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2007年2月13日 予算特別委員会・建設関係 皆川けいし議員の質問(大要) 高速5号線の工事着工は来年 いまなら中止できる 公社の地質調査データ 信ぴょう性に疑いあり 1号線トンネル周辺では完成後も沈下が続いている トンネル掘れば聖地・二葉山は死んでしまう 高速5号線の工事着工は来年 いまなら中止できる 高速5号線については、現在、用地買収が行われていますが、工事着工とトンネル掘削着工はいつですか。 ≪高速道路整備担当課長≫ 現在のところ、平成24年度完成ということを掲げており、逆算すると平成20年度あたりの工事着工を予定しています。 高速5号線の工事は今からです。今なら「中止」に間に合います。高速5号線は、高速道路にとってガンみたいなものになると思います。なぜかというと、これは昨年10月の決算議会で使ったグラフだが、高速1号線から4号線が赤色で、5号線が青色。一番左側が全体事業費、右側が料金収入です。(グラフは市当局の資料を基に作成) 事業費は、1号線から4号線までで5,522億円、5号線は1,228億円。かたや料金収入は、1号線から4号線は6,318億円で、5号線は432億円しかありません。 もし、5号線をつくらなければ、4号線までだったら十分余裕のある計画です。しかし、5号線をつくるために、ぎちぎちの計画になっています。しかも、これは公共事業見直し委員会の指摘を受け、交通量の下方修正をおこない、今の時点で精一杯がんばってできた計画です。 約1千億円の事業費を圧縮したわけですが、それでもこういう余裕のない計画でいかざるを得ません。 事業費圧縮の陰で、市の負担が1,310億円に増えています。高速道路計画のなかには入り込まない「見えない負担」として、関連道路事業が703億円、合併施行分が607億円あり、合計で1310億円を別に穴埋めするというものです。 そこで次の問題点を指摘しておきます。まず、「1日10万台」という予測交通量が少しでも狂えば、この事業計画は成り立たない。そして、工事費が膨れたら、これも事業計画は成り立たないということです。 工事費の膨張は、5号線建設で必ず起こると思います。一番危惧していることです。トンネルを2本から1本に見直しましたが、1本いくらで見積もっていますか。 ≪高速道路整備担当課長≫ 1本、約100億円と想定しています。 1号線トンネルは5号線のトンネルの約半分の距離ですから、1本約50億円くらいだと思います。1号線のときも万全を期してやろうとしたら、だいたい1本100億円、2本で200億円かかると言われていました。着工前にはそう聞いていました。 しかし、それでは収支計画が成り立たないと言うことで、2本分で88億円で計算された。安くあげるためにナトム工法でやった。その結果、1.5センチの沈下予測に対して、15センチもの地盤沈下が起こり、工事費は2倍の169億円になった。81億円のオーバーです。 こういう予測しなかった支出のあおりもうけ、5号線では有料道路事業とは切り離して、市の合併施行というカタチで新たに100億円つぎ込むという結果につながったわけです。 5号線トンネルについて、合併施行を100億円で計画していますが、本当に100億円ですむと考えていますか。 ≪高速道路整備担当課長≫ 昨年2月に整備計画の変更をとりまとめ、工事費も見直しているので完成できると考えています。 上にもどる 公社の地質調査データ 信ぴょう性に疑いあり 過去のトンネル工事で当初の見積もりどおり完成したものはありません。ほとんど当初計画の1.5倍、ひどいのは2倍くらいかかっています。1号線トンネルも2倍かかりました。 そして、私どもが以前から資料要求していた地質調査のデータを見せていただきました。地質学者の越智先生が請求されて見せてもらったものです。これを読むと、データのねつ造ではないかと思われることが書いてあります。 (パネルを示して)牛田東1丁目、3丁目のトンネルの地図です。上は、開示してもらった高速道路公社のシュミレーション断面図、下は、現地を調査された学者の断面図です。 青いところがヒン岩です。ヒン岩は花崗岩より柔らかくもろい岩脈です。もろいし、硬さも色々で複雑です。図のように走っています。ちょうどトンネルがここを走ります。ヒン岩は地表に出ていますから、歩いたら地質学者ならわかるそうです。地図に落としたものが下の図です。公社の作成した図と全然違います。 公社の図は、トンネルがヒン岩脈を斜めに横切るが、学者の現地調査結果では、ヒン岩脈にそってトンネルが走るようになっています。なぜこういうことになったのか。 さらに、公社のデータのなかには断層破砕帯はひとつも触れていない。ところが学者の調査では、少なくとも3本走っています。実際に私も現地で見ました。仏舎利棟の上にも80センチの断層破砕帯が見えています。 二葉山全体には亀裂や節理がたくさんあります。そういう点にはこの解析では一言も触れていない。結果として「沈下予測は最大で2センチ、地上の構造物への影響は許容範囲内」と結論づけてあります。 ヒン岩の分布図が食い違うし、断層破砕帯も無視している。専門家の方に言わせたら、「こんな幼稚なデータでよく結論を出したな」といわれます。岩脈の分布や断層の有無は、少し調査すればすぐに理解できる。現に、ヒン岩脈はボーリング地点の山ろくに多数散在し、露頭にもあることから一目で気づくはずのものです。断層も地形の検討をすれば予測がつく。 にもかかわらず、それらの実態を全く考慮しない解析資料でトンネルの影響分析を行い、こような結論を導き出していることは大問題だと指摘されています。 (2種類の岩を示して)これが花崗岩、これがヒン岩です。ヒン岩でも柔らかいものと硬めのものがあり、今日は硬めのものをもってきました。 