議会での質問・答弁

2017年02月21日

2017年第1回 2月定例会・予算特別委員会 総括質問 近松さと子議員

2017年第1回 2月定例会・予算特別委員会 議員の発言へ

【発言項目】

1、大型公共事業より市民の望む公共施設整備を

 1)広島駅南口再整備事業と歩行者ネットワーク事業

 2)比治山公園「平和の丘構想」

 3)国道2号高架延伸事業

 4)青少年センターなどの耐震化計画

2、住まい・福祉・子育てへの市民の願いを第一に

 1)市営住宅

 2)高齢者公共交通利用助成事業

 3)保育所待機児問題

3、職員の長時間残業問題について

4、放課後児童クラブ等指導員の欠員問題について

5、サッカースタジアムより介護施設を急いで

・再質問

 1)サッカースタジアムより介護施設を急いで

 2)住まい・福祉・子育てへの市民の願いを第一に(高齢者公共交通利用助成事業)

 3)職員の長時間残業問題について


大型公共事業より市民の望む公共施設整備を

(近松さと子議員)
 広島市は、住民が反対する高速5号線トンネル工事の再開を皮切りに、不要不急の大型公共事業にアクセルを踏み込みました。国が推し進める「地方創生」の掛け声のもと、200万人都市圏構想を打ち上げ、広島・山口県内の23市町と連携し、広島市はこれらの地域の発展の牽引車になると宣言しました。中枢都市としての拠点性を高めるためと称して大型公共事業が目白押しです。

広島駅南口再整備事業と歩行者ネットワーク事業

(近松さと子議員)

 最初に、広島駅南口広場整備と二葉の里の歩行者ネットワーク計画についてお聞きします。
 昨年10月には広島駅新幹線口のペデストリアンデッキが供用開始され、駅舎内を通る南北を結ぶ自由通路の工事を急いでいます。市が周辺開発を行い、駅の利便性が向上すれば、JRが恩恵を受けるのは明らかです。ましてや駅舎にかかわる建設は、鉄道事業者関連の建設会社でないとできないことから、鉄道事業者に有利な価格がつけられる傾向があるといいます。それなのに、自由通路の事業費約131億円のうち約19億しかJRに負担をもとめないというのは、到底納得できません。
 これから、「陸の玄関」だとしてすすめる広島駅南口広場再整備事業は、電車の軌道ルートを一部廃止し、新たに駅前大橋を通り、広島駅構内の2階部分に電車を乗り入れるルートを整備する事業です。市はこの事業により、JRとの乗換え移動時間を短縮でき、紙屋町・八丁堀地区との定時制や速達性が図られ、利用者の利便性向上につながり効果の高い事業だとしています。総事業費は約155億円です。しかし、この事業に対するJRの負担は広場造成費(アスファルト舗装費の1/6)、広島電鉄はレール、架線、電気通信の1/2といいます。そもそも、ルート計画の変更は、広電に大きな利益をもたらします。当然利用者の増加をもたらし、収入増につながると思われます。一体これらの交通事業者は、いくら負担するのですか。

(道路交通局長)
 広島駅南口広場の再整備等における交通事業者の負担額は、平成26年9月に「広島駅南口広場の再整備等に係る基本方針」を公表した際の資産において、総事業費約155億円のうち、広島電鉄がレール、架線等のインフラ外部整備費の一部負担として約14億円、JR西日本が広場造成費の一部負担として数千万円を見込んでいます。

(近松さと子議員)
 公共交通としての重要性は認めますが、広島市の限られた予算の中で、JRと広島電鉄のために巨費を投じているという構図にほかなりません。わずかな時間短縮を理由に、税金が投入され、本市の限られた予算を使うことが妥当でしょうか。お答えください。

(道路交通局長)
 広島駅南口広場は、JRとバスの乗り継ぎが不便であるとともに、ラッシュ時に広場に進入できない路面電車が行列待ちとなっています。さらに、待合場所や憩いの場といった賑わい・交流空間が少ないなど様々な課題を抱えています。
 また、路面電車の広場への進入ルートが迂回しているため、広島駅と紙屋町・八丁堀地区間の所要時間が長く、定時制や速達性の確保が課題となっています。
 これらの課題に対応するため、南口広場の2階レベルへ路面電車を効果で進入させる広場の再整備などに取り組むこととする「広島駅南口広場の再整備等に係る基本方針」を平成26年9月に決定しています。
 本事業は、議員ご指摘の乗り換え時間や路面電車の広島駅と紙屋町・八丁堀地区間の所要時間の短縮だけでなく、交通結節機能の強化や回遊性の工場などを図るとともに、駅周辺地区の市街地再開発事業や自由通路整備などと一体となって、広島の陸の玄関にふさわしいまちづくりを推進するために必要な社会基盤整備であると考えています。

(近松さと子議員)
 さらに、広島駅周辺地区の歩行者ネットワークの計画として、二葉の里地区内の鉄道病院やイズミなど民間施設にまでペデストリアンデッキを延伸する計画を公表しました。ペデができて便利になり恩恵を受けるのは、民間施設です。日頃から、市民に対して受益者負担を強調されるのですから、官民連携などとあいまいなことを言わず、整備費用は、民間施設の事業者に負担してもらうと明確にすべきではないでしょうか。答弁を求めます。

(道路交通局長)
 本市では、「広島駅周辺地区の歩行者ネットワーク計画」に盛り込む基本方針を昨年公表いたしましたが、その中で、二葉の里地区へのペデストリアンデッキの延伸については、道路空間だけではなく、民間の敷地や建物内の道路を活用するなど様々な手法が考えられることから、今後、具体的な計画を検討するうえでの視点として「官民連携による歩行者専用ネットワーク」を掲げたものです。
 ご質問の整備費用の負担については、事業が具体化した段階で、その整備内容に応じて負担するものや額を検討できるものと考えています。

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比治山公園「平和の丘構想」

(近松さと子議員)
 また、平和の名で、新たな開発事業の概要が明らかになりました。被爆70年を契機に被爆100周年を見据えて取り組む先導事業として2016年7月に発表した比治山公園「平和の丘」構想です。昨年12月、3つの期間に分けて事業をすすめる基本計画案が示されました。事業期間第1期目として計画されている公園内の文化施設や被爆建物などの整備は、確かに必要なことです。しかし、2期目には、公園内の高低差の軽減を図るために、エレベーターと展望デッキを整備し、展望台を設けるとしています。さらに、第3期の計画には、レストランまで例示されています。
 そもそも、比治山公園は、都市公園法の総合公園です。1300本の桜の名所として市民に親しまれてきました。都市公園法では、市民生活や都市の在り方に様々な効果をもたらすことから、公園の施設には厳しい条件があり、建物を作ったりするには制限がありますが、どのようにお考えですか。

