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1.核兵器廃絶と被爆者援護の課題について
・核兵器廃絶
・被爆者援護
2.図書館問題について
3.物価高騰対策について
4.広島高速5号線シールドトンネル工事について
5.旧統一協会と広島市行政との関わりについて
6.市長の「国葬」参列について
(中森辰一議員)
日本共産党広島市会議員団を代表して、一般質問を行います。
最初に、核兵器廃絶に向けた取組等について伺います。
2月24日から始まったロシアのウクライナ侵略の中で、プーチン大統領がロシアが核兵器を持っていることを誇示し、侵略を厳しく批判する国際世論に挑戦したことは重大です。
そのような中、6月に核兵器禁止条約の第1回締約国会議が開かれ、松井市長も参加されました。この会議では、「核兵器のない世界」の実現へ向けた禁止条約の意義を強調し、核抑止力論の誤りを明確に指摘した「ウィーン宣言」と、条約具体化へ向けた50項目の「ウィーン行動計画」が採択され、大きな成功を収めました。
「ウィーン宣言」は、ロシアの核兵器使用の威嚇を念頭に、「明示的でも暗示的でも、いかなる状況下であろうと、あらゆる核兵器の威嚇を非難する」と強調しました。また核兵器保有国が核兵器の増強を進めるなか「禁止条約はこれまで以上に必要とされている」と強調、すべての国々に対し、条約に遅滞なく参加するよう呼び掛けました。同宣言は、核兵器禁止条約による包括的核兵器禁止が、核保有国に核軍備撤廃交渉を義務付けたNPT第6条の実践を前進させたと述べるとともに、「行動計画」は、条約の署名・批准国を増やす取り組み、核兵器使用や核実験による被害者の支援・環境修復などについて具体的な行動を列挙しています。
今年の平和宣言は、こうした世界の国々と市民社会の核兵器廃絶に向けた努力を目の当たりにされた市長の思いも大いに含まれていたのではないかと思います。「ウィーン宣言」と「行動計画」について、市長ご自身の感想と核兵器廃絶に向けた決意があればお聞かせください。
一方、8月のNPT再検討会議に日本の首相として初めて岸田首相が出席しましたが、そこでのあいさつは、核兵器禁止条約に何ら触れることなく、NPT条約で最も重要な第6条にある核保有国の核兵器廃絶に向けた誠実な努力の問題にも何ら触れない中身のないものでした。
市長は、これまでにも政府に対して、核兵器保有国と非保有国との「橋渡し」を求め続けて来られましたし、今の岸田首相もその「橋渡し」役を自認しておられるようです。しかし、核兵器廃絶どころか核軍縮への努力さえ行わない米国政府の顔色を窺い、核兵器禁止条約を完全に無視した上に、NPT条約の第6条に全く触れることもできないのに、核兵器廃絶に何の役割が果たせるのでしょうか。しかも政府自身が核抑止力論に固執していては「橋渡し」役などできるはずもありません。
来年5月には、広島県・市を挙げた誘致活動の結果、広島市でG7サミットが開かれることになりました。各国首脳が被爆地に集まり、人道に反する原爆被害の実態に触れることは大いに意義のあることだと思います。しかし、G7のうち3か国は核保有国でありその他の国は米国と軍事同盟を結んでおり、いずれも核抑止力論の立場です。私は、少なくとも広島出身だと強調される岸田首相の下で、広島でサミットが行われるのであれば、G7声明の中で、広島市民が期待する、核兵器廃絶に向けて一歩踏み出す行動計画を発表するぐらいのことはしてもらいたいものだと思います。
形だけ「核兵器廃絶をめざす」といった声明を出すだけで、この問題が実質は1ミリも動かないのであれば、大きな予算も使って県・市を挙げて受け入れ態勢をつくり、厳しい警備体制で市民に様々な不都合を及ぼしてまでして、G7サミットをやる意味は限りなく小さいと考えます。
市長として、G7サミットで核兵器廃絶に向けて、具体的に前進する成果を岸田首相に要請するべきではないかと思いますが、どうされるお考えかお答えください。
(市民局長)
核兵器廃絶と被爆者援護の課題について、2点のご質問にお答えいたします。
初めに、ウィーン宣言とウィーン行動計画について、感想と核兵器廃絶の決意があれば聞きたいということについてです。
6月に開催された核兵器禁止条約第1回締約国会議において、核兵器の非人道性をさらに強調することを誓約するとともに、核兵器の脅威を断固として拒否するウィーン宣言と、その具体的な諸手順や行動を定めたウィーン行動計画が採択されたことは、会議の大きな成果であったと考えております。
とりわけ、核兵器禁止条約がNPT核兵器不拡散条約と対立するものではなく補完する関係にあることが再確認されたことは、核兵器廃絶に向けた動きを後押しするものになったと考えております。
今後、核兵器廃絶に向けた着実な取り組みを促していくためには、まずは非核保有国から核兵器禁止条約の批准国を確実に増やすことにより、核保有国が核兵器によって他国に影響を及ぼしている現下の体制を変えていく環境を作ることが重要です。
このため本市としては、核兵器禁止条約の普及や実効性確保に向けて市民社会の世論を醸成していく必要があると考えており、条約推進国をはじめ国連NGO等と協力して平和首長会議加盟都市とともに、平和文化、平和文化の振興にさらに力を入れているところです。
次に、G7サミットで核兵器廃絶に向けて具体的に前進する成果を岸田首相に要請すべきと思うがどう考えているのかについてです。
岸田内閣総理大臣は、NPT再検討会議で行った演説において、核兵器のない世界という理想と厳しい安全保障環境という現実を結び付けるロードマップとして、ヒロシマアクションプランを提唱しています。G7サミットでは、核リスク低減に向けて、このプランに掲げる核戦力の透明性の向上や、核兵器数の減少傾向の維持などの議論が行われるものと考えておりますが、NPT体制下にあって、核兵器廃絶を着実に進めていくためには、まずは各国首脳が核兵器に依存しないという発想に立つ必要があると考えており、本市としてはホスト国となる日本政府に対し、各国首脳が被爆の実相に触れる機会を設けることにより、こうした発想を促していただくよう、引き続き強く働きかけてまいります。
(中森辰一議員)
次に、黒い雨の問題について伺います。
