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2009年11月4日 分科会・文教関係 藤井とし子議員 |
食育の推進について 定時制高校について |
食育の推進について (藤井とし子議員) 新政権になって厚生労働省が、10月20日に相対的貧困率を初めて公表するというニュースがありましたけれど、いま日本はこの貧困率では15.7%と先進国では最低水準、17歳以下の子供の貧困率が14.2%と、7人に1人が貧困世帯に暮らしているということが分かりました。このような状況の中に子どもたちがいるということをしっかり踏まえて教育行政もするべきだと思っています。 まず、食育の推進についてですが、本当に豊かな学校給食は体だけでなく豊かな心をはぐくむということで、私たちの会派は学校給食の充実と栄養士等の全校配置をこの間訴えてきたところなのですが、特に、20年度の「食育推進モデル事業」取り組みの内容とその成果を伺います。 (食育担当課長) 本市の中学校給食の提供方式は自校調理、センター調理、民間調理委託の3通りで実施しておりまして、給食方式の違いによる食に関する指導の実践が必要であることから、各方式ごとに2地域、合計6中学校区で食育推進モデルを実施しました。 取り組みの内容ですが、小中学校の9年間を見通した食に関する指導の充実、学校給食指導の方法や体制の検討、地場産物の活用の促進、家庭、地域への効果的な普及啓発の3つをテーマとして取り組みました。 具体的にはモデル地域内の中学校において公開授業を行い、小中学校の9年間を見通した食に関する指導の目標、内容について協議したり、食育推進研究発表会を開催し、モデル地域の取り組みを全校に配布しました。食に関する指導にあたっては食に関する指導の手引を作成し全校に配布しました。 またモデル地域での事例を掲載した「食育だより」を3回全過程に配布するとともに、公共を活用した親子の料理教室、地域の協力を得ながら食育教室を実施しました。成果としましては栄養教諭、学校栄養職員の未配置校における食育の重要、充実を図ることができました。家庭地域への効果的な普及啓発を行うことができました。地域生産者の協力を得て、教職員を対象とした体験会を実施し、児童生徒の学習指導に生かすことができたり、地場産物を取り入れた学校給食を実施することができました。こういったことなどがあげられます。 (藤井とし子議員) さまざまな成果をいま報告していただきました。地域を変えたりいろんな点でもこの食育推進というのは本当に重要な取り組みだなと思います。まず二つお聞きします。 一つは地産地消を給食に取り入れるといっていますが、安全な給食は保護者が大変願うことなのですが、輸入食品の問題などもこの間マスコミなどでも取り上げられているのですが、食育も進めながら、給食の食材をどうするのかというのも大きな課題だと思うのです。 それで、地場産物の活用ですが、国は食育推進基本計画の基本方針で2010年までに、学校給食における地場産物の使用する割合を30%以上にすることを数値目標に上げていますが、20年度は地場産物の活用はどの程度進んだのか教えてください。 (食育担当課長) 20年度の地場産物の活用でございますが、学校給食に地場産物を使用する割合につきましての目標を20%に設定しておりましたが、23.9%となっておりまして目標を達成しております。今年度は目標を25%に設定し、平成22年度までの30%以上にする目標に向かいまして一層の活用を図っていきたいと考えております。 (藤井とし子議員) 国は2010年までに出来るだけ30%以上にといっておりますけれど、市はまだまだというところではないかと思います。今年は25%めざし、また30%を目指すという計画ですので、ぜひこれは引き上げていってもらいたいと思います。 そこで、事前に頂いた食材調達調べを見て私も驚いたのですが、いろいろな冷凍食品、輸入食品が42項目あるのですが、その中でも原産地がわからないというのが15項目あって大変驚いたのですが、中国産、アメリカ産というのもかなりあります。それと、これも驚くのですが、さやいんげん、さやえんどう、ブロッコリーも中国産を使っていることや、がんもどきや白玉もちなどもどこの原料産地が分らないということです。 こういう状況なのですが、このようなものを出来るだけ減らすためにも、地場産野菜の活用をしっかり広げていっていただきたいと思うのですが、そのためにグループ献立とか、独自の献立の状況もやっておられると思うのですが、どういう状況なのか、また課題があるとすればどういうことかを教えて下さい。 (食育担当課長) グループ献立、独自献立の実施状況でございますが、平成20年度は独自献立を11校で18回、グループ献立を9校で4回実施しております。