(企画総務局長)
 展望施設、レストランやカフェといった施設については、都市公園法において、公園内に設置することができる「公園施設」として規定されています。

(近松さと子議員) 
 第2、3期の計画の中味を見れば、平和の丘構想というのは、結局、比治山公園を新たな観光スポットに整備したいというものではないでしょうか。お答えください。

(企画総務局長)
 比治山公園「平和の丘」基本計画の素案では、比治山公園を「年に込められた平和への思い」を共有する場など三つのコンセプトに沿って、国際平和文化都市として復興した広島の「今」を実感できる新たな拠点として再整備を行うこととしていますが、その結果、比治山公園が観光スポットになることはあるものと考えます。

(近松さと子議員)
 被爆100周年を見据えて平和の名を冠する事業なら、今後、こうした再整備計画について、被爆者などの声も聞くべきではありませんか。

(企画総務局長)
 基本計画の素案に対して、先月から約1か月間、広く市民の皆様から意見を募集し、現在、取りまとめ作業を行っています。また、被爆者団体の代表者が委員となっている放射線影響研究所の地元連絡協議会においても、基本計画の素案の概要を説明しています。今後も機会を捉え、市民の皆様の意見を伺いながら、再整備を進めてまいります。

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国道2号高架延伸事業

(近松さと子議員)
 次に、国道2号バイパス高架道路延伸事業の再開についてお聞きします。市長は、昨年、国に対して事業の再開を要望されました。止まっていた大きな理由の一つが、財政難です。今も変わるものではなく、計画が示された2003年から比べても工事単価は上がっており、事業費300億円はさらに膨らむのではありませんか。お答えください。

(道路交通局長)
 国道2号線高架延伸事業の事業費は、平成15年度当時、約300億円でしたが、国はそれ以降見直しを行っていません。
 国からは、今後、事業を再開することになれば、改めて事業費を算定する予定であると聞いています。

(近松さと子議員)
 現在、舟入で止まっている高架道路を平野町まで延伸させ、圏域から市内への流入時間の短縮、渋滞緩和により、都心部へのアクセスをしやすくするとしていますが、あらたな道路ができアクセスしやすくなれば、都心部への車の流入の増加につながります。これまで、車優先から自転車・公共交通機関を使い、歩行者にやさしい交通政策をおこなうとし、都心部では、過剰になった駐車場も減らすという検討が進んでいます。国道2号高架道路を延伸し車が増えれば、車優先への逆行ではありませんか。お答えください。
 都心部への車の流入を抑制する東西の通過車両対策は、広島南道路の国道平面部の元安川渡河部の整備で可能です。狭いデルタの都心部に3つ目の国道を整備するのは、不要不急の無駄遣いと言わざるを得ません。

(道路交通局長)
 高架道路を延伸すれば都心部に流入する車が増加するのではないかとのお尋ねですが、あくまでもこの事業は、広島西部地域から都心部へ向かう交通をデルタ内の各島に円滑に分散導入することで、現状において生じている渋滞の緩和を図り、さらに、沿道環境の改善を図ることを目的に実施するものです。 

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青少年センターなどの耐震化計画

(近松さと子議員)
 新年度の予算では、平成28年度末の市債残高は、過去最高の1兆1000億円になるという見込みが示されました。また、市債発行額が見込みよりふえて、財政運営方針での目標に達することができませんでした。予算編成にあたりだされた依命通達でも、新たな借り入れは抑制せざるを得ないとしています。
また、広島市が2月に決めた「公共施設等総合管理計画」では、毎年、約203億円が不足するため、3300余りのすべての施設の修繕費や更新の需要に対応できないとして、統廃合も検討しています。これから進めようとしている大型公共事業も早晩更新費用が問題になってきます。そのことをどのように考えておられるのでしょうか。
 今、求められる財政運営は、新たな借り入れを抑制して財政再建を図りながら、災害に備え、市民生活にかかせない公共施設の更新やインフラ設備の維持補修を行っていくことです。そのためには、急がなくてもいい大型公共事業や新たな開発事業は中止すべきだと考えますが、市のお考えを伺います。

(財政局長)
 厳しい財政状況の下での施策展開に当たっては、「選択」と「集中」の考え方の下、市民福祉の向上を図ることはもとより、都市としての活力を生み出すまちづくりを推進し、税源の涵養につなげていくことも重要であると考えております。今、進めようとしている公共事業は、こうした観点から、いずれも必要不可欠と考えたものであり、将来世代への負担にも十分留意しながら、計画的かつ着実に進めていくこととしています。
 こうした中、議員ご指摘の老朽化する公共施設の更新や維持補修については、「公共施設等総合管理計画」に基づき、計画的に取り組むこととしており、また、公共施設の耐震化についても、昨年の熊本地震を教訓に、その取り組みを加速化しているところです。

(近松さと子議員)
 青少年センターの更新計画についてお聞きします。「公共施設等総合管理計画」で複合・集約化を検討していく施設としてあげられました。昨年末に計画の素案で、この方針を知った青少年センターを利用している若者たちが、声を挙げていると報じられました。文化活動や自主的な活動ができる居場所としての機能を残してほしいというものです。私もかつて、所属していたボランティアサークル活動のために利用し、青少年センターに愛着を感じている一人です。
 これまで、青少年センターはどのような役割を果たしてきたとお考えですか。

(教育長)
 青少年センターは、主として青少年に、ボランティア活動などの自主活動や音楽・演劇など文化活動の場を提供しており、未来を担う青少年が、自主性・社会性を身に付け、豊かな人間性を涵養し、創造性をはぐくむために重要な役割を果たしてきていると考えています。

(近松さと子議員)
 公共施設等総合管理計画では、「より幅広い年齢層の市民が多様な目的で利用できる施設とする必要がある」としていることから、若者の居場所がなくなるのではないかと心配されます。青少年センターの更新にあたっては、若者たちの声をうけとめて検討を進めていくべきではありませんか。お答えください。