黒い雨被爆者たちの、病身を押しての困難な裁判の結果、原告全員と原告以外の該当者にも、他の被爆者と区別せず、被爆者健康手帳を交付せよとする原告全面勝訴の判決がなされ、政府はそれを受け入れ確定しました。ところが、政府は判決にそのまま従わず、原告以外の該当者には、不当にも被爆者健康手帳の交付に、他の被爆者にはつけていない11種類の疾病発症の条件を付け、広島県も広島市もそれを受け入れた上で、被爆者健康手帳の発行事務を進めています。
県は対象者をおよそ1万3千人と推計し、広島市分でも8千人だということですが、被爆者健康手帳を交付できた人はまだ一部です。高齢化が進む被爆者であり、かつガンなどを発症している方も多いでしょう。急速な作業が求められていますが、広島市での直近の申請者数、手帳交付数を報告してください。
すでに、申請したものの審査に時間がかかっているため、手帳交付が間に合わずに亡くなった方が、最近の調査では33人もおられます。広島市で受け付けた方のうち、手帳交付の前に亡くなった方の数、この事務をどのような体制で進めているのか、なぜ交付事務が遅れているのか、体制が追い付かないなら体制を強化するべきですが、どうされるお考えか、以上4点についてお答えください。
広島市もホームページで申請を呼び掛けていますが、まだ、自分が被爆者健康手帳を手にできることを知らない方が多いのではないかと思います。「原爆『黒い雨』被害者を支援する会」が、懸命に取り組んでおられますが、民間でできることは限りがあります。
申請するべき人に情報が行き渡り申請がなされるためには、行政としての最大限の努力と工夫が求められており、市も県も国も積極的に動くことが必要です。マスメディアにも協力を要請して大々的に申請を呼び掛ける工夫が必要だと考えますが、どうされるかお答えください。
(保健医療担当局長)
核兵器廃絶と被爆者援護の課題について数点のご質問にお答えいたします。
まず黒い雨に遭った方の被爆者健康手帳の申請について、申請者数、手帳交付数はどうかについてです。本年4月1日から新たな新制度が始まり、黒い雨に遭ったとする方の被爆者健康手帳の本市への申請件数は8月末現在で2422件となっており、そのうち手帳交付数は1110件となっております。
次に、黒い雨に遭った方の被爆者健康手帳の申請について、広島市で受け付けた方のうち、手帳交付の前に亡くなった方の数はどうか。またこの事務をどのような体制で進めているのか、なぜ交付事務が遅れているのか、体制強化についてどう考えているのかについてです。
黒い雨に遭った方の被爆者健康手帳の申請について本市で受け付けた方のうち、手帳交付の前に亡くなった方は8月末現在で19名となっています。
手帳の審査については、審査された順番に黒い雨に遭ったことを確認するための作業として、戸籍の調査に加え、例えば家族が被爆者健康手帳を取得していた場合には、その際の資料の調査、証人がいる場合には証人からの調書による確認などを行ってきています。
手帳の審査に係る作業は従来は6ヶ月程度の期間を要するものでしたが、それまで10名体制であった審査体制を昨年10月以降、逐次増員し、本年4月までに4名増員したことにより、4月の正式審査開始直後には22名、その月中には189名に手帳を交付することができました。その後、疾病要件の確認作業等について、7名の応援体制を整えた上で事務処理にあたっているということです。
今後も引き続き、申請者の気持ちに寄り添いながら人生、迅速な事務処理を行ってまいります。
最後に黒い雨に遭った方に対しマスメディアにも協力を要請して、被爆者健康手帳の申請を呼びかける工夫が必要だと考えるかどうかについてです。
黒い雨体験者への手帳交付申請に係る周知については、広報紙市民と市政や本市ホームページで広報し、また黒い雨体験者健康不安相談事業の開催のお知らせとともに、手帳の交付申請についてのリーフレットを町内会に配布するなどして広く周知を図ってまいりました。
さらには、そのリーフレットの作成時や、最初の被爆者健康手帳交付時には、積極的に報道機関や情報提供し、記事や映像を通じて広報をしてきたところでございます。引き続き幅広く広報を行い、多くの黒い雨体験者に周知できるよう努めてまいります。
【再質問】
(中森辰一議員)
黒い雨の問題は、黒い雨裁判で原告が勝訴し判決が確定したのは昨年の4月29日です。11の疾病要件をつけたまま被爆者手帳交付の申請受付事務が始まったのがやっと今年の4月です。被爆者の皆さんも時間が限られているにもかかわらず、判決が確定してからもう1年以上経っているわけです。
市は市内の対象者数を8000人と推計をしているようですが、そうだとすると、あと5000人を超える人たちにどう知らせるか、大変大事な局面ではないかと思います。この点は、知恵を集めて、考えられるあらゆる手段を講じていただきたい。
大事なことでもう一点は、申請を受けたらいかに早く手帳を交付するかということです。行政の都合を言っている場合じゃないと思います。黒い雨の被害を受けてから既に77年たっております。今日に至るまで、黒い雨被爆者の方々は、政府の意図的な不作為によって放置されてきたわけです。それを償うためには、行政の都合を言ってる場合ではないということを強調しておきたいと思います。
当人が入院中とか、家を出られる状態ではないとか、もう77年も経ってみんな高齢化しているのですから、行政の都合に合わせることができない方々も多いはずです。
そうであるなら、そういう人たちのところに、担当職員の方が出かけて行くことができるような体制が必要ではないでしょうか。
実態はそれができていないから、体調の悪い人たちの方が後回しになって、一層手帳交付が遅れるということになっているわけです。現実に毎日新聞で報道されましたけれども、入院中の女性が後回しになって、手帳が交付されないまま亡くなっておられます。女性のパートナーの方は、後回しにされなければ間に合っていたんじゃないかと言っておられます。
現状の実質13人の職員体制ではできないということであればできるように、担当職員の数を増やしていただきたい。申請があったら迅速に交付事務が進められる十分な体制が必要だというふうに思います。
政府は、体制強化のための経費を出すと、国が出すというふうに言っているわけですよ。どうされるか再度答弁を求めます。
(保健医療担当局長)
