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2007年2月2日 本会議 皆川けいし議員の総括質問


「格差と貧困の広がり」に広島市はどう対応するのか
  ●住民税増税の影響について
  ●ギリギリで生活する世帯にさらなる負担 ― 国保料の値上げ撤回を
  ●「生きる」権利さえ奪われようとしている障害者にあたたかい支援を
  ●築50年の基町団地 どのように再生していくのか
  ●多重債務を抱える市民への支援体制強化を
  ●税制の改善提案その1 ― 「少額所得者の住民税減免制度」創設を
  ●税制の改善提案その2 ― 「障害者控除」の個別周知を
  ●税制の改善提案その3 ― 大企業に応分の負担求める法人税「超過課税」を
「貧困と格差」の背景にある雇用問題にどう取り組むのか
改憲が政治日程にあげられている今こそ、ヒロシマが「9条守れ」の呼びかけを
広島の教育をめぐる民主主義の問題を問う
  ●「改正」教育基本法をどう受け止めているか
  ●2学期制をめぐり保護者・関係者に不安と混乱 市教委に責任ないのか
  ●全国一斉学力テストへの対応について
「政治とカネ」の問題で急浮上した“政務調査費” 市民が納得できる監査を
  ●政務調査費、費用弁償、海外視察 ― 「市民が納得できるように見直しを」

再質問(要約)
  ●2学期制をめぐる混乱で市教委に一切責任はないのか
  ●法人市民税の超過課税については先行都市の調査を
  ●何千人もの高齢者が住む基町団地 市が立地誘導してデイサービスを
  ●市として青年の雇用を重視してほしい



「格差と貧困の広がり」に広島市はどう対応するのか

  日本共産党の皆川けいしです。秋葉市長の去就が明らかになっていませんが、次期市長に誰がなっても、いま広島市政に求められている大きな3つの問題について質問します。市長並びに市当局の誠意ある答弁を求めます。

●住民税増税の影響について
  まず、第一の柱として、格差と貧困が広がる中で、市民のくらしを守るために広島市としてどういう努力をつくすのかという問題についてお伺いします。
  この間の「弱肉強食」「自立自助」のかけ声の下に持ち込まれてきた規制緩和と社会保障の改悪等によって、市民の間では確実に格差と貧困が広がってきています。
  特に、昨年6月に行われた住民税の大増税は市民のくらしを直撃し大きな怒りをかいました。この住民税の増税は、国保料や介護保険料をはじめ、あらゆる分野に連動して“雪だるま式”に負担が増え、市民生活に対する影響は計り知れないものがありました。
  市は、私どもの再々にわたる求めにもかかわらず、それがどのくらいの影響を市民に与えたのか、その影響の全体を未だにはっきり示しておりませんが、一体、住民税が増税になった人が何人いるのか、それに連動して、他の施策で負担増になった人がそれぞれ何人いるのか、まず掌握することが行政として最低限の仕事ではありませんか。この場で、増税による市民への影響がどうなったのか改めて数字で示してください。

≪財政局長≫
  いずれも平成18年7月現在の実績ベースですが、定率減税の縮減については、約52万2千人、公的年金等控除の縮減については、約6万6千人となっております。次に、老年者控除の廃止及び65歳以上の人に係る非課税措置の廃止につきましては、いずれも平成18年度当初予算段階の見込数値ですが、それぞれ約4万6千人及び約2万1千人となっております。


  この住民税の増税は国会で自民党・公明党が決めたことですが、中でも平成15年総選挙のマニフェストで「年金課税の強化、定率減税の見直し」を公約し、最も熱心に唱えてきたのが公明党だったことは、いまや周知の事実となっています。
  与党として増税を決めた平成16年12月14日付東京新聞は、その見出しに「公明党 “増税戦犯”」と書きました。こうして昨年6月、市民1人当たり4,700円、4人家族で18,000円、総額52億円にのぼる大増税が広島市民に持ち込まれました。
  日本共産党市議団は、大増税による影響を可能な限り少なくするための市の努力を求めてきました。そのなかで秋葉市長は、「敬老無料乗車制度」への連動はさせないという措置をとられました。このことは厳しい財政のなかでの英断であり高く評価するものですが、他の制度では果たして連動させないためにどういう努力をされたのか、その検討内容を教えて下さい。

※社会局長答弁(1)へ

  さて、この住民税大増税は昨年で終わりではなく、今年もまた6月に導入されようとしています。しかも、今年は定率減税の全廃に加え、国から地方への税源移譲を名目にして、これまで累進課税だった住民税が、市民税6%、県民税4%、合わせて一律10%になるために、所得の低い層は昨年の2倍の増税となります。1月の所得税定率減税の廃止について政府は「所得税は安くなる」と宣伝していますが、その分、6月に住民税が高くなるということですから全くごまかしです。
  課税所得200万〜700万円の人は、現在の10%は変らず、700万以上の人は現在13%が10%へと逆に減税になります。つまり所得が低い層ほど重い負担になる“逆累進課税”となります。新年度予算では、この増税による個人市民税の増収を93億円見込んでいますが、その内訳は、従来の所得階層毎でそれぞれいくらになりますか、教えて下さい。

≪財政局長≫
  平成18年度の課税実績を基に、所得控除後の課税標準額の段階別で推計しますと、課税標準額が200万円以下の階層につきましては、税源移譲により約71億円の増、定率減税の廃止により約6億円の増、合わせて約77億円の増となります。
  同じく、200万円を超えて700万円以下の階層につきましては、税源移譲より約39億円の増、定率減税の廃止により約16億円の増、合わせて約55億円の増となります。
  同じく、700万円を超える階層につきましては、税源移譲により約42億円の減、定率減税の廃止により約3億円の増、合わせて約39億円の減となります。
  なお、税源移譲による個々の納税者の所得税・住民税合わせた税負担については、変わらないこととされています。


  問題はそれだけではありません。国は「税源移譲に伴う新たな負担はない」と言っていますが、これまで課税所得200万以下の階層の住民税が2倍になるだけでなく、市民税の所得割を算定基礎としている国保料もこのままでは2倍になります。この増税による他の福祉施策等への影響がどうなるのか報告して下さい。

