議会での質問・答弁

2018年12月07日

2018年第6回 12月定例会 一般質問 中原ひろみ議員

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【質問項目】
1.核兵器禁止条約の早期発効にむけて
2.公共事業を安心・安全なくらしと防災の事業に転換を
 1)高速5号線シールドトンネル工事の増額について
 2)民有地の小規模崩壊対策について
 3)大規模盛土造成団地の安全対策について
 4)民間の危険な擁壁対策について
 5)階段室型市営住宅のエレベーター設置について
3.暮らしを守る自治体の役割発揮を
 1)生活保護の引き下げについて
 2)国保料の引き下げについて
 3)保育・幼稚園の無償化について
 4)産後うつの母親への支援について
 5)デリバリー給食は自校調理へと見直しを
【発言動画】
YouTube 広島市議会動画チャンネル 平成30年広島市議会第6回定例会


 日本共産党市議会議員の中原ひろみです。日本共産党市議団を代表し、今期最後の一般質問をします。平成も今年が最後となります。改めて、今年を振り返ると平和の問題では、平昌オリンピックを契機に北東アジアで対決から対話への歴史的転換が起こる一方で、アメリカは核体制の強化を公言。安倍政権は憲法9条に自衛隊を明記して戦力保持を禁止した9条2項を死文化させ、海外での武力行使を無制限に行う危険で異常な改憲を進めようとしています。
 また、暮らしの問題では、相次ぐ自然災害により国民が命と財産を失う事態が発生し、多くの被災者が生活再建にむけて苦労されています。そのさなか、安倍総理は来年10月から予定通りに消費税を10%に引き上げる方針を宣言しました。このような国の悪政や災害から、いかにして市民の命と暮らし、平和を守る防波堤の役割を果たすのか、これまで以上に広島市行政に求められています。その立場からお聞きします。

(中原ひろみ議員)
 まず、被爆地ヒロシマの悲願である核兵器廃絶にむけて、核兵器禁止条約発効へ平和都市の役割を発揮する提案です。
 昨年7月に核兵器禁止条約が国連で採択されて以来、核保有国の妨害を跳ね除けて署名国は69ケ国、批准国は19ケ国となり、近い将来に禁止条約の発効が見通せる情勢となっています。アメリカの最大の州である人口4000万人を擁するカリフォルニア州議会は核兵器禁止条約を支持する決議を採択するなど核保有大国アメリカでも変化が起こりつつあります。
 日本でも広島市議会を始めとして既に320以上の自治体で核兵器禁止条約への調印・批准を求める意見書が採択されており、唯一の戦争被爆国・日本政府がこの流れに背を向け続けることは恥ずべきことです。
 現在、原爆資料館の入り口には、平成13年(2001年)に被爆体験の風化を防ぎ、繰り返される核実験の実施をけん制する意図でNPO法人広島からの「地球平和監視」を考える会が制作され市に寄付されたデジタル表示板の核時計があります。このままいけば人類が破滅へ向けての「刻限」を刻み続けることを警告しています。
 この核時計が建立されて16年後、世界は今、核兵器を非人道的な兵器として認識し、核兵器の保有、使用、威嚇を違法とする核兵器禁止条約の発効にむけて動いています。50ケ国が批准すれば核兵器禁止条約は発効します。
 この核時計のそばに、世界各国の禁止条約への署名、批准の状況を来館者に知らせる展示を行うことを提案します。
 例えば、世界地図に条約にサインした国、批准した国を色分けして示し、批准した国の総人口などを示すことで、核兵器にしがみつく勢力を包囲し、核兵器禁止条約に反対している日本政府の態度を変える力となることを期待するものです。いかがお考えでしょうか。

(市民局長)
 核兵器を廃絶することこそ今後の世界のあるべき姿であるという認識を広め、日本を含め全ての国が早期に核兵器禁止条約の締結に向かうよう世論を盛り上げていくことは重要であると考えています。
 このため、国連における核兵器禁止条約の採択を受け、平和記念資料館においては、平和宣言や平和関連施設など様々な情報が掲示され、訪れる多くの人が集まる東館1階の情報コーナーにおいて、核兵器禁止条約の批准国数と条約の発効に必要な50ヶ国までの残りの国数を掲示しているところですが、来館者に世界各国の批准状況などを知ってもらうことは核兵器禁止条約の早期締結に向かう世論を盛り上げる上での一助になると考えられることから、今後検討していくこととします。

(中原ひろみ議員)
 昨年、ノーベル平和賞授賞式でICANを代表して演説したヒバクシャのサーロー節子さんは、11月28日、市内で開かれた反核シンポジウムで講演し、条約を拒否している日本政府に対して広島市による働きかけが乏しいと指摘され、ヒロシマからの強い発信を求められました。この指摘を、市はどのように受け止められたのか伺います。
 考えられる全ての機会をとらえ、国に対し核兵器禁止条約の参加を強く働きかけるとともに、ヒロシマから核兵器禁止条約の早期発効を求める世論を喚起することが必要ではありませんか。

