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【質問項目】
1.核兵器廃絶について
2.環境・防災優先の都市づくりを
・防災対策について
・地球温暖化について
・西広島バイパス高架延伸について
・高速道路事業について
3.くらしを守る自治体の役割について
・高齢者公共交通機関利用助成の廃止について
・国民健康保険事業について
・子ども医療費補助事業について
4.誰もが自分らしく生きられる社会へ
・性的マイノリティの権利擁護について
【再質問】高速道路事業について
【発言動画】
YouTube 広島市議会動画チャンネル 令和元年第5回広島市議会定例会
1.核兵器廃絶について
(近松さと子議員)
日本共産党市議団を代表して一般質問を行います。
11月24日、ローマ教皇フランシスコが、ヨハネ・パウロ2世から38年ぶりに広島を訪れました。ローマ教皇が国家元首を務めるバチカン市国は、2017年9月20日、核兵器禁止条約署名・批准開始初日にいち早く加わった国です。平和公園で行われた「平和の集い」で、世界に発信された教皇のメッセージは、「戦争目的の原子力の使用は犯罪以外のなにものでもない。核兵器の保有はそれ自体が倫理に反する」と核兵器の使用と保有を厳しく断罪しました。短い滞在でしたが、被爆者の体験に耳を傾け、参列した被爆者一人一人と言葉を交わして、核兵器廃絶を願う被爆地を大きく励ますものでした。
ところが、教皇の被爆地訪問の翌日25日の菅官房長官の記者会見は、「核を含めた米国の抑止力を維持・強化していくことは現実的で適切な考え方だ」と言い切り、教皇の教えを退けました。同じ日に教皇と会談した安倍首相は、「核兵器のない世界」などの実現に日本とバチカンはパートナーだといいましたが、核兵器禁止条約に背を向け続けています。教皇のメッセージは、核の傘にしがみつき、ポーズだけの「核兵器廃絶」を唱える被爆国日本政府に対する痛烈な批判ともいえるのではないでしょうか。
市長の見解をお聞きします。
(市民局長)
ローマ教皇は、平和記念公園から発信されたメッセージの中で、「原子力の戦争目的の使用は、倫理に反します。核兵器の保有は、それ自体が倫理に反しています。」「核戦争の脅威による威嚇をちらつかせながら、どうして平和を提案できるでしょうか。」と述べられており、これらの言葉は、核保有国をはじめ、日本政府を含む世界の為政者に向けた強いメッセージであると考えます。
2.環境と防災対策優先の都市づくりを
防災対策について
(近松さと子議員)
今年の台風19号による広範囲で大規模な災害は、改めて、広島の防災対策にも重要な教訓をもたらしました。
今回の台風による豪雨災害では広範囲の河川の氾濫が大きく報道されました。同時に、三百数十か所に上る土砂災害を見逃すことはできません。広島は昨年夏に大規模な豪雨災害に見舞われましたが、地球温暖化を要因とする集中豪雨や巨大台風による大規模災害は、毎年どこかで発生すると考えるべきです。実際、気圧配置の状況によっては、台風19号が広島を直撃していたかもしれないわけです。
そう考えると、現状の100年も200年もかかると言われる防災対策事業のあり方では、とても市民の命も暮らしも守ることはできません。仮に、避難対策の徹底で命は守れたとしても、毎年のように市民生活が破壊されるとなると、広島市というまちの存続に関わることになるのではないでしょうか。現状で、災害が発生すれば、税金を投入して公共施設の復旧に取り組みます。それだけでも膨大な資金が必要ですが、他方で、破壊された住居など市民生活の復旧も生業(なりわい)の復旧も、基本は自己責任ですから、災害のたびに元の生活に戻れない市民が増えていきます。
一つは、豪雨や台風などが発生しても市民生活を守ることができるハード面の防災事業を、せめて20年から30年程度の期間を目標に決めて、思い切って財源を投入することです。これは、県や市だけの責任というわけにはいきません。広島という全国で一番危険箇所が多い地域に対して、国が思い切った財政的な支援を行う必要があります。広島市も県も国も、公共事業をやるなら防災事業優先に切り替えるべき状況になっていることを自覚する必要があります。この点についての市長のお考えを伺います。
(財政局長)
本市においては、ハード・ソフト両面にわたる各種試作をバランスを取りながら推進する琴としており、公共事業に関しても、防災事業を始め、市民に身近な公共施設の整備、都市としての活力を生み出し税源の涵養にもつながる大規模プロジェクトなどのバランスを取りながら進めているところです。
今後も、豪雨災害の復旧・復興を始め、公共施設や民間施設の耐震化、河川改修、法面等崩落防止対策などの防災事業に積極的に取り組んでまいります。
(近松さと子議員)
また、10月27日の新聞報道で紹介されましたが、国土交通省のシミュレーションによると、1000年に1度の豪雨になると、太田川が氾濫し、広島市のデルタ地域全体が5m~10m浸水するということです。1000年に1度と言っても、そういう水準を超える豪雨が、すでに台風19号で発生しています。広島でも1000年に1度の豪雨が毎年発生する可能性があるということです。昨年の豪雨災害の際の広島市のデルタ地域の雨量は490ミリ余りです。それでも西区大芝の住民は、あと少しで堤防を越えそうだと心配しました。その2倍の雨が10月の台風による豪雨では発生しています。昨年の2倍の雨量を受け止められるハード面の対策が急がれます。
デルタ全域が浸水被害を受けるとなると広島市の都市機能がマヒしますし、デルタ地域以外でも大規模に土砂災害が発生します。来年にでも起こり得る大変な豪雨にどう対応するのか、極めて深刻な危機感を持った、国・県・市を挙げた緊急な検討が必要です。
