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地球温暖化対策について


2008.10.14 決算特別委員会 経済環境関係  皆川けいし議員


(皆川けいし議員)
 地球温暖化対策について19年度の取組状況を踏まえながら質問する。本会議でも条例が審議され、待ったなしの課題と市長も強調しておられた。まず最初に、決算なのでH15年に策定した地域推進計画に基づき、H19年度に取り組んでこられた主な施策を述べていただきたい。

(エネルギー・温暖化対策企画課長)
 H19年度に取り組んだ市全体の主な施策は、まず家庭生活での取り組みを促す施策として、地球温暖化防止の取り組みを行うことにより、協力店で割り引き等の特典を受けることができるインターネットを活用したエコライフ推進事業を新たに実施したほか、出前環境講座の開催、環境サポーター養成講座や打ち水大作戦の実施など、啓発事業や人材育成事業にも取り組んでいる。
 また事業活動での取り組みを促すための施策として、中小企業向け環境マネージメントシステムであるエコアクション21の普及促進、事業活動に伴うごみ減量・リサイクルの推進等に取り組んだ。
 また自動車使用時の施策としてマイカーのるまぁデー、パークアンドライドの導入促進、低公害バス車両購入費補助、自転車や歩行者が安全で快適に通行できる河岸緑地の整備等を実施した。
 また市の率先取り組みとして、総合リハビリテーションセンターに出力10キロワットの太陽光発電システムを導入した。この他ISO14001につき市役所本庁舎等で運用するとともに、新たに中工場で認証を取得した。
 その他、二酸化炭素の吸収元対策としてH19年度から導入された広島県の「広島の森づくり県民税」を活用し、人工林の間伐実施や広島産間伐材を使用した学校机用天板の制作と佐伯区、安芸区の中学校への配布を実施した。


(皆川けいし議員)
 いろいろ取り組んでこられたが、問題はどれくらいの効果があるかということ。手元に頂いた削減の数値目標で、H17年までの数字しか分かっていない。直近の数字で言うと削減効果はどうなっているのか。とりわけH22年度までに6%削減するため、この行動計画では「40.5万トン削減が必要だ」となっている。こういう削減目標に対してその後はどうなっているのか。

(エネルギー・温暖化対策企画課長)
  排出量の最新がH17年度で638.7万トン。基準年度のH2年度の636.5万トンと比べ0.3%の増。部門別では工場等の産業部門、自動車使用等の運輸部門は減少傾向にあるが、オフィス等の業務部門、家庭部門は増加傾向で、特に家庭部門の増加が顕著な状況である。

(皆川けいし議員)
 H17年度の数字はもらっているが2年ずれており、19年度決算だから、本来19年度がどうであったのかを出すべきだ。どうしてこうまどろっこしく時間がかかるのか。

(エネルギー・温暖化対策企画課長)
 排出量の算定は各種統計資料を用いており、この資料が出揃うのに時間がかかる。現在18年度の算定途中だが基本的なトレンド(傾向)は変わらない。

(皆川けいし議員)
 基本的に変わらないとはどういうことか。減りも増えもしないということなのか、それとも減少に転じているのか。プラスかマイナスかゼロなのか。

(エネルギー・温暖化対策企画課長)
 最終の数字がまだ出ていないのであくまで方向性についてだけだが、基本的にほぼ横ばい状態の状況は変わっていない。


(皆川けいし議員)
 私も不勉強だったが、市長答弁だったか、温暖化が現象として現れるのはかなり時間差があり、いま地球温暖化の影響が出ているのは実は10〜20年前のCO2の排出量の影響で、こんにち我々が出しているCO2の影響は10年〜20年後に現れる。10〜20年前の排出量と今の排出量を考えてみたら、日本の場合はもっと増えていて、これは今よりひどい影響が出てくる可能性が強いわけで、私は本当に待ったなしだと思う。いま聞いた取り組みくらいでは6%をあと2年間で達成するというのは、答弁にあったように非常に困難だと思うが、ギリギリまで努力する必要がある。
 行動元年の資料を家庭と産業の大きく二つに分けて見たら、産業関係が7割を占めている。家庭は増えているといわれるが、全体の中で占める割り合いは26%で、あとは産業系や事業活動に伴うものが約71%。今日は産業分野について詳しくお尋ねしたい。
 広島市では条例が実現しなかったが、国の省エネ法に基づき大口排出事業者は届け出を義務付けられている。それによると広島市内の大口排出事業者の状況はどうなっているか。

