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(中森辰一委員)
かき船「かなわ」について、建築基準法が適用されていないという点について改めて聞きたいと思います。
国は、水上レストランは建築物だとしています。しかし、実際に船舶であるか建築物であるかを判断するのは地方の裁量だとしています。そういうことで、広島市はかき船「かなわ」について建物ではない、船舶だと判断されました。そのため、建築基準法に基づく手続きをしていません。
広島市は、なぜ建物ではないと判断したのか、その根拠は何なのか答えてください。
(建築指導課長)
建築基準法では、建築物の土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱、もしくは壁を有するものと定義しており、かき船が建築部に該当するか否かについては、土地への定着性を有するかどうかについて検討する必要があります。
建築基準法でいう土地に定着する状態とは、水面・海底等に平常的に桟橋や鎖等で定着された状態も含むとの見解が平成元年に国からの通達で示されておりますが、定着性の定義については言及されておらず、各行政庁の判断に任されております。
これを受けて本市においては、かき船のような水面に浮かんでいる工作物については過去の定着性の有無を争点とした判例等も踏まえ、随時且つ任意に移動可能であるかどうかによって土地の定着性の有無を判断し、その結果としてかき船「かなわ」は取り外し可能なロープや碇で係留され、桟橋や給排水のインフラ設備等についても容易に着脱可能な構造となっていることから、定着性を有しておらず、建築物に該当しないと判断をしました。
したがって建築基準法を適用することは考えておりません。
(中森辰一委員)
順に聞いていきますが、「かなわ」は、鉄で造った土台、これを台船と言うのでしょうが、その上に店舗となる建物がつくられています。そういう構造だと思いますが、それに間違いはないですか。
(建築指導課長)
その通りです。
(中森辰一委員)
そこで、疑問に思うのは、仮に水に浮くものとしてつくられていても、その上に構築される構造物は建築物ではないのか、と考えますが、どうでしょうか。
(建築指導課長)
かき船「かなわ」は、そもそも船舶安全法に基づく係留船として中国運輸局による検査を受けており、現地でロープや碇で係留されている状態です。
(中森辰一委員)
お答えになっていないと思いますのでもう一度答弁をお願いします。
(建築指導課長)
台船の上に店舗が位置しているような構造ではありますけれども、その台船そのものが移動可能な状態があるということでございます。
(中森辰一委員)
船だという場合は船舶安全法、建物だという場合は建築基準法、いずれもそれを使う人間の安全のためにつくられた法律です。その適用は、実態に沿って適切に行われなければなりません。それは、その法律を運用する行政の市民や国民に対する責任だと思います。
2006年、かき船問題が明らかになる8年前ですけれども、東京の天王洲運河に浮体式の水上レストラン「Waterline」がオープンしました。これは、浮体構造、つまり船と同じ構造の四角い台船の上に、1階建ての店舗がつくられたものです。
この例は、おそらく広島市の行政も知っているでしょうけれども、常に水に浮いております。この施設は、しかし船であり建物でもあると認定され、様々な法律や規制をクリアすることとともに、船舶安全法と建築基準法、消防法をクリアする必要があり、そのために相当な時間と費用がかかったと言われております。
建物であると認定された根拠は、接岸したまま3か月以上動かないものは土地に定着したものだから建築物だという判断になったということです。
運河は深いので、台船は、常に完全に浮いていないといけない、ですから、この部分は船そのものだ。しかし、3か月以上動かないものは、台船は船だけれども、実態は土地と同じだと、こういう判断で建築物だとなって、その上につくられた構造物は1階建てですが建築基準法、消防法の適用を受けています。
同じ構造のはずの、かき船「かなわ」は、川底についていて動きません。3カ月どころか2015年9月に完成して以降、2年6カ月の間、1回も動いていないし、船として浮いているところを近くに住む人たちも関心を持って見ていますが、確認されたこともありません。
「かなわ」は1階建てどころか、2階建てになっています。この建物は「山陽ホクト(株)」という建築会社が建築をしております。造船会社ではありません。台船部分は船だとしても、なぜその上に構築された構造物は建築物ではないのか。
先日、改めて「かなわ」を見に行きましたが、四角い台船の上に2階建ての建物が建っているようにしか見えません。
東京の水上レストランと同様、船舶安全法の適用とともに、広島市行政は、その責任上、建築基準法もきちんと適用して、建物としての安全を確認しないといけないのではなかったのではないか。
(建築指導課長)
先ほど、東京の天王洲運河にある水上レストランの話がありましたけれども、これを所管する行政庁にも確認をしたところ、まず台船の上に平屋のレストランが位置していると、ただこれは周囲にある流れ止めの杭に常時固定をされておりまして、『上下の動きは可能であっても水平移動は出来ない』というような回答を確認しております。
