議会での質問・答弁

2019年12月11日

2019年第5回 12月定例会 議案質疑 中森辰一議員

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第106号議案 指定都市高速道路の整備計画の変更に係る同意について(高速5号線増額問題)

【発言動画】

広島市議会動画チャンネル12月10日議案に対する質疑54:00~

(中森辰一議員)
 上程された議案について質疑を行います。今議会の焦点となっている、指定都市高速道路の整備計画の変更に係る同意について、一般質問での答弁も踏まえながら質問します。
 まず、本12月定例市議会初日の、市長の提案説明では、補正予算以外の議案で言及したのは、市議会議員の報酬についてだけで、この重要議案はその他として言及もありませんでした。そもそも、高速道路公社による問題とは言え、市と県が設立した団体が、市と県が決めた工事について重大問題が発生し、さらに整備事業費を310億円も増額しようという議案を提案している。マスメディアも大きく報道し市民の関心が高い、今議会の最重要議案となっている。ところが、市長の提案説明でこの議案について一言の言及もないとはどういうことでしょうか。
 この議案は、310億円もの巨額の事業費を増やすという議案で、最も重要な議案であることは、議場の誰もが共有している共通認識です。そういう認識があれば、これまでの提案説明のあり方の慣例がどうであろうと、第一番の議題として説明するべきでしょう。このような事態が引き起こされたことについて、責任者としての自覚をもって市民に謝罪の表明ぐらいあってよかったのではないでしょうか。  
 この議案がどのように重要なのか、市長の認識を伺っておきます。答弁を求めます。

(道路交通局長)
 広島高速道路の整備計画の変更にかかる同意議案は、高速5号線を完成させるための最後の整備計画変更であり、高速5号線が本市の発展に欠かせない都市基盤施設として、議会の整備促進を求める決議や、経済界からの早期整備の要望に応えて、整備を推進するために必要不可欠な重要な議案と考えています。

(中森辰一議員)
 今回、議会に同意を求めることになった点は3点あります。1点目は、高速2号線と5号線の接続路線の建設。2点目は、そのことを含めて、事業費が310億円増えたこと。3点目は、それらのために完成予定年度が4年遅くなることです。
 まず、2点目の310億円もの増額について聞きます。
 この内訳は、第一に、5号線シールドトンネル工事の契約額を200億円から287億円に、大幅な増額を行うための87億円、第二に、トンネル掘削による残土の処分場所が変更になったことや、人件費や資材価格の上昇、設備の変更、消費税率引き上げに伴うものなどが56億円、第三に、高速2号線を5号線に接続するための新たな建設費が167億円ですが、それぞれについて聞いていきます。
 まず、第一の、5号線シールドトンネル工事の契約額を約87億円増額するという問題についてです。
 私たちは、建設委員会に広島高速道路公社、以下、公社と呼称します、公社の責任ある立場の職員を招致して、直接質疑を行い、こういう事態が起きた原因、それに至る本当の経緯に迫りたいと考えていました。これまでも、建設費の増額問題はありましたが、今回のような契約額そのものが必要な費用額を満たしていなかったなどということ、しかも、100億円レベルの巨額であるという点、発注側と受注側との認識の違いなどあり得ないことが起きているという問題です。それだけに、公社の招致は必要なことでしたが、極めて残念ながら、建設委員会で否決されたため、公社に直接質疑を行う機会を持てないまま、この問題についての結論を出さなければなりません。
 市は、第三者委員会が集めた資料なども見ているでしょうし、公社からもいろいろ聴取しているはずだと思いますので、質問によっては、今回の問題を引き起こした公社になり代わって、誠実に答弁をされるように、求めておきます。
 まず、広島市行政のこの問題での関わりと認識について聞きます。
1.高速5号線を建設するというときから、市議会では市当局と繰り返しその是非などについて議論してきました。高速1号線のトンネル工事に関わる地表面沈下の際は、市や県と公社が相談しながら、対応してきたはずです。
 今回、トンネル工事をシールド方式でやることやそれに伴う地元住民とのやり取りなども、市や県と公社が意思疎通を図りながら進めてきたはずです。
 工事費の見通しや、これに伴う事業計画の問題、工事契約前後の様々な節目に関わっても、市や県と公社は意思疎通、情報交換をしながら進めてきたはずだと思いますが、どうなのか、答弁を求めます。

