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(近松委員)
保育園の問題を午前中、三宅議員が質問されてだいぶかぶるところはあるんですが、私なりの立場から質問したいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。
3歳児クラスの保育士の配置基準の見直しなどを中心に保育の実施体制についてお聞きしたいと思います。
2022年昨年4月に市立保育園で保育中に近くの川で5歳の園児が亡くなりました。この園児の死亡事案に対しては検証が行われて、その報告書が昨年12月に作成され10項目にわたります提言が出されたところです。
そしてそれに基づいて今年1月、「安心安全保育環境の整備に向けて」という取り組み方針が広島市から出されました。150センチのフェンスを整備するなど施設や設備面の改善、園児が行方不明になったりしたときの対応マニュアルの改定などの危機管理対策などが行われることになったところです。
特に今回の質問の中心にもなります保育の実施体制にやはり問題があったんではないかと、その再発防止のために提言では、保育士の配置基準などの改善を求めました。
全国で配置基準の改善というのは、今起きています保育園の事故ですとか事件ですとか様々な問題があるんですが、それが多発している背景には、やはり貧しすぎる保育士の配置基準があるんじゃないかと指摘をされています。
中国新聞でも、園児の置き去り事件が起きて、それに対して大阪教育大学の小崎恭弘教授が国の配置基準の緩さというのを問題視されています。日本の場合、欧米に比べて保育士の配置数が少ない。現行の基準で子どもの安全が守れるのかと問題提起をされています。
実際見ますと3歳児クラスは日本では1人の保育士さんが20人の子どもたちを見るんですけれども、ドイツやイギリスでは13人、そしてフランスでも15人です。全国の保育関係者からは、子どもたちにもう1人の保育士をという、そういう運動も広がっているところです。
3歳児クラスの配置基準の見直しを中心に、保育の実施体制についてお聞きしたいと思います。
そしてその前に、今回の事故で亡くなった園児の遺族である保護者が12月にコメントを出されていますので、これはテレビでも紹介されたところですが、改めて本議会の厚生分科会でもちょっと読んで確認したいと思います。
遺族のコメント。「息子が亡くなって8ヶ月経った今でも、私たち家族はつらい気持ちでいます。息子は発達障害で、言葉の意味をほとんど理解できない子でした。それでも息子は「バイバイ」や「お父さん」「お母さん」と言葉が言えるようになり、ちょっとずつ成長していて、これからもっと言葉を覚えて会話もできるようになっていくのかなと楽しみにしていた矢先にこんなことになってしまった。本当につらく悲しいです。息子は笑顔が素敵でみんなに愛される子でした。本当にかわいかった。息子に会いたい。抱きしめたい。川の水がいっぱい入ってきてつらかったね。苦しかったね。助けてあげられなくてごめんね。私たち家族みんなあなたのことをずっと愛しているよ。私たち家族はまだ悲しみの中にいます。よろしくお願いします。令和4年12月26日、父母。」というコメントでした。
私も保育園に子どもを預けていた頃に、同じクラスの子どもさんが保育園の事故ではありませんが、不慮の事故で亡くなったことがあります。我が子を亡くすというのは本当に親自身にとって、もうそこで人生が終わってしまったような、もう二度と心の底から喜んだり、楽しいなとか思うことができない、そういう日が来ないほどの深い悲しみ、そういうのは本当に私たち想像を超えるものがあると思います。
先ほどのコメントというのは、市を通してマスコミに公表されたもんですけれども、市は保護者から公表するにあたって思いを託されたというふうにお聞きしております。どんな思いだったのか、ちょっとご紹介いただけますでしょうか。
(保育企画課長)
ご紹介のありましたコメントを我々は預かりしたさわけですけれども、どのようなお子さんであっても、保育園でお子さんをお預かりしている以上は安全確実に安心安全に保育を行って、親御さんのもとにしっかりお返しするということが原点だと思っておりますので、そのように取り組んでまいりたいと考えております。
(近松委員)
今回の事故で、遺族である保護者はもう二度と我が子のような事故を保育園で繰り返してはならないとして、療育手帳を持ってらっしゃるということも初めてこのコメントで公表もされました。
障害のある子も安心して預けられる保育園にしてほしい、そういう思いからコメントを出されたんだと思います。
今回の5歳児が死亡する事故を検証した報告書を受けて、広島市は安心安全な保育体制作りというのを出されたわけですけども、その実現について、どのような決意をもって対応されるおつもりなのか、お聞かせください。
(保育企画課長)