黒い雨体験者の手帳交付に関して、できるだけ早く交付しなければならない、そのための体制強化はどうかというご質問だったかと思います。
できるだけ迅速な交付を行うということにつきましては、これまでも意を用いて行ってきたところでありまして、その審査事務にあたりましても、審査を積み重ねる中で様々な工夫をして、できるだけ早くということでやってきたところではございます。
その中で、議員ご指摘の体制強化につきましても、どういったことができるかということで検討してまいりたいというふうに考えております。
(中森辰一議員)
黒い雨被爆者の方々が申請をされたら、やはりせめてひと月以内には手帳を交付できるような体制を作っていただきたい。先ほど実例を言いました入院してる方の問題、手帳を交付する前に亡くなってしまったと。
やっぱり、交付してもらえるということがその人一人一人にとってすごく大事なことなんですよ。もう77年経ってしまっているわけです。
ですからそういう点では現場に行けないという今の職員の体制が問題だと思うんです。一人一人の状況に寄り添った対応の仕方ができるように、どういう体制がいいのか急いで考えていただいて、思い切った体制強化というのをやっていただきたいと思います。
これは何年もということじゃなくて、本当に一時的なことなんだろうと思いますから、市の職員で無理だというなら臨時の方を入れていただいて、お金は国が出すからと言っているわけですから、これはぜひやっていただき、もう一度その点について答弁いただきたい。
(保健医療担当局長)
黒い雨体験者の手帳交付について、できるだけ早くということで現場に出向くような体制でということでございました。迅速に交付して差し上げたいという気持ちは我々も持ってやっておりますので、議員のご指摘について、どういう体制がとれるかということは検討してまいりたいと思います。
(中森辰一議員)
次に、中央図書館等の問題について伺います。
広島市が老朽化が進む中央図書館と、こども図書館、映像文化ライブラリーの3施設を一体化し、広島駅南口の商業ビル、エールエールA館に移転するという案を打ち出して以来、市民の間で中央図書館等のあり方や施設の更新のあり方について議論がなされ、提言も行われてきています。
広島市では商業ビルへの移転を前提とした予算が承認されましたが、その際の付帯決議に沿って検討された「広島市図書館整備方針(素案)」が7月の総務委員会に提出されました。この素案は、広島市の図書館全体について、どのように今のサービスや施設を改善するか、といったことが箇条書きで書かれています。
今年2月17日に総務委員会に報告された「広島市中央図書館等再整備基本計画(案)」では、中央図書館、こども図書館、映像文化ライブラリーの3施設全体の再整備のコンセプトで掲げた機能として42項目が掲げられていました。これは、商業ビルへの移転を前提としてそういう機能を持った施設になるというものでした。
これに対して、その後寄せられた市民や議会等からの意見や要望を受けてのものとして、再整備で実現をめざす機能が、中央図書館だけで60項目、こども図書館で26項目が掲げられています。2倍に増えています。
これだけのサービスの拡充を進めていくとなると、相当なスペースの広さと、人の体制を大きくしていくことが必要になります。もともと、2月の基本計画(案)も、サービスや機能の拡充を図るものになっていたので、当然、現状よりもスペースは広くなっていましたし、人の体制も強化するものだったはずです。それに加えて、さらにサービスや機能が増えるわけですから、それにふさわしい広さと体制、さらに図書・資料の充実がなければなりません。当然財政的な裏付けも必要となります。
この点、この素案を考えた市として、施設の規模についてどのような方向性を持っているのか、人の体制はどうするのか、財政の合意はあるのかどうか、お答えください。
素晴らしい図書館にするために、市民や専門家を交えた深い検討が必要ですが、今回の素案もこれまでと同様、市の内部だけで検討されつくられたものです。それは、市の内部事情や場合によっては何らかの力関係が影響したのではないかという疑問が当然出てきます。
改めて、市自体が市民に議論を呼びかけ、市がそのための議論の場を提供し、市と市民が一緒に議論して進める市民に開かれた形の取り組みが必要だと考えます。議会で付帯決議が議決された直後の第2回社会教育委員会議でも、同様の意見がありましたが、そうした取り組みはしないのかどうか、お答えください。
昨日、こども図書館について、切り離して整理すると、市長が答弁されましたが、図書館のあり方について考えたり、こどもたちの文化について取り組んでこられた多くの市民からは、こども図書館の独自性や、平和公園に近いことが必要だ、あるいは自然環境に恵まれたいまの中央図書館・こども図書館の立地環境を大事にしてほしいという強い意見が寄せられています。
今年2月の「広島市中央図書館等再整備基本計画(案)」にあるエールエールA館への移転を決めるまでの経緯を見ると、新たな立地場所について、中央公園外への移転建て替えとし、その移転先について広島駅周辺地区としたうえで、利用者のアクセス性から広島駅からペデストリアンデッキで接続できること、かつ経費の圧縮・工期の短縮を理由に既存ストックの活用を検討したとしています。 しかし、そんな都合のいい施設はエールエールA館しか見当たりません。その後まもなく広島駅南口開発からエールエールA館への移転の申し出があったとなると、「エールエールA館への移転ありき」だったのではないかという批判は根拠があります。
広島市の中央図書館を古い商業ビルにもっていくのはみっともないからやめさせてほしいという厳しい声も聞きました。平和文化都市広島市の図書館として、市民が誇り、愛され、活用されるものにしていくために、少なくとも、商業ビルへの移転はやめるべきだと考えますが、市のお考えを改めてお聞かせください。
図書館協議会でも社会教育委員会議でも、市民と一緒に議論できる場を求める意見があったと聞いています。また、これらの会議でもただ意見を聞くだけで、体系だった検討の場になっていないようです。そうであるなら、年末までに結論を出すのではなく、図書館のあり方を含めて体系だった形で市民との議論の場や専門機関での議論を重ねられるように、もっと時間をかけるべきだと考えますが、どうされるか答弁を求めます。
