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2008年10月10日 厚生関係 中森辰一議員の質問 |
生活保護について 国民健康保険について 被爆者健康手帳について 特別養護老人ホームについて 障害者雇用について |
生活保護について (中森辰一議員) 5点について質問させていただきますが,どうも途中で切れるようですけども,最初の生活保護のことについて質問をいたします。 この数年を見ますと,生活保護の申請のうちで,生活保護が決定した比率,生活保護の決定率というふうに私は言いますけど,昨年度と一昨年度でわずかに上がっている。余り変わらない状況ですが,この比率は過去の状況から見てきますと年々下がってきております。どういうことが考えられるでしょうか。 (林保護担当課長) 生活保護の申請件数に対する保護開始件数の比率は,平成16年度から18年度にかけては減少傾向にありましたが,委員おっしゃるとおり,18年度から19年度では0.2%ですが増加しております。生活保護の審査は福祉事務所が必要な調査を行い,国の定めた基準に基づいて申請した世帯の状況が生活保護の受給要件に該当してるかを判断しております。したがいまして,申請件数に対する保護開始件数の比率は,申請の中に受給要件に該当する申請がどれだけあるかによることから,その結果が,委員御指摘のような傾向になったものと考えております。 (中森辰一議員) ということは,申請の入り口ということが少し厳しい状況から若干緩やかになってきたかというふうにとらえてよろしいですか。 (林保護担当課長) 生活保護の相談の多分申請を受理するかどうかいう話だと思いますが,これにつきましては,広島市はもともと申請意思のある方については申請受理をするように指導してますので,緩くなったとは考えておりません。従来どおりの取り扱いをしてると思います。 (中森辰一議員) 申請に関しては,全国で水際作戦ということで,申請したくても申請させなくて,相談だけで終わらせて帰らせると,こういうことが問題になってきていまして,今の答弁では広島市ではそういうことはないということを言っとられますから,それはそれでいいんですけれども,この生活保護の数が年々ふえ続けてきておりますが,最近の動向を見ますと,その決定をした数,新たに開始をする数というのは減り続けてきております。つまりふえ方が以前よりも緩やかになってきているということだと思いますけども,どういうふうなことが考えられますか。 (林保護担当課長) 一般的に雇用情勢が改善すれば,生活保護の申請件数は減少傾向にあると言われております。本市におきましても,平成16年度から有効求人倍率は上昇傾向にあるため,申請件数が減少したことによるものと考えております。 (中森辰一議員) 有効求人倍率は改善,数字の上ではしておりますけども,実は非正規の雇用がふえている結果の数字だというふうに思ってますから,そういう点で自立できる収入かどうかという点でいけば,なかなか難しいという状況にあると思います。このあたりは考えていただきたいというふうに思うんですけども,昨年度と一昨年度を見ますと,区によってこの決定率,開始率,申請した数に対する保護が決定した数,これにばらつきがあります。2年間の比較で区ごとの傾向があるかというふうに思ったんですけども,年度でもばらつきがあるわけですよね。しかし,市全体では決定率は90.5%,90.7%ですから,ほとんど同じ比率です。昨年度は最高で96.2,最低で85.8,一昨年度は最高で97.7,最低で85.5と大きなばらつきになっています。単に区によってばらつきがあるだけなら納得しないではないんですけども,市全体で2カ年で決定率が変わらないのに,区ごとになりますと,年度で大きく変動しているという,どうしてなんでしょうかということなんですけども,住んでいる住民の所得状況の傾向というのが大きく年度で変わってきているということじゃないというふうに思いますけれども,どのようにお考えですか。 (林保護担当課長) 生活保護の決定につきましては,国が定めた基準に基づき,各福祉事務所で適切に行っております。区によって年度ごとに申請件数に対する保護開始件数の割合に変動があったとの御指摘ですが,これは各区で適正に審査し,国が定めた基準に合わない申請を却下した結果であると考えております。 (中森辰一議員) 審査した結果だということなんですけども,ここでケースワーカーの状況を見たんですけども,区によってケースワーカー1人当たりの持ち世帯数,これが変動をしております。区によって大きく変動してるところもありますけども,これは一様であるべきだというふうに思うんですが,これはどうしてなんですか。 (林保護担当課長) 生活保護のケースワーカーは,社会福祉法第16条の規定により,生活保護世帯数80世帯に1名を標準として配置するよう定められております。本市はこれを基本において,全市的に人員削減が行われている中,適正な配置に努力しています。人員要求に当たっては,当該年度の生活保護受給世帯数をもとに必要人員を算出しております。しかし,人員要求後において,生活保護受給世帯数の増減があることから,ケースワーカーの担当世帯数に変動が生じるものと考えております。 (中森辰一議員) 区によってこれは世帯数が大きく人が違います。ですから,変動が大きくなる区とそうでない区もあるかもしれませんけども,例えば中区で見ますと,1人当たりで90.2世帯から94.1世帯にふえています。東区では89.4世帯から91.9世帯というふうにふえています。南区では91.5から94.5と,これも大分ふえていますね。西区は余り変わりませんけども,安佐南区は91.1から88.3,若干減っています。安佐北では78.2から89と,これは10世帯以上ふえていますね。安芸区では89.3から97.2,これも大幅にふえています。佐伯区では86.4から94.5。若干減ったところもないことはないですけども,おおむねどこの区もそのふえ方にばらつきはありますけども,大分ふえてきています。 私らは以前から,これは国もかつてはそういって言ってたんですけども,1人当たり80世帯ぐらいがいいんだと。行政の方も大体それぐらい目安に人を手当てはしてきたと思いますけども,最近はずっとその数がふえてきて,それが恒常化してきているというのが現状ではないかなというふうに思っています。8つの区のそれぞれでこの持ち件数,申請件数,それから開始件数という,これを見ますと,大体8区のうちで4つの区でその傾向らしいものが私には見えたんです。2年間だけの比較ですから,もっと長いスパンで見たら変わってくるということがあるかもしれませんけども,年度の初めに持ち件数がふえますと年間の申請数に対する開始件数の比率が減ると,持ち件数が減ると開始件数の比率が上がる,こういうことが,若干ですけれどもあります。データだけを見ますと,そういうことがあるんですね。申請権の侵害にならないように市としてやっているというふうに答弁をされました。それはそれで当然でありますし,いいんですけれども,この市全体の決定率が,開始率が変わらないのに,個々の区では相当な変動がある。これは個々の職員は意識していないかもしれないけれども,現場の実態で結果的に開始件数に影響が出ているということではないかと,こういう懸念を持つんですけども,これは明確に否定できるんでしょうか。 (林保護担当課長) 生活保護担当世帯数が多くなったとしても,生活保護の審査は,先ほど説明いたしましたように,国の定めた基準に基づいて行っているものです。ですから申請件数に対する保護開始件数の比率に影響を与えるものではないと考えております。 (中森辰一議員) 明確にそうであれば,私はいいと思ってるんですが,先ほど言いましたように,持ち件数は基本的にはふえる傾向になっているんです。いただいたデータを見ますと,市全体でも年々ケースワーカー1人当たりの持ち件数がふえてきております。最近は94.5,一番新しいデータで1人当たり94.5,市全体で,いう状況になっています。これが2年前ですと,市全体では88.1か,そういったデータだったというように思うんです。この傾向はやはりだんだんとケースワーカーの仕事を過重にしていくということだというふうに思うんです。間違いなく保護世帯数はふえてきているわけですから、この一人当たりの業務が負担過重になっていくということで、このケースワーカーの本来の業務に支障がでないようにしていく必要があります。 申請権ということがありましたけども、もちろん人権侵害になったりしないようにしていく必要があるし、本来のケースワークが出来るようにしていく必要があると思います。私は、ケースワーカーというのは、決定を判断するというような業務は、それははじまりですけども、そのあとやはり生活の状況を見て、指導したりであるとか、子供がいる世帯もたくさんあるわけですから、子供がそういう生活保護という状況の中でやっぱりちゃんと育成されていっているのか、育っていっているのか、やはりそういうことも含めて、ケースワークを。そのためには、例えば、学校であったりとかいろんな機関と連絡調整したりすることが必要になるかもしれない。そういったような生活を、自立したまともな人間らしい生活にしていく。そのそこにいる子供たちがまた貧困の連鎖ということにならないような支援ということをケースワークとして、していく必要があると思うんです。