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1.第6号議案
①平和行政を担う人材を育成するための公費留学制度について
②MICEの推進について
③平成30年7月豪雨災害被災者への仮住宅の提供について
④サッカースタジアム建設の推進について
⑤魅力ある都心づくり推進事業について
2.第10号議案
3.第6号議案の⑥幼稚園入園世帯への副食材料費補助について、第15号議案、第17号議案
【発言動画】
広島市議会録画中継
(中森辰一議員)
日本共産党市会議員団を代表して、上程された議案についての質疑を行います。
最初に、第6号議案、一般会計補正予算(第1号)について、いくつか質問します。
まず、平和行政を担う人材を育成するための公費留学制度について伺います。
説明によると、この予算は、今後の平和行政をけん引する人材を育成しようというのが目的です。広島市は、平和の推進ということを行政課題の重要な一つと位置付けている自治体ですが、わざわざ市費で留学費用を出して育成するからには、育成された人材が思う存分力を発揮できるような行政でなければなりません。
しかしながら、核兵器禁止条約という、広島と長崎の平和行政が目指してきた一日も早い核兵器廃絶に向けた画期的な成果が得られたにもかかわらず、肝心の我が国の政府が、米国をはじめとした核保有国と同じ核抑止力論の立場に立って、同条約に反対していることに対して、昨年、一昨年の平和宣言に見られる通り、広島市長と長崎市長の行動は、異なるものとなっています。つまり、市長の政治姿勢による違いがあるわけです。
広島市が、戦争による核兵器使用の被害を受けた最初の都市であるという特別な立場も、そのことによる特別な使命感によって、核兵器廃絶を基本とした平和推進のための活動に相当な予算を使うということが、市民に承認されているということも、世界の平和運動からの注目や期待も、将来にわたって変わることはないでしょう。
そういう特別な地位にある広島市の行政が、唯一の戦争被爆国政府であるにも拘わらず、我が国の政府が核兵器禁止条約に背を向けて行動していることに対して、市長の政治姿勢によって、正面から批判したり、しなかったりということでは、将来、平和行政で力を発揮することが期待される人材は、はなはだ困惑するのではないでしょうか。
市長が誰になっても、広島市のトップである市長自身が、核兵器廃絶問題に関してだけは、外国政府に対しても、日本の政権に対しても、常に、批判すべき時は批判する、必要な要求を行うという断固たる一貫した態度がなければ、このように敢えて市費留学で人材を育成する意味がなくなるのではないかと考えますが、予算を提案された市長としてのお考えをお聞かせください。
(企画総務局長)
ヒロシマの願いである「核兵器廃絶と世界恒久平和」を実現するためには、為政者を動かすような市民社会の形成が何よりも重要であり、その具現化に向けては、国際社会における多様な考え方を理解しつつ、平和、紛争解決等の高度な専門知識に基づいて、世界平和の実現に向けた課題を考察し、効果的な取組を立案できる職員を中長期的に育成していくことが不可欠です。
このことは、日本政府に対して核兵器廃絶に向けた取組の推進を求める本市の市政と合致するものです。
(中森辰一議員)
次に、MICEの推進についてですが、商工センター地区において整備可能な規模・機能等の調査を行うということですが、大規模に人が動く施設をつくるときは、交通アクセスも重要な要素になるでしょう。これについての評価をどうするのかと、評価する場合、現状で問題があるとすると、何らかの交通対策を含めて検討するのかどうか、お答えください。
(経済観光局長)
MICE施設への交通アクセスは、飲食・宿泊機能といった周辺環境等とともに、施設整備の実現可能性を検討するために必要な要素の一つであり、今後、その現況を調査した上で、それを基に、新たに設置する検討会において、必要な対策を含めた検討を行うこととしています。
(中森辰一議員)
次に、平成30年7月豪雨災害被災者への仮住宅の提供について伺います。
これは、いわゆる「みなし仮設住宅」に入居しておられる被災者に対して、賃貸料を補助する期間を延長しようというものですが、対象者は自宅の再建、修理又は取得を予定している者のみとなっています。被災した家屋が賃貸住宅だった方や、住んでいた住宅の再建を諦めた方は、1年間で補助を打ち切ることになっています。
