サイト内検索
サイト内検索
1.水道料金等収納業務の委託について
2.下水道の付加価値の創出について
(中原ひろみ議員)
質問に入る前に、今日は市立中学校の卒業式です。本来なら各地域の中学校へお祝いに参列するんですが、コロナ禍の下参列できません。この場を借りて、中学校卒業生の皆さんにおめでとうの言葉を伝えたいと思います。
それでは質問に入ります。まず水道局のことですけれども、4月1日から、第一環境株式会社に水道料金などの収納業務を委託するということで、水道事業の経営改善を図るとされております。まず、委託する目的、委託する業務内容と委託費用、またこの委託によってどの程度の経費効果が見込まれるのか教えてください。
(業務管理担当課長)
最初に委託の目的ですが、水道事業を取り巻く経営環境は、節水型社会の進行や今後見込まれる人口減少等により給水収益が減少する一方で、水道施設の老朽化対策等の建設改良費は増加していくことから、一段と厳しさが増すことが見込まれます。
このため、経営改革の一環として水道料金等収納業務を委託するものです。委託する業務内容ですが、催告書の発送、現地収納、給水停止などの滞納整理業務及び窓口収納業務で、委託費用は令和3年4月からの2年間で4億7千150万4000円です。このうち令和3年度分は2億3千716万円です。また、この委託による令和3年度の経費効果は約1830万円を見込んでいます。
(中原ひろみ議員)
水道料金などの収納業務の委託の目的は、経営改革の一環だとおっしゃいました。とても耳障りはいいですが、やはり本当の目的はどこにあるかということを突き詰めると、財政運営方針でも示されております、一般会計からの繰入資金を抑制する、これが水道局に課せられた命題で、そのための委託ではないかと思えてなりません。
委託による経費効果は約1830万円とおっしゃいました。一般会計からの繰入額を見ますと、今年度、令和2年度は3億9400万円ですが、新年度は2億7300万円と、約1億2000万円程度一般会計からの繰り出しが減少しております。
このペースで毎年減少しますと、2年後には一般会計からの繰り出しはゼロということにもなってきます。これは計算上の話ですが、一般会計からの繰り出しを減らすというのは、水道事業が独立採算制の経営ですから当たり前ということもあるでしょうけれども、やはり水道料金ですべてをまかなうということが基本です。
それを追求するあまり水道料金を値上げするという事にならないように、やはり一般会計からの繰り出しは必要だということを申し上げておきます。
先ほどの業務内容についてですが、催告書の発送、現地収納、給水停止などの滞納整理業務及び窓口業務ということでした。民間事業者が滞納整理業務や給水停止まで行うことに大変不安を感じております。
横浜市が2008年から収納業務を民間に委託しており、翌年から未納停止件数が急増して1800件も増えたんだそうです。広島市でも、この委託する業務に給水停止とか解除作業などが含まれることになりますから、水道料金滞納世帯への給水停止の件数が増えてくるのではないかと大変危惧しております。
そこでお聞きします。現在の広島市の給水停止件数は平成27年度と比較してどのように推移しているか教えてください。
(業務管理担当課長)
給水停止の年間件数でございますけども、平成27年度が8940件、平成28年度が8305件、平成29年度が7672件、平成30年度が6682件、令和元年度が6432件と年々減少しております。
(中原ひろみ議員)
過去5年間を教えていただきましたが、平成27年度は8940件の給水停止があったけれど、令和元年度では6432件と、約2500件給水停止をしなかったということでした。
給水予告件数に対する給水停止件数というのを見ましても、平成27年度では24%。令和元年度では22.6%が給水停止になったということで、給水予告件数に対する給水停止件数を見ても、2.1%下がっているということです。
私は、ここに水道局のご努力があると思っております。水道局は、滞納世帯に対して機械的に停止をするんではなくて、様々な対応をされて極力給水停止という最悪の事態を避けるように取り組まれてきたと思うんですが、どんな努力や取り組みがされてきたのか教えてください。
(業務管理担当課長)
