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2007年2月8日 予算特別委員会・厚生関係 中森辰一議員の質問(大要)


税源移譲による「新たな負担」ないと言うなら国保料の負担増えないよう措置を
3福祉医療制度の県補助カットに対し、「どうしても必要な制度」という姿勢を
生活保護水準以下の所得であっても多くの税・社会保険料負担がある
低所得者のための国保料減免復活させ、憲法に反する重い負担の改善を



税源移譲による「新たな負担」ないと言うなら国保料の負担増えないよう措置を

  所得税から住民税への税源移譲によって住民税が高くなる人がいます。しかし、これは所得税と調整されるものであって、定率減税廃止の問題を除けば、どの所得階層であっても税源移譲による「新たな負担」は生じないということになっています。間違いありませんか。

≪財政局長≫
  所得税から住民税への税源移譲による(負担増となる)影響は、無いように制度が仕組まれています。


  市民は、税源移譲による「新たな負担」はないと理解していると思いますし、政府も、積極的にそのようにアピールしています。実態としては、税以外にいろんな問題に波及していきますが、原則はここにあると思います。
  (定率減税廃止の問題を除き)住民税と所得税を合わせれば負担の増減はないけれども、広島市のように国保料が市民税の所得割額を算定基礎となっているところでは、税額そのものが動くと直接、保険料に影響します。この問題は国保料と一緒に徴収される40歳から64歳までの介護保険料も同様です。
  しかし、少なくとも税源移譲で「新たな負担」が生じてはならないのですから、住民税の所得割が税源移譲によって増えても、国保料と介護保険料は増えないようにする必要があると思いますが、この点の認識はいかがでしょう。

≪保険年金課長≫
  平成19年度の税制改正によるフラット化(税率の見直し)によって、市民税額が増額する仕組みになっています。それに伴い、本市の賦課方式は市民税所得割を採用しているので、国保料の算定基礎が上がってくるということになります。
  しかし、内容をよく検討すると、市民税の全体の税収そのものが増えるので、国保料率(市民税所得割額に掛ける料率)が下がってくるという状況が生じますので、市民税額が上がった状態そのままに国保料に反映するものではないということがいえると思います。
  なお、現実の問題として、その影響を受けて(国保料が)上がったり下がったりという状況が生じますが、これについては、今後、国や他都市の状況を見極め、影響を受けないような形で対応していただきたいという要望を(国に対して)おこなっていきたいと思います。


  私が聞いたのは、税以外のところ、国保料や介護保険料で「新たな負担」が生じることがあってはならないという認識がありますかということです。

≪保険年金課長≫
  国民健康保険料の算定方式については、法ならびに政令で規定があり、本市のように住民税をもとに国保料を算定する段階においては、これに対する対応が法定上できない(※)ことになっています。

※解説・・・税源移譲に伴い、国保料が増える人と減る人が必ず出てきますが、現在の国民健康保険法では、双方の保険料を調整して増減がないようにすることができません。

  現実にはそうなっていますが、私が強調しているのは税源移譲というのは単なる税の仕組みの変更であり、それが保険料にまで影響してはならないということです。
  そうでなければ、「税源移譲で新たな負担はありません」と宣伝している政府、あるいは自治体、市もそう言っていますが、それはウソだということになります。
  少なくとも、負担が増えないよう、きちんと措置をとる必要があると思いますが、いかがですか。

≪保険担当部長≫
  国の政策変更にもとづいて、地方自治体が影響を受けるということです。昨年度は年金控除の縮小とか老人控除の廃止があり、それに対して税金が上がり、保険料が上がるということに対し、国は上がった分については安くするような対策(※)を講じています。
  我々としては、今回は国の政策に基づくものであるという観点から言えば、国で何らかの対応がされるのではないかと推移を見守っています。今のところ、何もされていませんが、基本としては国で考えていただく必要があると考えており、国に対して要望していく考えです。

※解説・・・「安くする」のではなく、期限付きの激変緩和措置です。

  国民健康保険法の現在に枠組において、「負担が減るところ」から「負担が増えるところ」にあてて、プラスマイナスゼロにする(料率を分ける)ようなしくみはつくれないということで、法の枠組を変えてほしいということを言われましたが、それを待っていては次の年度は負担が増えてしまいます。それではいけないのです。
  国が動かないのであれば、暫定的にでも市独自の施策で負担が増えないようにしなければいけない。それにかかった費用は、あとから国に請求してもいいと思います。そういうことをやらなければ、税源移譲で「新たな負担」が生じることになります。
  税源移譲は、住民のための施策を自主的にできるようにするということで、自治体が(地方分権として)求めていたことです。その税源移譲のせいで、とりわけ所得の低いところで「新たな負担」が増えるということは問題があります。
  この問題は、本来、予算にきちんと位置づけてやっていくべきものです。今回の当初予算案には入っていませんので、本当は予算修正してでもやってほしい点です。
  「新たな負担」が生じることのないよう、早く(市独自の)枠組みをつくって対応できるようにしてほしいということを強く求めておきます。

