トップ議会情報・議員の発言 2015年第1回 2月定例会・予算特別委員会 議員発言 > 総括質問


2015年2月20日 本会議 総括質問 中原ひろみ議員

  ●被爆70年の年 ヒロシマの果たす役割について
  ・歴史認識について

  ・集団的自衛権の具体化について
  ・迎える平和について
  ・黒い雨の降雨地域拡大について
  ●国の暴走政治から市民生活を守る防波堤の役割発揮を
  ・アベノミクスについて

  ・巨大開発から命とくらしを守る予算を
  ・子どもの医療費について
  ・中小企業支援について
  ・介護保険について
  ・国保について
  ・教育について
  ・災害に強いまちづくりについて      

●被爆70年の年 ヒロシマの果たす役割について
・歴史認識について
(中原ひろみ議員)
 戦後70年の今年、日本は「憲法9条にもとづく国」か、「いつでも」「どこでも」自衛隊を海外派兵する戦争する国」か、日本の進路が根本から問われる年になっています。そうしたなか、核兵器廃絶とともに、「戦争」という「過ち」を繰り返してはならないと訴える「被爆地ヒロシマ」の果たす役割は大きくなるばかりです。その立場からまず、市長の認識を伺います。 
 安倍首相は、8月に発表する「戦後70年談話」について、過去の植民地支配と侵略を謝罪した戦後50年の村山談話などの文言を下敷きとせず新談話を出す」と述べています。安倍総理はこれまでにも「植民地支配と侵略」を行ったことを認めず「侵略の定義は定まっていない」と言い放ち、靖国参拝という「村山談話」の精神を踏みにじる行動を平然と行って恥じるところがありません。「慰安婦」問題でも、旧日本軍の関与と強制を認めた「河野談話」も、事実上否定する言動を公然と行っており、安倍首相自身のゆがんだ歴史観は、隠しようもありません。ドイツ連邦共和国の6代大統領であったヴァイツゼッカー氏は、「過去に目を閉ざす者は結局のところ現在にも盲目となる」と述べていますが、まさに安倍総理に当てはまる言葉です。戦後の世界秩序は、ファシズムと軍国主義による侵略戦争の断罪の上に成り立っています。それを否定するものは、世界でもアジアでも生きる道はありません。
戦後70年の年に当たり、村山談話・河野談話に対する平和都市ヒロシマの首長としての歴史認識を伺います。

(市民局長)
 「村山談話」においては先の大戦における歴史認識が、また、「河野談話」においては慰安婦問題についての日本政府の見解が示されており、現在の安倍内閣においても、歴代内閣の立場を全体として引き継ぐとされております。
 日本政府の歴史認識としては、かつて植民地支配と森羅役によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大な損害と苦痛を与え、そして、この事実を謙虚に受け止め、痛切なる反省と心からのお詫びの気持ちを常に心に刻みつつ、第二次世界大戦後一貫して、経済大国になっても軍事大国にはならず、いかなる問題も平和的に解決するとの立場を堅持しております。
 また、慰安婦問題については、多数の女性の名誉と尊厳を傷つけた問題であり、慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し、心からお詫びと反省の気持ちを示されております。
 本市といたしましては、これまでの日本政府の見解は、被爆者の「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」という思いと相通じるものであると考えておりまして、戦争や核兵器の使用による悲劇が二度と繰り返されることがないよう、核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に向け、取り組みを進めているところでございます。


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・集団的自衛権行使について
(中原ひろみ議員)
過激組織「イスラム国」による日本人人質事件は 「最悪の事態」となりました。安倍首相の外遊先での発言など、国会で検証が進められていますが、総理は米軍などの空爆などへの自衛隊の支援が「憲法上可能」と述べ、「邦人救出」を名目にした自衛隊の海外派兵拡大を検討しています。テロ集団による蛮行を機に「海外で戦争する国」づくりをすすめることは絶対に認められません。
 日本が、米英などが主導する「有志国連合」と連携し、「後方支援とはいえ、イスラム国に自衛隊を派遣して「武力行使」に加われば、自衛隊員が戦闘に巻き込まれ、日本が報復テロの標的になってしまいます。最近では「有志国連合」の軍事作戦に参加しているデンマークでは、イスラム系過激派によるテロが相次いでいます。安倍政権が進める積極的平和主義は、第二次世界大戦以降、70年をかけて築き上げてきた日本への信頼を台無しにする危険な暴走です。市長は、これまでにも集団的自衛権行使に関する認識を問われると、外交は国の仕事と答弁されてきましたが、もはや国任せにはできません。先日の安倍総理の所信表明演説は、「この道しかない」と、戦争への道を突きすすむファシズムの暴走宣言ともいうべきものでした。被爆地の市長として、平和憲法を守り、集団的自衛権に関する閣議決定を撤回し、戦争するくにづくりの具体的な法整備を止めるよう求めるべきではありませんか。

(市民局長)
 核兵器廃絶と世界恒久平和の実現を願う本市としては、これまでも一貫して、日本国憲法の平和主義を尊重する立場をとってきました。昨年の平和宣言においても、政府に対して、我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増している今こそ、憲法の崇高な平和主義の下で69年間戦争をしなかった事実を重く受け止め、今後とも名実ともに平和国家としての道を歩み続けるように求めました。
 また、集団的自衛権に関する閣議決定を踏まえた安全保障法制の整備の議論に関しても、憲法9条が果たして北役割や、国民の間の意見や懸念を十分に踏まえ、与党協議、その後の国会審議においてしっかり熟議を重ねていただきたいと訴えてきたところでございます。
 本市としては、集団的自衛権に関する安全保障法制についての協議が先日始まったばかりであり、今後の議論の動向を注視していきたいと考えております。

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・迎える平和について
(中原ひろみ議員)
 市長は「世界に誇れるひろしまの実現」をスローガンに、市政運営をされてきましたが、果してこの4年間、我が広島市が「世界に誇れるまち」になれたのか。松井市政の4年を検証するとともに自治体に求められる役割発揮を求めて質疑します。