≪社会局長≫(1)
  国は、税負担における世代間及び高齢者間の公平を図る等の観点から、公的年金等控除の見直しや65歳以上の方に対する非課税措置の廃止等の税制改正を行いました。この改正により、高齢者や障害者が福祉サービスを受ける際の負担が増えるなどの事態が生じました。
  このため、本市では、「高齢者及び障害者の公共交通機関利用助成」事業のほか、在宅で高齢者を介護している家族に紙おむつなどを支給する「家族介護用品支給」事業などについて、これまでの利用者が引き続き制度を利用できるような経過措置を講じました。
  さらに国は平成18年度に定率減税を廃止するとともに、国から地方への税源移譲に伴い個人住民税の税率を変更する税制改正を行いました。
  この改正により、課税所得に応じ、5%、10%及び13%の3段階であった個人住民税の税率は、平成19年度から課税所得に関わらず一律10%になり、例えば、従来5%の税率だった課税所得が200万円以下の方については、住民税が増税となります。
  このため、障害者自立支援法の施行に伴う障害者の負担を軽減するために、市民税所得割額2万円未満の方を対象に本市が独自に講じている措置に関し、所得に変化がなくとも税制改正により市民税額が増えることから、制度の対象から外れるという事態が生じることになりました。
  こうした中、国は、本市が独自に行っている措置と同様に、障害者自立支援法の利用者負担上限額を国基準額の4分の1に引き下げる特別対策を、平成19年度から市民税所得割額10万円未満の者を対象に講じることにしました。
  また、本市においても、国の特別対策に加え、補装具の利用者負担助成について、制度の対象をこれまでの市民税所得割額2万円未満の者から、市民税所得割額10万円未満の者に拡大する等の対策を平成19年度から講じることにしています。
  なお、税制改正により、平成18年度までに利用者の負担が増えるなどの影響が出る可能性のある福祉サービスは約70事業あります。
  一方、福祉サービスに関して負担増となる方については、負担増の要因が単に税制改正のみに起因するのか、あるいは税制改正以外の要因により課税所得が増加したことによるものなのかということを個々に分析することは極めて困難です。
  さらに、福祉サービスの対象者や負担額を決定する際に行う市民税所得割額の算定は、個人単位で行うものだけではなく、世帯単位で行うものもあります。このため、税制改正に伴い福祉サービスの負担増となった方の人数を正確に把握することは困難です。


●ギリギリで生活する世帯にさらなる負担 ― 国保料の値上げ撤回を
  国の悪政による市民生活の破壊は増税だけにとどまりません。例えば、いま母子家庭などひとり親家庭は市内に14,710世帯いますが、そこに児童扶養手当の削減、生活保護の母子家庭加算の廃止など、ひどい仕打ちが襲おうとしています。
  子どもを育てながらギリギリの生活をしてがんばっている母子家庭から、1か月数万円の収入が奪われたら、その家庭はどうなるでしょうか。これは3年前に生活保護から月18,000円の高齢者加算を削られた高齢者の生活が今、どうなっているかを見るだけで想像がつきます。
  最近、私のところに相談にきたSさん(78歳)は、妻と二人で年金はありません。以前は17万3千円の生活保護の支給を受けていましたが高齢者加算がなくなり、現在15万5千円で暮らしています。4万円の家賃を引くと一日3,800円の生活です。
  ところが昨年末、妻が大学病院に入院しました。下痢が激しい病気でオムツが欠かせないため、24枚入りのオムツ代が3,500円。ご主人は緑内障ですが、明るいうちは毎日、吉島から大学病院まで自転車で付き添いに通っていますが、夜に妻の容態が悪くなることがあり、眼が悪いため、どうしてもタクシーでかけつけなければなりません。2回の往復で7,600百円。
  お正月、ささやかながら切餅とお酒と肉を買いました。奥さんにおいしいものを食べさせようと果物も買いました。これだけ出費をしただけでもう生活は狂ってしまい、私のところに来た時、手元の残金は4万円。これで1か月近く過ごさなくてはならない状態でした。
  区役所と相談して、オムツ代とタクシー代は生活保護で出してもらうことになりましたが、1日1,000円ちょっとで食費も切り詰める生活をしなくてはなりません。もし、これまでどおり高齢者加算があれば、ここまでみじめな生活はしなくてもすんだはずです。
  また、国保料が高すぎて払えず、保険証をとりあげられた世帯は、市内で8千世帯以上と増え続けています。受診抑制の末に病状が悪化して亡くなる悲劇が広島でもおこっています。
  そこに、1人当たり年4,200円の国保料の値上げが新年度から襲いかかろうとしています。低所得者には、住民税増税で国保料が2倍になるうえに、さらにこの値上げです。このままではますます滞納者は増え、保険証をとりあげられる世帯は増えるばかりです。
  国保料の値上げ案の撤回と、これ以上、保険証の厳しいとりあげをやめることを強く求め、見解を求めます。

≪社会局長≫
  国民健康保険財政は、加入者の高齢化の進展などに伴う医療費の増加等により、大変厳しい状況に直面しております。国民健康保険の事業運営に必要な経費は、国・県の支出金と一般会計からの繰入金と保険料で賄うこととなっています。
  このため、保険料の値上げを抑制するためには一般会計からの繰入を行う必要がありますが、本市の厳しい財政状況から、これ以上の一般会計からの繰入は困難であるため、医療費の増加に応じた保険料の増額をお願いするものです。
  また、国民健康保険の保険証につきましては、特別な事情がなく、保険料を1年以上滞納している世帯には保険証の返還を求めるよう法で義務付けられていますが、本市においては、1年以上の滞納をもって機械的に保険証の返還を求めるのではなく、納付相談の場で収入や生活の状況などを丁寧に聞き取るよう努めています。
  今後とも、滞納となっている方々の実情を十分に把握し、適切に対応してまいります。


