トップ議会情報・議員の発言2008年第 3回 9月定例会 議員の発言 > 厚生委員会


2008年9月24日 厚生委員会 中森辰一議員の質問(大要)

請願審査 国民健康保険料について
請願審査 「黒い雨問題」被害者支援について
請願審査 後期高齢者医療制度
保育所民営化
  「質の高い保育」を行うため職員の処遇向上を
  保育に関する国の動向と広島市の姿勢について
生活福祉資金貸付制度
母子寡婦福祉資金貸付制度
墓地開発について

請願審査 国民健康保険料について

 国民健康保険については、保険料引き下げに関して、先ほど後期高齢者医療制度の説明もあったが、今朝の「朝ズバ」の中ではこれ(後期高齢者医療制度)に伴い健保組合の負担が非常に増えて大変な状況にあるとあった。その一方で国民健康保険の負担は軽減されているといわれている。多くの方もそういう認識ではないかと思うが、この点当局としてどのような見解をお持ちか。

(保険年金課長)
 今朝の朝ズバは見ていないが、国民健康保険料については、確かに冒頭で局長がご説明したように、国、県の支出金、市からの繰入金、そして残った部分を保険料でご負担いただく制度の仕組みになっている。
 市が今言えることは、18年度も19年度も広島市の被保険者1人当たりの保険料は17政令市中、北九州市に次いで2番目に安い水準になっている。

 それでも高いと思うから「値下げをしてほしい」という請願が出ている。これはまた別の機会に議論をしたい。
 この間特に、低所得者に対する保険料の減免は、生活保護基準との関わりで整合性がないことを指摘してきた。減免の決定は所得も勘案しながら行ってきたことから考えても、低所得で生活保護基準より収入が低く資産もない人たちに対して保険料を軽くする措置がないと、払いたくても払えないという状況はなかなか改善できない。その点を指摘しておく。

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請願審査 「黒い雨問題」被害者支援について

 今回、議員が変わったので改めて述べておく。
 原爆被害の実相を明らかにすることが、核兵器廃絶のため重要である。これは市長も述べてこられたし、私どもも繰り返し指摘をしてきた。その中で、広島市として平成14年に市民の1万人アンケートを実施され、その結果をもって国に対し黒い雨地域の拡大を要請したが、国からは「科学的な根拠足りえない」と切り捨てられている。
 そして今年7月調査対象を広げて再度調査を実施されたが、この調査は心の傷に特化した「被爆体験の精神的影響調査」になっており、それは8月6日の市長の平和宣言の中でもあえて述べられている。

 一瞬で人間と街を破壊した核兵器の被害を受けたときに「精神的影響が無い」ということはない。しかし今回の調査結果で求めるのは長崎で行われた第2種の被害地域の指定で、これでは精神的影響の健康診断と疾病保障しかされない。
 今被爆者が1番望んでいる、身体的問題で苦しんでいることへの手当ては一切されない。被爆者の方、黒い雨地域の方々が望んでいるものとかけ離れたことになる。

 実際に長崎では、この第2種の地域指定を受けて手帳を取得した方々が精神的被害だけに限定した扱いを受け、身体的疾患で適用を受けようとしても一切受け付けられない。それを分かっていながら再度、あえて精神的影響調査を行い第2種指定地域を目指すことの、広島市の意図を伺う。

(原対部調査課長)
 原爆体験による精神的影響を科学的に検証することを主な目的に行っているが、その中でやはり身体の健康度等についても面談調査で伺うよう考えている。しかしこの調査では、第1種健康診断特例区域の指定に向けての、黒い雨降雨地域未指定地域における残留放射線の影響等を科学的に立証することは非常に難しい状況にあると認識している。
 しかし、一方で黒い雨体験者の高齢化も進んでおり、多くの方が黒い雨体験による健康不安を抱えておられ、実態に即した対応を早急に行う必要があることも強く認識している。

 原爆体験による精神的影響による第2種の健康診断特例区域が指定された場合、少なくとも年1回の健康診断を受けられるようになり、健康不安解消に寄与すると考えられる。
 まずは黒い雨降雨未指定地域について、長崎と同様の第2種健康診断特例区域の指定を目指すことも重要と考えている。また黒い雨専門家会議でも「研究方法の改良で黒い雨降雨地域の残留放射線による人体影響の実態解明に今後も努力する必要がある」と結論を出されており、今年度黒い雨等放射性降下物に関する新たな知見の情報収集を行っている。
 今回の調査結果の活用も含め、引き続き第1種健康診断特例区域の指定に向けた取り組みを続けていく。