次に、中央図書館は浅野図書館に沿革がありますが、浅野家が寄託している浅野文庫の約1万点の貴重な諸資料は、劣化を防ぐためとして中が見えないようにしてあります。しかし、研究用に保存するだけでは浅野家も本意ではないでしょう。デジタルアーカイブも一つですが、劣化しないための工夫をした上で、市民がそれらの諸資料を直接見ることができるようにする取り組みが大事です。本来は、独自の保存展示施設が必要ではないかと思います。ましてや、図書館の一部どころか、商業ビルの一角に保存するだけなど、とんでもないというのが浅野家の思いではなかろうかと推察します。
他方、広島にゆかりのある文学者などの貴重な諸資料がおよそ3万点保管され、一部展示されていますが、そうした作家にゆかりのある方々が以前からそれらを専門に展示する文学館の設置を求めてこられました。市もその方向を否定してはこなかったはずです。
そう考えると、この際、浅野家の諸資料と広島ゆかりの文学者の諸資料のための施設を併設という形で、独立した施設をつくるということも一つの方法だと考えます。
その際は、広島の歴史から考えて中央公園内に、さらに中央図書館なども隣接して設置するべきだと考えます。
浅野文庫と広島ゆかりの作家の諸資料、それぞれの扱いについて、市の将来的な考え方と、いま提案した独立した施設の建設について、市のお考えをお聞かせください。
(市民局長)
中央図書館等の問題について数点のご質問に順次お答えいたします。初めに今回の広島市立図書館整備方針素案は、本年2月に市が報告した広島市立中央図書館等再整備基本計画案よりもサービス機能が拡充されている施設の規模や人の体制をどうするのか、また財政の合意があるのかについてです。
広島市立図書館整備方針素案は、付帯決議に沿って新たに整備することになる中央図書館について、整備候補地の比較検討を行う際の市民からの意見等を反映するために策定したものです。
新たな中央図書館として発揮すべきサービスや機能と、それに必要となる施設の規模等については今後、整備候補地を確定する際に、整備計画や概算事業費等で、また人の体制については新たな中央図書館の運営が決定されるまでにお示しすることになると考えております。
次に、市が市民に議論を呼びかけ、そのための場を提供し、市民と一緒に議論して進める取り組みが必要だと考えるかどうか、また年末までに結論を出すのではなく、図書館のあり方を含めて体系だった形で、市民や専門機関の議論に時間をかけるべきだと考えるかどうかについてです。
中央図書館等の再整備に当たっては、先ほど定野議員にご答弁しましたとおり、すでに市民や関係団体から意見を聞きするとともに、本市の審議会の専門の委員等と意見交換を行うなどしてきているところです。
本市としては、付帯決議に沿って作業を進め、既に成立している関係予算が年度内に執行できるようにしていく必要があると考えております。
次に、平和文化都市広島の図書館として、市民が誇り、愛され、活用されるものにしていくために、少なくとも商業ビルへの移転をやめるべきだと考えるかどうかについてです。
昨日の本会議において、市長が宮崎議員にご答弁しましたとおり、新たな中央図書館は、他都市の先進的な図書館の機能も取り入れながら、次世代を担う若者を含む多くの市民や広島広域都市圏内の住民、国内外からの来訪者にもサービスを提供できるよう、機能の充実を図ることとしており、今後、付帯決議に基づき行うこととしている整備候補地の比較検討の中で、新たな中央図書館にふさわしい整備場所を決定することになると考えております。
最後に浅野文庫と広島ゆかりの作家のそれぞれの資料の扱いについて、市の将来的な考えはどうか、またこれらの資料のための施設を中央公園内に中央図書館に隣接設置してはどうかについてです。
浅野文庫の古文書等については、広島の文化伝統を後世に伝えることができる貴重なものであることから、その保存環境の確保と活用については、浅野家の意向を確認しながら、今回の再整備方針とは別に検討してまいります。
また、広島ゆかりの作家の文学資料等についても、資料を寄贈していただいた方などと直接お会いして意見をお聞きしているところであり、引き続き十分に保管管理を行うとともに、活用を図るための方策について検討していく必要があると考えております。
【再質問】
(中森辰一議員)
図書館の問題は、私は総務委員会ですので、引き続き議論させていただきたいと思っています。
それからついでに言いますけど、移転の予算は年度内に執行しなければいけない、今はそういう議論をしていないと思いますので、これはこだわるべきではありません。
(中森辰一議員)
次は、物価高騰対策についてです。
7月の臨時市議会で、国の「コロナ禍における原油価格・物価高騰対応分」地方創生臨時交付金約31億円を活用して、社会福祉施設の事業者や農業者、公共交通事業者の3分野の事業者への支援が行われることになりました。これはこれで必要なことだったと思います。しかし、今の物価高騰の下で厳しい経営にさらされているのは、この3分野だけではありません。広島市内の事業者の現実の経営実態を把握して、必要な支援を行う必要があります。
京都市では業種に関係なく、一定の要件を満たした事業者に、法人10万円、個人事業所5万円の補助金を支給しています。大きな補助金ではありませんが、これは市の姿勢として大事だと思います。
多くの事業者が困難を抱えています。それぞれの業者団体などから情報を集めて、ぜひ取り組まれたらどうかと思いますが、答弁を求めます。
他方、厳しい市民個々の暮らしも支援を求めていると思います。
一つは学生です。県内の大学生に食糧の提供などの支援をしているボランティアの方に聞くと、これまで節約のためにカップラーメンを食べていたが、物価高騰のために1週間キャベツだけで生活していたという学生がいたといいます。深夜までアルバイトをしても時給が安いので、より安いものを求めて、遠くのスーパーまで買いに行くなどの苦労をしているそうです。
こうした実態にある学生への支援策として、山形県では無償で県産米を支援グループに提供していると聞きますし、西東京市では独自に、市内在住の学生たちに5万円の給付を、名古屋市では生活保護世帯から大学等へ進学した学生に対して10万円の給付を行っています。