●「生きる」権利さえ奪われようとしている障害者にあたたかい支援を
  また、障害者の方々が置かれている状態も、障害者自立支援法が導入されて本当に深刻です。この法律も、障害者の反対を押し切って、国会で自民党・公明党が決めたものです。
  私のところに最近、障害者のお母さんから次のような手記が届きました。読みながら胸に迫る内容です。その一部をご紹介します。
  「今、療育センターに通園の子どもが、利用料を払うようになって通園者が減ったそうです。わが子が障害児と発見されるだけで親はショックです。『子どもはどうなるの』『私はどうなるの?』不安で自殺を考えたり、子育てを放棄してしまうケースもあります。母親も仕事を辞めて治療に付かざるを得ません。そんな中で、訓練治療をする所が見つかっても多額の利用料を払わなくてはいけません。障害児を産んだ時から休みはありません。家族旅行もできない方もたくさんおられます。障害者自立支援法は『障害児を産んだ罰です』といわれている気がするといわれたお母さんがおられました。・・・大人の障害者の人もいま大変です。障害が重い人ほど負担が増えます。食事介助、トイレ介助、入浴介助などは皆と同じになるだけです。これが、益を受けているというのでしょうか。・・・人間として生まれ、普通の社会生活を送りたい。そのすべてにお金がいるとしたら障害を持っている人はどうやって生きていくのでしょう」
  この手記の表題には「今日を生きる、明日を生きる」と書かれてあります。「生きる」という、文字で書けばたったの三文字ですが、そのために今、どんなに多くの国民が苦しい思いをしているのか。政治にたずさわる者は、もう一度、原点に立ち帰って、このことをかみしめるべきです。
  OECDの調査によると、先進17か国の比較で、日本の貧困率はアメリカに次いで2位となっています。さらに、「税と社会保障による貧困率」は、17か国中、日本が最下位です。
  つまり日本では、税や社会保障の所得再分配機能がまともに働いていないため、子どもを産むたびに貧困になる、病気になるたびに貧困になる、年をとるほど貧困になる。これが世界第2位の経済力といわれる国に住む国民の実態です。
  大企業や大金持ちだけが優遇され、国民には負担ばかりが増える。こんな逆立ちした政治は一日も早く変えなくてはなりません。
  障害者の問題にたち返りますが、「生きる」権利さえ奪われようとしている障害者の方たちを、自治体としてどう支え、励ましてゆくか。市として、これまでいろいろ努力をされてこられましたが、やっと、国も激変緩和措置をとりました。しかし、これも選挙目当てで、2年後に介護保険と一体化されたら事態はもっと深刻になります。
  作業所やグループホームなど障害者施設の維持や就労など、自治体としての支援が求められている分野はたくさんありますが、なかでも、障害を持つ子どもにもっとあたたかい支援があれば、親もどんなに励まされるかわかりません。
  少なくとも、療育センターには従前のような負担で通える、そして、成長期の子どもの補装具や車椅子の負担も軽くてすむようにするお考えはありませんか。

≪市長≫
  障害者に関するご質問がございましたので、まず、私から、障害者支援についての基本的な考え方を述べさせていただきます。
  活力ある地域社会を築いていくためには、障害のある人もない人も、全ての市民が社会のあらゆる活動に自由に参画し、その能力を最大限に発揮するとともに、互いに人格と個性を尊重し、支えあうことが必要です。
  そのためには、障害者の活動を制限し、社会への参加を制約している要因を取り除き、障害者が住み慣れた地域において、経済的な側面を含め、自己選択と自己決定の下、自立して生活できるよう支援することが大切であると考えています。
  平成18年(2006年)4月に施行された障害者自立支援法では、利用者負担が原則としてサービス費用の1割に変更されました。このため、本市では、利用者負担が増えることに対し、特に低所得の障害者などに配慮して、厳しい財政状況の中ではありますが、障害福祉サービス、障害児施設におけるサービス、補装具の利用者負担を軽減するなどの措置を講じ、利用者が必要なサービスを適切に利用できるようにしています。
  さらに、障害者自立支援法の施行後も、国に対して、十分な負担軽減措置を実施することなどについて要望してきました。
  その結果、国においては、利用者負担の軽減措置も含めた特別対策を、平成19年度(2007年度)と平成20年度(2008年度)に限り、実施することになりました。
  この国の特別対策のほか、本市としては、独自の軽減策として、補装具と日常生活用具について、軽減の対象を拡大するなど、障害者の負担を軽減するために、必要な措置を引き続き講ずることにしています。
  こうした障害者自立支援法の施行にも見られるように、近年、障害者を取り巻く環境は、大きく変化していることから、今年度末のとりまとめを目途に、現在、新たな障害者基本計画について幅広く検討しています。
  この計画に基づき、本市の障害者の実態に即した施策を着実に推進し、すべての障害者が生きがいを持って幸せに暮らせる社会の実現に向けて取り組んでいきます。

≪社会局長≫
  障害者自立支援法の制定に伴い児童福祉法が改正され、平成18年10月から施行されたことにより、障害児通園施設については、福祉サービス費の1割負担と食費負担が必要となりました。
  本市では、障害児通園施設の利用者の保護者には若い世代が多いことへの配慮や子育て支援の観点から、福祉サービス費の1割負担と食費負担を併せた利用者負担が、保育料と同程度となるよう独自の負担軽減策を講じています。
  このたび、国においては、福祉サービスの利用者負担について、平成19年度と20年度の2年間に限り、上限月額を4分の1に引き下げることなどを主な内容とする特別対策を講じることになりました。
  これを受けて、本市では、障害児通園施設については国の特別対策と併せて、本市独自の負担軽減措置を組み合わせて適用します。その結果、利用者負担は、市民税所得割2万円未満までの方は平成18年度と同額となりますが、市民税所得割2万円以上10万円未満の方は、平成18年度より軽減されることになります。なお、補装具については、さきほどご答弁したとおり、平成19年4月からは、本市独自の軽減策の対象を拡大して実施します。