 今回の調査は協力状況7割以上というこで、また改めて結果を伺いたい。
 市がせっかく1万人調査を行い長崎の例に倣って一旦は「地域指定を」と言ったが、国は「科学的根拠にならない」とはねつけている。しかしこの問題は本来国が責任を持って調査すべきで、せっかく自治体が行った調査を「科学的でない」などと言って終わらせることは極めて無責任な話だ。
 多少に拘わらず黒い雨には放射性物質が含まれている。それが体内に入ったり、身体に付着して相当な影響を与えるということは、最近の原爆症裁判の中でも随分明らかにされている。このことではないが原爆症の認定裁判では国が11連敗もしている。この間放射線被害については、国側の外部被爆のみにこだわった認識は通用しなくなっている。
 内部被爆や残留放射線による被爆の影響、黒い雨地域の被害について、国が自ら調査し責任を持って被害の保障に取り組むべきだ。市としてももっと強く要望する必要があると思うがどうか。
 
(原対部調査課長)
 今年度から実施している原爆被爆実態調査研究の中で、放射性降下物等に関する新たな知見に関して情報収集を行っているところである。この情報収集自体が非常に困難を伴い難しい部分が沢山あるが、今後有効な調査方法が見いだせる可能性が生じた場合には、国に対しても調査の実施等を求めていきたい。

 市長が放射線影響研究所に対し、内部被曝の影響について今後の調査項目の1つのテーマにするよう申し入れをされたとのことだが、どうなっているのか。

(原対部調査課長)
 昨年5月に開催された「放射線影響研究所の将来構想に関する上級委員会」の中で、新たに低線量被爆及び、内部被爆に関する調査研究に積極的に取り組んでいただくよう、市から要請している。
 今年6月上級委員会から日米両政府に最終報告書が提出され、その中で放射線影響研究所の今後の在り方として、「放射線影響研究の卓越した研究拠点となることが適切」という方向性が示されている。放射線影響研究所としては、これを受け今後2年間で将来構想を取りまとめる予定。
 市としても、内部被爆等に関する調査研究に新たに取り組んでいただくよう引き続き働きかけていくとともに、関係機関等から情報収集を行っていきたい。

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請願審査 後期高齢者医療制度

 先日、厚生労働大臣が「この制度はさまざまな問題があり国民の理解が得られず、廃止する」ということを述べた。私は、この請願が指摘している問題を基本的に国が認めたということだと認識している。
 しかしながら、見直すとはいっても廃止まではこの制度は続く。特にこの4月、この制度になって保険料のあり方が変わって、負担が大幅に増えた方々がおられる。本会議の答弁の中で国の措置で3分の2の方が当面は負担が減ったと述べられた。つまり3分の1は負担が増えた。低所得者の3万5000人のうち3万人強は負担が減ったが、5000人弱は増えたということだ。
 低所得層の中で負担が増えるのは、制度として問題がある。当局の認識はどうか。

(保険年金課長)
 本会議の局長答弁通り全体の3分の1で保険料負担が増加しているが、3分の2で減少している。特に所得の低い世帯、具体的には総所得金額100万円未満、これは年金収入でいうと220万円になる。その約9割の世帯は保険料負担が減少している。
 そしてこうした制度の検証や財政措置の拡充など必要な対策については、本来この制度の設計をおこなった国の責任において講じられるべきものであると考えている。そうしたことから他の政令市(17)においても、現時点で特段の対策を講じる予定はないと聞いている。

 今言われたように厚労大臣が「制度の抜本的な見直し」に言及する状況で、制度そのものの先行きが不透明。市が実施する施策については、こういった様々な状況を総合的に勘案して決定する必要がある。

 私は「こういう低所得層でも負担が増えるようなことについて、行政当局として問題があると思いませんか」と伺っている。

(保険年金課長)
 確かに、100万円未満の低所得者の1割の方が増えている事実はある。こうした制度に関しては、市にも様々な市民の声というか、市民の皆さんから苦情に近いものが多く寄せられている。
 市としてはこうした市民の皆さんの声に素直に耳を傾けて、市民の立場に立って制度に反映させるよう国に求めていくことが、市の責務だと考えている。

 国に求めていいただきたいが、差し当たり収入が変わらないのに制度変更によって1.5倍、2倍、それ以上大幅に世帯の保険料が増えたというところがあり、この制度の欠陥の原因がどこにあるにせよ、極端な増え方をしたところだけでも是正する必要が当局にある。この点はどうか。

(保険年金課長)
 確かにおっしゃるように1.5倍、2倍、それ以上に増えている方もおられる。ただ市として施策を講じる場合は総合的にものを考えます。
 3分の1(の方が)負担が増えているが、3分の2(の方)は負担が減少している。所得の低い方の9割の世帯では負担が減少している。様々な状況があり、総合的に取り入れてその中で市が実施すべき施策については、徹底する必要がある。

 市民を一緒くたにして、平均でものを考えないでいただきたい。
 市民1人ひとりの暮らしの状況を見て、必要があればそれに対策をとることが、1番身近な行政として市がとるべき立場だ。
 私が知っている世帯は、子どもが障害を持つ老夫婦の保険料が2.1倍になった。以前は3人一緒に国民健康保険の保険料を払っていた。ところが今回は3人ばらばらな保険料を払うようになって総額で2.1倍になった。
 市としては6万6000人の全ての保険料の変化を調べたということだから、個々にそうした大幅な負担増の事例は分かっていると思うので、そういうことをちゃんと見て必要な施策をとるべきだと思う。
 いずれにしても3つの請願について、十分な審議をお願いしたい。

