議会での質問・答弁

2023年09月15日

2023年第4回 9月定例会 報告に対する質疑 中原ひろみ

報告第16号 独立行政法人広島市立病院機構の経営状況について

(中原ひろみ)
 日本共産党広島市議会議員の中原ひろみです。市議団を代表して、報告第16号独立行政法人広島市立病院機構の経営状況について質疑をいたします。
 まず、当期純損失についてお伺いをいたします。令和4年度の損益計算書では、約11億6100万円の当期純損失が出ております。さらに、令和5年度の事業計画では、新たに2億5000万円の純損失が見込まれております。
 市立病院はこの中でも多くの患者さんを受け入れられて、患者さんの救命救急の最前線として奮闘されてまいりました。新型コロナによる受診控えで病院の経営が悪化するという声に応えて国が補助金を出してきたと認識をしております。
 そういう中で、なぜ損失が出るのか、その理由をお尋ねをいたします。令和4年度の当期損失は、積立金を取り崩して補填をされておりますけれども、この補填後の積立金残高はどのぐらい残っているでしょうか?教えてください。

(保健医療担当局長)
 報告第16号地方独立行政法人広島市立病院機構の経営状況について、数点のご質疑に順次お答えを申し上げます。まず、令和4年度の損益計算書においてなぜ損失が出たのか。積立金の取り崩しによる補填後の積立金残高はいくらかについてです。
 令和4年度の純損失の主な理由は、安佐市民病院の移転に伴って生じた費用によるものであり、具体的には、引っ越し業務に係る経費や消耗備品購入費、旧病院の解体費用などであると聞いております。
 約11億6000万円の純損失については、全中期目標期間、繰越積立金を取り崩して補填し、補填後の積立金残高は約25億円となっております。

(中原ひろみ)
 次は給与費について伺います。令和4年と5年の給与費を比較しますと、5年度は職員の増員として約1億1000万円の給与費が増額されております。一方、令和4年度の事業報告では、約1億5100万円が職員の減員。減ったということですねとの理由で執行残となっております。
 職員については、安佐市民病院の移転などにより、医師など新たな医療従事者を増やされたと認識をしておりますが、そうした中でなぜ給与の執行残が発生したのか理由をお聞きいたします。
 例えば職員の離職によるものであるとすれば、どれぐらいの職員が離職をされたのか、その離職理由も教えてください。また、各病院ごとの看護師さんの定数、欠員があるのかないのか、状況をお尋ねしておきます。

(保健医療担当局長)
 次に、なぜ給与費に執行残が発生したのか。職員の離職によるものであれば何人の職員が離職したのか、主な離職理由は何か。また病院ごとの看護師の定数欠員の状況はどうかについてです。
 給与費の執行残は、広島市民病院において、医師の配置数が当初予算で見込んでいた人数を下回ったことや、時間外手当が予算額を下回ったことなどによるものであると聞いており、職員の離職が多かったことによるものではございません。
 また、令和4年度の病院ごとの看護師の定数については、広島市民病院は779人、北部医療センター安佐市民病院は457人。舟入市民病院は115人。リハビリテーション病院は55人であり、欠員の状況については、年度途中において退職等が生じた場合でも、育児短時間勤務者などにより全ての病院において、看護師の必要性は確保できている状況であると聞いております。

(中原ひろみ)
 次は、医療従事者の働き方についてです。自治労連が、第7波に当たる昨年9月に実施された市立病院職員、全国の病院ですが、8500人を対象に実施された労働実態アンケートでは、新型コロナ対応で仕事量が増え、辞めたいと思っている職員が8割にも上ったことが明らかになっております。これは衝撃です。
 また、夜勤が国の指針であります月8回を超えて、10回から13回もあるこの過酷な働き方も明らかになりました。
 そこでお尋ねをいたします看護師の残業の上限は月45時間ですけれども、市立病院機構における病院ごとの看護師の平均時間外労働時間並びに最長の残業時間をお聞きをいたします。また1ヶ月の夜勤勤務は最多で、何回ぐらいになっているでしょうか、教えてください。

(保健医療担当局長)
 次に、病院ごとの看護師の平均時間外労働時間と最長の時間外労働時間はどうか。また、1ヶ月に何回の夜勤回数が最多となっているのかについてです。
 令和4年度における病院ごとの看護師のひと月当たりの平均時間外労働時間と、最長時間外労働時間はそれぞれ広島市民病院では平均7.6時間。最長55時間。北部医療センター安佐市民病院では、平均8.3時間。最長93時間。舟入市民病院では平均4.9時間。最長38時間。リハビリテーション病院では平均5.2時間。最長45時間と聞いております。
 また、夜間勤務の回数については、リハビリテーション病院を除く各病院では、ひと月あたりの平均は8回程度でございますが、最多回数は広島市民病院と舟入市民病院における11回と聞いております。

