しい年齢分布は持ち合わせていないが、39人のうちOB職員が4名ということであるので、高齢者も含まれた構成になっていると思う。

(中森辰一議員)
 最近の有効求人倍率が、だいたい10月で県内で0.55だから、非正規を含めて、職を探しても2人に1人しか職に就けないという状況になっている。年齢によって違いはあると思うが、仕事が無いからやむなしと言われて解雇、雇用の更新をしないと言われても、簡単に新しい仕事が見つかる状況ではない。今は1年経っても仕事が見つからない人たちが沢山おられる。
 本会議の答弁では、できる限りの努力をしたいと述べられたが、保障をしたわけではない。今日の厳しい雇用情勢を考えると、市が公募したことによって、新たに職を失う人が出てくるとしたら、本当に罪つくりなことだと思う。
 私どもはこれまで、口をきわめて派遣切り、非正規切りを批判してきたが、これも同じことだと思うが、どうお考えか。
 今回の指定管理者の指定案件の中で17の案件で指定管理者が変わる。その中で、市の外郭団体以外でも5件の案件が民間企業同士で変わる。これらの変更でもそこで仕事を得ていた従業員が仕事を失うことになる。
 ここで仕事を失う従業員は何人か。

(行政改革推進課長)
 把握していない。

(中森辰一議員)
 そこまでは市も承知していないという状況だ。外郭団体と違ってこれらの従業員の職場の確保に市は責任を一切負わない。だからまともに失業者になる可能性が極めて高い。
この制度の最大の問題点として、公募の場合、4年ごと、これからは5年ごともあるが、指定管理者の更新のたびに職を失う人が出てくるということだ。これは、1年とか3年とかの期限を決めて外部委託をする場合も同じだが、そこの現場の労働者は、期限が来たら仕事がなくなる可能性を前提にするから、どうしても非正規で雇用せざるを得ない。労働者の立場で言えば、非正規だから首を切られやすい。
 外部委託の更新で、この間まで身近で働いておられて、日常の会話も交わしていた人たちの姿が見えなくなり、別な人たちに替っているのを見るとき、なかなか割り切れない気持ちになるが、本人たちのせいではないのに、簡単に職を奪われる社会でいいのかと思う。
 とりわけ公共サービスを提供する職場の場合、公共で働くという誇りを持って仕事に取り組んでもらう、また業務に精通し、サービスの質を高めようという向上心を持って働いてもらうためにも、正規雇用がふさわしいと思うが、どのようにお考えか。

(行政改革推進課長)
 本会議でも局長が答弁しているが、これは指定管理者制度に内在する問題であろうと受け止めている。ただ我々、指定管理者制度を運用する立場では、経費面、市民サービスの向上策等々で成果が出ているし、法の趣旨に合致した運用をしていくのが我々の立場であると思っている。それは、そこで働いている職員の努力に支えられていることが大きいところであって、いま指摘された問題点はあるが、その職員のモチベーションの維持をいかに図っていくかということに意を用いて、運用していくしかないと考えている。


(中森辰一議員)
 それはなかなか非正規では難しいのではないかと思う。本来、雇用は正社員、正規雇用が当たり前だと思う。いつのころからか、我が国で非正規雇用がどんどん増えてきたということだと思う。パートなどの非正規雇用は、働く側がどうしてもそういう働き方しかできない場合や、短期間の臨時的な仕事である場合に限られるべきだと思う。
そういった原則が浸透しているヨーロッパでは非正規雇用の比率は多くても1割程度でしかない。しかし、わが国では非正規雇用が3割を超えて増え続けている。これでは安定した社会とは言えない。将来への展望を持ちながら仕事の質を高めるために研鑽を積み重ねていけるような労働環境が、本来のあり方だ。
 非正規雇用が3割以上を占めるような状況が望ましい社会の在り方だと、広島市はお考えか。