土砂災害への緊急の対応とともに、河川の氾濫から市民の命と暮らし、そして広島のまちを守るためにどのように取り組まれるのか、お考えを伺います。
(下水道局長)
本市では、平成26年8月豪雨や平成30年7月豪雨による災害を契機として、平成31年3月より国・県が取り組んでいる太田川水系の太田川や三篠川における河川整備計画の見直しにおいて、意見交換の場や、機会あるごとに治水対策の促進を求めるとともに、施設では防ぎきれない水災害に備えるため避難場所の確保を行うなどの対策を推進してきています。
こうした中、近年、全国各地で豪雨等による水害や土砂災害が頻発し、甚大な被害が発生していることに加え、本年10月の台風19号により甚大な被害があったことを踏まえ、国は、気候変動による降雨量の増加等が懸念されることに対し、流域全体で水災害による被害を防止・軽減するための取組について、総合的な検討を始めました。
本市としては、水災害から市民の生命、財産を守り、「安心・安全なまちづくり」を実現することは、極めて重要であると考えており、国・県における河川整備計画の見直しや、国における検討状況を注視しながら、あらゆる機会を捉え意見や要望を行うとともに、大規模浸水に対する避難計画についても、関係機関と協議を行っているところです。
今後とも、国・県・市の役割分担の下水災害の軽減に向け、積極的に取り組んでいきたいと考えています。
(近松さと子議員)
また、市が執行できるハード面の防災事業は、急傾斜地崩壊危険箇所の対策事業ですが、県の補助を得て実施します。しかし、市が計画を立てて予算を確保しても県の補助金が少なくて思うように執行できていません。
少なくとも広島市のような政令市では、県、市の枠組みを取り払って、国が実施するものを除いて、市が独自に国の補助金を得て防災事業を執行できるように、制度の枠組みを変えるべきです。市長のお考えを伺います。
(下水道局長)
現在の急傾斜地崩壊対策事業は、「急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律」、いわゆる急傾斜地法に基づき、県が施行するものとされています。
県は、国からの補助を得た、大規模な急傾斜地を対象に事業を実施していますが、本市が実施している事業は、県が対象としていない小規模な急傾斜地を対象に、県からの補助を得て実施しているものです。
このような事業を、議員ご提案のように、本市が施行する事業とするためには、国からの補助を売るためにも、まずは、急傾斜地法の改正が必要となりますが、本市の一存では対処できません。
こうした中、市施行事業の推進を図るため、平成26年8月の土砂災害以降、県に対して補助金の増額を粘り強く要望してきた結果、県も事業の必要性を鑑み、補助金が増額されてきています。
さらに、近年の全国的な豪雨等の災害を背景として、本年度、県施行事業に対して、国において創設された、地方交付税が高い割合で措置される緊急自然災害防止対策事業債が、市施行事業にも対象となるよう、国へ要望しているところです。
本市としては、市施行事業の加速化を図るため、引き続き、現行の急傾斜地法の枠組みのもと、財源の確保に取り組んでいきたいと考えています。
・地球温暖化について
(近松さと子議員)
今日の大規模な集中豪雨の多発、台風の巨大化は地球温暖化が原因だとされています。世界で一番影響を受けている国は日本だとドイツのNPOが発表しました。マドリードで開催されている国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)でも、地球温暖化に対する危機感は世界共通ですが、その取り組みは不十分だと厳しく指摘されています。2015年に採択された「パリ協定」は、世界の平均気温上昇を産業革命前と比較して1.5度に抑制する努力目標を設定し、21世紀後半までに人間活動による温室効果ガスの排出量を実質的にゼロにする方向性を打ち出しました。現在の各国の目標の合計では、21世紀末には約3度の気温上昇が起こると予測されているのです。
今年9月の「国連気候変動サミット」では、16歳のスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんが「人々は苦しみ、死にかけ、生態系全体が崩壊しかけている。あなたたちの話すことは、お金のことと永遠の経済成長というおとぎ話だ」と訴え、今、世界中の若者たちが立ち上がり、日本でも街頭から声を上げています。今こそ、この訴えに答えて世界中の国が力を合わせて、温室効果ガス排出量をゼロにする取り組みを進めるべきです。さらに、根本的には、私たちは、資本主義というシステムのままでいいのかどうかが問われている大きな問題だと考えています。
温室効果ガス排出量が世界で5番目に多いわが国政府は、2050年までに温室効果ガス排出量をゼロにすると合意した77か国に入っていません。また、先進7か国で唯一石炭火力発電を増やす計画や外国への輸出を進めています。今回のCOP25でも早々に化石賞という不名誉な賞を受け、目標も具体的対策も不十分だと評価されていす。
広島市は、積極的にこの問題で独自の取り組みを行うとともに、日本政府に世界に恥じない具体的な取り組みを求めるべきです。パリ協定から離脱を宣言しているアメリカ政府にも日本政府として、姿勢の転換を要請するよう求める必要があると思います。
広島市としてどのようにお考えですか。認識を聞かせてください。
(環境局長)
地球温暖化の問題は、人類の存続基盤にかかわる重要かつ喫緊の課題であり、本市としても、地球温暖化の防止に向けた取組を一層加速させる必要があると考えており、平成29年3月に、広島市地球温暖化対策実行計画を策定し、地球温暖化対策に取り組んでいるところです。
また、国に対しては、大都市環境保全主幹局長会議等を通じて、実効性ある地球温暖化対策の実現に向け、先導的な役割を果たすよう求める要望や提言を行っています。