課題としましては通常の共同献立・食材の一括購入とは別枠で、献立を作成したり、物資を調達しなくてはならないために通常よりも事務処理等に多くの時間を有することがあげられます。今後はグループ献立、独自献立を実施するためのノウハウを周知する方法が必要であり、研修会を予定しております。 (藤井とし子議員) 今まで学校給食会で一括購入という形があったので、なかなか地場産物が使えないということもあったし、費用もかかるとかで、地場産野菜の利用が進まないということもありましたが、ぜひ色々と工夫をして頂いて、グループ献立、独自献立の方に進んで頂きたいと思います。 それで給食について、ちょうど中国新聞に2つほど記事がありました。これは地産地消に給食を改造するということで、今年の7月21日の中国新聞記事で、福山市の取り組みが紹介されていました。「福山市教育委員会は小学校の給食献立を、今まで一括購入していたのを、地域ごとに対応できるようシステム改造に乗り出す。給食管理システムを改良して、数量が限られた特産品を地域限定にして学校給食に取り入れられるようにした。学校保健課も地元産品の使用を拡大することで、農家は販路を確保でき、耕作放棄地の減少など役立つ」ということでこれを取り組んだとあります。同じく、中国新聞の9月17日、府中市の取り組みの記事では、ごらんになった方もあると思いますが「給食に地元米を直接購入。この秋から市内13小中学校の給食に新米のコシヒカリを試食供給する。市教委と連携して地産地消や食育を推進し、来年から本格供給を目指す。直接購入することで顔の見える関係を築く狙い」とあります。 安全性で不安の多い輸入野菜は出来るだけ減らしていただきたい。地場産物を増やしていくことは食の安全からも保護者の願いです。教育委員会、農業振興課共に連携して一層の拡大を要望しておきます。 二つ目に、先ほども課題となっておりました、仕事の量が増えるなどで大変だと思いますが、そういった点でも学校栄養士の役割は重要だと思います。これも2006年3月31日に食育を推進する指導体制を整備するという点で、政府の食育推進会議において、決定された食育推進基本計画では、全都道府県における栄養教諭の早期の配置を求めています。栄養教諭の方がなかなか進んでいないという状況があるのですが、20年度の小中学校の栄養士の配置状況はどのようになっているのか教えてください。 (調整担当課長) 小中学校等の学校栄養職員および栄養教諭は、公立義務教育小学校等の学級編成および教職員数の標準に関する法律に基づきまして、県からの配当支持を受けまして75人を配置しております。75人の配置内訳ですが、小学校に61人、中学校に3人、特別支援学校に1人、それから給食センターに10人となっております。 自校調理校でみますと小学校が114校、中学校が7校、計121校あります。その121校に対しまして64人配置いたしております。自校調理校におけるは57校でございます。 (藤井とし子議員) 栄養士の未配置校は57校ということですが、食育を推進する上でも、豊かな学校給食を実践する上でも、栄養士さんがしっかり仕事をしていくためには色々あると思うが、学校栄養職員等担当制が今年度から施行されていると聞いているが、施行される上で、20年度の取り組みの中でどういったことが背景にあったのかを伺います。 (健康教育課長) 昨年度実施いたしました食育推進モデル事業では、先程食育担当課長からご答弁させていただきました取り組みを行っておりまして、これらを通して学校栄養職員等による未配置校等への助言、食に関する指導資料の提供およびティームティーチングによる効果的な指導など、食育を推進する上で効果があったものと考えております。 この成果を踏まえまして、今年の4月から学校栄養職員等未配置校、57校ございますが、こちらにおいて食に関する指導の充実や、食物アレルギーへの対応を促進するため、学校栄養職員が勤務校以外の学校を担当し、食に関する指導を行う学校担当制を施行、実施しているところでございます。 (藤井とし子議員) 未配置校がある中で、なんとか一人の栄養士さんが他の学校の栄養士の仕事もすると、そういうことを担当制で進めてこられたということですが、実際にセンター給食やデリバリー給食、自校調理給食等、今様々な形で学校給食が行われているわけですが、アレルギー対応とかそういった点でも、きめの細かい指導や対応が必要だと思いますが、それらが複数担当制で出来るのかどうか私は疑問に思います。できればすべての子どもたちがしっかりとした食育を、同じように受けられることが公教育としても求められていることだと思います。 そういう点で栄養士さんがどういった働き方をされているのか、以前にも中原議員が質問したと思いますが、持ち帰り仕事も多く、指導書があるわけでもないので、その場その場で自分たちが教材を作って教えなければならない。自分の学校の子どもたちならわかるのだけれども、複数担当となってよく知らない子ども達の指導をしなければならない。