議会での質問・答弁

2024年03月06日

2024年第1回 2月定例会・予算特別委員会 建設関係 中原ひろみ

1.広島高速5号線シールドトンネル工事について
2.広島駅周辺地区のまちづくりの推進について
3.安定した地域交通の運営について

1.広島高速5号線シールドトンネル工事について

(中原ひろみ)
 おはようございます。日本共産党の中原ひろみです。建設委員会では、この三つの項目、広島高速5号線シールドトンネル工事、広島駅周辺地区のまちづくりの推進、安定した地域交通の運営ということで、この画面に記した順番で質疑を進めていきたいというふうに思います。
 高速5号線シールドトンネル工事については、三つの視点から伺います。まずは被害を与えたことについての認識をしていただいて、謝罪と補償、とりわけ家屋被害と精神的被害もある。
 それから工期延長、事業費の増額、この説明責任をきちんと果たしていただきたい。
 最後は大口径のシールドマシンの採用についての検証が必要だとこの立場からうかがってまいります。
 それで現在シールドマシンは住宅直下を過ぎまして、尾長山の下を掘削しております。貫通まで約380mと聞いておりますが、市はこれまで牛田地区の掘削の見通しが立った段階で、高速5号線の完成時期を示すとしてきましたので改めて聞くんですが、いつ頃の完成時期になるんでしょうか。

(高速道路整備担当課長)
 1月5号1月9日に住宅地直下の掘削は完了いたしましたが、現時点において、地域住民と結んでいる調停の範囲である牛田地区の終点まで約40m残っています。
 公社からは、完成時期については住宅直下の通過後も住宅地の影響を確認しながら慎重に掘削する必要があることから、牛田地区の掘削の見通しが立った段階でお示しすると聞いています。

(中原ひろみ)
 と言うんだけれども、ここに私の手元には牛田地区の町内会が出した二葉山トンネル工事進捗状況というのがあるんです。
 ここには、完成時期は2020年7月の予定から大幅に遅れて2028年度になると見込まれています。というふうに書いてあります。
 これは地元が勝手に書いたわけじゃなくって、きちんとした公社なり市からの情報提供だというふうに思うわけですが、地元の情報と議会への情報がずいぶん齟齬があるなということを指摘したいと思います。
 それで牛田地区に続いて今掘削をしている尾長山、これまでにも指摘しましたように、この墓石のように硬いという細粒黒雲母花崗岩というのが分布をしているということです。
 地質に関しては十分な検証もないという中で、住宅直下を過ぎてもやはり完成時期は見通せないというのが実態ではないかと思わざるを得ません。

 当初からもう3年半も遅れているわけですけれども、遅れの原因について、市民への説明責任が必要ですし、何より一番のこの事業の協力者は誰かと言えば地元住民です。
 この地元住民に対して、工事中の精神的な苦痛に対する補償をはじめ、大切なマイホーム、この財産に対する被害を与えたことについて、誠意ある補償が求められているということをまず指摘をしたいと思います。
 しかし、2023年、去年の6月16日です。地元の説明会で広島高速道路公社の熊谷慧理事長が、住民を前にしてですよ。「被害を与えたと認識していない」という発言をされて、地元は大変カンカンになったわけですが、未だにこの発言は撤回されておられません。
 被害を与えたんだという認識がなければ住民の立場に立ったまともな補償はできないじゃありませんか。
 それで私は本当に理事長がおっしゃるように、被害はないのかと現地に行きました。
 そのときのこれは牛田東1丁目の戸建て住宅です。まっすぐに亀裂が入っております。これはそのそばのある階段ですが、階段の踏み場のところにも、横一直線の亀裂です。家自体が沈下しておりますね。
 先日も同じ家屋に行きますと、先ほどの横一直線の亀裂に目地を入れて修繕したんだけれども、また広がっているという状況でした。


 これは私の手ですけれども、隣の境界との境目のブロックといいましょうか、そういうものが浮き上がって、手が入るという状況です。
 これは牛田東1丁目の集会所の入口です。マンホールや水道メーターボックスがあるんですが、亀裂が入って2センチ程度浮き上がっておりましてね、ここにつまずいて転んだという人がいるということで、隣にありますマットを敷いて応急復旧をされているという状況です。
 これは擁壁の亀裂です。ここは修繕がしてありました。
 これは、牛田東1丁目のブロック、石垣、これが浮いて、飛び出しているので、落ちてきたら危ないということで、この緑のシートをかけて応急復旧がされているということであります。
 これらの被害は、自然になったんじゃないんですよ。明らかに高速5号線のシールドトンネル工事に起因するものでしょうよ。それで、家屋被害だけでなく、住民からは工事中の騒音振動が耐えられない。こういうことが訴えられましたね。
 それで聞くんですが、この騒音振動に耐えられず仮住居で暮らさざるを得なかった人がいる。何人いたのか。一番最長の期間はどれぐらいだったのか。家屋からはどんな被害が出ているのか教えてください。

(高速道路整備担当課長)
 家屋等の不具合につきましては、戸の開閉の不具合や、張り出し床版の剥落などの申し出があったと公社から聞いています。

(中原ひろみ)
 仮住居に住んだ人の人数と期間は答えていただけないの。

(高速道路整備担当課長)
 失礼しました。仮の施設を利用された方はこれまで6人でございまして、現在1人の方のみが利用されております。

(中原ひろみ)
 今なお仮住居で暮らしてらっしゃるということですよね。まさにこれは生活権の侵害でしょう。
 今、能登半島地震が発生して、多くの方が避難生活を余儀なくされていらっしゃいますけれども、この住宅に住めない状況というのは、その原因が自然災害による地震であるのか、あるいは公共事業による影響なのかの違いだけで、市民が被害を受けた、それによって住宅に住めない、このことは変わりがないでしょうよ。
 家屋被害住民の仮住まい、このことについて、これはトンネル工事により発生したものであり、被害を与えたと言うべきだと思うんですが、なぜ公社理事長はこの被害を被害と認めないんですか。