しかし岩級区分からして、こっち(花崗岩)はCクラス、こっち(ヒン岩)はDクラスで非常にもろい方です。このヒン岩の岩脈がトンネルに沿って走っている。ナトム工法で(トンネル工事を)するということですが、こういう公社のデータを信用して事業を進めれば、1号線トンネルの二の舞を繰り返すのではないか。 掘ってみたら予測できないような沈下が起き、100億円ではすまないと思います。1号線と同じように事業費が膨らんだら高速道路計画はどういうふうにされるつもりですか。市が面倒をみるということですか。 ≪高速道路整備担当課長≫ 事業費がそうなった場合は、その時点で、国土交通省と、広島市に負担を求める選択ではなく、例えば事業期間を延長するといったような方策も含めて、国土交通省と協議したいと思います。 上にもどる 1号線トンネル周辺では完成後も沈下が続いている 国にいくら泣きついても、地元で負担しなさいと言われるのは目に見えています。国がそこまで面倒見るはずはない。 1号線トンネルは過去の問題ではありません。亀裂はどんどん広がっています。それも開示してもらった資料のなかに驚くべきことが書いてありました。 1号線の開通は昨年の3月。工事が中断したのは平成14年の9月で、再開したのが平成15年です。(トンネル部分の)工事が終わったのは平成16年です。ところが、工事が終わったあとも地盤沈下が進行している。資料は平成17年2月までの測定のデータです。 これでは「730」という地点の沈下量は、182ミリになっています。平成17年の2月です。私たちは最大沈下量が15センチと思っていましたが、その後も沈下が続き、18センチまで沈下しています。この後のデータはない。今でも沈下が続いている可能性が強い。 地上の側溝のひびは行くたびに広がっていると、現地の人から指摘されています。しかし、公社のデータは、場所名は全部黒塗りです。沈下18センチの「730」という地点はどこですか。明らかにしてください。 ≪高速道路整備担当課長≫ 当該箇所の場所ですが、中国電力の変電所の南側にため池があって、ため池の土手の部分の沈下です。 17年2月以降も沈下の測定はされていますか。補償の問題ですが、19年度に補償をしたいという答弁はありましたが、申告されている件数が47件(45度の角度内の民家)。45度以外の民家で7件の申出があるということです。 45度以内でしか沈下は起こらないという想定で事前の調査している。しかし、それよりはるか離れているところでいろんな影響がある。事前調査はしていません。そちらの方がむしろ影響は大きい。 市は責任もって補償されますか。中国電力に対しては7回にわたり数億円の補償をしています。しかし、民家については今からで、しかも因果関係をよく分析してからとのこと。そういうことは許せません。どうですか。 ≪高速道路整備担当課長≫ まず沈下の継続は、中電の南側の土手で平成14年10月時点での沈下量は15センチであると、以前も説明いたしましたが、他の測点はトンネルの沈下はほぼ終息しておりましたが、当該地域では掘削完了後も約3センチ沈下したということです。 主な原因は、ため池付近の地盤が悪かったと言うのもありますが、平成15年6月から平成16年の3月の間に、ため池の直近で工事用道路を建設していて、この盛土が5メートル盛っているので、その連れ込み沈下の影響ではないかと、公社は考えています。 平成16年7月、18.2センチを計測しており、その後17年2月も18.2センチだったので沈下は収まっております。 補償の件ですが、事前調査を実施していない家屋については、開通後1年以内にその補償が生じた旨の申し出がありました場合は、修復に要する費用を補償いたします。 補償の申告件数があげられましたが、現在、区域内が52件、区域外が7件、トータルが59件です。 上にもどる トンネル掘れば聖地・二葉山は死んでしまう 橋本議員の質問に、市長答弁で「二葉山の周辺は聖地だから大事にしたい」と言われましたが、周辺を大事にしても、肝心の二葉山、本尊が死んでしまったら何の意味もない。 二葉山にトンネルができたら山が死ぬ危険性が高い。学者が指摘しています。トンネルを掘ったら地下水の排水溝になる。二葉山は独立峰です。 (パネルを示して)これは航空写真ですが、これが二葉山です。トンネルはこの中山から駅の方に抜けます。この山は、どこからも地下水の補給はありません。 ここにトンネルを掘ったら、地下水はトンネルをつたって排出されて枯渇してしまう。地下水が枯れたら、やがて上に乗っている樹木が枯れ、表土が露出する。雨が降ったらどんどん崩れていって、岩盤が崩落する危険がある。おおげさな話ではありません。 神戸の六甲山は、100年前は裸山だったのです。山を管理する人がいなくて、焚き木のために木を切っていった。六甲山といったら災害の山といわれていました。明治30年に植林をしようということで政府に働きかけて、今のようなうっそうとした森になりました。 栃木県の足尾銅山の裏山は裸山です。亜硫酸ガスで木が枯れた。周りの山はこんもりとしています。その部分だけが木が枯れたために、山は切り立って、雨が降るたびに表土が流れ出て「死んだ山」になっています。二葉山も地下水が抜けたらこのようになると思う。 聖地が枯れないという保障はない。地質や水文の調査をしっかりやり直す必要があると思いますが、いかがお考えですか。 ≪高速道路整備担当課長≫ 山の樹木の件については、すでに学識経験者で構成する委員会で影響は軽微だということも出ていますので、これ以上調査する予定は今のところ考えていません。 学者にもいろいろあります。「大丈夫だ」といって事故を起こした高速1号線を教訓にすべきです。 上にもどる |
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