トップ議会情報・議員の発言2015年第6回 12月定例会 議員発言 >一般質問・近松さと子議員


2015年12月8日 本会議 一般質問 近松さと子議員

     ●若者の政治参加について
     ・主権者教育
     ・大学への期日前投票所設置
     ●市政運営について
     ・中期財政収支見通し

     ・高速5号線事業
     ・子育て支援
      乳幼児医療費助成

      学校給食費
     ●砂防ダム立ち退き者支援について
     ●サッカースタジアム建設候補地について
     ●広島市中央老人福祉センターについて
     ●ブラックバイト対策について


●若者の政治参加について
(近松さと子議員)
  先の国会で、海外で自衛隊が武力行使をおこなう安保法制という名の戦争法が強行されました。被爆70年のこの8月、被爆者代表が安倍首相に対して、「原爆戦没者が安らかに眠れない日本にしてはならない」と迫った訴えを無視する暴挙は、許せません。私たちはこれまで、被爆地の願いを踏みにじり、憲法9条の平和主義を根底から否定する法案であることから、市議会でも繰り返し被爆地の市長としての認識をただしてきました。
今、日本共産党は、権力が憲法を無視する暴走をとめるため、戦争法廃止の一点で、野党間で選挙協力し、国民連合政府を実現させようと呼びかけています。この国に立憲主義と民主主義を取り戻すためには、あれこれの政策のちがいや好き嫌いは脇に置いといて共闘しようと政党や団体との対話を開始しています。また、学生やママの会、学者の会など幅広い市民が、全国で2000万人の戦争法廃止の署名を集めようと動き出しました。私たちも党派や立場を超えて一緒に、市民の手に憲法を取り戻すために全力を尽くす決意です。
さて、今年の流行語大賞のトップ10に、戦争法に反対する国民的な運動の象徴となった学生たちのグループ「シールズSEALDs.」が選ばれました。国のあり方や未来を左右する歴史的な岐路に、若者の姿があったことは、多くの人びとに希望をあたえるものです。国会前で、全国で、若者たちが自らの言葉で語り、「主権者はわたし」「民主主義ってなんだ」「憲法まもれ」のコールが響きました。未来は若者のものです。私たち大人は、彼らに手渡す未来への責任を果たさなくてはなりません。
来年夏の参議院選挙から、公職選挙法が改正されて選挙年齢が18歳以上に引き下げられます。憲法改正を狙う国民投票の年齢を引き下げたことによるものですが、18歳選挙権は、世界の国と地域の9割で実現しており、日本もようやく世界に追いついた形です。
新たに選挙権を手にする若者が、この国の主人公として主権者となっていくためには、政治的な権利を保障し、具体化していくことが必要です。
そこで、2つのことをお聞きします。

上にもどる


・主権者教育
(近松さと子議員)
 これまで、70年安保改定を前に出された1969(昭和44)年の「高等学校における政治的教養と政治活動について」と題する通知により、高校生の政治活動は禁止されていました。高校生や教員が、政治に触れることをためらい、遠ざける結果になっていました。18歳選挙権をうけて、文科省は10月29日、高校生の学校外でのデモ参加などの政治活動を一定の条件で容認する新通知を全国の教育委員会などにだし、あわせて「主権者教育」をおこなうとしています。
 これから、有権者となる高校生に対して、どのように向き合っていくのかを考える上で、全国高等学校PTA連合会が、文科省に出した意見書が、大変示唆に富んでいます。そこでは、選挙権が付与された時点で高校生を「政治的仲間」として迎えるとともに「未熟な若者として見下したり、保護と引き換えに権利を抑制したりすることは許されない」と戒めています。さらに「生徒を信じ、生徒自身にしっかりと政治・社会・経済など現実の諸問題を考究させる姿勢と度量が社会全体に求められている」と述べています。また、学校の教員についても「現行の法制以上に規制法令を用意することは、教員の指導意欲をそぐとともに、指導内容の貧困を招く」と教員への規制強化の動きを批判しています。 
 今、一部の地方議会や教育委員会で、国会で議論になった安保法制について授業で取り上げることを問題視したり、賛否両論を示したかという調査をおこなったりして、教育現場が委縮するような動きが強められています。主権者教育に取り組むうえで、意見書の指摘するような政治を自由に語り合える環境を保障することが不可欠です。そこでお聞きします。
 生徒が政治的教養を深め主権者として育っていくために、その時々の政治問題に対して、自らの意見を規制することなく、自由に述べることができるようにすべきではありませんか。

