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2007年2月21日 本会議 中森辰一議員の政務調査費「全面公開」条例改正案の提案説明


  市民の「知る権利」を保障することが第一
  「何に使ったのか市民にわからない」 ― ここに不正支出の原因がある
  いまの使途基準でも「議員の個人的経費」が入り込む余地はない
  市民の負託に応える最低限必要な提案 全員の賛成で成立を



  日本共産党の中森辰一です。この条例改正案は、私たち日本共産党市議団の5名と無党派クラブの馬庭議員、6名で共同提案したものです。6名の提案者を代表して条例改正案の提案説明をおこないます。
  この条例改正案は、政務調査費の報告書にすべての領収書を添付するよう義務付けるもので、現行条例の「添付しなくて良い」とした除外規定を削除しております。
  このことによって、公金である政務調査費の支出のすべての内容が、公文書として市民に公開されるようになるものです。

市民の「知る権利」を保障することが第一
  提案の理由ですが、今日、政務調査費をめぐっては「領収書の全面公開が大前提」というのが共通の世論だということです。税金の使い方について、市民には「知る権利」があります。使途基準がどうであろうと、公金である政務調査費のすべてについて市民の「知る権利」を保障することがまず第一です。
  一昨年提出された平成15年度分の政務調査費を監査した包括外部監査報告書では、監査の意見として、使途基準の改善を指摘する前に、第一の問題として領収書の全面公開が必要だと指摘しています。
  たしかに昨年の定例市議会で、政務調査費の報告書に1件5万円以上、ただし事務所費と人件費を除く領収書を添付する条例改正案が全会一致で可決されました。
  私たちは、すべての領収書を公開するべきだと主張しましたが合意が得られず、それでも一歩でも前進だということで賛同しました。しかし、これで公開される領収書は、ほんのわずかだということは明らかです。
  ところが、その後、東京都の目黒区議会で、政務調査費の不正使用で公明党の議員6名が全員辞職、さらに、ここでは議長も不正使用で議長を辞任する、また、兵庫県では県会議員が詐欺などで書類送検されるなど、各地の議会で政務調査費の不正使用が発覚し、このあり方の是正と透明化を求める世論が大きく高まってまいりました。
  そして、わが広島市議会においても市民団体の監査請求があって、昨年度分の事務所費について不正使用が明らかにされ、政務調査費に対する市民の視線が一段と厳しくなりました。
  「領収書を一部公開するというようなことではダメだ」「領収書はただちに全部公開するべきだ」 ― これが現在の市民の世論だと認識しています。その市民の世論に最大限応えようというのが、今回提案した改正案です。

「何に使ったのか市民にわからない」 ― ここに不正支出の原因がある
  そもそも政務調査費は、「政務調査のための経費」として市民から預かった公金です。目的に沿って使い、余ったお金はお返しする筋合いのものです。
  そうであるならば、決められた目的どおりに使ったものかどうかを、何にいくら使ったのかを明らかにして説明できなければなりません。その証拠となるのは、何に使ったかということと、金額を明記した領収書以外にはありません。
  しかし、これまでのように、その領収書を収支報告書に付けて出さなくてもいいということでは公文書とはならず、お金を出す側の広島市行政も、また、税金を納める市民も、本当に間違いない使い方をしているかどうかを調べることができません。
  一方、使う側の議員の方は、領収書を出さないことにしている間は、市民に証拠を示して使い道を説明する必要がありません。つまり、議員が、公金を使っていながら、最低限必要な説明責任を果たさなくても良い状況になっています。
  こういうなかで、公金を使っているという意識が薄れ、今回のような事態を招いたのではないかと思います。
  民間であろうと公務員であろうと、何に使ったか明記された領収書がなくては、お金を出してはもらえません。「領収書は保管している」と言われるかもしれませんが、これを調べることができなければ領収書など無いのと同じです。
  東京都目黒区では、領収書が公開されていたので不正使用を市民が告発したのです。広島市では、たまたま事務所費について、「市民が提起した疑惑は理由がある」と監査委員会が認めたので領収書を調べる監査がおこなわれたのであって、通常なら、市民はどのように使われたか知る由もないのが今の状態です。

いまの使途基準でも「議員の個人的経費」が入り込む余地はない
  このあとで、政務調査費についての決議案が提案されるようです。今後、詳細で具体的な使途基準をつくることなどにとりくむということのようですが、使途基準を「より厳密にする」ことに異論はありません。
  しかし、「いまの使途基準が不十分だから領収書の全面公開ができない」という問題ではありません。現に、現行の使途基準に基づいておこなわれた監査で、明らかな「違法・不当」な使い方が数多く明らかにされており、「なぜ、こんな使い方ができるのか」と、市民の感覚とかけ離れた実態に世論の怒りが高まっています。
  いま、一番に問題になっているのは使途基準ではありません。それに、現行の使途基準は明確です。今回問題になった事務所費について、政務調査費条例の施行規則第8条では、「会派が行う調査研究のため」の事務所の設置および管理に必要な経費、とハッキリ示されています。
  ここには、「違法・不当」とされた、議員個人の生活費にかかわる費用や、個人的な経費が入り込む余地などありません。
  ところが、そのようなことさえも「市民が知ることができない」今の状態がある、これが最大の問題です。市民に見えないところで、このような「違法・不当」な実態があったのです。だから、今、まず領収書を全部公開することを決めるべきなのです。

市民の負託に応える最低限必要な提案 全員の賛成で成立を
  私たち市会議員の活動は、市民の信頼あってのものですが、今は、「議員というのは信用できないもの」ということになっているのではないでしょうか。最も基本的で、大事な、「市民の信頼」からは程遠いという状況にあるといわねばなりません。
  市民は、「すべての領収書を公開する」という大前提の問題に、不祥事を起こした今の議会がどういう態度をとるのか注目しています。この条例改正案は、今、市民の負託に応えるための最低限必要な提案です。
  私たち現職の市会議員が、市民が信頼するに足るものであるかどうか、この最低限の条例案への賛否が分かれ目だと、同僚議員の皆さんに強く訴えるものです。
  改めて申し上げます。4月の選挙を目前に控えた今、私たち現職の議員がどのような態度をとるか、市民が注目しています。結論の先送りは許されないと考えます。全員の賛成で、この議案が成立することを願って提案説明といたします。

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