そもそも、仮設住宅は原則として2年間利用できるようになっています。被災者はみな、大事な財産を失うなど、それぞれつらい思いをして避難生活をしてこられたわけです。私たちは、今回の補正予算自体は必要なことで賛成ですが、他方で、なぜ、このように、対象を自宅の再建、修理、取得を予定している方だけに限定するのか、理解できません。これは、被災者を、自宅を再建、修理、取得を予定している方と、それ以外の方とに分けて、差別的な取り扱いをするものではないでしょうか。 なぜ、仮住宅が必要な被災者をすべて、原則の2年間、利用できるようにしないのかお答えください。
(指導担当局長)
本市における仮住宅の提供については、住宅の被害が災害救助法の適用が確実な全壊に止まらず、半壊、大規模半壊、一部損壊や床上浸水等、被災の程度がが広範囲にわたる方を対象としており、これらの方は、被災前の住居の状況、住宅再建のお考えも異なっています。
また、仮住宅は、被災された方々に応急的・一時的な仮住まいとして提供しているものであり、安心して住み続けられる住まいをできるだけ早く確保することが本格的な生活再建につながると考えています。
このため、無償提供期間は、6か月を基本としたうえで、被災された方々の実情に応じて適宜延長することとしています。
こうした方針の下、住まいの確保の状況をお聞きし、例えば賃貸住宅で住まいの確保を希望される方には、必要に応じて民間賃貸住宅のあっせんを行うなど、丁寧に対応しているところですが、自宅の再建・修理または、取得は、建替え工事や大規模な改修工事などが必要であり、賃貸住宅の確保に比べて時間を要します。
このため、自宅の再建を予定している方で延長を希望される方については、仮住宅の提供期間を災害発生から2年となる来年7月末まで再延長することにしました。
(中森辰一議員)
次に、サッカースタジアム建設の推進について伺います。
一点は、今年度、基本計画の策定を行うためのコンサルタントへの業務委託の公募を、議会の議決を待たずに、14日に公示すると、市長の補正予算の提案があった12日の本会議の後に説明に来たことです。
今日は、20日ですから、もう公示してしまったわけですが、これは、議会は必ず議決すると、たかを括ったやり方ではないでしょうか。これは、議会の役割を軽視したものです。説明では、議決に先行して公示することで、契約締結が13日早くなるということです。8月のはじめにかかると忙しくなるからというのが理由でしたが、その程度のことが、議会を軽視する理由になるのでしょうか。こんなことを繰り返したら、行政側と議会との緊張関係はなくなり、議会は形だけのものになります。今後のためにも、あえて、この点について、市長の説明を求めます。
(都市整備局長)
サッカースタジアムの建設については、多くの市民が一刻も早い供用開始を望んでいる中、その基本計画の策定は、議決後、速やかに策定作業に着手できるよう手続きを進めておく必要があります。
このため、今回議決前に工事を行ったものですが、工事手続きに当たっては、本業務に係る予算案が議決されなかった場合には、契約手続きを延期または中止するという停止条件を付して公示しており、議会軽視のご指摘はあたらないものと考えています。
(中森辰一議員)
次に、中央公園にサッカー場をつくることについての住民への説明の際は、中央公園の東半分がサッカースタジアムの敷地になると説明していたはずですが、その後、中央公園全体が対象敷地になっている説明図も出てきています。複合施設にすることも検討されていますが、そのための付帯施設も含めて、中央公園の東半分が用地として使われるのかどうか、改めて確認しておきます。
(都市整備局長)
昨年度の基町地区住民説明会では、スタジアムを中央公園広場の東寄りに配置した図面をイメージ図として示し、公園内の既存の施設にできるだけ影響がないようにしつつ、一定のオープンスペースを確保できるよう仮に配置したものであることを説明していますが、これをもって配置場所を決定しているものではありません。
サッカースタジアムの建設場所は、本年5月に策定した基本方針で示している通り、中央公園広場全体を対象としており、スタジアムの具体的な配置場所や中央公園広場全体の再整備方針については、今年度中に策定する基本計画において決定することとしています。
この検討に当たっては、基町地区住民の意見も聞きながら、賑わい機能の導入、広場機能・防災機能を維持するためのオープンスペースの確保、周辺環境や既存施設への影響、サッカー観戦者の利便性などを総合的に判断し決定していきたいと考えています。
(中森辰一議員)
