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提案者を代表して決議案第55号、世界平和統一家庭連合及び関連団体との一切の関係を断つことを宣言する決議案の提案説明を行います。
まず、決議の案文を読み上げます。
決議案第55号案世界平和統一家庭連合及び関連団体と一切の関係を断つことを宣言する決議案
安倍晋三元内閣総理大臣の銃撃事件をきっかけに世界平和統一家庭連合(以下「旧統一教会」という。)と政治家との深い関わりが次々と明らかになり、国民的な批判が巻き起こっている。
旧統一教会は、正体を隠した「伝道」活動や霊感商法がいずれも違法との判決が確定している団体である。また、高額献金や当事者の意思を無視した集団結婚など数々の問題が指摘されている。加えて、信者自身の生活が壊されるだけでなく、その家族も困窮や孤立に陥っていたことが大きな社会問題となり、その救済が国会で取り組まれ法制化されたところである。今や旧統一教会が反社会的団体であることは我が国社会の共通認識となっている。
さらに、国会議員のみならず地方議員にも近づき、選挙支援の見返りに政策協定まで結んでいた例もあることが分かっている。これは、外国に本拠を置く組織が、政治家を介して日本の内政に干渉したとみなされる重大な問題である。こうした組織と政治家がつながることは決して許されないことである。
よって、本市議会は、旧統一教会及び関連団体と今後一切の関係を断つことを宣言する。
以上、決議する。
続いて提案説明を行います。
10月末、「霊感商法被害対策広島弁護団」が結成されました。報道によれば、広島弁護士会が行った電話相談会には、元信者やその家族から献金に関する相談が1日で13件も寄せられ、なかには数百万円から数千万円の被害を訴える声もあったということです。7月に起きた安倍元総理の銃撃事件以降、旧統一教会をめぐって、元信者やその家族から高額の献金や望まない信仰の強制などの被害を訴える声が上がっています。
今や、政治家との関係にとどまらず、その行ってきた違法行為の内容や被害の深刻さが社会的に周知されました。このような団体に国が法人格を認め、税制上の優遇措置を享受させているのはおかしいとして、1987年に結成され長年にわたり被害者救済に取り組んできた全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)は、9月に声明を出し、10月11日、文科省と法務省に旧統一教会に対し、速やかに宗教法人法第81条1項に基づき解散命令を請求するよう申し入れを行いました。
これまで、旧統一教会は、正体を隠した伝道活動、霊感商法、高額献金、自由意思のない集団結婚など違法・不法行為を行う反社会的な集団であることが裁判所で繰り返し断罪されています。全国弁連によれば、民事事件だけで違法行為を認定した30を超える司法判断が確定しています。
「青春を返せ訴訟」の2011年札幌地裁判決や2012年札幌高裁確定判決では、正体を隠した伝道・教化活動について、「社会的相当性の範囲を著しく逸脱し違法」と教団の責任を認めました。今日、広くマインドコントロールとして認識されている伝道活動そのものが憲法の保障する「信仰の自由」の侵害であるとして厳しく糾弾されました。
また、「先祖の因縁がある」として高額の多宝塔や壺、高麗人参液などを買わせる霊感商法は、1980年代から大きく社会問題となりました。全国弁連によると1987年から2021年まで霊感商法の相談件数は34537件、被害金額は1237億円に達しています。これは氷山の一角だといわれています。
2009年摘発された印鑑販売「新世」事件で、東京地裁は「統一教会の信者を増やすことを目的として違法な手段を伴う印鑑販売を行っていた」「相当高度な組織性が認められる継続的犯行の一環」と断じて有罪判決が確定しています。新世事件後、協会は2009年「コンプライアンス宣言」を行いましたが、霊感商法がやりにくくなったとはいえなくなっているわけではありません。全国弁連はコンプライアンス宣言後、少なくとも64件、総額7億9154万円にのぼる被害相談が寄せられていると明らかにしています。
さらには、「先祖は地獄で苦しんでいる」と脅かし「先祖解怨(せんぞかいおん)」と称する高額献金を強要する方向を強めています。その方が消費者契約法などの網にかかりにくいからです。
見過ごせないのは、世界各地の旧統一教会の中で違法な資金集めをしているのは日本だけだということです。世界全体の7割以上、年間400億円規模に達したといわれる日本で集めた資金はすべて韓国に送られ活動資金となります。日本が過去の植民地支配の責任を取って韓国に貢ぐべきという教義のもとで、正当化されているのです。
現在、協会は、2023年5月に韓国清平(チョンピョン)に完成予定の天苑宮(チョンオングン)の建設資金集めに躍起となっています。そのために、日本の信者に183万円献金しろと大号令をかけています。「借金してでも献金させた」という元信者の証言も報道されていますが、高額献金の被害は広がるばかりです。
議員のみなさん、こうした数々の違法・不法な行為によって多くの被害者を生んできた反社会的本質に対して、たとえ、政治的な信条が一致していても政治家が目をつぶることは許されません。また、「統一教会や関連団体とは知らなかった」との弁明がありますが、「統一教会の活動にお墨付きを与え、被害者をさらに増やすことにつながった」という認識・自覚が政治家には必要です。
「党から関係を断つように言われている」から決議は必要ないという声を聞きました。しかし、市議会本会議場で宣言することを妨げる理由にはなりません。本気で決別する気があるなら有権者の前で堂々と宣言されるべきではありませんか。
最後に、信者は、霊感商法の被害者からみれば、加害者ですが、マインドコントロールが解ければ、自責の念に駆られ苦しみ続けなくてはなりません。霊感商法や高額献金を合理化する教義により、信者も悪質商法や詐欺という認識ではなく、相手をサタンから救う善行であるとの宗教的信念でやっているのです。信者と家族は「被害者」であり、その救済とともに、第2第3の山上容疑者を作らないことこそ政治の責任です。このことに党派を超えて取り組むことを呼びかけて広島市議会として旧統一教会との関係を断つことを宣言する決議案の提案説明とします。
馬庭恭子議員(無党派クラブ)の賛成討論もご覧ください。
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