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1.水産業の振興について
(中原ひろみ議員)
お疲れ様です日本共産党の中原ひろみです。水産業の振興について伺います。第6次広島市総合計画では、水産資源の維持、増大、漁業環境の整備ということで、作り育てる漁業を推進するとされています。
今年度の新年度予算で、どれくらいの事業費で何をされるのか、また水産業の振興策というのは、どういうものがあるのか教えてください。
(水産課長)
本市では第6次広島市基本計画に基づき、カキの安定生産のための養殖指導や、漁業環境の整備など、作り育てる漁業の推進、広島広域都市圏の市町と連携した水産物の消費拡大などの水産振興策に取り組んでいます。
令和3年度の主な事業といたしましては、まず、カキの安定生産のための養殖指導として、近年頻発しているカキの採苗不調の原因を究明するため、海水中の窒素やリン等の濃度調査を行うとともに、行政調査の結果を広島広域都市圏のカキ養殖関係市町にも情報提供することで、広域的な養殖の安定化を図るカキ採苗の適応化事業を行います。
また、作り育てる漁業の推進として、マコガレイやアイナメ等の付加価値が高い水産物の種苗の生産・放流事業や、アサリ資源増殖に力を入れるとともに、内水面においてはアユ等の資源増殖を図るため、太田川再生事業に取り組みます。
さらに、広島広域都市圏の関係省庁と連携した水産物の消費拡大として、広島で取れる代表的な海の幸7種をブランド化した、広島湾7大海の幸PR事業を実施します。令和3年度の事業費は、これらの事業も含めて、水産業振興に関する予算を合計2億8,237万3千円計上しています。
(中原ひろみ議員)
様々な事業が取り組まれていますが、過去には藻場を造成して、漁場の環境の整備を図るという努力がありましたけれども、その効果はどのような状況でしょう。
(水産課長)
平成30年度予算特別委員会において、中原委員からのご質問にお答えしている通りでは、県が平成5年から平成9年にかけて実施した、元宇品と似島へのアマモの移植事業に対し負担金を支出しており、これについては県から一定の効果があったことを聞いております。
また、平成30年度からは、本市において新たにカキ殻を使った藻場ブロックを用いて、藻場造成を行う藻場再生モデル事業を似島の西側海域で開始いたしました。令和元年度にその地点を調査しましたところ、新たな藻場が形成されておりまして、メバルやエビ、タコなどが集まる効果が確認されました。
また近年、広島湾で減少しているナマコも確認され、資源増殖への効果が期待できると考えられました。
この効果を受けまして、令和2年度は新たに市内の漁業協同組合と協同で似島の南側海域にもブロックを設置しまして、藻場の形成を促進するとともに、本市で生産したナマコ種苗を放流するというナマコ資源の増殖にも取り組んでいます。
(中原ひろみ議員)
この写真は、今ご説明がありました藻場の造成によって、メバルがたくさん群れているという状況です。このような取り組みで、漁場環境も成果が上がっているようですが、この成果が台無しになりかねない事態があることを聞きました。今日は漁場で発生している実態を紹介し、早期の対策を求める質疑をさせていただきます。
似島で小型底引き網漁の許可を受けて漁業をしている方からの苦情です。
この写真は針金です。数年前から、カキいかだに使われている針金が、底引き網に絡むんだそうです。そのために魚が取れず、底引き網に絡んだ針金は網から外さなくてはなりません。錆びているので、軍手やごつい手袋をして外すんですが、それでも針金の先で足や手を負傷して、化膿してしまって治療も必要ということになるようです。まさに漁師は三重苦だという悲痛な訴えがありました。
これは、網にかかった針金を外す作業中の写真です。この漁師さんは、これまでに県や市の漁協に、カキ業者さんへの指導と対策を何度も依頼されたようですが、一向に改善されないので、もう駄目だ、漁師をやめようとも考えたそうですが、このまま放置したのでは若い漁師が育っていけない、次につなげていけないということで、意を決して私のところへ助けを求めてこられたのです。私も聞いて大変ショックを受けました。
あの風光明媚な、カキいかだが浮かぶあの瀬戸内海で、目に見えない海底で、いろんなことがあるんだなとご苦労に思いを馳せたました。
カキいかだは複数の竹を縦横に配置して、針金で結束して、その下に発泡スチロールを格子状に重ねて浮かぶという形で、大体5年で更新するとお聞きしました。