(教育長)
 生徒に身の回りの生活や政治、社会の問題など、自ら考える力を身に着けさせることは、大切であると考えており、学校では、授業において、これらの様々な問題について、生徒が互いの意見を交流しあい、異なる様々な意見を尊重し、自らの考えを深めていくよう指導を行っています。


(近松さと子議員)
また、今回、文科省が総務省とともに作成した副教材「私たちが拓く日本の未来」を使うように指導されています。教員の専門性を発揮させるためにも、副教材の使用を強制すべきではなく、教材も含めて教育内容について教員の主体性を尊重するべきではありませんか。

(教育長)
 授業の実施にあたって、教員は、学校指導要領に基づき、教材や教具等を創意工夫して、学校の実態に応じた指導を展開しています。
 主権者教育を進めるにあたっても、同様であり、文部科学省から配布される副教材について、授業において有効に活用されるものと考えています。


(近松さと子議員)
 さらに、政治や社会について生徒から「先生はどういう意見か」と聞かれれば率直に意見を述べるなど、自由な雰囲気の中でこそ、主権者教育が生きたものになります。地位を利用して政党支持や特定の意見を強要してはなりませんが、教員の政治的な発言を規制しすぎると生きた主権者教育ができないと考えますが、どのようにお考えですか。

(教育長)
 主権者教育を進めるにあたって、教員は、教育の中立性を確保しながら、授業において、政治等に関して多様な意見を示すことが大切です。
 こうしたことにより、生徒は、現実の社会や政治問題について、多面的にとらえることができるようになり、主権者教育が目指す、自ら考え、判断し、主体的に社会参加する力を身に付けることができるようになるものと考えています。
 なお、教育公務員については、教育基本法により、学校において特定の政党の支持または反対のために政治的活動を行うことは禁止されています。


上にもどる


・大学への期日前投票所設置
(近松さと子議員)
 若者の投票率が極めて低いことが問題になって久しいなかで、新たに有権者に加わった若者たちのどれだけが、来年の参議院選挙で投票権を行使するかが注目されています。
 18歳選挙権が実現したことで、大学生はすべて選挙権を持つことになりました。福山市選挙管理委員会が福山市立大学に、東広島市選挙管理委員会が広島大学に期日前投票所を設置することが明らかにされました。
 2013年、全国で最初に愛媛県松山市の選挙管理委員会が、松山大学へ期日前投票所を設置しました。期日前の水木金の3日間、10時から5時までの開設でしたが、市内の20代前半の投票率が2.72%アップするという成果があったといいます。
 私たち市議団は、11月25日に選挙管理委員会に対して、大学への期日前投票所の設置を申し入れました。広島市立大学をはじめ数多くの公立・私立の大学がある広島市においても、各大学内に期日前投票所を設置することができれば、若者の関心を高め、投票率を引き上げることに大いに寄与するのではありませんか。
 大学への投票所設置について、職員の確保、大学側のスペースの確保など課題がありますが、若者の政治参加を促す積極的な意義を考え、本市としても取り組まれてはどうでしょうか。
 また、親元を離れて大学に通う学生のうち、住民票を出身地に残している学生が一般的に7、8割を占めるといいます。不在者投票制度を利用し、選挙人名簿に登録している市区町村以外でも投票が可能なことを周知すれば、住民票を移していない学生も棄権せず、投票権を行使できるのではありませんか。

(市選挙管理委員会事務局長)
 先程、渡辺議員のご質問に答弁いたしましたが、全市的な利用が見込まれる大学に期日前投票所を設置する場合、政令指定都市である本市では、8行政区分の投票所を設置する必要があります。
 そのため、現在でも苦労している従事職員の確保という課題に加え、突然の解散総選挙等にも優先的に利用できる広いスペースが確保でき、また、二重投票防止のための新たな専用回線の敷設に伴う高額な追加費用を必要としない施設を確保することが必要ですが、現時点で、こうしたすべての要件を満たす施設は見当たりません。
 期日前投票所を大学に設置することについては、若年層の投票率の向上が期待できるものの、こうした課題があることから、まずは、既存の期日前投票所をしっかり利用していただけるよう、期日前投票制度の周知をこれまで以上に力を入れて取り組むなど、啓発活動のより一層の充実を図ってまいりたいと考えています。
 また、住民票を出身地に残したままの学生に対しては、これまでもホームページなどで不在者投票制度の周知に努めていますが、今後、各大学に対する周知をお願いするなど、取組の充実を図ってまいります。