(教育長)
 青少年センターの更新に当たっては、汎用性の高いホールや会議室等を備えていることから、他のハコモノ試算と同様により多様な目的での利用が可能となるよう見直しを検討することとしていますが、若者等現在の利用者の利便性にも配慮しつつ今後の中央公園の在り方検討の中で検討したいと考えています。

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住まい・福祉・子育てへの市民の願いを第一に

(近松さと子議員)
さて、雇用や社会保障が壊されて、貧困と格差が拡大し、市民の暮らしは大変です。今こそ、税金の使いみちを大型公共事業優先から市民第一に転換すべきです。

市営住宅

(近松さと子議員)
 そこで、最初に市営住宅についてお聞きします。
少ない年金では暮らせない市民の悲鳴が聞こえてきます。市営住宅の応募者の数は、年間7000人を超え、応募者のうち高齢者やひとり親や障害者などの比率が高くなっています。広島市では1年に4回、市営住宅の空き家への入居者募集が行われますが、1戸当たりの応募倍率は、昨年度平均で23倍です。市営住宅に入りたいが、何度申し込んでも抽選に当たらないという声が、私たちのもとにもたびたび届きます。
 一方、昨年4月1日の広島市の市営住宅の総数14,609戸のうち、様々な理由で空けておく必要があるとする「政策空き家」を除いても、市民に提供することが可能な空き家が1,344戸あります。ところが、昨年度公募に出して市民に提供した市営住宅はその4分の1以下の327戸だけしかありません。公募に出すためには、「空き家修繕」ということが必要ですが、この予算が年間2億5千万円程度しかないからです。
 現状の予算、約2億5千万円を4倍の10億円にすることによって空き家のほとんどを解消することができます。そこまでできないというなら、2倍の5億円にすれば、この問題は3年で解消できます。どうされるか、明確な答弁を求めます。

(指導担当局長)
 市営住宅の空き家については、可能な限り入居していただけるようにする必要があると考えていることから、今年度は、近年の平均より100戸程度多い435戸を公募に出しました。
 また、ご指摘の空き家修繕予算については、財政状況が非常に厳しいなか、当面、平成29年度から平成31年度の3年間については、各年度4000万円を増額し、約2億9000万円の予算を確保することとしました。
 着実に一般空き家の削減に努め、公募倍率の緩和と施設の有効活用を図っていきたいと考えています。

(近松さと子議員)
 市民の切実な要望に応えるためには、市営住宅の戸数を増やすことが必要です。すでに策定された広島市市営住宅マネジメント計画では、今後10年間は現状の14,600戸を維持し、その後は減らしていくとしています。その中で、建設コストの関係で民間住宅の借り上げといった手法も検討するとされています。
 そうした手法も含めて、いまの市営住宅への市民の高い需要に対して、どのように具体化されるのか答弁を求めます。

(指導担当局長)
 高齢者障害者などのニーズが多様化する中で、国において、民間賃貸住宅の新たな活用方策の創設に向けた準備が進められていることから、その動向を注視しつつ、民間賃貸住宅市場の環境整備を進め、市営住宅と合わせた弾力的なセーフティネットをつくっていきたいと考えています。

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高齢者公共交通利用助成事業

(近松さと子議員)
 広島市は、高齢者のこの助成制度をゆくゆくは廃止し、かわりにポイント制度を創設する見直しを示しました。今、それでは困るとして継続・拡充をもとめる請願が議会にだされました。これまで、全国で高齢者のために敬老パス事業がおこなわれています。年間130億円の予算を組む敬老パスの先進地名古屋市では、この事業の検証をおこない、報告書をまとめています。それによれば、高齢者が家に引きこもらず、外出する動機につながるから社会参加や健康づくりに役立つと評価しています。本市と違って、買い物や通院にでかけることも高齢者にとって意味のあることと位置付けているのです。さらに、自家用車に頼らなくなるため環境にも優しいし、外出することで買い物も促し、地域経済に300億円の波及効果があったという内容がまとめられています。
 また、2003年から高齢者のボランテイア活動にポイントを付ける制度を始めた横浜市は、同時に敬老パスにも年間80億円の予算を投じています。そもそも、ポイント制は、市民の保険料や国や市の税金を収入源とする介護保険特別会計から賄おうというものです。しかも、どれくらいの人が利用するか当局でさえわからないものです。お聞きしますが、それぞれ目的も財源も異なるものを置き換えるという発想は、おかしいのではありませんか。本市も横浜市の取り組みを見習い、交通費助成制度を削減せず、ポイント制度の両方をおこなってはどうでしょうか。答弁をもとめます。

(健康福祉局長)
 新しいポイント事業は、現行の交通費助成制度を本来の目的に沿った制度に改めるため、高齢者の社会参加を的確かつ効果的に進めるという新しい観点から導入するものです。
 したがって、新しいポイント事業が機能を果たすようになれば、現行制度の役割は必然的に新しいポイント事業に引き継がれることになると考えています。

(近松さと子議員)
 今、高齢ドライバーの交通事故が社会問題になり、免許返上すれば交通費の補助をする制度が広がり、交通費助成制度が見直されています。高齢化する住宅団地では、地域生活交通を走らせて、地域コミュニティ再生に向けて努力が重ねられています。公共交通利用助成制度は、こうした地域生活交通も対象としており、利用促進にも一役買っているといえます。
 お聞きしますが、地域生活交通の拡大が言われ、交通弱者の対策が求められているときに、廃止の方向を向くということは、こうした施策に逆行するものではありませんか。高齢者の公共交通機関利用助成事業の新たな役割についてどのようにお考えですか。お答えください。

(健康福祉局長)
 地域生活交通については、今後、路線バスの再編や、小型バスや乗合タクシーの活用等も含めた運行形態の見直しなどを着実に進めることにより、将来にわたるその維持・確保に積極的に取り組むこととしています。
 また、新しいポイント事業は、公共交通機関利用助成と同じく、あくまでも高齢者の社会参加を促すために導入するものであり、議員のご指摘は当たらないと考えています。

