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2008年10月7日 決特総括質疑 中森辰一議員 |
財政のあり方について 市営住宅エレベーター設置について 企業会計について |
財政のあり方について (中森議員) 市民自身がわが町の財政と行政の問題に関心を持ち積極的に関わることは、住民自治として大切なことだと思うが、市の考えを簡潔に教えていただきたい。 (財政課長) ご指摘のとおり、市政推進にあたり本市の行政活動に関する情報を市民に分かりやすい形で提供していくことは、市政への関心を高めて理解を深める点から大変重要と認識している。財政状況についても従来から広報誌や市報、HPなどを通じ情報提供に努めている。 今後とも市の財政状況にご理解を得られるよう、資料の作成に様々な工夫を凝らしていきたい。 (中森議員) いま全国で、市民が集まって自分の町の財政白書を作ろう、という取り組みが行なわれている。市民が市の財政を研究評価して課題を考えていくうえで、類似の他都市と比較しつつ一定期間の推移を見られる資料が必要だと思う。全国の政令市との比較、検討をする上では決算カードの活用が重要になる。総務省の同じ基準で計算されているので比較しやすい。我々が財政局から貰う決算カードがあるが、総務省が今ホームページで公表している決算カードとは様式が違うし、総務省の決算カードにあって広島市の決算カードにないデータもある。 例えば積立金残高の内訳が載っていない。その他の決算カードでは財政調整基金と減債基金とその他の目的基金を区別して表示されている。市民税の内訳の推移を見ると市民の生活状況や地域の経済状況も推し量れる。個人市民税と法人市民税の均等割、所得割、法人割が総務省の決算カードには区別して載せてあるが、広島市の決算カードには個人市民税と法人市民税の額が載せてあるだけ。 このように決算カードの中身の改善に取り組む必要があるが、どうか。 (財政課長) 決算カードは各年度に実施する地方財政状況調査、いわゆる決算統計の結果に基づき各都道府県市町村ごとの普通会計歳入歳出決算額、各種財政指標等の指標をカードに取りまとめたもの。 ご指摘のように、市民に分かりやすい観点から様々な数値を取り込むことについて、分かりやすい資料にするため積極的に検討していきたい。 (中森議員) 市民に分かりやすい資料作りを。決算カードはぜひホームページでも公表して、他都市の決算カードと比較できるよう早く取り寄せて一緒に紹介していただきたい。 (財政課長) 今までホームページでの決算カードの公表はしていなかったが、市民が市の決算について関心を持つためにとのご指摘を踏まえ、決算統計に係る総務省の研修が終了し、数値が確定した時点で公表していきたい。 また他都市の決算カードは、ホームページで公表しているところとしていないところがあり、広島市ホームページへの掲載に同意が得られるところについては、掲載を検討したい。 (中森議員) 積極的な取り組みを。 財源の問題だが、税源移譲でどれだけ財源が増えたか。 (財政課長) 税源移譲による市税収入の増加額は、平成19(2007)年度に国から地方への税源移譲が実施されたことにより、平成19年度個人市民税で約68億円の増収となった。 (中森議員) 普通交付税が一番多かった2000年度と昨年度の比較で、2000〜2007年にかけて財政需要額が240億円も減少している。市民生活が困難さを増し、人口は増えているから、行政需要は増えているはず。同じ理由で充当計上一般財源等というのがこの2000〜2007年にかけて96億円増えているから、本来は基準財政需要額が減るはずがない。これは政府の意図で減らされたものだと。 一方で基準財政収入額は43億円減少している。充当計上一般財源等が96億円増えていることを別にしても、政府のこの意図的な基準財政需要額の減少分240億円と基準財政収入額の減少分43億円を合わせると、280億円も地方交付税が減らされている計算になる。この点を確認しておく。 (財政課長) 交付税の考え方は従来、基準財政需要額の積算にあたっては経常経費、投資的経費、公債費の積み上げにより算出していたが、平成13(2001)年度に普通交付税の振り替わりとして臨時財政対策債が創設されたことに伴い、従来の積算方法いわゆる積み上げ方式により一旦算定した上でその額から臨時財政対策債を差し引いた額になることに変更された。 例えば19年度の臨時財政対策債への振り替わり分が115億円となっている。また平成16年度から平成18年度までの国の三位一体改革やその後の地方財政計画の歳出規模が年々縮小されてきたことなどが原因と考えている。 (中森議員) 要するに地方の財源を減らしてきたことは間違いない。借金に振り替えるというようなこともあったが、地方交付税のそもそもの計算の仕方を意図的に変えてきたことが、広島市を含めて全国の地方自治体の地方交付税の減少という、非常に深刻な影響を及ぼしている。このやり方が変わったのはいつか。 (財政課長) 平成13年度から臨時財政対策債を発行している。 (中森議員) 臨時財政対策債で地方交付税の埋め合わせをしているということになっていたが、そもそも広島市の一般財源を大幅に削減していく作用がここで行なわれている。この点はどうか。 (財政課長) 予算については収入をもって支出の額を決定するということから、このような交付税の算定方式見直し、また国の三位一体改革の影響により収入が減少した場合については、それに応じて市の予算規模が変わってきているもの (中森議員) 市の財政は市民の暮らしを守るためにある。必要な財源が「どれだけ要るんだ」ということがまずはないといけない。もちろん歳入規模に応じて歳出規模を決めることになるが、この間の地方財源を削減していくという政策で、市民のために必要な財源が結局は削減されてきた。そのために広島市の行財政が非常に窮屈になってきたということは間違いない。 この地方交付税が、広島市の場合は200億円と市長が以前言われたが、小さいところに比べて影響が少ないということかもしれないけれども、全国のレベルではこういった政策によってそれこそ合併せざるを得ない自治体も出ている。そのために地域住民の暮らしが非常に厳しくなって、地方が荒廃してきたという声も上がっている。地方交付税のあり方は地方の財源保障機能として確保することが国の責任で、そのため地方が足並みを揃えて「地方交付税の制度をもとに戻せ」と要求すべきだと思うが、その点どうか。 (財政課長) 地方交付税の総額についての地方団体の動きは、全国知事会、全国市長会、全国町村会と全国都道府県議会議長会、全国市議会議長会、全国町村議長会の地方6団体で、三位一体改革に5.1兆円もの地方交付税が削減され、その総額が抑制される中で福祉、医療など社会保障関係経費等が増加していることから、地方独自の財源が不足し地方の実情に即した行財政運営を行なうことが極めて困難になっていることから、地方自治体の安定的財政運営に必要な地方交付税総額の復元、増額について要望を行ってきている。 また指定都市市長会でも地方交付税について、地方交付税は地方固有の財源であり、国の関与、義務付けの見直しを伴わない国の歳出削減のみを目的とした、根拠の無い地方交付税の削減は決して行なわないこと、地方交付税の算定にあたっては大都市特有の財政需要を的確に反映させる仕組みを構築するとともに、予見可能性の確保に努めることなどを要望してきている。今後も引き続き地方自治体で足並みを揃えて国に対して要望をしていきたい。 (中森議員) 地方固有の財源だと、この点を強調していく必要がある。地方は悲鳴を上げており連帯して頑張っていくべきだ。 広島市としての財政運営の考え方だが、かつては経常出資比率6割台という時期もあった。平成になったころから7~8割になり、次第に数字が大きくなってきて今では臨時財政対策債を一般財源に加えて9割台後半という状況になっている。昨年度を見ると98.4%と、100%に近づいてきている。 先ほど指摘した地方交付税の大幅な削減の影響が大きいということが前提の議論をするわけだが、こうした状況をどのように受け止めておられるのか。またこの経常収支比率について今後どのような見通しを持っているのか。 (財政課長) 先ほども答弁したが経常収支比率については、人件費、扶助費、公債費の義務的経費を中心とする経常経費に、都市計画税を除く市税、地方譲与税、普通交付税を中心とする経常的な一般財源がどの程度充当されるかを見るものであり、財政構造の弾力性を判断するために用いられる指標の一つ。 平成19(2007)年度経常収支比率は98.4%であり、平成18(2006)年度の95.8%に比べると2.6ポイント上昇している。また政令市の順位比較においても数値が低い方から数えて17市中16番目となっている。このことは本市財政の硬直化が一層進んでいる状況にあることを表している。 また今後の推移については分子となる経常経費の多くを義務的経費が占めており、団塊世代の退職による退職手当の増、高齢化の進行や格差社会の拡大に伴う社会保障費等の増を踏まえると、なかなか大幅な減少は見込めない。また分母についても国の歳出歳入一体改革や、厳しい経済情勢などにより市税や交付税などの一般財源収入の増加は厳しい状況にある。このような状況下において経常収支比率の急激な改善は見込めない状況である考えている。 (中森議員) 分母の部分は広げていく取り組みをしていただきたい。昨年度広島市で、予算額で453億円、決算額で380億円にのぼる都市計画事業を実施しているが、この財源のうち一般財源は251億円投入されている。予算ベースではこれは300億円近いかと思うが、広島市ではこの都市計画税が相当な額にのぼっており、これも広島市の財政状況を判断するときに重要な要素として考えに入れるべきだと思うがこの点はどうか。 (財政課長) 都市計画税については地方税法において街路整備や下水道事業などの都市計画事業や土地区画整理事業の費用に充てるため、市街化区域内に所在する土地及び家屋に対して課税することになっており、税金の使い道が特定の事業に限定される目的税となり、一般的に様々なニーズに何でも充てることができる財源として考えるわけにはいかないが、その配分は市民ニーズに的確に対応できるよう目的税を逸脱しない範囲で効果的に配分していきたい。 (中森議員) 今言われたように目的税ということだから、制度の上で経常収支比率に加えて自由に使える財源というわけにはいかないが、実際の問題としてこれも経常財源的なもの、広島市として一定の範囲で自由に使えるという考え方で財源を考えても良いのではないかと思うがどうか。 (財政局次長) 都市計画税は地方税法において使途が限定されている目的税という性格があり、一応その範囲で財源充当していきたい。 (中森議員) 都市計画事業の枠が問題になってくる。逆に言うと都市計画事業というのはそれに近い範囲内でやっていくということも考えられる。 仮に都市計画税が経常一般財源に入れられると仮定すると、これは経常収支比率にすると1.5ポイント下がる計算になって93%になる。経常収支比率が100%に近いということになると、もう何もできないということになるが、これぐらいの数字になると大きな建設投資をせずソフトの分野を中心とした行財政のあり方に転換していくということであれば、市民の要望にもある程度応えることができると考えられるが、この点はいかがか。 (財政局次長) 今おっしゃったように経常収支比率を算定する際に都市計画税が入っていない。そういう面で例えば全国の市町村を見た場合、基本的に都市部では都市計画税があるが小さな市町村は本来無い財源であるから、そういう部分を持っているというところでは広島市として使い得る財源、経常収支比率はまだ高いが、そういう財源は持っているということはおっしゃるとおりだが、都市計画税は目的税で、そういう意味で市税の中でいろんな使い方を考えるが、やはりその範囲の中で有効に市民ニーズに的確に対応できるような使い方をしていきたいと考えている。 (中森議員) 大きな事業をしなければということがあったが、この都市計画事業の中でも大きな事業をやっていく可能性はある。先ほど都市計画事業のうち一般財源は251億円投入されていると言ったが、都市計画税を大幅に超えるだけの一般財源が投入されているわけだから、やはりこういう状況も考えながら財源の使い方を考えていく必要があるのではないかと思う。 