この度の事案につきましては、市が管理をいたします保育園で保育中に園児が亡くなったものでございまして、本市として非常に重く受け止めておりますともに、二度とこのような事案を起こすことがないよう取り組んでいかなければならないと考えております。
このため検証委員会から受領いたしました報告書を十分に踏まえた上で、再発防止に向けて取り組むべく今後の取り組み方針を今年1月に策定したところでございまして、この取り組み方針に基づいて、園児が安心安全に過ごすことができ、かつ健やかに成長する上で必要な保育環境を確保するための取り組みを確実に進めてまいりたいと考えているところです。
(近松委員)
いろんな問題があったんですが、特に保育体制に問題があったとされました。再発防止のために、特に職員配置に関する提言というのはどういうものだったんでしょうか。
(保育企画課長)
検証委員会から受領いたしました報告書においての職員配置等に関する提言でございます。いくつかございますのでご紹介いたします。
例えば、3歳児の保育士配置基準の改善、それから園長主任の育成、主任の専任化、職員の育成、配慮を要する園児の保育士加配基準の改善といった内容でございます。
(近松委員)
提言に沿って取り組む方針が出されているんですが、それぞれどのように取り組むのかお聞きしたいと思います。
まずクラス担任を兼務している主任保育士の専任化を進めることが挙げられているんですけれども、これはどういう理由で兼務を解いた方がいいということにされたんでしょうか、ちょっとお聞かせください。
(保育課長)
いわゆる公立保育園におけます主任と申しますのは、園長の不在時などに園長の代理としての役割を果たす必要がございます。そうしたことから、日頃から職員との情報共有でございますとか、職員育成の時間等の確保ができるように専任化を図ってまいろうと考えているものでございます。
(近松委員)
それでは市として専任化を進めるということなんですが、そのためにはあと何人の保育士さんが必要になるんでしょうか。
(保育課長)
公立保育園今87園ございますけれども、現在37園では既に主任を専任化いたしておりますので、残る全ての園で専任化を実施する場合は、50人の正規保育士が必要になると考えております。
(近松委員)
亡くなった園児が通う保育園は77名の子どもが通っていたわけですけれども、園長・主任保育士2名を含めて正規保育士が9名、会計年度保育士が16名、保育士合わせて24名ですから、正規保育士は6名ですね違いましたかね、ごめんなさい。
それにしましても、会計年度の保育士が16名で、会計年度の職員さんが6割ぐらいを占めていらっしゃるということになると思うんですけれども、会計年度職員制度が始まって、職の再配置ということで、クラス担任は正規職員は1名しか配置をしない、そして会計年度職員に置きかえていくという。そして正規職員を削減するという計画を、会計年度職員制度がスタートしたときは示されたんですが、今回のように主任保育士さんが担任を持っていたこの事故のあった園でも同じようなことで、園長さんが不在のとき、主任の保育士さんが十分主任として園の運営業務に当たれなかった、やっぱり主任保育士さんは担任の兼務を外した方がいいということが提言として出されました。
そうしますと、やっぱり正規職員さんを雇用していかないといけない、採用していかないといけないということだと思うんですが、こうした正規保育士さんの削減計画というのはやはりもう破綻しているということじゃないかと思うんですが、市の認識はいかがでしょうか。
(保育課長)
本市におきましては、令和2年度に会計年度任用職員制度が導入されました際に、保育士の正規職員それから会計年度職員の間で役割分担の見直しを行っております。
そうした中で各クラスに1人ずつ正規保育士を配置するとともに、その補助といいますか副担任等を会計年度職員が担うようにということで役割分担をしたわけですけれども、そうした中で結果的に一時的に正規職員の採用が減った年がございました。
あくまでも、そういった役割分担自体に合わせて職員の採用等を行っている中で、一旦採用の人数が減った年もございましたけれども、あくまでもそういう実態に合わせて採用を行っているという中での減でございまして、削減計画ということで定めたものではないと考えております。
その上で今回の見直し等も含めて、必要な人員の採用配置を図ってまいりたいと考えております。
(近松委員)
先ほど保育士さんの数のことについていろいろ頭がこんがらがってしまいました。すいません。この当該保育園では園長さんが1名で、保育士さんが24名いらっしゃった。
その保育士さん24名のうち、会計年度職員の保育士さんは16名いらっしゃったということですで、やはり計算したら24名中16人は66%で、かなり会計年度職員の方が保育を担ってらっしゃるということを改めて知りました。
やはりこれから保育園の安心安全を進めていこうというときに、正規職員を減らすのではなくて、やはり増やしていく方向で進めることが保育行政の充実になるんじゃないかと思います。そのことは改めて指摘しておきたいと思います。