(企画総務局長)
 非正規雇用の割合が、3割が適切なのかどうかについては、市としてどうこう申し上げる立場にはないと思う。雇用の安定と行政を執行していく上での経費の縮減、それは両方大事な問題だと、財政の健全化を進めていくという広島市の状況にある中で、人件費も含めできるだけ経費の縮減を図らなければならないということがありますので、かつ指定管理者制度の目的の一つは、先ほどから申し上げておりますように、経費の縮減ということがあるので、そういう諸々の状況をうまく調和させながら、取り組まざるを得ないと思っている。地方自治法が改正されて、従来の公の施設の管理委託方式から指定管理者制度の導入へのt法律が変わったわけだから、それは全国のどこの自治体も同じなので、そういう中で市民サービスの向上、経費の縮減という2つの目的を追っていくために、どうよりよい制度の運用を図るかということだと思う。


(中森辰一議員)
 私は、指定管理者制度そのものが間違っていると思うので議論もするわけだが、一つ確認するが、指定管理者制度は、公共サービスの水準を下げる趣旨で制度化されたわけではないはずだが、その通りか。

(企画総務局長)
その通りである。市民サービスの向上ということがひとつの目的である。

(中森辰一議員)
 少なくとも非公募でずっと継続することになっていれば違うと思うが、公募が前提だとなると、公共施設の職場はみんな非正規雇用ばかりということになるのではないか。本社を運営する、あるいは法人の管理の立場にある職員は別だろうが、実際に現場で働いている、そういう人たちはみんな非正規になりかねない制度だと思うが、どうお考えか。

(行政改革推進課長)
 地方自治法上の指定管理者制度の趣旨は、指定管理者の創意工夫により経費節減というのもあって、人件費について雇用形態の見直しということもひとつの手法であるということで、本市として雇用形態についての具体的な指示ということは、基本的にはできないと思っている。しかし、雇用形態の低下といったものが市民サービスの低下につながるということになってくれば話が別だと思うが、少なくとも、本市の指定管理者の現状は、外部評価等で毎年報告しているが、そういう中ではそういう実態は今は存在しないと考えている。

(中森辰一議員)
 公募でやっているところは、非正規(雇用)を前提にせざるを得ないと思う。いま、専門性の非常に高い職員を雇用しなければならないところは、市の考えで非公募にしている。そういうところは今後も非公募で行くことになるだろうという見通しがつけば、正規という形で雇用をしていく、非正規も組み合わせてということになると思うが、あくまでも4年ないしは5年に1回更新がある、しかも公募で行われる、必ずしも仕事が確保できるとは限らないとなれば、これはもう雇用主の都合から考えても非正規雇用とならざるを得ないと思う。
広島市の業務で外部委託が増えているのは、ひとえに経費削減のためだ。サービス向上も目的の一つだと言いながら、実態として、指定管理者制度の導入によって相当な経費削減を進めてきた。これは、歯止めをかけようとしている。
しかし、とりわけ公募制の導入によって、都市整備公社に端的に現れたように、現場労働者の賃金が劇的に減らされたところもある。まさに労働条件切り下げになっている。これは、現場の士気の低下を招き、延いてはサービスの水準低下につながっていくことになるのではないか。いかがか。

(企画総務局次長)
 先ほど行政改革推進課長が申したように、年に1度議会に業務実施報告書を提出させていただいている。その評価をみると、業務状況について評価が下がっている、市民サービスが低下しているという事実はない。いずれも市民の評価は高いものがある。市民サービスの向上についても前回もかなり提案があって、開館時間が延びたとか、開館日が増えたとか、いろいろと市民サービスの向上が図られている。
 今回も、いろんな提案が出ている。そういった意味で市民サービスの向上が図られている。

(中森辰一議員)
 仕事というのは、安定した身分が保障されて初めて、より向上心をもってより良い仕事をしよう、よりいい職場にしようということになるんだと思う。短い労働期間だということがわかっていて、安定した気持ちで仕事に励んでいくということにはなかなかならないと思う。
資料を見る限り、今回は全体としても経費削減効果は小さく、経費を増やしている案件もある。しかし、新たに職を失う人々をつくりだした。前回は外郭団体だけだったが、今回は民間企業でもそういう状況になった。
 指定管理者制度で公募を続ける限り、指定替えが行われるたびに、市民サービスを提供するところで、市の政策によって、新たな失業者を生み出すことになる。
 本会議で、(企画総務局長は)このことについて「公募により指定管理者を選定しようとする場合、制度そのものに内在する問題です。」と答弁しておられる。
 しかし、そのように言って、やむを得ないと言っていていいのかと思う。
 地方自治体という市民生活を守る任務を担っているはずの組織である。そこが、働く人たちには何の責任もないのに、突然仕事を奪うようなことを、制度としてやっている。そういうことを制度として続けていていいのか、と考える。
 私どもは、派遣切り、非正規切りを、先頭に立ってやってきた大企業に対して、安い賃金でこき使ってきた労働者を雇用し続ける力を十分持っているではないかと非難してきたが、広島市も、安い賃金で働いてきた人達を理不尽にも切り捨ててしまう点では、まったく同じではないかと思う。
  広島市が、そうした人たちをどうしても切り捨てなければならない財政的な理由があるか。ちゃんとした形で雇用し続けても財政的にも問題ない方法があるんではないかと思うが、いかがか。