なぜ底引き網に、カキいかだに使われている針金がかかるんでしょうか。カキ業者が海に不法投棄しているのではないかとの疑念が持たれることにならざるを得ません。
瀬戸内海で利用しているのはカキ業者さんだけではありません。底引き網に針金でなく、魚がきちんと取れるように、早期の対策が不可欠だと思います。市の認識を伺います。
(水産課長)
広島県内のカキ養殖は、いかだから針金を使ってカキを吊り下げる方法により行われています。養殖中のカキは、台風などによるいかだの破損や、カキそのものの加重によって、針金ごと海底に落下して回収できなくなることが少なからずあるとカキ養殖業者から聞いています。
海底に取り残された針金が漁具に絡むことで、操業の妨げになっていることについては、本市漁獲量の9割以上を占めているカキのブランドイメージを守っていくためにも、何らかの対応が必要であると考えております。
(中原ひろみ議員)
早期に具体的な実行力のある対策が必要です。
そこで産業廃棄物指導課に伺います。いかだを作る時に竹をつなぐために使う針金。これが不要になった場合は、産業廃棄物になるんでしょうか。そうだとすれば、適正な処理はどうしなければならないんでしょうか。
(産業廃棄物指導課長)
廃棄物の処理及び清掃に関する法律では、事業活動に伴って生じた金属くずを廃棄物として処理する場合、すなわち有価物として扱わない場合は、産業廃棄物となります。
不要となった金属くずについては、事業者が適正に分別保管し、廃棄物の発生抑制との観点から、まずは売却が可能なものはリサイクル業者に売却し再資源化すること。また、売却できないものは、産業廃棄物として許可業者に委託し処理してもらうことになります。
(中原ひろみ議員)
今おっしゃったのが、不要になった針金の適正な処理方法だと思います。それが実施されていれば底引き網にこの針金がかかることはないと思います。
これは、千田公園にあるゴミ箱に設置されている看板です。ゴミの不法投棄をすると罰せられることがありますと書いてあります。公園でも海でも、不法投棄している現場を押さえられれば、それは犯罪行為です。
底引き網に係る使用済みの針金は、海に不法投棄された恐れがあるという事案であり、早期の是正がどうしても不可欠です。
市はこれまでどうされてきたのか、具体的な方策を取られてきたのか伺います。
(水産課長)
本市では、広島県と連携して、カキ養殖で生じる針金等の廃棄物の適切な回収や処分について、カキ養殖業者で構成される協議会や現場等において指導を行ってまいりました。
(中原ひろみ議員)
指導されてきたけれども、現場では何も変化がなくて、問題になっているのです。
お話を聞きますと、網に針金がかかるというだけの問題ではなくて、カキいかだというのは、許可された海区というのがあるんです。どこへでもカキいかだを置くわけにはいかないんです。そのカキいかだが指定された区域を越えて、底引き網漁の区域まで侵入し、底引き網とカキいかだが接触事故を起こすとか、漁ができる範囲もだんだん狭くなって、不漁の原因にもなっているんだそうです。最近では、広島汽船の航路にも影響する事態にまでなっていたとお聞きしました。
本来は、県の水産課がきちんと監視して、カキ業者にルールを守るよう必要な指導を取るべきですが、改めて県に対して、巡視船でパトロールをするとか、カキ業者への強力な指導が不可欠ですけれども、どうされるでしょうか。
(水産課長)
ご指摘の通り、県に対しこういった現状を改めて伝えるとともに、漁業取締船による監視の強化を働きかけてまいります。
また、本市においても漁業協同組合と連携し、カキ養殖業者に対し、研修会を通じて廃棄物に対する意識啓発や指導を一層強化していきたいと考えております。
(中原ひろみ議員)
似島は非常に素敵な島です。そこで漁をする方の生業が成り立つようにしてあげないといけません。
新年度予算を見ると、578万円。わずかな予算ですが、海底清掃をするというものがありました。この予算はどんな事業をするための予算なのか。また、この予算は十分な規模なのか教えてください。
(水産課長)
海底清掃は、漁具を用いて海底に堆積したゴミを取り除くという事業であり、県が作成した広島県中西部海域マスタープランに基づいて、国の補助事業により実施しているものです。
実施にあたっては、本市沿岸の海域をまんべんなく清掃できるよう、7区画の区域を設定し、年度ごとに順次おこなっています。令和3年度については、金輪島西側の海域を2.74平方キロメートル実施する計画です。
海底清掃の予算は、先ほど申し上げました県のマスタープランに基づいて実施するために必要な予算を前年度を計上しているものでございます。