そういう業務がきちんとできるようにしていくためには、この持ち件数が過大にならないようにしていくことがどうしても必要なことだというふうに思っております。その点について、お考えをお聞かせ下さい。 (林保護担当課長) ケースワーカーの増員につきましては、先ほどの説明しましたとおり社会福祉法に定める所員数を基本において適正な配置に努力しております。具体的には平成17年度に11名,平成18年度に6名,19年度に1名,20年度には1名と嘱託職員3名の増員を行い,平成20年10月現在では140人となっております。また,ケースワーカーの負担軽減を図るため,健康福祉企画課に就労支援相談員を2名,年金相談員を1名配置し,就労支援のサポートや年金受給の支援を行っております。各福祉事務所においては,ペア制やグループ制による組織的な対応などにより,ケースワーカーの事務の軽減を図っております。ケースワーカーに配置につきましては,今後とも保護受給世帯数の動向を踏まえながら,適正な配置に努めてまいりたいと考えております。 (中森辰一議員) 努力していただいてることは知っています。この間ずっと,ふやす必要があるよということを指摘し続けてきて,広島市としても現場の状況を見ながらふやしてきているのは確かなんですよ。それはよく知ってるんですけども,先ほど言いましたように,実はそれでも年々持ち件数はふえ続けてきているという,それが現状だというふうに思っています。先ほど言いましたように,やっぱり今,こういう貧困ということで考えるときに,そこのその状況に置かれている次の世代がこの貧困を持ち越していくということがないようなことが非常に大事だというふうに私は思っているんです。私が今いろいろ相談に乗っている世帯の中でも,そういう懸念があるところがあるんですよね。そういうことはやはりこの生活保護行政,生活保護に対応する業務の中で大事な問題だというふうにぜひ位置づけていただきたいですし,それこそ教育委員会であるとか児童相談であるとか保育園であるとか,そういうところともやはり連携がとれるような,そういう充実した業務ができるようにぜひしていただきたいというふうに思っております。 上にもどる 国民健康保険について (中森辰一議員) 次は,国保について少し伺います。 決算要求資料ということで,加入者1人当たりの保険料が他都市と比べてどうなってるのかと。それから,一般会計からの繰り入れがどういう状況かということをいただいておりますが,これを見ますと,昨年度分で国民健康保険加入者1人当たりの保険料が政令指定都市の平均よりも5,000円余り少ない。これに加入者数を掛けますと,およそ19億円,広島市は保険料の負担が少なくて済んでいるということがあります。一方で国保の会計の歳入の不足分を埋めた結果だということですけれども,一般会計から国保会計に繰り入れている額は,これも政令指定都市の平均よりも7,700円少なくて,加入者数を掛けますとおよそ29億円ということになります。つまり昨年度は広島市では市民の保険料負担と行政の負担とでおよそ48億円,国民健康保険については負担が少なくて済んでいるということです。これはどのように評価しておられますか。 (塩満保険年金課長) 国民健康保険の事業運営に必要な経費は,被保険者の保険料と一般会計からの繰入金,そして国,県等の支出金により賄っています。この国,県等支出金のうち療養給付費交付金等は,年度を超えて精算をいたします。具体的には当該年度に概算で交付を受けまして,その翌年度,実績に基づき精算をいたします。そのため,単年度だけの事業費といいますか,決算の結果を取り出しまして,その評価を行うことは適当ではないのかもしれませんけども,被保険者1人当たりの事業費,これは本市は政令市の中でも高い位置にございます。政令市の中で5番目でございます。そういった本市において,保険料繰入金,これがともに少なく済んだということは,国庫負担金や調整交付金などの国等の支出金,これが本市には他都市に比べ多額に交付されたその結果でございます。こうしたことから,本市にとって昨年度の国保会計は財政基盤上,望ましい状況にあったのではないかと考えています。 (中森辰一議員) 国の補助金が,給付総額は政令市の平均よりも高い方だというふうな説明だったというふうに思いますけども,そういう中で,結果として広島市の負担というのは少なくて済んでいる,こういう状況になっているわけですが,そういうこととは別に,平均保険料が低いといっても,それでも払えない人がいるというのが現実です。滞納額は,この問題,いつも取り上げられておりますけども,なかなか厳しいという状況が続いております。 