(高速道路整備担当課長)
 公社からは、騒音振動については一次管理値未満で掘削できている、ただし、一時管理値未満であっても、調停に基づき、生活に支障があるなどの申し出がある住民に対しましては、掘削時間帯に休息できる仮の施設として、広島駅周辺のマンスリーマンションや介護施設等を提供させていただいている。さらに、住民に対しましては、掘削時間帯の外出に際し、自宅から広島駅周辺までの移動にかかる交通費についても負担するなどの対応も行っていると聞いています。
 また、家屋等の不具合につきましては、住民からの申し出に対し、その都度、早急に状況確認を行い、工事による影響が明確に否定できないものについて、特に生活に支障があると認められる場合や、第三者に影響を与える可能性がある場合に、応急措置等の対応を行っていると公社から聞いています。
 こうした騒音振動や家屋等の不具合への対応につきましては、地域住民と結んだ調停に基づき行っているものであり、引き続き地域住民の不安を可能な限り払拭できるよう丁寧な対応に努めていくと公社から聞いています。

(中原ひろみ)
 仮の住まいを提供したから、それでいいじゃないかという論理はおかしいでしょう。仮の住まいにさせるということがまずおかしいんでしょうよ。なぜそうなったかですよ。明らかに被害が出ている。やはりこの被害を与えたという認識がないということ自体が私は異常なことだと指摘したいと思います。
 先ほどから騒音振動の一時管理値という話がありましたけれども、この点について、地元は「県と市と公社に騙された」とおっしゃってるんです。つらい話じゃありませんか。もう精神的な苦痛ですよ。
 その第1には、この2013年9月18日に県知事が、牛田東3丁目の集会所において、5号線に関わる知事の見解を示された。
 このときに知事は、「住民の皆様に犠牲を与えながら工事を進めることはない」と約束して、「いつの間にか工事は終わっている。そんな工事なんだ」というふうにおっしゃった。
 それで地元は、シールドマシンというのはそんなに優れたものなのかというふうに安心をされて、県・市・公社の説明を信頼して調停を交わし、平成30年2018年の7月17日午後1時30分に、調停が成立したわけであります。
 しかし、実際工事が始まるとどうなったか。カタカタカタカタと音がする、ジーンと部屋全体が響き合うような音がする。もう怖くて自宅には住めない。だから仮住居で暮らさざるを得なくなったんでしょう。5号線の責任じゃありませんか。
 騒音規制法では、特定建設作業に関する騒音値の上限値は85デシベルと決まっているが、なんと、シールドマシンの騒音規制値はないんだそうですよ。
 地元はそれを聞いて「エーッ」と驚く。騒音の規制値もないのに、「いつの間にか終わってますよ」というようなことをよくも言ったなと。騙されたというのが実感でしょうよ。
 それで住民は、自分たちの暮らしの実態を知ってほしい、掘削工事をやっている上で暮らすことがどんだけしんどいのか知ってほしいということで、自宅の中で騒音振動調査をしてくださいという要望書を正式に提出をされたが、公社は、先ほど答弁もありました、一次管理値は60なんだと。だから関係ないと言って住民の要望を全く受け付けなかったということなんです。
 地元はこの公社の態度に怒りを持ち、独自に広島市の環境保全課から振動計を借り、2022年10月8日に複数の世帯の自宅内で振動測定を実施されております。
 その結果どうなったか。一次管理値の60じゃないんですよ。65から78デシベルになった。市の資料でも、65デシベルを超えると生活に支障が発生するって書いてある。実際その通りに支障が発生した。だから自宅で生活できなくなった。
 本来なら、地元が言うように家屋内で調査をするのが、本来のやり方ではなかったかなというふうに思います。
 調停には公道で測定するって書いてある。が、みんな地域の住民は素人ですよ、公道で測っても、自宅での被害と同じなんだろうと、そんなふうに思った。自宅の中での調査と道路での測定はそんなに変わらないのではないか思って、公道だけの調査でいいですよっていう調停になったと。
 その調停を結ぶときに、自宅の中でも測りましょう、測ったほうがいいですよっていうのが本来の姿じゃないんですか。本当にひどい状況だというふうに思います。地元は、調停失敗だったなというふうに話されておりましてね、その悔しい気持ちが私も伝わってきました。そもそも調停というのは、何のために結ぶんですか。

(高速道路整備担当課長)
 調停でございますけれども、その目的は地域住民の安全安心の確保と工事の円滑な推進というものを調和して進めるというのが目的でございます。

(中原ひろみ)
 そうでしょう。地域住民の安心安全の確保でしょ。安心安全の確保のために、振動調査を家屋の中でしてくれって頼んでるのにしなかったんでしょう。調停違反じゃないですか。
 そういう、住民の立場に立った調停でないという、はなから住民を騙そうとしたものだと私は言わねばならないと思います。
 一番の協力者である地元住民に、県・市・公社に騙されたと、悔しいなと、そんな思いをさせることは大変に遺憾なことですよ。住民への配慮とか謙虚さがないというふうに思います。
 改めて、理事長に対して、市は、地元住民に謝罪しなさいと、そして、被害を与えたと認識していないとの発言は撤回しなさいというふうに指導すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

(高速道路整備担当課長)
 本市としましては、公社に対し、発言する際はその意図を地域住民へしっかりと伝わるよう丁寧な対応に努めることを伝えており、昨年の理事長の発言の撤回などを公社に対し求めることは考えておりません。

(中原ひろみ)
 そんなことでは駄目でしょう。広島市も被害を与えてないと思ってらっしゃるんですか。

(高速道路整備担当課長)
 家屋等の被害につきましては、牛田地区のトンネル掘削完了後、事後調査を実施しまして、その調査結果をもとに最終的な判断を行うことになると公社から聞いております。

(中原ひろみ)
 そりゃ当たり前のことなんですよ。今後ね、工事が終わったら、家屋の被害の調査、実際、戸建て別にやられるんでしょうけど、基本は、地元住民の皆さんにご協力いただいて、いろいろご迷惑かけてます、そういう謙虚な立場でなかったら、本当に住民の被害に寄り添う補償はできないということを申し上げておきたいと思います。
 それで、先ほどもこの図面の写真にもありますけど、工事が長引き様々な影響が現場では出ておりまして、ふすまが閉まらないとか、マンホールの浮き上がり、側溝の水が流れなくなったなど、日々の生活に支障が出ております。
 そういう応急復旧的なことについては、定めた期限というものがあるんでしょうか。