(中原ひろみ議員)
ここに日本地図を持って参りました。何かというと、平成27年に瀬戸内海の海ごみ問題の調査を委託した、特定非営利法人瀬戸内里海振興会というところが発表された、瀬戸内海岸漂着対策調査報告書の中の表です。これによると、この赤い一番大きい丸が、海底ごみが1000個あったということを表しており、瀬戸内海に集中しています。全国を見渡しても、他の所に赤い丸はありません。瀬戸内海にばかり海底ごみがたくさんあるということを示しているのです。カキ業者ばかりが悪いわけじゃありませんが、カキ養殖をされている県内の35の漁協も、日頃から海浜清掃をして、カキ関連の資材がたくさん漂着してくるので、海辺で清掃活動されているわけです。これは大切な活動ですが、これだけではごみ問題は解決しません。
先ほどの瀬戸内海岸漂着対策調査報告書が示すように、海底ごみの、とりわけ瀬戸内海の海底ごみの重点的回収処理事業が、これまで以上に重要だと思います。
先ほど、500万円ほどの予算で海区を7つに分けて毎年1カ所ずつ海底清掃するとおっしゃいました。そういう活動をされてきたんだと改めて認識させていただいたんですが、7つに分けるということは、年に1カ所ですから、7年かかるわけです。7年に1回の海底清掃で十分かどうかということになりますと、やはりこの瀬戸内海の表を見るだけでも少ないと思います。
カキの針金を含めたいろんなものだけでなく、海底ごみ処理できるように、海底清掃の予算を500万円と言わず数倍に増やすべきではないかと思いますがいかがでしょうか。
(水産課長)
県のプランに基づき予算を計上し、実施してきたところでございますが、ご指摘のように漁業者からの苦情もあることから、漁業協同組合に今後の海底清掃につきまして、ヒアリングを実施していきたいと考えております。
(中原ひろみ議員)
ヒアリングも必要でしょうが、ヒアリングするまでもなくこの事実が物語っています。これはあの先ほどの底引き網漁されている漁師さんから頂いた写真です。
似島の海岸に漂着した様々なゴミがあります。やはり早期に対策が必要です。SDGsはいうまでもありませんが、17の目標のうち14番目は、海の豊かさを守ろうということになっています。今世界的には海洋プラスチックごみが大問題で、このまま行くと魚よりゴミの方が増えると警鐘を鳴らされています。
瀬戸内海は多島美が美しいんですが、閉鎖性水域です。ですから、先ほどのたくさんの海底ごみ、これはどこかから流れてきて沈んだわけではなくて、瀬戸内海周辺の自治体から、暮らしの中で、生業の中で排出されたものですから、やはり我が身の問題として考えなければなりません。
瀬戸内海の漂流ごみ、漂着ごみ、海底ごみ、これをなくしていくことが、今広島市が第6次基本計画で掲げる海洋資源を保全して、海の持続可能性を守ることに直結するのではないでしょうか。
カキは全国の5割が広島県内の生産ということで、文字通り県を代表する特産品です。カキ業者だけを特別扱いされてはいないと思いますが、皆さんにそんなふうに思われないよう、周辺の漁民の不利益にならないよう、自治体としては手配していただきたい。
先ほど紹介しました、特定非営利法人瀬戸内里海振興会の報告書では、海岸漂着ごみは、カキ養殖に伴うごみが圧倒的に多く、原因者はもっと積極的に回収に取り組むべきという意見もあります。今後、底引き網にまた針金がかかったということがないように、改善されたんだということが実感できるようにぜひ積極的に取り組んでください。
カキ業者さんに対してどのように指導したのか、底引き網漁の漁師さんたちに報告をしていただきたいと思うんですが、どのようにお考えでしょうか。
(水産課長)
今後カキ養殖業者に対しまして、研修等を通じて廃棄物に対する意識啓発や指導を一層強化することにしており、この取り組み内容について、漁業協同組合を通じて底引き網業者にお伝えしてまいります。
(中原ひろみ議員)
最後に、美しい似島の全景写真があります。このちょんちょんちょんがカキいかだです。いつまでも美しい景色、美味しいカキ、そして美味しい7大海の幸。これが大いに県内に広がっていくよう期待しまして質問を終わります。
(市長)
今ご指摘いただいた問題は、不法投棄という事象を起こす市民あるいは生業をしている方々に対して、今後きちっと対応していただくということをしっかり徹底していくと共に、現在生じている不法投棄の現状を一刻も早く解消することを目指して、スピード感をもって対応いたしたいと思います。
(中原ひろみ議員)
ありがとうございました。よろしくお願いします。