(市長)
 中原議員からのご質問にお答えします。「核兵器禁止条約の早期発効にむけて」のご質問がございました。
 私は、核兵器のない世界の実現に向けて、日本を含め各国の取組を前進させていくためには、国内外に被爆の実相を伝え、「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」という被爆者の願いに共感する方々を増やし、「ヒロシマの心」を市民社会における民意とすることによって、各国の政策転換につながるようにしていくことが重要であると考えています。
 そのため本市では、市民社会を代表する首長により構成される平和首長会議の加盟都市の拡大に努めてきており、国内においては、現在では基礎自治体の99%以上が加盟するに至っています。こうした中で、先月9日には、日本政府に対し、核兵器禁止条約を締結するとともに、NPT等の体制の下で核軍縮の進展に力を尽くすことを強く求める要請書を、平和首長会議国内加盟都市会議の総意として、政府に提出したところです。
 また。核兵器禁止条約の早期発効に向けた国際世論の醸成を図るため、平和首長会議として条約の早期締結を行動計画の重点取組事項に位置付け、国内外の全加盟都市に署名活動等を通じた市民への働きかけを共に推進していくよう呼び掛けています。さらに、国連で開催されるNPT再検討会議や核兵器禁止条約交渉会議等の国際会議に出席し、各国政府やNGO等の関係者に被爆の実相と被爆者の平和への思いを伝えるとともに、条約を推進することの重要性を強く訴えかけていきます。
 核兵器禁止条約の早期締結に向けた取組については、今後とも平和首長会議の会長として、加盟都市との緊密な連携の下で着実に進めていきたいと考えています。

【再質問】
(中原ひろみ議員)
 被爆者のサーロー節子さんは、核兵器禁止条約を拒否している日本政府に対して広島市による働きかけが乏しいと指摘され、ヒロシマからの強い発信を求めたが、この指摘を、市はどのように受け止めたのか。

(市民局長)
 サーロー節子さんの発言は、広島で被爆され、苦しみながらも被爆の惨状を広く伝えて、核兵器廃絶に向けた活動の先頭に立ってメッセージを発信してきた方としての、核兵器廃絶に向けた被爆地広島への強い思いを述べられたものだと思っています。
 この核兵器廃絶に向けた思いは当然本市も同じです。そのために、本市としては、日本を含めて各国の取組を前進させていくためには、国内外に被爆の実相を伝えて、「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」という被爆者の願いに共感する方々を増やし、「ヒロシマの心」を市民社会における民意として、これを為政者に伝えていくことが、各国の政策転換につながる最も効果的な方法であると考えています。
 こうした考えのもとで、国内においても、国内基礎自治体の99%以上まで加盟都市を増やし、協働の輪を広げてきています。そして、その平和首長会議国内加盟都市会議の総意として、日本政府に対して、核兵器禁止条約の締結とNPT等の体制の下で核軍縮の進展に力を尽くすよう強く求める要請書を提出したものです。

(中原ひろみ議員)
 高速五号線トンネル工事の増額についてです。
 トンネル掘削工事が開始されたのは9月18日。その36日後の10月26日、公社は工事費を増額することを新聞報道で公表しました。報道によると、2016年5月に約200億円で受注した大林、大成、広成建設共同企業体は、昨年の2月から今年の7月の1年半の間、4回に渡りRCセグメントという内壁工事の材料費が契約額に含まれていないとして工事費の増額を公社に求めていたといいます。しかし、契約書にはトンネル工事一式と書かれていると報道されています。
 そこで伺います。契約額の約200億円は妥当な工事費として契約を交したのではないのですか。
 「トンネル工事一式」とされた契約であるのに、構造材である内壁の材料費が含まれないことがありえるのか。市の見解をお尋ねしておきます。

(道路交通局長)
 公社がJVとの間で契約額約200億円で締結した、高速5号線シールドトンネル工事に関する契約書においては、工事の内容を示す仕様書の中に「トンネル本体工一式」という記述がみられます。
 こうしたことから見ると、この契約は、シールドトンネル工事の完成に必要な全てのものについての契約であると認識して差し支えないと考えます。

(中原ひろみ議員)
 そもそも、入札時の予定価格はどのようにして積算されたのですか。事業者が技術提案した見積書の工事費はいくらだったのですか。事業者はいくらの増額を求めているのですか。

(道路交通局長)
 予定価格については、入札の参加希望者から事前に技術提案を受け、その提案に基づき予定価格を定める「設計・施工提案交渉方式」が採用されており、公社としてJVから提出された設計数量及び見積書を参考に積算したものと承知しています。
 なお、JVが技術提案した際の見積額及び増額の要請額については、公社において、企業情報が含まれていることから公表しないという取扱いをしていますので、お答えできません。

(中原ひろみ議員)
 高速5号線二葉山トンネル工事と同じように、契約・受注を巡る談合疑惑が、東京外かく環状道路(外環道)トンネル工事でも発生しています。外環道もシールドマシンを使って掘削工事が行われますが、9月の受注者選定手続きを巡る談合疑惑が指摘され、手続きは中止されていきました。が、事業再開にむけて立ち上げられた技術評価委員会の4人の大学教授のうち3人が応募ゼネコンから研究費を受け取っていることが明らかとなりました。中立公正であるべき評価委員会のメンバーがゼネコンの関係者という構図は、究極の談合システムです。
 広島市でも、高速5号線シールドトンネル工事契約に係る第三者委員会が11月20日に設置されましたが、第三者委員を選んだのは公社です。審査される公社が選んだ第三者で、まともな審議ができるのか懸念されます。第三者委員会の3人の委員のお一人は広島大学院工学研究科の教授をされています。ゼネコンから研究費などを受け取っておられないのか、また、残る2人は弁護士ですが、関連企業を含めた顧問弁護士ではないのかどうか念のためにお聞きしておきます。