(高速道路整備担当課長)
 公社からは家屋等の不具合に対する応急処置につきましては、基本的には牛田地区の掘削が完了するまでと考えているが、その後の具体的な期間につきましては牛田地区の掘削が完了するまでに、まずは住民の皆様にお示ししたいと聞いております。

(中原ひろみ)
 とにかく地元から、ちょっと家の状況がおかしいということがありましたら、速やかに誠意ある対応を求めておきたいと思います。
 次に、工事延長、事業費増額の説明責任についてです。費用負担については、大林組JVが、国の機関である建設工事中央紛争審査会に調停を申請して、未だにその結論が出ておりません。
 もう1年2ヶ月以上経つでしょうか。非公開を理由に、一切審議内容もわからないんですが、市としては、紛争審査会はいつ結論を出してもらっても構わない。何年先でもいいよと、トンネル工事が完了してでもいいよと、そんな程度のことなんでしょうか。

(高速道路整備担当課長)
 公社からは、現在受注者から建設工事紛争審査会に調停申請されているが、審理状況や今後の見通しについては、建設業法において審査会の手続きが非公開とされていることから、お示しできないと聞いています。
 本市としては、できるだけ早期の結論を望んでおり、引き続き審査会の審理状況を注視していきたいと考えております。

(中原ひろみ)
 なかなか予定が立ちませんが、いつかは紛争審査会も結論を必ず出すわけですけれどもね。その際に例えば、いくら増額せよという、こういう結論をそのまま受け入れて、増額すべきというふうな立場なのか、そうではなくって、紛争審査会が出した結論をきちんと市としても改めて精査し、検証される立場でしょうか。

(高速道路整備担当課長)
 現時点では、建設工事紛争審査会の審理状況等がわからないことからどういった対応ができるかお答えする状況にございません。

(中原ひろみ)
 お答えする状況にありませんって、それは答えが出ても出なくても、必ず出てくるんだから、その答えについての市としての態度をきちっと明らかにすべきじゃないでしょうか。
 今のようなことでは、もう言いなり。言いなり金額で出しますよと言ってるのと同じじゃありませんか。
 それで今の5号線の費用便益ですけれども、1.02ということです。これは5号線と2号線を連結するという工事が入りましたから、1.02とされておりますけれども、この5号線の整備効果、費用についてですが、2080億円が効果、費用便益、それから事業費が2047億円と聞いておりますけれども、間違いありませんか。

(高速道路整備担当課長)
 便益が2080億で、費用が2047億で間違いございません。

(中原ひろみ)
 そういうことですから、正確には2080億円を2047億円で割り算しますと1.016になるんです。だから1.02ではないというふうに思っております。
 それにしてももうギリギリのところですよね。計算上紛争審査会がいくらの事業費の増額を出されるかわかりませんが、54億円を超えますと、これはもう1を下回って0.99になっちゃうんですよ。そうなると、事業の必要性は限りなく薄くなるということであります。
 そうなりますと、この事業の必要性に疑義が生じるんですけれども、費用対効果が1を下回るような増額になった場合でも、市民の理解が得られるというふうにお考えでしょうか。

(高速道路整備担当課長)
 費用便益費につきましては、公社からは、掘削の時間に要していることなどに伴う追加費用の負担については、現在建設工事紛争審査会に調停申請されているところであり、確定はしていない。
 このため、費用便益比についても、事業費が確定した段階で、最新の国の交通量データ等を用いて必要に応じて試算することにしていると聞いています。
 従って、現時点で費用便益比が1.0を下回るかどうかはわかりません。

(中原ひろみ)
 今は下回ってないですよね。だけど下回ることが限りなく考えられるわけですよ。それで5号線を見ておりましてね。やはりもう費用対効果いうのは度外視して、コスト関係ないというふうに思えてなりません。
 そうであるならば、この間の中央図書館の整備、それからこども図書館、青少年センター、自校調理場、学校のプール、こういうものも、これまでコストをかかると言って縮小したり、移転したり、廃止するという方向でした。
 その5号線のようにコスト論で言わないんであれば、やはりこれ全部建て替えていただきたいし、階段室型のエレベーターをつけていただきたいというふうに思うわけですよ。
 やはり、子どもとか市民の大切な財産、施設はコスト論を打ち出して縮小するんだけれども、5号線だけは特別扱いと、これは納得できないというのが市民の本音だということを申し上げておきたいと思います。
 それで、説明責任を果たす上で気になることがあります。それは、工事がこれだけ遅れた理由の一つに、先ほどの調停の項目にありましたように、地域の住民の安心安全の確保を最優先にしたから、地表面沈下を起こさないために必要な対策を講じ、慎重に進めているので、その結果として時間がかかっている。こんなふうに過去に答弁されてきました。
 これはまさに何か住民のせいで工事が遅れているかのように受け取れるんですよ。先ほども言ったように、住民は被害者なんですから、こんな説明は私は市としてはするべきではないというふうに思っております。
 それで次は、大口径のシールドマシンを採用したことについて検証が必要ではないかということであります。
 トラブル続きで、工期が遅れた背景には、世界的に前例がない13.67mもの大口径のマシンの導入を指摘します。花崗岩のような堅硬な岩盤掘削に巨大マシンを導入したことはないんですよ。
 今後の工事の参考とするという意味からも、このシールドマシン採用の経緯と、事前の評価、これが正しかったのか、検証が必要だというふうに思っております。
 先ほど、県知事が、シールド工法は騒音とか振動が発生しないものだというふうに説明をされたと言いましたけれども、本来はシールドマシンというのはそういうものなんだそうです。だから県知事がだましたわけでもないんですよ。
 このトラブルの多さや事業の遅延に関して、マシンの名前はシールドだけれどもシールドにあらず。というふうにいう専門家がいらっしゃいます。
 13.67mもの巨大マシンで花崗岩を掘削して、成功した事例があるでしょうか。