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保育所待機児問題

(近松さと子議員)
 「保育園落ちた」というブログが話題となり、待機児解消は重要な政策課題になっています。昨年4月時点で、本市の保育所の待機児は161人だと政府に報告されましたが、この時の入所待ち児童数、実際の待機児数は587人でした。161人は政府が決めたルールで数えた場合の人数で、これよりはるかに多い隠れ待機児があると多くの報道機関が報じています。
 毎年度、最初から600人近い実際の待機児がいて、仕事をしなければならない親たちが困っています。待機児童の定義をあらためて、実態に合わせるべきではありませんか。

(こども未来局長)
 本市においては、入園待ち児童のうち、近くに入園可能な保育園があるにもかかわらず、特定の保育園を希望していることなどにより、保育園に入園していない児童を除いた児童を待機児童としています。
 これは私的な理由などによるものであることから、国の定義においても待機児童から除外されているものです。
 いずれにしても、現在、国において待機児童の定義の見直しについて検討が行われており、見直し後は、その取扱いに沿って対応してまいります。

(近松さと子議員)
 また、広島市は毎年1,000人近く定員を増やしてきましたが、年度当初の待機児数をゼロにはできてきませんでした。待機児ゼロを実現するためには1,000人プラス600人といった規模で定員を増やすべきです。いかがでしょうか。

(こども未来局長)
 本市としては、社会経済状況による潜在的な保育需要の喚起や新たな団地やマンション開発などの地域特性を精緻に反映させたうえで、地区ごとに保育需要を推計し、国が定義する待機児童の解消に向けて、引く続き、定員拡大を行うことにしています。

(近松さと子議員)
 これまで、待機児は3歳未満児が圧倒的に多いことから、小規模保育など3歳未満対象の保育事業を増やしてこられました。しかし、だからといって、3歳未満児までの保育所ばかり増やすと3歳になったときに保育所を替わらなければならず、子どもたちの負担が大きいことと、保護者にとっても、いったん入園したのに3年先に再び入園先を探さなくてはならないことになります。全国で3歳の壁と呼んで、問題になっています。
 基本的な姿勢として、ゼロ歳から卒園まで、保護者の都合で変わる以外は同じ保育園で保育するべきです。この点について、広島市はどのようにお考えか伺います。

(こども未来局長)
 本市においては、3歳未満児を対象とした小規模保育事業所をここ1,2年で加速度的に増やしてきましたが、これは待機児童の9割が3歳未満であるという実態に実践的な対応を行うため、取組を進めているものであり、在園児童が3歳になった場合には次の保育園への円滑な移行を確保しています。
 待機児童を解消していくためには、現時点においては、こうした取り組みが最善の策と考えています。

(近松さと子議員)
 待機児解消にとって、保育士の確保が大きな問題です。重い責任を伴い厳しい職種であるにもかかわらず待遇が低いために、資格があっても保育士として働かない人たちがたくさんいます。広島市は、国の公定価格の加算に上乗せして補助をしていますが、こうした広島市やこれからおこなわれるとする政府の対策で、民間保育所の保育士の待遇は、どれだけ改善されるのか、伺います。

(こども未来局長)
 平成29年度における市立保育園の保育士の給与改善額については、本市の保育士等処遇改善事業が、月額6,600円、国の公定価格における賃金改善用見分が月額15,000円で、合計月額21,600円を見込んでいます。
 さらに、この改善額に加えて、国において、技能・経験に応じた処遇改善が図られる予定であり、経験年数がおおむね7年以上の一定の研修を受講した副主任保育士に月額4万円、経験年数がおおむね3年以上の一定の研修を受講した職務分野別リーダーに月額5千円が上乗せされることになっています。

(近松さと子議員)
 現実には、他の職場で働く人より平均11,5万円以上もある給与格差が抜本的に改善されたわけではありません。ここをどう埋めるか、さらなる取り組みが必要です。実際に保育所運営費の抜本的な引き上げを政府に求めるとともに、広島市行政としても民間保育所への一層の財政支援が必要だと考えます。どうされるか、答弁を求めます。

(市長)
 近松議員からのご質問にお答えします。「保育所待機児問題」のうち、「国に対する保育士の処遇改善の要望及び民間保育所への一層の財政支援」についてのご質問がございました。
 保育人材確保のための総合的な対策として、国は、「日本一億総活躍プラン」において、2%相当の処遇改善を行うとともに、キャリアアップの仕組みを構築し保育士としての技能・経験を積んだ職員について現在4万円程度ある全産業の女性労働者との賃金差がなくなるよう、追加的な処遇改善を行うこととしています。
 本市としては、待機児童対策として保育士の安定的確保を進めている状況の中で、保育士の処遇改善は喫緊の課題であることから、その拡充強化について、これまでも国に対して指定都市と共同で要望活動を行っており、今年度は特に本市独自でも要望活動を行いました。
 来年度においては、国によるさらなる処遇改善に合わせて、本市独自の処遇改善の補助及び保育士の負担軽減を図るための保育補助者の雇用経費の補助を継続して実施することとしています。
 また、年度当初から安定的に人材を確保できるよう、定員払い事務費の補助単価の拡充を図り、さらに、「広島保育・介護人材応援プロジェクト」の取組として、地元企業、事業者、市が協力して新たに買い物支援サービスを行い、実質的な処遇改善を図ることとしています。
 今後においても、国の処遇改善などの状況を踏まえながら、必要な処遇改善等の検討を行い、待機児童解消に向けて保育士の安定的な確保に努め、安心して子供を産み育てることのできる環境づくりを進めてまいります。

(近松さと子議員)
 関連して、新らたに始めるという保育・介護人財サポート事業についてお聞きします。
地元企業、事業者、行政が一体になって買い物補助券を配るなど保育・介護職員に対して、買い物支援サービスをおこなうとされています。その中で、年間12,000円の買い物補助券のうち、半額を市と保育・介護事業者が負担するものです。これに対して、経営が厳しい保育・介護事業者からは、それがだせれば職員の給与にまわすという声も出ています。今回、地元企業が応援することや自治体が独自に支援策を行うことを否定するものではありませんが、福利厚生の改善をはかる目的なら、保育・介護事業者に負担を求めず、市が補助券全額を助成するというやり方もあるのではないでしょうか。