 昨年12月、オーストリアのウィーンで開かれた核兵器の人道的影響についての国際会議には158国が参加し、無差別的な破壊力をもつ核兵器は人道的に受け入れがたい結果をもたらすと強調し、廃絶にすすむことを訴えました。しかし、日本政府は先日オーストリアが各国に賛同を求めた「核兵器禁文書」に賛同しない方向であることが報じられました。被爆国日本政府が「核抑止」にしがみつき、世界に広がる核兵器廃絶の流に後ろ向きであることは、まことに恥ずかしい事です。これまで市議団は、日本政府の核抑止の立場を批判し、被爆国が核兵器廃絶のイニシアチブをとるべきだと、広島市から国への働きかけを求めてきました。が、市長は「国と喧嘩をしたくない」といって「尻込み」されてきました。被爆70年の今春 開かれるNPT再検討会議の成功にむけ、「核兵器禁止条約」の具体化にむけたリーダーシップをとるよう国に働きかけるべきです。どうされますか。

(市長)
 中原議員からのご質問にお答えします。「迎える平和」のうち「NPT再検討会議の成功に向けた国への働きかけ」についてのご質問がございました。
 現在、国際社会においては、過去3回開催された「核兵器の人道的影響に関する国際会議」を経て、核兵器の非人道性について問題意識を持つ国家が着実に増え、国家レベルでの議論が活発になっております。こうした国際的な潮流の中で、今年春に開催されるNPT再検討会議では、核兵器の非人道性に焦点を当てた議論を一層深め、一歩でも二歩でも「核兵器禁止条約」の交渉開始に向け前進させる必要があります。
 一方で、核軍縮交渉に消極的な核保有国と核兵器の非合法化を強く求める非核保有国との主張の違いも懸念されます。本市としては、NPT再検討会議の成功に向け、その調整役として、唯一の被爆国であり、核兵器の非人道性の正確な認識の拡大に努めてきた日本政府が大きな役割を担っていると考えております。
 このため、これまでも昨年の平和宣言や外務大臣に対する要望において、核保有国と非核保有国の橋渡し役としてNPT体制を強化する役割をはたすよう日本政府に働きかけてきました。また、平和首長会議としても昨年11月の国内加盟都市会議において、「核兵器禁止条約」の早期実現に向けた具体的交渉開始のリーダーシップを発揮するよう求める決議を採択し、政府に要請文を提出いたしました。さらにNPT再検討会議に合わせて開催する予定の平和首長会議主催の集会へ日本政府代表の参加を働きかけるなどしていきたいと考えております。
 政府に対しては、今後も、必要に応じ、本市や平和首長会議としての思いを伝えることとしておりまして、政府には、広島の思いを受け止めた上で、国際社会をリードし、「核兵器禁止条約」の交渉開始への動きが一歩でも二歩でも前進するよう取り組んでもらいたいというふうに考えております。
 その他のご質問については、関係局長から答弁いたします。


(中原ひろみ議員)
核兵器が人類と共存できない非人道的兵器との国際認識を広げてきたのは、被爆者の被爆体験をはじめとして、あの日ヒロシマで何が起こったのか学べる場があったからです。世界の若者を受け入れユネスコから「平和学習センター」として表彰された「世界に誇るべきユースホステル」を市長は赤字を理由に廃止されました。これは「迎える平和」への逆行です。廃止されて2年が経過しましたが、この間、市内のホテルにおいて、どのような平和学習がされてきたのですか。

(経済観光局長)
 広島ユースホステルが果たしてきた平和学習の機会の提供という機能を維持し、充実を図るため、平成25年6月に17の市内の民間等の宿泊施設で構成する広島ピースホステルネットワークを立ち上げました。昨年度は、「平和学習の手引き」を作成し、参加施設に配布しており、これに基づいた宿泊客対象の平和祈念資料館などを巡るガイドツアーや被爆体験講話会
を開催したほか、17の参加施設に宿泊客が自由に利用できる平和学習用の書籍やDVDの配布や、平和関連行事などの情報提供を実施いたしました。
 今年度も引き続き、参加施設と調整しつつ、これらを行っています。更に、来年度は新たな取り組みとして、市内の学校の生徒が作成した折鶴に平和への思いを添えて参加施設の宿泊客に配布し、受け取った宿泊客がこれにメッセージを返すことにより平和への思いを共有できるような交流事業が実施されるよう、調整したいと考えております。


(中原ひろみ議員)
 現在、ユースホステルは更地になっていますが、跡地はどのように活用されるのか伺います。

(経済観光局長)
 広島ユースホステルの用地を含む神田山一帯の土地については、浅野家から昭和18年に本市に寄付されたものであり、昭和32年に、教養施設・文化施設等による活用をしてほしいとの要請を受け、その後は、寄付者の希望に沿った活用を行ってきたところです。
 このことを踏まえ、跡地利用について、各局に照会をし、活用方法について検討を行っているところです。


(中原ひろみ議員)
 被爆70年の記念事業として約4億5000万円の予算を使い、21の新規事業が計画されていますが、単年度のイベントに終わらせるのでなく、ユースホステルでの平和学習・交流の取組の成果を踏まえながら、現在の取組を検証し、広島を訪れる若い旅行者が交流できる場の創出を検討されるよう求めておきます。

(中原ひろみ議員)
かき船移転新設について
1月29日「日本イコモス国内委員会」は、かき船「かなわ」が原爆ドームから200mの場所に移転・新設することは「原爆ドームの精神的価値を低める」大問題として、かき船の移転場所の見直しを求める意見を広島市に提出しました。市はこの「懸念表明」をどう受け止めていますか。

(経済観光局長)
 本市は、今回の「かき船」の移転については、慎重を期して検討を行ってきたところです。
 具体的には、「かき船」は建築物等に該当しないことから、2006年のイコモスの勧告を受けて改正を行った「原爆ドーム及び平和記念公園周辺建築物等美観形成要綱」の対象とならないものの、原爆ドームのバッファゾーン内での移転であることを鑑みて、次のように対応してきました。
@まず、移転するかき船の形状やデザインが、周辺環境と調和するか否か、また、関係法令に適合するか否かの検証
Aこの検証結果を踏まえ、かき船の移転先周辺の慰霊碑の管理者や被爆者団体等に対する説明
B検証結果及び被爆者団体等に対する説明状況を踏まえ、かき船事業者に対する異例の場、鎮魂の場としての慎重な対応の要請
C本市のこの要請に対するかき船事業者からの承諾を受け、国に対する「都市・地域再生等利用区域」の指定要望
D本市による「都市・地域再生等利用区域」の指定要望を受けての、国による「水の都ひろしま推進協議会」への承認申請
等があって、国からの河川敷地の占用許可がなされたものです。
 今回の日本イコモス国内委員会からの懸念表明は、そのような対応をする中で、国からの河川敷地の占用許可がなされた後に出されたものです。
 そのため、対応について文化庁と相談したところであり、日本イコモスや地元団体等に理解を得られるよう、説明を尽くしているところでございます。