(中原ひろみ)
 さて、国や県は地域医療構想の策定により、高度急性期、急性期の病床を削減する方針を進めようとしております。コロナ禍を通じて、医療提供体制の充実強化が求められている中、2021年6月に成立しました医療法など改正法で、病床を削減すれば補助金を出す。こんな制度の導入を始め、来年2024年4月からは、医師の働き方改革が本格的に開始をされます。
 NPO法人であります医療制度研究会は、日本の医師数はOECD平均と比べ13万人も少なく、感染症専門医、集中治療医、救急医を初め、全ての分野で医師が不足していると明らかにしています。
 厚労省の資料でも、医師の長時間労働は、勤務医の約4割が過労死ラインにある。年960時間を超えて、その約1割は年に1,860時間を超える時間外休日労働を強いられていることを明らかにしました。
 医師ユニオンの調査でも、1ヶ月1日も休みがない、休みゼロの医師が5%を超えたという、まさに労働基準法違反の悪質な働かせ方も問題となっています。
 にもかかわらず国は年間の時間外労働は960時間を上限とし、重症患者を受け入れる大病院などは特例だとして、年間1,860時間の残業時間を医師の働き方改革としたわけであります。
 しかしこれでは、過労死の現実的なリスクは解消されません。広島市立病院機構においては、医師の長時間労働を少しでも短縮することが必要です。来年4月の医師の働き方改革が本格実施されるまであと半年となっていますが、どのような取り組みをして、医師の長時間過密労働を解消されるのか、お伺いをいたします。
 また、市立病院機構において、医師の最も長い時間外労働は何時間ぐらいになっているのでしょうか、教えてください。

(保健医療担当局長)
 次に、医師の働き方改革の本格実施に向けどのような取り組みをして、医師の長時間過密労働を解消するのか。市立病院機構において医師の最も長い時間外労働時間は何時間なのかについてです。
 市立病院機構では、医師の事務的業務の代行を行う医療クラークの増員や、多職種間のタスクシフトの推進、勤務終了後に一定の休息時間を確保する勤務間インターバル制度の導入検討などに取り組み、時間外勤務の削減を図っていると聞いております。
 また、令和4年度の医師の最長時間外労働時間は、北部医療センター安佐市民病院における年間1,357時間と聞いております。

(中原ひろみ)
 2024年度からの医師の時間外労働の上限規制を遵守するためには、医師や看護師などを増やすこと以外にありません。医師と看護師など医療従事者の確保がなされなければ、医療体制に影響が出ざるを得ず、結局市民の命を守ることが難しくなってしまいます。
 夜勤が多い。残業が多い。無理な勤務体制を組みますと、若い世代や子育て世帯の看護師は働き続けることはできません。医師看護師の抜本的な増員でこそ、長時間労働を是正し、医療従事者のワークライフバランスを保障することができます。
 命を守る最前線で奮闘される医療従事者が安心して働き続けられる環境を整備することの重要性について広島市の見解をお尋ねをして、質疑を終わります。

(保健医療担当局長)
 最後に、医療従事者が安心して働き続けられる環境を整備することの重要性について、市はどのように考えているのかについてです。
 本市としても、医療従事者にとって働きやすい職場環境作りは重要であると認識しており、第3期中期目標においても、働き方改革関連法の時間外労働の上限規制が医師に適用されることに備え、勤務実態を分析した上で、一層の医師の定数管理や労働時間管理の適正化に取り組むとともに、関係職種との連携強化を図ることにより、働きやすい職場環境を整備するよう市立病院機構に指示しているところでございます。

(中原ひろみ)
 ちょっと数字が聞き取りにくいところがあって、もう一度聞くんですが、ドクターの最長残業時間は1,357時間だというふうにお答えいただけましたかね。やはり多い状況だなというふうに受けとめました。
 看護師さんも1ヶ月の残業45時間を基準に考えると、基町や安佐市民ではかなりきつい状況になっているなと受け止めたんです。
 来年4月からの医師の働き方改革を実施するが、中でやはりお聞きしますと、お医者さんの指示で看護師さんがこう動く、医師の仕事をみんなで振り分けるっていう役割分担ということも、考えられているようですけれども、やはりそれはそれでまた看護師さんのあなたの負担にもなります。
 やはり抜本的な対策はマンパワーを増やすことだと思うんです。今注目されているというのに診療看護師さんっていうのがいらっしゃって、まだ全国で700人ぐらいしかいらっしゃらないということがあるようで、まだまだその必要性は大きい。ただ、足りてないと思うんですが、やはり広島市の看護学校やそういうところもあわせて、こういう医者の補助ができる診療看護師さんというのは、看護師として5年以上の経験を積んで、その後2年間大学院で実践的な医学を学ぶと認定されるということのようです。
 こういう新たな資格もどんどん取れるような環境も作っていただくということが、市民は求められるのではないかと私は思っております。
 毎年147億円の負担金を市立病院機構には出しているわけで、これは市民の命と健康を守るという上では重要な予算の支出だと受け止めていますが、マンパワーを増やすためには、病院側も努力をされるのは当然ですが、自治体としてもこの辺に加算をして拡充をして、新たな人材を確保できる条件を作るべきではないかと思いますがいかがでしょうか。

(保健医療担当局長)
 抜本的な解決方法はマンパワーを増やすことではないかということで、その努力についてということでございました。
 医師の働き方改革が6年度から実施されますと、今までできていた残業がきちんとこう管理をしないといけなくなるっていうのは、全国しばらくそういう状況になってまいります。
 したがいまして、それを解決するためにマンパワーが必要であれば、全国の全ての病院で同じ状況になるわけでございます。
 そうした中で、何とか医師を確保するという努力をどういうふうにしていくかということでございますが、まずは勤務実態をもう一度見直すでありますとか管理をきちんとして、現有のマンパワーの中でも、いろんなタスクシフトしたりとか工夫の中で回るようにしながら備えていくということが、肝要であるというふうに考えております。

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