この財政の問題を議論するときに人件費がいつも一番やり玉に上がるが、必要な人件費はきちんと確保していく必要がある。この点で確認しておきたい。財政危機の問題を考えるときに、何が財政危機の原因かをきちんと見極めることが大事な点だ。 昨年度までの20年間の目的別歳出の推移を見ると、20年前に公債費が297億円だった。これが急速に増えて昨年度は715億円と、2.4倍になっている。歳出の額で20年前は6番目だったのが、衛生費や教育費よりも上になって今では3番目。かつての都市の実力を無視した無理な大型事業推進政策が今日の財政危機を招いたということは、これまで繰り返し明らかにしてきたわけだが、改めて公債費の状況を見ると、やはりこれが最大の原因だということが分かる。 一方で人件費の推移を見ると、職員削減が進められたこともあって平成13年度をピークに減り続けている。最近の3年間は退職金の影響を除くとほぼ横ばい状況。人件費が額として大きいのは間違いないわけだが、これが財政危機の原因だとはいえない。問題は公債費でこの点をいつも意識して財政運営に取り組む必要があると思うが、市の考えを確認したい。 (財政課長) 本市の財政は、国の三位一体改革や歳出歳入一体改革の影響において、地方交付税の減少などにより一般財源収入の見通しは引き続き厳しい状況にある。 また高齢化の進行や格差社会の拡大に伴う生活保護費など社会保障費の増や、団塊世代の退職による退職手当の増など義務的経費の増加も見込まれる。こうしたことから、総じて本市の財政は今後も厳しい状況にあると見込まれる。 こうしたことから、あらゆる経費について本市の財政健全化にあたって聖域なく見直しを行なうこととしており、本年2月に策定した今後の財政運営方針及び、平成19年度で計画期間を終えた第2次財政健全化計画、両計画において人件費も含めた歳出削減に取り組んできた。 一概に人件費のみ、または公債費のみが財政危機の原因と特定することは難しいがそれぞれの経費において適切な見直しを行なっておくことが本市の財政危機を乗り越えていくことに繋がると考えている。 (中森議員) 公債費の膨張が問題だから公共事業の見直しも行なってきた。大きな都市だからいつも公債費が膨らんでいくという方向に傾きがちだと思う。この点はいつも頭に置きながら財政運営が必要だということを改めて強調しておきたい。 この公債費だが前年度比で伸びている。今後この公債費はどうなると見込んでおられるか。 (財政課長) 本年2月に策定した「今後の財政運営方針」に示した内容でお答えする。行政改革、経営改革を積極的に行なう地方公共団体、地方公営企業を対象に平成19(2007)年度から3年間の臨時特例的な措置として、過去に国等から高金利で借り入れた市債を保証金無しで繰り上げ償還し、現行金利で借り上げ、借り替えることができる制度が創設された。この制度を活用して本市も利子負担の軽減を図るため繰上げ償還を行なってきた。そのため平成19(2007)年度から平成21(2009)年度までは繰り上げ償還による元金償還金の増により公債費が一時的に増加するが、平成22(2010)年度から平成23(2011)年度においては、平成19(2007)年度以下の水準になるものと考えている。 (中森議員) 公債費は第2次財政健全化計画の中で平準化という取り組みを行なって一旦下がった。しかしまたジワッと上がってきており懸念している。公債費というのは一般財源の1割程度、言ってみれば20年前の水準だが、これくらいの水準だったらもっといろんなことができると思う。ぜひこのあたりを目標に徐々に下げていくような努力をするべきだと思う。 こういった中で災害対策を別にして、引き続き人口が増えているから、遅れている児童館とか校舎の耐震化を初めとした、市民生活により密着した最低限の建設投資は避けられないと思うが、新たな開発事業、新規の建設投資は極力抑えて、維持補修費、改修費を充実させ既存のインフラを最大限活用して、それを使いやすくしていく。そういう考え方に転換していくことが必要だと思うがこの点についてはいかがか。 (財政局次長) 確かに財政状況は今後も大変厳しく、その中で公債費を抑えることになると、その元は投資的経費、起債が充当できるとはそういうことになる。そこを落としていこうという発想の一つとして、今ある公共施設の維持補修をして有効活用していくという視点も大事だろうと思う。 また、言われたように確かに我々も市民の暮らしに直接かかわるような建設投資も大事であるし、やはり行政を行なう上でいろいろ都市の活力を高めていくものであるとか、あるいは地球環境の改善であるとか様々なことに対応していく必要があると考えている。 今後とも厳しい状況の中だが、そういったバランスを見ながら限られた財源を配分していくということに留意していきたい。 上にもどる 市営住宅エレベーター設置について (中森議員) 考え方の転換はこういう大きな都市ではそう簡単にはいかない面はあるかもしれないが、高齢化も進んでおり、そういう方向に転換していく必要があるのではないか。 既存のインフラを最大限活用していくという点で、これまで我々が繰り返し言ってきたことだが、市民生活に支障を来たしている分野がある。既存のインフラで非常に大事な分野である市営住宅の多くにエレベーターが無い。高齢化を迎えて、高齢になっても住み続けることができるようにエレベーターの設置を求めてきたが、実行されたのは廊下型の建物だけだ。しかし圧倒的多数は階段室型の構造になっており、この肝心の階段室型に設置されていない。心臓、足腰等の障害や高齢で3、4、5階に住み続けられないという状況になりつつある。この分野は一向に改善されていない。なぜやってこなかったのか。やるお考えがあるのかどうかお聞かせください。 (住宅整備課長) 市営住宅における入居者の高齢化への対応として、高齢者の下層階への住み替えを進めるとともにバリアフリー化の観点から廊下型中層住宅へのエレベーター設置を進めてきた。階段室型中層住宅へのエレベーター設置については、まずエレベーターが停止する階段の踊り場から玄関までの上がり降りが避けられないため、完全なバリアフリー化は困難であること。また階段ごとにエレベーターを設置することから、廊下型中層住宅のエレベーターに比べ1基当たりの利用戸数が少なくなるため、入居者が負担する共益費が高くなること。更にエレベーター設置費及び維持管理費の総額が廊下型中層住宅に比べ多く見込まれ、財政負担が大きくなること等の課題があることから、これらについて引き続き検討を行なっている。 (中森議員) やる気はあるのか。 (住宅整備課長) 入居者高齢化の対応について、住み替えの促進を図るとともに、階段型中層住宅へのエレベーター設置についても先ほど述べた課題について引き続き検討を進めてまいりたい。 (中森議員) 検討を進めていくとのことだが、住み替えはなかなか進んでいない。下の階が空くまで待ったうえに経済的に大きな負担を負い、年金暮らしの高齢者にはおいそれとはいかない。 エレベーターが無いため外へ出られなければ、高齢者を市営住宅から追い出していくことになる。或いは住み続けても部屋に閉じ込められることになる。自由に外出できれば近所の人たちとも交流して、心身両面の介護予防にもつながる。この階段というバリアは、結局介護が必要になる状況を早める。広島市財政にとっても良いことではない。 広島市としては耐用年数まで市営住宅を使い続けるという方針に変えているわけだから、そこに年をとっても住み続けるられるよう最大限の改善をするべきだ。この問題は放置できず、もう一度「検討する」ではなく、「やっていきたい」と決意を述べてもらいたい。 (都市整備局長) 市営住宅入居者の高齢化への対応は大変重要な課題だと思っている。そのためこれまでエレベーター設置や手摺り、段差解消のためのバリアフリー化、車椅子乗用車向けの住宅などの設備に取り組んでいる。 一方で市営住宅全体の課題としては、老朽化した市営住宅をどうするのかという大きな問題もある。また前回の議会でも指摘があった浴槽設置の問題もある。ご指摘の階段型室住宅へのエレベーター設置については、高齢者の住み替えも限界があり、市営住宅全体に関わる大きな課題を整理する中で引き続き検討していきたい。 (中森議員) なかなかやりますとは言わないが、大事な課題と位置付けていただきたい。住み替えもよりやりやすいように枠組みの改善もしていただきたい。 上にもどる 企業会計について (中森議員) 三つの企業会計でそれぞれ膨大な規模の減価償却の累計額をもっているが、実質はそれぞれどれだけかお答えいただきたい。 (病院事業局財務課長) 減価償却累計額の実質ということなので、現在の内部留保資金の額をお答えしたい。病院事業会計における損益勘定留保資金は平成19(2007)年度末現在で4病院合わせて88億7649万円となっている。 (経営企画課長) 実質ということで内部留保資金という意味で言えば下水道事業会計ではない。 (水道局財務課長) 水道事業においても実質的ないわゆる内部留保資金は無い。 (中森議員) 貸借対照表上ではいずれも何百億、何千億という単位で数字は載っている。これはきちんと表示されなければ、どういう状況かは全く分からない。いずれも基本的収支で収入不足を生じていて、その穴埋めにこの部分が使われている。それでも病院事業の場合は88億円残っている。 表示されていないというのが、先ほど決算カードの話でも言ったように、決算資料を市民に分かってもらうという点では非常に問題があると思う。私の考えでは、これはライフラインであり、更新分も含め施設のイニシャルコストは税金で賄うべきだ。だからこの減価償却累計額の実績が無いということが問題があるとは思っていないが、そういうことも含めて分かりやすく表示されることが必要だ。企業会計も含めて今、連結して見ようということになっているから、ここの部分、こういう決算書類が分かりやすく表示されることが大事だ。これから述べる質疑のことも含め、そういう工夫、親切な表示をしていただきたい。水道が代表してお答えいただきたい。 (水道局財務課長) 公営企業の決算書は地方公営企業施行規則に定められている様式に則り作成しており、基本的には民間の企業会計に準じたもの。また市の各企業会計では決算書の補足説明のため、任意様式だが決算参考資料を併せて作成している。更に水道局では市民の方々に対してHPなどで、決算を初めとした財務状況を簡潔で分かりやすい説明に努めている。今後も決算関係資料の作成は、分かりやすい説明に留意していきたい。 (中森議員) 病院事業会計の場合は損益勘定留保資金というのは表示されているが、これは決算審査意見書の方に載っている。この決算審査意見書を見ても下水道も水道もそういったことはどこにも書かれておらず、親切とは言えない。改善をお願いしたい。 下水道会計だが資本収支の不足分を補うのに留保資金だけでは足りないということで、翌年度借りる予定の借金を今年度の収入に計上して数字を合わせるということをやっている。これも分かりにくい操作だが、こういうことをやる必要がある経営とはどういう状況なのか。評価をお聞きしたい。 (経営企画課長) 翌年度借りる予定の借金を前倒しして収入に計上しているということだが、これについては許可済みの事業者について建設工事などの支払い債務の計上時期と実際の支払い時期が異なることから、支払い時期に資金調達を行なっているもので適切な資金運用と考えている。 下水道事業会計は一般会計からの補填を受けており、利益の出る状況に無いことから減価償却費は内部に留保せず、事業者の償還等に充当している。仮に内部留保と見立てた場合は更に一般会計の負担が増加することになるので、現状ではこれが適切な処理と考えている。 (中森議員) 今の経営状況をどう評価しておられるかと聞いたが、特に問題があるわけではないということで理解してよいか。 (経営企画課長) 一般財源から繰り入れをいただいているが、今の質問に対しては問題ないと考えている。 (中森議員) 懸念するのはこれからもっともっと料金の値上げになるんじゃないかということだ。そうならないようぜひ努力していただきたい。 企業会計のプロではないので一般市民の立場でいくつか質問したい。この企業会計について個別の事業について聞いたことはあるが、貸借対照表などを直接テーマにしたことはないので間違いがあるかもしれないが、そのことも含めて質問をしたい。