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保育所民営化
「質の高い保育」を行うため職員の処遇向上を

 まず、一般質問の答弁について聞いておく。
 市長が答弁の中で改めて「最も重要なことは公私にかかわらず、市内の全ての保育園で質の高い保育を子どもたちに提供できる体制を整備することであり、そのために必要な予算は責任を持って確保していきたい」と述べられた。このことは大変良かったと思っている。
 その上で伺うが、今日の答弁の中で「保育所保育指針に定められた保育を行うための経費や、保育士の専門性を高めるための研修への参加などの経費として、国の基準による運営費を支出するとともに、本市単独に助成を行っています」とあるが、その「本市単独で助成をおこなっています」の意味するところは、いま出された2つにかかっていると考えてよいか。

(子ども未来企画課長)
 質の高い保育を提供するためにというものと理解して答弁した。

 保育所保育指針の定める保育をおこなうための経費、保育士の専門性を高めるための研修への参加などの経費として、市単独で助成を行っていると理解してよいか。

(子ども未来企画課長)
 保育所保育指針に定められた保育とは、いわゆる最低基準に基づき、保育園で適切な運用をするための保育ということ。また、専門性を高めるための研修に要する経費。

 どの程度か問題だが、市長は少なくとも私立保育園でも研修の充実が行えるような環境整備が必要と答弁をしておられる。今以上に質の高い保育をするために、いろんな研修などをどんどん私立でもやっていただくようにしていく必要がある。その環境整備をしていく必要があると言っておられる。その点では今市単独で行っている助成はもっと増やす必要があると思うが、どのように考えるか。

(保育課長)
 私立保育園では、質の高い人材の安定的確保が課題となっている。今後、職員の処遇向上のための助成制度等の拡充を検討する必要があると認識している。

 処遇向上はあとでお聞きするが、今聞いたのは環境整備として市長も研修と述べておられる。それを私立でもっともっとやっていこうと思えば、やはり市として今の助成に対する上乗せが必要ではないかと伺っている。

(保育課長)
 研修についても、助成の上乗せも含めて検討する必要がある。

 そこで先ほど言われた、職員の処遇向上のための助成制度拡充の検討を再び一般質問の答弁でも述べておられるが、どういう状況か。以前に委員会質問の中で1つの最低限の水準として、以前の職務奨励費以上のものが必要ではないかと言っているが、それとの関わりで検討の現状はどうなっているのか。

(保育課長)
 本年8月に私立保育園の協力を得て、私立保育園運営等実態調査を行った。その結果を踏まえ効果的支援策を検討している。

 どの程度やるかまだこれからのようだが、ぜひ積極的な検討をお願いしたい。
 最近、私立保育園の方に聞くと、「発達障害についていろいろ研修を受けて、保育士の子どもを見る目がだんだんと養われてきている。その中で、まだ障害があると認定されていない子どもも含め、何らかの障害を持っているであろうと思われる子どもたちが全園児の約3割を占めるようになってきた」「その子どもたちに適切な保育をするのは、今の人員では非常に大変。人員体制を手厚くしていくことが必要だ」と言っておられた。この問題を市の保育行政としてどう考えているか。

(保育課長)
 障害者手帳あるいは療育手帳所持者、あるいは手帳は所持していないが障害児保育指導専門委員会で認定された児童については、臨時保育士を加配している。発達障害児と思われるような気になる子が最近増えている状況は認識している。
 発達障害児への対応は、広島市発達障害者支援体制整備検討委員会の平成18年度の提言を踏まえ、早期発見、支援を行うため保育士を対象とした障害児保育研修を実施するとともに、発達コーディネーターの育成、配置をしている。
 保育園で発達障害と思われるような気になる子への対応は、なお課題があると認識している。

 加配の条件は。

(保育課長)
 身体障害者手帳を持っている方、療育手帳を持っている方、あるいはこの手帳は所持していないが専門委員会で認定された児童について臨時保育士を4時間あるいは8時間加配する。
 平成19年度の実績は公立保育園で236人、私立保育園で79人、合計315人の臨時保育士を加配している。

 4時間と8時間と言われたのは、重度であれば8時間、そうでなければ4時間かと思うが、この考え方も4時間の場合本当にそれでいいんだろうかと思う。
 子どもは午前中だけでなく1日いる。その子どもには1日対応するので、障害の重さによる対応の違いはあっても、4時間でいいとはならないんじゃないか。やはり8時間措置して加配をすべきだと思うがどうか。

(保育園運営指導担当課長)
 障害児保育については中程度の障害をお持ちの方を統合保育するというふうな考えでいるので、4時間で十分かどうかはいろいろな考えがあると思うが、現在は4時間で対応している。

 十分かどうかというところを、お考えを聞きたい。

(保育園運営指導担当課長)
 障害児といっても程度は様々で、基本的には4時間で対応できている。園内の人員配置の工夫などでいろいろ対応が必要な場合には、必要な対応をしている。

