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2006年6月26日 本会議 中原ひろみ議員の議案質疑 障害者自立支援法 ― 障害児施設の利用者負担増について ・ 障害児施設の利用者負担 「自立」支援法で26倍になるケースも ・ 同じ所得階層・障害の子どもは、同じ利用料で療育を受けられるように ・ 保護者に不安広がる 現場の実態つかんで市の支援策も見直しを (再質問) 市が支援策の見直しに初めて言及 水道・下水道事業 ― 高金利借金の低金利借り換えについて 「三位一体の改革」による市財政への影響について 海田地区消防組合の解散・市への統合について 障害者自立支援法 ― 障害児施設の利用者負担増について 日本共産党市会議員団を代表して質疑を行います。まず、第77号議案、平成18年度広島市一般会計補正予算について伺います。 障害児施設の利用者負担 「自立」支援法で26倍になるケースも 障害者自立支援法の施行に伴い、10月から障害のある子どもの福祉サービスが応能負担から応益負担となり、障害児を持つ世帯に生きる希望を失うほどのショックを与えています。 市の療育センター「育成園」に子どもと母子通園している収入220万円の世帯の場合、今の利用料は月額1,100円ですが、自立支援法での国の基準額は28,940円と3万円近い利用料が毎月必要になります。なんと26倍もの負担です。 この世帯のお母さんは涙ながらに訴えられました。「当初は、わが子に障害があることを受け入れられなかったが、毎日継続して療育センターに母子通園することで、子どもは機能を低下させることなく、ゆっくりだけれども確実に発達・成長しており、母親としても成長できたと実感する毎日で、療育は親にも必要だということが心に染みています。しかし、母子通園のために働くこともできず収入もわずかです。それなのに自立支援法になると、これからはお金のある人しか療育センターには通えません」「お金がないために、わが子に必要な療育を続けさせてやれないなんて、こんなにつらくて悲しいことはありません」。この言葉は、この自立支援法がいかに障害を持つ子どもたち、とりわけ乳幼児期の子どもたちの発達保障に抜き差しならない影響をもたらすかを伝えるものです。 今回、広島市が政令市の中でも先駆けて、市費を投じて補装具・通園・施設入所サービスの利用料と食費の実費負担を軽減する制度を実施されることは、国の悪政から市民の暮らしを守るという防波堤の役割を果たすものとして評価するものですが、20年度までの3年間限定の激変緩和措置でしかありません。4年目以降の利用者負担助成制度についてはどうしようと考えておられるのか、まず伺います。 ≪社会局長≫ 本市の利用者負担助成制度は、国が定めた利用者負担の軽減措置が、3年後に見直される予定となっているため、当面、3年間の激変緩和措置としているものです。 4年目以降については、その時の制度改正を踏まえ、検討したいと考えています。 この自立支援法は「自立」と言えば聞こえはいいのですが、実際は、障害を持ったことは「自己責任」だといわんばかりに、障害児・者が障害を乗り越えて自立する気力も希望も奪う「自滅」法ともいえる「天下の悪法」です。 市として、国に対し、自立支援法の早期廃止を求める考えはないのか伺います。 ≪社会局長≫ 障害者自立支援法については、本市としては、これまでも機会をとらえて、障害者本人及びその世帯の家計への影響を考慮した、十分な負担軽減措置を講ずることなどについて、国に要望してきました。 また、本年5月にも指定都市と共同して、10月に施行される補装具や障害児施設の利用者負担の変更について、十分な負担軽減措置を講ずるよう国に要望しました。 今後とも、障害者やその家族への影響や施設運営状況の把握に努め、障害者のサービスの利用に支障が生じないようにすることなどについて、引き続き、国に働きかけていきます。 同じ所得階層・障害の子どもは、同じ利用料で療育を受けられるように 具体的な支援の中身についてお聞きします。このたびの支援額は、同じ課税額(=所得階層)にもかかわらず、施設の規模・定員数により利用料に差がでます。 例えば、現在、1か月の負担額が9,300円の所得階層の障害児が、知的障害児通園施設に通園した場合、定員70人のなぎさ園だと月の利用料金は18,180円ですが、定員30人の育成園に通園した場合は21,200円となり、同一課税額、同一障害にもかかわらず、月に3,020円も利用料に差がでます。これは全く不公平・不平等な行政だと言わねばなりません。 同じ障害をもった子どもの療育は、同じように受けられる条件づくりをすべきです。国の基準にとらわれず、どの子にも公平にすべきです。あえて、施設規模によって差をつけたのはなぜですか。助成制度の支援額をどのような基準で決められたのか伺います。 ≪社会局長≫ 障害児通園施設利用者負担助成は、利用者にはサービス利用料の1割負担と食費を負担していただくという制度の枠組みを踏まえ、1割負担と食費負担を合わせた1か月分の負担の上限額を、保育料と同程度の額とするよう設定しました。 また、所得階層によっては、このたびの市の支援制度が実施されても、負担が2倍に増える人がいる一方で、9分の1にまで縮小される世帯もあります。 例えば、肢体不自由児通園施設に通園する課税収入額230万円の世帯の場合、現在の利用料は月4,500円、(10月からは)市の助成をうけても月に8,450円の利用料が必要となり2倍以上の負担となります。 一方、最高所得階層世帯の場合、現在は月95,600円を負担していますが、自立支援法により17,620円まで軽減されます。このように、自立支援法による受益者負担は低所得者には重く、高額所得者は優遇されるしくみになっています。 そこでお聞きしますが、現在、通園施設を利用されている世帯で、自立支援法による国の基準額が現行の利用料と比べて高くなる階層の利用者数、低くなる階層の利用者数を教えてください。 ≪社会局長≫ 通園施設利用者の負担額については、全利用者202人のうち、負担が増加する人数は151人、減少する人数は34人で、所得税額が14万円を超える所得階層の方の負担は概ね減少することになります。 毎日継続して通園できる条件整備をすることこそ、行政の役割があると考えます。そのためには、市が支援しても、なおかつ負担が数倍に増える世帯に重点的に支援額を増やし、限りなくこれまで通りの負担額に近づけることが必要だと考えます。 同じ課税階層、同じ障害の子どもの療育は、同じ利用料になるように助成額を見直す考えはありませんか。 ≪社会局長≫ なぜ施設ごとに負担に差が出るかについてですが、国が定めた施設に対する報酬額が施設の種類や定員規模により異なっています。 例えば、知的障害児通園施設の場合、定員30人の施設であれば報酬額は1日あたり8,870円ですが、定員70人の施設であれば1日あたり7,090円であるため、利用者の1割負担にも差が生じます。その結果、ご指摘のような差が生じます。 保護者に不安広がる 現場の実態つかんで市の支援策も見直しを 次に、食費の実費負担について伺います。市の助成制度を利用しても1日200円の食費を負担することになりますが、食事は幼児期の障害児の発達保障に欠かせない療育です。単なる「昼食」ではなく、「療育」としての視点から無料にすべきと思いますが、どうお考えですか。 市は、幼児期の食事が持つ「療育」の意義について、どのような認識をお持ちですか。 ≪社会局長≫ 障害児通園施設における食事の提供は、単なる食べ物の提供ではなく、障害児の障害の特性に応じた食材の選択・調理から、摂食指導や機能訓練及び保護者への助言・指導まで含むものであり、療育の一環であると考えています。 こうしたことから、子ども療育センターにおける食費の実費は1食あたり560円ですが、これを学校給食並みの200円とし、所得税非課税相当以下の低所得の世帯については、食費は無料としています。 次に、補装具の利用者負担助成についてです。障害児が利用する補装具は、子どもの成長に合わせて数か月で作り変えなければならないもの、また、30万円もかかる座位保持いすなど、一人一人の障害に合わせて作る必要性があるため高額にならざるを得ません。 どんな高額な補装具でも、複数の補装具を利用する場合にも、このたびの市の助成上限額を越えて利用者が負担することはないのでしょうか。 ≪社会局長≫ このたび提案している補装具の購入に係る利用者負担の軽減措置については、利用者の月額負担の上限額を、市独自に国基準の4分の1の額としています。 市が認定する補装具の利用者負担は、高額であっても、同じ月に複数の種目の補装具を購入する場合であっても、利用者が上限月額を超えて負担することはありません。 療育センターの通園に利用するバスの料金は、利用者に新たな負担となるのでしょうか。 ≪社会局長≫ 障害児通園施設に支払われる報酬の中には、送迎に要する費用が含まれているため、別途、利用者に負担を求めることはありません。 保護者は、10月からの負担がどうなるのか不安を抱えておられます。早期に市の支援制度の情報提供が必要だと考えますが、市として、どのように周知されるのでしょうか。 ≪社会局長≫ 今回提案している助成制度に係る補正予算案の議決後、早急に、療育センター等に通っている児童の保護者への説明会を開催するなど、周知を図っていきたいと考えています。 国は、国会審議のなかで、自立支援法に問題があれば見直すとしています。市は、保護者や関係者から療育の現場の実態を調査し、その問題点と療育の必要性をリアルにつかみ、国に対し、自立支援法の見直しを積極的に求めると同時に、市の支援も見直すべきです。 −−−再質問(要約)−−− 障害児にかかわる市の支援策について重ねてお願いしておきます。 