通常会計が一番見やすいので代表してお答えいただきたい。貸借対照表に自己資本金というのがあるがこの中身が決算資料のどこを見ても表示してない。この内訳はどういうものなのか、その元は何か、簡潔にお答えいただきたい。 (水道局財務課長) 自己資本金の内訳についてはご指摘のように決算書には書かれていないが、総額約486億円あり、内訳は地方公営企業として引き継いだ資本金にあたる固有資本金が約5億円、建設改良の目的に充てるための一般会計等からの出資額にあたる繰り入れ資本金が155億円、建設改良積立金を取り崩して建設改良に充てることなどにより利益剰余金から振り替えた額にあたる繰り入れ資本金が326億円になっている。 (中森議員) 繰り入れ資本金は利益剰余金が変化したものということだが、この部分は三つの会計とも前年よりも大きくなっている。これは資本ということだから借方の方で対応するのは減価償却の元の価格になるが、これは減価償却が済むと自己資本金は減少していくということでよいか。 (水道局財務課長) 減価償却をすると償却資産は確かに減少するが、減価償却費が費用として計上されるため自己資本金が減少することはない。 (中森議員) 次に、この三つの企業会計にいずれも企業債というのが資本の部にあるが、これは返済しなければならない借金だから負債の部に計上するのが普通だが、なぜ借金が資本に計上されているのか。 (水道局財務課長) 公営企業は民間企業と異なり株式発行による資金調達ができない。このため水道施設等の建設改良の主要な財源として、企業債は実質的には一般企業の株式に相当する機能を担っていることから、資本の部の借入資本金で経理することとなっている。 (中森議員) これはしかし結局は利用料金で賄っていくことになるのではないか。 (水道局財務課長) 資本金といっても確かにこれは返済しなくてはいけないものなので、この財源としてはやはり水道利用料金ということになる。 (中森議員) つまり建設投資の費用も全て利用料金で賄うという考え方でこういう処理になっているが、先ほど言ったようにライフラインは税金でつくることを原則とすべきで、私どもとしては同意できない考え方だ。一般の企業会計とも全く違う表示で非常に分かりにくい。貸借対照表の位置づけは変更すべきではないかと思う。市の意向でどうこうできないが市民向けにはこれは説明が要る。 それから資本剰余金という資本の部に「工事負担金」というのがある。水道よりも下水道の方が実は額がかなりおおきいが、これはどういうものか。 (水道局財務課長) 工事負担金は、第三者の依頼に基づく配水管等の施設の新設や移設は建設費を原因者に負担してもらっているが、それの収入にあたるもの。 (中森議員) つまり市民が負担したものということになる。同じところに国庫補助金というのがある。これも下水道が額が大きく、前年度よりも大きくなっている。これは工事をする経費の一部として国から支払われて水道会計が受け入れたもの。この趣旨は建設費が過大な料金負担となってはね返らないように国が補助したもので、2007年度で国庫補助金が149億円余り、工事負担金が458億円余りとなっている。これらが年々積み上がっていくとなると借方で対応する償却資産の原価に加算計上することになり、原価償却額が増えて市民にはらってもらう料金にはね返っていくことになり問題があるのではないか。 (水道局財務課長) ダムや共同溝の建設にかかる負担金などについては国庫補助等を財源として、取得した資産については補助金の額が料金に転嫁されることが無いよう、固定資産の取得に要した中からこれらの補助金の額を控除して減価償却を行なういわゆるみなし償却を行なっているので、直接料金にはね返ってくることはない。 (中森議員) それ以外はどうか。 (水道局財務課長) 資本剰余金でいえば財産評価額というものがあり、これもみなし償却を行なっている。 (中森議員) 国庫補助金は大きな規模の建設だけではない、例えば2007年度では2億円程度しか増えていないわけだから、これはやり方が違うのではないか。それから工事負担金の扱いはどうなっているか。 (水道局財務課長) 工事負担金はみなし償却は行なっていない。 (中森議員) もう一度確認するが、国庫補助金は大きな規模の事業をしたときだけで、これを全額みなし償却しているのか。 (水道局財務課長) 少なくとも近年でいうとダムの開発にかかる経費やそういったものにかかる補助金はみなし償却を行なっている。 (中森議員) 工事負担金はしていないということか。 (水道局財務課長) そういうことだ。 (中森議員) この資本剰余金の部分は結局償却費を押し上げていく。みなし償却をしなければ減価償却費を押し上げていく。つまり利用料金に上乗せしていく形になる。国庫補助金は全額かどうか、なかなか全額だと答えてもらえなかったが、もしこれが全額やっていないのであればこれは料金でもう一度払うものに加わっていくことになるし、工事負担金はもう間違いなく料金で払ってもらう部分に加わっている。工事負担金はいわば利用者市民が既に支払ったもので、もし国庫補助金が全額みなし償却していないのならこれもまた国を通じて市民が既に支払ったものを利用料金に加算をする形になる。それは結局市民が2回負担するのと同じことで、あり方として問題がある。そうならないように全額みなし償却をする必要がある、工費負担金も含めてここの部分はみなし償却をするべきだと思う。これはなぜそういうことにならないのか。 (水道局財務課長) みなし償却については地方公営企業の施行規則で、補助金等の内容によって任意でみなし償却を行なうことができるとなっている。先ほど(中森議員が)言われたように、みなし償却をすることによって確かに料金負担に直接はね返らないということは確かにいえると思うが、本来の経営という観点からいえば減価償却をして費用回収しそれを内部留保して経営基盤を強化していく一面もある。全てをみなし償却してないのは事実だが、全てをすることがいいのかどうか、経営を考えながら選択していくべきではないかと思う。 (中森議員) 今後、国庫補助金をどういう扱いにしていくのかというのはあるが、独立採算という原則で考えればこれはできるだけ利益が増える方がいいわけだから、みなし償却などはせず料金で再度回収をして内部留保を増やしていく。それで施設の更新に備えていくという考え方になるのだと思う。事前にお聞きするとそういう考え方で施設の更新のときには国庫補助金は出ないということだが、そうすると更新の問題が出てきたときには水道料金を値上げせざるを得なくなる。先ほども言ったが市民病院もそうだと思うが、水道も下水道も市民のライフラインで本来その資産形成は税金で賄うべきものだ。その上でせいぜい使用量に応じて維持管理経費などを料金として徴収するのが本来の姿ではないか。資産形成のあり方は地域によって違う。水源から遠い所はたくさんのお金がかかる。それを全て住民負担にすると、住んでいる地域によって同じ水を飲んでいても水の値段が大きく違ってくる。国全体の問題として非常に不公平なことになる。実際に水の値段は地域によって大きく違うのが現状だが、それを解決するためには施設の更新にも国が十分な補助金を出すことが必要だと思うし、全額みなし償却にあてることで料金にはね返らないような構造にする必要がある。この点はぜひ国に要望していただきたいと思うがいかがか。 (水道局長) 今いわれたようにライフラインとして非常に大事なもの。いまのところ作った後の更新には国の補助が無い状況で、殆どの都市が、広島市においても年数が経って耐震化とか新しい機械に変えないといけないとかいうことも確かにあり、政令市或いは日本水道協会などあらゆる団体を通じて国に要望して、これらを負担軽減して料金改正にならないようにできるだけの負担をしていただくことをこれからも機会あるごとに負担分を軽減になるように、水道料金は安定して安い料金でできるだけ多く供給できるようにしていくことが我々の使命。これについては皆さんと同じ考えなのでこの方向で進めていきたい。 (中森議員) ぜひ更新分については補助金で手当てしていくように実現していただきたい。 上にもどる |
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