上にもどる


●市政運営について
・中期財政収支見通し

(近松さと子議員)
 現状のままの行財政運営を続ければ、4年間で500億円を超える歳入不足になるとしています。歳入不足を強調して、一層の事業見直しを推進しようということだろうと受け止めています。松井市長1期目で当初予算を策定され2012年度から2014年度の3か年の事務・事業見直しの効果額は、単純計算で約27億円となっています。年間予算規模の大きい小さいはありますが、市民生活にとって切実なものの廃止や縮小も多く含まれています。また、中層市営住宅へのエレベーター設置の中止によって、総額30億円程度の予算削減が行われました。これらは、市民生活にとって必要な事業であり、改めて、事業の復活を強く求めます。
 その収支見通しの中で、公共事業費も総額を削減する見通しになっているのに、高速道路事業や広島駅周辺開発が全くの聖域となっているのはいかがなものでしょうか。
 この収支見通しには、これから出てくる安佐市民病院建替えとそれに関連する道路事業やアストラムライン延伸事業、国道2号線高架道路延伸事業、国道54号線バイパスに関わる建設事業などは入っていません。その一方で、既存の道路や橋など、さらに公共施設の維持管理経費や必要な更新などは着実に進めなければなりません。
 厳しい暮らしの中で、さらに市民生活関連の事業削減を進めるのではなくて、改めて、住民から差し止め裁判が起こされて、必要性も採算性もない高速5号線は、思い切って中止するべきではありませんか。

(道路交通局長)
 高速5号線については、陸の玄関である広島駅と中四国地方全体に伸びる高速道路を結ぶ重要なインフラであり、その早期完成に向けて、議会や経済界からも建設促進を求める決議・要望が出されています。
 また、採算性についても、長期的な視点に立って、利用促進や管理の一層の合理化に取り組むこと等により、借入金等は料金収入を持って、定められた期間内に償還することは可能であり、事業を中止する考えはありません。


(近松さと子議員)
 また、アストラムラインの西広島駅への延伸は、採算性の問題が指摘されています。己斐地域の深刻な道路事情の改善のために、己斐中央線は先行して整備を進めるとしても、アストラムラインは今一度立ち止まって、しっかりと再検討するべきではないでしょうか。

(道路交通局長)
 次に、アストラムラインの延伸については、平成11年に策定した「新たな公共体系づくりの基本計画」に位置付けていた西広島駅までの延伸計画を再検証した結果、採算性や投資効果が見込まれること、財政面からの事業化の見通しが立つこと、さらには広島高速交通株式会社の経営に好影響を与えることなどが確認できたことから、本年6月に事業化することを決定・公表したものです。


(近松さと子議員)
 また、高速3号線ができた現在、都心部に高架道路を通す2号線高架延伸は必要ないと考えます。以上について、答弁を求めます。

(道路交通局長)
 最後に、国道2号線効果延伸は、広島西部地域から都心部へ向かう交通を円滑に導入することで、渋滞の緩和を図り、さらに沿道環境の改善にも資することから、その必要性は高いと認識しています。
 今後の対応については、現在の交通状況を踏まえ、財政の確保を検討したうえで、事業者である国と協議していきたいと考えています。



上にもどる


・高速5号線事業
(近松さと子議員)
 11月、二葉山トンネル工事の入札仕様を審議するための第1回トンネル技術検討委員会が開催されました。これに先立ち、住民代表による意見表明の場が設けられ、7名の住民が意見を述べられました。その中で、工事中の騒音や振動、異臭などで生活環境が大きくかわること、急傾斜地・土砂崩壊危険地域の危険な場所の下に大きな穴をあけることは、地盤沈下が起こる可能性が大きいなどの反対意見がこもごも語られました。そもそも、住民の合意を得ながら事業をすすめていくという約束を反故にして、トンネル工事着手に向けた技術検討委員会を同時並行的に行うことは、住民感情を逆なでする行為です。
 今年1月には、公社は突然、トンネル中央部あたりに避難口を設けることを発表し、14億円の整備費を追加し、市が7世帯の用地買収費3億円を負担することになりました。設置義務もなくこれまで計画にもなかったものです。十分な道路の幅員もあるのに、立ち退かせてまでやるべき事か、反対する人を黙らせるためかと疑問の声が上がっています。また、大規模盛土団地で地盤沈下が心配されているところにさらに立坑の穴を掘ることは、一層住民の不安を大きくしました。
 二葉山トンネル内は、暫定2車線の片側対面通行で、二葉の里側のトンネル坑口は、大きくカーブした坂道のため、スピードが出ればきわめて危険な設計となっています。安全のためといいますが、避難口の設置は、こうした「危険」を想定したからなのでしょうか。