(道路交通局長)
 公社からの報告によると、JVの構成員である企業と共同研究、あるいは顧問契約等がない方が委員に就任しているとのことです。

(中原ひろみ議員)
 契約額の200億円で工事ができないのなら、契約を破棄すれば良いのです。契約不履行で公社と県・市が事業者を訴えることも検討されてしかるべきです。
 事業者の増額要求をなぜ公社は撥ねつけることができず、第三者機関まで設置して審議しなければならないのですか。
 第三者委員会の設置が、ゼネコン言い値の工事費を飲むための「隠れ蓑」になるのではと危惧します。何を目的にどんな調査をし、いつ、結論を出すのですか。

(道路交通局長)
 今回の案件は、契約時における、公社とJVの双方の認識の違いがもとになり、工事費増額について双方が協議を行うことになったものと承知しており、第三者委員会については、公社として、契約当事者である公社の内部調査のみでは客観性が十分担保できない恐れがあると考え、契約当時における認識の違いが生じた経緯や原因の分析を調査検討することに加え、原因分析を踏まえた再発防止策などについて、独立した立場で中立・公正に審議してもらうため、立ち上げたものと理解しています。
 この第三者委員会については、公社において自主的に設置されたものであることから、とりまとめの時期等についてお答えすることはできませんが、公社としては、早期に取りまとめがなされるよう、積極的に調査に協力していくと聞いています。

(中原ひろみ議員)
 第三者委員会の3人の委員のうちの2人は、現在、広島県公共工事入札監視委員会のメンバーであり、お1人は委員長です。過去の公共事業監視委員会の議事録を見ると、見積書に材料費が入っていないということで事業者は失格となっています。これらの事業と同様の審議が行われれば、当然のことながら、この度のRCセグメントが「トンネル工事一式」から欠落している契約は成り立たない、契約破棄ということになります。3名の委員には厳正な審査を期待するものです。
 理解できないのは、内壁工事の材料費が契約額に入っていないと言いながら、事業が実施されていることです。材料費が契約額にないのに、どうやってトンネルの内壁をつくっているのですか。少なくとも、第三者委員会の結論がでるまでは事業を中断すべきではありませんか。
 市議団は11月1日付で、公社に見積書や議事録、契約書の情報公開請求を行いましたが、2度にわたり延期され12月25日でないと出せないというのです。
 情報も出さずに事業費だけは出せという状況のもと、ゼネコンと公社が「なれあいの関係」ではないのかとの疑念が大きくなるばかりです。
 契約金額は見せかけに過ぎず、工事に着工しさえすれば事業費の増額は簡単にできると、事業費を度返しした契約手続きが公社の体質になっているのではありませんか。工事費の増額がJVから要求されたのは昨年の2月であったのに、公になったのは、トンネル掘削工事が始まってからです。ずるさが見え見えです。
 契約額の200億円で実施できない事業であれば、工事を中止し、出資金に使われる市民の税金は防災・減災の公共事業に回すべきだと思いますがいかがですか。

(道路交通局長)
 公社とJVの双方の認識の違いから発生している今回の一連の対応については、契約の当事者である公社とJVとの間で、適切に処理すべく協議がなされるべきものと考えています。
 本市としては、高速5号線の工事が予定通り完成できることを前提としながら、第三者委員会の結論を踏まえて、公社がこの協議をしっかりと進めていくことを期待しており、その進捗を見守りたいと考えています。

【再質問】
(中原ひろみ議員)
 先ほどの答弁では、「本体工事一式」と契約書にはあるということでした。ということは、RCセグメントは含まれている、という認識を広島市はお持ちなのか。ということは、増額の必要はない、ということを広島市としてはお考えなのか。市としての見解をおたずねしたい。

(道路交通局長)
 高速5号線につきまして、契約の中には「トンネル本体工一式」と記述があるというご質問でございます。契約書の中の工事内容を示す仕様書の中に「トンネル本体工一式」という表示がございますので、通常であれば、先ほどご答弁しましたように、シールドトンネル工事全体の費用が入っているものと考えられるところでございますが、今回は、発注者である公社と受注者であるJVの間で、その含まれている費用につきまして、認識の違いがあるという状況が今、生じているということでございまして、これにつきまして、第三者委員会でその原因や対策を検証していただいて、そのうえで、公社として、契約の当事者として、JVとしっかり今後の進め方を協議していくと、今、そういう状況でございます。通常は、その契約書で含まれていると思われますが、そういった状況が生じておりますので、今の第三者委員会協議を進めているというのが市の認識でございます。

(中原ひろみ議員)
 高速5号線ですけれども、何か対岸の火事というように受け取れました。あれは、公社がやっているんだと、広島市は見守っているんだと、いうことでありますけれども、見守っていると言いますけれども、公社というのは、赤の他人ではございません。県が50、市が50、税金をつぎ込んで、税金丸抱えの組織ではありませんか。ここでやっている工事に対して、契約額に抗議が出たと、異議があるということになった場合は、やはり広島市としてきちんと公社にも指導し、その内容については、市民の合意を得ることが必要だと思います。例えば、第三者機関がいろいろその経緯とか原因を分析をされて、増額が必要になるなんてことになった場合には、市はどのようにして、市民の理解を得られるのでしょうか。