(経済観光局長)
 本市では、今月2日に、地域団体、経済団体など地域の多様な関係者が協力し、保育・介護人材を社会的財産として地域全体で確保・育成していくことを目的とした「ひろしま保育・介護人材応援プロジェクト」を立ち上げました。
 保育・介護人財サポート事業は、このように「共助」をベースとするプロジェクトの取り組みの一環として実施するものですが、買い物補助券に係る経費は雇用主である事業主と本市で折半することとしています。
 これは、保育・介護に従事されている職員は、第一義的には、事業主の行う事業を支えるものであり、事業主がその必要性・重要性を認識し、従事する方の働きがいや、職としての魅力の向上につなげていくことを確実なものとする観点から、一部の費用を負担してもらうこととしたものです。

(近松さと子議員)
 また、2年前、市は、保育士以上に離職率が高い特養ホームや障害者の施設の介護職員に対して、支給していた給与改善費補助を廃止しました。勤続30年の介護職員で月5千円給与の上乗せがなくなり、処遇改善をする気があるのかと介護職員から声が上がりました。このことについてどのように考えていますか。共助を強調し、自治体の直接的な財政支援・公助は減らしたいという意図はないのでしょうか、お答えください。
 県の調査によると、介護士・保育士に聞いた労働条件の改善の希望は、福利厚生はわずか2,2%しかありません。一方、給与の改善の希望は45,7%にのぼり、ダントツ1番です。これにこたえることが、広島市も含めて政治の責任だということを肝に銘じるべきです。

(健康福祉局長)
 本市では、平成27年度の介護報酬改定において、地域区分の見直しにより、人件費の上乗せ割合が6%から10%に引き上げられたことなどにより、単独市費で重ねて補完する必要がなくなったことから、平成26年度をもって、社会福祉法人を対象に常勤職員の本俸月額等の2%を補助していた制度を廃止しました。
 これらの事業に充てていた財源は、質の高い人材の育成・定着を図る広島市介護マイスター事業などに活用しています。
 したがって、公助を減らしたいのではないかというご指摘は当たらないと考えています。

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職員の長時間残業問題について

(近松さと子議員)
 昨年12月、広島市役所に入って2年目の女性職員が自殺していたことが明らかになりました。月100時間に及ぶ残業していたことによる過労自殺だとして遺族が公務災害の申請を行ったものです。「人の役に立ちたいと市役所にはいったのに、娘が不憫でならない」と報じられた遺族の言葉が胸に突き刺さります。 昨年は、大手広告代理店電通の新入女性社員の自殺が、長時間労働による労災と認定され、大きな社会問題になったばかりでした。
 2014年(平成26年)「過労死等防止対策推進法」が制定され、国を挙げて、「過労死のない社会」をめざそうという時に、行政の職場で、過労自殺などあってはならないことです。
 これまで、市民にワークライフバランスを提唱してきた市長が、自らトップをつとめる市役所で長時間残業をおこなっていた職員が自殺をしたことは、重大な問題です。どのように認識されていますか。

(企画総務局長)
 一昨年10月に若い職員が自殺するという事案がありましたが、これについては、現在、地方公務員災害補償基金において進められている長時間の時間外勤務との関連性についての調査に、迅速かつ的確に対応しているところであり、これを重く受け止め、引き続き真摯に対応していきたいと考えています。 

(近松さと子議員)
 政府が発表した「過労死対策白書」でも、仕事が原因となった自殺は、年間2,000人を超え、最近は、20代など若い人に増えています。新入職員は、就活自殺が問題となるような過酷な就職戦線を経験して、狭き門の正規職員の職を手にしています。労働基準法も知らず、仕事のイロハも要領よくこなす術も身についていません。1人前になる前に、即戦力として過大な負担を負わしているのではありませんか。
 一方、新入職員を迎える市役所の職場はどうでしょうか。国からの権限移譲や保育や介護保険制度が大きく変わり、その上、200万人都市圏構想により業務は増えています。市税事務所や区役所などの窓口では、市民からの苦情や相談の対応におわれています。新入職員に配慮をするどころか、余裕のない職場になっているのではありませんか。
 本来、労働基準法で、労働時間の上限は決まっています。地方公務員にも適用されるものです。法定の労働時間を超えて働かせる・残業させるためには、労働組合との36協定が必要ですが、労働争議権がないとして本庁や区役所の一般職員には、適用されていません。だからといって、青天井でいいわけはありません。人事院は、年間360時間、1か月に直せば30時間という基準も示しています。そもそも、残業については、労働基準法33条で、災害などの臨時の必要な業務の場合に限るとされています。
 過労死が社会問題になって四半世紀がたち、厚労省がつくった過労死の認定基準は、月80時間です。そこで伺います。労働安全衛生法は、月100時間以上の長時間労働をした職員に産業医の面接を行うようにもとめています。昨年、産業医の面接を受けた職員数は何人ですか。また、このうち新入職員は、何人いますか。

(企画総務局長)
 1か月の時間外勤務時間数が100時間を超えた職員及び3か月間の時間外勤務時間数が1か月あたり平均で80時間を超えた職員を対象に、産業医が行っている面接指導を受けた職員数は、市長事務部局において平成27年は386人となっています。
 また、このうち平成27年度に採用された新入職員は15人です。

(近松さと子議員)
 滋賀県庁では、20人の職員が、年間1000時間を超える残業をしていたと国会でも問題になりました。本市で昨年、年間1000時間を超える残業を行っていた職員はいるのですか。その数を教えてください。1年間に残業した最長時間は、何時間でしょうか。

(企画総務局長)
 平成27年度において、年間1000時間を超える時間外勤務を行った職員は41人でこのうち最長の時間外勤務を行った職員は、1,715時間となっています。

(近松さと子議員)
 こうした実態をどのよう受け止めていますか。職員の命と健康を守るために、過労死ラインを超える異常な長時間残業をなくすことがもとめられています。どのような対策をとられるのか、お答え下さい。
 本市では、この間、職員を減らしてきました。20年間に約3,600人3割の削減、2007年度からでも2,405人の職員が削減されました。行政改革計画では、2018年度までの4年間でさらに、80人の人員削減を行うとしています。
 お聞きしますが、業務が増えているのに、職員を削減しながら、長時間残業をへらすことができるのでしょうか。職員が過労自殺したのではないかといわれているときに、この4月から30人を超える人減らしを行うなど言語道断です。
 本気で、職員の命と健康を守るというなら、削減計画を中止し、増員すべきではありませんか。