次に、配慮を要する園児の保育士の加配基準が改善されたわけですが、本当にこれは今までずいぶん私たちも要望してきたことです。配慮を要する園児への保育士の加配は4時間しかつかないということで、8時間にするには審議会にかけなくてはいけない。長年要望してきた案件です。
かつて私がお聞きしたところでも民間保育園に預けていた障害を持っている子どもさんの保護者の体験を、ずいぶん子どもさんが大きくなってから話を聞いたんですけど、4時間加配しかないから、給食が終わったら帰ってほしいと園に言われたとお聞きしました。自営業の方だったのでお店に連れてったりもしたんだけど、納得できなかったと言われています。
今度は新年度、基本的に4時間を8時間にして、加配保育士がつくことになりました。市立保育園では、これは誰が担うことになるんでしょうか。8時間の加配ということですので、8時間雇用の保育士さんが当てられるんでしょうか、どうでしょうか。
(保育園運営指導担当課長)
配慮を要する園児の見守りを常に行うことができるよう、8時間加配へ改善し、これまで4時間の保育士が見守りを行っていたところに続けて、新たに4時間の保育士を配置することで、8時間の見守りを行えるようにしていきます。
(近松委員)
ということは午前と午後と人が変わるということになるんでしょうか。保育というのは療育センターなんかとも連携しながら、専門性を持って対応していかないといけないと思うんですけど、午前午後とまたさらに違う人がやるというようなことであっていいんでしょうか、それはどのように思ってらっしゃるんですか。
(保育園運営指導担当課長)
4時間の保育士とそれから担任がおりますので、そこで4時間4時間プラス担任の3名がしっかりと連携をとりながら、ケース会議等を開催しながら共有してやっているところです。
ですがこれまでは4時間を基本としていたところから今の4時間と、4時間を新たにというふうにお話をしておりますが、これまで配慮を要する園児に対して基本4時間しているところに、さらに職員をすぐに8時間に置き換えるのは難しいというところもありまして、まずは現在配置している4時間の加配保育士を生かしながら、追加4時間の加配保育士を配置した上で、8時間の加配保育士の確保、配置についてもさらに検討してまいりたいと考えております。
(近松委員)
現場の保育士さんからは、4時間雇用の会計年度の方というのは現場の保育園が探さないといけないんだとお聞きしました。新たに4時間4時間で新たな保育士さんを探すというのは、現場にとってのすごい負担だという声をお聞きしましたので、子どもの実態に合わせたようにやっぱり8時間できちんと保育の体制をとっていただくということともに、そういう現場の負担も考えていただければと思います。
そして、3歳児保育の配置基準の改善についてお聞きするんですが、そもそもなぜ3歳児クラスにもう1人の保育士の配置が必要とされたのか、検証報告の内容についてお聞きしたいと思うんです。
事故当時、3歳未満の子どもさんが10名、3歳以上児24名が登園をしておられました。職員は保育士が8名、正規保育士3名、会計年度職員の保育士が5名ということで保育を行っておられたんですけど、亡くなったお子さんを「Aちゃん」と呼ぶことにしますが、事件当時の4月16日の土曜日、3歳から5歳までのAちゃんを含む24名に対して、保育士は何人配置されていたんでしょうか。
(保育園運営指導担当課長)
配置基準を満たす2名の保育士を配置しておりました。
(近松委員)
検証報告を見ると、亡くなったAちゃんは11時20分ごろ、テラスに座ってミニカーを持って遊んでいるのが目撃されて、11時30分ごろ、行方がわからなくなったのに保育士さんが気づかれた。このとき3歳以上児の担任であるB保育士・C保育士とお呼びしますが2名がいらっしゃって、1人は加配という扱いですよね。4時間加配の1人が担当保育士とクラスの担当保育士ということになるんですけど、Aちゃんを見失ったとき、この2名の保育士は何をされていたんでしょうか。
(保育園運営指導担当課長)
この時間帯には、園庭での活動から保育室に入室するために園児の誘導を始めており、B保育士は一部の園児が先に保育室に入ったため、園児だけでは危険であると思い、保育室に入り、その後給食の準備を始めました。C保育士は園庭に起こった10人程度の園児とおもちゃの片付けをした後、保育室に誘導しておりました。
(近松委員)
Aちゃんを含む24名の幼児に対して、園庭から保育室に入る子を見るために、お昼前ですから給食室の準備なんかも頭にあったんじゃないかと思うんですけど、そのために1人が保育室に入られたわけですね。で、園庭に残っている子に保育室に入るように促された人が1人で、本来、最低2人は必要だったわけですよね。
しかし現実には、1人は担当の保育士さんですけど、障害児加配がついてようやく2人になるという体制だったわけです。結局は2人ではAちゃんを守れなかったということじゃないかと思うんですよね。
もう1人保育士さんがついていたら、Aちゃんを守ることができて見失うことはなかったんじゃないかと思うんですが、それについてはどのように思ってらっしゃいますか。