今までの仕事を減らすか、栄養士に過重な負担をさせるかしかない。これは、私は大変疑問に思いますが、いま市費で栄養士を配置している自治体は、政令市ではどこがあるのか教えてください。 (調整担当課長) 政令指定都市18市ございますが、そのうち札幌市、仙台市、さいたま市、千葉市、岡山市の5市が、自校調理校全校に学校栄養職員等を配置するため市費で学校栄養職員を加配していると聞いております。 (藤井とし子議員) すでに5市が、やっぱり食育は大事だということで、市費で持ち出してでも全校配置をやっているということですが、ぜひ広島市もこういった今までの食育の成果を踏まえて検討していただきたいと思います。独自献立等を今後、拡大していくことになれば、仕事量も今以上に増えていくとおもいます。学校給食の意義からも、国や県に対して、栄養士の全校配置を求めるべきだと思うがどうでしょうか。 (健康教育課長) 小中学校等の学校栄養職員・学校栄養教諭につきましては、先程、調整担当課長からも答弁させて頂きましたように、県からの配当を受けて配置をいたしている状況でございます。そのため本市教育委員会としましては、本年7月、指定都市教育委員・教育長協議会の方から国に対し、学校栄養教諭・学校栄養職員等の適正配置に向け、より一層の定数の改善を図るようを要望したところでございます。今後とも引き続き国や県に働きかけを行ってまいりたいと思っております。 (藤井とし子議員) この複数校担当制をしっかり検証して頂いて、国や県に対してもですが、全校配置にむけて努力をして頂きたいということを要望しておきます。 上にもどる 定時制高校について (藤井としこ議員) 高校生の修学保障は自立のために大変重要だと思います。そこで定時制高校について伺います。定時制高校は、いま実際には働きながら学ぶ子どもと同時に、不登校の子どもたちや高校を中退した生徒の学び直しの場としても大変大きな役割を持っていると思うのですが、いま広島市の大手町商業と市工2校の定時制高校の入学申し込み者数と入学者数の過去5年間の推移を教えてください。 (指導第2課長) 両校の入学定員は、大手町商業が1学科1学級40人、広島市工業が2学科2学級80人となっております。これらの入学定員に対しまして、大手町商業は、毎年志願者が50人前後入学しています。両校とも年度によって違いがあるものの、ほぼ横ばいで推移をしております。 (藤井とし子議員) 資料を見ましたところ、21年度の志願者数が大手町商業では定数2倍の78人が申し込みそのうち71人が受験し40人が合格をしている。一方、広島市工業では105人が申し込み、そのうち95人が受験し、60人が合格している。いわゆるこの中で気になるのは定員内不合格が20人出ているということです。こういった傾向が何年か続いているということで、私が一番心配するのは定時制高校に行って学びたいという子どもたちの願いが叶わないということなのです。そういう子どもたちがどこへ行くのかというということを心配するわけです。 このように定時制高校への入学希望が高いのに入れないという状況は改善をして頂きたいと思います。定数内不合格は県全体の傾向にあるわけですが、広島県は公立高校の募集停止をどんどんかけてきていると聞いていますし、その中で市の定時制高校への希望は増えていくと思うのですが、10月31日の朝日新聞に、福山市立女子短大非常勤師の渕上和俊さんが『困難な子を切らないで』という記事を載せています。 紹介しますと「広島県の高校進学率が下がり(定員内不合格)、行き場のない子どもが増えているのも問題です。定時制でも定員内不合格を出している。このご時勢、中卒で就職口がありますか。 学力が水準に達していないというが、生きる力がついていない、学力が劣っているからこそ、教育されんといかんでしょう。ほとんどの子は高校に行きたいですよ。中学校でなんぼ荒れとった子でも、3年になると高校に行きたいというんです。(生活態度が悪いのも不合格にする理由の一つですが)子どもの生活態度はその子が置かれている状況で変わります。成績が悪く、問題行動を起こす子どもというのは、経済的に困難な場合が多いのです。そういった子どもをこそ積極的に受け入れてほしい。公教育はすべての子どもの幸せためにあるべきものです」と書いています。私は全くその通りだと思うのです。 自ら発達障害で二人の子どもも同じ発達障害と診断され、育てているお母さんの話を聞きました。発達障害のためこどもが発達支援学級にも通級学級にもなじめず、不登校になりそうな子どもを何とかしたいと様々な努力をされています。このような子どもたちの学ぶ場が保障されずにいるということがあります。 もちろん、定時制高校の申し込みの時点で学力がついていないから切っていくというやり方ではなく、高校に入る前の小学校、中学校の時から不登校児に対する細かい教育指導が保障されるのが一番の前提ですが、不登校経験者がしっかり学びなおしができる場を定時制、全日制も含めてですがしっかりと保障していただきたいと思います。 