(高速道路整備担当課長)
 シールドマシーンの径が13mを超える事例はたくさんございますけれども、また公社からはその規模の岩盤で事例も1件ほど確認していると聞いています。

(中原ひろみ)
 それは嘘ですよ。実績はないんです。多分公社は中国の方でやられた工事を挙げられてると思いますが、それはもう岩質が違うんですよ。花崗岩じゃないんですよ。
 改めて、13.67mもの巨大マシンで花崗岩を掘削して成功した事例はないということを申し上げておきたいと思います。
 逆に失敗事例はあるんですよ。2004年に着工しました、これは10キロの飛騨トンネル工事ですけれども、ここは12.84mのシールドマシンが使用されましたが、やはり工期は3年9ヶ月も遅れたんだそうです。結局マシンは壊れちゃって、残りはナトムで掘削をしたという失敗事例はあるわけですよ。
 それで、そういう世界に前例のない巨大マシンの導入に際して、この施工管理委員会というのがありますが、この施工管理委員会とはなんぞや、どんな意見を述べられたんでしょうか。

(高速道路整備担当課長)
 施工管理委員会は、技術的な観点から意見を求める委員会でございまして、シールドマシンの意見につきましては、シールドマシンの実施設計や施工管理計画、地表面変位、それから騒音等の計測計画は妥当な内容であり、高い地下水圧や大断面岩盤シールドといった条件と、地表面変位が騒音等の厳しい管理値を踏まえても、トンネル掘削は可能であるとの意見をいただいていると公社から聞いています。

(中原ひろみ)
 施工管理委員会は大丈夫だというふうにおっしゃったということでしたね。それで、この掘削工事が始まったのは2018年の9月ですが、その3ヶ月後の12月には、17インチカッターが全て壊れ、マシンの面板そのものを27センチも削り込む、、異常な事態になったわけですよ。
 しかし、この技術的な観点で意見を述べるこの施工管理委員会は、誰1人この問題について、カッターの強度、これに問題があったというふうには指摘してないんですよね。
 カッターの交換回数の当初計画では11回ですが、実際には53回も交換がされています。計画と実績が5倍にも及ぶ差は、この施工管理委員会の見識が不十分だったのではないかと言わざるを得ないんですよ。施工管理委員会がその機能を果たしたのか私は疑問が残っております。
 それで、これは広島高速5号線トンネル施工管理委員会の委員さんの名簿であります。8名いらっしゃいますけれども、☆は、東京外環道の検討委員さんも務められた皆さんです。ご存知の通り、東京外環道は調布市で陥没事故も起こしております。そういう委員さんたちが、広島の施工管理委員会に4名いらっしゃる。
 それから、委員長はこの外環道の委員でもあり、そして元日韓トンネルの委員でもあります。日韓トンネル研究会といえば、私が言うまでもなく、世界平和統一家庭連合の創始者が唱えられておりました「国際ハイウェイ構想」の実現のために設立された旧統一教会の研究会であります。このようなメンバーが施工管理委員会の委員長を務めていたということになるわけですけれども、改めてその判断は正しかったのか、疑問が残ります。
 それで聞くんですが、この検討委員会のメンバーはどなたかお決めになったんですか。

(高速道路整備担当課長)
 施工管理委員会の委員については、事業主体である公社において選定しております。

(中原ひろみ)
 公社が認定されたということでしたね。それで第1回の施工管理委員会は平成28年12月に開催をされております。
 このときの審議内容は、シールドマシンの実施設計、シールド施工管理計画などでありましたけれども、審議の結果、先ほどご答弁もありましたように、巨大マシンは技術的見地から妥当だと、現計画で安全なトンネル掘削は可能と位置付けております。
 しかし、実際にはトラブル続きでした。当初の計画ではカッター交換数、ツインカッター6回、シングルカッター12回。6回と12回だったんですよ。しかし今年の2月末までの実績は17インチが29回、20インチは37回ということでありまして、17インチにあたっては5倍、20インチは3倍のカッター交換がされたと、まさに頻回に破損したということであります。
 それでここに高速5号線シールドマシンの設計図があります。画面上はちょっとよくわからないでしょうから、実物大をコピーしたものを貼っております。これは二葉山の現場ステーションに貼りだしてあった図面を、地域の方が大林の職員さんにお許しを得て借りてこられたものをコピーさせていただきました。
 この設計図には、17インチと20インチの2種類のカッターの押し付け力、すなわち能力が示されております。それはどちらも311キロニュートンだと、ここに表記してあります。
 しかし誰が考えても、17インチと20インチと大きさの違うカッターが、同じ能力であるはずがないじゃありませんか。
 タイヤでも、大きなトラックのタイヤと軽自動車のタイヤでは、そのタイヤの能力違うでしょう。中心部にツインカッターがあるわけですが、専門家は、この回転半径の短い中心部のカッターには、大きなスラスト荷重がかかるとしています。カッターの回転方向に対して垂直にかかる力、また横からかかる力というものがスラスト荷重というんだそうですけれども、そういうものが中心付近のカッターには大きくかかるんだと。だから中心付近のカッターは強度を大きくしなければいけなかったけれども、実際には逆に、強度の小さい17インチを使ったことが、大きな間違いだったんだというふうにおっしゃるんですよ。なるほどなと思って、お聞きをいたしました。
 これはこのマシンを製作しましたロビンス社のホームページを見ておりますと、17インチと20インチのカッターの能力を公表しております。
 そこにはスラスト荷重というものが書いてあり、17インチは98.3キロニュートン、20インチは290キロニュートンとされています。これ誰が考えても、同じには見えません。
 17インチは20インチの3分の1しかない。能力は同じではないと、マシンを制作したロビンス社がホームページで書いてるんです。だから、能力の小さい17インチが幾度も壊れたことは、当然だと言わなくてはいけません。
 それからもう一つ驚くべきことがありました。それは、この図面を見ていただくと不思議なことがあるんですよ。この図面の右下です。ここは空いてますでしょ。本来はこの空いてるここに、この図面の縮尺であるとか、それから設計責任者であるとか、マシンを製造する会社名は書いてなきゃいけないじゃないですか。これないんですよ。これは、誰もこの図面に責任が持てませんということを言ってるに等しいのではないでしょうか。
 市は、能力の小さい17インチカッターでも、ツインで2枚にしてるから、20インチカッターと能力は同じだと言ってきたわけですけれども、専門家にお話聞きますと、マシンが回転しカッターが回転したとき、2つのカッターに均等に力が加わることはないと、どちらか一方のカッターに大きな力がかかって、その力に耐え切れない状況が起きる、その結果壊れると分析をされております。こういう専門家の分析もきっちり真摯に受け止めて分析をする必要があろうかと思いますけれども、17インチも20インチも同じ能力があるとするこの図面は、一体どこのどなたが書かれたんですか。

