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1.巨大開発より子どもに予算を・持続可能な社会について
・就学援助制度の適正化について
・コロナ禍の子育て世帯の支援について
・公園の遊具について
・税金の使い方について
2.大規模風力発電建設による災害への影響について
(中原ひろみ議員)
お疲れ様です。日本共産党の中原ひろみです。
大型開発より子どもに予算をという私のこの間の想いを大きな質問項目にさせていただきました。早速質問に入ります。
広島市は連携中枢都市宣言を契機に「公共の福祉」の名のもとに広島高速5号線二葉山トンネル工事をはじめとして、広島駅南口広場の再整備事業など大型開発に巨額の事業費を投入しようとしています。
一方、「持続可能な社会を実現する」という言葉を使い、放課後児童クラブの有料化の検討や、就学援助制度の認定基準額を引き下げて市民の負担を増やそうとしております。
最近では、「全体最適」というような言葉も耳にするようになりました。市は、持続可能な社会とか持続可能な制度といえば市民が「自分たちの要求は諦めよう」とか「少しの負担なら受け入れよう」と思ってくれるのではないかと考えておられるかもしれません。そこでまず、広島市が考えておられる持続可能な社会とはどんな社会なのか。何を持続させるのか教えてください。
(政策企画課長)
持続可能な社会につきましては、今後経済社会及び自然環境において様々な変化があったとしても、住民にかかる多様な行政を踏まえ、バランスよく行政サービスを展開すべき国県市がそれぞれの役割分担に応じ、正常かつ有効に機能し続け、地域における住民が将来にわたって代々支え合い、助け合いながら安全安心に暮らしていけるような社会であるというふうに考えております。
(中原ひろみ議員)
持続可能な社会と私が考えるのは、やはり平和の元に安心して子どもを産み育てられる社会だと考えます。
立派なにぎわい施設や高速道路、駅前広場を立派にしたとしても、未来を担う子供たちが減少したのでは社会は持続できません。
将来の納税者でもある子どもたちを社会人として立派に育て上げる支援こそ行政の重要な仕事の一つではないでしょうか。未来を担う子どもたちの教育・人づくりのための予算を増やすべきですが、どのようにお考えでしょうか。
(財政課長)
県費負担教職員制度移管後の平成29年度以降で見ますと、市税収入との一般財源収入は約3500億円台で推移し、大幅な伸びが見込めない中で、人件費・扶助費・公債費の義務的経費は年々増加を続けており、令和3年度当初予算の一般会計約6837億円のうち、半分を超える約3653億円が義務的経費となっております。
一方投資的経費は、ピークである平成5年度の約2090億円と比べると大きく減少させており、近年概ね700億円から900億円程度の規模を維持致しております。
また、令和3年度当初予算の支出を目的別に見ますと、すべての子どもが健やかに育つための環境づくりや、高齢者や障害者が安心して日常生活を送ることができる社会の形成などには、民生費・衛生費・教育費の合計で約3909億円、道路市街地の整備や交通などの土木費が約969億円などとなっております。
このように、本市の財政運営にあたりましては、限られた財源の中で現下の社会情勢に対応した社会福祉に取り組むとともに、将来の税源涵養につながる都市機能の強化や、次代を担う子どもの教育などにも取り組んでいるところでございます。
いずれにいたしましても、各施策のバランスのとれた予算配分に意を用いつつ、必要な政策の推進を図っていくことが肝要であると考えております。
(中原ひろみ議員)
バランスは取れてないと思いますよ。2020年9月にユニセフのイノチェンティ研究所というところがレポートカード(通信簿)というものを発表しております。この報告書は2000年以降2年に1度発表されているもので、経済協力開発機構OECDと欧州連合EUに加盟する41カ国を対象に、先進国の子どもたちの精神的幸福度、身体的な健康と、学力、社会的スキルをランキングしたものです。この報告書で、日本の子どもの精神的幸福度は、下から2番目という衝撃的な内容となっています。