(道路交通局長)
 第三者委員会としては、設置の目的が今回の認識の相違が生じていることに関する原因の究明とその対策の審議ということでございまして、直接、その事業費を審議することになっていると聞いておりませんが、今後、JVと公社の方で、契約の当事者同士で、事業の進め方、あるいは増額金額について協議を持たれて、例えば増額の必要があるということが県市に報告されましたら、それについては、県市公社でしっかりと協議をして、どのような対応をしていくかを検討していきたいと考えております。

 

(中原ひろみ議員)
 次は、多発する自然災害の危険から市民の命と財産を守る取り組みについてです。
 昨今の自然災害は、いつどこで被害が発生しても不思議でない事態です。今年になって南海トラフ巨大地震の30年以内の発生確率は10%上がり80%になりました。予測される災害にたいする対策には、従来の延長線上でない抜本的な防災対策が必要です。不用不急の大型開発はいったん立ち止まり、防災、減災にむけた災害に強いまちづくりの公共事業に転換すべきだと考えます。
 そこで、具体的ないくつかの問題についてお聞きします。
 先月、建設委員会で熊本市を視察し、2016年4月の熊本地震で被害を受けた7200戸の宅地の復旧の取り組みについてお聞きしました。熊本市は、国庫補助事業や県の熊本地震復興基金を活用し、2㎝以上の亀裂が入った民有地法面や大規模盛土造成団地の法面を復旧する宅地耐震化推進事業を進められています。
 大規模盛土造成地滑動崩落防止事業や宅地液状化防止事業は、所有者負担がないだけでなく、事業の対象として盛り土の高さを従前の5mから2mに、盛り土の上にある家屋数も従前の5戸から2戸に緩和した宅地耐震化推進事業として小規模造成宅地被害の対策が実施されています。また、3mの人工斜面も地域防災がけ崩れ対策事業の対象にするなど従来の制度を拡充した復旧をすすめていると説明を受けました。
 翻って、西日本豪雨災害で被害を受けた広島市の復旧状況を考えたとき、全壊や半壊と判断された家屋の解体が終わった丹那地区を一例に挙げると、崩れた山肌がむき出しになったままになっています。擁壁にも斜めにひび割れがあり、次の二次災害が懸念されます。この地で安心して暮らしていくためには、耐震・防災対策工事が不可欠です。

 府中町では県の急傾斜地崩壊対策事業の補助制度の対象にならない小規模な崖崩れについて、町が独自に支援策を決めたと報道されています。広島市でも民有地のがけ崩れの対策が進むように市独自の支援をすべきではありませんか。県・市の補助対象外となる小規模な崩壊は何箇所あったのでしょうか。

(下水道局長)
 本市では、自然がけの高さ5m以上、保全家屋数5戸以上の急傾斜地という要件に満たない小規模な急傾斜地の崩壊防止工事については、補助制度の対象としてはいませんが、平成24年度から、本市独自の「急傾斜地整備復旧事業資金融資制度」を設けて運用しています。
 この制度は、所有者等が実施する急傾斜地の災害予防又は復旧を促進するために、工事に必要な資金を無利子で融資するものであり、取扱金融機関が融資を行い、本市が取扱金融機関に対してその利息を負担するものです。
 融資の対象は、保全家屋が5戸未満の自然がけに対するのり面保護などの防災工事で、500万円を上限として、工事費の90%の範囲内で融資し、15年以内で償還していただくものです。
 このたびの災害により、市内では17件の小規模ながけ崩れの被害を確認していますが、このうちの1件については、この融資制度を活用して既に復旧工事を終えています。
 今後とも、広く市民の皆様に、この融資制度を活用していただくよう周知して参りたいと考えています。

(中原ひろみ議員)
 熊本市では、大規模盛り土造成団地に 地すべり抑止ぐい、グランドアンカーなどの「滑動崩落防止施設」工事を行うことで、直下型地震にも耐えられる災害に強いまちづくりが進められています。
 広島市では平成19年度から大規模盛土造成地を把握し、防災意識を高めることを目的にマップを作製し、公表されていますがそれは何か所ありますか。そのうち、要調査が必要だと判断されるのは何か所でしょうか。

(指導担当局長)
 本市においては、大規模盛土造成地が333箇所あることを確認しており、市民の防災意識の向上を図るため、大規模盛土造成地マップを作成し、ホームページで公表しています。
 そのうち、滑動崩落のおそれがあるかどうかについて、より詳細な調査を行う必要があるのは44箇所です。

(中原ひろみ議員)
 今後、大規模盛土造成地の危険度判定のための調査を実施することになりますが、危険だと判定するだけでは住民は不安が増すばかりです。危険度判定と併せて「滑動崩落防止施設」などの対策工事により、安全性が高まる技術があることを知らせるとともに、具体的な支援事業を構えておくべきではないでしょうか。市の考えを伺います。