(保育園運営指導担当課長)
事案が発生した4月は年度当初であり、クラスごとの保育と異なる異年齢児の合同保育にまだ慣れていない園児がいた状況等を踏まえて、検証委員会から加配保育士1名が対象児に集中できるよう、園児24名に対して保育士2名を配置し、計3名を配置する必要があったとのご指摘や、3歳児の保育士配置基準の改善に係る提言を受けたところであります。
本市といたしましても重く受け止め、配置基準の見直し検討に着手したところでございます。
(近松委員)
検証報告の提言では、3歳クラスの配置基準を市独自に見直すべきだとされました。保育士1人が見る子どもの数を、現行は20人ですが、それを15人に見直すべきということです。
事件の起きた日に、もし3歳以上児の子どもたちAちゃん含めた24名に対して、そうなりましたら、保育士の配置は15名に見直すとどのようになるんでしょうか。
(保育企画課長)
今回の事案の発生当日に見直し後の基準を改めました場合、3歳児9名に対する保育士で、少数点になりますけども0.6名、それから4・5歳児15名に対する0.5名、合わせまして1.1名。整数に直しますと2名の保育士が必要となります。これに加配保育士1名を合わせまして、計3名の配置となります。
(近松委員)
配置基準が見直されていたらAちゃんは守れたんじゃないかという検証結果です。この、3歳児の子どもたちを1人の保育士さんが受け持つ人数を、20人から15人にする配置基準見直しについて、市は必要だと、ぜひやらなければならないと考えてらっしゃるのかどうかお聞きしたいと思います。
(保育課長)
この度の配置基準の見直しにつきましては、この度のような事案の発生を防ぎますとともに、保育の質を向上を図る上で、大変重要な取り組みであると認識しております。
保育士の確保、それからそのための財源確保等の課題に対しましてしっかりと対応策を検討した上で確実に前進に繋げていく必要があると考えているところでございます。
(近松委員)
政令市の中で、配置基準を国の最低基準よりも引き上げているところは何市あるんでしょうか。
3歳児の配置基準は、5つの政令市で独自に引き上げているということもお聞きしました。それはどこなんでしょうか、教えてください。
(保育課長)
公立それから私立の園で0歳児から5歳児まで、全年齢になりますけれども、保育士の配置基準につきまして一部でも独自に条例等で定めを置いている政令市は8市あると認識しております。
また今委員ご質問にあります5市ですけれども、任意での配置も含めまして公立園で3歳児に独自配置を行っている市について、1月の厚生委員会でご答弁を申し上げたものになりますけれども、先ほどの8市の中で3歳児の配置基準を独自に条例等で定めている政令市は、横浜市それから京都市、堺市の3市でございます。
(近松委員)
午前中の三宅議員の質問の答弁にもおっしゃってました。財源の問題とかですとか、人材確保の問題というのがありますが、政令市の中で既にこのように3歳児のクラスの保育士の配置基準を15人とかに引き下げて改善しているところもあるわけで、そういうところを見習えば広島市でも決してできないことはないと思うんです。
そもそも国に対しても3歳児クラスの配置基準の見直しを要望すべきという提言も出されたんですが、国の最低基準は大体3歳児は1歳から3歳までは50年前に作られて、4歳から5歳のは70年前に作られたと。
今の様々な家庭や子どもたちの様子に合わせたものとは到底言えないと思うんですよね。
国にも要望されると。今までも要望するということはお聞きしてきたんですけど、国に見直すという動きはあるんでしょうか。
(保育課長)
これまでも含めまして、国における配置基準の見直しに関しましては、今回見直しを行います3歳児に対しても、配置基準以上の配置を行った場合に、公定価格上の加算等が行われてきました。
それと同様に直接的に配置基準の見直しに当たるものではございませんけれども、国の令和5年度予算案におきましては4・5歳児に対する基準以上の配置が可能となるような加算措置の拡充が盛り込まれているところでございまして、国においても配置基準の見直しにつながる動きが行われていると認識しております。
(近松委員)
新年度予算では国の配置基準を見直すという改善というのはなくて、改善してほしいという保育関係者・保護者の声を受けて、わずかにチーム保育・加配というのが拡充されたりとか、3歳児配置改善加算などの公定価格に上乗せが出るような加算というのは行われているんですが、これは加算であって、決して標準装備ではありません。民間保育園でも土曜日は合同保育で配置基準通りの加配なしで保育を行っているといいます。
ですから、土曜日の保育はやっぱり怖い、土曜日の保育でやはりヒヤリ・ハットが多いという声を私もいただいてます。
やはり3歳児保育の配置基準をはじめ、加配という特例ではなくて、標準の体制できる配置基準条例の改正を求めて、質問を終わりたいと思います。