私は,払える保険料ということが大事なことなんだと繰り返し強調してきました。2割軽減をしている件数がふえておりますけども,所得は低いけれども,所得割が発生すると。これが2割軽減の層だというふうに理解をしております。大体生活保護基準よりも2割程度所得が少ない,こういった所得層から生活保護基準を少し超える所得層,このあたりがこの国民健康保険制度で一番矛盾が大きいところではないかというふうに思っております。 こうした低所得層への独自の保険料減額の制度が必要だというふうにこれまで指摘をしてきましたし,求めてもきました。これまでの議論の中では,それについてはやる気がないという,こういう答弁が繰り返されてきたと思いますけども,こういう矛盾を放置したままでいいわけがないと思います。やはり所得に応じた保険料という点では,今の状況というのは必ずしも公平な行政になってるとは言えないというふうに思うわけです。 何十億と財源が要るわけではありません。恐らく2億円程度あれば済むんじゃないかなというふうに思っていますけれども,広島市は平均よりも一般会計の負担が少なくて,結果として済んでいるわけですから,この政令市平均より少なくて済んでいる一般会計からの繰り入れをもう少し意識してふやすという気になれば,これまで求めてきた制度というのは実現できるというふうに思います。今年度から資格証明書の扱いを大きく変えたと。この点は大いに評価をしております。さらに,広島市の国保行政が人間味のあるものになっていく,その所得に応じて払える水準の保険料にちゃんとしていくと,そういう方向に向けて前向きに取り組んでいただきたいというふうに思ってます。 委員会のたびごとにこの問題は,国保の問題取り上げておりますから,きょうはあえて質問いうことにはしませんけれども,この点は強く要望しておきたいと思います。 上にもどる 被爆者健康手帳について (中森辰一議員) 次は,被爆者健康手帳の交付業務ということなんですけども,午前中も被爆者行政について少し質疑が行われました。被爆者行政に対する国民的な運動とそうした中での国の施策の変化ということもあって,被爆者手帳の申請を含めて,原爆被爆者対策を担当するところの業務が大きくなっているというふうに思います。いただいた資料を見ますと,被爆者手帳の申請件数が平成17年度では576件に対して交付件数が469件,18年度は申請件数が356件に対して交付件数が319件。申請と交付は大体半年ぐらいずれるということですから,年度内の数字がそのまま対応しているというわけではないんですけれども,大体申請件数に近い交付件数で推移してきたということではないかと思うんですね。 ところが,昨年度,19年度は申請が360件に対して交付が118件。比率が大幅に下がっております。これはどういう理由によるものでしょうか。 (御園生援護課長) 被爆者健康手帳の交付件数は,平成18年度が319件,それから平成19年度が118件ということになっておりまして,201件の減少となっております。この201件減少の内訳を見ますと,在外被爆者が99件の減,それから国内被爆者が102件の減となっております。 それで,最初に在外被爆者につきまして申し上げますと,在外被爆者については,事前審査により被爆事実が確認できた方に,渡日,日本に来ていただきまして,正式申請をしていただき,本人確認等を行いまして,手帳交付をしております。このため,申請件数と手帳交付件数は同数となっております。交付件数が減少した原因といたしましては,これまでに被爆事実の確認が早くできる事案から迅速に審査を進めてまいります。このことから,平成19年度は事前審査におきまして事実確認ができました件数そのものが減少したことによるものでございます。 次に,国内被爆者の方でございますが,まず申請件数そのものが平成18年度,185件から平成19年度は288件と大幅に増加しております。この増加の要因は,平成19年8月に安倍元首相が原爆症認定基準の見直しを表明したことが上げられると思います。これに伴いまして,年度後半に手帳の申請が急増しておりまして,手帳の審査が年度内に完了しなかったものが多かったということ,それから平成19年度は担当職員が減員になったことなどによりまして,手帳の交付件数が減少したものでございます。 (中森辰一議員) 申請を処理する期間というのがどういう状況になってるかな。申請数がふえてるということが今出されていたわけですけども,そういったこともあるのかどうか。その期間が延びているということがあるんであれば,それはどういう理由によるのか。お答えください。 (御園生援護課長) 申請受理から結果通知をするまでの期間,いわゆる審査期間でございますが,平成18年度は約9カ月でございます。