議員ご提案の日本政府に要請するよう求めることについては、国家間において協議されるべきものと考えていますが、本年11月5日に、環境大臣が「世界が合意したパリ協定の枠組みから世界第2位の排出国が脱退通告をしたことは非常に残念である。引き続き、アメリカとの対話を続けつつ、具体的な削減につながる行動をアメリカと強調し進めていきたい。」との表明を行ったところです。
・西広島バイパス高架延伸について
(近松さと子議員)
環境問題をめぐる21世紀の世界の潮流として、マイカーを規制し市街地中心部は公共交通を優先する都市政策が行われています。マイカーを減らすことは温暖化対策としても必要な政策課題とされているのです。京都大学の藤井聡教授によれば、1日当たりわずか10分間、車を乗ることを控えるのを1年間続ければ、平均的な車の場合、実に410キログラムもCO2をへらすことができるといいます。また、車は購入費用、車検、保険料などの維持費が1000㏄クラスで1日当たり1500円~2000円かかるとして、毎日、公共交通を利用したほうが、経済的だと試算しています。しかし、あいかわらず、車中心の道路行政から脱却できない日本の都市政策は、ヨーロッパに比べて今や2周回遅れといわれているところです。
さらに、今年のノーベル化学賞を受賞する旭化成の吉野彰名誉フェローは、人口知能が運転する無人自動運転の電気自動車(AIEV)によりシェアリングが主流となって、マイカーはとってかわられるだろうと述べています。
そういう中で、11月28日、市長自ら国に出向き、国道2号西広島バイパスの高架延伸事業について、来年度予算に事業再開を盛り込むよう申し入れたと報じられました。
これに先立つ12日、国土交通省広島国道事務所は、未整備区間の西区観音本町から中区平野町までの2・3キロの事業費が450億円となる見通しを明らかにしたばかりでした。大規模地震への備えのために2014年時点の試算の320億円よりも1.4倍に膨らんだというものです。
そこでお聞きします。国道2号西広島バイパスの高架延伸事業について、市の負担額も当初の100億円から150億円へと大幅な増額となる見通しが示されてからわずか2週間余りしかたっていません。市長は、大幅な負担額の増額に対して、なんのためらいもなく国に事業再開を要請されたのでしょうか。
(道路交通局長)
西広島バイパス都心部延伸事業については、国土交通大臣から指示のあった「西広島バイパス都心部延伸事業整備効果検討会」を本年1月から4回にわたり開催し、本事業の必要性や効果、費用対効果などが改めて確認できたことから、先月28日、その検討結果を大臣に報告するとともに、事業再開の要望を行った結果、ようやく「来年度より事業に着手する方向で進めたい」という回答が得られたものです。
この事業は、本市の中枢性向上に資する重要な事業であるとともに、都市圏全体の活性化に不可欠な事業であり、地元経済界や沿道地域、近隣市町からの期待も大きい事業であること。また、市議会においては、本事業の早期全線供用を求める決議がなされていることから、早期の事業再開を目指してきたものであります。
この事業にかかる費用は、増額分を含めて、本市における投資能力の長期見通しの中で、確実に処理していくこととしています。
(近松さと子議員)
市は、国道2号西広島バイパスの高架延伸事業について、「渋滞の解消」を上げられますが、今のままでは渋滞箇所が移動するだけです。また、「都心への導入路となる事業」と強調されていますが、本来は、マイカーを規制し市街地中心部は公共交通を優先するべきです。市がやるべき施策は、新たな道路を作るよりも中心市街地への車の流入を防ぐ施策ではありませんか。お答えください。
(道路交通局長)
西広島バイパス都心部延伸事業は、事業の中断により、都心部側の2.3kmの区間が未整備のままの状態となっていますが、この区間に5か所の出入り口を設置することに寄り、現在、庚午と観音の2か所の出口に集中している交通を、デルタ内の各島へ分散させながら、円滑に流入させることができます。
この事業が完成すれば、本来の機能が発揮され、現在生じている渋滞の緩和が図られることになり、議員ご指摘の渋滞箇所が移動するという現象は起こらないと考えています。
一方、中心市街地への車の流入抑制については、公共交通の機能強化や交通結節点の改善のほか、都市再生緊急整備地域における駐車場附置義務基準の緩和、交通需要マネジメントなどの施策に取り組むことにより、自動車から公共交通への転換を図ることとしています。
・高速道路事業について
(近松さと子議員)
同じことは、高速道路事業にも言えます。加えて、今回の高速5号線二葉山トンネル工事費問題を含めた整備事業費大幅増額問題では、「市がやると決定した公共事業なら、どんな疑惑をもたれようと青天井に税金を投入して進めるのか」と高速道路事業のみならず公共事業への市民の不信の声が広がっています。
この間、トンネルシールド工事に必要不可欠な内部工事の材料費などを敢えてJV側が見積りから落とした上で、広島高速道路公社が上限額として示してきた200億円で契約を締結するという経過が明らかになりました。常識では考えられないことです。公社が設置した第三者委員会は、公社とJVとの「認識の違い」が原因だとして増額は必要との結論を出し、市も県も容認するということですが、とんでもありません。
第三者委員会の報告書をみても、公社とJVの認識の違いが原因とは、到底読めないではありませんか。報告書では、300億円が必要だとするJV側に対して、公社が見積額を200億円に減額するよう要請したとあります。その際、200億円の見積額の中に、材料費その他の工事費が入っていないように内訳書を書き直させたことがわかります。これは、公社側が200億円の見積額で工事ができると偽装したかったと考えざるを得ません。さらに公社とJVとの間では、JVが契約締結後の増額を期待するようなやり取りもありました。
