議会での質問・答弁

2023年03月01日

2023年第1回 2月定例会・予算特別委員会 建設関係 中原ひろみ

1.地域における生活交通の確保について

(中原委員)
 地域交通地域における生活交通の確保について伺います。南区の黄金山・西本浦・北大河地域では、実験運行を含めて13年前から地域乗合タクシー、愛称は「循環バスこがね」と言われて運行されてきました。当時は年間の利用者も延べ9000人程度いらっしゃったようですが今では4000人まで減少したということのようであります。コロナ禍で利用者が減少したということに加えて円安による燃料の高騰など地元が負担できない赤字額が原因で、地元の協議会は今年3月末で一旦この「循環バスこがね」は休止しようという判断を余儀なくされていらっしゃいます。
 これまで地域交通を利用されてきた地域住民にとっては、この「循環バスこがね」の休止のお知らせは、非常にショックなことでありまして、まさに生きることを否定されたりしてほしい深刻な問題として受け止められております。
 私も地域を少しお訪ねしましたけれども、一人暮らしになる今から高齢期を迎える今からが必要なんだから何とか維持してほしいという声は多数上がったところでありまして、昨年の12月議会の建設委員会の議案外質疑で、これらの地域の声も紹介しながら、何らかの形で乗り合いタクシーを継続してほしいと求めてきたところであります。
 そして新年度予算でAIを使ったデマンド交通に実験運行の予算が100万円計上されておりました。地元の方にも既に一報しましたけれども大変喜んでいらっしゃいましたし、この100万円の予算、ぜひAIデマンド交通の実施という方向につながればいいと願うわけです。
 改めてこの予算の内訳と、なぜ今の定時路線型からAIデマンド型になるのか、デマンド交通にはいろいろ種類があるようですが、迂回ルートとか自由経路だとか、黄金山の場合はどのような形で運行されるのか教えてください。

(バス路線再編担当課長)
 AIデマンド型の乗り合いタクシーは利用者に事前に予約していただき、予約状況に応じて運行ルートをその都度決めて運行するものでして、AIを活用することで人件費を抑えられるなど、経費の点で定時定路線型と比較して有利になるものです。
 現在黄金山地区で運行されている乗り合いタクシーは9人乗り、9人乗車定員のジャンボタクシーを使っておりますけれども、1便当たり平均3.4人の乗車にとどまっている他、団地内をくまなく走るルートとなっていることから、所要時間が長く、非効率的な運行になっているため、新年度予算において、AIを活用したデマンド型の実証実験を行うための経費を計上し、実現可能性等を調査分析するものでございます。
 また、デマンド型交通には先ほどちょっとご紹介ありましたけれども定時定路線型をベースに、予約に応じて乗降ポイントまで迂回するものや、運行ルートを定めずに予約に応じて乗降ポイントを最短経路で結ぶものなど、様々な運行形態があります。どのような形態で行うかについては、現在地元協議会と協議中でございます。

(中原委員)
 経費が抑えられるという大きなメリットもあるようですけれども、これまではその3.4人の少ない人数でもずっと走り続けなければならないという非効率なことは改善できるんではないかと思いますし、目的地も少し柔軟性も出るだろうし、ドアツードアということもあって利用者にも少しメリットも高まるかなとは思っております。
 実際これがどんなふうに実現に向けていくのか少し不透明なところもありますが、このAIデマンドに移行する上で一番の課題は、やはり事業者がいるかどうかということだと思います。
 今の「循環バスこがね」はカープタクシーさんが受託をされていらっしゃいまして、地元の方は本当にカープさんが参入してくださって助かってるんだと異口同音におっしゃっておりました。
 改めて今回のAIデマンドに移行するにあたって、この配車システムにAIを対応させる事業者のめどというのはあるのでしょうか。また、今回一番休止の原因になったのは地元負担が大きいということですけれども、AIデマンド型では、この地元負担はどうなっていくのか、少し教えてください。

(バス路線再編担当課長)
 市内にはAIを活用した配車システムに意欲を示す事業者さんはおられます。また、運行担当する事業者については、今後幅広く募集を行う予定にしております。
 また、今後のデマンド交通を行った場合の負担についてですけれども、AIデマンド型を導入する場合であっても乗り合いタクシーであることに変わりはないため、運行経費が発生するということで地元負担は必要になってまいります。

(中原委員)
 今から実験運行されるということで、成功するかどうか、成功をもちろん願うわけですけれども、私も12月議会で、今の定時路線型のOO乗合タクシーが難しければ、AIを使った方法もあるじゃないかと言って質疑をしました。それを見られた地域の方から呼び出されて、ちょっと来て話を聞きなさいということで行きました。
 地元の協議会の方と数人の声を聞きましたけれども、AIというと、スマートフォンで申し込んで、AIデマンド型のタクシーを利用するというイメージが強くて、今乗り合いバスを使ってらっしゃる方はほとんどが高齢者だと。別に高齢者に特定した事業ではないんだけれども、結果的に高齢者が多く利用せざるを得ない状況があって、高齢者に今からスマートフォンでこんなふうに操作しなさいっていうことは非常に無理があるよという指摘を受けました。
 私も言われてみればそうかなとは思ったんですが、今の協議会の方は、現在の「循環バスこがね」、この形で走らせてほしいという声がやはり一番なんだということも聞いたところです。
 しかし、このAIデマンド交通実験運行するということですから、地元のそういう不安の声も払拭できるような形になれば一番いいんですけれども、実験運行した結果、やはり課題が多かったということもあるかもしれません。
 そういうときに、AIデマンドも駄目だった、乗り合いタクシーも駄目だと、そしたらもう黄金山地区は終わり、ということではなくて、やはりAIデマンドでスムーズに移行できることが一番ベストですが、そうならなかった最悪の場合に、現在の定時型の乗り合いタクシーで再運行できるような選択肢も市は持つべきだと思いますがいかがでしょうか。