また、「他都市の視察等」に253万2千円が計上されていますが、誰がどこに視察に行こうということか、予算は数字として出ているわけで、具体的な計画があるのでしょうから、その内容をお示しください。
(都市整備局長)
事例調査のため、職員が、ドイツ、イギリスなどヨーロッパのスタジアムをはじめ、国内外のスタジアム視察することを想定しています。具体的な視察先については、中央公園広場に建設場所を決定したことを踏まえ、街中に立地している事例や多機能化、複合化を図っている事例などを中心に、サッカー関係者等の意見も聞きながら決定したいと考えています。
(中森辰一議員)
次に、魅力ある都心づくり推進事業について伺います。
予算の説明には、都心の再開発を阻害する要因の分析及び開発促進に係る検討、と述べてあります。市長は、紙屋町地区から八丁堀地区にかけての一帯の再開発を推進しようとしておられるわけですが、この再開発を阻害する要因について、具体的にはどういったことを考えておられるのか、また、この区域の再開発をどのようなやり方で、どの程度の期間をかけて進め、将来の姿をどのように描いておられるのか、現時点での考え方をお答えください。
(都市整備局長)
再開発を阻害する要因としては、例えば昨年10月に紙屋町・八丁堀地区が都市再生緊急整備地域に指定されたことを機に本市に設置した相談支援窓口には、民間事業者から、容積率等の建築制限や駐車場の附置義務などにより建築計画に制約を受け、十分な土地活用を図ることができないとの声が寄せられています。
また、都市再生緊急整備地域では、既定の建築制限をいったん、適用除外としたうえで、自由度の高い都市計画が可能な「都市再生特別地区」を定めることができ、民間業者はこうした都市計画を本市に提案することができますが、その際、0.5ヘクタール(5,000平方メートル)以上の開発であることが要件となっており、規模の小さな開発への対応が課題となっています。
このため、こうした制約を受ける事案や規模要件を満たさない開発についても、都市環境や景観などへの影響を考慮しつつ、土地の有効活用や都心にふさわしい都市機能の充実が図られるような開発については、これを積極的に促進するための新たな方策を検討していきたいと考えています。
昨年、紙屋町・八丁堀地区が都市再生緊急整備地域に指定された際に作成した「地域整備方針」では、「広島」が平和と文化を世界に発信し、国内外から様々な人々を惹きつける魅力あるまちとなることを将来の姿として目指し、土地の高度利用や都市機能の充実・強化等により、国際平和文化都市の都心にふさわしい都市空間を形成することを当地区の整備の目標としています。
個々の再開発に要する期間はその規模などによりさまざまですが、国の都市再生緊急整備地域制度や新たな方策を駆使しながら、リーディングプロジェクトである広島商工会議所ビルの移転を伴う市営基町駐車場周辺での再開発事業をさらなる民間開発の呼び水としつつ、「地域整備方針」に示した整備目標の実現に向けて、着実に取り組んでいきたいと考えています。
(中森辰一議員)
次に、第10号議案、一般職の職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例について伺います。
これは、広島市の職員のうち、非常勤職員や臨時職員などの非正規職員を会計年度任用職員として一つに整理する制度が、来年度から始まることから、これに関わる13の条例を一括して改正しようとする条例です。
今や自治体の仕事も非正規職員がいないと回らない状態だといっても過言ではありません。広島市でも行政コストの削減のため、正規職員を減らす一方で非正規職員を増やし続けてきました。その中で、非正規職員からは、年々責任は重くなるのに、正規職員との待遇格差は大きく、均等待遇を求める声が上がり、「官製ワーキングプア」として社会問題になってきていました。
そうした声に押されて、国は2017年に地方公務員法と地方自治法の改正をおこないました。全国では、自治体ごとに任用根拠も更新方法もまちまちとなっていた非正規職員の任用の根拠をさだめ、正規職員の代替以外はすべての非正規職員が新設された会計年度任用職員に移行するとしました。同時に、期末手当支給などの処遇改善を進めるとしています。以下、質問します。
① 新たに設けられた会計年度任用職員の雇用期間は1年間です。今回の制度改正で「いつでも雇いどめ、いつまでも非正規」という根本的な問題は、解消されるのでしょうか、お答えください。
(企画総務局長)