(企画総務局長)
 これまでも時間外勤務の縮減に努めておりましたが、ただいま答弁しましたように、多くの職員が長時間の時間外勤務を行っている状況にあることから、その問題点を究明するために、改めて検証を行いました。その結果、昨日の碓氷議員のご質問に市長が答弁しましたとおり、勤務時間を管理する立場にある「所属長の意識改革」を促し、「職場風土の醸成」を図ることにポイントを置いて取組みを強化していくことにしたものです。
 具体的には、例えば、所属長に部下の時間外勤務に関する目標を設定させ、その達成状況がその所属長の人事評価に反映されるようにすることにしました。
 また、定型的な業務が多い職場においては、「職員の時間外勤務が100時間を超える月がないようにすること及び3か月平均で月80時間を超えないこと」を共通の目標として、所属内の業務分担の見直し等による業務の平準化を図ることなどにも取り組むことにしています。
 今後は、こうした取り組みとともに、さらなる職員配置の適正化に向けた取り組みを着実にしていく中で、必要となれば、80人の職員削減目標を定めた行政改革計画を見直すことも視野に入れてまいります。

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放課後児童クラブ等指導員の欠員問題について

(近松さと子議員)
 今や市の仕事と言えども、非正規職員が3割を超えています。この間、正規職員の削減で臨時・嘱託職員への置き換えが進められてきました。市民サービスの最前線や子どもの育ちにかかわる分野で働く多くが臨時・嘱託職員です。児童館や放課後児童クラブの指導員は、全員、また、保育園保育士の半数、学校給食調理員の7割が、臨時職員と嘱託職員です。放課後児童クラブ指導員の給与の初任給は、月14万7千円で32年勤務しても21100円の加算があるだけです。 学校のある日は、1時から夕方の6時半までの5,5時間勤務とされています。昨年のこの時期実施した嘱託職員である放課後児童クラブの正規指導員の採用試験では、80名の募集に対して62名しか応募がなく、深刻な欠員状態に陥りました。放課後児童クラブは、春休みから1年生が入ってきます。正規指導員が足らず、臨時職員で対応したところでは、午前は、正規の指導員ですが、午後から臨時職員が日替わりで配置されたといいます。こんな状態で、新しい環境に不安な気持ちをかかえて入会してくる1年生に十分寄り添うことができるのでしょうか。
 そこでお聞きします。現在実施している放課後児童クラブ指導員の採用試験の募集人数と応募者数を教えてください。

(教育長)
 現在実施している児童館・放課後児童クラブ指導員の採用試験では、70名程度の募集に対し、応募者は58名でした。

(近松さと子議員)
 募集人員に対して応募者が下回る事態は、なぜ起きていると考えられていますか。

(教育長)
 応募者が募集人員を下回った理由については、雇用情勢が改善している中で、利用者の急増に伴う、大幅なクラス増設に寄り、短期間のうちに大量の求人を行う必要が生じたことから、早期の人材確保が難しくなっていることが原因であると考えています。

(近松さと子議員)
 人材を確保するためには、処遇改善が待ったなしだと思いますが、どのようにお考えですか。

(教育長)
 指導員の処遇改善は、国の補助金の多寡や他の非常勤職員との均衡などについて慎重に検討する必要がありますが、人材を確保するうえでの重要な方策の一つと認識しています。

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サッカースタジアムより介護施設を急いで

(近松さと子議員)
 中央公園の自由・芝生広場が、サッカースタジアム建設候補地として再浮上し、隣接する基町住宅団地自治会から、騒音など住環境への影響などを心配して、反対の声が上がっています。 そもそも、中央公園は、1952年(昭和27年)3月に決定された「広島平和記念都市建設計画」の中で、復興の大きな柱として「平和記念公園」と並んで整備された公園です。
 市内の中央に位置し、広島城をはじめグリーンアリーナ、ファミリープール、図書館、美術館もふくむ40haの広大な総合公園です。都市景観にも優れているとして、平和記念公園とともに名園百選や都市景観百選にも選ばれました。中央公園の芝生広場は、休日にもなるとフットサルに汗を流す若者の姿を見かけますし、自由広場は、ジョギングやグランドゴルフを楽しむ市民に親しまれています。市の中心部における貴重な市民の憩いの場です。また、地震・津波・大規模な火災など災害時には指定緊急避難場所になっています。
 そもそも、都市公園は、利用する市民へさまざまな効果をもたらすとともに防災、環境維持や心理安定も生むとされています。
 この場所にサッカースタジアムが建設されることになると、こうした機能を失うことになりますが、どのように認識されていますか。

(市民局長)
 サッカースタジアムについては、1月24日、基町地区社会福祉協議会及び基町連合自治会の役員等で構成される「基町の明日を考える会」より、議員ご質問のような申し入れ書及び質問書をいただいております。
 景観も優れ、多目的な空間としての機能や、災害時の指定緊急避難場所としての機能などを有している中央公園自由・芝生広場については、その機能の維持・向上などに十分配慮しつつ、地域の方々のご意見も踏まえながら、スピード感をもって検討してまいります。

(近松さと子議員)
 1月4日から中国新聞に連載された「あかね空の下で」を読まれましたか。高齢者ケアの明日を考えるとして、高齢化率46%の基町住宅団地を密着取材した特集記事です。私も人生の夕暮れ時が、西の空を彩るあかね色のようであってほしいという思いを共有しながら読み終えました。基町住宅団地の高齢者は、半数が一人暮らし、認知症もかかえる人も少なくありません。自治会などが、「孤立死を生むまい」とふれあいサロンや支え合い活動にどこよりも積極的に取り組んできました。また、昔ながらのご近所同士のつきあいも残っています。
 そして、支援の必要な高齢者の生活をささえているのは、基町地区包括支援センターです。連載の中で、「ここがあなたの居場所」と受け入れ、センターが実質的に宅老所になっている場面もでてきます。SOSがあれば、24時間365日自宅へ駆けつける職員の奮闘もたびたび紹介され、献身的に支えている姿に頭が下がる思いです。ここで紹介された事例は、本来は、包括支援センターの業務を超えたものかもしれませんが、高齢者の生活を支えるために、やむに止まれずおこなっているものです。
 そこまでやらなくてはならないのは、基町地区には、「泊り」のある介護サービスがないからです。「泊りのサービスがあれば、最後まで住み慣れた基町で高齢者を看取ることができるのに」連載の最後に登場した包括支援センターの所長さんもそう強調しました。
 これまで、住宅部門を中心に、基町住宅地区活性化計画の中で、団地の空き店舗や空き室を活用して、小規模多機能居宅介護施設というデイサービスの利用者に泊りの支援も行える小規模施設ができないかと模索されてきました。しかし、店舗は、耐震性がないため難しい、住宅は、グループホームでないとだめと進展しません。何年たっても具体化せず、私も決算特別委員会で「もうまったなし」と対策を急ぐように求めたところです。
 そこで、改めてお聞きしたいのは、県営住宅の廃止された後の国有地の活用についてです。国は、2010年、未利用の国有地は売却を優先するという管理処分方針を改め、社会福祉事業などには、定期借地権を利用した貸し付け制度を導入し、地域との連携強化を打ち出しました。実際に、千葉市では、県の施設を廃止した後の国有地に30年間の定期借地権を設定し、社会福祉法人によって特養ホームが建設されました。
 お聞きしますが、国有地である基町県営住宅の跡地に、国の貸付制度を活用して、泊りのできる介護施設を建設することは可能でしょうか。これまで、中国財務局へ打診や協議を行ったことはあるのでしょうか。
 中央公園も基町住宅団地も国有地です。国有地を活用するなら、「サッカースタジアムよりも住民が安心して住み続けられる介護施設をつくってほしい」これが住民のねがいです。どのようにお考えですか。お答えください。 