それから平成19年度は平均6カ月,若干短くなってます。 (中森辰一議員) 短くなっているわけですね。そうすると,業務量そのものってのは,これは別にふえとるわけじゃないというふうに理解していいですか。 (御園生援護課長) 平成19年度,申請は確かに多くなっております。しかしながら,その業務量そのものが多いか少ないかといえば,当然ふえたというふうには理解しております。ただ,その中で,審査の結果が出なかったものが多いと。だから,途中,年度前半で申請したものについてはある程度結果が出せて,審査期間が短くなったと。逆に,年度後半で申請されても,その年度内に結論が出なかったものは,審査期間の計算の対象外になってますんで,それは長くなっていってるというようなことは言えるかと思っています。 (中森委辰一議員) 傾向として,その審査期間は延びる方向にあるということですか。 (御園生援護課長) 平成20年度の話で申し上げますと,原爆症認定基準の緩和ということに伴いまして,手帳の申請もふえております。その関係がございまして,審査期間が延びますが,それ以外に被爆63年が経過しておりまして,証人や証拠が少なく,調査がしにくい状況にある。それから,申請者や証人の高齢化によりまして,職員が自宅や施設に出向いて面談するケースがふえていることなどから,だんだん時間を要しているという状況にはございます。 (中森辰一議員) 1件あたりの,1件1件を審査すると,調査をしていくと,そういった事務量というのは,これまでに比べてこれはかなり期間がたっているということもあるでしょうし,証拠であったりとか,あるいは証人であったりとか,そのあたりがなかなか厳しい条件にあるような,そういう申請もふえてきているという,そういうこともあるんではないかなというふうに理解をしているわけですけれども,いずれにしてもこの被爆者への対応というのは,今の被爆者の高齢化,もちろん申請をする方の高齢化ということも踏まえながら,より迅速にやっていく必要があるというふうに思っているわけですが,この手帳交付の業務っていうのは被爆をされた方の健康,生活を守っていく業務であると同時に,広島市という被爆都市にとっては,どれだけの人がこの原爆によって被爆をしたかという,被爆の実相をより事実に近づけていくという,そういう意義もある作業だ,業務だというふうに思っています。 午前中に認定業務のこともありましたけども,この認定申請の業務というのは,これは被爆者が必要な保障をきちんと受けられるようにやっていく業務であるということとあわせて,いかに過酷な被害をこの原爆というものが及ぼしたかという,そういうことを明らかにしていく仕事でもあるというふうに思うんです。市民の命と健康を守っていくという本来のこの広島市の行政とあわせて,やはり被爆の実相を明らかにしていくという,広島市の使命という点でも非常に重要な業務だというふうに思っています。同時に,先ほど言いましたけれども,年々被爆者が高齢化をしています。時間的に余裕があるわけではないわけです。ですから,早く交付ができるようにしていく必要があります。病気で倒れていて,手帳取得を心待ちにしているという方もたくさんおられます。ですから,必要があれば,ぜひここの人員体制も整えていただくと,ふやしていただくということも含めて,より迅速に交付ができるような,やっぱりそういう体制をぜひとれるようにしていただきたいということをお願いしておきたいと思います。 上にもどる 特別養護老人ホームについて (中森辰一議員) 特別養護老人ホームの待機者というのはどんどんふえ続けているわけですけども,昨年度広島市としてはどういうふうな取り組みをされましたか,この問題に対して。 (胡麻田高齢福祉課長) 現在の介護保険事業計画,平成18年から20年度までを期間としておりますけれども,その中で,施設定員80人分の特別養護老人ホームを整備することとしており,昨年度は施設定員数80人分の整備事業者の公募選定を行いました。現在,選定いたしました社会福祉法人が特別養護老人ホームを整備中でございます。 (中森辰一議員) 18年度,19年度では,施設の数はふえてない。今年度,今つくりよるという,つくってるという。それで80人分ふえるということになっているわけですけども,待機者の数,いただいた資料の数は,この注意書きを見ますと,市内の特別養護老人ホームに入所を申し込んだ人のうち,広島市に住んでいない人,入所を申し込んでいるんだけれども,この老人保健施設とか療養型の医療施設とかいった介護施設に入っている人,これらを除いて複数入所を整理したもの。ですから,以前,在宅ではこれだけですというふうな説明をあえてしておられましたけども,まさに在宅で待っておられる実人数がここに数字として出ています。