報告書では、契約締結後の増額について、公社が合意したことを示す文書はなかったことになっています。しかし、JVは、公社の言うとおりに100億円分の工事費を隠す内訳書の偽装までして200億円の見積もりをつくりました。増額の合意もないのに、JVが勝手に勘違いして200億円で契約したというのでしょうか。数多くの公共工事を契約してきた最大手の民間企業が、こんな勘違いするなどあり得ない話です。
公社とJVの間に増額する合意はなかったとしながら、一方で「本体工事一式」として契約した200億円の契約額の増額を認める第三者委員会の結論は、矛盾しています。結局、談合が疑われないよう、公社が、増額を容認する明らかな証拠を残さなかっただけではありませんか。
こうした疑念は、直接、公社に問い質すしかありません。ところが、本市議会建設委員会で提案された公社の参考人招致は、賛成少数で否決されて実現しませんでした。こうした市議会の姿勢は、市民の疑念を払しょくする役割を果たすことができず、今回、その責任も厳しく問われなくてはなりません。
そもそも、高速5号線は、2012年に、市と県が、住民の反対を押し切り再開することを決定し、強行した事業です。その際、トンネル工事に反対する住民に対して、安全性や採算性があると説明したのがシールド工法です。それなのに、昨年7月、公社から報告があるまで工事費増額問題を知らなかったという市の説明は、あまりにも不自然です。当初の200億円の契約額さえクリアできれば、JVのいいなりに事業費を膨らませ税金をつぎ込むというシナリオを市と県も了解をしていたのではありませんか。結局、トンネルを掘り始め後戻りできない段階に至るまで、200億円で工事ができると市民も議会もだましていたわけですから、トンネル工事ありきで強行してきた市と県の責任は重大です。
さらに、今議会に承認を求めている整備計画の変更には、高速2号線と5号線の連結など一度は事業費の縮減のため計画から落としてきた事業が亡霊のように復活しています。疑惑をもたれた高速5号線トンネル工事の契約により87億円も増額する事業計画の変更に便乗して、それをはるかに超える347億円の増額を市が良しとして提案するというのは、あまりに無神経ではありませんか。
市は、これまでの説明で、市民に納得してもらえるとお考えでしょうか。明確な答弁をもとめます。
(道路交通局長)
議員のご指摘については、いずれも第三者委員会の報告書において構成に事実認定されたことをもとにして、しっかりと議会や市民に納得していただけるよう説明していく考えです。
なお、今回提出されている高速2号線と5号線の連結路に係る議案については、公社において一旦整備を先送りした物ですが、平成18年度以降の状況の変化、すなわち広島駅周辺と東広島市方面・呉市方面とのアクセス強化の重要性や災害時の緊急輸送道路ネットワークの充実・強化の必要性が高まってきたことから、公社において平成29年から検討を再開してきたものです。
公社としては、高速5号線の供用の開始が見通せるようになっている中で、国等関係機関と行ってきた調整の結果、高速5号線の供用後できるだけ早く完成させようということになりました。
そこで、高速5号線を完成させるための最後の整備計画変更ともいえる今回、議会や市民に現時点で確定できる広島高速道路全体の姿を示すことに寄り、高速5号線とその供用後できるだけ早く完成させようと考えている連結路を一体のものとして計画する必要があると考えて、整備計画に追加する変更を行うこととしたものです。
3.くらしを守る自治体の役割について
・高齢者公共交通機関利用助成の廃止について
(近松さと子議員)
本市は、11月の厚生委員会で、高齢者公共交通機関利用助成を廃止して、いきいき活動ポイント事業に移行すると報告しました。それにより、ポイント事業を拡大し、介護保険の認定者に新たなタクシー券による交通費助成をおこなうとしました。これまで、70歳以上の8割が交通費助成を利用してきました。いきいきポイント事業への参加は28%にすぎません。
今回の廃止で、介護認定を受けていないこれまで、交通機関利用助成のみを利用している6万人への補助が打ち切られることになります。このことについて、市民に納得してもらえるとお考えですか。
(健康福祉局長)
高齢者公共交通機関利用助成制度については、高齢者の社会参加の促進という事業本来の目的に沿った利用がなされるようにするために、ポイント事業に段階的に移行することとし、あらゆる機会を捉えて幅広く市民の方に周知しながら着実な移行をしてきているところです。
そのような中で、ポイント事業の検証結果を見てみると、ポイント事業が社会参加の促進という効果が認められることについて、広く市民の方々にも実感していただけていることから、市による助成というものは目的に沿って利用されてこそ意味があるということを、市民の皆様に理解していただけるものと考えています。
(近松さと子議員)
市はこれまで、買い物や通院は社会参加ではないとして見直しの理由に挙げてきました。本当にそうでしょうか。とりわけ、外出が億劫になってくる高齢者にとっては、経済活動や文化活動はもちろんのこと日常生活を含めて多くの人々と関わりをもつことが社会参加です。その生きがい・健康づくり・社会参加のあり方は、人それぞれによる多様性があるものです。当然、ポイント事業の対象活動に限られるものではありません。
今回の高齢者公共交通機関利用助成を廃止することは、半ば無理やりポイント事業の対象活動に参加するように誘導するものです。高齢者の様々な形の社会参加を否定するやり方ではありませんか。お答えください。
(健康福祉局長)