●築50年の基町団地 どのように再生していくのか
  次に、高齢者対策でどうしても真剣に検討してもらいたいのは、私の地元でもある基町・白島地域に、高齢者のための施設を一日も早くつくってほしいということです。
  私は議員になって20年間、団地住民のみなさんと一緒になって、ずっとこのことを求め続けてきました。その中で、全国で初めて公営住宅団地内に訪問看護ステーションが実現し、その後、在宅介護支援センターもでき、中層住宅にエレベーターも設置され、住民のみなさんは大変助かっています。
  しかし、中核となるような高齢者施設は、いまだにありません。市も、このことは重要な課題と受け止め、一時は老朽化した基町中層アパートを建て替え、その跡地に特養ホームなど高齢者施設と住宅を合築する方向も示されましたが、折からの財政難で、この構想は住戸改善等に置き換えられてしまいました。
  そのため、以前より確かに住戸は良くなりつつありますが、そこに住む多くの高齢者は自宅以外に居場所もなく、デイサービスに行くにも送迎バスやタクシーを使って遠くまで行かなくてはなりません。また、中層も高層も階段を使わなければ自分の部屋に帰れないため、これが一層、高齢者の閉じこもりを助長しています。
  ご存知のように、基町中層住宅は、原爆で廃墟となった広島で、原爆スラムとよばれていたところに最も早く建てられた公営住宅ですが、建てられてもう50年以上になります。公営住宅の建て替え基準からいっても、これ以上放置できないほど老朽化しています。
  昭和43年から始まった基町再開発は、戦後広島の復興のシンボルといわれましたが、高齢化、少子化が進む中で、この地域に新たな活力と地域福祉のモデルとなる街をつくることは、広島市にとっても非常に大きな意義があると思います。この地域には被爆者の方も多く、住んでおられる方々もどんどん高齢化してゆきます。
  元々、市の再開発事業としてつくられた街ですから、段原再開発と同じ位置づけでやって当然です。これまでも、こうした基町の再生計画を立てるべきと求めてきましたが、もう、これ以上放置できません。
  そこで、基町団地について、どのように再生しようとしているのか、特に中層住宅は50年経過しているものです。今後、どのように取り組む考えなのかお答えください。

≪都市整備局長≫
  基町中層住宅は、完成後38年から49年経過し、老朽化が進んでいることから、居住環境の改善を図るため、平成12年度から再整備事業として、外壁改修、屋上防水、台所改修等を行っています。
  議員ご指摘の中層住宅における高齢者対策としては、エレベーター設置が効果的です。基町中層住宅には廊下型と階段室型とがあり、廊下型の住宅については、平成14年度にエレベーターを設置しました。
  一方、階段室型の住宅へのエレベーターの設置については、エレベーターが停止する階段の踊り場から玄関までの上がり下りが避けられないため、完全なバリアフリー化が困難なことなどの問題があることから、どのような整備方法が取れるのか、引き続き検討を進めてまいりたいと考えています。


  また、それを待つまでもなく、地域の社協などと連携して、商店街の空き店舗を活用した高齢者の居場所づくりやデイサービス施設等を、市として立地誘導していただきたいが、いかがでしょうか。

≪社会局長≫
  基町地区は、高齢化率が高く、ひとり暮らしや夫婦ふたり暮らしの高齢者も多いことから、本市として、このような高齢者に対する見守り・安否確認のため、高齢者の居場所づくりが必要であると考えています。
  現在、民生委員や地区社会福祉協議会を中心とした、ボランティアの皆さんによるひとり暮らし高齢者等に対する見守り・安否確認行動が行われています。さらに、こうした活動を踏まえ、高齢者が情報交換をしたり交流を深め、相互に見守り・安否確認を行うことができるよう、地区社会福祉協議会が中心となって、空き店舗を活用した高齢者の立寄り所づくりが計画されています。
  この立寄り所の設置については、中区の地域福祉計画に基づく取り組みとしても位置づけており、現在、その仕組みづくりについて検討しているところです。
  なお、基町地区の高齢者に対するデイサービスは、周辺地区のデイサービス事業所からの送迎により適切に行われており、現在のところ、本市としては同地区内でのデイサービス事業が必要であるとまでは考えておりません。


●多重債務を抱える市民への支援体制強化を
  次に、多重債務問題についておたずねします。政府の調査でも、消費者金融、つまり、サラ金の利用者は少なくとも約1,400万人、借入れ5件以上の多重債務者は約230万人にのぼります。
  「広島県サラ金被害者の会」の資料によると、広島市内でサラ金利用者は12万7千人、実に人口の11%で、そのうち多重債務者は約2万7千人余りといわれています。
  生活苦のために、多重債務による生活破壊が全国的に大きな問題となっています。政府も消費者金融による多重債務問題を抜本的に解決するために「貸金業法の改正」を行い、内閣特命の金融担当大臣を本部長とする「多重債務者対策本部」を昨年12月に設置し、日弁連等からも、多重債務者に対する相談窓口を設置し、カウンセリング機関とのネットワークを構築して、多重債務を抱える住民への支援体制を全自治体でも整備するよう国に要請も行われています。
  全国の自治体の中では「税の滞納解消や未然予防につながる」として、行政支援の重要性からとりくみを重視している自治体も出てきています。
  ちなみに、市内12万7千人のサラ金利用者の残高総額は1,289億円、残高に対する25%の金利合計は実に322億円にのぼります。こうした、本来払わなくてもよい市民のお金が全部サラ金業者に吸い上げられるということは、単に市の収納対策だけでなく、地域経済にとっても大きな損失です。
  こうした観点からも、ぜひ、市として相談窓口を設置し、必要な体制もとって力を入れるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

≪市民局長≫
  多重債務については、消費生活センターにおいて平成17年度402件、平成16年度324件、平成15年度410件の相談を受けております。
  当センターでは、その解決策として相談者に債務整理の方法を説明するとともに、債務処理を弁護士会や司法書士会に相談するよう助言するなど必要な対応をしています。
  現在、消費生活センター展示物において、センターにおける多重債務相談実施について掲示していますが、今後とも、より市民の方々にセンターの相談業務の内容を知っていただき、気軽に相談においでになることができるよう、ホームページ・広報紙等により周知に努めます。
  さらに、今後、市税や国民健康保険料の徴収事務等の担当部署が、多重債務で滞納が生じていることを把握した場合には、その方に消費生活センターで相談するよう勧めるなど連携を図ってまいります。