この待機者数というのは,そういう意味では深刻な状況を抱えた人たちの数字だということになるんですけども,平成19年度末で3,949人ということになっております。 ここまで前の年度を追ってきますと,前の年と比べてのふえ方,これがずっと同じテンポでふえてるんじゃなくて,ふえ方が年々大きくなってきてるわけですよ。最近の5年間でふえた待機者を見ますと2,640人から3,949人ですから,5年間で2,309人,ほぼ倍増しております。しかし,受け入れ施設の定員数というのは,2,638人から2,897人と229人しか今のところまだふえてはおりません。わずか8.7%です。それに今の計画ではプラス80人という,そういうことになるわけですけども,確かに定員数をふやしたと,このことは認めますけれども,広島市としてこの待機者への対応が適切であったと,今のこの現状を見てですね,評価できるのかどうかの考えをお聞かせください。 (胡麻田高齢福祉課長) 3,949人のうち,自宅の方は2,502人でございまして,それ以外の方は病院であるとか有料老人ホーム,その他の介護保険以外の施設に入所されていらっしゃる方でございます。しかしながら,実際には,待機者の方がふえているというのは事実でございます。そこで,特別養護老人ホームを整備するだけではなくて,高齢者が介護を要する状態になっても,できる限り住みなれた地域や家庭で自立した生活が送れるよう,居宅サービスを重視し,小規模多機能型居宅介護サービスなどの地域密着型サービスの基盤整備に努めてきており,現行の介護保険事業計画に基づき,適切に対応してきているというふうに考えております。 (中森辰一議員) 適切に対応してきているのに,特養ホームに入りたいと希望される方がふえてるのはどうしてだと思いますか。 (胡麻田高齢福祉課長) これはやはりいつかというか,特別養護老人ホームにお入りになりたいというふうな御希望があるというのは事実としてあります。それは皆さんそれぞれの御希望ということでございますので,そういう希望がある方はやっぱりふえてるという事実はあります。理由は詳細にはちょっとあれです。 (中森辰一議員) 今置かれている状況では,先々の自分の暮らし,在宅であるとか有料老人ホームというふうに言われました,この非常に負担が大きいんですけどもね。こういう今置かれている状況ではとても先々の展望が見えてこない,介護が続けられない可能性が大きいというか,そういう状況にあるから,こういう特養ホームに入りたいという希望がふえてきたというふうに思うんですよ。これはこれまで繰り返し改善を求めてきたわけですけども,改めてこの現状の数字というのを見ますと,広島市の対応はそれは適切であったというふうにはとても評価できないんではないかというふうに思います。 今,適切であったというふうにおっしゃるような行政の延長上で,これから対応していかれても,この待機者の問題というのはますます深刻にならざるを得ないというふうに思うんです。今のこの3,949人,倍増してるわけです,5年間で。今私が言いましたこの待機者の生活の現状,どうなのかということも含めて考えていただきたいわけですけども,市としてこれからこれにどういうふうな対応をしていくお考えですか。 (胡麻田高齢福祉課長) 現在,平成21年度から3年間を計画期間とする次期の介護保険事業計画を策定中でございます。今後,示される予定の国の参酌標準に基づき,適切なサービスの目標量を定めることとしております。その中で,現在の待機者の状況も踏まえた上で,特別養護老人ホーム等の施設サービスの充実を図るほか,居宅サービスや地域密着型サービスの充実に努め,介護が必要な方が適切に介護サービスを受けることができるように努めてまいりたいと考えております。 (中森辰一議員) 国の参酌標準ですけども,広島市でこれだけ待機者がどんどんふえてきているいう状況を考えて,国のこれまでの参酌標準というのが適切であったというふうに広島市の行政はお考えになりますか。 (古川介護保険課長) 確かに,国の参酌標準に基づいて全国的に介護保険事業計画はつくられております。次期の計画に当たりましても,国の方で今後参酌標準を示すということにはなっております。ただ,我々といたしましては,そういう施設サービス,それから居宅でのサービス,こういうことも含めて総合的に必要な介護が提供できるような形で計画をつくっていきたいと,こういうふうに考えております。 (中森辰一議員) これは国の責任が私は非常に大きいというふうに思っています。