 また実態を勉強して、この問題については議論したい。

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保育に関する国の動向と広島市の姿勢について

 次に、これも本会議で聞いたが、国の動向について局長にお答えいただいたが、国の社会保障審議会・少子化対策特別会が5月20日に出した「次世代育成支援のための新たな制度体系の設計に向けた基本的考え方」の中の、保育に関する考え方についてどう思うかということも含めて聞いたつもりだったが、答弁がなかった。この点を改めて聞く。

(保育課長)
 直接契約など保育サービスの提供の仕組みだけではなく、次世代育成支援のための制度体系という大きな視点でまとめられたものである。この基本的考え方が、保育園を利用する保護者にとって現状よりさらに良い制度につながっていくことを期待している。

 期待してもそうならなければ非常に困ったことになる。
 どうしてそういう考え方ができたのか背景も含めて、そして誰がこういうことを言っているのかもちゃんと見ないと、これから先保育制度がどう変わっていくのか。広島市が質の高い保育という議論を今しているが、この議論が結局はどんな形で国の施策の変更によって影響を受けるのか、考える必要がある。

 経済財政諮問会議、大企業の代表の方たちが国全体の経済、社会の構造をどう変えていくかという議論の中の要求から出てきている問題だから、どういう方向に向かっていくのかということを、今の介護保険制度や障害者自立支援法で問題になっているところと比べ、つき合わせながらこれからどうなっていくかを考える必要がある。

 答弁の中で、国に出した意見書の中で「児童福祉施設の最低基準について、基本的な事項に限定し、その他の事項については各都市の実情に応じた決定を可能にすべき」こういう意見を出したと述べておられる。
 そうすると広島市としては、現行の最低基準の設定は問題があるとのお考えか。

(子ども未来企画課長)
 この国に対する意見は、現行の最低基準に問題があるというよりは、自治体の判断によってナショナルミニマム的なものは除いて、それ以外のものについては自治体の判断によって定められるべきものではないかという趣旨。

 今以上に水準を下げてはならない、そういう考え方なのだと受け止めてよいか。

(子ども未来企画課長)
 現行の最低基準に規定しているものは、現行の保育水準にとって必要なものだと認識している。

 この問題は改めて聞きたいと思うが、そこで確認しておきたい。
 今、広島市も全国の自治体も児童福祉法による保育の仕組みの中で保育行政を行っている。広島市では質の高い保育に取り組んでいくんだと言っておられるが、現行の保育の仕組みは基本的に維持していくべきものとお考えか。

(子ども未来企画課長)
 仕組みというか、いずれにしても最も大事なことは本会議でも市長が答弁したように、全ての子どもに質の高い保育を提供することだと考えている。従って、今国において制度検討が行われているが、国においてもそういったことは取りまとめの中で必要だと考えているので、広島市としては、保育を必要とする子どもが質の高い保育を受けられるような仕組みは必要であると考えている。

 今日はチラシのコピーを持ってきた。市で「私立保育園の保育状況についての情報提供」という見出しのチラシを、各保育園を通じて保護者に配布された。4ページだての1面で私立保育園の公立保育園との違いとして、「51の園で3歳以上には完全給食をしている」「31の園でアレルギー代替食を実施している」と書いてある。
 アレルギー代替食も完全給食も、これはかねてから保護者団体等がずっと「ぜひ公立保育園でも実現してほしい」と要望してきた問題なわけだが、これはなぜ公立保育園では実施されないのか。

(保育課長)
 公立保育園で完全給食を実施するためには、調理、配膳等にかかる人的配置、あるいは炊飯に必要な設備を設置する必要がある。
 大半の保育園の調理室は手狭で、スペース確保のための調理室拡充に多額の経費を要すること。それから保育室の調理室への転用が必要となる場合には入園定員が減少することなどの課題があり、慎重に対応する必要がある。
 食物アレルギー食の現在除去食で行っており、現時点では88園の食物アレルギー対応児について、その状況を全て把握して個人に合わせた献立を作成することは困難であると考える。

 厳しい経営の中で、保育士の人件費には随分格差があるが、その中で個々の民間保育園が努力している。広島市の公立保育園でも今の施設をどう活用できるのか、いろいろ知恵を出して頑張ってほしいと要望してきたが、なかなかやってこなかったのが現状だ。
 その中であえてこういう風に書いてしまうと、いかにも「公立保育園ではなにもできないんです」というように見えてしまう。果たしてそれでいいんだろうかと思う。

 それから、保育の質は経験年数や保育士個人の力だけではないとこの中にも書いてあり、本会議の市長の答弁の中にもあった。
 市としては特に強調していることのようだが、否定はしないが、「保育の質」を問題にするときに組織的な取り組みがあれば、経験年数や保育士個人の力はそう大きな問題ではないんだという認識なのか。