会計年度任用職員は、任用期間が限定されるような呼び名ではありますが、客観的な能力の実証を経て再度任用することが可能であり、従来の非常勤職員と同様に働き続けることができます。
(中森辰一議員)
② 臨時職員は、会計年度任用職員への移行により、雇用の中断の解消、期末手当の支給、休暇制度の適用などで、処遇の改善が一定進められます。
一方で、放課後児童クラブや保育所や給食の非常勤職員は、すべて会計年度任用職員のパートタイム職員とみなされますが、休暇制度や65歳までの任用の更新など現行制度の維持にとどまっています。また、期末手当が0.22ヶ月増えますが、全体の賃金は、生涯の賃金を下回らないことを目標とするといいます。こうした処遇改善は、十分だとお考えでしょうか。お答えください。
(企画総務局長)
会計年度任用職員の給与は、その職員が担当することになる業務の種類に応じて、現在その業務を担っている非常勤職員に支給されている年収及び生涯賃金をともに上回るよう設定しています。
また、現行の非常勤職員には昇給制度はありませんが、年度を通して任用された会計年度任用職員については、再度任用する際に、16年目までは、1年ごとに昇給するようにします。これは、毎月の報酬だけでなく、期末手当等にも反映されます。
さらに、現行の非常勤職員には、時間外勤務手当等を支給する制度はありませんが、会計年度任用職員には、正規の勤務時間を超えて勤務した場合、時間外手当等が支給されるようにします。
これらのことから、現行の非常勤職員から移行する場合であっても、十分な処遇改善になっているものと考えております。
(中森辰一議員)
③ 国は法を改正し、会計年度任用職員の導入と非正規職員の処遇改善を進めるように求めてきていますが、市として会計年度任用職員への移行とそれによる処遇改善で必要とされる新たな経費はいくらでしょうか。これらの財政的な措置は、国の責任でやるべきですが、どのようにお考えでしょうか。お答えください。
(企画総務局長)
会計年度任用職員制度の導入により、現行の臨時・非常勤職員の処遇改善を行うことから、人件費が増加するものと見込んでいます。正確な増加額は、現在精査中です。
総務省が示した事務処理マニュアルでは、「地方財政措置について適切に検討を進めていく予定」とされており、本市としては、会計年度任用職員制度の導入が法改正により全国的に行われたものであることから、その財政的な措置は国の責任で行われるものと考えています。
本市としては、昨年11月、新たに生ずる財源を確実かつ十分に措置するよう、全国市長会を通じて要請したところであり、今後も大都市人事主幹局長会議等を通して国に対して強く働きかけていきたいと考えています。
(中森辰一議員)
④ 地方公務員法には、本来、自治体の恒常的な仕事については、任期の定めのない常勤職員を中心とするとしています。つまり正規職員が原則です。非正規職員の問題は、正規職員を減らし、任期の定めのある非正規職員に置き換えを行ってきたことにそもそもの原因があります。
ところが市は、いま正規職員が担っている恒常的な仕事を、会計年度任用職員のフルタイムに置き換える計画を進めるとしていますが、これは、非正規職員の処遇改善の財源がいるからでしょうか、お答えください。
また、保育所などの現場では、今でも非正規の保育士が増えていて、その分、正規保育士の業務責任が重くなっていますが、会計年度任用職員への置き換えが進めば、正規保育士の負担は一層重くなり、保育業務そのものに支障が出るようになるのではないでしょうか。市はどのようにお考えでしょうか、お答えください。
(企画総務局長)
本市においては、会計年度任用職員制度の導入に合わせて、すべての臨時・非常勤職員について職の再設定を含む抜本的な見直しを行い、効率的な執行体制を構築することとしたところです。
具体的には、現行の業務を正規職員が担うべきものと非正規職員である会計年度任用職員が担うべきものに役割分担を行いました。
また、フルタイム勤務の会計年度任用職員については、業務内容から見てフルタイムでの勤務の必要性が高い職に導入することとしています。
したがって、業務内容に応じて食の再設定を行ったものであり、非正規職員の処遇改善の財源を確保するためにフルタイム勤務の会計年度任用職員を活用するというようなものではありません。
また、保育園の保育士における正規職員とフルタイム勤務の会計年度任用職員との役割分担について申し上げますと、正規職員は保育計画の企画・立案を行うクラス運営の責任者としての役割を担い、フルタイム勤務の会計年度任用職員は保育計画に基づく日々の保育を実施する役割を担うこととしており、これまでも正規職員は、同様の役割を担うことを基本としていたことから、正規職員の職責や負担がこれまで以上に重くなるものではありません。
