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2006年6月19日 本会議 中森辰一議員の法人の経営状況報告質疑


高速交通株式会社(アストラムライン)について
  ・ 経営安定化のカギは「マイカーからの転換」
  ・ 「経営危機」か「経営改善」か 市の交通政策が左右する
地下街開発株式会社(紙屋町シャレオ)について
  ・ 市民の税金ですべて面倒みるやり方 改めて市民に問うべき
  ・ 銀行にとってはリスクなくなり「万々歳の決着」
  ・ 市民にとっては福祉に使えるお金消え、経営破たんは税金で償うことに
  ・ 行政がわざわざ商業施設つくって周辺と競争する必要あるのか
  ・ 「ムダ」を通り越し、「巨額の損失」市民に負わせた事態
  (再発言) 市の不動産事業はいずれも失敗だったことを教訓にすべき



高速交通株式会社(アストラムライン)について

  日本共産党市議団を代表して、高速交通株式会社と地下街開発株式会社の経営報告に対する質疑を行います。

経営安定化のカギは「マイカーからの転換」
  まず、高速交通株式会社。アストラムラインができてから12年になるが、当初から利用者数の低迷が続き、国の補助金があって何とか経営をしのいできました。それでも債務超過になったということで、市の歳計現金をつかった単年度融資で利息負担を軽減したことで、いったん黒字を計上しましたが、国の補助金がなくなったことや、短期間での集中した修理費の影響などがあって、再び大幅な赤字に転落ということになりました。
  それでも、昨年度は前年度より利用者が増加して、この傾向が続けば減価償却の逓減によって平成24年度には再び単年度黒字になるという見通しが述べてあります。
  これには利用者数が減らないということや、大きな設備投資の必要が生じないといった、マイナスの要因が生じないことが条件となると思いますが、利用者数はともかく、その後の車両の更新など減価償却額を増やす要因がなくなることはありえないわけで、そういうなかで、とりわけ累積赤字を解消し、安定した経営に転じるための最大の保証は利用者数を大幅に増やすことです。
  昨年度、利用者数増に転じた裏には、そのための経営当局の並々ならない努力があったと思うし、さらに利用者を増やすために交通科学館との連携やサンフレッチェやカープ球団との連携などが打ち出されていますが、大幅な利用者数増につながるものかどうか未知数です。
  そもそも、アストラムラインの経営が危機に追い込まれた最大の原因は、マイカーからの転換というアストラムライン建設の目的が果たせなかったことにあります。この目的を改めて果たせるような取り組みが必要ではないかと考えます。

「経営危機」か「経営改善」か 市の交通政策が左右する
  都心は慢性的な交通渋滞と環境の悪化に悩まされ、その解消の一手として紙屋町交差点から歩行者を排除する無理まで強行されました。しかし、市内の大型店では車で来る人々のためにさまざまな優遇措置が講じられ、市内のいたるところに駐車場が建設され、都心の空間はますます車に占拠されつつあります。
  公共交通機関の活用に向けた取り組みが少しずつ進められていますが、思い切った都心の車を減らす施策が必要になっています。広島市北部から流入する車を減らす取り組みが成功すれば、それはアストラムラインの利用者増に直結します。これは、単にアストラムラインの経営の問題だけではなくて、広島市の交通政策の問題としても急がれる課題だと考えます。
  アストラムラインの経営を危機に追い込んだのは広島市の政策であり、広島市の政策によってこの経営を大きく改善することができると考えるし、公共交通機関としてのアストラムラインの経営を抜本的に改善するために、そういう政策を急いで進めることが必要だと考えますが市長のお考えを伺います。

≪道路交通局長≫
  広島高速交通株式会社では、これまで、通勤定期の割引率の拡大、マイカー通勤者を対象としたモニター制度の実施や、都心部の商業施設と連携した取組などを実施し、利用促進に努めてまいりました。
  本市では、平成16年に策定した「新たな交通ビジョン」において、交通体系の軸足を公共交通にシフトすることを今後の交通政策の方向性としています。
  具体的には、インターネットによる郊外駅周辺の民間駐車場情報の提供や商業施設駐車場の活用など、パーク&ライドを推進しています。
  さらに、昨年度から、国や交通事業者等と協力してノーマイカーデー運動を実施しています。本年度は、運動がより効果的な取組となるよう、7月から毎月22日をマイカー利用を控える日と定め、過度な自動車交通への依存から環境にやさしい交通手段への転換が図られるよう、市民や企業に自動車利用の自粛を呼びかけてまいります。
  こうした取組を充実強化していくことにより、マイカーからの転換を進め、アストラムラインの利用促進に努めていきたいと考えています。


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地下街開発株式会社(紙屋町シャレオ)について

  次に地下街開発株式会社。経営報告書で述べてあるように、平成17年度からの固定資産の減損処理による会計方式が適用され、64億円の債務超過に陥った地下街開発株式会社についての支援策がまとまり、今年2月の定例議会で会社の損失補償を市が行うための債務負担行為を柱とする補正予算案と債権放棄の議案が賛成多数で議決されましたが、日本共産党市議団は反対の態度をとりました。

市民の税金ですべて面倒みるやり方 改めて市民に問うべき
  監査法人の報告書にあるとおり、地下街開発株式会社は企業として存続するには重大な疑義のある事態に陥っています。市、すなわち市民がすべてを損失補償という形で、何かあれば一切を償うという約束をしてかろうじて存続できる状態です。
  その決定をもとに本年度の経営計画が示されているわけですが、このような市民にとって極めて腹立たしい問題解決のあり方について、また、この会社の存在について、改めて市民に問うてみる必要があるのではないかと考えます。