学生以外への支援の取り組みとしては、京都府が子育て世帯に対して、社会福祉協議会やこどもの居場所づくりに取り組む団体を通じて食料品や生活必需品の配布を行っていますし、大阪市をはじめ、茨城県潮来市や鳥取県日野町が学校給食を無償にし、子どもを持つ家庭を支援しています。
長引く新型コロナの感染拡大で市民の暮らしは疲弊しています。その上に、物価高騰が追い打ちをかけ、極めて困難な暮らしを強いられている世帯が多いのではないでしょうか。
特に、生活保護世帯は物価高騰に対して、資産がないため対応する手段がありません。物価が上がったのに合わせて生活保護基準を引き上げているわけではないので、物価が10%上がれば、そのまま生活が10%削られます。年金だけで生活しておられる高齢者世帯や障害のある方の世帯も同様でしょう。物価高騰は、消費税の増税と同様に所得の低い世帯ほど過酷な影響があります。
政府の措置で、住民税非課税世帯に対して5万円の給付を行う予算が追加されましたが、現実の生活困窮状態に対して、この程度の政府の施策だけでは不十分です。
市民生活の実態を調査して、実情を踏まえたきめの細かい支援策を独自に取り組むべきです。
平和都市広島に住んでいる市民の暮らしが少しでも安心できるものになるように広島市独自の施策にとりくむべきだと考えますが、どうされるか答弁を求めます。
(市長)
中森議員からのご質問にお答えします。物価高騰対策についてのご質問がございました。
物価高騰対策については、基本的には国が責任を負うべきものとしつつ、基礎自治体の実情に応じた支援ができるよう措置されているところであります。また、7月補正予算で措置した、原油価格物価高騰対策については、国において、低所得の子育て世帯に対する生活支援特別給付金など、生活者への支援が講じられていたことを踏まえつつ、本市においては、価格転嫁が困難な事業者やサービスの維持が不可欠な事業者の実情に応じ対象を絞り込んだ上で独自の支援を行うこととしたところであります。
さらに先日、国において、輸入小麦価格の据え置きや、燃料油価格の激変緩和策の継続実施、住民税非課税世帯に対する5万円の給付など、物価高騰対策に係る追加対策が決定されたところですが、地方公共団体に対して、予算額6000億円で創設した、電力ガス食料品と価格高騰重点支援地方交付金を活用して、地域の実情に応じて必要な支援をきめ細かに、実施するよう指示されたことから示されたことから、本市としては、この交付金を最大限に活用し、本市の実情に応じた独自の支援策を講じていきたいと考えているところであります。その他のご質問については、関係局長から答弁いたします。
(中森辰一議員)
次は、広島高速5号線二葉山トンネル工事の問題です。
この工事は、掘削のしかたをシールド工法に変更したうえで、約202億円で、以降は大林JVと呼びますが、大林・大成・広成建設工事共同企業体と工事契約を交わし、平成29年9月18日から掘削工事が始まりました。契約の特記仕様書には「本工事の全体工事期間は、契約締結の日から50か月以内とする」と記載されています。ところが、度重なるシールドマシンのトラブルで、今年の7月12日に工事期間が終了したにもかかわらず、工事完了のメドはたっていません。
当然、工事費の大幅な増額となります。これまで公社と大林JV間で、工期の延期と請負金額の増額について協議が行われてきましたが、合意には至らず、受注者である大林JVが建設工事紛争審査会に調停を申請する意思があると報じられています。
質問ですが、工事請負契約を締結した大林JVは、この工事を、指定された仕様通りに、契約した期間内に、契約した金額で完成させる義務があります。
まず、この点についての広島市当局の認識を確認します。
特記仕様書には、具体的なリスク内容についての一覧表があります。そのなかの「自然条件」の「土質」の項目には「(外から見ることのできない)不可視土質への対応」という評価対象事項があり、岩盤強度について、最大190N/mm2以上の強度が発覚した場合の費用負担について記載されています。そこには、「承認したマシンの性能により掘削できる場合の費用負担は受注者とし、性能を超えた固い土質の場合は発注者負担」とあります。さらに、地盤の確認不足によりマシンが損傷し掘削不能になった場合の費用については受注者負担とする、と明確です。
6月議会の一般質問への答弁で、道路交通局長は「事前調査で想定していた以上の硬い岩」ということを繰り返し述べておられますが、高速道路公社、大林JV、マシンを製作したロビンス社共通の前提として、マシンを製作するに当たって、どれだけの岩盤強度を想定していたのかお答えください。
また、実際の掘削で判明した岩盤の強度は、どの程度のものなのか、データでお示しください。
シールドマシンは掘削等の機能が仕様を満たしているかなどについて、「高速道路公社において適正に検査した」と、6月議会の際は答弁しておられますが、そもそも、公社にはシールドマシンの性能を読み取ることや、仕様を満たすための部品の強度や配置のあり方、設計が適しているかなどシールドマシンに精通した技術者がおられるのかどうか、お答えください。
次に、今回の頻回なトラブルですが、災害などの不可抗力により、マシンがトラブルを起こしたのではありません。直径13mを超える巨大な泥水式シールドマシンを採用したこと、マシンの盤面の2種類のカッタービットのうち直径17インチの方に損傷が集中しており強度の低いカッタービットを使用したことなど、マシンそのものの構造に問題があったと専門家の方が指摘しておられますが、この点について否定できるのか、肯定されるのかどうか、明確にお答えください。
また、今年8月末時点でのトラブルの回数と理由、カッター交換回数、想定された交換回数をお答えください。
増加する工事費の負担や工期について、公社と大林JVとの意見の対立点をお答えください。
一旦契約した工事契約の額を、部品代などが入っていなかったなどのありえない理由で大幅な増額を認めた異常な事態に続いて、工事自体がトラブルの連続で完成時期のめども立たない、しかもそれによる工事費の増額分の負担も「想定外」との理由で市が受け入れてしまうのではないかと、多くの市民が、この事業の異常さにあきれつつ、疑惑と不信、憤りを募らせています。
直接協議であろうが、建設工事紛争審査会であろうが、広島市としては、市民への新たな負担となる工事費の追加費用は認めないという毅然とした態度で臨むべきだと考えますが、どうされるかお答えください。