(企画総務局次長)
 行政改革計画上、財政が厳しい状況の中で、とりわけ経費の縮減を図るというのは行政改革計画の柱になっている。ただ、指定管理者制度は単に経費の削減を図るということだけが目的ではなくて、重要なのは市民サービスの向上ということであるので、市民サービスの向上が図られているかどうか、ということで我々もチェックを厳しくさせていただいている。議会の方にも年に1度報告させていただいて様々な意見を受けている。
 また、今回指定管理の期間を4年から5年に延ばしているが、指定管理者にアンケートを行ったところ、4年より5年がいいと、5年が一番多かったということで、指定管理期間の延長についてもやっていると、さまざま努力はさせていただいているということである。


(中森辰一議員)
 例えば、アンケートをとって、10年がいいとなったら10年ということも考えるのか。

(企画総務局次長)
 4年ということは原則に持っている。長ければ長いほうがいいということもあるが、市会議員の任期が4年ということもあって、議会のチェックを定期的に受ける方がいいという考え方は持っている。また、昨年調査をしたところ、長い方は経済状況が厳しいのでリスクを抱えてしまうという問題もあるので、やはり一番多かったのが5年であった。そういう点で、民間企業が一番参入しやすい期間が5年であるということも考慮して5年にしたということである。

(中森辰一議員)
結局は4年が一番いいと。そうすると4年という短い期間で職が失われる、そういう制度であるということだ。公務職場で働く人たちの雇用期間が、市長や議員の任期の4年とは全く関係のない話だと思う。そういうことを理由にしてこういう制度がいいんだということにはならないと思う。
雇用されて働く、それは基本的にはずっと働けるということが前提であって当たり前だと思う。一生懸命に働いてきた人たちの職場を制度として奪うこの制度というのは本当にいかがなものかと思う。
 広島市は人道都市だと言っている。そういうことを一方で言いながら、何の責任もない人たちの首が切られる。そういう制度を、国が決めた制度だからとそのまま受け入れて、運営してきているのは問題があると思う。
私は、せめて公募をやめてすべて非公募にする、そのようにして現場の人たちの職場をきちんと確保しながら、サービスの質も高めていくという努力をするべきではないか。そういう中にあって初めて、コストをどうやって削減しようかということも、現場から取り組まれてくるのではないかと思う。いかがか。

(行政改革推進課長)
 何度も申し上げるが、指定管理者制度は、公の施設の管理についてサービスの向上と経費の縮減を目的としたものである。その指定管理者の選定にあたっては、施設の性質上、専門的ない知識や豊富な経験によって継続的、安定的な行政サービスを提供することが必要な施設など、非公募とすべき理由があるものを除いて公募によって行っているものである。
 そもそもの、指定管理者制度の目的に照らして、すべての施設を非公募とすることはできないと考えている。

(中森辰一議員)
 働く人たちをどう見ているかということが、広島市の行政に問われていると思う。午前中(の質疑で)デフレに突き進んでいく競争をしているといったことも言ったが、行政がみずから働くルールをどんどん壊していく側に加担をするべきではない、この社会を一層不安な社会に追い込んでいくようなあり方に加担をするべきではない、そうならないために、どう知恵を絞っていくかという立場で、頑張って取り組んでいくべきではないかと思う。
改めて、原則非公募でやっていくべきだ、そういうふうに改めていただきたい、ということを強調しておく。

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