この辺が今回のかき船「かなわ」とは大きく異なっている点でありまして、かき船「かなわ」につきましては、随時且つ任意に移動できるというところで定着性を有しておらず、建築物に該当しないと判断をしております。
また、「随時且つ任意に」というのは工作物の定着性有無が争点なった判例などを踏まえますと、即時ではなくても移動できるのであれば随時と言えますし、係留地から離れることができるのであれば任意と言えるものと考えております。
(中森辰一委員)
何年も前に同じ前例があったと。つい最近になって調べられたというようなことでありますけれども、私はこういう前例があったということはきちんと見ておけば、判断が変わっていたのではないかと思います。ひいき目で見ればそういう風にも思うわけです。
それでは今の答弁を踏まえてもう一点。かき船「かなわ」は本当に離岸を前提として設置されたものかとこういう疑問もあります。先ほど申し上げたように営業を始めて以降というか、作られて以降、2年6か月以上全く動いていないという状況があります。浮いたところを見たことがない。そういう状況もあります。
かき船「かなわ」は本当に浮くことができるのですか。
(建築指導課長)
そもそもかき船「かなわ」は先ほど申し上げましたけれども、船舶安全法に基づく係留船として中国運輸局による検査を受けておりますし、検査当日も浮いているということを確認していると聞いております。
また、開業前にも本市が現地に行きまして浮いているというところも確認はしておりますし、浮いているからこそ係留船として運輸局での検査に合格していると考えております。
したがいまして、陸側と接続されたインフラ設備等や船体を係留しているロープや碇を取り外すことで必然的に船として移動可能な状態となります。
(中森辰一委員)
それでは浮いたところを実際に市民に見せたらいいではないですか。今までそうしたことを示したことがないですがなぜですか。
(建築指導課長)
インフラ設備等を取り外すことで、もう必然的に船として移動可能な状態となりますし、こうしたことから本市としては、電気・ガス・給排水のインフラ設備等が容易に着脱可能な構造であることの確認を行うことをもって足りるものと考えております。
(中森辰一委員)
市民の方からしきりに離岸した状態を示せというふうに要求をされてきたと思います。しかし、一回もそういうことをやったことはありません。
一旦は、行政の方もこの議会の答弁の中で離岸して見せることが必要だという答弁をしたではないですか。しかし結局その後の行政の中で翻されました。離岸することができないということではないですか。
今言われましたように、毎年離岸可能だということを示す必要がある。今おっしゃったような色々なインフラ設備とかですね、係留している設備、こういうものを切り離すことができますよということを年に1回報告書を出すということをするようになっています。写真を添えた報告書があります。しかしこれは動くということを見せたことにはなりません。動くことを前提にすれば、こういうものが取り外しできないといけないというのは当たり前のことです。この当たり前のことができますよというのが示されているに過ぎないのではないでしょうか。
エンジンはついていませんから、自力で離岸ができないことはわかっています。少なくとも曳航、曳くことによる離岸が可能であることが事実をもって示されないと、船舶とは言えないのではないかと考えますが、いかがですか。
(建築指導課長)
繰り返しになりますけれども、船舶安全法に基づく係留船であるということで検査を受けておりますので、陸側と接続されたインフラ設備等を取り外せば、あとは船を係留しているロープとか碇、これを取り外すことで船として移動可能な状態になるのは、もう明らかだと考えております。
ですので、こうした随時且つ任意に移動可能な構造であるということの確認をもって、離岸させることは考えておりません。
(中森辰一委員)
結局、離れたところを見せることは出来ていないわけですよ。あなた方が確認をされたとおっしゃるけれども、確認をされたというのであれば、何故その証拠をきちんと取っておかないのか。
行政に対する不信がこの問題では非常に渦を巻いているわけですよ、広島市民の間には。
しかし、その不振に対して答えるような証拠をあなた方はもっていない。示すことができていない。というのが今の実態です。
実際は、確かに4本の杭に係留されているように見えます。ロープで固定されています。鎖のついた赤ブイ、碇みたいなものを下げております。しかし、洪水のようなときに流されないように4本の柱で固定している。そういうことをしなければ、そういう洪水みたいなことがなければ満潮時を含めて常に川底に着底した状態を前提として創られた構造物じゃないのかと。 だから離岸を示すことが未だにできていないのではないかと、強い疑問を持っているわけです。
この点について答えることができるものがありますか。着底したままの状態で使い続けるということを前提とした構築物ではないのか。
(建築指導課長)
何度も繰り返しになりますけれども、これは船舶安全法に基づいた係留船としての検査を受けているということで、検査は受けていますけれども、それとともに船舶安全法に基づく、安全性に係る技術基準にも適応していると、運営局から聞いています。