身体的健康は1位、読解力・数学の学力もトップクラスですが、問題は「学校ですぐに友達ができると」答えた15歳の子どもの割合が低いこと、生活満足度が下から2番目と低いこと、逆に自殺率が高いことが総合的に判断されました。幸福度は数値化が難しいですが、そういうものを国連をはじめ各国が取り組んでおりますのは、幸福度に光を当てることで、GDP国内総生産だけでは見えてこない格差や不平等の下で、人々がどういう気持ちでくらしているかに着目をして、政策に生かそうというものであります。
コロナ禍が子どもたちの幸福度に大きく影響している中、重要な報告書だと思います。
この結果を受けて、子どもの貧困問題に取り組まれている内閣府男女共同参画会議専門委員を務め、経済学者・社会政策学者でもある阿部彩東京都立大学教授は、ユニセフのホームページに次のようにコメントを寄せておられます。
「日本の子どもの幸福度を上げるために必要なものは、最も幸福度が低い状況に置かれている格差の底辺にいる子どもたちと、その家族の状況を改善することだ」といわれています。
この意見に照らし合わせると、今広島市がやろうとしている就学援助制度の認定基準額引き下げによる学習支援費の打ち切りや、放課後児童クラブの有料化は、コロナ禍で収入が減少する子育て世帯から希望を奪うマイナスのメッセージであり、子どもにとっては一層幸福度が失われるものではないでしょうか。
その立場から就学援助制度についてお聞きしてまいります。広島市は、利用率が24.7%と政令市の中で一番高く、子どもの1/4をカバーしているから本来の役割を果たしているんだとおっしゃるけれども、市が言う就学援助制度の本来の役割というのは何でしょうか。
(学事課長)
就学援助制度は、経済的な理由によって修学困難と認められる学齢児童生徒の保護者に対して必要な支援を行い義務教育の円滑な実施に資するものとされております。
(中原ひろみ議員)
憲法26条は義務教育は無償と定めています。就学援助の本来の役割は、どの子もお金の心配をしないで学ぶ権利を保障できる制度にいかに近づけるか、ということじゃないでしょうか。利用率が高いから、制度を見直して利用できる世帯を減らすなどということが行政の仕事であっていいはずがありません。
市は適正化のため見直すと言いますが、結局歳出削減が狙いでしょう。
そこで聞きますが、新年度の就学援助費として計上されております18億8012万円のうち、国の補助金、市の持ち出しはいくらでしょうか。
また、今年度と新年度と比較して、予算はどう推移しているでしょうか。
さらに、この認定基準額の見直しの影響を受ける約1000世帯は、経過措置が終わる令和7年からは支援がゼロとなります。このときの市の財政はいくら浮くのか、支援がなくなった家庭の負担は小学生・中学生それぞれどのくらい増えるんでしょうか。
(学事課長)
新年度予算は、就学援助費の令和3年度予算18億8012万円のうち、国庫補助金は1600万8000円で、生活保護を受けている者、要保護者に要する就学援助費の1/2です。本市の一般財源は、残りの18億6411万2000円です。令和2年度の予算が19億6618万7000円でしたので、8606万7000円の減額となっております。
次に、夫婦二人40歳と35歳、中学2年生、小学生3年生、2歳の5人世帯のモデルケースでお答え致します。この世帯の就学援助の支給額は、小学3年生が約6万6千円、中学2年生が約13万5千円ですので、支援がなくなった場合、年間で約20万1千円となり、認定を受けられない場合はこの額が受給できなくなります。
(中原ひろみ議員)
大きな金額の支援を受けられなくなるんです。少子化の影響で、何もしなくても自然に今年度と新年度では8600万円、就学援助費用が少なくなるんです。ですからわざわざ引き下げる必要もないと思います。それなのに、就学援助をターゲットにして、さらに8000万円も歳出削減するとはひどい話ではありませんか。
事業費が2.3倍の360億円に膨らむ広島駅南口広場の再整備事業とあまりに対照的です。巨大事業は2.3倍にするのに、就学援助費は下がっているのに、さらに下げようなんて、こんなことが許されていいのか。広島市はそんなにお金を子どものために使いたくないのかと言いたくなるんですよ。そんなことはないと思いたいけどそんなふうに思わざるを得ません。