(道路交通局長)
 高速5号線の避難口については、トンネル内の車両の火災、その他の事故により、交通に危険を及ぼす恐れがある場合などに備え、道路利用者の安全確保を図るため、公社において設置する計画としたものです。
 また、高速5号線の同路線形については、道路構造令の基準を満足するとともに、公安委員会との協議を経て計画しているものであり、道路構造上の問題はありません。


(近松さと子議員)
 10月、トンネル工事によって2,5センチを超える地盤沈下が起きれば、広島県土地開発公社が買収すると発表され、関係者を驚かせました。
 これまで、全国で公共事業による事業損失補償で「買収」したという事例は、あったのでしょうか。

(道路交通局長)
 公共事業により損失が生じた場合の事業損失補償は、あくまでも当該損失の補てんであり、対象物を取得し、その対価を払うような性格のものではありません。したがって、そういった事例はないものと考えています。


(近松さと子議員)
 高速1号線福木トンネルでは、最大18センチの被害をうけた家屋もありましたが、傾いた家は、十分な補償額ではなかったため、応急的な修復を余儀なくされました。同じ高速道路事業です。高速1号線福木トンネルの被害家屋も買い取るべきではありませんか。

(道路交通局長)
 福木トンネルでの被害家屋に対しては、公共事業による損失を補てんするという考え方により補償を行ったものですが、今回の高速5号線の対応は、これとは異なる考え方によるものです。
 このたびの買い取り対応は、損失の補てんではなく、トンネル工事による地盤沈下を不安視する住民の方々に対し、一定の沈下状況が起きた時には、県の土地開発公社が別の目的で土地等を買収することとしているものです。このため、この仕組みを福木トンネルに適用することは考えていません。


(近松さと子議員)
 本来、高速道路事業は、建設費を通行料金収入で賄うものです。ところが、都市高速道路事業は、通行料金収入だけでは採算が取れないために、税金で賄う関連公共事業で補っています。開通している1号から4号線と 建設予定の5号線を合わせた総建設費のうち関連公共事業などの割合は、いくらでしょうか。

(道路交通局長)
 高速1号線から5号線の有料道路事業と、本誌の関連公共事業を合わせた建設費の総額は5,230億円を見込んでおり、このうち関連公共事業費の割合は、約25%となっています。


(近松さと子議員)
 これまで、通行量の見込みを下方修正し続け、2013年度の見直しで、高速1号から5号の5路線全体の通行料金収入を40年間6,420億円と見込み、完成時の予定通行量は、一日当たり9万5台としています。
 昨年度の高速1〜4号線全体での実績交通量は、いくらでしょうか。また予定通行量の見込みに対しての実績交通量の割合は、何%でしょうか。

(道路交通局長)
 昨年度の高速1号線から4号線の利用交通量の実績は、一日平均で約6万3,400台となっており、計画交通量8万1,000台に対して、約78%となっています。


(近松さと子議員)
 通行量の実績で、通行料金収入が決まります。現在、高速5号線は、予定通行量を12000台と見込み、5路線の中で最も通行量の少ない路線です。現状では、1号から4号線までの実績交通量が、見込みを大きく下回っている中で、5号線の通行量までが増えないとなれば、さらに、市民の税金をつぎ込むことになるのではないですか。あらためて中止すべきではありませんか。

(道路交通局長)
 採算性については、先ほど中期財政収支見通しのご質問の中でお答えしたとおり、長期的な視点にたって、利用促進や管理の一層の合理化に取り組むこと等により、借入金等は料金収入をもって、定められた期間内に償還することは可能であり、事業を中止する考えはありません。


上にもどる


・子育て支援
 乳幼児医療費

(近松さと子議員)
 子どもの医療費助成制度は、急速な少子化に対応するための子育て支援の重要な柱と位置付けられ、全国の自治体が積極的に拡充に取り組んでおり、今や対象年齢を中学生までに広げるのが主流になっています。
 広島市も対象年齢を拡大しようとしていますが、問題は、所得によって一部負担を増やそうと考えておられることです。真に必要な世帯だとして貧困家庭を支援するという発想だけでとらえるべきではありません。実際に、「だれでも」、「無料に」という自治体が、政令市を含めて数多くあることをよく見るべきです。将来の社会を担う子どもたちはだれでも、私たちの社会の宝であり、その一人一人を大事に社会で育てようという考え方、すべての子どもが平等に広島市の施策の対象になるという考え方が、広島市行政にも必要ですが、どのようにお考えですか。
 できるだけ早く、最低限一部負担を増やすことなく、全国で主流になっている中学卒業までの制度拡大を進められるべきですが、お考えをお聞きします。