(健康福祉局長)
 65歳以上の高齢者が約半数を占め、また一人暮らしの高齢者の割合が高い基町地区において、身近な場所で泊りのできる介護施設が整備されることは、基町地区の高齢者が介護が必要な状態になっても、地域で安心して暮らせることにつながるものと考えます。
 県営基町住宅跡地の活用に関しては、現時点では、中国財務局への打診等は行っておりませんが、今後の基町地区のまちづくりの視点に立って検討する必要があると考えております。

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再質問

(近松さと子議員)
たくさんの御答弁ありがとうございました。大型公共事業を私たちは全て否定しているものではありませんのが、公共事業などをどんどんやることによって、産業が進行して市民の所得が増える。そういうことを言われるわけですけれども、やはり財政運営の上からも慎重にしなくてはいけませんし、またその使い方としても、今日求めました保育士、それから介護職員への直接的な処遇改善の給与改善費など。また、募集しても人が集まらない非常勤職員である指導員さんへの給与を引き上げるなど、こういう直接的に働く人たちの所得を引き上げる。これも市民の所得を引き上げていく、それで消費を向上させていく、地域経済にも貢献していくそういうやり方じゃないかと思います。そういう中で、市営住宅については一歩前向きに答えていただいたんじゃないかなと思います。そこで3点ほどお聞きします。

サッカースタジアムより介護施設を急いで

(近松さと子議員)
 基町団地の問題です。基町団地の自治会の方などが中心となった会の方が質問状を出されたんですが、それはいつ回答されるんでしょうか。

(市民局長)
 サッカースタジアムに関しまして、基町の明日を考える会からの申し入れ書及び質問書についての回答をどうするのかという御質問がございましたが、申し入れ書及び質問書の項目のうち、現時点で回答が可能なものにつきましては、今月中を目途に文書で回答を行いたいと考えております。
 また、騒音対策、渋滞対策等については、専門家による調査が必要であるため、平成29年度予算に調査費をお願いしているところでございまして、これを踏まえて回答していくものもあるということでございます。

(近松さと子議員)
 そして、今、高齢者健康福祉の方では、(泊まりのできる介護施設の)必要性は認めるがまだ国有地の活用については具体的には何もしていない、検討していないということなんですけど、ぜひ国有地を借りてそういう施設を作ったところも調べて、基町でどういうことができるか調査すべきだと思うんですが、それについて、いつ回答されるのか、国有地の活用について調査すべきではないかということで、ちょっとお聞かせください。

(健康福祉局長)
 県営基町住宅跡地への泊まりのできる介護施設整備にかんして今後調査していくべきではないか、あるいは地元に回答すべきではないかという御質問がございました。本市といたしましては、もとより基町ちくへの泊まりのできる介護施設の必要性については十分認識をいたしております。県営基町住宅跡地における泊まりのできる介護施設整備の可能性に関しまして、先ほども御答弁申し上げましたが、関係部署と、基町地区のまちづくりについて今後検討いたしてまいります。ある程度の組み立てができましたら、地元の方々への協議なり回答なりをさせていただくということになろうと思います。

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住まい・福祉・子育てへの市民の願いを第一に(高齢者公共交通利用助成事業)

(近松さと子議員)
 それから、高齢者公共交通機関利用助成についてです。
 ひとつ、高齢者の女性の方から声が出ているんで、ご紹介したいと思います。安佐南区に住む一人暮らしの80代の女性なんですけれども、交通費の利用助成をなくさないでほしいと訴えられております。その女性は、月1回、地域高齢者交流サロンという市からも一定の助成がある、そういうところに行かれているんです。で、お昼ご飯を食べて交流するのが唯一の楽しみだと言われております。でも、そこに行くのにはですね、安佐南区ということもあって、いろいろ、バスで行かないといけないんです。往復340円のバス代がかかるんです。今でしたらね、公共交通利用助成があるんで、市から後払いですけど払ってもらえるんでね、補助があるんで懐は痛まないんです。
 でもね、これが廃止されたら、集いに参加してもポイント制では1回100円にしかならないんですよね。ですから、バス代340円出しても240円持ち出しなんです。月にこの方、5万円くらいの少ない年金で何とかやりくりをされています。
 3千円の交通費助成にされても、バス代全額は出ないということになりますからね。これなら、もうちょっとこの集いに、せっかく市が奨励されている集いですけど、それにも通えなくなるんじゃないかといわれているんです。こういう方に通い慣れたサロンを辞めて、歩いて通えるようなところへ変わりんさいと言われるつもりでしょうか。ちょっと、そこをお聞きしたいと思います。

(健康福祉局長)
 それから、公共交通機関利用助成の関連で、地域の交流サロンへバスで通っていらっしゃるお年寄りが今後どのようになるのか、というお尋ねでございますけども、議員もおっしゃっていましたように、まず3千円の減額にはなりますが、交通費助成は残りますとともに、新しいポイント事業ではですね、これに参加していただければ、いわゆる従前よりもアッパ―で、上限1万円までの助成金を得ることができます。
 つきましては、今のお年寄りにつきましてもですね、積極的にサロンに通っていただきまして、助成金を得ていただきて、それを交通費に充てていただくということで、引き続き、そういったサロンへの参加が可能になるものと考えております。