(中原ひろみ議員)
 2006年にも高層マンション建設で原爆ドームが世界遺産リストから登録抹消されるのではないかとの問題が発生しました。この時、世界遺産周辺の良好な環境を保護するための地域(バッファゾーン)に関して「勧告」が出され、「世界遺産遺跡として登録された文化遺産の完全性を失わせずとも、それを損なう建設行為が」が問題となると明言しています。かき船の移転・新設を強行すれば、原爆ドームが世界遺産から削除されることもあり得ます。市は、06年のイコモスの勧告をどのように教訓化されてきたのか。
 元安川は多くの被爆者が水を求め飛び込み、亡くなった地獄絵の様相を呈した場所です。ここに酒席の場を設けることは、核兵器の非人道性を追体験し、核兵器廃絶への祈りと原爆犠牲者への鎮魂の場としてのバッファゾーンの環境を壊すものです。かき船は、高さ9.49m、幅8.17m、長さ22mで、三階建てのビルに相当する構造物であり、原爆ドーム周辺の景観にもマイナスです。広島市が「原爆ドームの環境に影響なし」と判断された経緯をお聞きします。

(経済観光局長)
 2006年のイコモスの勧告は、原爆ドームから至近距離に建設された新しいマンションを含め、周辺のバッファゾーン内に5つの高層建築が建設されたという事実に関連して行われたものです。
 この勧告を受けて、本市は、原爆ドーム及び平和記念公園周辺建築物等美観形成要綱を改正し、建築物等の高さ基準の設定などを行いました。
 今回の「かき船」の移転は、建築物等に該当しない船舶を新造して移転するものであり、2006年のイコモスの勧告の直接の対象となるものでは無いうえにバッファゾーン内ではあるものの、原爆ドームから至近距離の場所に移転するものではないため、景観を損なったり、原爆ドームの文化的な統合性や卓越した普遍的価値を減じることもないと考えました。
 更に、今回の一連の対応の中で、本市としては、バッファゾーンの環境を保護するための要請をかき船事業者に行っており、事業者は、これを受け止めて、美観形成要綱以上に配慮した景観形成のための取組を行うことにしています。
 以上にかんがみて、かき船の移転は、原爆ドームの環境に影響はないと判断したところです。


(中原ひろみ議員)
 市は原爆ドームが危機遺産になってもかまわないと考えなのでしょうか。

(経済観光局長)
 世界遺産については、世界遺産条約第11条第4項に規定されている状態になった場合に、「危険にさらされている世界遺産」に該当するとされておりますが、かき船の移転によって、原爆ドームが、同項に規定されているような状態になることはないと考えています。
 すなわち、原爆ドームについて、
@急速に進む損壊、
A大規模な公共事業もしくは民間事業または急激な都市開発事業もしくは観光開発事業に起因する滅失の危険、
B土地の利用または所有権の変更に起因する破壊、
C原因が不明である大規模な変化、
D理由のいかんを問わない放棄
E武力紛争の発生および、そのおそれ、
F大規模な災害及び異変、大家、地震及び地滑り、噴火並びに水位の変化、洪水及び津波
 これら7つのいずれかに該当するような「重大かつ明確な危険」が生じることがその要件になりますが、今回のかき船移転は、このいずれにも該当するものではないと考えております。

(中原ひろみ議員)
 かき船文化や牡蠣を使った観光で賑わいをつくることも必要ですが、賑わいのために世界遺産原爆ドームの価値を下げることはあってはなりません。市長の政治姿勢は「迎える平和」でなく「稼ぐ平和」だと率直に指摘しておきます。移転計画が新聞報道されて以降、「別な場所に移転すべき」との声が一気に上りました。市民に知らせず、水面下で移転計画をすすめ、「市民の合意を得る」姿勢が欠落していることは重大です。市に反省はないのですか。1月29日には「かなわ」から国交省中国地方整備局に、しゅんせつ・くい打ち工事の許可申請が出されたと聞いており、心配な事態となっています。
今後、市はどのようにこの問題を解決されるのか伺います。

(経済観光局長)
 今回の移転については、先ほども答弁いたしました通り、慎重を期して検討を行ってきたところです。
 「市民の合意」に関しては、本市が国に「都市・地域再生等利用区域」の指定を要望する前に、周辺の慰霊碑管理団体の代表者、被爆者団体の代表者、地元町内会長に対し、説明を行い、反対意見が無かったことを確認しております。
 しかしながら、日本イコモス国内委員会から懸念表明が示されたため、再度、事前に説明を行った団体に、これまでの市の取組について説明を行ったところです。
 そこでは、移転に賛成、問題とは思っていないという意見のほかに、
・原爆ドームに近づくので、ふさわしいと思えない。
・具体的に景観面で配慮された点を、もっと説明した方がよい。
・これを契機に平和記念公園や原爆ドームについてみんなが考える機会にしてはどうか。
という意見も出たところです。
 そのため、今回の移転について、明後日に「かき船問題を考える会」が予定している討論会において、改めて一連の経過と本市の考え方をお伝えし、ご理解いただけるよう、しっかり説明したいと考えているところです。


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・黒い雨の降雨地域拡大について
(中原ひろみ議員)
国は、県と市が実施した調査に対し「科学的根拠なし」と被爆地域拡大の願いを退けました。「黒い雨」の体験者は、この無責任な国に抗議するため集団訴訟を準備されています。黒い雨の降雨地域の拡大をもとめた集団訴訟は被害者にも苦渋の決断ですが、市は、どのように受け止めていますか。

(健康福祉局長)
 本市では、これまで平成20年度に実施した調査で判明した黒い雨降雨地域を第一種健康診断特例区域に指定するよう、国に強く求めてきましたが、いまだ実現に至っておりません。
 今回の集団訴訟の動きについては、実際に黒い雨を経験しながら、援護対象として認められていない未指定地域の方々が、やむにやまれぬお気持ちで、司法による解決を選択しようとされているものと受け止めております。


