議会での質問・答弁

2024年06月28日

2024年第2回 6月定例会 意見書案趣旨説明 藤本さとし

意見書案第13号 企業・団体献金を禁止し、政治資金の透明性を求める意見書案の趣旨説明

(藤本さとし)
 お疲れ様です。日本共産党の藤本聡志です。提案者を代表して意見書案第13号企業団体献金を禁止し、政治資金の透明性を求める意見書の趣旨説明を行います。まず案文を読み上げます。


意見書案第13号 企業団体献金を禁止し、政治資金の透明性を求める意見書案(日本共産党提出)
 第213回国会で可決・成立した改正政治資金規正法は、肝心要の企業・団体による献金や政治資金パーティー券の購入の禁止が抜け落ちています。政治資金パーティー券の購入は企業・団体献金の抜け道として長年使われ、裏金の原資となってきました。
 企業・団体献金により、大企業や業界団体が求める予算や制度へと政治がゆがめられてきたことは、国会審議を通じて国民の認識するところとなり、世論調査では国民の8割が「認めないほうが良い」との結果となっております。
 改正政治資金規正法は、パーティー券購入者の名前の公開基準を20万円以上から5万円以上へと引き下げたことをもって「透明性」が確保されたとしておりますが、これでは何の規制にもなりません。政治資金パーティーの禁止こそ必要です。
 さらに、政党が「政策活動費」と称して、党本部から政治家個人に巨額の資金を支出してきた脱法行為を、新たに規制法に書き込み合法化したことは、「政治資金は国民の不断の監視と批判の下におく」とした政治資金規正法の理念に真っ向から反しております。
 これは、河井夫妻による買収事件で問題となった「夏は氷代」、「冬は餅代」、「陣中見舞い」などの名目で首長や地方議員、後援会関係者に配布されてきた買収行為をも免罪することになります。 加えて「政策活動費」の領収書の公開を10年としたことは、政治資金規正法を名ばかりの法律にする重大な後退です。政治資金規正法違反の時効は5年間であり、10年後の公開では、不正が発覚しても誰も罪に問うことはできず、公開する意味がありません。
 裏金事件をはじめとする金権腐敗政治を根絶するため、企業・団体献金の全面禁止に踏み出すべきです。
 よって、国会および政府におかれましては、企業団体献金を禁止し、国民の目線で政治資金の透明性が図られる政治資金規正法への再改定をするよう強く要請いたします。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたします。


 案文は以上であります。次に、提案説明を述べます。
 第213回国会では、自民党派閥による裏金事件を受けて政治とカネの問題が一大事件に発展をいたしました。過去にもロッキード・リクルート・ゼネコン・佐川急便事件など企業と政治家をめぐる金権・腐敗政治があいつぎ、「政治改革」が叫ばれました。そのとき「企業・団体献金」をなくすという口実で、政党助成金が1995年1月に導入されました。
 その時に施行された「改正」政治資金規正法は、付則第9条で、政治家個人への企業・団体献金について、施行5年後に「これを禁止する措置を講ずる」と明記をしております。また、第10条では、政党への企業・団体献金のあり方についても、5年後に「見直しを行うものとする」と、規制の方向を明らかにしています。
 ところがどうでしょうか。毎年300億円を超す政党助成金が導入され、日本共産党を除く各政党が受け取っているにも関わらず、企業・団体献金は減るどころか、各政党は政党助成金と企業・団体献金の「二重取り」になっており、その実態は厳しく批判されるべきだと思います。
 「政治とカネ」の問題で、これまでの金権腐敗事件は、特定の政治家が企業から賄賂を受け取り、政治を歪めた事件が主でした。
 しかし、今回の自民党の裏金問題は、自民党主要派閥の全てが関わる組織的犯罪というべきものです。
 暮らしの困難を抱える多くの国民から「国民には1円単位で納税を迫りながら、自分たちは裏金・脱税か」と怒りの声が広がっております。
 そうした中、先の国会で政治資金規正法が改正されました。時事通信が6月10日に実施した世論調査では、政治資金規正法の「改正」を「あまり評価しない」が33%、「全く評価しない」が39.2%で、7割を超える国民が評価していないことが明らかになっております。
 評価しない理由で最も多いのは、「企業・団体献金が盛り込まれなかった」これが52.4%に上ります。企業・団体献金を禁止しない政治金資金規正法改正では、裏金問題の再発防止にならないと多くの国民が見抜いているのではないでしょうか。
 企業や業界団体から政党や政治家に行われる献金は、その企業や業界に有利な政治を期待して行われるものであり、一種の賄賂です。自民党の裏金づくりの原資となった企業・団体による政治資金パーティー券の購入も、形を変えた企業・団体献金であり、企業・団体献金の全面禁止こそが真の政治改革の核心ではないでしょうか。 しかし、改正された政治資金規制法には、企業・団体献金の禁止が抜け落ちております。パーティー券購入者の公開基準額を「20万円超」から「5万円超」に引き下げましたが、これでは2度と裏金を作らせないための規制法にはなりえません。
 パーティーを何回も開催したり、複数人で分担して購入していけば、これまでと変わらず名前の非公開は通せます。しかも、実施は2027年1月ですから、その間は従来通り「20万円超」のままであり、全く意味のない改正内容になっていると思います。
 加えて、政党本部から党幹部らに渡されてきた「政策活動費」は、政治資金規正法上に、従来規定がなく、支出の実態が隠されてきました。しかし、その「政策活動費」を法律に書き込んだことにより、脱法行為を認めるものになっております。
 裏金の真相解明には背を向けて、どさくさに紛れて制度の改悪まで行うことは断じて許されません。改定した政治金規制法では、領収書や明細書などの公開を10年後としました。政治資金規正法違反の時効は5年です。10年後に公開されて不正が発覚しても罪に問われません。「安心して裏金づくりができる」ということではないでしょうか。
 先日、障害のある子どもたちの支援施設で働くある方から、自民党、公明党、日本維新の会は国民をバカにしているのではないかとの抗議の声が届きました。
 この施設は市から補助を受けているため、市の監査が定期的に入ります。そのため、領収書は必須です。領収書のない支出は補助の対象にならないからです。
 この施設で働く職員は「なくしてならないのは夢と希望と領収書」これを合言葉に、子どもたちには買い物をしたときは必ず領収書をもらうようにと繰り返し指導されているということです。
 そうしたなか、法律をつくる政治家が自分たちの政治資金に関する領収書の公開は10年後などというのは、あきれるばかりだと話されておられました。
 政治家は国政でも地方政治でも清潔であることが肝要です。物価高騰で苦しい生活を余儀なくされている多くの国民生活をよそに、政治家は裏金づくりに奔走するというのは、世も末ではないでしょうか。
 裏金づくりを解決し、政治資金を常に国民の監視のもとにおくために、最も力を発揮するのは、企業団体献金を禁止することだと思います。これ以外に解決策はありません。
 政党から政治家個人への政治活動に関する寄附を禁止し、政治資金は政治家個人が扱わず、資金管理団体などで扱うことで、政治資金の収支が公開されるようにすべきだと考えます。
 以上、議員各位のご賛同をお願いいたします。

※賛成少数で否決