さらに係数を1.13から1に引き下げますけれども、これは生活保護世帯に準ずる収入の低い世帯を切り捨てることになるんです。生活保護費というのは最低生活費です。まるまる生活費であり、税金や医療費も支払いませんし、水道料金やNHKの受信料の免除もあります。しかし、準要保護世帯は税金を負担しますし、医療費も支払います。就学援助が受けられなくなった準要保護世帯は、今答弁された年間20万円新たな負担が増えるのです。生活保護世帯以下のくらしを強いられることになるんじゃないんでしょうか。
生活保護世帯が負担しない税や医療費などを負担する準要保護世帯と、生活保護世帯との公平性の問題があります。認定基準額が下がることで、同じ所得でも2023年度に入学する新一年生はもう就学援助制度を利用できなくなります。子育て世帯の中に不公平感を作るんじゃないですか。この点についてどのような認識ですか。
(学事課長)
生活保護の要否判定にあたっては、給与所得者の場合、給与収入額がベースとなります。一方、就学援助では給与収入額から給与所得控除額を差し引いた後の給与所得額をベースとしています。
なお、先ほど申し上げました夫婦二人中学2年生、小学3年生、2歳の5人世帯のケースにおける認定基準額323万6000円の所得の場合、年間の給与収入は約544万円で、給与所得控除額は162万8000円です。また生活保護の要否判定に用いる収入額には、傷病手当や育児休業手当などの非課税収入、預貯金や現金などの手持ち金を含めます。さらに不動産等の資産、これはローンの支払いを終えた一定の評価額未満の居住用の住宅は保有が可能でございますが、それ以外の資産や自動車、これも障害者の通勤用等に必要な、処分価値が小さいものは保有できますけれども、そういったものを除いた自動車を持っている場合は原則として処分するように指導され、処分後に収入として認定されます。
一方で就学援助の審査用所得額には、非課税預貯金なども含めず、資産の有無を条件にしていないため、これらを所持したとしても認定基準額以下の所得額であれば認定となります。加えまして、見直し後には、算定式に用いる生活保護基準額について、生活保護の要否判定に用いる教育扶助の全項目を算入するとともに、要否判定に用いない学習支援費用対象項目に追加することとしております。なお審査用所得額の算定においては、加入する医療保険の種類によって保険料に大きな差があることから、控除にあたっては保険料が高額な社会保険料の実額を差し引く取り扱いを継続することにしております。
これらのことから、準要保護者として就学援助の認定を受けている世帯が、一概に生活保護世帯以下の暮らしを強いられることにはならないため、公平性の問題は生じないと考えております。また…
(中原ひろみ議員)
答弁はもう結構です。申し訳ないですけれども。いろいろたくさん言われましたけれども、私が聞きたいのは、準要保護世帯に負担をさせることについて心が痛まないのか、大変だと思わないのかということです。
これまで負担がゼロだった人たち、新たに20万円負担しても、一概には生活保護世帯以下の暮らしにはならないとおっしゃいましたが、一人でもいるかもしれないじゃないですか。
本来、住んでいる市町村で援助の内容が違うことはあってはならないんですが、就学援助制度の認定基準額は各自治体において判断するということになっています。
どこまでを準要保護世帯にするのかは社会情勢や、生活保護基準の見直しによる影響を受けないようにするためにはどうするのか、経済的な理由で児童生徒の就学が困難にならないようにするためにはどうしたらいいのかを考えるのが自治体の役割ではないでしょうか。
東京都世田谷区では、2019年10月の国による幼児教育・保育の無償化を契機に浮いた財源を使って、就学援助の認定基準額の係数を生活保護費の1.24から1.4に引き上げ、四人家族の場合、所得制限が545万円から590万円に引き上げられました。その時、給食費のみを就学援助の支援項目とする制度も創設され、最高900万円の所得までカバーできるように拡充しています。その結果、給食はほとんどの児童生徒が無償です。就学援助利用者も2倍になったと言われています。このような自治体もあるのですから、広島市においても係数を1.5近くまで引き上げて、義務教育の保護者負担を減らすべきだということを申し上げておきたいと思います。
2017年度に子ども未来局が実施した子どもの生活に関する実態調査で、行政に充実を望む支援として最も大きかった願いは子どもの就学にかかる費用の軽減でした。小学5年生では約59.5%、中学2年生では62.6%です。
