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2008年3月6日 予算特別委員会・建設関係 村上あつこ議員の質問(大要) |
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高速5号線・二葉山トンネルについて 高速5号線建設で二葉山にトンネルを掘ればどういうことになるか。 私は、二葉山と住民の安全についてお伺いします。 これまで、二葉山にトンネルを掘れば地下水位の低下により、地盤沈下とシリブカガシへの影響が問題になってきましたが、それ以上に、土石流を引き起こす引き金になりかねない、人命にかかわる災害が発生しかねないという、新たな危険性が指摘されました。 新聞報道にもありましたが、先日、「二葉山トンネルを考える市民連絡協議会」が主催した学習会で、広島大学大学院教授の中根先生が「二葉山トンネルと斜面陥没・ズレ→土石流」と題して講演されました。参加者は衝撃をもって聞いたわけですが、特に二葉山の北側に住む方々にとっては、大きな衝撃を与えました。 繰り返しになりますが、 二葉山は標高139mの小さな独立峰で、シリブカガシの群生は全国一の面積を誇っています。かつては赤松の山だったそうで、「二葉山」の名前は、松の葉の二葉からきているとも言われています。独立峰なので周りから地下水が補給されるということはありません。 したがって、二葉山の地下水と雨水とで山全体が生きています。 お聞きしますが、二葉山の北側・南側斜面は、土砂災害危険箇所・急傾斜地崩壊危険箇所がたくさんあることはご存知でしょうか。 (高速道路整備担当課長) 土砂災害の危険箇所には、土石流、急傾斜地崩壊、地滑りの三種類があります。国が通知しました土砂災害危険箇所調査要領に基づきまして、2万5000分の一の地形図をもとにして広島県が調査し公表を行っております。最新のものでは平成14年・平成2年度のものがございます。これによりますと、二葉山に限らず広島市内には約6000カ所ございます。 この土砂災害危険箇所図の中で、二葉山斜面には土石流の被害のおそれのある箇所と急傾斜地危険箇所があるということについては承知しております。 どれだけの広範囲なのかということですが、みなさんのお手元にも配布した地図の説明をします。(右図参照) この地図は、広島市が作成している防災マップの二葉山周辺を拡大したものです。それと、平成15年公社がおこなった、「二葉山自然環境保全対策検討委員会報告書」のなかにある二葉山のトンネル工事によって植物の生育に影響を受けるか可能性がある地下水位の浅い範囲を示した図をあわせたものです。 赤く塗った中に赤い点々のある部分は、県が示している土石流・がけ崩れの土砂による被害箇所。青く囲った斜線の入った部分は、急傾斜地崩壊危険箇所です。 二葉山北側斜面(地図の上の部分になる)には4本の谷筋があります。 A〜Dは谷筋の頭の部分(谷頭部という)で、ちょうどここの下をトンネルが通る計画になっている。みどりの二本の線がトンネルです。 青い小さな丸がありますが、これは、二葉山自然環境保全対策検討委員会がおこなった、地下水位の測定地点です。たとえば、Dの谷頭部のそばに「B29」と記してある地点の地下水位は−1.4m〜−5.0mということです。 A〜Dの記号が記してあるそばの、赤い濃淡で示したところがありますが、ここは、トンネル工事によって植物の植生に影響を受ける可能性のある地下水位の浅い部分を示しています。濃く塗った部分が地下水位3m以内、薄く塗った赤い部分が地下水位が3〜6m。ということを現しています。 緑色の線はあとで写真をお見せしますが、4年前の風台風で倒れたと思われる倒木が記されています。 赤く塗った赤い点々のある部分ですが、土石流崩壊被害想定箇所で、たくさんの住宅が建ち並んでいます。 写真パネル―北側斜面 二葉山が今どうなっているか、先日谷頭部の調査に同行しました。 以上が今現在の谷筋の現状です。土石流被害で記憶に新しいのが、‘99年の佐伯区、安佐南、安佐北での豪雨災害。中根先生はこのときの被害箇所142箇所を丹念に調査さてきた方でもあります。 佐伯区写真パネル―斜面崩壊の写真 二葉山に話を戻して ・トンネル掘削で地下水位が低下します。地下水位の低下に伴って地盤沈下が起こります。こ のことは1号線・4号線で実証済みであり、「トンネルと地下」という専門誌にも書かれています。 ・「トンネルと地下」という専門誌の、2006年9月号に、「脆弱化地盤の地下水を制して変電所直下を突破」と言うタイトルで、当時の公社の建設部係長と主任ら4人の連名で報告されているなかにも書かれています。 土石流被害のメカニズムですが、お手元のウラになります(右図参照)。 ・C谷筋の断面図です。山の頂上あたりに仏舎利塔があります。ここの急斜面は35−40°くらいといわれていました。