(指導担当局長)
 将来発生する恐れのある南海トラフなどの巨大地震に備え、大規模盛土造成地に対する耐震化対策は重要な課題であると認識しており、先ほどご答弁いたしました44箇所については、優先順位を定めて調査を実施したいと考えています。
 この調査に着手するためには、事前に土地所有者に対し、滑動崩落防止対策が必要となった場合の具体的な対策方法を示す必要があると考えています。
 また、こうした対策の実施にあたっては、土地所有者の費用負担を伴うことから、先行している他都市の事例も参考とし、あらかじめ事業主体や費用負担方法などの制度設計を行いたいと考えています。

(中原ひろみ議員)
 民間の危険な擁壁対策についてお聞きします。6月の大阪北部地震で、通学途中の小学生が崩れたブロック塀の下敷きになり犠牲となった痛ましい事件を受け、今議会には、民間所有のブロック塀の撤去費を補助する予算が提案されました。これは、安全なまちづくりを進めたいとの広島市の意志の表れとして歓迎するものです。そこで、もう一歩踏み込んで地域の安全対策に行政の支援を求めたいと思います。
 南区青崎2丁目には、公道に面した墓地の擁壁高さ約5m長さ約30mが部分的に剥離し、崩れた部分は錆びた鉄骨がむき出しのままです。
 何年も放置され、月日の経過とともにその崩落は広がっています。道路を隔てて民家が並んでおり、南区役所が三角コーンを置いて「危険」の表示をし、通行人に近づかないようと注意喚起する措置がされています。が、地域からは「いつ、崩れてくるか不安」だと早期の安全対策を求める声が出ています。開発会社も倒産し、仮清算人の状態です。
 誰が見ても危険な場所ですが、民有地というだけで放置され危険性だけが大きくなっています。このままにしておいてよいのでしょうか。地域住民の安心な暮らしを取り戻すために行政が知恵を出し安全対策を検討すべきではありませんか。

(道路交通局長)
 ご指摘の擁壁については、前面市道の道路管理者である南区もその状況を認識しており、歩行者の接近を防止するためのバリケード設置等の措置を実施しております。
 また、当該擁壁を含む土地の登記名義人を調査した結果、宅地造成を行った開発事業者はすでに解散しているものの、仮代表清算人の存在を確認しており、現在は、この仮代表清算人に対して擁壁の現状を通知し、保全措置を求めているところです。
 引き続き、道路管理者として安全措置を継続するとともに、関係部局とどのような対応ができるのか検討してまいりたいと考えています。

 

(中原ひろみ議員)
 市営住宅へのエレベーター設置についてです。
 エレベーター設置が可能な敷地を有する階段室型市営住宅は33棟あることが決算議会で明らかになりました。
 高齢化社会に伴い、市営住宅に於いても高齢者単独世帯や、高齢者夫婦世帯が増加するばかりです。3階・4階・5階に住む高齢者にとって特に深刻な問題は、足腰が弱くなるにつれ苦痛になる階段の上り下りです。階段の上り下りがつらくて、いきいきポイント事業にもでかけられず、家から極力出かけないようにしているという高齢者もおられます。これから冬場を迎え、灯油缶を運ぶのにまた一苦労しなければなりません。救急で消防署員が担架で搬送する場合、階段室型の搬出は難しいとの声も聴いています。
 現在、エレベーターが未設置の階段室型市営住宅の3階以上に暮らす65歳以上の高齢者は何人おられますか。また、4階5階における空き家戸数の状況についてもお聞きします。  

(指導担当局長)
 平成30年4月1日時点で、33棟の市営住宅の3階以上にお住いの高齢者の数は、239人です。
 また、4階、5階における空き家戸数は、28戸です。

(中原ひろみ議員)
 エレベーターの設置は、市内建築業者の仕事創出にもなるし、高齢者施策として待ったなしです。もっと予算を組んで、エレベーター設置を復活すべきです。いかがでしょうか。市営住宅の高齢化率が増加する中、エレベーターの設置の重要性は増していると思いますが、市はどのようなご認識ですか。

(指導担当局長)
 階段室型市営住宅へのエレベーターの整備については、平成25年度に従来の方針を改め、上層階から1階、又はエレベーター停止階への住替え制度によって対応することとし、同一棟内に限定していた住替えの範囲を団地単位まで拡大するなど、制度を拡大したところです。
 ところで、高齢者や障害者等に配慮した住戸の提供については、平成28年度に策定した「広島市市営住宅マネジメント計画」において、耐用年限を経過したり、耐震基準を満たしていない住宅から、計画的に再編・集約化をはかる中で、エレベーターが設置されていない市営住宅の解消を図っているところですが、高齢化率の増加に鑑み、住替え制度を一層促進を図る必要があると考えているところです。そのため、これまで希望を募って住替え住戸を確保するという方法をとってきた従来の方針を改め、1階に空き家が生じた場合には、街頭の可能性がある方にまで対象を拡大し、情報提供をするなど、より丁寧な対応により、住替えを促すよう、各区建築課に改めて徹底したところです。
 引き続き、住替え促進制度を有効に活用することで、高齢者等に住みやすい市営住宅を提供していきたいと考えています。


(中原ひろみ議員)
 ここからは暮らしの問題について伺います。
 まず、生活保護費の引き下げについてです。生活保護基準は5年前の10%程度の切り下げに続き、今年10月からさらに5%が切り下げられました。安倍政権は、最低生活をしている国民に対して2度もその生活費を切り下げたことになります。
 生活保護基準は、日本の政府として、日本国民の最低限の生活の水準を示すものです。そのため、生活に関わる様々な制度が適用されるかどうかの基準に影響します。
 そこでまず、広島市民の場合、どの制度に影響するか、個別の制度名でお示しください。