●税制の改善提案その1 ― 「少額所得者の住民税減免制度」創設を
  最後に、税制の改善について3つの提案をさせていただきます。それぞれについての市の見解をお聞かせ下さい。
  まず、第一は「少額所得者の住民税減免制度」の創設についてです。川崎市では、市民税・県民税の納付が困難な方で、年金収入が扶養親族なしの場合、232万7,600円以下、同じく給与収入が187万1,999円以下の場合は、市・県民税が均等割も含めて非課税となり、国保料も減免されます。
  この「少額所得者の住民税減免制度」を、広島市でもぜひ創設していただきたい。

≪財政局長≫
  低所得者層の税負担への配慮としては、地方税法において、非課税限度額が設けられています。
  また、同法では、貧困により生活のため公私の扶助を受ける者、その他特別の事情がある者等に限り、市町村の条例の定めるところにより、住民税を減免することができるとされています。
  川崎市の「少額所得者の住民税減免制度」は、所得が住民税均等割の非課税限度額を超え、同市のおける生活保護基準額を基に独自に設定した額以下の者で、住民税の納付が困難と認められるものについて、申請により、均等割及び所得割を免除することができるというものです。
  川崎市の制度は他の政令市にはないものであり、仮にこの制度を本市で実施した場合、その影響額は多額にのぼり、極めて厳しい財政状況にある本市においては、慎重に対応するべきものと考えています。


●税制の改善提案その2 ― 「障害者控除」の個別周知を
  第二に、数年来、私どもが求めてきた、要介護者に対する「障害者控除」の適用を、いまこそすべての要介護世帯に周知徹底してください。
  私自身、昨年7月、認知症の認定を受けている方の家族から相談を受け、「障害者控除」の申請をしましたところ、「障害者控除対象者認定申請書」のなかにある日常生活状況で、障害の程度が軽度・中度の項目に該当するものが一つあり、この方は「普通」障害者控除が適用されました。
  この方は、直近の要介護認定調査表がなかったため、民生委員の意見書を添えて申請が認められ、所得税も住民税も国保料も介護保険料も全て安くなり、「助かった」と喜んでおられました。
  このように、「障害者控除」は障害の程度が軽度から重度までの33項目のなかで、一つでも該当すれば認定される制度です。私の経験からも、現在、介護を受けておられるほとんどの方が対象になり得る制度です。
  市は、市民生活が大変な時だからこそ、この制度の要綱をもっと分かりやすく、そして広く周知徹底していただきたい。現在の適用状況と今後のとりくみについてお答え下さい。

≪財政局長≫
  要介護者等に係る障害者控除の適用につきましては、税務を所管する側からも、市・県民税の申告書の手引きなどに、「福祉事務所長の認定を受けた者」が障害者控除の対象となる旨を記載し、周知を図っております。

≪社会局長≫
  身体障害者手帳等の交付を受けていない65歳以上の寝たきりや認知症などの高齢者で、身体障害者または知的障害者に準ずるとして福祉事務所長の認定を受けた人は、申告すれば所得税及び住民税の障害者控除の対象となります。
  この認定を受けている人は、平成16年度は61人、平成17年度は129人です。
  この制度の周知については、確定申告の時期に合わせて、民生委員や市内41か所の地域包括支援センターへのチラシ配付及び2月1日号の「市民と市政」での広報を行うほか、ホームページへの掲載、区役所の相談窓口での案内に努めています。
  要介護認定を受けている人すべてが障害者控除の対象になるものではありませんが、この制度を一層周知するため、介護保険料の納入通知に合わせてお知らせすることなど、今後、検討したいと考えています。


●税制の改善提案その3 ― 大企業に応分の負担求める法人税「超過課税」を
  第三は、史上空前のもうけをあげている法人に対して、地方自治体としても応分の負担を求めていただきたいということです。
  広島県は、財政難を理由に、広島市への3つの福祉医療のカットや県民税の500円値上げを押しつけていますが、調べてみますと、県税である法人事業税については、98年からの減税がいまだに据え置かれたままとなっています。その減税分は、おそらく1千億円以上に達していると思われます。
  東京都、神奈川県、愛知県など全国7都府県が行っている、法人事業税への法で認められている超過課税を、広島県でも資本金1億円以上の大企業に適用すれば、広島市へのカットの理由もなくなります。
  ちなみに、この7つの都府県では、トヨタ、日産をはじめとする大手自動車メーカーも、ちゃんと地元自治体に超過課税を払っています。史上空前の利益をあげているマツダだけが地元自治体に応分の負担をしていないのはおかしいと思います。ぜひ法人事業税の見直しを広島県に強く求めていただきたい。

≪財政局長≫
  超過課税は、課税自主権の一つとして、各自治体が、必要な事業を実施するための財源を確保し、独自の政策目的を達成するために、地域住民の意向を踏まえ、自らの判断と責任において行うものです。
  しかしながら、広島県が法人事業税の超過課税を実施した場合には、本市の法人市民税が減収となり、また、企業誘致にも影響を及ぼす可能性があることから、本市から県に対し、超過課税の要望を行うことは考えておりません。


  また、広島市の法人市民税も法人税割・均等割ともに2割の超過課税を適用することができるにもかかわらず、法人税割は他の政令市同様、1億円以上の法人に適用していますが、均等割の方は適用していません。
  広島市内には、この法人市民税を払っている企業は、38,665社ありますが、このうち資本金1億円以上が5,358社、50億円以上だけでも265社あります。
  この均等割を、福岡市・北九州市と同様の税率で資本金1億円以上の法人に適用した場合、いくらの増収が見込まれるのか。市民に増税を求める以上、法人にも応分の負担を求めて均等割への超過課税を適用すべきと考えますがいかがですか。

≪財政局長≫
  法人市民税については、本市では法人税割について、他の多くの政令市と同様、資本金が1億円を超える法人及び法人税額が240万円を超える法人に対し、制限税率である14.7%(標準税率12.3%)を適用し、超過課税を実施しています。
  また、均等割について政令市の中では、福岡市と北九州市の2市で、超過課税を実施しています。この均等割について、福岡市・北九州市と同様の税率を資本金が1億円を超える法人に適用した場合の増収見込額は、約4億9,000万円です。
  なお、均等割についても超過課税を実施するかどうかは、本市の財政状況や、本市を取り巻く経済動向なども考慮しながら、慎重に検討していきたいと考えています。