(エネルギー・温暖化対策企画課長)
 省エネ法の届け出事業者名は国により公表されている。民間事業者の数はエネルギー使用量が原油換算年間3000キロリットル以上の第1種エネルギー管理指定工場は、市内に三菱重工広島製作所、そごう本館・新館、リーガロイヤルホテル広島など27の事業所がある。また、それよりもやや小規模なエネルギー使用量が原油換算年間1500キロリットル以上3000キロリットル未満の第2種エネルギー管理指定工場は市内にオタフクソース本社工場や天満屋八丁堀店・緑井店、ホテルグランビア広島など38事業所ある。両方合わせると市内には計65事業所あり、うち複数の事業所をひとつの事業所が擁しているものもあるため、事業者数でいうと60の事業者が対象となる。


(皆川けいし議員)
 条例審議の中で、私が本会議で質疑をしたときも「1500キロリットル以上の事業所は市内に約150事業所ある」という答弁があった。今の話は民間だけで65事業所が国に届け出義務を負っているということだが、倍以上の事業所が実は1500キロリットル以上出しているということになるのではないか。かなり数字が違うが。

(エネルギー・温暖化対策企画課長)
 先ほどの数字はH18年度の省エネ法の届け出事業者数。本会議答弁の150は、省エネ法が今年度の5月に改正され、今までは事業所ごとに対象になっていたが、例えば小さい事業所でも複数あって、その合計排出量が大きい場合はこれを連結して省エネ法の届け出対象になるような改正があった。条例案についても、単独の施設だけではなく複数の事業所をもっている事業者も対象にするように考えており、その場合この65事業所より数が増えて150くらいになると見込んで答弁したもの。


(皆川けいし議員)
 国の省エネ法に基づいて大口排出事業者が届け出をするわけだが、届け出を出すだけなのか、それに基づいて削減計画を立てて結果も報告するという流れは国の法体系の中にはないのか。

(エネルギー・温暖化対策企画課長)
 計画を出してその結果を報告するという形は、3000キロリットル以上の第1種エネルギー管理指定工場がそのような形になっている。第2種は届け出だけ。

(皆川けいし議員)
 もうひとつ。今の65事業所全部で市内の総排出量のどれくらいを占めているのか。

(エネルギー・温暖化対策企画課長)
 事業所の全部の排出量は国のホームページ等で公表されていないので、全体について把握していないが、昨年度私どもで大規模事業者に対しアンケートを実施した。その結果によると、調査の回答があった事業者が第1種エネルギー管理指定工場が16、第2種エネルギー管理指定工場が20で計36。この36事業所の排出量合計が二酸化炭素換算で約31.6万トンとなっている。


(皆川けいし議員)
 合わせて1500キロリットル以上排出している65事業所中約半分の36事業所の合計が31.6万トン。私の計算では、H19年現在の産業部門と業務部門を合わせた市内の総排出量が291万トンになっている。その中の31.6万トンつまり11%相当を、わずか35の事業所で排出している、ということだと受け止めてよいのか。

(エネルギー・温暖化対策企画課長)
 ご指摘の通り。


(皆川けいし議員)
 国に出した一覧表の産業部門、業務部門の中に広島市の清掃工場とか市民病院など大規模公共施設が全然入っていないが、届け出義務は無いのか。また運輸部門のJRや広電、トラックなども入っていないが、全事業所といったら公共も民間も併せて全部はっきりすべきではないか。市は掴んでいるのか。

(エネルギー・温暖化対策企画課長)
 市の事業所で、第1種は水道局の高陽取水場など5施設あり、第2種は中区工場など7施設、合計12施設が省エネ法の対象となっている。これらの施設の排出量は全体で14.3万トン。運輸業者は把握していない。


(皆川けいし議員)
 国に対して運輸部門は届出義務が無いのかどうか、あとで回答を。
 今年、こういう事業者に対し「事業者の温室効果ガス排出実態等に関する基礎調査」や「環境エネルギー調査研究」ということで予算を組んでおられるが、それに基づいて条例化されたものと思うが、事業所の実際の排出実態を掴むという点で、具体的にはどういう取り組みをされているのか。