今回、利用料については保育料に合わせ、食費負担については学校給食に合わせたとのことですが、障害児の療育というのはケアや訓練をするもので、子どもの権利条約23条でも障害を持った子が、その障害を克服することは「権利」であり、そのための援助は無償であるべきとの一文があります。 条約を批准している日本では、障害児は無償でケアや訓練をうけられるべきと思いますが、その点からすれば保育料や学校給食に合わせたというのは観点がずれていると思います。 先程も言いましたが、障害児をお持ちのお母さんたちは働こうにも働けません。避けることのできない不可避性によって障害を持って生まれたわけですから、障害を乗り越え自立できるよう早期療育の場を提供することが必要なのに、そこに受益者負担を持ち込めば経済的理由から足が遠のいてしまい、結局、子どもたちの発達保障に暗い影を落とすということにならざるをえません。 今回の市の支援策は、これはこれで一歩前進ですが、現場に即したものかどうかといえば遅れていると思うので、ぜひ現場の声をしっかり聞いて、限りなく無償に近い形での市の支援をお願いします。 答弁にもありましたが、現在、施設に通う202人のうち、151人が障害者自立支援法によって負担が増えます。この負担増によって療育センターに行けない事態も起きうるわけですから、実情をしっかり調査して経済的理由で療育センターに行けないということがないようにお願いします。 私たちの試算では、あと500万円あれば現行の利用料に据え置くことができます。ぜひ、市としても現行の負担を据え置くには、あとどのくらいの支援額が必要なのか試算していただきたいと思います。 ≪社会局長≫ 法施行後も、引き続き皆さんの意見を聞いて実態を把握し、改善すべき点については国に要望を行うとともに、必要な場合には本市としての対応も検討し、制度の円滑な実施に努めたいと考えています。 上にもどる 水道・下水道事業 ― 高金利借金の低金利借り換えについて 第78号議案の水道事業会計、第79号議案の下水道事業会計の両補正予算についてお聞きします。いずれも高金利での借入れを低金利に借り換える議案ですが、借換対象となった金利およびいくらの低金利に借り換えるのか教えてください。 ≪水道局長≫ 水道事業において、このたび借換対象となる企業債は、公営企業金融公庫から借り入れた利率7.3%以上のものとなっており、借換予定額は20億7,770万円となっております。 借換利率は、平成18年度7月下旬の借換債発行時の利率となりますが、現在2.2%で見込んでいます。 ≪下水道局長≫ 6月補正予算に計上している下水道事業の借換債は、昭和56年に公営企業金融公庫から借り入れた7.6%の企業債と8.1%の企業債で合計11億1,250万円です。 これらの借り換え後の金利は、最近の公営企業金融公庫の利率を考慮し、2.2%を予定しています。 このたびの借り換えに伴い、上水と下水で年間約3,900万円の利息などが軽減されるといいますが、当年度の利息の軽減額と返済完了時までの利息軽減総額はいくらですか。また、これまでに実施されてきた高金利借換対策による減額総額もお聞きします。 ≪水道局長≫ 利息軽減額は、平成18年度で6,515万円、平成22年度の返済完了時までの5年間で、2億5,375万円と見込んでおります。 また、これまでの高金利借り換えについては、平成17年度に初めて借換対象となっており、10億8,300万円の借り換えにより、平成21年度の返済完了時までの5年間で、1億2,402万円の利息軽減となります。 ≪下水道局長≫ 今回の借り換えによる平成18年度の利息軽減額は3,580万円で、返済完了時までの3年間の利息軽減額の総額は9,214万円を見込んでいます。また、借換制度の対象となった平成15年度から平成17年度までに約168億6,000万円の借り換えを行いました。 その結果、平成15年度から返済完了時の平成31年度までの17年間で、利息軽減額の総額は約46億3,500万円です。 今年3月末時点での、水道事業と下水道事業の借金残高を教えてください。 ≪水道局長≫ 平成17年度末の企業債残高は、1,115億9,139万円となっております。 ≪下水道局長≫ 平成18年3月末時点での財政融資資金や公営企業金融公庫等の下水道事業に係る未償還残高は、約5,520億円です。 今回の借り換えは、金融公庫からの借り入れのみを対象としていますが、まだ8%以上の高金利の借り入れが残ったままになっています。水道事業では7.5%以上の借り入れが約9億3,000万円、下水道事業では約15億円もあります。いずれも財政融資資金の借り入れです。 早急に高金利のままになっている財政融資資金の借り換え対策が必要だと考えますが、どのようにお考えですか。 ≪水道局長≫ 財政融資資金については、現在、借換制度がございません。これまでも、大都市水道事業管理者会議や(社)日本水道協会等、あるゆる機会を通じて財政融資資金の借換制度の創設について要望してきておりますが、今後も引き続き要望してまいります。 ≪下水道局長≫ 財政融資資金については、現時点では低金利への借換制度はありません。