また、6月議会の答弁で、「想定以上の堅い岩が出てくるようなことは、他の工事でも発生するもので避けられない」と述べておられますが、これでは、最初に示した事業費は信用ならないものだと言っているようなものです。どうお考えか答弁を求めます。
通常の4倍の密度でボーリング調査をしたとも述べていますが、トンネルの差し止めを求めた裁判で、原告側の専門家が今回明らかになった地質の状態を指摘していたのに「推測の域を出ないと」と否定してさらなる調査をしませんでした。その責任はどうなるのかも、明らかにしていただきたい。答弁を求めます。
一方、工事に伴い、トンネル直上の地域を含め周辺住民には騒音や振動、さらに地上の構造物の亀裂やゆがみなどの被害が発生しています。また、1.7メートル幅のセグメントでトンネルの壁をつくる区域に入って以降、1リング当たりの掘削による土砂・岩石くずの排出量は断面積×1.7メートルですが、それより50ないし100立方メートルも多く排出されていることが分かっています。
トンネル上部が崩落し大きな空洞ができている可能性がありますが、そうだとすると、何かのきっかけで地上が陥没する恐れがあります。
こうした被害や被害の恐れに対して、市民の命と生活を守る責任がある市の行政は、しっかりと関心を持ち、市民を守る立場で高速道路公社と大林JVを指導するなどの対応を行うべきですが、どうされるかお答えください。
(道路交通局長)
広島高速5号線シールドトンネル工事について、順次ご質問にお答えいたします。まず今回のシールドトンネル工事は、工事期間が過ぎたのに完成してない上に、契約金額を超えて増額になることに対して、市はどう考えているのかについてです。
シールドトンネル工事については、安全安心を第一に、カッターの磨耗や損傷を早期に発見し、地表面沈下を起こさないよう、必要な対策を講じていることから、工事期間が延びているものと認識しています。公社と受注者は、工期を超えても工事を完成させることを確認しており、契約約款に基づき、受注者には、履行義務が残った状態で、これまでと同様に工事を継続すると、公社から聞いています。
また契約変更については、今後予定される建設工事紛争審査会の審理を経て、適正に行うこととなると聞いており、本市としては、今後、県や公社と協議を行った上で議会にも説明させていただきながら対応していきたいと考えています。
次にシールドマシンを製作するにあたってどれだけの岩盤強度を想定していたのか、また実際の掘削で判明した岩盤の強度はどの程度かについてです。
公社では、事前の地質調査結果に基づき、最大岩盤強度を125ニュートンと見込み、その1.5倍の190ニュートンが掘削できるシールドマシンを製作しています。またこれまで乗せ、掘削データから得られた岩盤強度で190ニュートンを超えたところはほぼないと聞いております。
次に、公社には、シールドマシンの性能を読み取ることや、仕様を満たすための部品の強度配置のあり方、設計が適しているかなどを、周囲のマシン精通した技術者いるのかについてです。
公社ではマシン本体および各搭載機器の傷等を確認する外観確認や、マシン本体等の寸法確認する寸法確認、各搭載機器の動作を確認する作動確認などの検査を実施し、制作されたマシンが仕様を満たしていることを確認しており、こうした業務に関わる職員に、国土交通大学等が主催する研修への参加や、シールドトンネル工事の現場視察などにより十分な知識と技術力を持った職員を配置していると、公社から聞いております。
次に、シールドマシンそのものの構造に問題があったとの指摘があるが、この点についてどうかについてです。
シールドマシンについては、シールドトンネル工事の専門家などで構成するトンネル施工管理委員会で、妥当と判断された設計に基づき制作され、当社において、掘削等の機能が使用を満たしているかなどについて、適正に検査した上で引き渡しを受けており、構造に問題があったという指摘は当たらないと、当社から聞いております。
次に、掘削に着手してから、今年8月末までのトラブルの回数と理由、想定されたカッター交換回数と実際の交換回数はどうなっているかについてです。
公社では、掘削に着手してから、本年8月末までに47回の臨時点検を実施しています。その理由は、掘削により予期せぬ粘性土が形成され、カッターに固着して回転できなくなったことや、肌落ちした岩塊が落下したときの衝撃等により、カッターの損傷や摩耗などが発生したためです。また効果については、当初計画していた11回に対し、42回実施しています。
次に増加する工事費の負担や工期について、公社と受注者との意見の対立点は何かについてです。
掘削に時間を要していることなどに伴う追加費用の負担や工期に関する受注者との対立点について、公社からは建設業法において、建設工事紛争審査会の手続きは非公開とされていることや、審査会の審議に影響を及ぼす可能性があることなどから、現時点ではお示しすることはできないと聞いております。
次に、市としては、市民の新たな負担となる工事費の追加費用を認めないという毅然とした態度で臨むべきと考えるかどうかについてです。
先ほどご答弁申し上げました通り、本市としては、今後、県や公社と協議を行った上で、議会にも説明しながら対応していきたいと考えています。
次に、6月議会で想定以上の硬い岩が出てくるというようなことは、他の工事でも発生するので避けられないと答弁しているが、これでは当初の事業費は信用ならないと言っているようだがどう考えているかについてです。
6月議会で想定中の硬い岩が出てくるようなことは、他の工事でも発生するので避けられないと答弁したのは、一般的なトンネル工事について述べたものです。工事は十分な事前調査を行った上で発注するものですが、工事着手後に想定した支出条件と異なる場合があることは避けられないものであり、その都度適切に現場での対応や契約変更を行うことが通例です。このような契約変更を行うことは、契約書にも明記されているものです。
次に、トンネルの差し止めを求めた裁判で、原告側が今回明らかになった地質の状態を指摘していたのに、推測の域を出ないと否定してさらなる調査をしなかった責任はどうなるのかについてです。