(健康福祉局長)
 少子高齢化社会が進展する中で次世代を担う子どもの健全育成は、ますます重要になっています。
 その基本となる子どもの健康づくりに対しては、保護者が自らの責任で取り組んでおられますが、こうした努力にもかかわらず子どもが病気等になった場合に、経済的な理由によって必要な医療が受けられないことがないよう、支援を行う必要があります。
 こうした考え方により、乳幼児等医療費補助制度の見直しを行い、対象年齢を拡大することにより、より多くの子どもの健康な発育をさらに促進したいと考えています。
 なお、一部負担金については、安定的かつ持続可能な制度運営を行うため、所得の低い世帯における受診抑制に配慮しつつも一定以上の所得のある世帯については、これまで以上の負担をお願いする必要があると考えています。



上にもどる


 学校給食費
(近松さと子議員)
 12月から学校給食費を、この間の食材費の高騰をうけ、年間約3000円値上げすると発表がありました。さらに、消費税10%増税時には、3%の値上げをすることもしめされました。保護者の負担を増やすことは反対です。この際、改めて、給食費のあり方について検討するべきではないでしょうか。
 そもそも、給食は学校教育の一環であり、義務教育は無償が原則です。ところが、学校給食法で給食の食材費は保護者の負担という規定があるために、実費負担をもとめてきました。そのため、食材費が値上りしたり、食育をすすめるため給食を充実しようとすれば、保護者の家計に跳ね返ることになります。
 こうした中で、北海道小清水町では、国の地域住民生活等緊急支援交付金を活用し、今年度より、児童・生徒の学校給食費を無償化します。山口県和木町では、戦後の開始時から無料とし、現在でも幼稚園、小・中学校で無料化を継続しています。兵庫県相生市は2011年から市立の幼稚園、小・中学校の無料化に踏み切っています。今は、人口の少ない自治体が中心ですが、給食費無料化を進める自治体は、着実に増えています。
 今、若い世代の半数が非正規雇用を余儀なくされて、賃金も増えない、増えてもわずかという中で、消費税増税や物価高で家計支出は、増加するばかりです。保護者への負担軽減策は、就学援助制度の対象になる一部の世帯に限られていますが、義務教育は無償という観点からも少子化対策のためにも、子育て世帯の家計に、これ以上の負担をかけない対策をとる必要があるのではありませんか。
 また、子どもの多い世帯ほど、家計への負担は重くなっていきますが、特別に考慮すべきではありませんか。

(教育長)
 憲法第26条の「義務教育は、これを無償とする。」については、最高裁の判例で教育の対価である授業料の無償を意味するものとされています。
 学校給食費については、学校給食法第11条で、施設整備費や人件費は学校設置者の負担、食材費は保護者負担と規定されていますが、本市では、その保護者負担の軽減を図るための措置を講じています。
 具体的には、食材の一括購入により安全でおいしい良質な食材の安価な調達に努めるとともに、給食費の負担が困難な児童生徒の保護者については、就学援助制度により食材費を無償としており、現状ではこれ以上の負担軽減策については考えておりません。


上にもどる


●砂防ダム立ち退き者支援について

(近松さと子議員)
 「被災して、長い間避難生活を余儀なくされ、やっと帰れると思った自宅が砂防ダム計画の中に入り、立ち退かなくてはならない。移転しようにも国の移転補償費だけでは、このあたりでは、自宅の再建はできない。地域の安全のために立ち退きに協力するつもりだが、なぜ、自分が犠牲にならなければならないのかと思ってしまう。」
 8・20豪雨災害から、1年3か月経ち、あらたな困難に直面して途方に暮れている被災者がいます。八木緑井地域では、4つの砂防ダムで立ち退きを迫られる世帯が72世帯ありますが、特に、建物の損壊がないのに、移転しなければならない世帯が20世帯あります。国の移転補償費が、住宅再建に遠く及ばない低い額のため、移転後の住まいの確保について、困難に直面しています。
 11月26日には、せめて、義援金の対象にならないだろうかという要望がだされました。義援金は、復興を願う全国から寄せられた支援の気持ちを表したものです。これまで、第3次まで配分され、法面修復、集会所の再建、空き家の補償など対象を広げてきました。これに対して、市は、砂防ダムの計画のため住まいを失う被災者は、災害の直接の被害でない、本来、国が対応すべきであり、他の公共事業の立ち退き者と公平性に欠けると消極的です。あらためて、第4次の義援金配分の対象について、検討をもとめるものです。
 市長は、ダム立ち退き世帯の被災者のみなさんの前で、「国ができないのなら、市が出来るだけのことはする」と言われました。ダムの立ち退きとはいえ、同じ被災地の被災者です。住まいの再建に支援の手を差し伸べるべきではありませんか。市長の言葉にすがる思いで期待してきた被災者の皆さんに、市長はどうこたえられるおつもりか、お聞きします。