さらに就学援助制度を利用している世帯の中で一番大きい願いは、学用品費の額と実費との差が大きいというものでした。教育は無償としながら、現実には保護者が負担しなければならない多額の費用が子育て世帯を苦しめているということを浮き彫りにする結果です。
さらに「就学援助が必要だが申請しなかった」と回答した中で最も多い理由は、申請の仕方がわからない、申請することに抵抗があった、となっております。
生活保護費に乗ずる係数を1に引き下げることは、生活保護世帯と同水準まで生活が困窮しないと就学援助制度は受けられないというマイナスイメージを市が発することであり、保護者の申請しづらさを増幅することになるんではないでしょうか。
行政が行うべき見直しは、申請しやすい制度に手続きを簡素化するとか、制度をもっと周知する取り組みを推進するとか、支援内容そのものを拡充することではないでしょうか。 この実態調査をどのように受け止めて、どう施策に生かしてこられたのかお聞きします。
(学事課長)
本市としては、広島市子どもの生活に関する実態調査、以前から就学援助を必要とする保護者は申請を行いやすいよう学校において在籍者全員への申請書の配布を行い、申請時においては収入確認書類の添付の省略を行うなど、きめ細かな対応に努めてまいりました。
その結果として、小中学校合わせて認定率が2019年度の実績で25.8%と政令市の中で最も高くなっているものと考えております。また、こうした対応を行っている中でも、この実態調査において申請の仕方がわからないという方が一部おられるということですので、引き続き学校にお知らせや、ホームページを通じて就学援助必要とする方にもれなく申請を行っていただけるよう、より一層丁寧な周知に努めていきたいと考えております。
また支援内容の拡充についてでございますが、2017年度からは中学校入学予定者に、また2018年度からは小学校入学予定者に対して、新入学学用品費入学前支給を開始しました。また、新入学学用品費等と学用品費等の単価アップなども行なって拡充をしております。
(中原ひろみ議員)
もともと日本の子どもの貧困率は7人に1人という状況でした。母子家庭はさらに2人に1人が貧困ということも言われてきました。コロナ禍ということで子どもたちはいっそう辛い状況に追い込まれていると想像されます。コロナ禍の減収で、今年度は年度途中で330世帯が新規に就学援助制度申請し、認定されたのは200世帯と聞いております。
このような中、政治は誰がどこでどう困ってるのか察知して、弱い者、苦しんでいる者を救済する制度をいかに作るかということが必要だと思います。そのような思いから、就学援助制度の支援内容について聞きます。
クラブ活動費、生徒会費、PTA会費、卒業アルバム代は就学援助の対象になっているでしょうか。
(学事課長)
クラブ活動費、生徒会費、PTA会費、卒業アルバム代については現在本市の就学援助では支給の対象品目としておりません。
(中原ひろみ議員)
あるお母さんがこのようにおっしゃいました。「小学校の卒業アルバムは1万円近くする。負担が難しいので子どもにはかわいそうだけど、卒業アルバムは断ろうと思う」お金がないと心がすさむつらい心境を話されました。
子どもにとって自分だけ卒業アルバムがないというのは、精神的幸福どころか不幸を増長させるものです。
先ほどの答弁では、新年度は昨年度と比べて就学援助費が8606万円も減少したということでした。財源はあるじゃないですか。この少子化で自然減となる財源を使って、卒業アルバム代ぐらいは就学援助の対象にすべきではないでしょうか。政令市の中では既に長門市で実施しています。市の財源はいくらぐらい必要なのかも合わせて教えてください。
(学事課長)
就学援助の支給につきましては、政令市でばらつきがありますが、就学援助の一人当たりの支給額を見ますと、本市は政令市の中では第10位でございます。他の政令市に比べて遜色がある状況にないことから、現時点では支給費目の拡大ということは考えておりません。
また、仮に卒業アルバム代を支給するとした場合は、2019年度の就学援助認定者数の実績、小学校6年生が3003人と中学校3年生の2784人に標準規模の広島市の小中学校で必要となるアルバム代小学校生約8000円、中学校約6000円を乗じて試算しますと、小学校2402万4千円、中学校が1670万4千円、合計で4072万8千円が必要となります。