(道路交通局長)
 県、市は、公社が広島高速道路を着実かつ確実に建設・運営できるよう指導・監督するという立場として、また、公社はその建設・運営を進める当事者であるという立場に立って、意思疎通、情報交換を進めています。

(中森辰一議員)
2.契約額の上限を200億円と定め、一般競争入札の公告を行った時点では、公社としては200億円以内で工事費が賄える考えでしたし、そのように市にも説明し、高速道路整備計画もそれが前提になっていました。それにも拘らず、たった1者だけだった応札者である大林組他のJVから、平成28年2月22日に提出された見積もりは300億円でしたし、同年4月11日に提出された2回目の見積もりも300億円でした。公社は、そうした事態になったことを、どのように受け止めたのでしょうか。
 また、その時点で、そのような事態になったことを、市は知っていたのかどうか、お答えください。

(道路交通局長)
 第三者委員会の調査報告書によると、平成28年2月22日に第1回見積書が提出された後の3月7日に、当時の公社は、本件工事について、200億円を超えるのかなとの認識を示したとされています。

(中森辰一議員)
3.3回目の200億円の見積もりに付いていた工事費内訳書には、200億円の見積額の中に、RCセグメント他の材料費や一部工事費が含まれていないことが説明されていましたが、そういうことについて、市は公社から報告を受けていたのかどうか、お答えください。
4.2回目の300億円の見積もりと3回目の100億円減額し200億円になった見積もりの間の、公社とJV側との協議の内容について、少なくとも平成28年5月の「本体工事一式」との工事契約締結のときまでに、市は知っていたのかどうか、お答えください。

(道路交通局長)
 入札手続き中の公社とJVのやりとり等については、公社が実施する工事等の入札・契約手続きの進行過程に係る情報については、入札契約適正化法等の趣旨を踏まえ、公平性・公正性の観点から非公開とされていることから、設立団体である県・市でも契約手続きが終了するまでは知ることができません。
 したがって、ご質問の第1回目と第2回目の300億円の見積もりが出されたこと、3回目の見積もりに一部工事費が含まれていないことが説明されていたこと、あるいは専門家による技術改善の要請内容については、市は知りませんでした。

(中森辰一議員)
5.今回の入札方式は、民間企業の優れた技術を活用することができる入札方式だということですが、応札者は大林組他のJV1者しかなく、競争性の発揮は実現しませんでした。1者しか応札がなかったことについて、市は、どのように受け止めておられるのでしょうか。
 さらに、トンネル工学の学識経験者で構成する技術検討委員会の審議を経て2回の技術改善を求めた、と先の建設委員会で担当課長が答弁しています。1回目の技術改善の要請後の見積もりも約300億円でした。しかし、2回目の技術改善の要請後、約100億円も見積額が減りました。そうなると、2回目のトンネル工学の専門家による技術改善の要請は、こうすれば、工事費を100億円減額できるというものでなければなりません。そうでなければ、公社は200億円で契約しようがないわけですから。
 2回目の内容は、そういうものだったのかどうか、以上2点についてお答えください。

(道路交通局長)
 入札契約方式は一般競争入札であり、入札参加資格を満たしていれば、1者での応札であっても有効になります。
 第三者委員会の報告書において、入札参加が1者であったことから公社は他の業者との比較検討ができなかった、適正な予定価格の積算ができなかったとされており、本市としてもそのように受け止めております。

(中森辰一議員)
6.入札公告の結果、大林組他のJV、たった1者しかなかった応札者が、2回目に提出した見積もり額も1回目と変わらず300億円だったわけで、1者の見積もりしかないから、他との比較はできません。発注者の公社としては、これはシールド工法による工事費の見込みが甘かったし、300億円程度の事業費に見直す必要があると、予定事業費を再検討せざるを得ないと、なぜ考えなかったのでしょうか。市としては、この時点での公社の判断をどう受け止めておられるか、お答えください。

(道路交通局長)
 公社が取りまとめた「再発防止の具体的な取組について」の中で、契約当時の上限を大きく上回る見積書が提出されている時点で、最新の知見等をもとに契約当時の上限の妥当性について検証を行い、妥当でないと判断されたならば、契約当時の上限額等について所要の見直しを行う必要があったとしています。
 報告書によれば、公社に契約が成立しなかった場合に事業の完成が大幅に遅延することが懸念されたため、公告で定めたスケジュールに沿って進めたいと考えたとしています。市としてもこのように考えております。