(市長)
 被災地の復興については、被災地を災害に強い安全なまちによみがえらせ、多くの市民が安心して暮らせるようにするために、本年3月に策定した「復興まちづくりビジョン」を踏まえ、国や広島県と連携して、砂防堰堤や避難路、雨水排水施設等の整備に全力を挙げているところであります。
 また、今回の災害によって、住居の移転を余儀なくされた方々への住宅再建の支援などを中心に、個々の住民の皆さんの生活再建への不安解消にも努めているところでもあります。
 住民の皆様の生活再建への不安解消に当たっては、住民の方々の意向を聞き、できるだけ個々の状況に応じた適切な対応を行うことが何よりも重要となります。
 そのため、公共事業に係る国の制度を前提としつつ、市として、できる限りの対応をすることとし、被災地周辺の住宅団地を希望される方々には、当該団地の物件所有者の意向確認を行い、できるだけ希望に沿った物件を紹介しているところでございます。
 また、資金計画や移転先となる物件についての支援を希望される方々には、関連情報の提供から契約締結に至るまでの一連の手続きを専門家がサポートする体制を整え、その支援に取り組んでいるところであります。



上にもどる


●サッカースタジアム建設候補地について
(近松さと子議員)
 私たちは、Jリーグの理念に賛同し、Jリーグ一のフエアプレイ精神を誇る地元チームを応援するものです。スタジアム建設に当たっては、必要性・採算性・環境などを十分検討すべきだと考えます。
 昨年、12月にサッカースタジアム検討協議会が取りまとめた「広島に相応しいサッカースタジアムについて」の提言を踏まえ、今年7月に開催された知事・市長・商工会議所会頭のトップ会談においては、広島みなと公園が旧市民球場跡地と比べて優位とされています。先般の9月議会では、宇品みなと公園にサッカースタジアムを整備するうえで、課題の一つとされている交通渋滞・物流への悪影響を解決するためとして、交通量実態調査と実現可能性調査が議決されたところです。市と県等は、宇品地区の交通量実態調査と実現可能性調査の結果を最終的な検証作業ととらえ、この結果を踏まえて、今年度末(2016年3月末)には候補地の絞り込みをするとされています。
 そもそも、広島みなと公園は、県が緑地・防災拠点として国庫補助金を受けて埋め立て工事を行いました。当初の整備目的を変更し、サッカースタジアムを整備することになれば、国への補助金返済が必要です。返済額や国との協議の見通しをどのように考えておられますか。

(市民局長)
 現在、港湾管理者である広島県において、広島みなと公園にサッカースタジアムを整備するとした場合の利用計画を想定し、代替機能の確保等により、できるだけ国庫補助金の返還が生じないよう、国土交通省と協議しながら検討しているところです。


(近松さと子議員)
 10月に宇品地区の16箇所で交通量の実態調査を実施したとお聞きしました。広島みなと公園周辺の宇品地域からは、「年に一度の花火大会の際にも、道路が通行できず困った」「サッカースタジアムができれば、日常生活に影響が出る」と懸念の声もあります。議会にも、出島地区の物流関係者から交通渋滞による物流業務の遅れが経営を圧迫すると心配する陳情も出されています。みなと公園は、地域の高齢者や家族づれの憩の場でもあり、地域から憩いの場を奪わないでほしいとの声もあります。広島みなと公園がどうなるのかは、地域のまちづくりにとって、大変に重要な問題であり、住民参加で進めることが不可欠です。市はどのようにして地元住民の意見を聞き、合意を得る考えなのでしょうか。