(中原ひろみ議員)
少子化による予算の減少の半分を使えば卒業アルバムを支給できるということになります。他都市と遜色がないからやらないということでしたけども、広島市が一番子育てしやすい街にするんじゃなかったんですか。
横並びということではなく、義務教育は無償という精神に基づいて、支援をいただきたいと思います。
(中原ひろみ議員)
次は準要保護世帯の給食費について伺います。給食費は就学援助の支給対象の項目ですが、昨年の3月から5月は緊急事態宣言により休校となりましたので、給食の提供はありませんでした。生活保護世帯には給食費が保護費として支給されています。しかし、準要保護世帯の給食は現物支給ですので、給食がなければ支援を受けることはできません。休校で給食がなくても、準要保護世帯の子どもも家庭で昼食を食べるのです。
多くのお母さんたちから、子どもが家にずっといるので昼食代、おやつ代、食費が増えて家計が苦しいとたくさんの声を聞いたところです。
実際の提供日数と本来の給食提供日数、その差は何日でしょうか。
(学事課長)
2020年度当初に各学校で給食の実施が可能な日と設定していた日数は199日でした。
4月から5月の一斉休業による実施可能日の減がある一方で、夏季休業、冬期休業の短縮による実施可能日の増などもあり、最終的に給食が実施可能となった日は186日となり、当初から13日減少いたしました。
(中原ひろみ議員)
13日間ほど給食が提供できなかったということです。一食当たり小学校は250円、中学校は300円です。それぞれ13日分掛けて、小学生で3250円、中学生で3900円です。
準要保護世帯への給食費の相当分を遡及することが、就学援助制度を利用している世帯間の公平性を担保することだと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
(学事課長)
就学援助制度は、経済的理由によって就学困難と認められる学齢児童生徒の保護者に対して必要な支援を行い、義務教育の円滑な実施に資するとされており、学校での給食や学校で用いる学用品にかかる費用等を援助するものであることから、臨時休業期間や長期休業期間中のご家庭での昼食代を就学援助により支給することは考えておりません。
(中原ひろみ議員)
本来なら学校で給食を食べるはずだったのが、食べられなくなっちゃったんだから、その部分を支給しなさいよと言ってるんです。
東京都の小平市立川市、千葉県流山市、茨城県水戸市では実施されております。遜色があるじゃないですか。ぜひ、準要保護世帯に給食費の相当分の遡及を求めます。
次は税金の使い方についてお聞きします。私は就学援助の拡充をはじめとして、子どもたちの学ぶ権利を充実させる財源は、不要不急の巨大開発を中止凍結して生み出すべきだと思っております。
お金をかけて駅前を立派にすれば、市民や子どもたちが幸せになるんでしょうか。行政経営改革では聖域なく事業を見直すとなっておりますが、見直されるのは子どもの予算ばかりで、開発は聖域じゃないですか。おかしいと改めて言いたいと思います。
(中原ひろみ議員)
コロナ禍で、今多くのお母さんたちは公園に行くことぐらいしかできず、なかなかにぎわい施設に行けません。しかし公園に行ったら遊具が使えない。使用禁止の張り紙がされて、何ヶ月もテープが貼ったまま。長い所は昨年の7月からで、いつになったら子どもが遊べるのでしょうか。
子どもの権利条約でも最も重視されているのが遊びです。いかに子どもに遊び場を提供するか、より多く外で遊ぶのが幸せかということを言っております。
公園担当にお聞きしますと、今年度に市内すべての公園の遊具の一斉点検をした結果、危険で取り替えが必要な遊具が36ヶ所あったそうです。新年度にまとめて対策するということで予算もつきましたが、この取り替えなければならない遊具をなぜ何ヶ月も使用禁止にしたままにするのか。まとめた方がコストが安いのか、事務処理が軽減できるのか、なぜなんですか。
(公園整備課長)
本市が管理する約1200の公園には約4500の遊具が設置されております。この遊具について、都市公園法の改正により1年に1回の頻度で点検を行うよう義務付けられたため、本市では今年度から全ての遊具について専門業者による安全点検を実施しております。