(中原ひろみ議員)
一昨年から黒い雨体験者の相談事業が始まりましたが、「話を聞くだけで、何の意味があるのか」と失望の声が寄せられ、すでに今年は相談利用者が半減したと報じられています。このままでは、国の委託ある相談事業そのものが打ち切りになりかねません。被爆地に求められるのは、この相談事業において、黒い雨を浴びた被爆者の体験や病歴を聞き取り、残留放射線の健康影響を解明する資料として役立つ取組にすることではありませんか。相談事業の実施状況と効果ついてもお聞きします。被爆70年の節目の年に、黒い雨地域拡大の一刻も早い政治的解決がはかられるよう、国にどう働きかけられるのか伺います。

(健康福祉局長)
 黒い雨体験者の健康不安の軽減等を図ることを目的として、国から委託を受け実施している「黒い雨体験者相談・支援事業」における相談者は、事業を開始した平成25年10月から本年2月16日までで360人となっています。
 相談者へのアンケート結果では、「不安が完全になくなった」あるいは「不安が多少少なくなった」と回答された方が、全体の68.9%となっており、不安軽減という事業目的から見て、一定の効果があったと考えています。
 本市としては、来年度から、総合福祉センターなどの大規模な会場に加え、要望に応じ集会所など身近な会場でも相談会を開き相談者を確保するなど、引き続きこの事業を着実に進める事により、相談者の黒い雨体験や健診結果、病歴等のデータを更に収集し、黒い雨体験者の健康面での実態等の把握に努めていきたいと考えています。
 黒い雨降雨地域の指定拡大については、未指定地域の方々の高齢化が進んでいる状況を踏まえ、引き続き国に対し、強く要望していきたいと考えており、その中で、こうした相談事業の結果を活用することも検討していきたいと考えております。


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●国の暴走政治から市民生活を守る防波堤の役割発揮を
・アベノミクスについて

(中原ひろみ議員)
 国の暴走政治から市民生活を守る防波堤の役割の発揮を
昨年12月、OECD(経済協力開発機構)が発表した、「格差と成長」と題する報告書の分析によれば、日本の経済成長率は、ここ20年間で5・6%押し下げられ、安倍政権が最大の売り物としてきたアベノミクスは、深刻な格差拡大をもたらしたと批判しています。「大企業や富裕層がもうかれば、いずれは庶民の暮らしに回る」という「トリクルダウン」(したたり落ちる)の経済論は誤りだと指摘されています。
 確かに、アベノミクスが人為的に作り出した円安・株高は大企業や資産家の儲けを増やしました。新年度予算でも、円安により輸出大企業が最高益を得たことにより、市税収入が1.1%増加し税収が増えています。しかし、市民のくらしと地域経済は、消費税増税と円安による物価高、実質賃金の低下で、苦しくなるばかりです。
 特に、子どもの貧困率は16.3%と過去最悪を記録し、6人に一人が貧困世帯という状況は深刻な社会問題です。いくら株があがってもこれらの子どもの家庭に「恩恵」はありません。アベノミクスで市民のくらしや中小企業に効果があったのか、市長の見解をお聞します。

(経済観光局長)
 アベノミクスの効果について広島市の状況を見ますと、景気は緩やかに回復しており、円安が進行したことを背景に、製造業、とりわけマツダ関連企業の集積する本市においては、全国的にはマイナスとなっている実質賃金がプラスとなっております。また、企業倒産件数は減少し、有効求人倍率は増加傾向にあるなど、一定の効果があったものと考えています。
 しかしながら、食品加工業などの製造業や小売・卸売業は、円安の影響を受け経営が依然として厳しく、従業員の賃金も十分に上がっていないことから個人消費が伸び悩んでおり、百貨店やスーパーの売上高は引き続き低調な状況にあります。
 こうした中、国において、結婚・出産・子育てや中小企業の支援等に取り組むとともに、地方が行う「まち・ひと・しごと創生」に係る様々な事業に対する支援を切れ目なく展開することとしていることから、これを踏まえ、景気の回復が市域全体に行き渡るよう地方創生を柱に諸施策に取り組んで参りたいと考えております。



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・巨大開発から命とくらしを守る予算を

(中原ひろみ議員)
 安倍政権は、財政が大変といいながら、285兆円もの内部留保がある大企業に、今後2年間に1.6兆円もの大減税をしようとしています。一方、「社会保障のため」と言って、消費税を8兆円も増税しながら、社会保障費の「自然増削減」で、介護、年金、医療、生活保護などの制度を手当たり次第に切りすてています。
 この国の悪政を市民の暮らしにそのまま持ち込ませず、「市民生活を守る防波堤の役割」をはたすことが求められます。暮らし・福祉・子育てを守り、地域の中小企業を応援する予算を増やしてほしいが市民の願いです。その立場からお聞きします。
新年度予算では、法人市民税は増えたものの、法人税割の税率の引き下げにより、減収分を含んだものとなっています。法人税割の税率引き下げがなければ、市税はいくら増えていたのでしょうか。

(財政局長)
 法人市民税法人税割のこの税率引下げは、その一部が地方法人税化されることに伴うものですが、平成27年度法人市民税の影響額は、約18億2,000万円と見込んでいます。

(中原ひろみ議員)
 また、新年度は、被爆70年を踏み台にし、被爆100年にむけた「まちづくりの先導」などと称して、巨大開発にアクセルを踏み、借金を膨らませ、前年と比べ約92億円も多い786億円もの市債発行となっています。校舎の耐震化・空調整備、災害復興など必要不可欠な事業を実施するために借入れを増やすことはやむを得ないと考えますが、広島駅前の再開発や広島駅南口から新球場までのペデストリアンデッキの整備など、広島駅周辺開発に昨年の約2倍の事業費が当てられていることは問題です。
 平成27年度末までに、実質的な市債残高を7449億円から6853億円へと8%減少させるという市の財政運営方針の目標は達成できていません。市債残高は目標と比べいくら増えたのですか、市民一人当たりの市債残高がいくら増えたのかも教えてください。市にとって財政運営方針は守らなくていいものなのですか。市の見解をお尋ねします。

(財政局長)
 平成27年度末時点における、一般会計の市債残高から臨時財政対策債残高および減債基金の積立額を除いた市債残高見込みは、土地開発公社解散に伴う第三セクター等改革推進債及び昨年の豪雨災害に対応するための市債の残高が合わせて176億円の見込みとなることから、財政運営方針で掲げた目標に比べ、約172億円上回っており、これを市民1人当たりでみると、約1万4千円となっております。
 財政運営方針で達成すべき目標として掲げている市債残高の額を下回ることは厳しい状況ですが、引き続き、予算執行段階において、借入抑制に努めてまいります。

(中原ひろみ議員)
 市はこの4年間、市民向には、「後世に負担を残さない」「収支不足を解消する」として「事務・事業の聖域なき見直し」を強行し、障がい児、遺児や高齢者など弱い立場の市民の予算を削ってきました。結局、市長の市政運営は「市民の命と暮らしは削るが、大型開発なら借金に目をつぶる」という「後世に大きな借金を残す」市民犠牲の政治です。巨大開発が財政を圧迫しているという認識はないのですか。
 市長は見直しの影響が大きい4つの事業(乳幼児等医療費補助、ひとり親家庭など医療費補助、高齢者公共交通機関利用助成、留守家庭子ども会)事業は引き続き検討するとしていますが、再選されれば、大型開発にまい進しながら、これらの事業の廃止、縮小、負担増、有料化へと見直しを強行されるのですか?