トンネル工事差し止め請求の裁判の際、公社は原告側が牛田地区において、局所的な数値のみで不規則な亀裂の多い岩盤の脆弱性を主張していることに対して、根拠がなく、マシンのトラブルが生じることは推測の域を超えないと反論しています。公社からは、これまでの地区の掘削において、臨時点検のときに、掘削面を確認しているが、当時の原告が主張していた脆弱な岩盤は確認されていない、またそれに伴うマシンのトラブルも発生していないと聞いています。
最後に、工事に伴う騒音や振動、地上部の陥没の恐れといった被害等に対してしっかりと関心を持ち、保護者と受注者を指導すべきだかどうかについてです。
公社では安全安心を第一に工事を進めており、騒音振動、地表面変位は、地域住民と広島県広島市公社で合意した調停で定めた管理値内に収まっていますが、このことにとらわれず、地域住民からの申し出に対しては、個別に訪問して聞き取りを行うとともに、掘削機関における一時的な転居などの対応を行ってきています。
またトンネル上部の空洞による陥没の恐れについては、トンネル直上において、トンネルまでの地層ごとの変位量を自動計測する層別沈下計や地表面の変位を測定するレベル測量により、高い精度で常時観測などを行っており、陥没に繋がるような変異が起きていないと、当社から聞いています。
本市においても引き続き公社や広島県と連携し、住民の不安を可能な限り払拭できるよう、適切かつ丁寧な対応に努めていきたいと考えております。
【再質問】
(中森辰一議員)
高速5号線のトンネル問題ですが、議論すべきことがいろいろありますから建設委員会の方で議論してもらおうと思います。
重要な問題は、先ほど心配することはないと言われましたけども、そういうわけにいかないんです。空洞の問題です。
この空洞の規模は、50立方メートルとか100立方メートルとか、数字が違うよと言ってるわけです。
1.7メートル幅のセグメントですから、これに直径をかけますと、250ぐらいだと思います。100立方メートルということになりますと、かなり大きな規模ですよ。
そんなものが実際にデータに表れているわけです。これに地元の方々が気がついたから、今そういう心配をして言ってるわけですから、間接的なことじゃなくて、公社任せじゃなくて、あなた方自身がやっぱりきちんと調査をして、市自身が調査をして、説明をするということが必要ではないか。
市として責任を持ってこの問題は対応していただかないと、簡単には納得できませんよ、どうされるか答弁を求めます。
(道路交通局長)
トンネル掘削により掘られた土というものは、通常圧力開放されて体積が増えて大きくなります。これに加えてシールドトンネル工事は、先端に泥水を充填しながら掘削を行いますので、掘削した土と泥水が一緒になって排水管を通じて排出されるということになります。
このため排出土量と掘削土量を比較することは、この泥水式シールドトンネル工事において比較するということは非常に難しいというふうにされております。計算上の排出土量が多いということについては、内容をしっかり確認した上で対応を検討したいと公社から聞いております。
(中森辰一議員)
今の答弁では、公社がこう言っているという答弁の仕方をしております。高速5号線、県と市が共同でやっている事業ですが、実際には高速道路公社が発注者となっている事業です。なので、この問題を議論する際も市の方は間接的な形の答弁になっています。
しかし、あれだけ大変な議論をして工事費も大幅に増やした工事です。これが今頻繁にトラブルを起こしていて、工事がいつ完成するかもわかってない。こういう状況で実際に地元の方にも大きな迷惑をかけているわけです。大きな空洞があるんじゃないかという問題も、9月8日に地元の方からどうするのかという申し入れがあったて、まだそういう回答をしてないんじゃないかと思います。
やっぱりきちんと公社とが一緒になって地元にもきちんと納得してもらえるような説明をしていく、今こうやって疑問を出してるわけですから、我々も専門的な方々にも協力をいただいて、議論をしていきたいと思います。ここはきちんと説明できるようにしていただきたい。
これはもう質問はしませんけれども、議会でこの問題を議論するときに、我々が直接議論する相手は市です。局長さんです。だけども、公社が直接出てきてこちらの疑問に答えるということはしていません。靴の上から搔くようなやりとりになってるわけです。これでは議会として責任ある議論をすることはできないのではないか。そこで、議長に後で要請に参りますけれども、ぜひ建設委員長と相談していただいて、公社に来てもらって直接議論ができる場をぜひ作っていただきたいとお願いを申し上げておきます。
(中森辰一議員)
次に、安倍元首相が銃撃を受け死亡した事件をきっかけに、旧統一協会の反社会性や、政治家などとのかかわりが大きな問題になっています。
2012年の札幌地方裁判所の判決など、旧統一協会が行ってきた霊感商法だけでなく、若者を誘い込む伝道活動自体が違法であるとする確定判決もあるように、旧統一協会は反社会的団体です。その反社会的な活動に、多くの若者が違法な勧誘とマインドコントロールにより動員されてきました。
その旧統一協会の関連団体である「世界平和青年学生連合」のメンバーに市長が面会し、市のホームページでその団体が紹介されていることがわかりました。そこで、日本共産党市会議員団は8月2日、市当局に対して、その事実を指摘し、過去に関わりがなかったか調査し明らかにすること、市のホームページの紹介記事は直ちに削除すること、今後、一切関わりを持たないことを求める申し入れを行いました。
その後、報道機関の調査で、広島市で行われる予定だった旧統一協会が全国で行ってきた「ピースロード」というイベントを広島県や広島市が後援を許諾していた、しかも市は関連団体だとわかっていて後援することを決めていたこともわかりました。
質問ですが、なぜ、市長がこの関連団体に面会することになったのか、その経緯と、寄付がなされたそうですが、どのような寄付だったのかお答えください。
2019年に広島で行われた「ピースロード」には自民党の県会議員が実行委員長となり、広島市の市会議員も参加したそうで、広島でも政治とのかかわりが深いことがわかります。今年の広島での「ピースロード」は延期されたので、後援申請は取り下げられましたが、関連団体だとわかっていて後援を決めたのはどういう理由によるものか、お答えください。