(中森辰一議員)
 次に、200億円での契約に至った経緯についての認識を聞きます。
1.トンネル工学の専門家などからの技術提案を受けてもなお、300億円の見積もりを出したJV側は、300億円でないと工事はできないと説明したはずです。そうだとすると、その際に公社は、これは300億円かかる工事だと認識したはずです。
 それを、あえて100億円分カットした200億円の見積もりを出させたわけです。
 その際、その見積もりに付属した工事費内訳書では、RCセグメント他の材料費と一部工事費が含まれていないことが説明されていました。ところが公社は、その内訳の内容を、RCセグメント他の材料費と一部工事費が含まれていないことを一覧表では隠したものに書き換えさせ、それを付けた見積もりに出し直させました。内訳書を書き直させたということは、その内訳に、200億円の中に含まれていない材料費や工事費が書いてあることを知っていたからということです。
 それでもなお、書き換えた内訳書には、あえて個々の合計額に「見積条件参照」という注記がされていて、注記の見積条件には、実施設計をしないと確定できない「RCセグメント他の材料費や一部工事費を含んでおりません」と書いてあったわけですから、この200億円という見積もりに100億円分が含まれていないことを、公社はよく知っていたということです。
 つまり、公社は、3回目の見積もりでも、この工事は300億円かかる工事だが、100億円分の工事を除いた数字が示された見積もりだということを知っていた。
 見積額とその後の入札の額とは同じでなければならないのが、条件でしたから、100億円分の工事費が含まれていない金額で契約を交わすつもりだった。当然、あとから必ず100億円の追加を要求されることは分かっていたはずです。
 一方、JV側も、「本体工事一式」という契約がどういうものか、よく承知していたはずです。
 他の、我々が知らない文書によるのか、口頭によるのか、当面、200億円で契約するために、後から工事費の追加を協議するから、というような、JV側が納得する何かがなければ、JV側が100億円も少ないままの工事契約を行うわけがないでしょう。市が、この間の経過の資料を全部見ているなら知っているはずだと思いますが、この点について、市はどのようにお考えでしょうか、お答えください。

(道路交通局長)
 入札手続き中の公社とJVのやりとり等の公社が実施する工事等の入札・契約手続きの進行過程に係る情報については、入札契約適正化法等の趣旨を踏まえ、公平性・公正性の観点から非公開とされていることから、設立団体であっても、本市は契約手続きが終了するまでは知ることはできませんでした。
 第三者委員会の報告書では、本件6項目の工事費用を契約変更により増額する旨の合意はなかったとされており、本市もそのように受け止めています。

(中森辰一議員)
2.第3回目の200億円の見積もりが提出されたのは平成28年4月22日。その後、JVは公社からの指摘を受けて、工事費内訳書を書き換えました。最初の工事費内訳書には、工事をしなければならないのに工事費のところが空欄になっているところがありました。これは、ここの工事費は200億円には含まれていないということを示す表示でした。
 しかし、こんな内訳書では200億円で工事ができることにはならないので、公社からの指摘を受けて、5月16日に内訳書を書き換えた見積もりを再提出した。2回目と3回目の見積もり提出の間隔は11日ですが、3回目の見積もりと内訳書を書き換えた見積もりの間隔は24日あいている。この内訳書の書き換えについては、JV側の社内で時間をかけた検討が行われた、ということになるのでしょう。
これは、第三者委員会の報告書による経緯です。
 2回目の見積額に比べて、100億円減額された第3回目の見積もりが提出されたのが4月22日。それより前の4月13日、4月18日と協議を行っていますが、これらの協議では、公社から「実施設計をしないと工事仕様・数量が確定できない項目は、確定時点で公社から発注し増額する」という説明をしたことになっています。つまり、後から増額できるから、200億円の枠内での見積もりを出してくれと言っているようなものです。
 JVの側が、本当に増額協議に応じてくれるのか不安だと、増額協議を行うとの担保を文書で示せという要求をしたのに対して、JV側からの質問に対する回答という形で文書を出すということになりました。翌日、4月19日に公社からJV側に示された回答の文案を示した際、あとから増額協議できる内容だと、受け取れる説明を公社がしたことになっています。そういう経過を経て、契約後に増額協議できるとJV側に思わせた上で、4月22日に3回目の100億円減額された見積もりが出されているわけです。
 ところが、契約後の、JV側からの、増額協議の申し入れに対しては、公社は突っぱねていたし、契約日と同じ日に出した回答書には、100億円分の増額協議を行うという内容はありませんでした。
 第三者委員会の報告書では、この経過を見て、後から増額するという合意があったとは言えないとしています。しかし、300億円の見積もりを200億円に減額する前の段階での、非公式な説明などの経過をみると、後から増額をするということを、公社によってJV側が思わされたということになります。
 公社は、工事契約は200億円だが、後から、増額協議に応じるからと、JV側を納得させて、工事費内訳書の改ざんまで指示して200億円の見積もりを出させ、見積もりと違う入札は無効だという、入札公告の条件を盾にして、200億円で契約を交わした。第三者委員会の報告書を見る限りでは、そういうことになります。
 第三者委員会の報告書ではそういうことになりますが、いま述べた経緯について、市としてはお認めになりますか、お答えください。