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「貧困と格差」の背景にある雇用問題にどう取り組むのか

  次に、雇用問題についておたずねします。これまで述べてきた貧困と格差の大本には「人間らしく働けるルール」の異常な貧しさがあります。それは、地方自治体の存立基盤さえ危うくしており、雇用の改善は地方自治体にとっても避けられない課題となっています。
  日本共産党は政府に対して、
  (1) 「サービス残業」と「偽装請負」という「2つの無法」の根絶
  (2) 残業代取り上げ、過労死促進のホワイトカラーエグゼンプションの導入など、これ以上の働くルールの破壊を中止する
  (3) 最低賃金の抜本的引き上げ
などを求めていますが、広島市として、今後、雇用問題に対してどう取り組むかについておたずねします。
  一つめは、市内の雇用実態の掌握についてです。いま3人に1人は非正規労働者だといわれ、この4年間で派遣会社が3倍近くに増えていますが、広島市での実態をつかんでおられるのか。とりわけ、明日の広島を担う青年の雇用実態がどうなっているのか教えてください。

≪市民局長≫
  最近の雇用情勢についてですが、景気回復傾向を背景として、有効求人倍率が上昇し完全失業率が低下するなど、改善が進んでいます。
  平成18年12月の有効求人倍率は、全国で1.08倍、広島県で1.27倍と1.0倍を超えており、広島市については、ハローワーク広島及びハローワーク広島東管内の数値で捉えると、1.57倍となっています。
  一方、近年、雇用形態の多様化が進展し、正規雇用の減少や、パート、アルバイト等の非正規雇用の増加傾向が見られます。
  総務省の労働力調査によると、全国の雇用者数に占める非正規雇用者の割合は、10年前の平成8年では約5人に1人(21.5%)だったものが、平成18年には約3人に1人(33.4%)と増加しています。
  新卒者を含む若者についても増加傾向にあります。なお、全国レベルでの標本抽出調査のため、市内分の数値はありません。


  二つめは、市に関係する企業や団体での雇用の実態をつかみ、今後、改善に努力していただきたい。特に、私立保育園、市が業務委託しているゴミ収集や学校給食部門の正規・非正規などの雇用実態がどうなっているのか報告してください。

≪市民局長≫
  広島市の私立保育園に勤務する職員は、平成19年1月1日現在、1,879人で、正規・非正規の雇用実態別での区分はできませんが、そのうち給与が月額で定められている者が1,202人(64%)、日額で定められている者が226人(12%)、時間給で定められている者が451人(24%)となっています。
  ごみ収集業務では、本年度の可燃ごみ、資源ごみ、大型ごみなどの家庭ごみを収集する業務委託件数は37件で、業務従業者は合計335人です。その雇用実態の内訳は、正規雇用者が321人(96%)、非正規雇用者が14人(4%)となっています。
  また、学校給食業務のうち、可部地区学校給食センターの調理等業務を受託している業者の同施設での雇用実態は、正規雇用者12人(36%)、非正規雇用者21人(64%)で合計33人となっています。


  三つめに、新年度から交付が始まる、市の「企業立地促進補助金」の交付対象となっている8社の立地先での雇用者数は何人か。また正規・非正規の内訳はどうなっているのか。新規雇用者数はどのくらいになるのか。

≪市民局長≫
  平成19年度から、本市の企業立地促進補助制度により、投下資本額などに対する補助金を交付する予定の8社の立地先での雇用者は合計432人で、そのうち、正規雇用者は376人(87%)、非正規雇用者は56人(13%)となっています。また、新規雇用者は78人(18%)となっています。


  四つめは、市が公共工事を発注する際に示す「労務単価」が、下請けに至るまでちゃんと守られているか、市として実態を調査する考えはありませんか。

≪都市整備局長≫
  本市が公共工事を積算する際に用いる労務単価は、毎年、国において実施する「公共事業労務費調査」に基づき定められた単価であり、公表されています。
  この単価は、雇用契約における労働者へ支払う賃金や下請契約における労務単価を拘束するものではなく、また、法令上、本市には民々間の契約等の内容に立ち入る権限がないことから、実態調査は難しいと考えております。
  なお、本市では、建設労働者の雇用条件等の改善のため、入札に参加する建設業者に対し、文書で適正な賃金の支払いに配慮するよう求めております。


  五つめに、市内大手企業に、新卒だけでなく現在の非正規雇用者も含め、正規雇用者を増やすように市として申し入れをしていただきたいが、いかがですか。

≪市民局長≫
  厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、非正規雇用者は、正規雇用者に比べて賃金水準が低く、職業能力開発の機会が乏しいことなどから、長年勤続してもあまり賃金は上昇せず、所得は低い水準にあります。
  そのため、本市としても、正規雇用を希望する求職者の就職支援に引き続き努めるとともに、広島商工会議所等の経済団体を通じて、正規雇用者の採用拡大について要請したいと考えています。


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改憲が政治日程にあげられている今こそ、ヒロシマが「9条守れ」の呼びかけを

  第二の柱として、改憲が叫ばれる中で、平和都市として、憲法と平和、民主主義を守るため、どういう役割を果たすかという問題について質問します。
  安倍首相は、いま開かれている国会で改憲手続き法を成立させ、7月の参院選で改憲を争点にすえると宣言しましたが、こんなことは世論調査をみても国民の誰も望んでいません。
  一体、何のための改憲か。安倍首相は、NATOの理事会の演説で「自衛隊が海外での活動を行うことをためらいません」と述べました。日米同盟を「血の同盟」にし、「米国とともに海外で戦争する国」をつくる。ここに改憲の狙いがあることは、首相の一連の言動からも、もはや隠しようもなくなりました。
  広島の原点は、広島平和都市祈念碑に刻まれている、「過ちは二度と繰返しませぬから」ということです。戦後62年間、広島の市長は、その意思を内外に表明してきました。今、この広島の願いが足元から崩されようとしています。広島の市長がこれに沈黙していて良いのでしょうか。
  「憲法9条は守るべきだ」と、今こそ内外に呼びかけるべきではありませんか。憲法9条に対する市長の見解を、ぜひお聞かせいただきたい。
  この問題であえて申しますと、今度の市長選挙に出馬を表明されている方のなかには、イラクへの自衛隊派兵に反対する国民を「非国民」呼ばわりし、国民のひんしゅくを買った方もいらっしゃいますが、仮にこういう人が広島の市長になったらどうなるのでしょうか。米軍岩国基地の強化に反対する市民は全部「非国民」にされかねません。こんな人には絶対に広島の市長にだけはなってほしくないというのが私の思いです。