ポイント事業は、多くの高齢者が元気でいるための活動、あるいは、地域の支え手になってもらう活動を奨励するものです。このように一定の活動を奨励すると言うことは、その症例の対象とならない活動を否定するということにはなりません。ポイント事業が高齢者の様々な形の社会参加を否定するというような議員のご指摘はあたらないものと考えています。
・国民健康保険事業について
(近松さと子議員)
ある74歳の女性は、年金が月4万5千円しかありません。「体も悪くなってきたが、国民健康保険料の滞納分を払わなくてはならないので仕事を続けている。このままでは、保険料を払うために無理をして体を壊すのではないか」と高すぎる保険料によって追い詰められている実態を告発されました。
こうした高すぎる国保料により低所得にあえぐ加入者に対して、過酷な滞納処分が後を絶ちません。また、実質的に無保険状態を強いる資格証明証、有効期限を短くした短期保険証が発行することになっています。強権的な徴収と保険証の取り上げという「二重制裁」は絶対に許されません。国保行政は、払えない加入者に対して、親身に相談にのり一人ひとりの事情に応じて減免や分割納付を適用することを第一とすべきです。
こうした中で、全国で一番加入者の多い横浜市は、2016年から資格証明書の発行をやめ、今年8月から短期証の発行もやめることを決めました。横浜市の担当者は、「国保法の改正や政府の国会答弁、厚労省の通達などの趣旨に基づいた対応だ」と述べています。
厚労省の通達というのは、2008年国保法の改正でだされたもので、納付できない特別の事情がある人に、機械的に短期証や資格証明証を交付すべきではないというものです。滞納世帯から保険証を取り上げて病院にかかるのが手遅れになり死亡するケースが社会問題となり、滞納世帯への医療の確保を求めた措置として出されました。
厚労省の通達を受けて、本市でも、窓口で一旦全額払うことになる資格証明書の発行は、資力があるのに保険料を払わない滞納者で、病院にかかっていない場合に限っているとして、ほとんど発行していません。
一方、短期証は、2018年度、滞納者の約42%にあたる11,585世帯に発行しています。年2回、8月1日と2月1日時点で5か月以上の滞納がある世帯に、郵送により、自動的に更新しながら送付するとしています。こうした交付のやり方は、有効期限が半年後か1年後かが違うだけで、事実上、通常の保険証と変わらないということになります。
それならば、年2回の発送業務をおこなって、短期証を交付する意味があるのでしょうか。本市でも、資格証明書だけでなく短期証の発行もやめるべきではありませんか。どのようにお考えですか。
(保健医療担当局長)
短期被保険者証は、保険料の滞納機関が5か月以上となる滞納者に対して交付しているものですが、本市においては、国保の給付と保険料の滞納にかかる納付折衝は分けて対応するため、財政局収納対策部において一元的に滞納整理事務を処理しており、納付折衝については滞納の期間にかかわらず随時行っています。
こうしたことを踏まえ、事務の合理化の観点から、今後見直しを検討してまいります。
・子ども医療費補助事業について
(近松さと子議員)
この間、9月議会と決算特別委員会でも求めてきましたが、子ども医療費補助制度の拡充を行うのにどれぐらい財源が必要なのかということについて、先日教えていただきました。
それによると、現行制度のままで、年齢を中学校3年生まで拡大するためには、今の予算から11.7億必要ということでした。そして一部負担金を区別する所得基準を撤廃して中学校3年生まで拡大するには14.7億。所得制限と一部負担金をなくして中学校3年生まで拡大するには28.7億。所得制限と一部負担金をなくし対象年齢を拡大しても、「幼児教育・保育の無償化」で浮いた32億円で十分拡充は可能です。この間、他の自治体とそん色のない制度拡充というのが、課題となっていました。新たな財源が生まれた今こそ拡充のチャンスです。
そこでお聞きしますが、いつ頃どのように拡大する予定でしょうか。制度拡充の具体化についてお考えをお答えください。
(保健医療担当局長)
この度、国が行った幼児教育・保育の無償化により、「浮いたと言われる32億円」は、本市が健全な財政運営を目指す中で、社会保障の分野も含めた裁量的な施策に充当し得る、非常に貴重な財源であると認識しています。
今後は、市長が先ほど答弁しました通り、医療制度そのもののあり方を含めて、子ども医療費助成制度のあるべき姿を打ち出すよう、国に対して問題提起を行いつつ、仮にそれが実現しない過程においても、可能な限り子どもの医療を充実させるという考えのもと、通院の補助対象年齢の拡大を図る方針としています。
(近松さと子議員)
市長は、11月18日、政令指定都市でつくる指定都市市長会議の厚生・労働部会で、子どもの医療費助成を巡る問題を提起し「自治体間の過剰な競争をやめるべきだ」と強調したと地元紙で報じられました。
本来、子どもの医療費助成は、子育て支援や貧困対策として地域差のないように国がやるべきナショナルミニマムの事業です。ところが、国には、特別な制度はありません。そのために、全国すべての自治体が独自に制度を創設して窓口負担を軽減しています。そのうち、窓口での一部負担がない自治体は6割を超え、所得制限がないのは8割、中学生以上を対象とするのは9割近くに上っています。
市長の『自治体の過剰な競争はやめるべき』発言は、財政が厳しい中でも、子育て支援や定住促進対策として独自に取り組む自治体の努力に水を差すものではありませんか。
戦後、日本国憲法に「地方自治」が盛り込まれたのは、国民が主人公であり民主主義を築く出発点が、自分たちが住む地域だからです。国の足りない施策を住民の願いにこたえて、地方独自で行う自治体の裁量というものは、本当の意味での「地方自治」の目的を果たすことです。これを否定されるのでしょうか。お答えください。