(中森辰一議員)
最後に、一般会計補正予算(第1号)のうち、幼稚園入園世帯への副食材料費補助について、第15号議案、広島市子ども・子育て支援法に基づく過料に関する条例の一部改正について、及び第17号議案、広島市立学校条例及び広島市阿戸認定こども園条例の一部改正について、一括して質疑を行います。
これらは、幼児教育・保育無償化を実施するための、広島市としての予算の補正や条例改定です。当局に確認したところ、幼児教育・保育無償化を実施するにあたっては、歳入面では保育料の減収と新たに副食費収入が発生し、歳出面では認可外保育施設等に対する新たな給付や今回の補正予算案にある副食材料費補助などがあるようですが、これら歳入と歳出のそれぞれの総額について、通年ベースでどのくらいになるのか、お答えください。
(子ども未来局長)
この度の無償化の実施に伴いまして、保育園等の保育料が減収となりますほか、子ども・子育て支援新制度に移行していない幼稚園や認可外保育施設等の利用に対して、新たに施設等利用給付など歳出が発生することになります。
こうした歳入面と歳出面のそれぞれの総額を、1年間当たりで試算いたしますと、保育料の減収等による歳入の減が約29億円、新たな給付等による歳出の増が約37億円生じる見込みでございます。
なお、これらの財源は、国が定めた割合に基づき、国・県・市で負担することになり、本市の負担分については、今年度は国の子ども・子育て支援臨時交付金で全額措置されることになっており、来年度以降は、地方交付税で措置されることになっております。
(中森辰一議員)
他方で、これまで広島市が独自に、保育料水準を引き下げる措置を実施してきていて、そのための、広島市の持ち出し分が約43億円だということです。そのうち、今回の国の無償化によって、広島市が独自に負担していた財源のうち約32億円が浮くことになるようですが、その通りか、お答えください。
(子ども未来局長)
この度の国による無償化は、3歳児以上は全員対象となるものの、0歳児から2歳児については住民税非課税世帯の保育料のみを無償化するのにとどまることから、本市が独自に行ってきている、その他の世帯の保育料の軽減措置は、市が引き続き単独で約11億円負担することになり、負担軽減となるのは、約32億円ということになります。
この負担軽減分の取扱いについては、今後の地方交付税措置の状況などを見る必要がございますけど、今年度財政運営方針等を定めることとしていますので、その中で市として裁量的に行うべき施策への充当分であるということを踏まえつつ、健全な財政運営を目指す中で検討していくことになると考えています。
(中森辰一議員)
次に、3つの議案のうち、「広島市子ども・子育て支援法に基づく過料に関する条例の一部改正」についてですが、市に、認可外保育施設等に子どもを預けている保護者や、その認可外保育施設の設置者に対して、報告や必要な文書などの提出が行われないときに過料を科すというものです。
この場合、給付を受ける保護者の方は、まず問題にならないと思います。問題は施設の方で、児童福祉法では、認可外保育施設は市に施設の設置を届ける必要がありますが、届けがない施設もあり得るという状況です。
届けがあれば施設を訪問して調査し、国の指導監督基準に合致しているかどうかの確認をするが、合致していなければ、指導を行うということでした。現状では、届がある施設はすべて合致しているようですが、合致していなくても、認可外保育施設として存続できます。
保育所の問題では、これまでは認可保育所の待機児対策を推進するということで、子どもにとって必要な保育水準をいかに確保するかということが問題でした。ところが、今回の「無償化」では、そういうこととは関係なく、保護者の経済的負担の軽減ということが主題となっていて、その「公平性」を名目に、保育水準の問題を無視しています。
特に、給付金を支出する形で、認可外保育施設に子どもを預けるのを、無条件で容認していますが、認可外保育施設に対する国の「指導監督基準」は、保育従事者のうち保育士は3分の1でいいと国が容認しているもので、何より重要な子どもの安全という点で、重大な問題があります。