(健康福祉局長)
 生活保護基準の見直しに当たっては、軽減や減免の措置が生活保護基準に連動するようになっている、あんしん電話設置事業、重度身体障碍者入浴サービス事業及び国民健康保険の一部負担金減免制度など77事業が影響を受ける可能性があったものの、本市においては、できる限り他制度に影響が及ばないようにとの国からの方針を踏まえて対応を行ったことから、実際の影響は生じていません。

(中原ひろみ議員)
 次に、5年前の切り下げと今回の切り下げで、生活扶助費の基準額はどれだけ切り下げられたのか、
①50歳の単身者、
②75歳の単身者、
③75歳と70歳の2人世帯
④45歳と40歳の夫婦と14歳と10歳の子どもの4人世帯
⑤40歳の母親と14歳と10歳の子どもの3人世帯
⑥35歳の母親と10歳の子どもの2人世帯の場合、
この6つのモデル世帯の場合で示してください。
 また、平成27年度には住宅扶助費が改定されています。どれだけ切り下げられたのか示して下さい。

(健康福祉局長)
 生活扶助費の基準額について、経過措置を除いた額で申しますと、月額で、
①50歳の単身世帯の場合は、5年前の基準改定では1,397円の減、今回の基準改定では3,830円の減、
②75歳の単身世帯の場合は、5年前の基準改定では1,347円の減、今回の基準改定では3,570円の減、
③75歳と70歳の2人世帯の場合は、5年前の基準改定では3,322円の減、今回の基準改定では5,320円の増、
④45歳と40歳の夫婦と14歳と10歳の子どもの4人世帯の場合は、5年前の基準改定では16,957円の減、今回の基準改定では8,930円の減、
⑤40歳の母親と14歳と10歳の子どもの3人世帯の場合は、5年前の基準改定では14,164円の減、今回の基準改定では9,000円の減、
⑥35歳の母親と10歳の子どもの2人世帯の場合は、5年前の基準改定では8,172円の減、今回の基準改定では2,130円の増、となっています。
 平成27年度における住宅藤費の基準額の引き下げについては、経過措置を除いた額で申しますと、月額で、単身世帯の場合が4,000円の減、2人世帯の場合が9,000円の減、3人から5人までの世帯が6,000円の減、6人世帯が2,000円の減、7人以上の世帯が7,000円の減となっています。

(中原ひろみ議員)
 この間、生活保護基準は日本で一番所得の低い第1・10分位の階層と比較して、生活保護世帯の方が消費水準が高いとして引き下げられてきました。しかし、本当の問題は、生活保護基準が高いことにあるのではありません。低所得階層の消費水準が低下しつづけていることに問題があります。
 低所得階層の消費が減っているのは、安倍政権によりワーキングプアのような「低所得層」が政策的に生み出されてきただけでなく、社会保障制度改悪により負担が増へ、将来の不安から消費を抑えざるを得ないからです。
 一番苦しい生活を強いられている世帯の生活水準が、ますます低く追い込まれている実態は、安倍政権の「アベノミクス」の失敗の結果です。
 本来なら国が、低所得世帯の生活水準の底上げに取り組み、貧困を解決すべきなのに、アベノミクスの失敗のツケを、生活保護世帯に押しかぶせるのは、憲法が国民に保障した生存権を脅かすものです。
 政府の社会保障審議会生活保護基準部会の昨年12月14日の報告書でも、「一般低所得世帯との均衡のみで生活保護基準を捉えていると絶対的な水準を割ってしまう」、つまり、健康で文化的な生活どころか、生きること自体に支障が生じるところまで行きかねない、との懸念が示されています。
 所得の一番低い階層の消費水準と比較して、生活保護基準を際限なく切り下げる「負のスパイラル」式の保護費削減は、やめるべきと考えますが、生活保護行政を直接担当する広島市として、どのようにお考えですか。
 このようなやり方をやめるよう、政府に要請するべきだと考えますが、どうされるか、答弁を求めます。

(健康福祉局長)
 今回の生活保護基準の見直しにあたっては、国の社会保障審議会生活保護基準部会において、専門的かつ科学的な見地から議論され、また、減額等となる世帯については、その影響を緩和する措置を講じることとされています。
 生活保護基準のあり方については、国においてナショナルミニマムの確保の観点から議論されるべきものであり、国会での議論において、厚生労働大臣が「宿題として受け止める」という答弁もしていることから、今後の国での検討を見守りたいと考えています。

(中原ひろみ議員)
 次に高すぎる国保料の引き下げについて提案します。
 国保は加入者の所得が低いにもかかわらず、保険料が高いため、広島市でも滞納世帯は2割にも及び構造的な危機に陥っています。全国知事会もこの構造的な問題を解決するために協会けんぽ並みの負担率となるよう「1兆円の公費負担増」を政府に要請しています。
 日本共産党も知事会の提案に大賛成です。党としても国保法を見直し、均等割り、世帯割りをなくし所得割のみにすることを提案しています。
多人数世帯ほど重くなる国保料が軽減できれば広島市にとっても歓迎すべきことではありませんか。
 大儲けする大企業や富裕層に応分の負担を求めれば財源は確保できます。
 国が公費負担を増やすことで「協会けんぽ並み」に、国保料の所得に対す負担率を引き下げよと広島市からも政府に求めるべきではありませんか。

