議会での質問・答弁

2021年02月24日

2021年第1回 2月定例会・予算特別委員会 文教委員会 藤井とし子議員

2021年2月24日文教委員会
(藤井とし子議員)
 請願16号について、紹介議員としていくつかの質問をさせていただきたいと思います。
 今回は少人数学級について、その中で35人学級を中学2年から3年に拡大することについて絞って質問したいと思います。
 皆さんもご存知のように、日本の1学級当たりの児童数40人、これは世界の中でも突出しています。やっと国が35人に少なくさせてきたということで言えば、本当に長い間教職員、保護者がこれまで粘り強くを要望してきたことが実現したことだと思っています。その中でも、コロナの中、40人学級では三密回避が困難であり、分散登校などをやってきて、やはり少人数学級はすごいんだということが実感されてきたこと、そして保護者、教職員だけではなく、教育研究者や地方3団体、校長会、教育委員会、PTAなどで一気に広がって広島市をはじめ600の自治体が少人数学級を求める意見書が可決をされるなどの全国的な運動の中でこれが実現をしてきたということを改めて皆さんの運動に敬意を申し上げます。
 私たちは中学校3年生まで拡大をすることを望んでおりましたけれども、今回は小学校6年生までということですので、特に私はこの中学校2年3年までの拡大について発言をしたいと思っております。
 19日の本会議で定野議員も問されまして、教育長も「35人学級に拡大することは望ましい」という答弁をされています。ただ時期については明言はありませんでした。児童数の変化なども含め国の動向を見ながら検討していくという説明でした。ただ、こういう悠長なことでいいのかなと疑問を持っておりますのでちょっと聞いてきたいと思います。
 その前に一つ深刻なデータが新聞報道でもされています。厚生労働省の統計で小中高校生の自殺が過去最多という新聞報道がありました。全国で2020年に自殺した小中高生は479人。前年の339人から大幅に増え過去最多となったというショッキングな記事でした。自殺の原因は、進路に関する悩み、学業不振、親子関係の不和と前年と同じような傾向だったということですが、精神疾患やうつ病の影響が増えたということも報道しています。
 いかに子どもに寄り添う教育が全国的にも求められているかということを私は改めてこのニュースで実感しています。自殺だけではなく、いじめの認知件数、不登校の生徒数、暴力件数も毎年教育委員会でもまとめを出されていますけれども、直近の2年間を比べたそれぞれの件数をまずお聞きしたいと思います。

(生徒指導課長)
 平成31年度の市立中学校2、3年生のいじめの認知件数についてですが第2学年が377件で、前年度に比べて14件増加しており、第3学年が195件で、前年度に比べて32件増加しています。
 次に、不登校生徒人数についてですが、年間30日以上欠席した生徒は第2学年が388人で前年度に比べて86人増加しており、第3学年が370人で前年度に比べ28人増加しています。  最後に暴力行為の発生件数についてですが、第2学年が197件で前年度に比べて17件増加しており、第3学年でが106件で前年度に比べて14件の増加となっております。

(藤井とし子議員)
 今、学年ごとに答えていただいたんですけども、私も資料見せてもらいましたけれども、平成29年度と30年度を比較していじめの認知件数がそれぞれほぼ2倍に増えています。
 これは全体なんですけどもいじめの件数、そして不登校生徒についても29年度では738人。そして30年度では868人と中学校全体でも130人増えています。暴力件数も、一年間で約2倍も増えているということで小学校よりも格段に増え方が違うという資料もありました。どれも学年ごとでも皆増えています。中学1年生まで35人学級を市が独自にやっていて、これは中一ギャップに対応して中学1年まで拡大したと説明を受けました。中学2年3年は思春期であると同時に、先程の請願者の趣旨の中にもありましたが、進路を決める時期にあり、よりきめ細かい対応が求められる学年だと思います。こういった1年と2年と3年の違いは認識をされているのかどうか。