さらに、「自己負担の無償化は、医療保険財政の悪化を促進することになる」と述べたとありました。こうした考え方は、子ども医療費助成を行っている自治体には、安易な受診が促されて医療費が増大するとして、国民健康保険の国庫負担の減額というペナルテイを課している国の考えと同じではありませんか。
本来、医療費の無償化を行うことで、早期の受診が可能となり、病状の重篤化を防ぐことができ、ひいては、医療費の増大を防ぐことができます。全国保険医協会によれば、2002年から17年までの15年間で医療費全体は、12兆円増加しているが、19歳までの医療費は0.5兆円。レセプト件数も横倍、時間外受診件数はむしろ減少傾向にあり、過剰な診療は起きていないといいます。
国に対して、国保財政への国庫負担の減額措置というペナルテイを廃止し、自治体の独自の努力にこたえた国による新たな医療費助成制度の創設をもとめるべきです。これが、地方自治体の首長として、また、指定都市市長会の厚生・労働部会長としての態度ではありませんか。認識をお聞きします。
(市長)
地方自治法第1条の2では、国の役割として「全国的な規模でもしくは全国的な視点に立って行わなければならない事業などを実施すること」と明記されています。
国が、少子化対策・子育て支援の取組として、教育の分野において幼児教育・保育の無償化に踏み出した今、医療の分野においても、国は国民皆保険制度を持続可能なものにするという前提に立って、子ども医療費助成制度の充実を図っていくことによって、この役割を果たすようにしていく必要があると考えているところです。
子どもへの医療費助成については、自治体の裁量というものを否定する物ではありませんが、国の医療政策として足らざる部分があり、それを補わざるを得ない状況があることに起因して、自治体間での競争になっているという面があるのではないのでしょうか。
国は、自治体が競って行っている医療費の自己負担の無償化などに、国民健康保険の国庫負担金等の減額というペナルティを貸していますが、これは、医療機関への安易な受診を抑制し、医療費の増加を押さえようというものでありまして、単に現行の医療制度を保持するためのものにすぎないものであることから、こうしたペナルティは廃止すべきものと考えています。
私としては、子どもの数の減少が相当長期にわたらざるを得ない状況下において、日本の医療制度の根幹をなす国民皆保険制度を「持続可能」という前提に立ったうえで、子どもの医療費助成制度の充実を図る必要があると考えており、そのためには、適切な水準の所得制限及び一部負担金の設定など、所得に応じた負担を求めつつも、真に支援が必要な層への助成が充実できるような制度設計こそが不可欠であると考えているところです。
国が、幼児教育・保育の無償化を打ち出した今、こうした本市の考え方も参考にしながら、持続可能性を重視した根本的な制度改革を行う視点に立って、医療制度そのもののあり方も含めて、子ども医療費助成制度のあるべき姿を打ち出すよう、指定都市市長会などを通じ、国に対して、問題提起をしていきたいと考えています。
4.誰もが自分らしく生きられる社会へ
・性的マイノリティの権利擁護について
(近松さと子議員)
一昨年、日本共産党市議団が取り組んだ市民アンケートに「同性婚を認めてほしい」という声が寄せられました。その方は、一度異性と結婚され子どもも授かりましたが、離婚をして現在は、同性のパートナーと一緒に暮らしています。好きになる対象が同性であることは、おかしいと自分を押し殺して親や周囲が望むように生きてきました。しかし、様々な葛藤を経て、他の人と違う性的指向の自分を認め、自分らしく生きる道を選択されたのです。
現在、LGBTなど性的マイノリティへの人たちが声をあげ、私たち日本共産党の地方議員や候補者にもゲイやトラスジェンダーであることをカミングアウトとして活動する仲間も生まれました。
国が法律による結婚を認めていない中で、自治体が、パートナーシップ宣誓制度に取り組み同性カップルを認める動きが広がっています。12月2日から横浜市が「パートナーシップ宣誓制度」を始めました。お互いを人生のパートナーとして、協力し合う関係であることを宣誓した性的マイノリティや事実婚の方に対して、「パートナーシップ宣誓書受領証」と「証明カード」を交付するものです。この4年間で、パートナーシップ宣誓の取り組みは、札幌市を先頭に大阪、福岡、熊本、北九州市など政令市8市が続き、長崎市など30自治体へと加速度的に増えています。人口300万人という全国最大の政令市が始めたことで、国民の約2割がパートナーシップ制度のある自治体で暮らすことになりました。
先日、全国で初めて2015年、パートナーシップの宣誓制度を東京都渋谷区とともに開始した世田谷区に視察に行きました。これまでに103組の同性カップルが申し込んだといいます。このパートナーシップ宣誓制度は、法的に結婚を認めたわけではないので、税制や相続などの権利は享受できませんが、病院で宣誓書受領証を示すことで、付き添う家族として認められたという事例も生まれていると聞きました。また、世田谷区では、区営住宅条例を改正し、同性カップルの入居を認めました。
9月議会で、市長は、21世紀は「人権の世紀」と呼ばれており、本市としても、性的マイノリティを含めたすべての人々の人権を尊重し、誰もが平和の尊さを実感できるように努めてといくと答弁されました。本市で、同性カップルも含めた性的マイノリティの権利が守られているとお考えですか。認識を伺います。
(市民局長)
一人ひとりが自分らしく生きていくためには、年齢、性別、人種、障害の有無などにとらわれず、多様性を認め合い、お互いの人権を尊重することが重要です。