(健康福祉局長)
 国民健康保険料の負担率の引き下げについては、国保の県単位化を進めていることから、国に対する要望は県において取りまとめの方向にありますが、本市においては、いわゆる「白本要望」により、指定都市市長会を通じて、さらなる公費の投入など国民健康保険制度が抱える構造的な課題の解決に必要な財政措置の実施等を要望をしているところです。

(中原ひろみ議員)
 次は幼児教育・保育の無償化についてです。 
 安倍首相は、消費税の10%増税分の一部を、「教育・子育ての財源に回す」と言いながら、来年10月から実施予定の3歳以上の幼児教育・保育の無償化について、給食費は無償化の対象としない方針を固めました。
 給食費が実費負担の幼稚園との公平を図るために、保育園の給食費を無償化の対象外とするというのです。
 子育て世代に痛みが直撃する10%増税に向けた動きを進めながら、給食費を無償化の対象から外すことは明白な公約違反であり、子育て支援への逆行です。
 無償化になると 現在、保育料に給食費が含まれている保育園は、給食費が実費払いとなります。この徴収事務は、保育園が行うと聞いています。保育士が不足し、処遇も不十分ななかで、新たな徴収事務を保育士に負担させるのは論外です。
 さらなる問題は、国が民間か公立かで無償化の費用負担に差をつけようとしていることです。民間保育園は国50%、県25%、市25%とするが、公立の幼稚園、保育園は全額を市に負担させるとしています。これこそ、不公平の極みです。
 いずれ公立幼稚園や保育園をなくし民間へと誘導したいという国の「ねらい」が透けて見えます。無償化による新たな市の負担額はどの程度になるのでしょうか。
 保育の無償化は子育て世帯の切実な願いです。だからこそ、無償化の財源をすべて自治体に求める国のやり方に抗議し、自治体に新たな負担を生じさせないようにすること、給食費も含めて無償化にすることを国に求めるお考えはありませんか。

(子ども未来局長)
 来年10月からの幼児教育の無償化に係る財源の負担方法等については、現在、国においてその詳細が検討されているところです。
 また、本市においては、指定都市市長会を通じ、無償化の実施に伴い必要となる財源は、国の責任において全額負担するよう強く要請しているところです。
 このことから、本市としての新たな負担額について、現時点で、明らかにすることは控えさせていただきます。
 なお、保育園の3歳以上の副食費について、無償化の対象に含めない方向で検討されていることについては、今後の国における検討状況を注視したいと考えています。

(中原ひろみ議員)
 産後うつに苦しむ母親へ支援の拡充について。育児は数年という短い間の母親と赤ちゃんの素敵な時間です。しかし、授乳や夜泣きなど1日中赤ちゃんに付きっきりの生活で、母親は家事どころか自分の食事の時間すらままならなくなります。家族などの周囲のサポート不足、孤独感や育児への不安が込み上げ、赤ちゃんへの愛情を感じられなくなる産後うつに苦しむ母親が増えています。
 2018年9月、国立成育医療研究センターが2015年~2016年の2年間に出産後1年未満の母親92人が、みずから命を絶ったという深刻なデータを発表しました。専門家からも「異常事態」と警鐘が鳴らされています。
 同センターの分析では、出産後すぐの1か月で10人、9か月で13人と、1年を通し産後の母親の自殺が発生し、35歳以上や、初産の女性の割合が高い傾向にあるとしています。
 広島市では平成27年から、産後うつ予防や新生児への虐待予防の観点から産後ヘルパー派遣事業を実施されています。が、支援が受けられる期間は生後56日までと短期間、しかも有料です。
 広島市でも、母親が孤立しないように、心の負担が軽くなるように、産後ヘルパー派遣事業をもっと長期間の支援へと拡充するとともに、利用者負担を軽減すべきではありませんか。
 産後ヘルパー事業が開始されて以降、実績はどのようになっているか教えてください。

(子ども未来局長)
 本市では妊娠期から子育て期にわたり、地域で安心して子育てができるように、助産師が自宅を訪問する産前・産後サポート事業、産科医療機関などで宿泊やデイケアを行う産後ケア事業、議員ご指摘の産後ヘルパー派遣事業を通じて、産前・産後に体調不良や育児不安等がある母親の心身のケアや育児サポートなどの支援を行う妊娠・出産包括支援事業を平成27年10月から実施しています。
 妊娠・出産包括支援事業は、出産に際し、からだとこころの状態が元も不安定な時期である産前8週から産後8週の母親を対象としています。
 産後ヘルパー派遣事業については、産後56日までが利用機関となりますが、利用期間終了後、引き続き支援が必要な家庭には母親の実情に応じて同様の派遣サービスを行う養育支援訪問事業などが利用できるようになっています。実際利用されている人もいることから、利用期間の延長は必要ないと考えています。
 また、事業の利用料金については、所得に応じて一定の負担を求めることを基本的な考えとしつつも、市民税非課税世帯と生活保護世帯については無料としていますので、適切なものとなっていると考えております。
 産後ヘルパー派遣事業の実績については、平成27年度は事業開始後の半年間で13人、延べ91回の利用、平成28年度は71人、延べ486回の利用、平成29年度は88人、延べ671回の利用がありました。