全国的にもこの待機者の状況というのは深刻化しているわけですから,やっぱりこの国が示す参酌標準なり,そういったものっていうのは,国の方がきちんと予算を立てて,財源を確保しながら,この数字というものを改善をしていくという,変えていくという,そういう姿勢が要ると思うんです。施設の定員というのは,これはやはりふやさないといけないんではないかと思います。同時に,在宅介護,この水準が十分じゃないということも,この特養ホームの入所申込者が急速にふえてきた原因だというふうに私は考えています。今の介護保険制度のあり方,運営というのは,何年か前に制度も少し変わりましたけれども,サービスの量,質,いずれも制限をしていくということに私は主眼が置かれてきている,そういうゆがみもあると思います。 前にも言いましたけども,この介護保険が始まってから,この待機者数ってのは急速にふえてきているんです。介護保険というのは,結局,介護力が弱い,そういうところにとっては非常に不十分な制度だというふうに私は言ってきましたけども,この待機者がどんどんふえてきてるということは,その証明ではないかというふうに思うんです。介護の必要な人,そういう人が在宅でもっと人間らしゅう暮らしていけるようにどうしたらいいのかと。必要で十分なやっぱり手だてがとれるように,広島市の行政としては取り組んでいく必要があるんじゃないでしょうか。 介護保険の制度で制限があって不十分であれば,市としてその制限をやはりカバーするような手だても必要だというふうに思うんです。そうすれば,それでもって在宅でこれからも十分暮らしていけるということになれば,特養ホームに入りたいということじゃなくて済むわけです。大体要介護3以下の人たちが一番問題になるんだろうな,今の制度の中では,思うんですけども,こういう人たちが在宅で十分やっていけるようにしていくと,そういうことも必要なことだというふうに思うんです。いずれにしても,これから事業計画をつくっていくんだということなんですけども,今の状態を抜本的に改善できるような実効ある対策,これが必要だと思います。 それと同時に,今現にこれだけの待機者がおられるという状況なわけですから,次の介護保険事業計画待ちにならずに,来年度予算に向けての取り組みも必要だというふうに思っております。これは要望しておきたいと思います。 上にもどる 障害者雇用について (中森辰一議員) 最後にもう一つ,障害者雇用のことですけれども,ここ数年の障害者雇用の状況の資料を見ますと,広島市の職員の障害者雇用率は大体ぎりぎり法定雇用率をクリアしております。一方で,民間の方はなかなか障害者雇用率が改善しない状況が続いております。達成した企業の比率も大体横ばいいう状況が続いているように見えます。それだけにここに指導し,啓発していく立場にある自治体の行政としては,市の職員の中での障害者雇用率,これを率先して改善をしていく方向で取り組む必要があると思うんです。法定雇用率は最低限のラインだと。これを下回っていれば,罰則も含めたことになっているという,この最低限のラインだということをやはり忘れてはならないというふうに思うんです。この点でのこれまでの広島市行政の取り組みをお聞かせください。 (滝川障害自立支援課長) 障害者の雇用促進は,障害者の経済的な自立を進める上で重要な課題であり,障害者を取り巻く就労環境は依然として厳しいことを考えますと,行政機関として障害者の雇用に率先してより積極的に取り組んでいく必要があると認識しております。このため,本市においては,昭和55年度から正規職員の採用に身体障害者枠を設けております。また,昨年度は嘱託職員として5人の身体障害者を採用して雇用の拡大に努め,本年6月1日現在における障害者の雇用状況は,正規職員224人,嘱託職員20人の計244人となっております。さらに,雇用率には算入されませんが,今年度から知的障害者と精神障害者を臨時職員として8人雇用することとしております。 (中森辰一議員) 昨年度の数字を見ますと,市全体とした法定雇用率2.13%,昨年度じゃない,ことしの6月ですね。昨年度はぎりぎり2.1ということですけれども,部門ごとの内訳見ますと,教育委員会だけが法定雇用率が2.0%ということで,0.1ポイント低く設定されているんですが,障害者雇用率は1.14%ということで,市全体の雇用率の半分ぐらいしかありません。これは大きな改善が必要になっているというふうに思うんですが,教育委員会だけどうしてこういうふうにおくれてるんでしょうか。 (滝川障害自立支援課長) 教育委員会につきましては,教員がその大部分を占めており,教員の障害者雇用率が低いことが大きな要因となっております。