定時制高校に行く理由については、公立を落ちて、私立は学費が高くては入れない生徒が定時制を選ぶというケースもあり、経済的に困難な家庭も多いと聞きます。定時制高校への修学支援はどのようなものがあるのか。この間の実績についてお聞きします。 (指導第2課長) 教科書代と夜食費について支援を行っております。まず教科書代につきましては定職についているもの、1年間におおむね90日以上就労しているものなどを対象に一定の所得以下の者に対して、教科書代金相当額を支給する制度です。実績ですが3年間で市立広島工業高校と大手町商業高校2校あわせて平成18年度は265名全生徒の90%、19年度は197名64%、給付しております。(20年度は聞き取れず) (健康教育課長) 夜食費につきましては先ほどの教科書代の給付事業と同じ対象者に対しまして、所得制限を設けずに夜食費、これはパン、牛乳、米飯ですがこれを無償とする制度でございます。過去3年間の実績ですが2校合計で、平成18年度は197名で67%、19年度は207名で67%、平成20年度は126名で41%の生徒に対して無償で提供しているところでございます。 (藤井とし子議員) 教科書代と夜食費が支給されていることで、これは定時制に通う生徒にとってはとても助かるのではないかと思います。給食代、教科書代の補助をやめたという県もたくさんあると聞いておりますので、これは引き続き続けていただきたいと思います。また利用できる奨学金制度がどのようなものがあるのか、内容と実績について教えてください。 (学事課長) 定時制高校の生徒が利用できる奨学金制度は、代表的なものが3つありまして、財団法人広島市教育振興会奨学金、広島県高等学校等奨学金、広島県高等学校定時制課程および通信制課程就学奨励金などがあります。この制度の内容と実績でございますが、財団法就人広島市教育振興会奨学金は、広島市内の定時制高校の生徒で勤労しているものを対象にしまして月額5,000円の給付型奨学金です。実績につきましては、2校合わせまして18年度16名、19年度16名、20年度15名です。 広島県高等学校等奨学金は、全日制を含めて全高校生等対象にしまして月額1,8000円の無利子型貸付型奨学金です。同じく実績では、18年度2名、19年3名、20年度3名、広島県高等学校定時制課程および通信制課程修学奨励金は、定時制と通信制の生徒で勤労をしているものを対象とした月額14,000円の無利子型貸付奨学金です。 実績では18年度5名、19年度6名、20年度5名となっております。 (藤井とし子議員) さまざまな奨学金制度がある中で、給付型も月5,000円あるということで、働く子どもを含めて定時制高校にいく子供たちにしっかり支援はしていただきたいのですが、一方で全日制も含めて、就学援助を受けているような生活保護以外の准要保護者、准要保護児童に対しても修学支援が必要だとおもいます。国が高校授業料無償化をほぼ決めているということもありますが、さらに市としても独自にしっかりと支えていくという立場をお願いしたいと思います。 奨学金給付制度の考え方は、教育は個人のためではなく、将来、社会に貢献する、国のために働くという点で、国がしっかりと支えるということはとても重要だと思うのですが、今後、市としても独自に教育費の無償化などを進めていってほしいと思いますがどういった支援策を考えているのかお答えください。 (学事課長) 委員ご指摘のように、政府は公立高校の授業料を実質無償化するなど家庭の事情にかかわらず、すべて高校生が安心して勉学に打ち込める社会をつくるという方針を打ち出しております。 また文部科学省は、年収350万以下の世帯の高等学校等の生徒につきまして入学料と教科書費を支給する修学支援策について平成22年度予算につきまして概算要求をしております。本市といたしましても、このような国の動向を注視しながら、何ができるか検討していただけたらと思っております。 (藤井とし子議員) ぜひ国の施策が足らなければ、さられに上乗せをするということを要望しておきます。 最後ですが、先ほどの定時制高校についてですが、今後広島市においては、平成15年3月の広島市立定時制高等学校将来構想検討委員会において、大手町商業と広島工業定時制の2校を統合した、新しいタイプの高校の設置について提言されており、現在この提言を元に検討が進んでいると聞いているが、先ほど申し上げた言下の状況を踏まえ、定員については、多様な子どもを積極的に受け入れ、少なくとも現在の3学級分以上の確保を要望して質問を終わります。 上にもどる |
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