つづいて緩やかな斜面になっていますが、ここは、5〜7mの崩壊堆積層です。つまり、土砂がたくさんたまって、エネルギーをたくさん貯えているわけです。その直下には、たくさんの人家が建ち並んでいます。 ・ここの地層は、花崗岩で、公社の説明では「硬い」といっていますが、花崗岩というのは本来、割れ目が無数に入っているものです。その割れ目に水が入りもろくなっていく、そういう地層からなっているところです。 ・ここにトンネルを掘るということですが、地下水はトンネルに向かって低下していきます。そう すると地下水位は低下し、地盤沈下で地表面にズレが生じます。(先ほどの写真でいうと、こういう地すべりができるということになります) ・大雨が降れば、地表面がずれてできたくぼみに、雨が集中します。堆積していた土砂が大量の水を含み、液状化現象をおこし、土石流となって直下の人家を襲います(右図参照)。 この危険性を先日、中根先生が指摘されました。 ・急傾斜でも、堆積土砂がなければ崩壊はありません。が、北側斜面の4本の谷筋どこも土砂が堆積しています。その量はそうとうなものです。エネルギーがいっぱい貯えられている⇒広葉樹林に育てていくことが災害を防ぐことになりますが、若い樹木ばかりで、根がしっかりと土をつかむ、根系力のある木になるには40〜50年かかるといわれています。 ・加えて、地球温暖化で最近の雨量は並ではありません。毎回記録を塗り変えている実態があります。 ・さらにまた、地震も心配されています。近いうち、南海地震で確実に大きな地震が予想されています。 今でもたくさんの地すべりが確認されています。‘99年の大雨の降った方向が広島市西部ではなく、二葉山の北側斜面を直撃する方向だったら、荒谷地区や観音台ではなく、牛田地域が被災していただろうとも言われています。 今でも危険なところにトンネルを掘れば、ますます危険性は深刻になります。 トンネルを掘ることで被害が何倍、何十倍にも拡大され、自然破壊、住宅被害だけにとどまらず、人命にかかわる大問題であります。 質問ですが、これまでトンネル掘削による土石流への影響という観点、防災上の影響調査はされてきたのでしょうか。 (高速道路整備担当課長) これまでトンネル掘削による地表面の地盤沈下、植生への影響は軽微であると考えていましたので、トンネル掘削による土石流への影響など防災上の観点についての調査は行っていません。 しかしながら、地元住民のみなさんが防災上の不安を持たれていることから、公社は今後防災上の観点も含め詳細な調査解析を行い、その結果、対応策を説明することによって地元住民の皆様の不安や疑問に誠実にお答えし、事業の理解を得たいと考えています そうなんです。されてないんですね。H11年(‘99年)に県がおこなった、「東部線環境影響評価書」で、地盤沈下については、「軟弱地盤地帯において、工事の実施等により地下水脈を遮断するおそれがない」として、調査する必要はないと判断されています。 さらに、住民の意見の中に、「地下トンネルに伴う、治水の安全性や水脈の切断による動植物系の変化などの環境アセスメントはどうなっているのか」という、これに対しての見解ではまったく応えていません。まったくいい加減なアセスとしかいえませんが、これについては、経済環境関係でくわしくやりたいと思います。 本会議の答弁で、「今後、詳細な地質調査を行ない、その結果に基づきトンネル施行に伴う影響解析や沈下による被害を防ぐための対応策を検討していく」との答弁がありましたが、この調査検討委員会についていくつか確認させていただきます。 「地方道路公社法の施行について」の通達の第1条の(7)には、「共同設立団体(県・市)は協議会を設けて、道路公社の指導・監督等で、重要な事項について協議調整することが望ましい」と明記されていますが、調査検討委員会の設置についても当然、共同設立団体である、県・市も合意した意思決定だと受け止めてもよいのですか。 (高速道路整備担当課長) ご指摘の委員会について、現在、公社において委員会の設置を検討している段階でありまして、委員会の設置について、県と合意したものではありませんが、本市としてはこうした委員会を設置することについては大変望ましいことだと考えております。公社の委員会設立の案がもう少し具体化した段階において、その案について県とも協議したいと考えております。 公社を指導・監督する立場で、協議していくということですか。 この調査検討委員会の目的は何かということですが、本会議では「住民の不安に答えて」設置すると言われました。これは、トンネルの設計のためではなく、あくまで、「トンネル掘削による住民への安全性を確認するための委員会」であると理解してよいのですか。 (高速道路整備担当課長) この委員会は、トンネル上部の家屋へ被害が生じないように、万全の施行工法を採用するために設置するものでありまして、その検討内容としては、午前中も申し上げましたが、今後実施する詳細な地質調査の方法、トンネル施行に伴う地表の沈下解析や沈下による被害を防ぐための対応策、トンネル工事に起因する斜面崩落などの可能性、工事完了後数年間にわたる継続的な調査のあり方、などを想定しております。その事が結果として、住民の不安に答えることになるものと考えております。 お答えということになりますと、技術的な面と住民の方々の不安を解消するという両面をもっているということでございます。 「安全に掘るため」ではだめです。なぜなら、1号線を振り返って欲しい。福木トンネルはどうでしたか。馬木から掘削を始めて、3ヶ月で当初沈下予測の1.5センチをこえた2センチの沈下を知っていながら、住民がおかしいと訴えていたにもかかわらず、掘削を続け、変電所に近づくにしたがって、工事を慎重にして、いろいろ工法をかえて、住民には、「大丈夫、安心してください」といって、団地の沈下はまったく知らせていなかったのです。安全なのはトンネル工事であって、団地の地盤がどうなっていようと、そのことで工事をやめることはなかったではありませんか。 また、1号線と同じことをくりかえすおつもりですか。 (高速道路整備担当課長) 繰り返しになりますが、1号線でのそういったことを踏まえて今回調査の段階から委員会を設けて、単なる技術的な面だけではなく、地表面に与えるいろんな影響、そういったものも含めて検討して、工事完了後の数年間にわたる継続的な調査のあり方まで含めて検討していこうと言うことですから、これは1号線を踏まえてということでございます。そうしたことでご理解を賜りたいと思います。 調査の目的が、「防災の観点を最優先する」ということでなければ、住民は調査に協力しないと思います。そういうことで、調査検討が出来るのですか。 「住民の安全を確認する」以上は、第三者も含めた、科学的で公正な委員会でなければなりません。そのため、委員会の構成は、公平に選ばれた学識経験者、住民代表、行政の三者で構成すべきだと思いますがどうでしょうか。 (高速道路整備担当課長) 午前中の繰り返しになりますが、現時点で、公社で委員を検討中ですから、くわしい答弁はできませんけれども、地元からの様々な不安や疑問に答える、また、トンネルを安全に施行するための万全な対策を検討するために必要な地質、トンネル・地下水への影響解析など各々の分野で豊富な実績のある学識経験者の方々を委員会の構成員として想定しております。 加えて現地を良く知っておられる住民の方々からの情報や意見は、審議を行う上での重要な要素と考えておりますので、そのような情報・意見を反映させる仕組みについては、現在検討中であります。 「住民の安全を確認する」うえで、1号線・4号線のトンネル掘削による、地盤沈下の原因とメカニズムの徹底的な解明は不可欠であります。この解明もあわせて行なう必要があります。この点はどうされるのですか。 先日の建設委員会で、「1号線の沈下のメカニズムは解明されている」と答弁されましたが、言われている1号線の「技術検討委員会」のまとめは(H15年‘03年)、正式な調査とはいえません。 なぜなら、 @トンネル工事途中の解析であること。 A変電所部分のごく限定的な解析であること。 B施行業者であるゼネコンがおこなったものであること。 Cしたがって、お金も人もゼネコン任せで公的機関の行なったものではないこと。 国交省の通達に従えば、重要な協議事項が発生したわけだから、行政の責任でおこなうべきではありませんか。 (高速道路整備担当課長) 高速1号線につきましては、建設委員会でも答弁いたしましたが、さきほど先生のご紹介のありました「安芸府中トンネル技術検討会」において、沈下の原因究明を行っております。今後公社において委員会を設置した場合は、委員会の中でこうした検証結果を十分に踏まえたうえで、5号線のトンネル工事について検討することにしております。 4号線につきましては、本年2月18日に公社に被害の申し出が出たところであって、公社においては、本年2月20日に現地の状況を確認しに行っております。それから、近隣の家屋もその後聞き取り調査に行っております。まずは、道路上の水準点など地盤の高さを測量して、工事前の高さと比較することによって、地盤沈下の有無について確認することを先にやっていきたいと思っています。 「住民の安全が確認」され、「住民の理解が」得られるまでは、当然、5号線建設工事は着工すべきでないと思うが、市長の見解を伺います。 調査検討委員会の設置は今から具体化していくということなので、さきほど言った4つの点を踏まえて、住民の要望をしっかり聞いてすすめていただくよう、強く、強く、要望して終わります。 上にもどる |
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