(財政局長)
 公共事業については、大規模か否かによるのではなく、都市の発展や市民生活に必要不可欠なものは、着実に前進させるという考え方のもとに取り組むこととしております。
 また、事務・事業見直しは、市民の行政ニーズに的確に対応し、より効率的・効果的な事務・事業の執行を確保しようとするものであり、平成27年度以降引き続き検討することとしております4件の事務・事業見直しについても、こうした考え方に基づき取り組んで参ります。


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・子どもの医療費補助について
(中原ひろみ議員)
 行政の仕事は、市民の命と財産を守ることです。人口減少に歯止めをかけるためにも、不要・不急の巨大開発を止めて、子育て支援に大きく財政出動するときです。広島高速5号線建設は地元住民が工事の中止を求めて裁判中ですが、市は、地元の合意がないまま新年度予算では、二葉山トンネルの入り口となる中山道路整備に23億円の事業費を計上しています。災害の危険も大きい高速五号線建設関係に貴重な税金を使わず、この予算は子どもの医療費補助の年齢拡充のために使うべきです。広島市の子どもの医療費補助制度は政令市で最下位です。とても恥ずかしい状況です。子どもの命を守れる自治体になってこそ世界に誇れるまちになるのではありませんか。市の考えをお聞きします。

(健康福祉局長)
 乳幼児等医療費補助については、子育て環境を充実させる施策として、対象年齢の拡大を検討していかなければならないと考えているところです。
 しかしながら、現行の所得制限、一部負担金制度のままで対象年齢を拡大しようとする場合には、考慮すべき問題があります。すなわち、現行の所得制限額は、他の福祉医療費補助の所得制限額と比べて高くなっていることから、経済的支援を要しない方までも支援する仕組みになっていること、また、一部負担金は、県内のほとんどの市町が県補助制度と同様の受給者負担を求めている中で、本市は独自に軽減していることがあり、これらについて、公平負担や財政負担といった面で納得度の高いものに改めていく必要が生じているところです。
 そのため、本事業については、医療費負担の激変や乳幼児の健康面への影響に配慮しつつ、所得制限及び一部負担金の見直しと対象年齢拡大を一体的に行うことについて、引き続き検討することにしてはどうかと考えております。


(中原ひろみ議員)
 現行の一部負担金および所得制限のまま、小卒、中卒まで年齢拡大するにはいくらの予算が必要ですか。

(健康福祉局長)
 乳幼児等医療費補助の平成27年度予算額は約18億円ですが、これを現行制度のまま小学校卒業まで拡大する場合の追加事業費は、すべて一般財源で約15億円と見込まれます。これをさらに中学校卒業まで拡大する場合の追加事業費は7億円になると見込まれます。


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・中小企業支援について
(中原ひろみ議員)
 新年度予算では、大企業呼び込みのための企業立地補助金は昨年の1.5倍の予算で約14億円、一般財源を約6億円も使います。一方、「中小企業支援の充実」として組まれた一般財源予算はわずかに約30万円。スズメの涙です。あまりに大企業支援に偏った予算ではありませんか。これで地域経済が活性化するとお考えですか。

(経済観光局長)
 来年度予算案における産業振興に関する予算の総額は約247億円で、このほとんどが中小企業支援に関するものです。
 その主な内容ですが、中小企業融資制度について、昨今の円安基調で厳しい経営環境にあることを踏まえ、景気対策特別融資の要件緩和を行っています。
 また、中小企業の抱える様々な問題解決のための窓口相談や専門家派遣、販路拡大のための見本市への出店補助、既存企業の新成長分野への進出を支援する補助を行っています。
 さらに、より多くの創業を生み出すための事業計画策定から実行段階に至るまで専門家による継続支援などの支援策にも取り組んでいます。 
 このように、地場産業の大半を占める中小企業への支援を行うことにより、地域経済の活性化を図ることとしています。なお、企業立地補助の約14億円、これが大企業にというお話がありましたが、この14億円のうち約11億円は中小企業に関するものです。

(中原ひろみ議員)
 経済の主役は中小業者です。地場の中小業者の経営と発展のために行政が本腰を入れるべきではありませんか。中小業者の人材と仕事確保のための中小企業振興条例や住宅や商店リフォーム補助制度など、地域の力を生かす取組みこそ実施すべきですが、市の考えをお聞きします。

(経済観光局長)
 議員ご提案の中小企業振興条例の制定については、現在においても、条例制定に向けた機運の醸成話されていない状況にあることから、広島県中小企業家同友会における事例研究等の状況を踏まえながら対応していきたいと考えています。
 また、住宅リフォーム補助制度については、本市では、住宅耐震診断、高齢者や障害者のバリアフリー改修等に対する補助制度を行っているところであり、これによる一定の経済的波及効果があることから、基本的にはこの仕組みを守っていきたいと考えています。


(中原ひろみ議員)
 階段室型の公営住宅のエレベーター整備は、中小企業の仕事をつくってきましたが、事務・事業見直しで中止され、中小企業の仕事を奪っただけでなく、整備を待ちわびていた入居者に失望を与えました。公営住宅のバリフアリー化にむけて事業の復活をすべきです。どのようにお考えですか。

(指導担当局長)
 エレベーター整備事業につきましては、設置スペースが確保できる住棟が限られていることなどから、平成25年度から廃止することといたしましたが、この廃止に代えて、住み替え制度の拡充を図り、階段室型中層住宅に居住されている上下移動が困難な高齢者等の方々が、1階やエレベーターが設置されている住宅へ住替えできるよう取り組んでいるところでございます。
 また、市営住宅のバリアフリー化につきましては、住戸内部の段差解消、手すり設置等を行う、高齢者等対応住戸改善事業の実施戸数の大幅な増加を図ったところでございます。引き続き、こうした取り組みにより、バリアフリーに対応した市営住宅の整備に努めてまいります。