(高速道路整備担当課長)
 20インチのカッターと17インチのカッターの許容押し付け力につきましては、20インチのカッター、これ公式の資料に記載されておりますけれども許容押し付け力は311キロニュートンでありまして、17インチのカッターは公式の資料には記載されておりませんが、19インチと20インチのシングルと併用する場合、許容押し付け力は311キロニュートンであることを、メーカーに確認していると公社から聞いています。

(中原ひろみ)
 私はマシンの製造責任というのはどこにあるのかというのを問いたいと思います。これはこの図面は、大林さんがお書きになったんですか。ロビンス社がお描きになったのか、どちらなんですか。

(高速道路整備担当課長)
 シールドマシンの製作等につきましては、公社からは、シールドマシン製作他工費におきまして、実施設計を行っていると聞いています。

(中原ひろみ)
 ということは大林がこの図面を書いたということですよね。それなら、先ほど示しました、本来なら縮尺であるとか、図面を描いた責任者であるとか、会社か、書いておけばいいじゃないですか。
 一番重要なものが書いてない。これはやはり、311キロニュートンという公表に責任が持てないということだと私は指摘をしておきたいと思います。
 この図面を描いた人が大林であれば、今後紛争審査会でどんな結論が出るかわかりませんが、私はどんな結論が出ても、この図面を描いた大本の大林に全部責任取ってもらうことが必要じゃないかと思いますよ。図面を基に物事は始まるんですから。その一番の元の図面を描いた人たちが大林さんというんであれば、大林さんに責任があるじゃないですか。
 それで、やはり私は、花崗岩を巨大シールドマシンで掘削した経験がない大林さんに工事を請け負わせたという、このことがやはり最初のボタンの掛け違いだったかなというふうに思っております。
 やはり改めてね、しっかりと検証すべきと思いますが、市としてはもう5号線については、あとはお金払うだけだというようなことなのか、やっぱりしっかり検証すべきというふうに思ってらっしゃるのかどちらなんですか。

(高速道路整備担当課長)
 先ほどから答弁しております通り、トンネル安全検討委員会の審議を踏まえまして、最も地表面沈下の抑制に優れたシールド工法を県・市で採用し、公社からは、シールドトンネル工事の専門家等で構成する施工管理委員会において妥当と判断された設計に基づき制作されたシールドマシンにより、大林組を始めとした共同企業体と契約を締結した上で工事に着手しております。
 また、施工に当たりましては地域住民の安全安心の確保を第一優先として、地表面沈下を起こさないことを前提に、必要な対策を講じながら、慎重に掘削を進めているということから時間を要しているというふうに聞いております。

(中原ひろみ)
 これまでいろんな質疑を高速5号線の問題でさせていただきましたけれども、公社は公共団体から独立した法人だと、高速5号線については、その事業主体である公社の責任において事業を進めるものなんだと。市は公社を指導監督するだけなんだという答弁がされております。
 そうであるならば、増額になった場合でもこれは事業者に負担いただければいいというふうに思います。
 これまでの質疑でマシンの最大能力190キロニュートンですが、これを超える岩盤が出ていなかったというふうに、議会で説明を受けております。よって特記仕様書というものがありますが、それに照らしても、工期の延長や請負金額の増額については、これは全て公社負担あるいはJV負担、私は、市民に県民に負担をこれ以上させてはならないということを申し上げておきたいと思います。
 最後に言いたいことがありましてね。高速5号線を振り返りますと、特にこのシールドトンネル工事に当たっては、工事を着工した1ヶ月後に、トンネル工事の契約額に、セグメントが入っていないという不思議なことが明らかになり87億円も一気に増額をしたわけです。
 これ前代未聞でしょう。これは、高速5号線の、JVと公社が共同で作成されたパンフレットですが、今画面にお示しをしております見開き2ページを使って、このセグメントがどういうものなのかが説明がされております。
 ですからセグメントとは、このパンフレットで紹介しなければいけないほど重要な、トンネル工事には必要不可欠なものであったわけです。
 それが契約に入ってないっていうのは、誰が考えても、誰がどんなに考えてもおかしいんですよ。
 契約では、トンネル工事一式というふうになっていました。トンネル工事一式の中に、この重要なセグメントが入っていない方がおかしいでしょう。
 でもね、入っていないって言ったのは工事に着工した1ヶ月後なんですよ。後出しじゃんけんですよ。事業を進めてしまえば、もう止められません、進めるしかありませんと言って、どんどん事業費つぎ込むしかなくなる。
 私は、そういうシナリオが最初からあったのではないかというふうに思ってしまいます。事業費を最初小さく見せて、議会の承認を得やすくしておいて、後から、工事着工さえすれば、あとはどうにもなるという姑息なやり方がされたのではないかと言わねばなりません。
 元々この5号線自体が、用地買収の頃から不可思議な話続きですよ。大体今のルートになったのはなぜか。ヒロテックを用地買収したからでしょ。ヒロテックのところを通らなきゃいけなかったんですよ。本来ならもっと別のルートあったはずです。だけど現在のルートになっちゃったんですよ。
 工事が始まったら、契約額に87億円セグメントが入っていない。それから工事が始まったら相次ぐトラブル。いつ完成するかわからない。事業費もいくら増えるかわからない。これはあまりにも異常じゃないですか。
 公共事業の3原則は、事業費・工期・安全ですよ。これどれも守れていないじゃありませんか。
 私は最後にこの問題の紛争審査会の結論次第では、どれだけの事業費の増額になるかわかりませんが、議会がこの5号線の問題について、真剣な審議なしに増額を受け入れたのでは、議会の権能と信頼に関わるというふうに思っております。
 よって、市民への説明責任を議会としても果たすために、私は特別委員会でも開いて、増額の妥当性について検証すべきだということをこの場で申し上げて、次の質問に移りたいと思います。