保育所での子どもの死亡事故などをなくすために、取り組んでこられた寺町東子弁護士が、衆議院の内閣委員会で意見陳述され、認可外保育施設での死亡事故は認可保育所に比べると26倍も高いと述べておられます。認可外保育施設を一律に論じるものではありませんが、一般的に言えば、認可保育所に比べて、死亡事故が26倍も発生する可能性が高い、その点では、預けられる子どもにとって危険性の高い、行政が責任を負えない施設です。そこに、今後は、大事な子どもを預けてもいいよと、行政が承認するようなものではないかと考えますが、この点、広島市はいかがお考えでしょうか、お答えください。
また、認可外保育施設を無償化の対象とする政令は厚生労働省令ではなく内閣府令ですが、子どもの保育条件が整っていようがいまいが、子どもを預かるところなら何でもいい、という考え方は、企業が十分な体制もなく託児所で儲けるのを後押しするもので、そもそも児童福祉法の観点が欠けていると考えますが、市のご認識をお聞かせください。
(子ども未来局長)
児童福祉法におきましては、認可外保育施設であっても、乳幼児に対して保育を行うことを目的とする施設であれば、都道府県等に届出を行うことを義務付けております。また、国は、こうした施設における児童の安全確保等の観点から、人員配置や設備用件、災害対策などに関する指導監督基準を策定しており、都道府県等は、必要に応じて、施設への立ち入り調査の実施や改善指導等を行うことが認められております。
したがって、国の指導監督基準を満たしている認可外保育施設においては、児童の安全確保等の観点から求められる保育環境は確保されていると考えられ、これを今回無償化の対象とすることが、児童福祉法の観点を欠くとは考えておりません。
(中森辰一議員)
次に、市に届けを出していない認可外保育施設がどれくらいあるか、そこに何人の子供が預けられているかを、市は把握していないようですが、そういう施設が、あえて届を出していないというのは、国の「指導監督基準」に合致しないからと考えられます。保育士がいない可能性も高いのです。
そういう施設でも、今回の「無償化」は、届を出しさえすれば、経済的負担の「公平性」を名目に「無償化」の適用を受けるとなっています。認可保育所は、一応行政が責任を負える安全なところです。しかし、認可外保育施設自体は、これまでの事故の実態でみると、命の危険性が26倍高いところです。そういうところを給付の対象にするというのは、子どもの命に対する不公平そのものです。そういうところに入らなくていいようにすることこそ、行政の喫緊の課題でしょう。
その上にさらに、国の「指導監督基準」さえ満たしていない施設、保育士がいない可能性の高い施設さえ承認するのか、ということです。
政府の説明によると、認可外保育施設に対する国の「指導監督基準」は、「児童の安全確保等の観点から、劣悪な施設を排除するためのもの」ということです。「排除すべき劣悪な施設」まで、給付の対象として広島市が承認しようとしているわけです。こんなことをしていたら、子どもの安全のための基準がどんどんなし崩しになっていくのではないでしょうか。
制度をつくったのは国ですが、給付金支給の事務を行うのは広島市です。広島市は、このような排除すべき「劣悪な施設」に責任が負えるのかどうか、お答えください。
また、広島市としては、「児童の安全確保等の観点から」、政府が「排除すべき劣悪な施設」だとしているものは、独自の条例によって、「無償化」の対象から排除する措置をとるべきではなかったでしょうか、合わせてお答えください。
(子ども未来局長)
今回の国の制度設計では、無償化の対象となる認可外保育施設は、国の指導監督基準を満たすものに限るとしつつも、5年間の経過措置を設定しておりまして、その間は、基準を満たしていなくても無償化の対象とすることを原則としております。
本市においては、依然として待機児童が存在しておる状況で、国基準を満たしていない認可外保育施設を利用せざるを得ない保護者が存在することが想定されるため、認可保育園等に入所している保護者との均衡を図るという意味でも、当面は国基準を満たしていない認可外保育施設も無償化の対象とする必要があると考えております。
また、こうした国基準を満たしていない認可外保育施設が無償化の対象となるためには、本市への届け出が必要となることから、これまで届け出が行われていなかった施設の実態が把握できるようになり、立ち入り調査や改善指導等を行うことで、むしろ本市全体の保育環境を改善する良い機会になるというふうにとらえています。
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