(道路交通局長)
 議員が述べられた「後から増額できるから200億円の枠内での見積もりを出してくれと言っているようなもの」や「あとから増額するということを公社によってJV側が思わされた。」「増額協議に応じるからと、JV側を納得させて、工事費内訳書の改ざんまで指示して200億円の見積書を出させた。」あるいは、「公社とJVに談合があったのではないか」とのご意見ですが、第三者委員会の報告書では、本件6項目の工事費用を契約変更により増額する旨の合意はなかったと解さざるを得ないとされており、議員のご指摘はあたらないと考えます。

(中森辰一議員)
3.第三者委員会の報告書によると、平成28年5月31日以降の経緯は、JV側が期待していたことと違う対応を、公社がしていることになっています。つまり、JV側にとっては話が違うということです。
 しかし、少なくとも、工事費内訳書を書き換えた上で200億円の見積もりが提出された5月16日までのやりとりは、公社とJV側との「談合」であると言えないでしょうか、市長のご見解を伺います。

(道路交通局長)
 第三者委員会の報告書では、本件6項目の工事費用を契約変更により増額する旨の合意はなかったと解さざるを得ないとされており、「談合」といったものはなかったものと受け止めています。

(中森辰一議員)
4.この「本体工事一式」200億円という契約を締結した大林組他のJVの責任についての市長のご認識を伺います。答弁を求めます。

(道路交通局長)
 大林組と他のJVの責任についてです。報告書では、JVに6項目の工事費用の変更契約により増額されるとの認識ないし、期待をもって入札に工事請負契約を締結した。また、公社・JV双方に入札契約手続きにおいて不適切な対応があったというふうに述べられており、本市もそのように考えております。

(中森辰一議員)
 次に、この5号線の工事費が87億円だけではなくて、さらに56億円も追加されるという問題について聞きます。
1.当局の説明によると、消費税の増税や人件費、建設資材の高騰、建設発生土処分地の変更、ETCレーンの見直しなどにより、トンネル工事に関わって25億円追加、その他で31億円追加するものだと聞いています。
 このうちETCレーンの見直しですが、これは、係員が料金を収受する施設を、ETCと係員の収受と両方できる施設に取り換えるというものです。5号線の料金所は2か所だと思いますが、この取り替えに、いくらかかるのか、お答えください。
 また、通常の料金所は、ETCによるもので1か所どの程度かかるのか、係員が料金を収受するレーン1か所でどの程度かかるのか、両方兼用のレーン1か所でどの程度かかるのか、お答えください。

(道路交通局長)
 ETC設備は1レーンあたり、専用及びETC・一般の混在が約2.1億円程度、係員が収受する料金所設備は、約0.6億円程度となります。

(中森辰一議員)
2.56億円の中に、消費税率の引き上げ分があるというわけですが、本体工事費で消費税率の2%引き上げ分はどれだけでしょうか、お答えください。

(道路交通局長)
 消費税の引き上げについては、5号線本線全体で約3億円を想定しております。

(中森辰一議員)
3.人件費の上昇や建設資材等の高騰があるというわけですが、何%程度上がっているのか、人件費、建設資材費、それぞれでお答えください。

(道路交通局長)
 平成27年度の減整備計画さん定時と比較して、労務単価が平均で約15%、資材単価については各々異なるため、平均的な説明は困難ですが、一例をあげればH形鋼が約20%、鉄筋は約40%上昇しております。