(子ども未来企画課長)
 本会議でも市長が答弁したように、保育の質にとって保育士の専門性は重要なものだと考えている。ただ、これも本会議で市長が答弁したように保育の質というのは、保育士個人の力量に頼るものではなく組織的な取り組みが非常に重要だ。
 こうしたことについては、この度の新たな保育所保育指針の改正の中にも盛り込まれ、組織的な取り組みを強化するというのがこのたびの新しい改正の1つの要点だ。

 組織的取り組みを内容あるものにしていくためにも、やはり保育士個々の力、そしてそれを高めていくための条件のひとつである経験年数は必要な条件ではないか。これを「無くてもいいんだ」とはならないものだと思う。また議論をしたいと思う。
 そこで同じ2面に「勤続年数が長い職員は、同じ園に30年以上努めている場合もあり」とあるが、何人おられるのか。

(子ども未来企画課長)
 今回の情報提供は、私どもだけで作成したのではなく、私立保育園協会との協議の中で作成したもの。この記載は私どもが作成したたたき台には無かったが、私立保育園協会から「こういう実態があるので是非入れていただきたい」と要望があり入れた。

 市では分からないわけですね。
 3面でA、B、C、Dと4箇所の私立保育園の取り組みが、「特色ある取り組み」として紹介してある。個々の保育園がそこだけでやっていることだと思うが、わざわざ1面を割いて出されていると「多くの保育園が同様のことをやっているんだ」と保護者は期待すると思うが、どうお考えか。

(子ども未来企画課長)
 チラシの1面にも併せて書いているが、「私立保育園は園ごとに保育理念、保育方針があり、様々な独自の取り組みを行っている」と記載している。そうした公立にはない、独自の取り組みの一つとして紹介している。
 またそういった私立保育園の独自の取り組みということで、公立には無い別の良い意味でのサービスを提供できるのではないかという趣旨で記載している。

 付帯サービスは保育園の質とは基本的に別物である。
 一般質問の中で縷々述べたが、本来保育士が子どもたちをきちんと育成していくためにどう取り組むのか、どういう専門性を発揮していくのか、そこをいかに高めて充実させていくのかというところに力を注いでいくべきだと私は思っている。
 もし(チラシを)出すのであれば、そこをアピールする必要がある。そして公立保育園でもそういう努力はおおいにされてきたと思っている。1つまたは一部の園だけでやっていることを、どこでもやっているかのように、このチラシを見るとつい思ってしまうが、それはこのチラシの問題点だ。
 もう1つ、民間移管の方針を掲げた保育園のあり方の案について、今の行政の側の作業はどのように、どこまでどのようになっているのか。

(子ども未来企画課長)
 6月議会以降の取り組み状況について答弁する。
 まず7月に「民間保育園に関するQ&A」公立保育園保護者全員に個別配布した。
 続いて今質問のあった「私立保育園の保育状況についての情報提供」も公立保育園の全ての保護者に個別配布した。それと併せて公立保育園保護者会連絡会から提出された公開質問状への文書回答を、全ての保護者に配ってほしいとの要望があり、市として「質問とQ&A」としてとりまとめ、さらに新たな疑問に思われる点を付け加えた「Q&A」を作成して公立保育園保護者全てに個別配布している。
 それと併せて各公立保育園から保護者会として「民間移管について説明してほしい」と要望されれば出向いて説明会を実施することで現在受け付けを行っている。現段階で8園ほど要望されている。

 来年度に向けて取り組んでいることは。

(子ども未来企画課長)
 6月議会で市長が答弁したように、保護者の皆さんにまだ十分理解されているとはいえない状況なので、まず各保育園に出向いて、ご要望があれば公立保育園の民間移管を説明し理解を得る取り組みを進めたい。

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生活福祉資金貸付制度

 就学資金貸し付けについて。低所得世帯の子どもを高校や大学に進学させたいと考えるときに、学資などの資金を支援する奨学金制度がある。無利子の奨学金は相当に学力が高い一部の生徒しか利用できないというふうに変わっており、殆どは有利子の奨学金をかりなさいとなってきている。
 しかしながら今日の青年の状況は、本会議でも述べたが、学校を卒業しても半数は派遣など非正規雇用で自立さえ困難な場合が多いということになる。大学卒業の場合は奨学金を貰っても400万円近い借金を背負って卒業することになる。子どもたちの「学びたい」という意欲に応えるために、無利息の範囲を広げる必要がある。

 その場合、利用できれば非常にありがたい制度がある。それが、生活福祉資金貸付制度の中の就学資金貸付と就学支度金貸付で、卒業後は返済開始まで半年間の据え置き期間があって、なおかつ無利子で貸付を受けることができる。世帯の所得基準は生活保護基準の1.7倍までで、相当広い範囲をカバーしている。
 広島市は独自の奨学金制度を持っていないのだから、この制度は大いに利用してもらえるように考えるべきだと思うがどうお考えか。

(健康福祉企画課長)
 生活福祉資金貸付制度は、県の社会福祉協議会が実施主体の事業。市の社協、各区の社協では、その窓口業務を担っている。生活福祉資金は原則として、他の制度の利用が困難な場合に貸付を行うことを基本にしている。