2.広島駅周辺地区のまちづくりの推進について

(中原ひろみ)
 次は広島駅の周辺のまち作りについてであります。今年の事業費は約1700万円でしたけれども、新年度は2209万円ということで約500万円程度事業費が増えております。
 予算説明書には、広島駅新幹線口ペデストリアンデッキにおいて社会実験を実施し、エリアマネジメント団体が公共空間で収益を確保しながら、自立した管理運営をするとされておりますけれども、この事業の目的は何なのか、新年度の社会実験はどのような取り組みがされるのか教えてください。

(広島駅周辺地区活性化担当課長)
 昨年度、広島電鉄、JR西日本、本市の3者では、相互に連携協力して広島駅およびその周辺地区を公共交通の結節点として、また水と緑に囲まれた憩いの場として一層魅力的な空間にしていくことにより、広島市の都心の東西の核である広島駅周辺地区と紙屋町八丁堀地区の回遊性の向上とともに、広島市の中四国地方の中枢都市としての機能の発揮に資することを目的とし、それぞれが管理する公開空間を公共の利便に資する空間として、最大限有効に利活用していくことを確認するための覚書を締結しました。
 その際、整備が進む広島駅南口広場等の完成前から、公開空間の使い方を考え、整備していくことの重要性について3者の認識が一致したことから、今年度、この覚書に基づき3者で実行委員会を組成し、まずは新幹線口において先行して社会実験を開始しています。
 社会実験においては、これまで広島駅周辺地区の公開空間を活用する際は、場所によっては、所有者や管理者が異なり、それぞれのルールや規則に基づいた許可手続き等が必要となることで、使いにくい空間となっていたことから、ルールを一律に定め、利用者にとって魅力的で利便性の高い空間として、持続的に管理運用できるようにしていくことを目指して取り組んでいます。
 来年度は、今年度の社会実験の検証結果を踏まえ、将来にわたって高品質な空間を維持管理しつつ、継続的ににぎわいを創出するための持続的な管理運営体制の構築に向けた取り組みを実施することとしています。
 具体的には、今年度に引き続き、ベンチ等を継続して設置するとともに、エリアを広げてにぎわい創出に向けた取り組みを実施するよう調整しているところです。
 また広告事業等の実験を通じて、持続可能な管理運営のための検証を行いながら、新たなルール作りの検討を深めていきたいと考えています。

(中原ひろみ)
 広島駅を有効に利活用しようということですけれども、高品質な空間を作るということがございました。
 それで、昨年の10月21日から既に今年度の予算で、自由通路で社会実験されてるんです。広島市・広電・JRさんの3者が始められておりますけれども、この社会実験、私は異議があります。なぜか。規制緩和いうこと、新たな収益を確保するために犠牲になっている人がいるということを言わなければなりません。
 この写真、ちょっと縦長ですけれども、これは広島駅の新幹線口からペデストリアンデッキの方に向かって出たところですが、一直線に点字ブロックが敷設してあります。
 これは元々の形なんですよ、元々の形なんだけれども、社会実験で、にぎわいの滲み出し、にぎわいが滲みだすと、上手な言葉を使われたと思いますが、にぎわいの滲み出しということで、通路に民間事業者が飲食スペースを広げられたんです。
 それが点字ブロックのすぐそばまで来ることになってしまって、これはいけないということで、こんなふうな対応がされました。
 これを見て私が受け止めたのは、点字ブロックはまるで邪魔者扱いになってるなというふうに思いましたし、そこのけそこのけ儲けが先。こんなふうな思いも率直に感じたところです。
 市民からも、「広島市はどうなってんの」っていうSNSの発信がありまして、これはいかんなと。多くの皆さんが利用する場所で、障害者を差別するようなことはよくないなということで、12月議会でも改善してくださいって取り上げたんです。
 12月議会では、改善しますということで私は安堵したわけですけれども、先日建設委員会であるとか特別委員会で、県外に視察に行くときに広島駅が集合場所で、どうなったかなと思って見たら、こんなふうになってたんです。
 これがそうです。直角じゃなくなっただけなんですけど、黒いところが元々の点字ブロックです。微妙ですよ。これは不完全だというふうに思います。こちら側の駅の中心部分といいましょうか、これはそのままですよ。現在も。誘導ブロックたった1枚なんですよ。90度に2回曲がらなきゃいけないっていうのは、障害者にとっては大変なことなんですよね。
 これなんで1ヶ所だけ、奥だけやったんですか。シェラトンホテルに近い方だけは微妙な改良がされましたが、なぜこちらは残ってるのか理由を教えてください。

(広島駅周辺地区活性化担当課長)
 昨年10月から実施したペデストリアンデッキに隣接する店舗利用者向けのテーブル、チェア等の設置に当たっては、安全な通行を確保するために、当初設置物の周辺のみ視覚障害者用誘導用ブロックの位置を切り替えたところですが、その後、当面継続して設置する決定をしたことから、12月に極力直線的な配置とするよう、まずは東側のシェラトングランドホテル広島周辺まで直線的に再配置しました。
 本社会実験は、来年度も引き続きペデストリアンデッキの西側も実施範囲に含めるなど、拡大していきたいと考えていることから、来年度の取り組みに合わせて、より安全な通行を確保するため西側のブロックも、ホテルグランヴィア広島周辺まで直線的に再配置することにしています。