旧統一協会による被害は今なお続いており、全国霊感商法対策弁護士連絡会によると、いまでも霊感商法の被害の相談や会員の家族からの相談があるそうです。旧統一教会と関連団体やそれらのイベントはすべて旧統一教会の会員拡大の入り口であり、霊感商法被害の入り口です。これらに加担することは、旧統一協会に苦しめられる市民を増やすことにつながると考えるべきです。
全国霊感商法対策弁護士連絡会の紀藤正樹弁護士は、寄付に伴う自治体トップの面会はこの団体の市民へのアピールになると指摘しておられますが、このことを踏まえて、今後、旧統一協会や関連団体の広告塔になるような行為は厳に行わないことにするべきですが、どのようにされるか答弁を求めます。
(企画総務局長)
旧統一教会と広島市勢との関わりについてのうち、今後旧統一教会や関連団体の広告塔になるような行為は厳に行わないことにするべきであるがどうかとのご質問がございました。
旧統一教会やその関連団体は、法律等により明らかに反社会的勢力と認定されている団体ではないものの、悪質商法など不法行為が指摘され、社会的に大きく問題視されている点を踏まえ、本市がこうした関連団体の活動に賛同しているといった誤解により、市民の不信や疑念を招かないようにする必要があり、今後はこうした団体との関わりを持つことがないようにしたいと考えています。
また、国において、旧統一教会問題に関する関係省庁連絡会議や悪質商法への対策検討会が設置され、対応が検討されていることから、これらの動向等も注視していく必要があると考えています。以上でございます。
(市民局長)
旧統一教会と広島市政との関わりについてのうち、今年の広島でのピースロードについて、関連団体だとわかっていて講演を決めたのはどういう理由によるものかについてお答えいたします。
当該事業は、日韓友好と多文化共生、世界平和実現を推進することなどを目的として本市に後援名義の使用申請が提出されたものであり、他の団体の事例と同様に、本市が定めた要綱に基づき、適正に処理したものです。
(保健医療担当局長)
旧統一教会と広島市制の関わりについてのうち、市長が関連団体に面会することになった理由は何か、またどのような寄付を受けたのかとのご質問にお答えいたします。
本年1月、当該団体から、この中における医療従事者への支援として、30万2,544円の寄付の申し出がございました。団体の活動目的はボランティア清掃を通じて地域貢献を行うなどであったことから、本市としてはこうしたことを総合的に勘案し、寄付を受領するとともに、翌2月に市長の面会に応じることとしたものです。
(中森辰一議員)
最後に、その旧統一協会と極めて深いかかわりがあったとされる安倍元首相の「国葬」に松井市長が参列すると発表されたことについて、伺います。
日本共産党市議団はすでに、市長が「国葬」に参列しないよう求める申し入れを行っています。
本定例会の初日に行われた意見書案への討論で述べたように、法的根拠もなく、民主主義の手続きも無視し、憲法14条の法の下の平等、憲法19条の思想・良心の自由に反し、どの世論調査でも反対世論が過半数で増え続けているなかで、広島市長として市民を代表する形で参列することは、市民世論に反するだけでなく、法律に基づいて予算を執行するべき市長の立場と矛盾すると考えます。
市長は、法に基づかず憲法の原則に反する今回の「国葬」になぜ参列を決められたのか、また、過半数の世論に反することであり、市民を代表する立場で参列するべきではないと考えますが、どうお考えか、以上2点についてお答えください。
国民主権のわが国が、国として行う儀式は、国民全体の合意が前提ですが、そのような前提もなく法の根拠もなく憲法に反する儀式に市長が参列されることには、改めて反対であることを申し上げておきます。
(企画総務局長)
市長の国葬参列についてのご質問にお答えします。
安倍元総理の国葬儀への参列については、令和4年9月9日付で、全国市長会を通じて、市長に安倍元総理の国葬儀への招待がありました。
また、これに先立ち、岸田文雄内閣総理大臣から1.憲政史上最長の8年8ヵ月、内閣総理大臣の重責を担ったこと。2.内政外交などで多大な業績を残したこと。3.諸外国から多くの弔意が寄せられていること。4.民主主義の根幹をなす選挙中の非業の死であることを理由として、国葬儀を実施するとの説明がありました。これを受け、国葬儀に市長が参列することとしたものです。
【再質問】
(中森辰一議員)
国葬の問題ですけども、国がこういう説明をしたから、それに参列することにしたというふうにおっしゃったわけですけども、私どもがなぜ反対するかという理由は縷々述べました。
国全体、これは国民全体ということなんですよ。日本は国民主権の国ですから国民全体という中には、安倍元首相が深く関わっていた旧統一教会に最高で億という単位の経済的損失をこうむった方もおられますし、家族を取られて、それこそ家庭が破壊されてしまった方々もいらっしゃるわけです。
そういう人たちにも弔意を求める。国全体、国民全体の中に入ってるわけですから、これがいかに民主主義に反し理不尽なことかは明らかなことではないかと思います。
そういう人にまで安倍元首相への弔意を求めることになる国葬、これは明確に憲法に反すると思います。
国民一人一人の民主主義も自由も無視して行われるこの国葬に、松井市長が広島市長として参列される、これは自らが市民の自由も民主主義も無視する立場に立つというふうに考えざるを得ないというふうに思います。答弁は求めませんけれども、改めて市長には参列を中止するという決断を要請します。その上で、市の施設への半旗の掲揚とか、学校の施設内で黙とうの要請、これは首相自身が求めないと言っているわけですからやるべきではないと思いますが、どうされるかお答えください。
(企画総務局長)
国葬に関連いたしまして、半旗の掲揚をどうするのか、職員の黙祷の呼びかけはどうするのかとの質問をいただきました。職員の黙とうの呼びかけは行わないということで今考えております。もう一方、半旗の掲揚につきましては、本日中に各種手続きをとりまして公表させていただきたいとこのように考えております。
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