 ご指摘の、本制度の就学資金貸し付けと奨学金、特に有利子の奨学金貸与との関係は、委員ご指摘のような考え方というか、無利子の生活福祉資金貸し付けを活用するという考え方も理解できるので、制度実施主体である広島県社会福祉協議会に現在の運用実態を詳しく聞きながら、運用の改善を図る余地があるかどうか協議したい。

 私は広島市の行政として、この制度は大いに利用できるように努力する必要があるのではないかということを、今質問した。まあその点では、県にその方向で申し入れもしていきたいと言われたが、ぜひやっていただきたい。

 もう一度言うが、実はこの制度は、あるんだけれども殆ど利用されていない。なぜかといえば、大学に入るときに、さっき言った有利子の奨学金というのがあって、これを優先的に利用することになっている。
 「有利子の奨学金を申し込んで、何らかの理由があって使えないという場合は来てください」ということになっていて、しかし実際は有利子の奨学金でダメだということは殆どありませんから、だからこの生活福祉資金は殆ど利用されていない。

 しかし、何のために無利子の制度があるのかよく考えていただきたい。有利子があって、それに対して無利子というのが別にある。「無利子の方を優先的に使ってください」というのが本来は当たり前の話ではないか。「無利子が使えない事情の人は有利子を使ってください」となるべきで、今の運用は全く逆になっている。
 せっかくある制度が逆の発想になっているために、殆ど利用できない実態になっている。これは制度として欠陥だ。市としてこの点をきちんと指摘して、制度の運用改善に強く取り組むことをお願いしたい。

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母子寡婦福祉資金貸付制度

 これも進学資金の問題だが、これは積極的に利用されている。先ほどのような「有利子の奨学金を優先的に」という制度の運用になっていないのでよく利用されている。この間、使い方についてもいろいろと要望して改善していただいた。大変良かったと思っている。

 ただ入学時の支度金という比較的まとまったお金の貸し付けがあって、それから4月から毎月一定額を貸し付けていくという仕組みになっているが、大学の場合を考えてみても専修大学とか専門学校でもまず入学金が要り、それから授業料は半期ごとにまとめて前もって払うことになっている。
 しかし今の入学支度金は、例えば大学の場合は、私立なら半期分の授業料は50万円要る。それに加えて入学金も一緒に要る。それを賄うだけの支度金の規模にはなっていない。

 それから、仮に大学でなく専門学校などの場合、もう少し額が小さくなるから半期分の授業料と入学金を足しても支度金で間に合うこともある。
 しかし、前期文の授業料に支度金を使うと4月から貰える毎月の貸付額が、授業料分減額されることになっている。そうすると4〜9月までの貸付金を一定額積み立てて後期授業料に備えるということができない。

 こういう面で非常に使いにくい制度になっている。これはやはり改善の必要があると思うが、この点についてぜひ県に改善を要望してもらいたい。どうされるおつもりか。

(子ども家庭支援課長)
 母子福祉資金貸付の就学資金は、母子及び寡婦福祉法施行例において「隔月の初めに当月分を交付するもの」「ただし特別の事情があるときはこの限りではない」となっている。市では昭和55年度の政令市移行に伴って県から事務移譲を受けて以来、四半期ごとに支払っている。
 また児童手当や児童扶養手当等も分割して支払っており、借り手の利便性を考慮し、この貸付金についても四半期ごとに3か月分を前払いしている。就学資金、就労支度金について併せて貸すことができるが、就学資金は借りての利便性を考慮しつつ支払い回数について他の政令指定都市の状況、取扱いも様々になっており、今後は福祉情報システムの改造も含めて今後の課題としたいのが1点。

 もう1点のそれぞれの就学支度金等の金額が十分ではないとの提案だが、一応、国で母子寡婦福祉法の施行分で貸付限度額が決まっており、併せて今後これは課題としたい。

 課題といった棚上げをせず今特に利用したい人は増えていると思うので、一方で学校の方はこうしたシステムで授業料を払ってもらうことになっている。その実情に合わせて制度を作っていくべきだと思う。改善の努力をお願いしておく。

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墓地開発について

 最近、墓地を作る側と地元住民の間でトラブルが増えている。以前は、計画地周辺100メートル以内に住む住民の同意書が許可の要件になっており、大体それでトラブルは解決していた。最近は6月の委員会でやった事例のように、地元町内会や住民が反対していても許可された例もある。
 まず、市の取扱い原則の現状と、それが以前と、いつどう変わったのか、簡単に説明を求める。

(環境衛生課管理担当課長)
 「100メーター以内に人家がある場合には許可しない」というのが建前。これは設置位置の基準としてあり、ただその運用として「市長が土地その他、特別な事由で公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障が無いと認めた場合には、この限りでない」という但し書き規定がる。その但し書き規定を、100メートル以内の人家の方、住民の同意を得るということで運用してきた。