(中原ひろみ議員)
 デリバリー給食の見直しについてです。デリバリー給食の昨年の申し込み率は平均で37.5%と過去最低でした。10%台まで減っている学校では、クラスで数人しか食べないという状況です。これは、給食の目的の一つに「食育の推進」を加えた学校給食法にも食育基本法にも抵触するものです。
 市は、中学校のデリバリー給食の課題解決として、民設民営の給食センターも有力な選択肢になるとしていますが、これは民設民営の給食センターが自校調理よりも優位だと評価されているということでしょうか。そうだとすれば「食育としての給食」への行政責任を放棄するものだと言わねばなりません。そこでまず、自校調理に対する市の評価についてお聞きします。

(教育長)
 本市の自校調理校では、長年にわたって児童生徒に安全でおいしい給食を提供してきているとともに、約半分の学校では地場産物を取り入れた独自献立を実施するなど、給食を活用した食育にも取り組んでいるものと認識しています。
 一方、約120ある調理場の多くで老朽化が進み、改修回収・立替え等が必要となっていくとともに、より高度な衛生管理体制や暑さ対策のための環境整備が必要であるなどの課題があると考えています。

(中原ひろみ議員)
 デリバリー給食を見直すなら自校調理にすべきと考えます。なぜなら、調理方式により栄養教諭の国の配置基準が違うからです。栄養教諭等の配置基準を定めた「教職員定数の標準に関する法律」では、自校調理方式は、生徒550人に一人配置されますが、大規模センターでは6000食までは2名と圧倒的に少なく、民間のセンター方式やデリバリー給食では配置基準がありません。
 栄養教諭の配置基準がない民設民営のセンター方式を市が推進していいのでしょうか。デリバリー給食を自校調理にした場合、何人の栄養教諭が配置されることになりますか。

(教育長)
 現在、デリバリー給食と家庭から持参する弁当等の選択制で給食を実施している中学校は43校あり、その生徒数は約2万人です。
 これを食缶方式による全員喫食とするため、43校全てに自校調理場を整備すると仮定した場合、国の配置基準に従い、全体で23名の栄養教諭が必要となる計算になります。

(中原ひろみ議員)
 デリバリー給食からの転換は自校調理方式を基本にすべきではありませんか。市の見解をお聞きします。

(教育長)
 給食の提供体制のあり方を考えて行くに当たっては、デリバリー給食では必ずしも十分な対応ができていなかった食育の充実やおいしい給食の提供、より安全でより効率的、かつ持続可能な提供体制の構築、先ほど申し上げた老朽化する自校調理場への対応といった課題を、トータルで解決することができる方策を検討していく必要があると考えています。
 民設民営による給食センター方式は、9月議会でも答弁した通り、HACCPの認定を受けた高度な安全・衛生管理体制や各作業工程への効率的な調理員の配置などの面において、自校調理方式に比べて優位性が見て取れます。
 また、コスト面でも、人件費や光熱水費といった運営経費について、自校調理方式などの直営に比べて1食当たりの費用で約28円、年間費用では約3億4千万円ほど、安価となっています。
 このように、民設民営による給食センター方式は、デリバリー給食の見直しなど、学校給食における今後の課題を解決していく際の有力な選択肢になると考えられますが、五日市地区の学校給食センターについては、今年度中に運営状況の評価を取りまとめることとしており、その中で、さらに詳細なコスト面での検証や、安全・衛生面での専門的な視点からの分析等を行っていきたいと考えています。

(中原ひろみ議員)
 11月、中国新聞の投稿欄には自校調理の拡大を求める意見が続きました。
 「食育を強く意識させられる近年は、給食は子どもたちの健康な体を維持するだけではなく食生活を学ぶ場として重要だ」「少子化が進んでいるのだから、近隣の調理施設を持つ学校と協力した親子調理も可能ではないか」「配送コストも、遠方から運ぶより抑えられる」「子ども達が学校で頂く食事は、おなか一杯になればいいというものではない。給食で得られるものは大きい」と大規模センター給食を望む意見はありません。
 国の合理化通知が出される中でも、宝塚市、高崎市は子ども達のためにと義務教育9年間、直営の自校給食を守り続けています。さいたま市はセンター方式から自校調理方式に変えました。旧大宮市は25校に単独調理場を整備し、大規模センターは廃止しました。世田谷区は大規模センター方式から自校調理に順次切り替えています。福山市では、自校調理ないしは小学校との親子調理方式で中学校給食が始まります。
 広島市もこれらの自治体に学ぶべきです。いかがですか。

(教育長)
 本市としては、先ほど申し上げた基本的な考え方に基づき、学校給食の提供体制のあり方を検討していきたいと考えています。

(中原ひろみ議員)
 中学校給食の提供方式の見直しは、まず、広く保護者や子どもの意見を聞いて判断すべきと考えますが、どのようにお考えですか。

(教育長)
 学校給食の提供体制のあり方については、児童生徒や保護者の意見も聞きながら検討を行う必要があると考えており、今年度児童生徒や保護者を対象に実施する予定の「食に関するアンケート」の中で、給食内容の評価や、実施形態としての全員喫食か選択制かに関する意見などについて聞くことにしています。

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