≪企画総務局長≫
  わが国は、過去に対する真しな反省と新しい日本を建設するという決意の下に、憲法前文と第9条に示された平和主義を基調とする、世界にも類例を見ない画期的な内容の憲法を持つに至ったものと考えています。
  ヒロシマは、憲法前文にうたわれた人類全体の公正と信義を求める心を信頼しようとする考えに立ち、国際社会での紛争の解決や抑止にあたっては、武力ではなく対話による平和的解決の道を探ることが何よりも大切であると考えています。
  日本国憲法第99条は「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」と規定しています。本市では、平成14年(2002年)の平和宣言で、この憲法第99条を引用した上で、「この規定に従うべき日本国政府の役割は、まずわが国を「他の全ての国と同じように」戦争のできる、「普通の国」にしないことです。すなわち、核兵器の絶対否定と戦争の放棄です。」と述べています。
  本市では、こうした考え方のもと、憲法前文と第9条に示された平和主義を基調とする日本国憲法の重要性やその擁護を訴えてきました。
  ヒロシマとしては、今後とも、こうした憲法の平和主義を基調として、核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に向け取り組んでいきたいと考えています。


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広島の教育をめぐる民主主義の問題を問う

●「改正」教育基本法をどう受け止めているか
  民主主義の問題でおたずねしますが、教育基本法が改悪され、政府は教育に対する国家統制をますます強めようとしていますが、まず、この教育基本法に対する教育委員会の基本的な見解をおたずねします。

≪教育長≫
  教育基本法は、戦後のわが国の教育の基本を確立するために、教育の基本理念、義務教育の無償、教育の機会均等などについて定めたものであり、学校教育法や社会教育法などすべての教育法規の根本法となるものです。
  昭和22年の施行以来、教育基本法の下に構築された学校教育制度をはじめとする教育諸制度は、国民の教育水準を大いに向上させ、わが国社会の発展の原動力となるなど、多くの成果をあげてきました。
  しかし、制定から半世紀以上が経過し、科学技術の進歩、情報化、国際化、少子高齢化、家族のあり方など、わが国の教育をめぐる状況が大きく変化し、学ぶ意欲や規範意識、道徳心の低下、いじめ、不登校、中途退学、学級崩壊、家庭や地域社会の教育力低下など、様々な問題が生じています。
  このため、今回の改正では、これまでの教育基本法が掲げてきた普遍的な理念を継承しつつ、公共の精神など日本人が持っていた「規範意識」を大切に、それらを醸成してきた伝統と文化の尊重など、教育の目標として今日特に重要と考えられる事柄を新たに定めています。
  今後、国において、改正された教育基本法の精神を様々な教育上の課題の解決に結び付けていくため、関係法令の改正や教育振興基本計画の策定などの具体的な取組が進められる予定です。
  教育委員会としましては、国会におけるこれらの審議状況を注視するとともに、引き続き、関係法規に則り広島の新しい教育の一層の推進・充実に努めていきたいと考えています。


●2学期制をめぐり保護者・関係者に不安と混乱 市教委に責任ないのか
  さて、最近の市教委の強引なやり方は目に余るものがあります。昨日来、多くの議員が2学期制導入に対する市教委の強引なやり方に言及されましたが、私も全くそのとおりだと思います。
  2回にわたる教育委員会議で意見が真っ二つに分かれているのに、最後は委員長1人が2票を投じて決着を図ったのも異常なことですが、新学期の直前になって、初めて保護者に対する説明をして当たり前とするやり方も異常です。
  秋葉市長は「市民の市民による市民のための政治」をかかげていますが、市教育委員会は、それと全く反対の方向を向いています。市民や子どもを置き去りにした、こういう強引なやり方が今後もすすめられるとしたら、学校現場はますます矛盾と混乱をひどくし、市民に不信を広げるばかりです。
  市教委は、口を開けば「2学期制を決めたのは学校長だ」と、全てを学校長の責任にしようとしていますが、これだけ保護者や関係者の間に不安や混乱をもたらしたことについて、教育長はまずあやまるべきではないですか。それとも、市教委には何の責任もないと思っておられるのですか。一体どっちなのか答えてください。
  また、「決めたのは学校長だ」というのなら、その学校長の判断で実施時期を延期してもその判断を市教委は尊重する気があるのですか。

≪教育長≫
  2学期制は、本市の小・中学校の現状と課題を解決していくための方策の一つとして導入し、これまでの教育活動を見直し、各学校が教育目標や課題に応じて、前例にとらわれず主体的・弾力的に教育課程を編成することができるようにするものです。
  各学校では、昨年4月に2学期制についての検討委員会を設置し、2学期制における教育課程の編成に関する検討を進めてきました。
  来年度、2学期制を導入するかしないかについては、各学校の教育目標を達成するために、学校や児童生徒の実態を考慮して、教育課程の編成の主体者である校長が決定したものです。
  教育委員会としても、本年度のモデル校の地道で先進的な実践研究を礎として、特色ある学校づくりが一層推進できるよう各学校の取り組みを支援していきたいと考えています。


●全国一斉学力テストへの対応について
  また、今後、改悪された教育基本法のもとで予想される全国一斉学力テストなども、こんな強引なやり方ですすめるつもりですか。

≪教育長≫
  本調査は、全国的な義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、各地域における児童生徒の学力・学習状況を把握・分析することにより、教育及び教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図ること、また、各教育委員会、学校等が全国的な状況との関係において自らの教育及び教育施策の成果と課題を把握し、その改善を図ることを目的として、実施されます。
  これらの調査結果を、今後の教育行政施策や各学校における指導の改善などに生かしていきたいと考えています。


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「政治とカネ」の問題で急浮上した“政務調査費” 市民が納得できる監査を