(市民局長)
 広島みなと公園については、交通対策が課題となっていることから、港湾管理者である県が、本年10月のイベント開催時における宇品地区の交通量調査を委託し、現在、県・市・商工会議所の作業部会において結果を整理しています。
 地元の方々に対しては、今後、物流関係者の理解が得られるような対応策がまとまった段階で、作業部会からご説明するなど必要な対応をしてまいりたいと考えています。


(近松さと子議員)     
 また、現在のエディオンスタジアムが、ホームスタジアムでなくなることについて地元住民から反対の声も出ています。仮にホームスタジアムでなくなれば、地元への対応が必要ですが、どのようにされるつもりなのか伺います。

(市民局長)
 広島広域公園以外の場所にサッカースタジアムを建設する場合には、エディオンスタジアムでのJリーグ公式戦の利用がなくなることを踏まえた活用策を検討していく必要があると考えています。
 この検討に当たっては、地元の皆さんからのご意見に十分配慮しながら、関係部局とも連携し、進めていく必要があると考えています。



上にもどる



●広島市中央老人福祉センターについて
(近松さと子議員)
 基町にある老人福祉センターは、年間延べ9万人が利用する市内最大の高齢者の憩いの場であり、とりわけ利用者に愛されているのがお風呂です。高齢化率が40%を超える地域で、高齢者同士が声を掛け合い、文字通り裸の付き合いのできる交流の場でもあります。
 そのお風呂が、10月14日、ボイラーが故障し利用できなくなりました。1か月しても『故障中』という張り紙があるだけで、利用者が指定管理者のセンター所長に尋ねても、明確な返答がなく不信感を募らせました。らちがあかないと利用者が「高齢者の癒しと交流の場を守る会」を結成し、早期再開を求めて、短期間に600人以上の利用者が署名をしました。
 そもそも、老人福祉センターのお風呂の設置目的は何でしょうか。

(健康福祉局長)
 老人福祉センターは、高齢者の健康の増進及びレクリエーション等のための機会を総合的に提供する施設であり、中央老人福祉センターの浴場は、こうした設置目的を果たすための設備の一つとして設けています。


(近松さと子議員)
 今回、長期間お風呂が利用できなくなったことについてどのように認識されていますか。
 11月30日に広島市高齢福祉課を呼んで説明会がもたれました。
 このボイラーの耐用予定年数は、約15年だったのがすでに22年になり、いつ故障してもおかしくない状態です。耐用年数が過ぎた設備の更新計画は、一体どのように考えておられたのでしょうか。

(健康福祉局長)
 こうした設備については、その稼働状況や設備の耐用年数を考慮しながら定期的な保守点検や維持管理を行ってきたところですが、このたびの故障により、浴場の利用者の方々にご不便をおかけしており、早急に修繕したいと考えています。


(近松さと子議員)
 市の説明では、競争入札にかけるという予定が示されましたが、お風呂が利用できるようになるのは、早くても2月以降という話に利用者の怒りが収まりませんでした。早期再開に向けて全力を挙げるべきですが、仮に入札が不調となれば、どのように対応されるのしょうか。
 また、お風呂への不満は、今回の故障だけではありませんでした。以前からほとんどのシャワー設備やお湯の蛇口の一部は、故障中の張り紙がされて、一向に改善されないことへも不満がたまっていました。かねてから、すべりにくい床にしてほしい、トイレが和式で利用しにくい、手すりをつけてほしいというお風呂の改善の要望もだされています。高齢者のためのお風呂であることを考えれば当然です。
 このセンターは、築年数が30年を経て、老朽化への対応が求められる施設です。指定管理者が管理運営していますが、年間委託料のうち修繕費は、年間60万円程度であり、十分な予算も権限もありません。指定管理者制度の目的は、コスト削減とサービス向上といわれてきましたが、施設の不具合が放置され、利用者の不満に迅速に対応されず、大幅なサービス低下です。
 老人福祉センターの設置者として、施設の修繕や故障の対応について指定管理者任せでなく、市が責任をもつべきではありませんか。

(健康福祉局長)
 施設についての最終的な管理責任は広島市にあります。今回のボイラーの修繕に関しては、今月10日を開札日として本市において入札手続きを進めており、仮に入札不調となった場合には、その原因を確認し、できるだけ速やかに再入札を行います。