(中原ひろみ議員)
 国も格差拡大の政策では経済成長はできないと判断し、「地域住民生活等緊急支援のための交付金」を創設しました。この交付金は、増税や物価高に苦しむ住民の生活と地域経済を支援する財源となるべきものです。
 「地域消費喚起・生活支援型」の「交付金」11億7500万円を使い、プレミアム付き商品券を発行するとしています。なぜ、プレミアム付き商品券にされたのか、どのような事業で、具体的にどんな消費喚起効果を見込んでいるのかお聞きします。

(経済観光局長)
 国は、「地域住民生活党緊急支援のための交付金(地域消費喚起・生活支援型)」と言いますけれども、この活用について、市町村に対しては、地域内での消費喚起効果が高いプレミアム商品券を推奨しています。
 また、商店街や商工会等の関係団体に協議したところ、「地域経済活性化のために、ぜひ実施して欲しい」旨の賛同が得られたことから、本事業を実施することにしたものです。
 具体的な内容については、今後、決定するものですが、例えば、10,000円で12,000塩分の買い物ができるプレミアム商品券を発行し、市内の小売店や飲食店などで、商品券を用いた商品の購入を促すことが考えられます。
 消費喚起効果については、プレミアム商品券は、「値引き」高価があることから、多少高額の買い物をしやすくなる、あるいは、多めに買い物をしてみようという気になるといった効果が期待できます。
 また、商品券の発行に合わせた消費拡大キャンペーン等に取り組むことで、顧客の拡大などの効果が期待できます。


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・介護保険について
(中原ひろみ議員)
 第6期介護保険事業計画の中で、介護保険料の改定が行われています。高い介護保険料の軽減は「待ったなし」の課題ですが、安倍首相は消費税10%の「先送り」を口実に、来年度は最も所得の低い層だけを対象にわずかな減額にとどめました。
国の計画通り、所得別の第1段階から第3段階までの介護保険料を予定通りに軽減するには、広島市ではいくら必要ですか。 これまで国は一般財源は、減免に使えないとしてきましたが、一般財源を1/4投入する軽減策を検討するとしています。国が実施するまで、広島市が一般財源を使い高い介護保険料の軽減に踏み出すお考えはありませんか。

(健康福祉局長)
 低所得者に対する公費を投入しての介護保険料軽減について、国の当初計画どおり実施する場合に必要となる追加負担額は、国・県・市の合計で約9億2,000万円となります。
 次に、市独自に一般財源を投入して介護保険料を軽減することについては、今回の保険料軽減に要する費用は、消費税引き上げにより財源を確保した上で、国・県・市が政令で定めるところにより、負担するものであり、このように全国的な制度として作られた仕組以外の保険料の減免については、被保険者間の公平性の確保等の観点から適切でないと考えております。

(中原ひろみ議員)
 政府の社会保障審議会が全体で2、27%の介護報酬の引き下げを承認したため、特養は過去最大規模6%の削減となります。介護報酬引き下げの理由は、特養を経営する社会福祉法人には、内部留保がある、利益率が中小企業より高いというものがですが、その多くは建替えの積み立てなどであり、3割が赤字経営です。国は、職員の処遇改善費を1万2千円分を確保したといいますが、月給が上積みされても賞与が削られるなど人件費引下げにつながることは避けられません。
 その上、広島市は、来年度から本市独自の職員給与改善費2%を廃止するとしており、国と市のダブルパンチで人件費に「しわよせ」となります。報酬単価引き下げは、介護現場の離職率を高め、広島県内の介護職員の求人倍率2倍以上という人手不足に拍車をかけることは明らかです。実際に東京では、人手不足のため、特養ホームが閉鎖となった事例が発生しています。まさに「介護難民」を激増させるものでしかありません。本市は、第6期介護保険事業計画の3年間で670人分の特養老人ホームの増床を計画していますが、職員が集まらず、多くの待機者がいながら、入所できないという深刻な状況におちいるのではありませんか。
 市の考えをお聞きします。

(健康福祉局長)
 平成27年度の介護報酬改定では、全体でマイナス2.27%となっていますが、介護職員1人当たりの給与は、月額1万2千円の増額、改定率換算で1.65%のプラス改定となっており、介護職員の給与の引き上げに要する費用は制度上確保されています。
 加えて、本市に特有のものとして、職員の処遇改善につながる人件費の上乗せ割合が6%から10%に引き上げられることも織り込まれています。
 以上のことから、社会福祉法人を対象に、常勤職員の本俸月額等の2%を一律に補助してきた本市独自の支援策については見直しを行い、その財源は、介護人材の確保・育成など、介護分野において本市が取り組むべき喫緊の課題に対応するため、有効に活用していきたいと考えています。
 具体的には、新たに、就職相談会や介護宜実競技大会等を行う「介護フェア」を開催する。また、中核的な人材の育成・定着を図る「介護マイスター養成支援事業」などを実施する予定としています。
 今後、こうした取り組みの効果的な展開を図ることにより、介護事業所において必要とされる人材の確保や、質の高い人材の育成・定着を促進していきたいと考えています。

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・国保について
(中原ひろみ議員)
 高すぎる国保料の引き下げは切実な声ですが、国は国保への公費支援を止めさせ国保料のさらなる引き上げを狙う、都道府県化をすすめようとしています。その中身は、都道府県が過去の実績から医療費の見込み額を算定し、県に納める「分賦金」や収納率目標と標準保険料率を示します。市はこれを参考に保険料を決めて市民から徴収し、県に納付します。お聞きしますが、国保の都道府県移管により、これまで国が言ってきたように「市町村ごとの保険料の格差は解消される」のでしょうか。

(健康福祉局長)
 国は、国民健康保険の都道府県単位化に向け、平成30年度から都道府県が財政運営の主体となって、中心的な役割を担うなどの方針を示したところです。
 都道府県単位化後の保険料については、都道府県が域内の医療費の見込みを立てた上で、市町村ごとに、医療費水準及び所得水準などを踏まえ分賦金を決定するとともに、市町村に対し標準保険料を提示し、これを参考に各市町村が保険料を定めて賦課・徴収する「分賦金方式」が示されています。
 こうした中、広島県の市長会・町村会においては、昨年7月に県内市町の国民健康保険の一体的な運営を目指して、当初から同一保険料を定めることについて、国に提言しており、本市としては、今後、国の動向を注視しつつ、同一保険料も含めた保険料のあり方について、県及び県内市町と協議を進めていきたいと考えています。 