(生徒指導課長)
 先ほどの件数に補足をさせていただきます。不登校生徒数については、中1から中2中3と徐々に増えているという状況にありますけども、いじめの認知件数につきましては中1の方が直近2年間では中2中3よりも少ないという結果になっています。
 これは暴力行為の発生件数についても同様で、1年生が一番多いという状況になっております。具体的な数字を言いますと、いじめの認知件数は平成30年度は中1が563件で、中2よりも200件少ない。それから平成31年度が652件で、中2よりも275件少ないという状況でございます。今3学年の要件を言いましたけど、全ての認知件数が増えておりまして、いじめの件数がなぜ増えてるかということについては、いじめ見逃しゼロということで、どの学年、どの学校もそうですけども初期の軽微な段階から各学校が積極的な認知に取り組んでいることが影響していると思います。ですから、中1でいじめも暴力行為も多いということですが、逆の見方をすると、35人学級できめ細やかにしっかり子供たちの様子を見ている、思春期の子供たちの様子を中1でも中2でも中3でも見ている、35人学級の中でそういう結果が出ているという捉え方もできるんではないかと思いますが、そういう見方もできるということで、検証ということは難しい実態があると思います。

(藤井とし子議員)
 中1で35人学級で落ち着いて、1年間の成果が表れてるという風に思いますけれども、それが2年3年も35人学級になれば、もっと落ち着いていくんじゃないかなと思います。
 それともう一つ、データとして最近の新聞で見たんですが、子供のうつ症状をまとめたものがありました。これはコロナの影響を受けて、昨年11月から12月まで国立成育医療研究センターが子供924人、保護者が3705人にコロナ子どもアンケートというものを取られまして、子供のうつ症状の結果をまとめたものです。
 うつ症状で重度な子供の割合が小学校4年から6年で15%。中学校で24%、高校で30%もあったことが報告されています。子供全体の17%が実際に自分の体を傷つけた、また24%が体を傷つけたい、死にたいと思ったと答えるなど、自傷行為なども深刻だという結果でした。コロナが1年経った段階ですが、子供たちが精神的なストレスを受けているということが国のセンターの調査でも明らかにされています。とりわけ親や教師が気持ちを自由に表現できるように工夫し、どんな気持ちも否定せずしっかり聞いて受け止める心のケアの必要があるとまとめられていました。
 ですから、コロナもあり、進路の事もあり、子どもたちが精神的に難しいのが中学校2年生だろうと思うわけです。担任を持った先生が「中学校2年3年になると進路の相談、心の問題も出てくる。もっと生徒一人一人にかける時間があればと思う」と言われていました。今いじめなどの対応でいろんな他職種の人も配置して学校も努力していると思うんですが、やはり一学級当たりの生徒数を減らすことが一番だと私も思います。
 今教員が足りないから難しいと言われています。教員志望が減っているということも教育長も言われてました。このままではますます教員志望者が減ってしまう悪循環になるのではないかと思うわけです。
 教育行政で取り組むべきことは本当にたくさんあり、環境整備が重要だと思います。その中でも35人学級をすぐにでも行っていただきたい。財源については、これまでも年間8億円を市費で、学校の分を市が独自に負担をしてきました。これは非常に評価をされているわけです。その8億円が、もうそのためのお金としては使わなくても済むわけで、これを中学2年3年への拡大に充てればいいのではと定野議員も言われてましたけれども、2学年分で約4億円という試算を教育長が言われておりました。是非これは段階的でもいいので、速やかに検討していただきたいと思います。
 もう一つは、施設的にはどういった課題があるのかということをいくつかお聞きしたいと思います。中学校2年生3年生において、1学級35人を超えている中学校は今現在広島市で何個あるのか答えください。

(教職員課長)
 今年度、1クラスの生徒数が35人を超えて学級編成を行っている中学校は、広島市立63校中、中学校2年生で33校、中学校3年生で30校となっております。