(中原ひろみ)
 今年度には、今のこの社会実験の範囲をグランヴィアホテルさんの方まで広げるので、このような90度に2度曲がるような点字ブロックは解消して一直線にするということのようでありますが、私はそもそもそういう社会実験をするのに、障害者差別に当たるようなことをしたこと自体が許されないんですよ。
 これ誰も言わなかったらしないんでしょう。直さないんでしょう。広島市もJRも広電さんも、これでいいと思ってらっしゃったんでしょう。その気持ちが許せないでしょうよ。
 日本は、障害者権利条約を批准しましたね。高齢者とか障害者の移動の円滑化を促進するバリアフリー法もできておりますし、障害者差別解消法も施行されております。
 社会の責務として障害という壁を社会で取り除こうということですけれども、その広島市が、世界に誇る広島、国際平和文化都市と言いながら、広島市の玄関でこのようなことができるというこの精神がわからない。
 広島市の新年度予算には、建設関係ではありませんが、障害者福祉の立場から、意識啓発の事業として市民・事業者への周知、啓発のために、障害者差別解消法に関するシンポジウムや、事業者向けの広報を実施するという予算があります。
 さらに障害者が安心してサービスを利用できる環境整備に取り組むことを宣言する。そんな事業者を募集するとの予算が計上されております。
 市民向けに障害者福祉の立場から啓発事業をと言ってるその足元で、駅の玄関口で、障害者差別をするというような状況になっていることについては大いに反省が必要だというふうに思いますけれどもいかがですか。

(広島駅周辺地区活性化担当課長)
 本社会実験については、施設利用者の安全な通行を確保した上で実施するものであるため、視覚障害者等が不便となるような状態は当然避けるべきと考えており、差別的な取り扱いをするという認識は一切ありません。
 こうした中、このたびのご指摘の他、社会実験について寄せられた市民の方からのご意見等についても、真摯に受けとめるよう考えており、より通行しやすい環境を維持できるよう、今後の取り組みに反映していきたいと考えています。

(中原ひろみ)
 ぜひ今後の取り組みに、反映していただきたいと思うんですが、今後、南口で、広電の電車がJRの2階に入ってくるという大きな開発が進んでおりますが、ペデストリアンデッキが南口に何本かできますね。このペデストリアンデッキでも今の駅北口と同様に、公共空間を使って、高品質な場所にしようというわけですから、そういう南口のペデストリアンデッキにおいても、北口と同じような、障害者に負担を強いるようなことにならないようにしていただけるということでよろしいでしょうか。

(広島駅周辺地区活性化担当課長)
 今後も障害者も含めた施設利用者の安全な通行などを確保した上で、現在社会実験等に取り組んでいるところであり、当然、先ほどの答弁でも申しました、今後の取り組みについても反映していきたいと考えております。

(中原ひろみ)
 ぜひ国際平和文化都市に恥じないような、広島市の玄関にふさわしい高品質な空間にしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

3.安定した地域交通の運営について

(中原ひろみ)
 それでは次の質問、地域における地域交通の確保について伺っていきます。
 南区の黄金山地域の乗合タクシーについては、昨年の4月の中旬から一旦休止ということになっておりまして、私のところにも、どうして辞めるんですかという悲痛な声がたくさん寄せられております。
 もちろん地元の社会福祉協議会の皆さんは、地元から大変厳しい声をいただいていらっしゃるということで、誰が悪いわけでもないんですけども、大変切ない気持ちがしております。
 それで、地元の社会福祉協議会の役員さんにお話聞きますと、休止になった一番の理由はコロナによって外出する人が減ったとか、物価高騰で燃料が高くなって経費がたくさんかかるようになったとか様々あるんだけど、やはり13年間乗り合いタクシーとして利用してきた車両を新たに更新したこと、乗り合いタクシーを受けている受託事業者が車自体を更新したことで、更新費用を地元にも負担していただきたいということになり、それまでは年間20万から30万円ぐらいの経費を地元として確保しておけば何とか継続できてきたんだけど、そういう車両の更新に伴って一気に80万円に地元の負担が増えたと。
 これではいかに考えても、地元は負担できないということで、涙をのんで一旦休止という判断になったんですというふうにお話を聞きました。
 それで、黄金山に限らず、今6地域で地域乗り合いタクシーが運行されておりますけれども、どこの地域交通でも安定的に運行を継続する上では、この車両の更新というのはいつかの時点で問題になるわけですが、この車両の更新費用まで地元に負担させるということは私はすべきではないと思うわけですが、新車への更新に関する経費については、どんなふうな負担の状況に取り決めがなっているのか教えてください。

(路線バス生活交通担当課長)
 一般的には乗り合いタクシーの車両の更新費用については、地元協議会が負担することになっていますが、本市については先ほど、車両の更新費用を含む運行経費から運賃収入を除いた収支不足額に対して、国および市がその4分の3を負担し、残る4分の1を地元が負担する取り組みになっています。
 またほとんどの地区では乗り合いタクシーを運行していない日は貸切など別の用途でも同じ車両を使用しており、この場合、車両の減価償却費については、走行距離に応じて按分した額が運行経費に計上されることになります。

(中原ひろみ)
 今の説明では、新車への購入費用も地元が、負担するようになってるんだということ。
 そうであるならば、やはり黄金山地域の社協の皆さんには、そうなってたんだということをきちっと説明をして、もう休止になってるんですから過去には戻れないんですけど、そういう認識はやはり正しい認識にしていただけなきゃいけないし、その他の6地域の既に地域運行をされている地域も、車両の更新については地元も負担するんだということを説明をしていただきたいと思うし、経費が多額にかかるわけですから、この車両の更新費まで地元に負担させるという仕組みを今後、市として見直しを検討いただけないかなと思っております。
 黄金山地区については、新年度で、実験運行に係る収支不足額として、東区の戸坂地区と合わせて、黄金山地区の2ヶ所に930万円の予算が計上されております。
 黄金山地区では、1日も早い新たな形態での地域運行が待たれているわけですが、デマンド交通という新たな形態での実現に向けて、調整を進められていると聞いておりますけれども、実現に向けての具体的な見通しは持てているんでしょうか。