(中森辰一議員)
4.また、建設発生土処分地の変更により費用が増えるとしていますが、どれだけ費用が増えるのか、どれだけの量の土を処分するのか、トンネル発生土の一部を出島埋め立て地から民間処分地に変更するというわけですが、処分先の会社はどこか、処分単価はいくらか、お答えください。
 また、なぜ、出島埋立地の使用をやめたのか、あわせてお答えください。
 市民の立場で考えると、87億円だけでも重大な問題であるのに、さらに56億円も追加で増えるのは納得いきません。市民にも納得のいくような説明を求めます。

(道路交通局長)
 シールドトンネル工事とNATMトンネル工事を合わせてトンネル工事で約22万立方メートルの建設発生土を見込んでおり、処分先の変更等により約8億円の増額を見込んでいます。
 これは、当初計画においては、トンネル工事により発生する土砂の処分先をすべて工事間流用としていましたが、他の公共工事との日程調整が整わなかったことや、受け入れ先が災害土砂の一部仮置場となったことなどから、工事で発生する土砂全てを工事間流用で賄うことが困難となったものです。
 なお、工事間流用が困難なものについては、処分費が必要となる東区馬木地区の丸兼産業等の民間処分場へ変更することとしており、この丸兼産業の処分費は、現在1立方メートル当たり3,000円となっています。
 出島埋立地への搬出は、1日の受け入れ台数に制限があることや、受入土質に条件があることから、NATMトンネル工事の発生土等について搬出が困難となったものです。 

(中森辰一議員)
 次に、5号線と2号線を新たに167億円かけて連結するという問題です。
1.これは、高速道路事業全体の採算性の確保のため先送りしてきましたが、最近の交通量の予測では、東方向からの交通量が増加するので、連結した方が利用交通量がより増えるから、連結することで採算性も費用対効果も改善するという説明です。
 呉道路などの改善で高速2号線から5号線を使って、広島駅前まで来る交通量が増えるというわけですが、またぞろ巨額のお金をかけて公共事業を進めようと、都合のいいことを言っているのではないか、というのが率直な疑問です。
 現状の、全国の交通需要推計は高位モデルでも2030年までは微増しますが、2030年以降は微減、低位モデルだと2020年以降微減ということになっています。費用対効果を裁定するときは低位モデルを使用するということになっていますが、それなら、これからは交通量は減少傾向だということになります。しかし、平たく言えば広島の高速道路だけは別だというのが理由になっています。
 今後、広島市も広島都市圏と言われる圏域も、人口減と高齢化は免れません。免許保有人口は今後は減少していくというのが全国の推計です。今後の社会を担う若い人たちの中での車離れという状況もあります。高齢の運転者は、ごく近距離の運転に変わっていくでしょう。有料道路建設事業という採算が問題になる事業にとっては、マイナスの要因ばかりであるのに、なぜ、採算性も費用対効果もこんなに大きく増加するのか、簡潔に説明してください。

(道路交通局長)
 今回の整備計画の変更の内容を踏まえた採算性については、国が定めた算定方式にのっとり、平成30(2018)年2月に国から指示された将来交通量等に基づき作成した償還計画の中で明らかにしています。
 その内容は、建設費自体は増額するものの、近年の低金利による借入金の利息の減少、高速道路の利用距離の増加による自動車1台あたりの支払い料金の増加や、完成年度の遅れに伴う料金徴収期間の延伸による総料金収入額の増加などにより、定められた償還期間(40年)以内での建設費の償還は可能であり、採算性はあるというものです。
 また、費用対効果については、前回用いた諸条件を、昨年度改定された国の費用便益分析マニュアルや国から示された直近の将来交通量など、最新のものに置き換えて算出したところ、1.10となりました。
 高速2号線との連結路を整備しない場合でも1.08となっており、その主な要因は国が示した直近の広島市域及び東広島市域間の将来交通量(令和12年、2030年)が前回再評価時に示されたものと比べて17%増加していることにあります。
 
(中森辰一議員)
2.東部方面からの交通量が増えることがあると言っても、2号線から1号線を使って山陽道路に乗る交通量以外に、2号線から5号線を利用して、広島駅北口側に行く交通量がどれだけあるとお考えなのか、お答えください。