(中原ひろみ議員)
 高齢者、自営業者、非正規労働者など低所得者が多く加入している国保には、住民の負担軽減に向けた市町村の一般会計繰入は不可欠です。が、都道府県が運営するようになれば、国保料軽減策や医療費の窓口一部負担減免制度など、命を守るための市独自の事業ができなくなるのではありませんか。

(健康福祉局長)
 国民健康保険の都道府県単位化における役割分担では、市町村は地域住民との身近な関係の中、被保険者の実情を把握した上で、賦課・徴収、保険給付、保健事業などを担うこととなっています。
 市町の独自措置の取り扱いについては、国民健康保険の都道府県単位化に伴う各市町の被保険者の負担と、それが市民の生活に及ぼす影響等を踏まえながら、広島県や他の市町と十分に協議・調整を行っていきたいと考えています。

(中原ひろみ議員)
 滞納者の増加で、市町村が「分賦金」の必要額を集めきれなかった場合、一体だれがどのように補てんするのですか。

(健康福祉局長)
 市町村の保険料が収納不足になった場合の具体的な処理方法については、まだ決まったものはございません。


(中原ひろみ議員)
 さて、国民健康保険料の過誤徴収では、多くの世帯が請求金額に驚き「とても払い切れない」と悩み苦しみ、いかにやりくりしても払えないと滞納を余儀なくされてきました。市は先般、過誤徴収を見逃した職員を「減給」とする処分をされましたが、これで決着は図れません。第一に、最高責任者である市長と局長は、何故、「戒告」処分なのですか。職員だけを「減給」にして済ませるのですか。

(企画総務局長)
 この度の国民健康保険料の算定誤りに対する市長以下職員の責任の果たし方としては、今後、二度とこのような誤りを起こすことがないよう再発防止に全力で取り組むことであると考えております。
 また、その上で、こうした事態を招いたことについて、過去の処分例等も考慮して、事務を担当する当事者である担当課長、課長補佐及び係長級職員に対して、「1月間給料の10分の1を減給」とする処分を、また、これらのものを管理監督する立場にある局長及び次長に対して「戒告」とする処分を行いました。


(中原ひろみ議員)
 第二に、市は、間違って請求した多額の国保料に対し、14%の延滞金を付加しています。これは「不当利益」ではないのですか。ある市民は訴えます。「本来の保険料は払うが『過大請求された保険料』に対する延滞金は払わない」との言い分です。間違った額の保険料を請求したのは広島市です。なのに「払えない市民が悪いかのごとく」過大請求した保険料の延滞金を市民から取り立てるのは、納得できないとの主張です。
 市は延滞金まで差し押さえされるのですか。市のミスで滞納に追い込んだ責任をとり、過誤請求した世帯への延滞金は徴収しない特例措置をとるべきではありませんか。市のお考えをお聞きします。

(健康福祉局長)
 保険料の算定については、正しい保険料を再計算した上で、昨年11月に新たに納入決定通知を行いましたが、それ以前の納期分、すなわち、10月納付分までは、既に賦課されている保険料が有効となります。したがって、保険料を一定期間以上滞納された場合には、制度上、延滞金がつくことはやむを得ないものと考えています。
 なお、仮に最高限度額の世帯が滞納された場合でも、過大に賦課していた部分の保険料に着目をして試算すると、その部分ということであれば、本年度内であれば、その部分に対する延滞金が発生することはないという結果になっております。


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・教育について
 
(中原ひろみ議員)
 国は、国民的な世論に押され、2011年に法律を改正し小1で35人学級を実現、12年からは小2でも予算上の措置をしてきましたが、安倍政権の2年間ストップしています。そして昨年は、財務省が予算削減のために40人学級に戻せと求めてきました。教職員の超多忙化の解消は「待ったなし」の課題であり、これ以上の教育条件の後退は許されません。市はこれまで中学校1年生まで進めてきた少人数学級をどう評価されていますか。

(教育長)
 本市では、平成20年度から、一学級35人以下の少人数学級を実施しており、集団生活への適応や基本的な生活習慣の確立、個に応じたきめ細かな指導ができる環境が整ってきていると考えております。


(中原ひろみ議員)
 毎年320億円の政党助成金の無駄遣いと、大企業への減税を止めれば、財源を確保できます。国は百年の大計である教育にお金をかけるべきです。市は国に対し「40人学級に逆戻りせず、国の責任で少人数学級を推進すべき」だと要望すべきではありませんか。

(教育長)
 また、国に対しては、35人以下の少人数学級編成がより一層可能となるよう、新たな公立義務教育諸学校教職員定数改善計画の早期策定、円滑な実施に向け、従前から要望を行っており、今後とも、引き続き働きかけてまいります。

(中原ひろみ議員)
 本市における中学2・3年生の少人数学級はいつ実施されるのかもお尋ねします。

(教育長)
 中学校2・3年生につきましては、国語・数学・英語の強化を対象として、学級生徒数の平均が30人を超える場合に、非常勤講師を配置し、生徒一人ひとりの習熟の程度に応じた少人数指導を実施しております。
 今後、学級編成及び教職員定数の改善に係る国の動向等を踏まえ、適切に対応してまいりたいと考えております。

(中原ひろみ議員)
 来年度から教育委員会制度改革が行われ、各自治体に首長と教育委員会で構成する総合教育会議が設置され、首長は、教育の目標や施策の根本的な方針となる大綱を策定し教育施策に関する方向性を明確にします。つまり、来年度から首長の教育行政への関与が強まります。そこでお聞きします。大綱策定においては、教育の自主性・自律性を維持し子どもの学習権等を確保するため、教育の中立性、継続性・安定性等の確保が不可欠ですが、どのような大綱を策定されるのか見解をお聞きします。

(教育長)
 この度の教育委員会制度改革につきましては、新しい制度においても、教育委員会を執行機関として存続させ、教育委員会の職務権限は従来通りとされていることから、今後とも、教育の政治的中立性、継続性・安定性は確保できるものと考えております。
 この前提の下、大綱の内容については現段階で定まってはおりませんが、首長と教育委員会が総合教育会議において協議・調整を行った上で、首長が地域の実情に応じて、地方公共団体の教育に関する総合的な施策の根本となる方針を大綱として定めるものでございます。