(路線バス生活交通担当課長)
 地元協議会と運行再開に向けて、現在、丁寧に調整を行っているところであり、現時点では具体的な見通しを行える状況ではございません。

(中原ひろみ)
 何月何日から始めるということは言えないけれども実現に向けて、進んでいますよということにしておきます。1日も早い実験運行の費用を待ち望んでおります。
 それで、新年度予算を見てみますとね、今6地区で地域交通が走っていますが、その運行補助総額が1214万円になっております。
 昨年度の予算は679万円で、2倍の予算になってるんですよ。私はこれを見て、一気に喜んだんですよ。これは赤字額の25%の地元負担が縮小されるんだと思い、キラキラとした気持ちになったんですが、聞くとそうではなく残念な気持ちになりました。地元負担の25%は変わらないのに、なぜ、市の予算だけが増えてるんですか。

(路線バス生活交通担当課長)
 乗り合いタクシーの運行に関わる収支不足額に対する補助額については、一般的には国のフィーダー補助金と、市の補助金を合わせて4分の3、地元が4分の1を負担するスキームとなっていますが、国のフィーダー補助金の上限額は、交通不便地域の人口を対象として定められた算定式により定められています。
 令和6年度の市の補助額が令和5年度に比べほぼ倍増しておりますが、これは市の補助率を見直したものではなく、国のフィーダー補助金の対象路線に新たに路線バス2路線が加わったことから、相対的に乗り合いタクシーへの国の補助額が減少したため、市の補助額が増加しているものです。

(中原ひろみ)
 写真出し忘れましたね、これが黄金山地区の乗り合いタクシーの初期の車です。今お話を聞くと、新年度から地域交通に対する国の補助割合が減ったんですよね。赤いところが国、グレーのところが市、オレンジのところが地域負担ということになっております。
 上のグラフ、平成5年度このとき国は40%、赤字額の40%負担しておりまして、広島市が35%地元が25%ということなわけですけれども、それが新年度からどうなるかといえば、下の棒グラフになりまして、国は、14%へと、26%も削るんですよ。そこの部分を広島市が肩がわりして、広島市の負担率は61%ということになったんで、予算規模が約倍になったということなんです。
 これは由々しき話ですよね。今、全国で高齢者が増えて、どこの地域でも、過疎化が進み、自分の地域で住み続けたいという多くの国民の願いはスムーズに買い物に行ったり、病院に行ったり、移動に大変支障がある。免許証を返納する中で、地域交通がないのにどうするんかということで、全国的に国民の移動権を保障するために国が果たすべき役割は大きいものがあるのに、これまで出していたものを出さなくするなんていうのはとんでもない話でありますよ。これは黙っていてはいけないと思うわけですが、市はどのようにされていくんですか、これをずっとそうですかそうですかと言って受け止められるんですか。

(路線バス生活交通担当課長)
 本市の郊外部の住宅団地や中山間地域など交通サービスが十分に行き届いていない地域において、乗り合いタクシーは高齢者を初めとする地域住民の誰もが安心して生活し続けられるよう、買い物や通院などの生活のために必要不可欠なものであると考えています。
 そのため、国に対して、必要な補助額を確保できるよう、要望活動などを行っており、引き続き様々な機会を捉えて働きかけを行っていきたいと考えております。

(中原ひろみ)
 ぜひ全国オールジャパンで、国に予算増やせと言っていただきたいと思います。
 それで、黄金山の社協の皆さんと先日お話を聞きましてね、市はいろんな集会があるたびに、「LMOっていう制度があるので、これを使ってください」と。LMOという制度を使っていただければ、地域交通の赤字額の25%もそこに補填していただいていいですよというふうに言っていただけるんだけれども、地元としてはなかなかスムーズにできない事情が様々あると。
 この地域は、共助の仕組みをもう18年も前から、松井市長が就任される以前から取り組んでいらっしゃいましてね。ボランティアバンクみどりというものを創設されておりまして、どんなことをされるかというと、一人暮らしの高齢者が庭の草を刈ってくれとか、植木の剪定をしてくれとか、換気扇が回らなくなったから掃除してくれとか、電球が切れたから取り替えてくれとか、そんな頼みごとを請け負って、私はこういうことができます、私は庭の剪定ができます、私は背が高いので電球取り替えますとかね。そんな30名近い皆さんがバンクに登録をされて、それぞれの人の都合に合わせて、要請のあった高齢者のご家庭に行って支援をされているということなんで、これは表彰されるぐらいの共助の仕組みが作られております。
 こういうところに、また新たにLMOという形で立ち上げなさいと言われてもなかなかしんどいということでありました。結局考えれば、LMOにしてもこの地域交通の補助制度にしても、やはり市の持ち出しですよ。一般財源を主にした財源です。
 ですから、このLMOの仕組みにこだわらずに、地域が求めている例えばこの黄金山社協であれば、地域交通の赤字額がもっと小さくなるように市が補填額を増やしてほしいとおっしゃれば、わかりましたと言って支援をすれば済む話ではないかというふうにおっしゃっておりました。
 地域それぞれに状況も違いますので、LMO待ってましたというところもあるでしょうし、なかなか難しいなというところもあると思いますが、やはりそれぞれの地域の要望に応えてかゆいところに手が届くような、そういう支援をしていただきたいなというふうに思います。
 それで最後にもう1分ですけれども、一つお礼を申し上げておきたいと思います。
 決算特別委員会で、私の地元の東青崎に、80センチぐらいの狭い歩道があるんですが、その真ん中に街灯が立っておりまして、その街灯が非常に危ない。誰が考えても、歩道の真ん中に街灯を設置すること自体が問題なんですが、撤去してほしいとお願いしましたら、警察とも連携をして、即座に信号機の下の方に街灯を移設していただきました。県警と丁々発止のやり取りをして、移設されたということで、今きれいなバリアフリーの歩道になっております。
 皆さんのご努力にも感謝をしつつ、ぜひ安心して住みやすい、ハード面での整備を引き続きお願いをして質問を終わります。ありがとうございました。

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