 従来はそれを100%悉皆の同意を得るということで審査をしてきたが、現在は裁判所の判決、あるいは行政手続法の施行等により、同意書が実態的な許可要件でないというような判断が示されることとなる。
 このため100%の同意を得られない場合でもその不同意者の反対理由が、墓地埋葬等に関する法律1条に目的があるが、それにそぐうものであれば許可するという建前で、今は100メートル以内に人家がある場合も許可する状況。

 仮に100%同意しない、誰も同意しなかった場合はどうされるのか。

(環境衛生管理担当課長)
 100%不同意の場合の扱いは、少なくとも墓地経営にあたっては地元との協調、地元の中に入って行っての経営なので、少なくともそのような状況下で事業者は参入しない、そこの墓地経営を断念するというのが、今までの経営だった。
 またやはり私ども許可をする側としては、住民と理解が得られるようにという指導はずっとしてきたところ。それが全く不調になれば、計画を変える方向での指導もしてきた。

 法律には周辺住民の同意とは書いてない。
 法律は知事、あるいは政令市市長の許可が必要となっているだけ。許可を与えるにあたっての許可権者、広島市であれば市長に任せられている。そして以前は「周辺住民の生活環境を守ることが大事だ」という考え方で規制をしていたのではないかと思う。
 先ほど言われたように、昭和62年の東京地裁の確定判決、行政手続法ということがあって、今のような対応になってきたと理解している。
 そこで、この法律は誰の利益を守る法律なのか、この点をどう考えておられるか。

(環境衛生管理担当課長)
 墓地埋葬等に関する法律(墓埋法)の趣旨、第1条の目的から読むと「この利益を受ける者は、その墓地の使用者、その墓地の経営をする側の利益を守る」基本的にはそういう法律であろうと考えている。

 開発者の利益を守るとなっている。そうすると極端に言えば、そこの地域に元から住んでいた人たちの利益は無視される、そういう法律ということになるが、これは結局どこにでも墓地は作れるということになりかねない。
 許可権者である広島市の行政として無制限な開発を許すような、こういう法律の状況について、どのように受け止めておられるか。

(環境衛生管理担当課長)
 墓地経営許可にあたり1つの大事なことは、その墓地の必要性、いわゆる需給のバランスということ。現状では需要に対して供給量がまだまだ不足している状況である。

 需給の問題を言っているのではない。人々が住んで、コミュニティーがちゃんとある。そういう所に割り込むようにして、墓地の開発業者が入ってきてどんどん墓地を作ってしまう。
 周辺の環境とか、そういうことは関係なしに作ってしまうことを、今の法律は許してしまうものになっているのではないか。それについて市民の暮らしを守る、環境を守る立場である行政としてどのように受け止めているのかということを聞いている。

(健康福祉局長)
 確かに今の墓地埋葬法の考え方は「本来、墓地とは国民にとって必要なものである」という前提に立って、ただし作るにあたっては公衆衛生その他、公共の福祉の観点から支障が無いということで作る。
 ただ実際に必要なものであっても、じゃあ無制限に作って良いかという部分になると、確かに昨今、いろいろな所でそういったトラブルが起きていることは、やはり地域住民の理解、やはり墓地の必要性なり、そういったところが十分理解を得られないままに進んできている。そういうところもあるのではないかと思っている。
 その部分で言えばやはり何らかの形で、地域住民の理解を得ながら墓地経営をしていただく仕組みを考える必要もあるのではないかと思って要る。

 判断で「公衆衛生その他公共の福祉」と言われた。公衆衛生は分かるが、その他公共の福祉とはどういうことなのか。この見地から支障があれば許可しないことになるが、どういうことが支障があることになるのか、判断基準の問題は。

(環境衛生管理担当課長)
 公共の福祉の見地からの審査、判断ということになるが、ではその公共の福祉の見地とはどういうことかということになると、国の通知によると例えば墓地造成に伴う災害防止だとか、あるいは経営主体、経営者の適格性だとか、若しくは墓地の永続性、安定性などが考えられています。

 公共の福祉はもちろん防災や安全も当然だが、社会一般の利益ということでこの公共の利益ということを調べてみると、「人権と人権が衝突する場合に調整するために用いられる憲法上の原則」ともある。つまり「人権を行使するときに、他の人たちの人権や幸せに被害を与えてはいけない」ということだと思う。これは非常に広く解釈できる問題だと思う。

 今日、広島市でも随分と地域でもまちづくりが進められている。できるだけ地域に住んでいる人たちが集まって話し合いながら、より住みやすい町にしていこうという取り組みが行なわれている。地域の中で生活をする、子育てをしていく、そして老後を迎える、そういう人の一生に関わる豊かな地域社会を作っていこう、それを発展させていこうという、そういう取り組みがどこでも行なわれている。これは行政としては大いに尊重していく必要があると思うが、この点の確認を求める。

(環境衛生管理担当課長)
 地域のまちづくりあるいは、都市計画に関するようなコミュニティーなどの地域に関する問題を墓地埋葬法がどのように取り扱うかは、法律の性格面からすると非常に弱い部分、カバーできない部分がある。それは私どもはいつも、(中森)委員がご指摘のように事案が起きる度に感じるところである。