(エネルギー・温暖化対策企画課長)
 昨年度から今年度にかけて事業者の排出実態調査を行っている。19年度は市内65の大規模事業者に対し、温室効果ガス排出状況や設備機器、建物延べ床面積、省エネ化の動向等アンケート調査を実施。また今回条例で提案した内容の「温室ガス削減に関する計画書制度」の有無について、他都市の事例調査なども行っている。今年度は現地調査実施も含めた詳細な調査を行う予定。


(皆川けいし議員)
 運輸部門について後で教えて。答弁できるなら今答弁を。
 次に、電力に代わって太陽光発電も含め再生可能エネルギー、自然エネルギーをどう置き換えていくか。私はこれが鍵を握っていると思う。いろんな取り組みがたくさんあるが、基本は「自然エネルギーの活用をどれだけ普及していくか」が要の中の要だと思う。日本以外の先進国はどこも目標値を持って、何年度までに自然エネルギー、再生可能エネルギーを何%にするかを大きな目標に据えて取り組んでいる。その取り組みを簡潔に説明してもらいたい。日本でも国はまだ具体的方針を持っていないが、既にちゃんと我が都市の再生可能エネルギー普及目標を持って取り組んでいる進んだ自治体が出てきている。事例の説明を求める。

(環境局次長)
 石油など天然資源には限りがある中で、エネルギーの問題また温暖化対策を進める上で再生可能エネルギーの利用拡大を図っていくことは極めて重大であると考えている。このため本市では今年度、太陽光発電や太陽熱利用システムに対する補助制度の創設、公共施設への大規模太陽光発電システム導入など、利用拡大に向けた取り組みを始めている。
 また条例制定により、電気事業者に対し電気供給量に占める再生可能エネルギーの割合の目標等を記載した計画書提出を義務付けることも検討している。
 条例については早期に再提案したい。今後とも、ご指摘のように国内外の先進的取り組みの情報収集に努めながら実効性の高い施策を実施し、本市が掲げるカーボンマインス70達成に向けた取り組みを行なっていきたい。


(皆川けいし議員)
 温暖化対策で一番進んだ取り組みをしているのは、石原知事の東京都で、国に先駆けていろいろな対策をとっている。私は(東京都の施策を)いろいろ勉強して、学ぶ価値があると思った。少し説明しておくと東京都は「2020年までにエネルギー利用の20%を自然エネルギーに転換する」という再生可能エネルギー戦略を発表して取り組んでいる。そして去年の3月には500億円の温暖化対策基金を設置して、太陽エネルギー普及会議を立ち上げ、今年6月に国に先駆けて温室効果ガス排出規制義務付けと太陽エネルギー普及の制度化、それから地方環境税の導入などを骨子とする「東京都気候変動対策方針」を発表している。
 広島市も遅まきながら太陽光エネルギーの活用で、総合リハビリテーションセンターに設置し、今年度は市立大学と小・中2校ずつ計4校と計6施設に導入して、取り組んでおられるが、こういう太陽光発電や風力発電も含めて、既存の電力に代わる新しい再生可能エネルギーを、広島市としては例えば2020年までにどうするのか、次の2030年まではどうするのか、という目標の数字を持って取り組んでいただきたい。
 行動計画を見ると、「2030年度までに太陽光発電などの再生可能エネルギーが20%の住宅に普及」と目標に掲げてある。「2050年度までで同じく50%の住宅に普及」これは住宅に限ってパーセントを設定されているが、全体の総電力消費量に占める再生可能エネルギーの割り合いをどれくらいに設定してあるかが重要だ。それを含めてもっと検討する必要があると思うが、お考えは。

(エネルギー・温暖化対策企画課長)
 ご指摘の通り温暖化対策において再生可能エネルギーの利用拡大を図り、具体的な形で計画的に進めていくことは大変重要であると思っている。
 脱温暖化実現計画の骨子に挙げているのは、目標年度の社会のイメージということで、2050年に70%削減する社会がどういう社会なのか、ということを読んでイメージしていただくために書いたもの。具体的な話としては、導入目標の設定を含め具体的な取り組み方策、東京都のような戦略のようなものを取りまとめることについても検討していきたい。