上にもどる



●ブラックバイト対策について
(近松さと子議員)
 「シフトから外してもらえず、5時限目の授業に出られなくなった」「店のエプロン代は、バイト代から差し引くといわれた」「ノルマがあり、恵方巻きの巻きずしやクリスマスケーキを買わされた」これらは、広島市内のカフェやスーパー、コンビニなどでアルバイトをしている学生の声です。ブラックバイトから学生を守ろうというグループが、学生にアンケートをとりました。アルバイトを優先し、昼夜が逆転し、大学に姿を見せなくなった同級生がいるという話も聞きました。
 厚労省の調査でもアルバイト学生の6割でトラブルがあったといいます。違法な働き方や学業に支障がでる働き方を強要するアルバイトを「ブラックバイト」と呼び、今や社会問題になっています。また、この間、正規社員から非正規社員へと置き換える雇用破壊の中で、かっては、補助的な仕事だったアルバイトが主戦力になっている背景があります。
 「アルバイトだから、いやなら辞めればいいではないか」と思われるでしょう。しかし、学生には、辞められない事情があります。親の仕送りの減少です。ある学生は、学費も生活費もすべて自分で払うため、毎月8万円の貸与制の奨学金を借りています。ファ―ストフードのアルバイト収入4万円で、3万円の寮の生活費をねん出し、残り1万円が食費というぎりぎりの生活を余儀なくされています。心が痛みます。
かって20年前には、仕送りが5万円未満だった学生は、わずか7%だったのが、今や、4人にひとり、約24%へと増加しています。また、奨学金を受けている学生が半数にのぼり、卒業したら平均300万円の借金返済が待っています。こうしたアルバイトなしでは、学び続けられない深刻な経済的問題があるのです。
 「手が滑ってお皿を割ったら弁償」「代わりを探してこないと辞めさせられない」という事例は、違法ですが、学生自身が、社会経験も乏しく労働法制の知識もないため、違法性に気付いていません。報道によれば、広島大学が学生からの未払いバイト代の相談を受けて実態調査を行う予定であることや鳥取大学は、ブラックバイトから身を守る手引きを配布しているといいます。
 本市として、学生のブラックバイトの実態についてどのように認識されていますか。

(経済観光局長)
 学生がアルバイトの際、事業主の法令違反等により不利益を被ったり、学業に支障をきたす、いわゆる「ブラックバイト」について、厚生労働省は本年8月から9月にかけてアンケート調査を実施し、先月、その結果を公表しています。
 調査によると、60.5%の学生が「採用時に合意した以上のシフトを入れられた」「休憩時間がなかった」など、労働条件上のトラブルを経験しているとの実態が明らかになっています。また、自由記載意見としては、「試験期間に休ませてもらえない」「シフトを変更してもらえづ授業に出られなかった」などがありました。


(近松さと子議員)
 また、ブラックバイトの被害から学生を守るために対策をとるべきではありませんか。

(経済観光局長)
 いわゆるブラックバイトに対しては、労働関係法令の指導監督権限を有する国において主体的に対応すべきであると認識しています。
 厚生労働省では、今回実施したアンケート調査の結果を踏まえ、今後、学生アルバイトの労働条件の確保に向けた取り組みを強化し、企業に対しては、労働関係法令の遵守等の要請、チラシ等の作成・配布、学生に対しては、労働条件に関するセミナーの開催、相談対応の強化等を行うこととしております。本市としてはこうした国の取り組みの周知・啓発に協力していきたいと考えています。


(近松さと子議員)
 広島市立大学などでも学生の声を聞き、こうした実態の把握に努め、相談窓口の設置など学生を守るための対策について検討されるべきではありませんか。

(企画総務局長)
 市立大学では、現在、新入生に配布している学生生活に関する副読本への掲載や厚生労働省が作成した啓発チラシの掲示等により、ブラックバイトに関する注意喚起を行うとともに、学生支援室をこうした相談の窓口としています。
 今後、市立大学からは、新入生へのオリエンテーションでの指導強化、学生生活に関する手引き「学生ハンドブック」や学内専用サイトへの掲載による啓発など、さらなる対策を講じていく予定であると聞いています。


(近松さと子議員)
 若者を苦しめる国に未来はありません。先進国で最低の教育費予算を拡充し、学費の無償化や給付性奨学金の必要性を指摘して質問をおわります。


上にもどる


トップ議会情報・議員の発言2015年第6回 12月定例会 議員発言 >一般質問・近松さと子議員
日本共産党広島市議会議員団
〒730-8586 広島市中区国泰寺町1−6−34 広島市役所議会棟内
電話 082-244-0844 FAX 082-244-1567 E-Mail k-shigi@jcp-hiro-shigi.jp