当然その中で係留するチェーン、そういったロープの強度が想定される力に対して耐えられる強度なのか。こういったものも基準を満足していると聞いていますので、着底を前提としたものではございません。
(中森辰一委員)
だけれども実態は着底を前提として使われているではないですか。
ずっと川底に着底して動かないものであれば、これは川底に構築された構築物ですよ。建築物ではないのですか。
通常の、土地にべた基礎で構築された普通の家屋や店舗と変わらないではないですか。川底に置いておいて。それは浮く構造になっているかもしれません。しかし、川底に着底したままで流されないように、つまり通常の土地であれば、例えば洪水がある、津波が襲ってくる。そういう時に流されないようにロープで建物を括り付ける。そういう構造と同じではないですか。
船として使うことを前提にしている構造物ではないのですよ、これは。通常の土地に、定着している構築物と変わらない。これは建築物ではなくて何なのですか。
そうではないというなら、最低限、水上を曳いて見せる。離岸できる。そういう状態くらいは市民に示したらいいではないですか。それができないとなると、これは船舶を装っているとしか考えられませんよ。
それは、船舶安全法に基づいて運輸局の方が検査をしたかもしれません。船としての安全性はあるのかもしれません。浮く構造になっているのかもしれません。しかし実態はそういう使い方をしているわけではないではないですか。
川底に着底したまま、これを前提に使われる。そういうものであるなら、やはりきちんと建築基準法に基づいた安全性、これをきちんとチェックする。そして確認をする。そういうことが必要なのではないでしょうか。
この広島市の行政が、これを建築物ではないということで、建築物としての安全性を確認しない、手続きをしないということになりますと、建築物の安全性を検査して、確認をしなければならないといという市の行政責任を放棄するということになるのではないですか。
市の行政が市民への行政責任の放棄してまで、このような説明できないような、証拠も説明できていないわけですから、そのようなことを行っていていいのでしょうか。
そこのところに、このかき船問題を通じて、市民が根本的な疑問を持っているわけですよ。それまでの経過も色々とありますけれども、その点はいかがですか。
(建築指導課長)
確かに潮の干満の差が激しい本市の河川におきましては、船体の下部が川底に接する時間がありうるものと考えております。
しかしながら、それをもってすぐさま建築物に該当するのではないかということにつきましては、そうではなくて、直ちに建築基準法に基づく建築物に該当するものであるとは考えておりません。
ただですね、もし仮に船の底に泥などがいっぱいたまりまして、浚渫工事を行わなければいけないような事態がずっと長時間、24時間、365日ずっと続くような事になればですね、また事態は変わってこようかとは思いますけれども、そうではない以上はですね、こうした一定の時間帯において水面に浮かんでいない状態をもって、直ちに基準法の建築物に該当するものであるとは考えておりません。
(中森辰一委員)
非常に苦しい答弁をしていると思いますが、そもそも広島市の行政として建築物の検査をして、その安全性を確認するということをしなければいけないのに、あえてその責任を回避している。建築物だということになると、あの位置に設置を認めることができない。そういう恣意的な判断があったというふうに多くの方々が非常に疑問に感じているわけです。
それに答えるようなことができますか。もう一度答えてください。
(都市整備局指導担当局長)
先ほど頼、担当課長の方からご答弁申し上げておりますけれども、このかき船について建築基準法を適用すべきか、されるかどうか。ということにつきましては、建築基準法におきまして、土地に定着する工作物の内、屋根及び柱、もしくは壁を要するものという定義がありますから、この土地に定着する状態にあるかどうか、これを判断する必要があります。
これにつきましては、国の見解が示されておりますけれども、定着性の定義が言及されておりませんので、各行政庁の判断にゆだねられるということになります。
本市においては、判断につきましては過去の定着性のものの判例などを踏まえて、随時且つ任意に移動可能である状態であるかどうか。
これによって土地の定着性の判断をして、その結果として建築物に該当しないということでございますので、先ほど頼申し上げておりますように、かき船については建築基準法を適用していないということでございます。
(中森辰一委員)
それぞれの行政庁の判断にゆだねられていると、そのことをもってあなた方はそういう判断をされたということです。
しかし、あの東京では3か月以上という基準を付けて動かないものはというようなことでこれは建築物にあたるという判断をしているわけです。
広島の場合は、実態として2年6か月の間全く動いていない。土地に定着していると同じじゃないですか。
事態を踏まえて、事実を踏まえてきちんと判断をして、法律を適用していくということをやるべきだとおもいます。
そういうことをきちんとできていないということは、広島市の行政は非常に恣意的なことが行われているのではないかという疑問を、市民は払しょくすることは到底できないと思います。このことを改めて申し上げて終わります。