お客様の生活状況や経済状況等を考慮し、お支払いが難しい場合には納入期限の延長や分割納入など柔軟な対応を行っています。
(中原ひろみ議員)
やはりきちんと生活実態を聞いて、悪質ではない方には期限の延長や分割納入がされてきたんですね。水道料金は受益者負担で、納入時までに払うというのは基本ですけれども、生活困窮世帯に対して、滞納の罰則として給水停止するということは、一歩間違えれば命を奪うことにもなりかねない問題ですから、極力給水停止にしない努力をされているということに対して敬意を表します。
2014年に施行されました水循環基本法というのがあります。これは水の憲法とも言われております。水が国民共有の貴重な財産であり、公共性の高いものであるとして、すべての国民がその恩恵を将来にわたって享受できるようにするというのが基本理念です。
水道事業は、地方公営企業法で常に企業の経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進するように運営されなければならないとされています。まさに水が憲法25条が保障する生存権にも関わるものだということです。
先ほどの横浜市の件ですが、民間事業者に水道料金の収納業務を委託された時に、目標収納率の達成に関する覚書というのを交わされたんだそうです。その中で、目標収納率というものを設定されました。上回った場合は、上限400万円の報奨金を市が民間事業者に支払う、しかし目標達成できなかった場合は、逆にペナルティとして業者が横浜市に違約金を支払うということが、この覚書で決められたようです。
これが先ほど申し上げました、翌年から突然給水停止件数が増えたということに結びつくわけで、事業者が収納率のアップのために給水を停止して、料金を納めてもらうと言う安易なやり方に走ったということが、横浜市で指摘されているんです。
そこでお聞きします。広島市は水道料金の収納業務に関する業務委託仕様書の中で、横浜市のような目標収納率が設定されるのか、あるいはペナルティとか報奨金とようなものがあるのかを聞いたします。
(業務管理担当課長)
目標収納率は、平成30年度から令和3年度までの中期経営計画に掲げる97.8%以上としております。なお、目標収納率が達成できなかったことによる違約金や、達成したことによる報奨金は設定しておりません。
(中原ひろみ議員)
目標収納率が97.8%は広島市の中期経営計画に掲げているものだということですが、現在の広島市の収納率が98%ということですから、これはすぐにでもクリアできると思います。
民間事業者に対するハードルもないし、違約金も報奨金もないということで、少し安心はしました。それでも、改めてこの民間事業者に業務を委託する上で、支払いが困難と認められる十分な理由がある場合には、給水停止を保留することができるというようなマニュアルを作ることが必要です。民間事業者への徹底をお願いしたいと思います。
水道料金が払えないという家庭は、悪質でない限りは困窮世帯ということが言えます。様々な事情があると思いますけれども、やはり市民生活の困窮状態がわかるひとつの分野です。早く払えと督促をするばかりでなく、なぜ払えないのかというところに思いを馳せて、行政全体の包括的支援に来をつなげていくということが求められています。
これまで水道局は、生活困窮者に対して、行政全体の支援につなげるような取り組みをどのようにされてきたのか、民間委託はどのようにされるのか教えてください。
(業務管理担当課長)
これまで水道局では、水道料金の支払い交渉を行う中で生活困窮者を把握した場合、生活支援につながる生活保護制度の案内や、自立相談支援機関である広島市くらしサポートセンターの紹介を行っています。
委託後も、給水停止の意思決定や生活困窮者への対応は引き続き水道局が行うため、受託業者からの報告により生活困窮者の状況把握に努め福祉部局と連携した対応を行うこととしています。
受託業者に対しましては、お客様に寄り添った対応ができるよう適切に管理指導してまいります。
(中原ひろみ議員)
水は福祉であり、商品ではないと思います。市民の命と暮らしに関わるものですから、無理な給水停止や、過酷な料金取り立てをすることがあってはならないということを強調しておきます。