(道路交通局長)
 平成30(2018)年2月に国から示された将来交通量をもとに、高速5号線の交通量推計を実施した結果として、2号線から5号線を利用して、広島駅北口に行く交通は、1日あたり片道約2,000台、往復で約4,000台となります。

(中森辰一議員)
 次に、310億円の追加事業費を含めた高速道路事業全体の採算性の問題です。
1.借入利息を含めた建設費や維持費に対する収入が増える、あるいは経費が減るという説明されています。採算性が改善すると言うなら、どれだけ改善するのでしょうか。お答えください。

(答弁なし)

(中森辰一議員)
2.実は、広島高速道路事業は、料金収入だけでは採算が取れないので、有料道路でありながら、有料道路事業とは別に、建設費全体のおよそ4分の1に上る部分の有料道路の建設を、巨額の資金を投入して公共事業として行ってきました。5号線で言えば、温品二葉の里線です。その1号線から5号線までの総額は、現状で1241億円です。それを、今回さらに37億円増額しようとしています。
 しかも、これは広島市の公共事業として行ってきたので、県はノータッチです。高速道路事業は県と市の共同事業だと言いながら、この1241億円分の建設は全部広島市の事業となっています。
 この1241億円分は除外することが前提で、有料道路事業で採算性が改善すると言っているわけです。ところが、今回、整備事業費を310億円増額するのと並行して、市の公共事業部分も37億円増額します。他の金額が大きいので37億円は小さく見えるかもしれませんが、大きな金額です。お金がないからと遅れている児童館の建設なら、一気に24館建てられる金額です。金額の大小の問題だけではありません。これは、料金収入で返ってくることになっていないものです。
 利用交通量が増えて料金収入が増える、借金の利息が減ると言って、増額するコストとちょうど釣り合いが取れるようにして上手に収支を合わせています。そのようにして大幅な整備事業費の増額分をまかなえるほど採算性を改善することができるなら、公共事業でやる部分を減らすべきではないでしょうか。
 少なくとも、新たに37億円も公共事業費部分を増やすのではなくて、まずは、有料道路事業でその分を賄うようにするべきではないでしょうか。1200億円余りもの税金をつぎ込んで造るのに実際は有料道路で、お金を払わないと利用できない道路です。一つの有料道路をお金の出どころで分けているだけですから、出どころの枠組みを変えればいいことです。答弁を求めます。

(道路交通局長)
 今回、有料道路事業について、建設費自体は増加するものの諸条件の変化により、償還期間内の償還が可能となっているものであり、採算性が向上したというものではないことから、公共事業の一部を有料道路に組み入ることはできません。

再質問【要約版】
(中森辰一議員)
今回の焦点となっている87億円増額の問題について、先ほども質疑があったが、市の責任について未だに認める発言がないと思っている。
 一般質問の答弁でも、市は公社を指導・監督していくと答弁しており、市としては指導・監督の責任があったということになる。公社は独立した組織で、公社の入札手続きについて、市は法の趣旨を踏まえ、公平性・公正性の観点から非公開で、ノータッチなので知らないと答弁している。市は知らなかったので責任がないと逃げる口実になっているが、その結果、市が指導・ 監督責任を果たさなかったため、手続きがブラックボックスとなり、公正性が損なわれたということではないかと思う。
 少なくとも指導・監督責任を果たせなかったことについて、市民に対して 申し訳なかったと思うべきではないかと思うが、その点はどうか。
 それから、公社が独立した組織で、高速道路の整備管理を行い、調査も後始末も公社がやると言うのであれば、今回のことについて、公社が県や市の議会に出向いて直接謝罪し、説明するべきではないかと思う。公社の声が全く議会に届いてきていない。市長はなぜ公社に説明させないのか。市長は公社に対して指導・監督する立場にあることを考えれば、その立場、責任から、 公社にきちんと説明責任を果たさせるべきではないかと思うがどうか。
 それから、200億円の契約を行う過程で談合の不正はなかったかが多くの人たちの疑問になっている。これは87億円の増額が正当かどうかに関わる問題だと思う。ここを曖昧にするわけにはいかない。第三者委員会ではこうなってるという説明はあったが、それで納得するわけにはいかない。第三者委員会の報告そのものに私たちは矛盾を感じている。一旦交わした契約額を後から契約額の半分近くも増額するのは常識外れである。100億円という単位の増額問題を、公社とJV側の認識の違いということで市民が納得するわけがなく、公社とJV側との談合があったのではないかと疑念が尽きないと思うが、市としてはこの点をどうとらえているか。
 もう1つ、第三者委員会の報告書では、公社は複数社からの見積書提出を想定し総価契約単価合意方式を採用したが、そのやり方の解釈によって、項目ごとに適正額を積み上げるという本来の積算方法が軽視される結果になったと述べてられている。内訳書の書き換えを指示したわけなので、200億円の中に100億円分の材料費や一部工事費が入っていないことを公社は分かっていたにも関わらず、何度も工事契約を経験した公社が勝手な解釈をして200億円でできると判断することがあり得るのか。こんな初歩的なミスをするのかと思うが、市はどう考えているのか。