雇用率改善のため,教員の採用につきましては,これまでも教員採用考査試験を共同で実施しております広島県教育委員会と協議し,平成12年度から障害の程度に応じて適性検査と実技試験の一部または全部を免除したり,手話通訳者を配置したりするなどの特別選考を実施しています。さらに,平成19年度の採用試験からは,その特別選考の対象者をこれまでの身体障害者手帳の交付を受け,その障害の程度が1級から4級までの者であることから,身体障害者手帳の交付を受けている者へと拡大してきましたが,受験者が極めて少なく,市教育委員会では採用に至っていないのが現状であります。 (中森辰一議員) 志す人もまだまだいろいろ問題があって,課題があって,なかなか一定のレベルまで,必要なレベルまで到達してないという状況があるのかもしれないですね。市の外郭団体の状況を見ますと,個々の雇用者状況もまちまちになっております。対象団体のうち,法定雇用数の3倍雇用している団体もありますけども,ゼロというのも3団体あります。4団体が法定雇用率を下回っているわけです。この教育委員会の問題も含めて,広島市としてこの数字を改善していくいうことで取り組んでいく必要があるわけですけども,どういうふうなことを今やろうとしてるのか。 (滝川障害自立支援課長) 本市の公益法人等における障害者の雇用につきましては,それぞれの団体においてその雇用拡大を図ってきており,本市としては関係公益法人等に対し,法定雇用率が達成していない一部の団体に対してはその旨を指摘し,雇用の拡大に向けた指導等をしております。しかしながら,現在のところ,委員御指摘のとおり,法定雇用率が達成されていない団体が4団体あることはまことに残念であります。今後とも教育委員会を含め関係団体において,法定雇用率の達成に向けて積極的に取り組むよう働きかけを強化していきたいと考えております。 (中森辰一議員) 個々の団体に任せとって,いくんだろうかということもあるんですよね。それで,もっと具体的にこういうふうにするべきだとかいうふうな,一緒になって取り組んでいくということが要るんではないかと思うんですけども,そのあたりは何か考えておられることがあるんですか。 (滝川障害自立支援課長) 今,委員の御指摘のようなことですが,各団体の本庁の所管課と団体も交えまして,障害者ができる事業の内容の抽出とか,あるいはハローワークとの連携のあり方など,個別具体的に一緒になって検討していきたいと思っております。 (中森辰一議員) できる業務ということで,余り限定して考えてはいけないというふうに思うんです。いかにその人が力が発揮できるか。環境をやっぱり整えていくということも,この点は非常に大事,この問題に取り組むに当たっては非常に大事なことだというふうに思うんです。 それから,教育委員会の法定雇用率2.0というのは,これは国が決めた基準なんですよね。ですから,この基準に対して,本来国が責任を持たんといかんというふうに思っています。体に何らかの障害がある,目が見えない方もいらっしゃるかもしれませんし,耳が聞こえない方もおられるかもしれません。あるいはほかに身体障害がある方もいろいろな形があるというふうに思うんですけども,そういうことがあっても,教員になりたいという展望が持てるように,やはりなりたいというか,なれるというね,そういう展望が持てるように,国がこの条件を整備していくという,そういう責任があるというふうに思います。 先ほど,なかなか壁があってというふうに言いましたけども,そういう教員になろうという希望を持っていくというのは,これ大人になってから,あるいは高校を卒業するころだけじゃなくって,中学校,小学校と,そういう段階からそういうふうなことも考えられるような,やっぱりそういう環境整備というのが必要ではないかというふうに思うんです。もっとどこの学校にも教員で障害を持っておられる方がおられる。これが普通になっていくような,そういう状態が求められる,望ましいんだというふうに思います。子供たちのための学校整備,バリアフリーということだけじゃなくって,教員そのものが今バリアがある状況があるんではないかと思うんです。教員になるためのバリアというの,そういうものもフリーにしていく,そういう取り組みをしていく必要があるというふうに思います。広島市だけでできないこととは思います。ですから,ほかの自治体,県やあるいは国,こういうところとも議論をしながら,この問題が解決できるようにぜひ取り組んでいただきたい。この法定雇用率はあくまでも最低限のラインだということをやはりきちんと踏まえながら,これを最低限超えられるような取り組みをしていただきたい。このことを申し上げまして,終わります。 上にもどる |
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