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3福祉医療制度の県補助カットに対し、「どうしても必要な制度」という姿勢を

  県が、「政令市は権能が同格」との理由で、ひとり親家庭の医療費補助、乳幼児医療費補助、重度障害者医療費補助の3つの福祉医療制度の財源を、県内市町のなかで広島市分だけカットする方針を打ち出しました。
  しかし、政令市であっても、これらの財源が特別に保障されているわけではありません。広島市民は他の県下自治体の住民と同じように、所得に応じて県民税を払っており、同じ施策を受ける権利が県下の住民全員にあるわけです。
  これは当然の道理だと思いますが、市の見解をお聞かせください。

≪保険担当部長≫
  福祉医療補助を3年間は3分の1にし、4年目は廃止するということを打ち出しています。
  県の理由としては、政令市は県と同格であるということですが、我々としては、福祉医療制度は大変重要な施策だと思っていますので、19年度予算にはこのまま実施するということで計上しております。
  ただ、県の見直しについては合理的な理由がないと考えていますので、県に文書で要望して、制度を維持するためにねばり強く働きかけたいと思います。


  ねばり強く働きかけるのは当然ですが、そもそも、広島市民だけ他の自治体の住民とは違うのだと区別をするということに道理がないのです。広島市民には県の施策を適用しなくてもいいという論理ですが、これは通りません。
  ですから、広島市としては筋の通らないことに対して強い姿勢で臨む必要があります。あくまでも筋の通らないやり方に県が固執するなら、断固たる財政措置も考えるくらいの強い姿勢が必要です。ねばり強くと言われましたが、どうしても、この道理を県にわかってもらうために何か考えていますか。

≪財政課長≫
  県が昨日記者発表しましたが、市には補助率を下げる形で予算措置をしたということですから、当面のところはねばり強い要求をしていきたいと考えています。
  このまま続けていきますと、場合によると歳入欠陥が生じかねないという状況です。年度中途であっても変えてほしいという旨を申し入れて行きたいと考えていますが、どうしても県が動かないということであれば、何らかの対抗をしていかなければならないと考えています。
  これについては色々な局とも相談し、県とも協議しながら検討してきたいと思います。


  県が予算措置(補助率を維持)することを前提に、今の制度をそのまま維持するという形で市の当初予算が組まれていますが、仮に、今後、県が不当なことを続けるということになっても、4年後は全面的に廃止するといっているわけで、財源がなくなるということですから、この制度はこれまで通り堅持するということでいいのか確認させてください。

≪保険担当課長≫
  現段階で、県(の補助)が復活するのか(わからないので、この制度変更についての)コメントは差し控えさせていただきます。


  「これはどうしてもいる制度なんだ」という断固たる態度で続けるという姿勢が必要です。
  この制度を続ける(べきだという意思を県に突きつける)ためには、県がどうしてもやりたいという高速5号線とか出島沖埋立にはつきあわないという姿勢も示し、断固たる態度で臨まなければならないと思います。

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生活保護水準以下の所得であっても多くの税・社会保険料負担がある

  わが国では戦後の課税のあり方の柱として、生活費には税をかけないという原則があります。負担する能力のないものには税を課さない。その能力があるかないかの基準は、憲法が保障する最低生活費であるということが、税務大学校の専門家の本にも書いてあります。
  現実の制度はともかく、「生活費非課税の原則」を、制度を考える時に根底に置くべきではないかと思いますが、税制を担当する財政局長はどのように受け止めておられますか。

≪財政局長≫
  ご指摘の主旨は、国民が当然負担しなければならない納税の義務を勘案する場合に、国民が憲法で保障されている最低限度の生活が保障されているかどうかを勘案されるべきであろうという考え方だと思います。


  生活保護の担当の方にお聞きしますが、憲法25条では、日本国民として健康な状態で社会生活をおくることができる最低限度の生活を保障しています。
  これに基づいて、そのために必要な生活物資やサービスなどを購入するための費用を積算して、国が生活保護基準を決めています。生活保護基準というのは、憲法が保障する最低水準の生活費そのものだと思いますが、その通りですか。