(藤井とし子議員)
 35人学級を実施をしたら現在の校舎で対応できない学校は何校あるのでしょうか。

(指導第二課長)
 教室の整備が必要な学校が何校あるかと言ったことにつきましては、各学校の利用可能な普通教室を1校ずつ精査していく必要がございますので現時点では推挙することができておりません。今後試算したいと思います。

(藤井とし子議員)
 63校といっても、小規模な学校を含めたら対策をする教室っていうのはそれほどないのかなという風に私も話を聞いたんですけども、あと普通教室を一つか二つずつ増やせば可能になると思うんですが、そういうふうに考えられないでしょうか。

(指導第二課長)
 例えば中学校2年生で35人学級を導入した時に、例えば一クラス増えるとすると、そういった教室が各学校に整っているかどうか、整備すればすぐ可能かどうかといったことについてまだ精査できておりませんので、これについてまた今後対応していきたいと思っております。

(藤井とし子議員)
 いずれは少人数学級は進んで行くと思いますので、早急に精査をして、できないんじゃなくてどうやったらできるかという点で、お金がかかるならばそれはかけていただきたいなと思います。
 まず急ぐこと。子供たちは待ってられません。子供たちの悲鳴が聞こえます。どんなに辛い思いをしている子供たちがたくさんいるかといった点で、そういうことが望ましいと言われた以上は、いつかやるだろうではなくて、早急に実施、まず取り組む姿勢を是非見せていただきたい。
 広島市は平成19年から、少人数教育推進のための段階的プランを実施してきました。35人学級を中学校1年生まで実施をしてきたわけですが、その狙いの中にもありますように、学級集団が現在抱えている不登校、いじめ、学級崩壊などの諸課題の解決に向けたきめ細かい取組を一層推進することが可能になるとして、目標は小学校中学校で概ね20人程度の学級編制とするという段階的なプラン持っているわけですから、今後どのようにこのプランを推進していこうとされているのかお聞きいたします。

(指導第二課長)
 今後少人数学級をどのように推進していこうとしているのかということですが、本市では個に応じたきめ細かな指導により、基礎・基本の学力の確実な定着などをはかり、個性や能力を伸長する教育の充実を目指すことを目的として、現在小学校全学年と、中学1年生を35人以下学級とする少人数教育を行っております。
 また広島市議会では、令和2年12月議会において、義務教育における30人学級の実現を求める意見書を採択され国に対して学級編成基準の見直しと、教職員の定数改善を図るとともに、教職員の増配置や、学校施設の改修と教室の確保に必要な財政措置を行い、一クラス30人学級を早期に実現するよう求められました。
 文部科学省においても、小学校中学校の30人学級という目標を掲げ取り組まれましたが、結果的には令和3年度から令和7年度までの5年間で、小学校全学年を順次35人以下の学級編成とする方針となりました。
 しかしながら、2月16日の文部科学大臣の記者会見では来年度から段階的に始まる小学校の少人数学級を検証しながら、その有効性について改めて発信し、出来る限り早い時期に中学校の35人学級も目指していきたいとの発言がありました。
 これらのことを踏まえ、教育委員会といたしましては、まずは35人以下学級を中学校3年生まで拡大することがより望ましい姿であると考えておりますが、これを実現しようとすると学級数の増加に伴う教員の確保や教室の増設などの課題が生じています。
 従って少人数学級の拡大については、今後の国の少人数学級に関する動向や本市の児童生徒数の今後の推移などに十分留意しながら検討していきたいと考えております。

(藤井とし子議員)
 望ましいと言われている以上、一日も早く実施をして欲しい。お金がかかるなら、お金は市全体で考えていただいて、開発事業も様々進められておられますが、そういったところではなくてやはり子供にしっかりと優先して使うべきだと思います。早急な検討を国待ちではなく、市独自の判断で一日も早く拡大されるよう要望して終わります。