性的マイノリティについても、こうした観点から、広島法務局や広島県、広島県人権擁護委員連合会等と連携しながら、啓発パンフレットの作成・配布、市民や事業者向けの啓発研修や講座の開催、各種イベントでのパネル展示など、様々な啓発活動を行っており、市民や事業者の理解は深まってきていると考えています。
しかしながら、いまだに様々な場面での性的マイノリティの方々への偏見やいじめ、カミングアウトに関する悩みなどがあることも認識しており、今後も市民や事業者に対する啓発に、より一層取り組んでいきたいと考えています。
(近松さと子議員)
パートナーシップ宣誓の取り組みは、性的マイノリティの権利擁護を進める上で有効な手段だと思いますが、どのように受け止めておられますか。
(市民局長)
性的マイノリティに関するパートナーシップ宣誓制度については、現在、複数の指定都市などにおいて実施され、活用者が社会的な安心感を売ることができるなどの声があることは認識しております。
一方で、相続や税控除を受けられないなど、法的な効力がなく、その効果が限定的であること、制度自体の活用実績が少ないことなどの課題があることも聞いております。
こうした状況を踏まえ、本市としては、社会の理解を促進するための人権教育や啓発に力を入れていくことが重要であると考えています。
そのうえで、他都市の実施状況や本市におけるパートナーシップ宣誓制度のニーズなどについても引き続き情報収集を行っていきたいと考えています。
(近松さと子議員)
私たち市議団にも市営住宅に同性パートナーの入居を認めてほしいという要望が寄せられました。異性のカップルの場合は、婚姻届けを出していない事実婚でも法律婚の配偶者と同じように市営住宅への同居、承継ができますが、同性のカップルには認められていません。市営住宅の入居にあたって、このような同性カップルの不利益についてどのようにお考えですか。改善すべきではありませんか。
(指導担当課長)
現在市営住宅に二人以上で入居する場合には、広島市市営住宅等条例に基づき、夫婦や親子などの親族である必要があります。
婚姻の届出をしないが、事実上婚姻関係にあるものは、この親族に含めておりますが、同性カップルは、婚姻関係が認められない現状においては、親族として取り扱っていません。
パートナーシップ宣誓制度の動向を注視していきたいと考えています。
(近松さと子議員)
また、パートナーが病気になった時、家族として扱われないことがあり、辛い思いをすると聞きますが、市立の4つの市民病院ではどのように対応されているのでしょうか。
(保健医療担当局長)
市立病院では、患者本人の意向が確認できる場合には、どなたであれ、患者の病状の説明などを行っています。
【再質問】
(近松さと子議員)
国保事業の短期証の発行について検討するということでしたので、見直しをしていただきたいと思います。事務の効率上もですし、その上で改めて滞納整理については、一人一人の滞納者の方に親身に生活再建につながるような、そういう滞納整理進めていただきたいことも求めておきます。
そして税金の使い方とか、事業の進め方というのがやはり問われているんだと思うんです。高齢者の交通費助成の廃止については、いきいきポイントを拡大するんだと言われるんですけれども、実際広島市の一般財源を見ましたら、新たな交通費の助成に移行しても、やはり3億円ぐらいの削減になるとお聞きしました。そしていきいきポイント拡充するんだと言いますけれどもこれも介護保険特別会計なので、一般会計の予算は7000万円ぐらいしか増えない、結局差し引き2億円以上の削減になります。
子どもの医療費助成についても、国が制度を作らなくても、それでもやりますというふうにご答弁いただきましたけれども、今提案させて頂いているように、幼児教育の無償化で今まで保育料を安くするために保護者の負担を軽減するために、広島市が独自に頑張ってこられたこの財源を子どもの医療費の拡充に使ったらどうかと提案をしていきたわけですが、何回言いましてもまだ具体的な事をおっしゃっていただけない。今回もゼロ回答でした。
市民のくらしの応援や、子育て支援の要求には冷たいのに、ゼネコンが要求する大型公共事業には大盤振る舞いじゃないか、こういう印象を持った次第です。とりわけ5号線のシールドトンネル工事の契約を増額する問題は、説明していくと言われましたけれども、聞けば聞くほど疑惑が膨らみ、疑念がぬぐえません。
そこで3点ほど聞かせてください。当面の契約は200億円で押さえないと先に進めないと考えた公社が300億円の見積もりを提示するJVに対して、内部工事を落とした200億円の内訳書へ書き変えさせました。公社は、契約後増額してもらえるというJVの意向を認識していた。そして300億円を要求していた JVが、200億円で契約に応じているわけです。
この経過からすれば、誰が考えても契約後に増額するという約束があったとしか説明がつきません。言ってみれば談合して議会や市民を「200億円でできますよ」と騙すようなやり方だと私は強い疑念を持っています。
しかし、市の答弁では、完成時期を守ることを優先した公社が300億円を要求し、契約後の増額を期待したJVの意図を軽視したまま、予定価格の200億円で契約したことが原因だ、契約を軽んじていた、こういう認識です。
予定価格を決定した平成27年も、工事契約を締結した平成28年も、決済をした当時の公社の理事長は、直前まで市の道路行政のトップであった元道路交通局長じゃありませんか。これはもう間違いありませんよね。
こんな初歩的な契約の認識のミス、そういうことを市のOBである元局長がやると思うのか、それをまず第1点聞きます。
(道路交通局長)
まず、公社の当時理事長であった、市のOBがこんなことをやるはずがないではないかというご質問。それから2点目が、トンネル掘削を開始した後に、10月になって公表するということについて、市は悪かったと思わないのかどうか、3点目は、市の責任を公社に押し付けているということになってるのではないかというご質問に、総括してお答えしたいと思います。