(道路交通局長)
 まず、契約手続きの過程については、法の趣旨に基づいて、非公開となっているものなので県と市は、これを契約手続き過程、途中において知ることはできなかったということになる。
 次に、公社が独立した組織であれば、公社の声を聞くべきではないか。これについては第三者委員会の公正な結論に集約されているので、改めて公社の声を聞く必要はないというふうに考えている。
 3番目です。200億円が談合ではないかということだが、これは調査報告書の中で、JVと公社の間には増額をするという合意はなかったと書いてあるので、間違いなく談合ではないと理解している。
 それから、入札時に複数社が入るということを想定していたということだが、たまたま1社になったが、問題ない手続きである。ただし、ご指摘があったように、軽率な対応をとったということは、報告書に書かれているとおりで、その点については、不適切だったと、重く受け止めている。

(中森辰一議員)
 答弁の焦点が少し違うと思う。指導・監督責任という立場から、今回の問題について、市としての責任をきちんと述べるべきではないのか。市としては指導監督責任を果たせませんでした、申し訳無いというくらい言ってもいいのではと聞いている。それから、公社が独立した組織で、市が公社の聞き取りや、第三者委員会の報告書の内容しか答弁しない。それならば、公社に説明させたらどうかと聞いた。

(道路交通局長)
 責任については、実施段階と今後の対応に関する責任があると思うが、今後、市としては、公社が実施する体制強化の検討について、指導監督を行う責任を全うしていきたいと考えている。
 また、公社が自立した組織であれば、公社を呼べばいいじゃないかという点についても、現在の委員会の調査は有効であり、十分なものと考えている。

(中森辰一議員)
 最近、神奈川県庁の情報流出問題があった。少なくとも県知事には責任はないが県知事はきちんと謝罪したではないか。そういうレベルの話しだ。
 報告書では、JV側は100億円分が見積りからはずれていること。200億円で契約をするが、あとで増額協議をしてくれと言っていた。しかし公社はそれを勝手に解釈して見逃し、あるいは契約後の増額協議を曖昧にして誠実な対応をしなかったと書いている。
 増額協議をするという約束した証拠はないので、増額の合意はなかったが、 100億円分の工事費は契約額の中には含まれていなかったので、増額協議を行う必要があるという結論になっている。つまり第一に、契約後の増額の合意は無かったと談合の疑惑を否定した上で、第二に公社は悪かったがJVは悪くなかった。工事費を増額するべきだとJV側に有利な結論を導いてい るように見える。改めて聞くが、JV側に全く責任は無いのか。

(道路交通局長)
 報告書の中には、JV側においても不適切な対応があったと述べられており、本市としてもそのとおりだと考えている。

(中森辰一議員)
 結局、第三者委員会の報告書に寄りかかったような答弁しかできてない。 そもそも、この200億円での本体工事一式という契約は、有効な契約のはずだ。有効な契約だったら、JV側は増額協議に応じてくれと、要求しているのではないか。道路交通局長は、桑田議員への答弁で、契約書本体には6項目の工事費用の記載、あるいはそれを除外する旨の記載のいずれも無いが、 嘘の契約書を作成したということではないと述べている。つまり、有効な契約書であるということではないのか。有効な契約か、無効な契約か、お答えください。

(道路交通局長)
 当事者間で、契約は成立しているが、第三者委員会の報告で述べられているように、一部含まれていない工事費用があったと認定されていることについては、そのとおりだと思っている。