安全点検は、国の都市公園における遊具の安全確保に関する指針に従い実施するもので、老朽化や部材の不具合などにより事故が発生する恐れがあると判断された遊具については、利用者の安全を確保するため随時使用禁止の措置をとっています。
今年度使用禁止の措置をとった149基の遊具のうち、利用頻度が高く早期の施工が可能な遊具について順次取り替えや補修を行っており、年度内に113基の遊具の使用を再開できる見込みとなっております。
おっしゃられましたように、残る36基についても来年度の早い時期に使用が再開できるよう引き続き取り組んで参ります。この36基につきましては、できるだけ早く子どもさんに遊んでいただけるよう取り組んでいきたいと考えておりますのでよろしくお願いします。
(中原ひろみ議員)
早期に環境を整えてあげてほしいと思います。巨大開発には枚挙にいとまがないですが、子どもが日常的に遊ぶ遊具の滑り台一つすぐに対策できないというのは、いかがなものかと、子どもが大切にされていないんじゃないかと思わざるを得ません。
(中原ひろみ議員)
また、ずさんな契約などで事業費が347億円を超えました広島高速5号線二葉山トンネル工事は、いよいよこの工事の心臓部ともいえる掘削工事に入ります。現在、掘削工事は牛田団地の手前100メートルで停止しています。
工事着工当初からカッターの交換は計画の9倍にもあたる28回も交換しなきゃいけなくなりました。当初3回のはずが、28回にもなった。その結果何が起こったか。最大で17メートルも地下水位が低下した区域が出てきた。さらに、当初の計画では住宅直下の掘削工事ではカッターの交換はしないということだったのが、変更され3箇所で交換しなければならなくなったようです。
カッターの交換をしますと、地下水位が低下し、地盤沈下の要因になる。しかしカッター交換しなければ、硬い岩の節理にカッターが食い込んで故障し、トンネルが掘れなくなる。まさに抜き差しならない状況にあるんです。団地直下20メートルの掘削工事で地盤沈下が発生すれば、最悪400世帯の家屋を賠償したり、買い上げることにもなりかねないということが、建設関係の質疑でも明らかになりました。
広島市は、「被害が出た家屋は広島県土地開発公社が買い上げるから5号線の総事業費には含まれない」と涼しい顔をしていますが、このようなやり方は5号線トンネル工事で一体いくらのお金を使ったのか分からなくさせるものです。今後も税金をどこまで投入することになるか分かりません。高速5号線二葉山トンネル工事の異常ぶりをごまかすものでしかないと指摘しておきます。
改めて、市民の財産に大きな被害を出してまで何が何でもやらなければいけない必要不可欠なトンネル工事なのか問われます。広島高速5号線全体の事業費は一体いくらになったんですか。1メートルの道路を整備するのにいくらの事業費がかかっていることになるのか教えてください。
(高速道路整備担当課長)
広島高速道路公社が行う広島高速5号線の事業費は1259億円であり、1メートルあたりの事業費は約3150万円となります。このうち、本市は出資金貸付金として事業費の25%を支出しているので、本市負担分は1メートルあたり約790万円となります。なお、この負担部分は通行料金により全額償還されることになっております。
(中原ひろみ議員)
とにかく1259億円もかかる事業だということですね。私はかねがね広島高速5号線の事業費が子どものための予算として使われたら、どんなことが子どもたちにしてやれるんだろうかといつも考えるんです。
例えば放課後児童クラブの専用室の整備が必要です。老朽化している自校調理室の建て替えも必要でしょう。児童館の整備、子どもの医療費無料化も早期に通院を15歳まで拡充が求められます。こういうことが全てできるんじゃないでしょうか。
今回教育費の中の、小学校・中学校・高校の学校管理費と教育振興費の総額を見てみますと、今年度と新年度比較すると約2億6800万円程度予算が減少してるんです。子どもの減少ということが大きな要因だと思うんですけれども、少子化によって浮いた教育費を開発には使って欲しくない。やはり子どもの為に使って欲しいと思うんですよ。
30人学級だってできるんじゃないでしょうか。学校のトイレの洋式化にも使ってください。今後3年計画で6割の洋式化を進めるそうですが、学校だけでなく放課後児童クラブを含めて3年間で予算しっかり確保して100%にしてほしい。これを求めたいと思います。