また、借り換えが一部認められている公営企業金融公庫も、政府系金融機関改革の中で「平成20年度において廃止し、廃止後の地方公共団体のための資金調達は、資本市場、民間金融機関等からの資金調達に移行する」こととされ、低利で良質な資金を提供している公営企業金融公庫に代わる機能を有する枠組みづくりが緊急の課題となっています。 こうした中、低利で良質な資金を確保するため、地方六団体や地方公営企業連絡協議会、下水道事業を行っている自治体の集まりである(社)日本下水道協会などを通じて、公営企業金融公庫廃止後の適切な枠組みの構築を要望しています。 併せて、財政融資資金についても低利への借り換えが行えるよう、引き続き国に対して要望を行ってまいります。 上にもどる 「三位一体の改革」による市財政への影響について 第81号議案、広島市市税条例の一部改正についてお聞きします。 これは小泉内閣の三位一体の改革により、地方への税源移譲として実施されるものですが、この税率構造の改正により、国が出していた補助金がなくなり、市の一般財源に切り替わることになります。市が自由に使える範囲が広がるものの、市の裁量と姿勢がこれまで以上に問われてきます。 そこで伺いますが、これまで国が市に補助金として支出してきた項目のうち、今回、削減される補助金項目と金額を教えてください。 ≪財政局長≫ 三位一体改革により、平成18年度までに廃止・縮減された本市に対する国庫補助負担金は、@公立保育所運営費負担金、A養護老人ホーム等保護費負担金、B児童扶養手当給付費負担金、C児童手当負担金などで、額にすると約70億円になります。 三位一体の改革で、平成15年から平成18年の4年間に、地方へは3兆円の税源移譲が行われますが、一方で、国庫負担金が4.7兆円、地方交付税は5.1兆円も削減されています。この影響は広島市ではどのくらいになりますか。 ≪財政局長≫ 三位一体改革による平成18年度までの本市財政への影響については、まず、国庫補助負担金の廃止・縮減による影響額は、今申し上げた約70億円で、これに対し、税源移譲対象として、所得譲与税として交付される額は約74億円になっています。 ただし、この差額は、地方交付税により調整されることから、実質的には増額にはなりません。 次に、地方交付税についてですが、臨時財政対策債を加えた実質的な交付税額は、平成18年度当初予算額は585億円となっており、三位一体改革前の平成15年度当初予算額750億円と比較すると、165億円の減(マイナス22%)となっています。 定率減税の廃止による市の増収額を教えてください。 ≪財政局長≫ 個人の市民税に係る定率減税については、今年度は、減税額が2分の1に縮減されたことにより、縮減前の平成17年度に比べ、約24億2,000万円の増収となる見込みです。 また、今回、平成19年度以降の定率減税の全廃を提案しておりますが、これにより平成19年度は、今年度に比べ、約27億8,000万円の増収、平成17年度に比べ、約52億円の増収となる見込みです。 上にもどる 海田地区消防組合の解散・市への統合について 最後に、第106号議案、海田地区消防組合規約の変更について伺います。 この議案は、海田地区消防組合を解散し、安芸区の消防事務を市が直轄し、海田町、坂町、熊野町の消防事務を広島市が受託することを前提に、必要となる組合規約を変更するものです。 これにより、経費が削減するとのことですが、一体どんな経費が削減されるか具体的に教えてください。 ≪消防局長≫ 本部機能を本市に統合することとなるため、海田地区消防組合の管理部門や119番通報を受け付ける通信指令部門の職員が不要となることに伴い、人件費の削減が図れます。 また、現在、老朽化により更新を迫られている当該消防組合の消防通信指令システムは、安芸地区からの119番通報を本市で直接受け付けることにより、本市の消防通信指令システムの改修で対応できることから、新たな設備投資の削減も図れます。 広島市が受託したことで、消防力が低下したということがあってはなりませんが、消防隊員の人数は増員にされるのですか。消防力がどのように向上するのかお伺いします。 ≪消防局長≫ 安芸地区の消防隊や救急隊など現場対応に当たる隊員数は、現状を維持することとしています。しかし、海田地区消防組合の管轄区域が本市の管轄区域に統合されることになり、市域全体の消防力による災害対応が可能となります。 例えば、危険物施設の火災においては、本市が保有している化学車や高所から化学泡を放射する特殊車両などが活用でき、さらに、沿岸部においては、消防艇による海上からの防ぎょ活動も可能となります。 このように、災害の状況に応じて、より多くの部隊や特殊車両の投入などが速やかに行えることから、消防力の向上が図られるものです。 上にもどる |
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