4月からは収納業務が民間に委託されますけれども、すでに水道局の業務で民間に委託しているものがあれば、その内容を教えてください。
また、今後水道局の委託に関する基本的な考え方はどうなのかお聞きしておきます。
(業務管理担当課長)
現在お客様と直接の関係がございますが、営業部門の業務の中で委託をさせて頂いておりますのが、引越しなどの受付、引っ越しお客様センターというのを設けております。
それから、皆様のご自宅に2ヶ月に一度検針に伺いますけども、水道メーターの検針業務を委託をさせて頂いております。
また、水道料金を算定するシステムを委託しております。
委託に対します基本的な考え方でございますけども、水道は市民の生命や健康に直接関わるものであります。民間委託にあたりましては、給水の安全性・安定性を確実に担保した上で、災害時における危機管理体制の確保や、職員の技術力の維持向上など、人材育成にも十分留意しながら進めていく必要があると考えています。
下水道局では、こうした考えのもと水道料金等収納業務を来年度から委託することとしたものであり、今後においても、給水の安全性・安定性に直接影響のない業務を対象に、委託の可能性について検討していくこととしております。
(中原ひろみ議員)
つまり、水道局の本体業務である水の管理については、民間委託はしないという認識でいいと思っておりますけれども、今世界では、水を巡って随分大きな変化が生まれております。フランス、スペインなどは、過去には水道を水メジャーと言われるグローバル企業によって経営されてきましたが、やはりこれではダメだと言うので再び公営に戻してるんです。その件数はこの15年間で3件から267件にも増えてるんです。やはり水というものは福祉であり、商品ではなかったということをあらためて浮き彫りにしています。公営企業が担わなければいけないということなんです。
そういう中で、世界の水道から支持を失ったこの水メジャーが、日本をターゲットにしているということも聞いておりますので、改めて広島市の水道を水企業の儲けの場にしてはなりません。そのためにも、民間事業者に委託するということはいかがなものかと思います。
職員の人材育成であるとか、技術の継承を図って、将来にわたって安心・安全・安定した水が市民に供給できる体制を維持してもらいたいということを申し上げて、水道関係の質疑は終わります。
(中原ひろみ議員)
それでは次に、下水道関係の質疑に入ります。広島水ビジョン2030というものがあります。この中に新たな付加価値の創出が施策例に書かれています。この新たな付加価値とはいったい何なのか教えてください。
(計画調整課長)
ビジョン2030では新たな価値の創出の中に、紙おむつの下水道への投入処理を例示しています。これは、今後さらなる高齢化の進行による介護者の増加に合わせ、大人用紙おむつの使用量が急増することに対し、介護負担の軽減につながる新たな付加価値として期待しているものであり、現在、国において紙おむつの処理方式について社会実験が行われているところです。
(中原ひろみ議員)
紙おむつの処分が施設で働く職員の負担になっている、保育園とか介護施設ということのようですが、紙おむつを下水道に投入処理することで、市民生活をより便利にしようという取り組みだそうですね。
今民間事業者が開発中のようですが、使用済み紙おむつを前処理・分解して専用の宅内配管を通じて下水道に受け入れるというシステム技術のようです。
すごい技術を開発しているんだと驚きましたけれども、実用化のめどはいつ頃になるんでしょうか。
(計画調整課長)
国の検討委員会では、社会実験の結果を踏まえながら、引き続き技術的・制度的な検討が行われるものと認識しておりますが、実用化の時期につきましては明確に示されてはいません。
(中原ひろみ議員)
実用化のメドも立っていないものを2030ビジョンに書くことはいかがなものかと、少しご意見を言わせていただきたい。
保育士が言うには、おむつが必要なのは0歳から3歳児ぐらいで、その紙おむつを処理することがそんなに負担だと思ったことはないとのことですので、改めてその必要性が疑問だと思います。
実用化されて紙おむつが下水道に投入できるようになった場合に、下水道局の施設として何かそれに対応するような整備が必要なんでしょうか。
(計画調整課長)