(中森辰一議員)
 第三者委員会の報告書は関係ない。有効な契約であればJVは契約どおり200億円でこの本体工事一式を遂行する義務があり、公社は有効な契約だからこそ、当初、増額協議に応じようとしなかったのではないか。今回の高速5号線シールドトンネル工事の本体工事一式という契約が有効であるなら、JVは契約どおり工事を実施する義務があるというふうに考えるのは当然だと思うがどうか。

(道路交通局長)
 公社としては、200億円で施工可能と判断していたが、第三者委員会での報告を受けJVと工事費について協議するという結論に達したと理解している。

(中森辰一議員)
 この契約は、高速5号線シールドトンネル工事の本体工事一式を200億円でJVが実施するものである。そのため、JVは増額協議を要請しつつ工事は遂行している。必ず増額されるというJVの思惑もあるのではないか。
 一般質問でも指摘したが、日本でも最大手のゼネコンである大林組は、契約のことを熟知しているはずである。そのため、200億円で一旦は契約して、後から増額を要求すれば市や県が動いてくれる、そういう目算があったのではないか。正当な契約を行った以上は、JVに200億円で本体工事一式を遂行させることが、市民の税金を預かっている市長の責任ではないか。

(市長)
 まず今回の事態については、広島高速道路の整備事業の実施主体である公社を指導・監督する責任を負う者として深く反省しておるところだと申し上げた。その反省を踏まえてどうするかということに関して、今、公社が変更の体制、業務体制、組織体制を点検し、強化するという取組をするため、それが早急にできるように、責任を果たしたい。
 この事案についての問題の理解は、公社とJVの間での、両者の間で工事を行うということについての合意はあるが、それに要する費用についての共通の認識を欠いていたという事態であり、第三者委員会を設けて、事態解明を図るということになった。
 そうすることによって、具体的に必要となる額を確定させるという作業をする中で多くの労力と時間を要し、そしてその間に市民に不信不満を招くことになった。
 公社は、こうした契約行為を軽視することなく、契約行為というものの持つ重さについて改めて考えてもらわなければいけない、それをやってもらうつもりだと申し上げた。
 これについて、皆さん方の認識は談合があるというふうなことを疑念持ちながら質問している。第三者委員会の中で、認識の相違はあったけども、合意ができないままに工事をやるといった中途半端なことが起こってたわけで、 極めて異常だと思っている。だから、額を確定しなければ、工事をやめるのか続けるのか、そういうことも分からない。
 それを第三者委員会の中で、第三者的に見てもらい、額の差し替え等があったと。だから改めて計算して額を出してやるということで処理したということでこちらにきたので、それを今まさに議会にお諮りしてるというのが基本認識である。したがって、これをきちんとやっていくことが今の喫緊の課題という問題意識である。額が出てない、自分たちで勝手に額を決めて事業をしていたら、それは談合であるが、進んでない。進んでないからどう進めるかという手続きをしているということである。

(中森辰一議員)
 額が決まっていない中で、工事は進行しているというのが今の状態だと思う。私はこの8月に市が知った時点で、そこは指導・監督責任を発揮して、まずはこれを市民に知らせる必要があったのではないかと最低限思っている。
それから、契約の問題では、民間の間では多くの失敗事例がある。個人的なことで言っても、勘違いをした、そういう中で自分に非常に不利な契約をしてしまったということもある。しかしそれでも契約した限りは、その契約を履行しなくてはならない。契約というのはそういうものである。これは正当な契約で、有効な契約。200億円で契約している正当な契約書がある限りは、それを前提にしないと話にならない。そこら辺をはぐらかしているように聞こえる。
 最後にもう1点聞いておく。公社の理事長が退任するということであるが、 問題の200億円の契約を決裁したのは当時の理事長で、今の理事長ではない。当時の理事長の責任はどうなるのか。

(市長)
 談合と言われるのは、いくらにするということが合意しているから談合であり、合意できてないからこういう事態が起こっていることをまずは分かっていただきたい。だからいくらにするかを決めるためにこんなに時間を要しているということそのものが契約時にきちっとしていないことが問題だと申し上げている。
 今の契約実行当事者は今の理事長であり、契約締結時の理事長は退職している。今の組織の代表が自分たちの実行部隊としてどのような責任を取るか 内部で十分調整するものと認識している。

(中森辰一議員)
 金額は、正当な契約で決まっている。当時の理事長はどうなっているのかという怒りの声が届いている。それであえて聞かせていただいた。以上で終わります。

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