≪保護担当課長≫
  保護の基準は、国民の最低生活を保障する基準を守っていくものです。


  最低生活を保障するための生活費であるということです。
  ヨーロッパの国々では、医療も年金も税でみていますから、そういうことを考えると社会保険料も税の一種だということができると思いますが、「生活費非課税の原則」で考えますと、生活保護水準以下の所得には、税金や社会保険料をかけてはいけないということが原則です。生活保護の世帯には税も社会保険料も課せられません。
  しかしながら、現実には、生活保護になっていなければ、生活保護基準以下の収入しかなくても、住民税、所得税、国保料、介護保険料も課けられているのが現状です。
  実際に、借家住まいの自営業の夫婦と小学生中学生の子ども2人の4人家族の場合で考えると、生活保護基準はだいたい317万円程度になると思います。これ以下であると、生活保護の場合、社会保険料も税も負担がありません。
  ところが、同じ収入でも生活保護にならない場合、おおまかな計算で、今年は所得税が7万円、住民税が16万円、国保料が34万円です。これに夫婦が40歳以上ということであれば7万円以上の介護保険料が更に課されます。あわせると64万円。収入の2割を超える負担です。これは収入の組み合わせでいろいろありますが、一番条件が厳しい例です。
  生活保護程度の所得しかないのに、これほどたくさんの税や社会保険料の負担がある。憲法が保障する、人として必要な生活費をこんなに削る制度が、現に行われている。
  憲法の規定に反する仕組みが国でも地方でも続いてきました。行政にたずさわる者は、こういうことを踏まえて、負担のあり方をきちんと考え直す必要があると思います。

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低所得者のための国保料減免復活させ、憲法に反する重い負担の改善を

  こうしたなか、一昨年廃止された低所得者のための広島市独自の国保料減免制度を適用すると、少なくとも、国保料は先ほどの場合、34万円から約4万2千円にまで軽減されます。この世帯の憲法に反する過酷な負担を半分に減らすことができます。
  広島市の独自の減免制度の元々の主旨について、社会局としては色々言い分はあったと思いますが、しかし、それだけの生活費の他に継続的に活用できる資産がない場合は、廃止された低所得者のための国保料減免制度は、現状の生活費を大きく削り込む、まさに憲法に反する状態、これを大きく改善するために有効な制度だったと考えますが、社会局としてはどう考えますか。

≪保険担当部長≫
  17年度に減免制度を改正したが、低所得者への減免制度として有効に機能してきたと思います。それはそれで評価をしています。


  評価をしてきたものを、なぜやめる必要があったのか。憲法に反する事態を改善する大事な制度だったわけです。先ほど社会局には言い分があったと言いましたが、もし、これが制度の原則と元々違うんだというのであれば、代わりの制度をつくるべきだと思いますがいかがですか。

≪保険担当部長≫
  減免制度を見直しましたが、国保料については負担能力に応じて負担をしていただくことで成り立っています。
  17年度に保険料を見直した主な要因は、保険料の賦課を見直して低所得者に対して、国の定める法定軽減の枠を拡大して、従来、6割軽減と4割軽減だけであったものを、7割、5割、新たに2割という低所得者の方に対する法定軽減制度の拡充を図っています。
  減免制度については、保険料が前年度の所得にもとづく保険料を課しているということで、当該年度につきましては、災害であるとか、失業であるとか、疾病などで所得が減少する、なくなるということで、前年度の所得に賦課した保険料では当該年度に支払いができない状況が考えられますので、そういった失業・災害等で所得が減少した場合に、支払えるようにということで減免制度を見直したと言うことです。
  法定軽減制度の拡充と、本来あるべき減免制度に立ち返って、減免制度を見直したということです。


  法定軽減では矛盾は解決しきれません。2割では足りない。市のこれまでの制度を適用すれば、法定7割軽減相当にすることができた制度でした。代わりの制度をつくるべきです。
  資産がある人はいいが、資産がない人は自分の最低生活を削り込んで払うしかない。そういうのが認められるのですか。
  2割軽減では非常に不十分です。だから、広島市の制度は大事だったと繰り返し議論してきたのです。これは引き続き必要な制度です。
  先日の本会議の答弁で、「憲法99条により、公務員は憲法を尊重する義務をおう」と答弁されましたが、同時に98条では、憲法に反することは認められないと書いてあります。しかし現実には日本の実際の制度は、自治体も含めて憲法に反する状況があるわけです。
  そういう状況を改善するために、いかに制度を構築していくか。今、所得の低い人がたくさん増えてきている状況を考えても、そういう制度が必要な人たちが増えてきているのですから、制度を整える方向に向けて検討していただきたい。

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