 今そこの部分に多少でも関われる方法が無いものだろうかとという考え方で、例えば今は墓地の申請があった場合、事前に事業者から地元住民への説明会を行政指導しているか、どんなものを住民に説明していくか明確にして、それをルール化、制度化していく方向で考えている。
 それにより多少なりとも「墓地は絶対だめ」という拒否反応から、少なくとも話し合う場が持てて、多少なりとも「迷惑なものだけれども仕方が無い。これはどうしても要るものだから」というような認識にまで持っていけるような仕組みができればと考えている。

 よりよい町にしていこうと取り組むのは地域住民で、これは地域住民同士の人のつながりを基礎として、時間をかけて作り上げてきている。その町の雰囲気や景観や防災も含めて取り組んできた。それを阻害するような可能性のある開発行為に対し、住民が積極的に関与して、意見を出し、場合によっては開発に反対もするという、これは非常に大事なことであるし当然のことである。
 行政としてはこれを積極的に支援していくことが、広島市が広島の町をより良くしていくためにも必要なことだと思う。先ほどいろいろ考えていると言われたが、それは広島市として今は規則で対応しているが、一定の拘束力を持つ条例を検討するということか。

(健康福祉局長)
 あくまでも墓地埋葬法の規定は県知事なり市長の許可であるといいながら、あくまでも法律の枠内で与えられた裁量であって、自由にどんどん、例えば地域の人が反対したものに不許可ですると、最高裁判決にもあるように、そこから見ると自ずから制約がある。従って地元の人の反対意見であっても、それが公共の福祉という観点でそれなりに理解できるものであって初めて対応する。

 今までの状況でいうと、そういった理解に達するまでの双方の認識の違いがずれたままきているとそれはやはり、本来墓地の必要性なりを訴えていかないといけないし、業者の側から言えばこういう形で墓地を管理していくとかそういう説明があって、ある程度分かり合える部分があるのではないかと。従ってそういう部分の仕組みを少し考えていきたい。
 そういう仕組みを作らないと、(墓地を)作れば、それがあったら必ず許可するとかいうこととはちょっと違う部分がある。ただ、いずれにしても今のままの状況では難しいので、そこらへんが工夫できないかなと思っている。

 ただそれが今言われたように、条例ということに馴染むかどうかということもある。ある程度、条例として一定の規制を与えることができるのかどうか。墓地埋葬法での許可なりの権限がどこまで認められているか。そういったところも含めて、慎重に検討していかなければならない。

 開発と住民の利益との関わりでは、すでに高層ビルの問題があった。
 私どもは、広島市が今やっているそういう開発に対する住民との調整ということも、まだまだ非常に不十分。広島市の姿勢としては非常に弱腰だと私は思っている。住民の利益を守るという、まちを守っていくという強い立場というのは必要だ。

 法律の枠組みがあって、条例を作るにしても制約をかけられないというのはよく分かるが、いずれにしても積極的に市が調整に関与していく。「その調整に開発業者も従わないとなかなか開発が進まないよ」と行政手続法の制約もありなかなか難しい問題もあるが、やはりそういうものにしていく必要があると思う。その点についてお答えいただきたい。

(健康福祉局長)
 そのあたりの課題があるのは事実。いずれにしても検討していきたい。

 これも、国全体の考え方の流れで規制緩和があるのかもしれないと思うが、地域住民の利益と、突然そこに割り込んでくる開発者に利益と、どちらを大事にすべきかよく考える必要がある。何でも規制緩和すればいいという流れの中で、社会にいろいろな問題が起きている。これは人々の暮らし、安全、健康に大きな被害を及ぼす事態が現に起きている。これは規制緩和の1つの結果である。その流れを見直すことが国でも自治体レベルでも必要だ。

 その点でこの法律の枠組みが、非常に地域住民の利益と相容れない状況にある。これは全国の状況も是非調べながら、法律の枠組みそのものをもう少し自治体として管理しやすい方向に改善する必要がある。ぜひ要望していただきたいと思う。

(環境衛生管理担当課長)
 各都市の抱えている問題は共通で国にどのような要望を各都市が共同して行うか、今までは法律改正を視野に入れたものはやってきていない。ただ法律そのものが抱えている問題を、そういう要望を持って改正できるのかどうかは、かなり荷が重い気もする。機会があれば、そういったところで発言をしていきたい。共同してやっていけるような仕組みについて、発言していきたいと思っている。

 墓地の必要は否定できない。需給のバランスのこともあった。しかし多くの場合、トラブルにあっている例は地域住民の意見を考慮せず、まず開発、儲けありきの事業者に起きる。その点行政の積極的関与で実効あるものにする必要がある。

 今の法律の枠内で考えれば裁判所は、地域住民の利益か墓地開発者の利益かとなると、墓地開発者の利益に軍配を上げるようになっているのかもしれないが、だとすればそこに問題があるということだ。
 やはり法律の枠組みそのものにも言及し変えることも視野に入れて、この問題に取り組んでいく必要がある。このことを強調して今日は終わる。

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