(皆川けいし議員)
 今後検討といわず待った無しなので、直ちにそういう作業も含め始める構えを求めておく。
 先ほどあまり詳しく紹介が無かったが、因みにEU諸国ではどうなっているか。
ドイツは既にこの再生可能エネルギーの割り合いが、07年で14.2%になっている。これを2020年度までに30%にするということで取り組んでおり、既に太陽光発電、風力発電は世界一の取り組みになっている。この前も触れたが、議会棟ロビーの写真のハノーバーの市役所敷地内に8基の風力発電機がある。そういう取り組みを国を挙げて行なっている。
イギリスも現在2%だが2020年には15%にする。これで新たに16万人の雇用を生み出すという政策を政府が打ち出している。国として2016年には、新築家屋のCO2はゼロにするという方針まで挙げている。新しく建つ家のCO2はもう出さないということは、全部自然エネルギーで賄う。こういうことまで打ち出している。
アメリカは一番環境対策が遅れているといわれているが、州ごとには非常に進んだ取り組みをしている所がたくさんある。24の州が自然エネルギーの目標値を定めている。連邦では2020年に15%のエネルギーの供給を義務付けるという法律が既に採択されている。これらを見ると、いかに日本が政策不在かと改めて思った。そういう国待ちでなく東京都などに学んで、ぜひ広島市としてどんどんこの問題では遠慮はいらないわけだから、遠慮していては人類の生存に関わるわけだから、やれることは全てやるということでやっていただきたい。

ひとつ提案だが、先進自治体の取り組みで、滋賀県が風力発電や太陽光発電で生み出された電力を、関西電力に売って、今の日本のシステムでは時価で売るというか、今の電力料金と同じ料金で電気会社が引き受ける。非常に割りに合わない。平均で1キロワット23円くらい。これではなかなか普及しない。EU各国でも固定価格で日本の4倍の価格で買い上げる。それは政府がお金を出すのではなくて、国民みんなが等しく負担していくシステムをとっている。日本では地域ごとに電力会社が独占体制をとってなかなか全国的な電力の調整機能が働かないことがネックになっている。滋賀県が関西電力の電気量に対して更に上乗せをしている。これは今後広島市で自然エネルギーを普及する点で、中電に売電することが割りに合わないということで普及しにくいと思う。その場合を想定して太陽光発電の買い取り価格の上乗せ補助を県としてやっている。この点今後参考に取り組んでいただきたい。
 次に、風力発電について。どのように考えておられるか。

(エネルギー・温暖化対策企画課長)
 中国山地、四国山地に囲まれた瀬戸内海沿岸地域で、平均風速毎秒2~3メートル程度と弱いこともあり、一般的には風力発電に適していない地域といわれている。


(皆川けいし議員)
 カーボンマイナス70実現計画の中に、風力発電について「磁気浮揚型発電装置など革新的技術の動向を調査し、積極的に普及促進していく」と方針が掲げてある。磁気浮揚型風力発電装置についての調査研究はされているのか。

(エネルギー・温暖化対策企画課長)
 弱い風でも効率的に発電できる可能性があるということで、本市の風の状況などに適応するかどうか調査していきたい。いま事業者に文書で照会をしたりして調査を進めている。
 運輸関係では、昨年度主な自動車保有事業者に対しアンケート調査等行っているが、省エネ法に基づく届け出に関する情報収集は出来ていない。

 
(皆川けいし議員)
 2月10日付け毎日新聞に「夕凪のまち 風力の国」広島市が風力発電を検討。発電機1基で全世帯照らす。このような記事が載っており、たった1基でこの磁気浮揚型風力発電は75万世帯分の消費電力を賄える風力発電というのが検討されているらしい。最新式の超大型プラントだ。1基導入したら市内全世帯の電力が賄える。「平和都市広島が地球温暖化対策で世界へメッセージ発信。職員をサンフランシスコへ派遣して検討などする」ともある。本当にこれ1基で全世帯賄えるのだろうかとも思ったが、いずれにしてももしこれが実現したら凄い。どれくらいの予算がかかるのか分からないが、風が無いからと、今クルクル回っているあの風車型だけでなく、どんどん技術が開発されているようなので、これも含めて今後取り組みを強めていただきたい


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