まず母谷議員の御質問に対してお答えしたことが総括的になると思いますけども、まず今回の契約問題は公社とJVの間で工事を行うことについて合意をしておきながら、それに要する費用について共通認識を欠いていたということが後になって表面化したことでございます。
それによって市民の不信、不満を招くといった事態を生じさせたものであります。この点については、二度とそういうことのないように、契約行為の重さについて改めてしっかりと考えてもらい、強く反省を求め、再発防止に向けてしっかり取り組むように指導を徹底してまいります。公社の理事長がこういった問題を起こしたのはおかしいんじゃないかということですが、これについては第三者委員会の報告の中で、この公社が採用した設計施工提案方式の問題というのが挙げられてまして、その解釈や運用が確立されていなかったために、双方が自己の都合のよい解釈、理解不足、誤解を生んで、それが認識の違いにつながったというような指摘がございますので、本市としてもその通りだと考えております。
(近松さと子議員)
そして、今回の増額問題は、工事を始めてみたら予想しない硬い岩盤があったとか、そういうようなことで工事費を増額するというような問題とは全く次元が違う問題です。
少なくとも市によれば、トンネル工事を開始する前に、市はすでに公社から、JVが増額を求めていると知ったわけです。それを隠して9月からトンネルを掘り始めた。もう後戻りができないという10月の段階になって工事費の増額要請の問題を公表したわけです。
本来は工事開始前に増額問題を公表し、それまでの経緯と、その増額分をどうするのか、市民・議会に説明をして、改めて手続きをした上で、工事を開始するのが当たり前の事業の進め方だと思うわけです。
市の増額をめぐる問題の進め方、大変問題があるとこれまでも指摘してきたわけですが、市から200億円でできるという説明を聞いてきた市民、その公社の偽りの事業計画に基づいて提案された予算を承認してきた議会、これを騙す行為じゃないかと思うんですけど、そのことを少なくとも悪かったと市当局は思われるのかどうか。これも答弁を求めたいと思います。
(道路交通局長)
9月にトンネルの掘削を開始したのは、施工契約に基づいてJVと公社の間に結んでいるスケジュールに基づいて、スケジュール通り進めるということございまして、公表にあたっては、事実関係の確認などをしていたために10月になったということでございます。
(近松さと子議員)
そして三つ目に、高速5号線シールドトンネル工事の契約問題については、公社が反省すべき、公社が乗り越える問題だと言って、市はまるで第三者のように振舞われています。
この本会議の一般質問でも、この事業の事業主は公社である、公社は独立した組織、高速道路公社を設立した設立団体としての責務があるだけだ、こういう風に市は答弁されているんです。
しかし事業をやるかどうか、事業費の枠組みなど、決定権を持っているのは市と県じゃありませんか。市と県が司令塔となって、公社はその手足となって進めてきたのが高速道路事業です。とりわけ高速5号線事業の整備は、市長の公約だったんじゃありませんか。2011年、市長が就任されて、安全性、必要性、採算性がないと二葉山トンネル工事に反対している住民に対して、様々な説明を行われました。必要な道路だからトンネルを掘らせて欲しい、そういうふうに市長自ら住民に説明されてきたじゃありませんか。私もその説明会の場におりましたよ。
市民の方は、市長の説明でも納得できずに裁判まで起こされたわけです。それでも市長はやると言われた。そうした中で、都市圏構想のためという大義名分も加わって、必要な道路だ、事業だと市長のお墨付きも得て、公社はたとえ疑念を持たれる工事契約でもお構いなしに、行け行けどんどんと事業を進めてきたんじゃありませんか。談合が疑われる契約によって、膨らむ事業費は税金も投入されるのに、あれは公社がやった契約のミスだから、公社だけの責任だとして済まされるのでは、市長としてあまりにも無責任じゃないでしょうか。
(道路交通局長)
公社の自律性ですけども、地方道路公社法によりまして、公社は法人として設立をされています。設立に関しては、県市が出資・設立団体になっておりますので、そういった面での指導監督責任というのはあると思いますけども、事業の、広島高速道路の整備という大命題に対して、その事業をどうやってやってくかということに関しては、法的にも公社が案を作成し、県市に同意をもらって、公社が国に申請して実施するということになっておりますので、そこのところは公社と市、県との役割分担というものがあるというふうに考えております。
(近松さと子議員)
結局そういうずさんな契約も、市のOBの方が決裁したということで、そういう素人のようなことをやられたと言われるわけですし、トンネルの工事を行ったのも、市民や議会に黙って進めてこられたのも、仕方なかったと言われる。
この事業の責任について事業費も大幅に増えていくのに、それは公社のやったこと、市はあずかり知らないというような態度では、到底市民の納得を得ることはできないということを改めて指摘させていただきたいと思います。
この問題は引き続き明日の質疑でも、中森議員の方から追及させていただきます。
昨年の災害復旧もままならない今、地球温暖化でさまざまな災害が起きています。これまでの想定を見直したハードの対策も必要です。
そして、幼児教育の無償化で浮いた32億円、高齢者の交通費助成削減したこの予算、まさかこのトンネル工事に使われようと思っているんじゃないでしょうね。そういう税金の使い方は絶対に許せないということを、認められないということを申し述べまして質問を終わらせていただきます。