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・災害に強いまちづくりについて

(中原ひろみ議員)
 8月20日の広島土砂災害から半年がたちました。被災者にとって、生活再建の基本は住宅再建です。市は、この三月末までに「復興まちづくりビジョン」を策定するとして、被災地域で説明会を開かれていますが、急ぐあまりに、被災者の願いに寄り添う「まちづくり」になっていないのではありませんか。砂防堰堤やそれに伴う立ち退きなどがすすめられようとするなか、被災者は今後の生活や住宅の再建で困難に直面しています。
 復興まちづくりの説明会に参加された被災者から次のような声が出ています。「砂防堰堤ができれば住み続けて安心なのか」「安全なまちにするためには公園や、集会所、生活道路はどうなるのか」「自宅の再建場所の目途を建てたい」と参加したが、説明会では「24基の砂防堰堤の整備にむけた、用地買収や道路整備の計画」ばかりで、被災者の「生活再建」という視点がない」との意見です。また、住宅支援期間が8月まで延長されましたが、半年は短すぎて不安が先に立ち、復興計画にしっかり向き合えないという方もおられます。このような思いは多くの被災者が実感されていることではないでしょうか。
 災害救助法では最長2年まで支援できます。住宅支援の期間を小出しに延長せず、来年8月まで、安心して避難先で生活することを保障し、この間に自分たちの地域の安全をどう描くのかしっかり、話あう環境を整えることが必要です。自治体の一方的な「復興ビジョン」の押し付けでなく、被災者が生活再建の目途が立つよう、合意をはかりながら丁寧に進めることが不可欠ですが市のお考えをお聞きします。

(都市整備局長)
 本市では、この度の被災地域を災害に強い安全な街によみがえらせることを基本方針とし、避難路等の骨格的な施設整備や今後の防災・減災まちづくりなどの実施方針を示す「復興まちづくりビジョン」の策定に取り組んでおり、今後、このビジョンに沿って着実に復興を進めることが、被災者の生活再建にもつながるものと考えております。
 策定に当たりましては、昨年12月2日にビジョン案の第1版を公表し、地区ごとの説明会や町内会等の要請による意見交換会を開催してまいりました。その結果を反映した第2版を今月6日に公表した後は、担当職員が地元公民館等に一定期間詰め、面談方式による説明の場を地区ごとに順次設けております。こうしたきめ細やかな対応により、被災者の思いを受け止め、しっかりと話し合うことで、地元の理解を深めながらビジョンを取りまとめることといたしております。
 また、被災者に提供している仮住宅の入居期間につきましては、安心して生活再建に取り組んでいただけるよう、引き続き個々の事情を丁寧にお聞きし、対応していきたいと考えております。
 今後、年度末までにビジョンを策定し、復興事業のスタートを切ることになりますが、その後も、地元の声に耳を傾け、合意形成を図りながら、生活の場であるコミュニティの再生に取り組むなど、地域住民と行政の協働による復興まちづくりを進めてまいります。


(中原ひろみ議員)
 復興まちづくりビジョンでは、広域避難路や豪雨時の水を処理する雨水渠を整備するとして都市計画決定されて約50年間、全く整備されてこなかった長束八木線を整備する方向性が示されました。しかし、地元からは、「防災を理由に突然、整備する必要性があるのか」とその必要性に疑問の声が出ています。被災者は、限りある財源を長束八木線整備に使わずに、もっと被災者の生活再建のために使ってほしいと求めています。長束八木線が本当に災害時の安全を確保するために必要なのか、十分な検証が必要ではありませんか。長束八木線整備の総事業費もお聞きしておきます。

(都市整備局長)
 長束八木線については、議員ご指摘の通り、昭和43年に八木・緑井地区まで延伸する都市計画変更が行われて以来、当地区の整備に長年着手できていない状況でございました。
 こうした中で、土石流による甚大な被害が発生したわけですが、被災地を安全な街によみがえらせるためには、国の砂防堰堤の整備に加えて、町の骨格となる避難路が必要である事、豪雨時の出水を処理する雨水排水施設が必要であること、また砂防堰堤完成後の管理道が必要であることなどの課題がございました。
 これらの課題への対応等を総合的に検討した結果、既に都市計画決定されている長束八木線を広域避難路として整備し、併せて道路の下の空間に雨水排水施設を整備することが、最も合理的であると判断したものでございます。
 長束八木線の事業費につきましては、ビジョン策定後に調査設計等を行うことで明らかとなりますが、集中復興期間の整備にかかる事業費は、現段階の概算で約40億円と見込んでおります。


(中原ひろみ議員)
 海、山、川の自然に恵まれた広島市は、市内のどこで災害が起こっても不思議ではありません。災害に強いまちにするには、ハードとソフトの安全対策が不可欠です。国土保全のための森林整備とともに、防災対策、防災訓練、災害弱者の安全確保など、今後、どのようにして市民の命と財産を守るために取り組まれるのか決意をお聞きします。

(消防局長)
 災害に強いまちづくりには、災害時に被害を最小限に抑えることができるよう、「自助」「共助」「公助」が、それぞれの役割に応じて有効に機能する仕組みづくりが必要となります。
 行政は、防災情報を適切な時期に適切な内容で住民に発信し、地域では住民一人一人が、自分の住んでいる場所の危険性や防災情報を理解して必要な行動をとることが重要であると考えています。
 また、住民皆が安全に避難することができるよう、日頃から、情報伝達や避難の際に住民同士が支え合う地域のつながりをつくっておくことが大切であると考えています。
 このため、本市からの防災情報の発信については、地域の危険性や災害時の避難方法等を事前に周知するほか、危険度に応じてふさわしい内容を段階的に発信することや、伝達手段の充実等に取り組むこととしております。
 また、地域の取組についても、区役所と消防署、消防団が連携して支援を行い、要配慮者の参加も呼びかけながら、地域の実情に即した避難訓練や研修会の実施、ハザードマップの作成などの取組を促進することにより、着実に地域の防災力の向上を図り、災害に強いまちづくりを進めてまいりたいと考えております。



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トップ議会情報・議員の発言2015年第1回 2月定例会・予算特別委員会 議員発言 > 総括質問
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