現在国が実施しております社会実験における紙おむつの処理方式につきましては、新たな下水道施設の整備を前提としたものではございません。
(中原ひろみ議員)
それでは、保育園とか介護施設ではどうなるのでしょうか。保育士に聞きますと、汚物はトイレに流して、おむつは蓋のついたバケツに入れて、毎日決められた時間に業者が取りに来るのでそこに出すとのことで、そんなに負担ではないそうです。
保育園とか介護施設で、新たな紙おむつの分解装置や専用システムなどが必要になるのでしょうか。
(計画調整課長)
現在、国が社会実験で検証している紙おむつの処理方式は、備え付け型の分離装置により紙おむつと汚物を分離脱水したのち、汚物は既存の下水道に排水し、脱水した紙おむつは減量化され、従前通りゴミとして搬出するものです。
その処理方式の場合、施設の規模や立地条件によっては、必要に応じて施設内の排水設備を一部改修することも考えられますが、国の社会実験の進展に伴い、改修の程度や費用を含め今後具体が明らかになってくるものと考えております。
(中原ひろみ議員)
処理費用は下水道料金に関わってくるんでしょうか。
(計画調整課長)
国が社会実験等で検証している紙おむつの処理方式は、下水道の新たな整備を前提としていないため、下水道使用料の改定にはつながらないと考えております。
(中原ひろみ議員)
下水道使用料の改定にはならないということですが、紙おむつの下水道処理技術が開発されて実用化しても、一部の保育園や介護施設では新たな施設整備も必要かもしれないということになると、費用対効果が薄いんではないかと、付加価値というふうに下水道局はおっしゃるんですけれども、本当にそうなのかなと疑問もわきます。
一番言いたいことは、下水道局には付加価値よりももっと重要な、市民生活ライフラインを担う分野としてやるべき仕事があるということです。改めてこれを指摘しておきます。
例えば浸水対策や合流式下水道の改善、耐用年数が近づきつつあるポンプ場の改善なども必要です。
今下水道において、そういう施設の整備に関する課題はどのようなものがあるのか、どんな状況なのか教えてください。
(計画調整課長)
まず一点目の浸水対策の実施状況につきましては、令和2年度末時点で浸水常習地区約2000ヘクタールにおける床上床下浸水解消率は約45%となっています。浸水対策施設の整備は大規模であり効果の発現までに長期間を必要とします。そのため、雨水幹線整備などのハード対策に加え、内水ハザードマップの公表や、止水板の設置促進などのソフト対策も含め、ハード・ソフト両面からの総合的な浸水対策を進めていくことが必要であると考えております。
次に、合流式下水道の改善対策につきましては、令和2年度末時点での改善対策達成率は約90%となっています。合流式下水道の改善対策は、下水道法施行令に基づき令和5年度までに完了させる必要があるため、引き続き改善目標達成に向けた施設整備を推進していく必要がございます。
最後に、耐用年数が近づきつつあるポンプ場などの改善につきましては、本市が所有する水資源再生センター及びポンプ場は100箇所あり、このうち標準的な耐用年数である50年を経過した施設は、令和2年度末時点で17施設ございます。これらの施設につきましては、これまで部分的な補修や修繕による劣化対策を施すことで、施設の長寿命化を図りながら所定の機能を維持してきたところであり、今後もこうした長寿命化対策を継続しつつ、将来の人口の減少に伴う使用水量の減少を踏まえ、既存施設を適切かつ段階的に改善していく必要があると考えております。
(中原ひろみ議員)
浸水対策は中心市街地で45%ぐらいしかできていないということであります。合流式下水道の改善については、令和5年までということで、今実施されている途中です。それからポンプ場についても、17のポンプ場で改修が必要ということで、いずれも大きな事業になるかと思います。
付加価値ということをここに書いて、良くなったと言う市民もいるかもしれませんが、基本的には、浸水対策や合流式下水道の改善、ポンプ場の改善など、市民のライフラインを守り、災害に強い下水道のための基盤整備に力を尽くしてもらいたいということを申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました 。