銀行にとってはリスクなくなり「万々歳の決着」
  今回の広島市の支援策は、@民間都市開発推進機構の融資82億円、市中銀行の融資48億円、敷金・保証金返済資金借入金の43億円と、それらの融資・借入金により今後生じる支払利息などにかかわるすべてについて市が損失補償する、A市の貸付金67億円の返済開始を平成72年まで先送りする、B市の貸付金の金利を1%から0.1%へと引き下げる、というものです。
  銀行側の支援策は、新たに最大76億円の追加融資を行なうことと、市と同様に銀行の貸付金の利息を10分の1に引き下げるというものですが、他方で、もともと銀行側が債務保証していた民間都市開発推進機構からの借入金を含めて、銀行側が貸し付けた資金も一切の地下街開発にかかわる会社の債務について市が損失補償をすることになったことは、銀行側にとって、こうした破産状態の会社の処理策としては、これ以上ない極めて有利なものだったと言わなければなりません。
  結局、銀行は確かに金利引き下げに伴って予定された利息が減少しますが、今後は、地下街開発の経営がどっちを向こうが、確実に貸し付けた元金と利息は保証され、一切損失は生じない、つまり銀行側のリスクは完全に取り払われることになりました。
  仮に、地下街開発株式会社を破産させるということになっておれば、銀行は貸付金の多くを失い、当然利息は一切入らない、さらに民間都市開発推進機構への債務負担まで迫られることになっていたわけで、銀行側にとっては万々歳の決着ということになります。

市民にとっては福祉に使えるお金消え、経営破たんは税金で償うことに
  一方、市民はどうか。市民の税金で貸し付けた67億円は54年後にならないと返ってこない、その間、市民の福祉に使われることはないわけで、事実上、市民にとって債権放棄、つまり67億円という市民の財産が消えてしまったことに等しい。
  さらに、貸付金の利息が10分の1になり、33億円もの債権を放棄することが議決された。それだけではなく、今後追加融資されるものも含めて銀行の債務、民間都市開発推進機構の債務など一切の債務について損失補償したために、今後、地下街開発が何らかの事情で経営破たんに陥れば、一切を市民の税金で償わなければならないという重大なリスクを市民が負うことになりました。市民にとって大変な損失です。

行政がわざわざ商業施設つくって周辺と競争する必要あるのか
  一体だれがこのようなものをつくろうと言い出したのか。もともとアストラムライン駅につながる地下道をつくる計画だったのを、大きく拡大して地下街建設構想を打ち上げたのは広島の財界です。市と県が資本参加して第三セクターになるより2年前に、広島銀行など民間8社で地下街開発会社を立ち上げていたことを思い出す必要があります。
  経営報告書には、「当社を取り巻く経営環境は、周辺商業施設との競争が一段と激化し、売上高は2期連続で前年マイナスとなるなど厳しい状況にある」と述べてありますが、一体なぜ、何のために、行政がわざわざ商業施設をつくって、周辺商業施設と激烈な競争を展開する必要があるのか。今後のこともあるので、市行政としての見解を改めて明確に述べてもらいたい。
  同時に、当初から予定された売り上げに遠く及ばず年々減少の一途であり、地下街の通りは、とりわけ平日は閑散としており、真夏の暑さを避けるのに都合がいいぐらいのものです。交差点を渡るのにわざわざ遠回りを強いられるのはかえって不便です。このようなものを巨額の資金を投じてつくったことは明らかに失敗だった、政策判断が誤っていたと考えますが、この点の市の見解を明らかにしていただきたい。

「ムダ」を通り越し、「巨額の損失」市民に負わせた事態
  私たちは、このような必要のない巨大事業を「ムダな大型開発事業」と言っているが、ムダを通り越して、さらに巨額の損失を市民に負わせた事態について、市民に対して謝罪する必要があるという点を指摘し、以上の2点について答弁を求めます。

≪都市活性化局長≫
  紙屋町地下街は、民間商業施設としての経済的機能にとどまらず、魅力あるまちづくりの推進や安全で快適な市民生活を確保するといった、都市機能の充実と交通機能の改善を目的とした極めて公共性の高い施設です。
  具体的には、紙屋町交差点における歩行者と自動車の分離による交通機能の強化、幹線道路の地下に文化・商業機能を有する街を創造し、地域の回遊性を高めることなどによる都市機能の強化といった公共的役割を担っています。
  一方、多額の初期投資等を原因として債務超過に陥り、結果的に損失補償というリスクを市民の皆様に負わせることとなったことについては、誠に申し訳なく思っています。
  今後、本市が事業を行うにあたっては、将来の社会経済環境の変化を見通し、事業に内在するリスク等を慎重に検討するなど、同じ事態を繰り返さないよう、今回の経験を貴重な教訓にする必要があると考えています。
  今後、一層、地下街開発株式会社の経営を注視し、2月に議決していただいた経営改善スキームを着実に実行することにより、会社の経営安定化と、魅力あるまちづくりの推進や安全で快適な市民生活を確保するという、紙屋町地下街建設の所期の目的を果たしていきたいと考えています。


−−−再発言(要約)−−−

  再質問はしませんけれども、特に地下街開発について、今日のこの事業は完全に市民の税金を使って後始末をするというかたちになっています。
  すでに駅前のAブロックについても、同じような枠組みで決着をつけるということになりましたけれども、市が進めてきた不動産事業はいずれも失敗だったと思っています。
  今後、このことを肝に銘じて教訓にするべきであるということを指摘をして質問を終わります。

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