広島駅前は立派にするが子どもには我慢を強いる姿勢ではなく、子どもたちが、自分達は大切にされていると実感できて精神的幸福度が高まる施策に予算を確保していただくことを求めたいと思います。
(中原ひろみ議員)
風力発電建設の災害への影響についてお聞きします。
この問題は経済環境関係委員会で藤井議員が質疑をして、皆さんもご存知だと思いますが、東京に本社がある電源開発株式会社が進めようとしている風力発電建設というのがあり、現在は環境影響評価の手続き中です。この環境影響評価は土砂災害など災害に関する評価はされません。
そのため地元から大きな不安の声が届いております。そこで急傾斜地崩壊対策など土砂災害防止を所管する下水道局にお聞きをします。
事業予定地のふもとで土石流災害が何度も発生したと聞いておりますが、過去どんな規模の災害が何件発生して被害者の方はどれぐらいになっているのか教えてください。
(砂防事業推進担当課長)
県および関係部署に確認したところ、2005年9月に本市域内の事業予定地とされる佐伯区湯来町大字多田地区において地滑りが発生した事例などは確認していますが、人命に関わるものはございませんでした。
(中原ひろみ議員)
地元の人がおっしゃるには、古い話ですが1951年、昭和26年のルース台風で39名が犠牲になられたそうです。
風力発電が建設される山林のふもとは、広島市民だけで152世帯がお住まいだということもわかりました。この危険渓流が集中していると言われる打尾谷一帯、水内川一帯はどれぐらい土砂特別警戒区域に指定されているのか箇所数を教えてください。またそういう所に住んでいらっしゃる世帯は何世帯ありますか。
(砂防事業推進担当課長)
県のデータによると、佐伯区湯来町大字多田地区の土砂災害特別警戒区域及び当区域内の家屋数は、2021年2月25日時点において、土砂災害の自然現象が土石流の場合で土砂災害特別警戒区域56箇所、家屋30軒。土砂災害の自然現象が急傾斜地の崩壊の場合で土砂災害特別警戒区域95箇所、家屋113軒です。
(中原ひろみ議員)
56箇所と95箇所で約150箇所ぐらい特別危険なところがあるということでした。住んでいらっしゃる方は143世帯ということです。やはり地元に大きな不安があることが分かります。
冠山は、ブナなどの豊かな森が水源の涵養や災害防止の役割を果たしてきました。その冠山の尾根に高さ150メートル、リーガロイヤルホテルと同じぐらいの高さの風車が36基建設され、さらに、風車を搬送するために25キロメートルにわたって幅4メートル以上の道路を尾根に作るという計画であります。
その開発行為で、地域は安全性が高まるのか、それとも土砂災害の危険性が増すのか。下水道局の見解はいかがですか。
(砂防事業推進担当課長)
土砂災害の防止など、安全性の確保等事業者において適切に行われるべきものと考えております。
(中原ひろみ議員)
そうであるならば、広島市は市民の命と財産を守るという立場で、この事業に対してきちんと物を言わなきゃなりません。
広島県はもともと地質的に崩れやすい地域で、日本の中でも土砂災害危険箇所が全国で1番多い県です。市内でも、6.29の災害、3年前の8.20西日本豪雨災害と、災害の規模も被害も年々大きくなっています。さらに地球温暖化で想定外の災害がいつどこで起こっても不思議ではありません。
しかし、電源開発株式会社の計画書には、地震も水害も土砂災害の対策も全くないんだそうです。さらには筒賀断層というのがそこにあるそうですが、断層の存在さえも書いてないということです。
危険渓流が151箇所もある地域へ風力発電を建設するということは、土石流災害の増大や、水害の危険性を激化させ、不安は当然だと思います。風力発電建設は撤回することが一番の安全確保だと思いますがいかがでしょうか。
(砂防事業推進担当課長)
現在、具体的な事業計画が示されてはおりません。事業計画がはっきりした時点で、必要に応じて開発の所管部局などと連携して適切に対応していきたいと考えております。
(中原ひろみ議員)
この風力発電建設は百害あって一利なしです。市にはぜひ撤回せよとこの立場で意見を述べていただきますようにお願いをして質疑を終わります。ありがとうございました。