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日本共産党の中森辰一です。日本共産党市議団を代表して、上程された議案について、討論を行います。
最初に、各議案についての賛否を申し上げます。
全部で20件の議案のうち、反対する議案は、第109号議案、第110号議案、第111号議案3つの議案です。意見を付して賛成の議案は、第104号議案、第106号議案、第108号議案、第122号議案の4つの議案です。
まず、反対する3つの議案について、その理由を述べます。
第109号議案、「広島市個人番号の利用に関する条例の一部改正について」は、個人番号を利用できる範囲を森林環境税の徴収事務に広げようとするものです。
国が個人情報を一括管理し、加工するとは言え、個人の特定の可能性がある形で、民間企業に個人情報が提供されることになっている個人番号制度自体が、重大な問題を抱えており中止するべき制度です。
政府が一括で保有している個人番号のなかで、他人の情報と紐づけされていたものが、およそ16000件もあった事実が明らかになっています。また、マイナ保険証も、8千数百件もの個人情報が誤っていたことも明らかになっています。ところが、デジタル大臣は、誤りが発生するのは当然のように開き直っています。
しかし、個人個人にとっては、紐づけや入力情報の誤りは重大な問題です。それらの個人情報は、個人番号を利用する事務が広がるに従って、必然的に行政だけの閉鎖されたネットワーク以外のネットワークの中でもやり取りされ、個人情報の漏洩問題は、利用する分野が広がれば広がるほど、危険性が拡大することが明らかになっています。今回は行政情報として適用される範囲を拡大しようということではありますが、個人情報の保護が重大な事態になっているにもかかわらず、一層の利用分野拡大を進めようとすることは問題です。
さらに、森林環境税は国税ですが、地方が地方税を徴収するついでに国税を徴収するという問題や、所得の多い少ないにかかわらず同じ額の税金が課される不当なものとなっていることから、私たちが導入に反対したものです。このような議案には反対する以外にありません。
第110号議案、「市議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例」及び、第111号議案、「特別職の職員の給与に関する条例の一部を改正する条例」は、市議会議員と特別職の期末手当を引き上げようとするものですが、一般職と市議会議員、および特別職とは給与・報酬の改定の手続きが違います。
質疑の中で、期末手当だから、連動させてきた慣行があると、全体の報酬とは別だというようなこと、あるいは、これをやらないと国家公務員等との均衡が問題になるといったような答弁がありましたが、期末手当も、特別職や議員の年間報酬の一部であることには変わりありません。
特別職や議員の報酬を改定しようとする場合は、必要性を考えて報酬審議会で検討し、必要性と引き上げ額の根拠を明らかにした上で、条例改正を提案して決めるべきです。
また、広島市の特別職も市議会議員も、その報酬額は長い間改定が行われていません。国家公務員も地方公務員も、社会経済状況の変化に伴って、改定を行ってきましたので、乖離を問題にするなら、段々とその乖離は大きくなってきています。しかし、広島市でそれらの額を改定しようという提案はなされずに来ました。一般職に対して、特別職や議員は報酬の乖離そのものを云々する余地はないわけです。
市議会からも特別職からも、何の要請もないのに、今回のように一般職の改定に連動させて期末手当を増額することは、本来の改定の手続きなしに改定するということです。それは、当然、改定を行う根拠も、改定の必要性も、市民に説明することができないということであり、そのようなものに賛成できるわけがありません。
以上の理由でこれら2つの議案については反対とします。
また、同じ理由で、第104号議案、令和5年度広島市一般会計補正予算(第4号)のうち、特別職と市議会議員の期末手当0.1月分、632万4千円を削除する修正案には賛成します。※
次に、意見を付して賛成の議案についてです。
第104号議案、令和5年度広島市一般会計補正予算(第4号)のうちの、市有施設における電気料金等の追加措置と、第106号議案、令和5年度広島市国民宿舎湯来ロッジ等特別会計補正予算(第1号)と、第108号議案、令和5年度広島市下水道事業会計補正予算(第1号)は、広島市が保有する合わせて19の施設及び施設群の指定管理者に対して、値上げされた電気代分を指定管理料に上乗せして追加補助するものです。その総額は、3億2715万2千円です。以前にも、同様の措置が行われ、3億円を超える予算措置が行われました。
今回も前回と同様、物価高騰対策として、市民生活や地域の事業者の支援のために活用することを目的とした国からの補助金を、市の施設の電気代の値上げ分に充てようとするものです。指定管理者に必要な額を補助すること自体は必要ですが、物価高騰対策のための国の補助金を使うのは筋違いです。
市の施設は、市が直接管理していても、指定管理者に委託して管理していても、それが市の施設である限りは電気代の値上げには、市が責任を負わなければなりません。
ところが、指定管理者に管理を委託している施設は、指定管理者企業を支援するという名目で、市の一般財源を使わずに、国からの補助金で手当てしようというわけです。これは、目的をはき違えた国の補助金の流用です。市民生活や市内の事業者を支援するのが目的の国の補助金を、こういう使い方をすれば、その分、市民生活や事業者を支援することができなくなります。
国が、この補助金を予算化したのは、国民の要請があったからです。このような流用は大変問題があり、今後は止めるべきだとの意見を付しておきます。
次に、同じく第104号議案、一般会計補正予算のうち、価格高騰重点支援給付金についてですが、これは、国が住民税非課税世帯に対して、1世帯7万円を給付するものです。
対象が住民税非課税世帯に限られていて、およそ13万2千世帯だということです。低所得ということでは、課税世帯であっても所得割が課されない定額部分だけの均等割世帯も、およそ1万5千世帯あります。
報道によると、所得税非課税で住民税均等割の世帯も対象にした施策の追加を検討しているとのことでした。今回は、そうした措置が取られるとの情報があるわけですが、住民の暮らしがよくわかっている地方自治体としては、福山市が行ったように、政府がそういうことをやらない場合でも、独自にカバーする施策を上乗せで実施する姿勢が必要だということを指摘しておきます。
最後に、第122号議案、契約の締結についてですが、これは、広島市北部地区学校給食センター(仮称)等新築工事の工事契約を共立建設等と締結する議案です。
安佐北区と安佐南区の一部の小中学校の給食を一括して、大規模な学校給食センターで賄うようにしようとするものですが、佐伯区の大規模学校給食センターに続くものです。
私たちは、単なる食缶方式ではなくて、すべての学校給食を個別の学校ごとに給食室を設置して、子どもたちの最も身近なところで、調理員さんたちと子どもたちの交流を含めた食育の場としていくことが大事だと議論してきたところです。しかし、現にそのような自校調理方式で実施しているところも全部つぶして、配送に時間がかかる大規模給食センター方式にしてしまうのは、大事な食育の場を失うことになります。
今回は、地元とそうした施設を建設することで合意しているということですから、北部地区学校給食センターの建設自体には反対しませんが、いま自校調理でやっているところは残すべきだということと、市が進めようとしている、市内をいくつかのブロックに分けて、すべてを、同じような大規模給食センター方式に転換する方針は、中止されるよう強く求めておきます。
以上、討論とします。
※門田よしこ議員(無党派クラブ)提出の、特別職と市議会議員の期末手当を削除する修正案は、日本共産党6人と桑田恭子議員(ひろしま清風会)が賛成しましたが、賛成少数で否決されました。