  第三の柱として、「政治とカネ」をめぐる腐敗根絶のためにどう取り組むかという問題です。
  ご承知のように、いま、現職閣僚や自民党・民主党の国会議員の「事務所費」問題が大きな政治問題になっています。
  地方議員の「政務調査費」も同様に、東京都目黒区をはじめ、その使途が大きな問題になっています。昨年12月、広島市でも私たち市議会議員の政務調査費について、「事務所がないのに多額の事務所費を計上しているのはおかしい」と、市民19名から住民監査請求がおこされました。
  記者会見で配布された資料によると、平成17年度分として各会派が市長に提出した「収支報告書」では、政務調査費の支払い総額は2億4,350万円。そのうち事務所費が5,642万円(23%)となっています。
  ところが、マスコミ報道によると、市民の皆さんが調べた結果では、独立した議員事務所を開設していると思われる市会議員は15名しかいなかったそうであります。
  ご承知のように、私たち市会議員には「事務所」の登録義務はありませんから、これが事実かどうかはわかりませんが、1月29日付け中国新聞「社説」によると、福山市議会では事務所を「明らかに外形・機能、実態を有し」と定義しています。少なくとも看板も何もない、市民にも分からないようなところが、はたして事務所といえるかどうかは市民が判断するでしょう。
  政務調査費は歳費ではありません。市長が、市議会の各会派に税金から交付している補助金であり、公金ですから他団体への補助金同様、その使途を含め、詳細な収支報告を提出するのが当然です。
  議員だけが特別扱いされるのは、公正な税金の使い方に反します。わが党は、こういう立場から、これまで一貫して領収書の添付と全面公開を求め、自らも市民に対して全面公開してきました。
  そこで、監査委員におたずねします。中国新聞「社説」では、「今回は市民が納得できる判断を示してほしい。そのためには、議員ごとに事務所の有無を確かめ、経費をチェックするなど実態をつかんでの審査を望みたい」と書いてありますが、この主旨に応えられるよう実態を踏まえた公正な監査を強く望みます。これまでの監査委員の対応と今後の見通しについてお答えください。

≪代表監査委員≫
  平成18年12月18日の住民監査請求を受けて、平成19年1月5日に議会事務局で、平成17年度の政務調査費に係る支出関係書類について調査を行うとともに、1月10日から19日まで、各会派の平成17年度の事務所費にかかる経理簿、領収書等について調査を行いました。
  また、1月18日には、請求人及び関係職員の陳述の聴取を行いました。
  現在、収集した資料等に基づき監査を行っているところであり、地方自治法では請求のあった日から60日以内に監査を行わなければならないと規定されているため、期限である2月16日までに監査を終えることにしています。


●政務調査費、費用弁償、海外視察 ― 「市民が納得できるように見直しを」
  最後に議員のみなさんに訴えたい。
  いま「政治とカネ」の問題について国民がなぜ怒っているのか。それは国民負担が増える一方で、国民の血税である政党助成金や政務調査費をもらいながら、その使い道すら公表しない。ここに一番の怒りが集中しているということを私たち議員は知るべきであります。
  ましてや、税金の使い道をチェックすべき議員が、自らの税金の使い道も公表できないようでは、市民の信頼にこたえることはできません。
  「やましいことがないのならガラス張りにせよ」。これが国民の声です。これに対して各議員がどれだけ自浄能力を発揮できるかが、いま問われています。
  各会派には領収書の保管が義務づけられているのですから、来期を待たず、この議会で全面公開に踏み切ろうではありませんか。
  また、この際、議会に出席するたびに1日11,000円もの費用弁償(日当)がなぜ必要なのか。市民から「観光旅行ではないか」と批判されている海外視察についても、市民が納得できるように見直そうではありませんか。
  このことを議員の皆さんに呼びかけて私の質問を終わります。

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再質問(要約)

●2学期制をめぐる混乱で市教委に一切責任はないのか
  「2学期制の導入の仕方がひどい」と多くの議員が発言した。学校現場や親の間で不安や混乱が広がっていることについて何も感じていないのか。親や関係者に不安や混乱はないと考えているのか。
  「導入をきめたのは校長」だと言うが、今回の問題の責任は校長にあり、市教委には一切責任がないと考えているのか。深刻な混乱を招いていることについて、「市教委として責任を感じている」と言うべきではないか。いまのようなやり方では、市民・子どもを置き去りにしてしまう。現状をどう感じているのか。

≪教育長≫
  2学期制について、「充分な説明がされていない」、あるいは「聞いていない」という声があるという事実について、誠に残念で申し訳なく思っています。
  教育施策の遂行について、地域、住民、保護者の充分な理解をえて、今後の教育施策の遂行に努めていきたい。


●法人市民税の超過課税については先行都市の調査を
  法人市民税の均等割の超過課税については、ぜひ実施している福岡市、北九州市を調査するようあらためて要望する。

≪財政局長≫
  福岡市、北九州市の均等割の状況を調べてみて、本市の財政的状況とも比較してみたいと思う。


●何千人もの高齢者が住む基町団地 市が立地誘導してデイサービスを
  「基町にデイサービスは必要ない」と言われたが、それを基町の住民のみなさんの前で言ってみてほしい。何千人もの高齢者の方が住んでいるのに、「周りに施設がある」との理由で必要ないと言われる。
  国に地代を払って市が公営住宅を建てているから、民間が施設を建てることはできない。市が立地誘導しないと建たない。団地にはデイサービスを建てる空き地がある。
  NPOや社会福祉法人などによびかけて前向きに検討してほしい。

≪社会局長≫
  基町にデイサービスをということだが、周辺のデイサービスがあり、バスの送迎で利用していただいているのが現状だ。そういう意味で、いま団地の中にデイサービスの必要性はないという趣旨で答えた。
  希望される方は、受け入れるサービスが周辺にあると申し上げたので理解してほしい。


●市として青年の雇用を重視してほしい
  広島市として、未来を担う青年の雇用を重視してほしい。派遣社員であることを理由に、女性の親から結婚を断られた青年もいる。時給700円から900円という不安定な収入では結婚もできないという実態を市民局はつかんでほしい。
  中国新聞には「見込み求人」のことが載っていたが、市は実際の数字を調べてほしい。

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