(バス路線再編担当課長)
 今回の実行実験を通じまして、黄金山地区にふさわしい運行形態を探ることとしております。ですが、決して既存の定時定路線型を否定するものではございません。

(中原委員)
 よくわかりました。AIデマンド型にしても、定時路線型にしても、やはり先ほどから課題になっております地元の負担の問題です。私は今、黄金山を除いて6地域で走ってるんだと認識しておりますが、今から新たにスタートするところもあるでしょうし、既に継続して走らせている地域もあります。どこでもやはり地元負担を軽減する取り組みは努力をされていることだというふうに思っております。
 それでここから少し市の認識を改めていただきたいと思う質疑を行います。これまで、地元の赤字の負担額が重い、負担額下げればいいじゃないかと、負担率を。全体の赤字額の50%実際には49%だと国は言ってましたが、50%を国が持つ。残りの赤字額の50%のうちの25%は自治体が持つ。残りを地元という形でされてまいりました。
 その地元負担の25%を例えば20にするとか15にするとか10にするとか、そんなふうにはできないのかと重ねて質疑をしてきましたけれども、市は、それは駄目なんですと。地元の赤字負担25は定められたことであるというふうな受け止めができるような答弁が繰り返されてきました。
 私は納得できなくて、日本共産党のにひ聡平参議院議員を窓口に、オンラインを通じて国にレクチャーを受けました。そしたら国は、地元負担がいくらというふうには決めてませんよと。決めているのは、地域の特性に応じた生活交通の確保維持のために国が赤字額の2分の1を補助しますよということだけですと、地元がこれだけしなさい、自治体がこれだけしなさいというようなことは決めておりませんと、だから地元負担を軽減することは可能です。という答弁でした。
 そこで改めて聞くんですけれども、広島市のこれまでの赤字額の25%は地元が負担しなければならないというのは間違いだという認識に立たなければならないと思うんですけれども、局長いかがでしょうか。これは局長答弁をお願いします。

(道路交通局長)
 乗合タクシーの制度については先ほど委員おっしゃいました通りでございます。これまでは地元の努力を求めるために地元負担というのを用意してきたわけで、現在6地区の乗合タクシー維持していく上でコロナ禍もありまして、非常に厳しくなってきているということはわかっておりますので、今まで商業施設などと連携して地元負担を減らすとか、いろんな取り組みをしてきた中で、その一つに公的支援を増やすということも選択肢としてはあると思います。
 ただ今回実証実験やってますように、持続するというだけではだめで、使われるようにならないといけないので、こういったAIデマンド型とかいろんな取り組みをやっていく中で、利用者がどうやったら増えるか、増えれば収入も上がるわけですから。そういった方向を今試行錯誤して模索しているところでございますので、単純にそれ否定はしませんけど、単純に費用だけ増やせば成り立っていくというものではないと考えております。

(中原委員)
 私もそうだと思いますよ。改めてそこを認識を一致させることができたと思っております。まずは利用者を増やすと、そのために様々な努力をするこれは基本でしょう。だけどその結果どうしても難しいという状況で、地元も赤字に耐えられないというときに、やめてしまうというような短絡的なことじゃなくて、やはり移動権を確保するというのは大変重要なことですから、やはり公的支援を増やすことも選択肢の一つというこの答弁は今重要だったと改めて確認をさせていただけたらと思います。
 それで黄金山の先ほどの協議会から、自分たちがいかに頑張ってるのかっていうのを少し聞かせていただいて、私も勉強不足で申し訳なかったなということもありましたけれども、カープタクシーさんが、13年間使った車両ですから新しくするのも当然ですけれども、車両を新車にしたことによってその費用が地元に来るという形なんだそうです。そういう負担ってあるのかなと、少しそれはしんどいなと地元の苦労も身に染みて感じたわけです。
 地元は赤字額をいかに集めるかということで様々苦労もしてらっしゃるんです。例えば地域のスーパーで2000円の買い物をすると1ポイント判を押してもらって、黄金山は250円が1回の料金ですが、それが20ポイント貯まったら8枚の回数券と交換できるとか、自動販売機で収益を確保するとか、様々な努力がされているんだなと思って、改めてこういう努力をしてもなお難しいという状況があるということは申し上げておきたいと思います。
 いずれにしても9人乗りで1日8便しかありませんから、満杯になっても赤字にならざるを得ないという事業で、少し前は月曜日から金曜日まで毎日運行してましたけど、月水金と運行日も少なくなって、利用者も増えませんから、段々ジリ貧のようになって赤字額が膨らむという仕組みもあるかなと思っております。
 地域の人に聞けば、お年寄りだけの事業じゃないんで、学生さんも含めてもっと地域の人が乗ってもらうようにはできないのかと、私もそりゃそうだなと思ったんです。AIデマンド型の地域交通に移行するにあたって、この地元の協議会は様々ご不安は多いかと思うんです。
 それで、この地域にしっかり周知して活用してくださいということを積極的にアピールをしなければならないと思うんですが、市はどのように支援されるのかお聞きをして、質問を終わります。

(バス路線再編担当課長)
 乗り合いタクシーの運行や周知活動などにつきましては、地元協議会が主体となって取り組むべきだと考えておりますけれども、本市としても、実験運行の開始時や節目となる機会を捉えまして、地元協議会と一緒になって協力して各戸へのチラシ配布や沿線の商業施設などにチラシを備えるといった周知活動の支援を行い、利用促進に努めていきたいと考えております。

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