(近松さと子議員)
 高齢者公共交通機関利用助成について、この安佐南の女性の例を出させていただきましたけどね、そりゃね、局長さんが言われるのはね、机上の空論ですよ。高齢者の方の実態を見れば、今ご紹介したようにこの方も人付き合いは苦手、今やっと通えるようになったサロンはバス代がかかるんです。そこでは今気が合う人もいるから、ここなら毎月通おう。そういうようなところなんです。けど、それが急にどこか別のところへポイントがもらえるからそこへ変わりなさいというようなね、高齢者の方の実態を無視したような、そういう活動を制限するような事というのはおかしいと思うんです。
 ですからやはり、ポイント制に引き継がれると市の方は言われますけれども、実態はポイント制が利用できない、高齢者の交通費助成が無くなっては困る人が一定出てくるのではないかと思うんです。
 やはりね、そういう意味では高齢者の実態をしっかりおさえて、廃止削減というのはやめていただきたい。そもそもは高齢者の福祉の増進を図るのが高齢福祉課ですから、それに逆行するのは辞めていただきたいと思います。

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職員の長時間残業問題について

近松さと子議員)
 それからもう一つ、過労自殺、長時間労働の是正の問題についてです。公務災害の認定というのは、過労自殺というのはハードルが高い。ですから、公務災害の基金なんて認められないケースがあります。しかし、遺族が裁判に訴えられており、認められるということも一方でたくさんあるわけです。
 そうした裁判の判例からも、やはり過労自殺はパワハラなどの原因もありますけれども、最たるものが長時間労働。そういうふうに言われております。
 この亡くなった女性職員は亡くなる前の9月までに7か月もの間、1か月100時間、合わせれば700時間を優に超えるような残業をさえていると、昨日も答弁されたわけです。
 残業というのは今日も紹介しましたが、公務員の場合、臨時的な必要な業務とされています。これは本当にこの方の場合、臨時的な業務だと言えるのでしょうか。
 それから、この100時間を超えるような、過労死予備軍と言えるような働かせ方をして、そういう職員を忙しいところから忙しいところへ変わらせる。これについては問題なかったのでしょうか。
 そして、この職場ではね、人員は足りていたのでしょうか。人員配置をもっとしてほしい。そういう要望というのは出ていなかったのでしょうか。ちょっとお聞かせください。

(企画総務局長)
この職員がおりました所属で、この職員は月100時間を超えるような業務を26年度から27年度にかけて従事していたわけですけれども、職場の実情を、他の区との状況とか、比較をしているわけではなく、すべてが明確ではございませんけれども、ここにおりました職員と一緒の仕事をしていた職員が同様に長い時間外をしているような実態がございますので、業務分担の上で問題があった。業務分担が一つは時間外が長くなった要因の一つであるのということではないかと思っております。それから、地方公務員の場合は、労働基準法第33条の規定によりまして、時間外勤務につきまして36協定を締結するということはございません。時間外勤務についての上限も定められておりません。以上でございます。

(近松さと子議員)
 そしてもう一つ、過労自殺、長時間労働の是正についてお聞かせいただければと思うのですが、人事院規則では、超過勤務を命じる際には、勤務時間、職員の健康及び福祉を害しないように考慮しなければならない。そして、超過勤務の軽減に関する指針では、1年につき360時間を目安として、これを超えて超過勤務させないように努めること、というようなことが書かれているわけですよね。
 こういう中で先程、紹介しました滋賀県の例も出しましたが、滋賀県庁では最長はそれでも1,300時間、広島市は1,700時間。驚くべき数字です。この滋賀県庁以上にブラックな働き方をしているということに私もこの数字を見た時に大変驚きました。そういう中で1,800時間というのがだいたい1年間、労働時間は1,800時間といわれるんです。1,000時間時間以上の残業というのは、約1.5人分働いているということになります。
 41人と先ほど御答弁されていましたのでね、1,000時間以上時間外をしている人は、残業時間分だけでもま20人分働いているということになるのではないのでしょうか。そうしましたら、やはり職場風土とか、所属長の責任とか言われたんですけども、これをなくすためには過労死や過剰労働による健康被害を生じさせないというトップの決意が大変重要なんだと思うんです。
 滋賀県のね、県庁では、こうした長時間労働が蔓延している。それから10年前にはやはり、過労自殺で公務災害とは認められなかったですけども、裁判で認められたという痛ましい事件もあったようです。ですから、滋賀では37年ぶりに定数を10増やした。これは県知事は職員のメッセージになれば、長時間労働の解消に向けて、よいメッセージになればと答えています。
 ぜひ市長も、市役所のトップとして職員の命と健康を守るという決意をもって臨まれているというなら、職員の増員ということを図るべきではないでしょうか。再度お聞かせください。

(企画総務局長)
 議員ご指摘のとおり、これまでも時間外勤務の縮減というのは、我々、各所属長を指導し、縮減に努めてまいりましたけれども、依然、多くの職員が長時間の時間外勤務をしているという実態があるということが、この度わかりました。その問題点を究明するために、どういう対応をするかという検証を含めて検討してまいりました。それが先程、市長がご答弁させていただきましたように、基本的には、勤務時間を管理する立場にある所属長の意識を改革して、それから、長時間の残業がない職場風土を作っていくんだということを目標としまして、個々の取組は検討していきます。
 例えば、定型的な業務が多い職員につきましては、100時間を超える月がないようにするとか、あるいは、3か月平均で80時間を超えないことを共通の目標として、先ずは、所属の中で業務の分担をする。さらに、所属の中での業務分担の見直しで対応ができなければ、局あるいは区の幹部が相談しあって、それぞれの業務が忙しい時と比較的余裕がある時とで調整しあって、局、区内での業務応援をする。あるいは、兼務をするそういった工夫の取組もしております。さらにこれまでも行っておりますけれども、各所属の業務の適正化、職員配置の適正化ということも、これまで以上にしっかりやってまいりたいと考えています。
 こういったことを重ねる中で、更に必要ということになれば、行政改革計画に定めている職員削減目標、そういったものについても見直しを視野に入れていきたいというふうに考えております。

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2017年第1回 2月定例会・予算特別委員会 議員の発言へ